ひとくちに粒状影(径が5mm以下の、飛び飛びの陰影)といっても、実はさまざまな機序で生じるため、成り立ちによって粒の存在する場所、あるいは粒の形状、はたまた他に随伴する所見が微妙に異なります。
HRCT(高分解能CT)全盛の昨今、読影にはそのあたりまでの知識があることが望ましいわけで、結構込み入った説明になることは覚悟の上で、でも厳密に書くとかなりややこしくなるため、端折るところは端折って(結局端折るんかい!)、出来るだけ明快に理解していただきたいと思います。
まずは粒状影を、存在する場所によって分類してみましょう。場所を理解するには、
小葉の理解が必須であります。覚えておられるでしょうか。ささっと復習しましょう。
正常の胸部レントゲン写真やCT上で見える肺の構造物は、大きさ(太さ・厚さ)が0.5mm以上である、割と末梢までの血管と中枢付近の気管支であります。

気管支は肺門で肺内に入る、そのときから肺動脈と伴走します。そして分岐するときも同じタイミングで分岐し、基本、最後(大体肺の一番外から5mmほど入ったところ)まで伴走しています。

その「最後」の気管支と肺動脈が支配しているひとかたまりの肺胞を小葉(正式には「二次小葉」)といいます。
小葉とはある程度の数の肺胞が集まった、肺の構成単位です。大体1辺が1cm程度の多面体(CTで見ると多角形)で、中心部に細気管支と伴走する肺動脈があります。周囲は小葉間隔壁と呼ばれる薄い壁で境されています。

小葉(上図の黄色で囲まれた多角形の領域)には細気管支の端っこと、その細気管支が支配するひとかたまりの肺胞が含まれています。拡大してみると…

小葉の1辺は1cm程度で、細気管支の端っこは、径が0.5mm、そして肺胞は大きさ0.2mm。略図なので少し肺胞がデカ過ぎるのですが、理解しやすいようにこういう表示にしておきます。気管支にはずっと肺動脈が伴走してきています。肺動脈には静脈血が流れていますから、青く塗ってあります。そして、径は気管支と同じ、故に肺動脈の端っこは0.5mm。
肺動脈は小葉の中心部で終わっている。というか、そこから周りの肺胞(周囲の毛細血管)に静脈血が散らばっていきます。肺胞周囲の毛細血管を通過する過程で、静脈血は空気と触れてガス交換を行い、酸素化されて動脈血になるのです。で、小葉を囲う隔壁(小葉の辺縁部)内にある肺静脈に還っていくのです。

一方、リンパ管はどこに分布しているかというと、血管系と比べて非常に微細な網目状の構造物として、太い脈管系(要するに血管や気管支)の周りを取り巻くように分布している、といいます。
イメージとしては、
XXXXXXXXXXXX
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こんな感じで網目状に巻き付いているイメージですね。
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posted by 長尾大志 at 16:23
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