2013年08月29日

胸部CT道場44・気管支拡張像3・tram lineとは

壁の肥厚と径の拡張によって、普段は見えない、または見えにくい気管支(の壁)が可視化してきて、よく見えるようになってくるのが気管支拡張症の画像所見です。


本来気管支と伴走する肺動脈の径はほぼ同じです。しかしながら、気管支が拡張してくると、明らかに伴走する血管よりも気管支の径が大きく、壁が分厚くなります(図の下)。


3気管支と伴走する肺動脈径は本来同じ.JPG


昨日はそんな気管支を短軸方向に切りましたが、長軸方向に切るとどんなふうに見えるか。気管支の中には空気が通っていますので、長軸方向に気管支を切ると、対面の壁が平行に走る2本の線として見えます。


6気管支の見え方.JPG


通常、以前にも書いたように、気管支はよっぽど中枢の、壁厚が0.5mm以上ある場所以外は見えません。見えるレベルでは気管支は平行に走る2本の線として認識されます。


7CTで見えるのは0.5mm以上の構造物=血管と太い気管支.JPG


気管支拡張症では、中枢でもない場所に「平行に走る2本の線」が見えてきます。それを昔の人は「電車の軌道(=tram line)のようだ」と思ったのでしょう、その見た感じがそのまま用語となったようです。


実際は、破壊、修復などを反映して、多少デコボコ、ガタガタしていることも多く、きれいな電車の軌道、というわけにはなかなか参りませんが…。


8tram line.JPG


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posted by 長尾大志 at 18:10 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年08月28日

胸部CT道場43・気管支拡張像2・signet ring signとは

壁の肥厚と径の拡張によって、普段は見えない、または見えにくい気管支(の壁)が可視化してきて、よく見えるようになってくるのが気管支拡張症の画像所見です。


本来気管支と伴走する肺動脈の径はほぼ同じです。しかしながら、気管支が拡張してくると、明らかに伴走する血管よりも気管支の径が大きく(太く)なります(図の下)。


3気管支と伴走する肺動脈径は本来同じ.JPG


この様子を胸部CTの短軸方向で切って観察すると、血管よりも明らかに太い気管支が認識できます。血管は中に血液(水濃度)が走っていますから真っ白な円として見え、気管支は中を空気が通っていますからドーナツ、あるいは輪っか(リング)のように中が黒く見えます。


そのリングが明らかに伴走する血管(真っ白な円)よりも大きいと、あたかも指輪のように見える、ということからsignet ring signという用語ができました。1.3倍以上差があると、人の眼には明らかに大きく見えるそうで、病理学的な気管支拡張の定義は1.3倍、ということです。


4signet ring sign.JPG


図の右側、これこそが指輪であります。宝石部分は指を入れる部分よりも圧倒的に小さいもの。間違っても世の女性の皆さんは、左側のごとき指輪?を男性におねだりしないように!


実際の画像はこんな感じです。


5signet ring sign.JPG


この症例では左のみに気管支拡張があり、右側は正常、すなわち血管径と気管支径が同等ですが、左の拡張部でsignet ring signが見られます。少し指輪、歪んでますが…。


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posted by 長尾大志 at 14:00 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年08月27日

胸部CT道場42・白と黒が混在する陰影・気管支拡張像1・気管支拡張症とは

また戻って参りました、CT道場。でももうそろそろ終わりです。多分。


黒くなる、あるいは白くなる、とコトは単純にいかない病態があります。これまでに空洞蜂巣肺などを紹介してきましたが、あと少し。


気管支拡張症。気管支が拡張する疾患です。なぜ気管支が拡張するのか。


気管支壁が感染などで破壊され、修復の過程で拡張するのです。原因となる疾患としては幼少期の細菌性肺炎や麻疹、百日咳などが知られていますが、最近は小児にも手当たり次第に抗菌薬を使われるので、そういった例は少なくなっているようです。成人では慢性炎症、特に肉芽腫を作る抗酸菌感染や、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)などによって生じます。かつては結核菌によるものが多かったのですが、最近では非結核性抗酸菌による慢性感染が原因となることが多いようです。


それ以外にも先天性に気管支が脆弱であったり、線維化によって気道壁が破壊されたり、という原因もあります。幼少期は粘膜が未熟で弱いために急性の炎症でも気道壁が破壊されます。


成人での抗酸菌感染症で説明されているメカニズムでは、慢性の炎症を反映して、まず粘膜が肥厚してきます(壁肥厚)。で、そういう慢性感染症のうち肉芽腫を作るもの(これがやはり抗酸菌感染が多い)が、気管支粘膜のウラ(粘膜直下)に肉芽腫を作ってきます。その肉芽腫が、粘膜周囲の平滑筋や気管支軟骨を破壊すると言われています。


1気管支が拡張するメカニズム.JPG


気管支の構造が破壊され、それが修復される過程で気管支壁がビロンビロンに拡がる、というかゆるんでくる。それで気管支の径が拡張してくるのです。


2気管支が拡張するメカニズム2.JPG


壁の肥厚と径の拡張によって、普段は見えない、または見えにくい気管支(の壁)が可視化してきて、よく見えるようになってくるのが気管支拡張症の画像所見です。


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posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月30日

胸部CT道場41・飛び飛びに白くなる陰影37・限局性すりガラス影4・径が10mm以上のもの

限局性すりガラス影で、径が10mm以上のものは、経過観察されることもありますが、純粋なすりガラス影ではなくて中心部が濃厚な陰影、言ってみればすりガラスの中心部に芯があるような陰影、あるいは血管が収束してくる傾向にあるような陰影は進行癌であると考えられ、VATsなどによる外科的生検が望ましいといわれています。


内部がsolidな、つまりしっかりと詰まった結節影でこの大きさであれば、FDG-PETと造影CTを撮影することが推奨されますが、すりガラス影の場合は細胞数が疎、というか少ないために10mm以上の大きさのものでもFDG-PETでしっかり光ることが少ないのですね。原発巣そのものよりもリンパ節の評価には使えるかもしれませんが。


尚、solidなものでも10mm未満の大きさの結節影はFDG-PET陽性とはなりにくいので、FDG-PETの積極的な適応としては、尚、solidなものでも10mm未満の大きさの結節影はFDG-PET陽性とはなりにくいので、FDG-PETの積極的な適応としては、内部が詰まった径10mm以上の結節ということになるのかなあと思います。


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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月29日

胸部CT道場40・飛び飛びに白くなる陰影36・限局性すりガラス影3・径が5mm〜10mmのもの

限局性すりガラス影で径が5mm〜10mmのものも、やはり辺縁の性状などの認識は困難です。また、すりガラスが純粋なものであれば、多くは悪性であってもごく早期の細気管支肺胞上皮癌、あるいは異形腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia:AAH)と呼ばれる、癌の前駆病変と考えられているものであり、予後は良好であると考えられます。


したがって、限局性すりガラス影で径が5mm〜10mmのものは、まず3〜6ヶ月後にCTで経過観察を行い、その経過によって(残存があれば)さらに12、24ヶ月後に経過観察CTを撮影、増大傾向があればその時点でVATsによる生検を行う、という感じでされていることが多いようです。


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posted by 長尾大志 at 18:41 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月26日

胸部CT道場39・飛び飛びに白くなる陰影35・限局性すりガラス影2・径が5mm未満のもの

限局性すりガラス影で径が5mm未満のもの。


この大きさですと、先に述べたような辺縁の感じや、随伴所見などはよくわかりません。そのため、そういう所見から良性、悪性を鑑別することは困難になります。


また、この大きさのものには多くの炎症性、良性病変が含まれます。仮に悪性であっても、すりガラス影を呈するのは細気管支肺胞上皮癌が多く、急速に増大したりStageが変わったりすることはほぼないと考えられています。


従って、限局性すりガラス影で径が5mm未満のものは、半年〜1年後に経過観察CT、とされることが多いようです。それで消えればよし、そのままであれば引き続き経過観察、といったところですね。


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posted by 長尾大志 at 18:12 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月25日

胸部CT道場38・飛び飛びに白くなる陰影34・限局性すりガラス影1

昨夜無事に帰って参りました。結節、腫瘤といった限局性の陰影について取り上げましたが、やはり昨今よく見かける限局性のすりガラス影についてもきちんとまとめておこうと思います。


限局性のすりガラス影はよほど大きいもの以外は胸部X線写真で発見されることはほとんど無く、胸部CTで発見されることがほとんどです。健診やスクリーニングに胸部CTを気軽に取れるようになったことから、よく見つかるようになってきたわけです。


そのためまだまだ長期予後、経過などについて十分なデータが蓄積されていない現状ですが、2013年7月時点での、「まあ、こうじゃないかな」という考え方をご紹介したいと思います。



多くが間質性肺炎の存在を表すびまん性のすりガラス影と異なり、特に大きさの限られた限局性のすりガラス影はGGO(ground glass opacity)と呼ばれます。


GGOには細気管支肺胞上皮癌や腺癌といった悪性疾患、それに異形腺腫様過形成(atypical adenomatous hyperplasia:AAH)と呼ばれる、癌の前駆病変と考えられているもの、さらには炎症性の病巣など、いろいろなものが含まれていますから、鑑別は重要、なのですが、なかなかこれが難しい。


特に小さなものであればあるほど、CTの分解能の問題もあり、いわゆる「性状」がわかりにくいのが現実です。


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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月21日

活動報告・第11回滋賀呼吸循環器フォーラム

昨日7月20日午後、琵琶湖ホテルにて第11回滋賀呼吸循環器フォーラムが開催されました。


例年循環器と呼吸器の規模の差を痛感させられるのですが、今年は循環器5題、呼吸器3題と演題数も拮抗し、差はそれほど感じませんでした。暑さのせいか、昨年の10周年記念の反動か、全体に参加者が少なく、いささか寂しい感じでしたが、学生さんにもたくさん参加頂いて、もりもり食べてくださったのでよかったです。


呼吸器からは瀬戸先生のCOPD疫学調査についての発表。COPD患者さんの早期発見、早期介入は呼吸器内科医の少ない滋賀県、いや日本全体の喫緊の課題であります。簡単なアンケートでCOPD患者さんをスクリーニングできるならば、それに越したことはない。是非多くの患者さんを早期発見して頂きたいものです。


続いて国立病院機構東近江総合医療センターの和田先生による、小青竜湯による薬剤性肺炎と思われた1例。薬剤性肺障害の診断手順について、丁寧にきっちりと詰めた発表でした。


そして最後は小熊先生による、SKR(滋賀吸入療法連携フォーラム)の活動状況報告。薬剤師さんにもっともっと、吸入指導に携わって頂くことで、患者さんの状態がずいぶんよくなることが実感されます。地道な、でもとっても重要な活動です。


2013-07-20kcnforum 019.JPG


今回は活動報告が多かったのですが、こういう内輪の、少し気軽な?会で、若い先生たちに症例報告をやってもらい、経験値を上げて頂くことも大切です。今年は症例が間に合いませんでしたが、来年からはもっとそういう方向で行きたいと思います。循環器内科病棟医長の伊藤先生が、「2年間で10本の症例報告を出す」とされていました。数値目標は具体的でいいですね。こちらも目標を決めましょうかね。



*明日から数日間、ネット環境その他状況が劣悪となります(夏休みとも言う)。更新が滞ることが予想されます。どうぞあしからずご了承ください。

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posted by 長尾大志 at 16:59 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月19日

胸部CT道場37・飛び飛びに白くなる陰影33・結節影・腫瘤影4・良性を示唆する所見・石灰化

一方、

  • 全周性に辺縁が整、ツルツル感

  • スピクラ(スピキュラ)なし

  • 胸膜陥入像なし

  • ノッチがない、あるいは浅い



という所見が見られると、いずれも良性を示唆、あるいは活動性が低そうな所見となります。


それ以外に良性を示唆する所見として、石灰化があります。石灰化は縦隔条件で真っ白(骨と同じ密度)に見える部分で、良性腫瘍でよく見かけます。


ただ、胸部CTの知見が集積されるにつれ、悪性であっても石灰化を内部に含む結節が経験されるようになってきました。例えば、陳旧性の結核腫(石灰化あり)のような変性した部位は発癌しやすく、しばしば肺癌が発生しますが、その場合、


66石灰化のある陳旧性病変から発生した肺癌.jpg


こんな感じで癌の内部に石灰化を含んでしまうのです。ただ、この場合の石灰化は端の方に存在することになります。


すなわち、結節の端の方の石灰化はむしろ悪性であったりします。それに対して、良性の石灰化は偏りがなく、中心性、層状、輪状、全体的(びまん性)、ポップコーン様に見られるとされています。


67全体的に石灰化、の結節.jpg


この症例は陳旧性肺結核です。


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posted by 長尾大志 at 19:18 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月18日

胸部CT道場36・飛び飛びに白くなる陰影32・結節影・腫瘤影3・悪性を示唆する所見2・分葉状・ノッチサイン(notching)・切れ込み

悪性を示唆する所見としてもう一つ触れておきたいのはノッチ(分葉、切れ込み、notching)です。腫瘤の辺縁が凸凹、特にポコンと凹んでいるもの、凹んでいるところを言います(図の赤矢印)。


65ノッチ.jpg


機序としては、癌の不均等な発育によって腫瘤の辺縁にみられる凸凹、と説明されます。癌の起源は1個の細胞でも、遺伝子が不安定であり、細胞分裂を繰り返すうちにどんどん突然変異を起こしてきて、結果きわめて不均一な細胞集団になっています。そのため、部分部分で増殖速度が異なり、凸凹になってくるのです。


また、ノッチの凹んでいる部分にちょうど血管や気管支といった構造物が観察されることがあります。そういう構造物はさすがに癌の進展を多少堰き止めているのでしょう。


ノッチが見られるのは原発性肺癌(特に扁平上皮癌や小細胞肺癌)、またはある程度の大きさになった転移性肺腫瘍でよく見られます。


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posted by 長尾大志 at 17:40 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月17日

胸部CT道場35・飛び飛びに白くなる陰影31・結節影・腫瘤影2・悪性を示唆する所見1・スピクラ(スピキュラ)・胸膜陥入像

結節影、腫瘤影と言うからには、膨らんでいる様子が見て取れるハズです。ちょっと復習。


XP (95).jpg


のように、外向きに凸であること。で、ある程度の大きさがあり、限局していること。このあたりが結節・腫瘤影の特徴であると言えるでしょう。



それで、悪性を示唆する所見ですが


  • 全周性に辺縁が不整

  • スピクラ(スピキュラ)形成

  • 胸膜陥入像



こういう所見が(特にスピクラや胸膜陥入像が複数)あると、原発性肺癌を示唆するといわれています。


スピクラは結節の周りに出ているトゲトゲみたいな所見で、病変辺縁の線維化・周囲の結合組織やリンパ管内への浸潤を示すといわれています。扁平上皮癌や腺癌など、原発巣でよく見られますが、転移巣ではあまり見られません。


63スピクラ.jpg


胸膜陥入像は字のごとく結節が胸膜を引っ張り込んだものです。図でおわかり頂けるでしょうか。1枚の胸膜を結節が引っ張り込んでいるので、1本の線に見えるのですがそこには2枚の胸膜が含まれています。そのためか、図のように少し分厚く見えることも経験されます。


薄い場合、胸膜に到達したスピクラと見分けが付かないこともありますが、まあ結節から線が出ていて胸膜に到達していたら、胸膜陥入像と言っておけばいいと思います。


64胸膜陥入像.jpg


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posted by 長尾大志 at 18:15 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月16日

胸部CT道場34・飛び飛びに白くなる陰影30・結節影・腫瘤影

さてCTに話を戻します。粒状影がようやく片付き、飛び飛びの陰影は結節・腫瘤を残すのみとなりました。大きさで分ける定義を思い出しますと、


  • 粒状影 径5mm以下

  • 結節影 径5mm-3cm

  • 腫瘤影 径3cm以上



となっています。


粒状影はこれまで学んできたように、細気管支やリンパ路に代表される管状構造物内に病変が出来ることで生じる陰影です。従って、基本的には大きさに限りがあるハズなのです。


それがある程度の大きさを超えて発育する、結節影や腫瘤影ともなりますと、そういう構造物を越えて、あるいは破壊して大きくなっている、ということになりますから、基本、破壊性のある腫瘍性病変が考えやすいですね。


この分け方は主に真っ白な、いかにもカタマリ、という陰影についての分類ですが、一方、最近はCT健診も増えており、せいぜい粒状影〜結節影程度の大きさの限局したすりガラス影が発見されることも増えています。


限局したすりガラス影は、特にGGO(ground-glass opacity)、と呼ばれたりして、いわゆるびまん性に拡がるすりガラス影(≒間質性肺炎)ではない、腫瘍性病変を表す所見として扱われています。


いずれにしても、限局した病変がある程度以上の大きさになる、ということは腫瘤を形成するということであり、良性か悪性かの鑑別が重要、ということになります。


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posted by 長尾大志 at 20:21 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月12日

胸部CT道場33・飛び飛びに白くなる陰影29・粒状影のいろいろ28・ランダム分布の粒状影4・粟粒結核

■粟粒(ぞくりゅう)結核

粟粒結核は結核菌が血行性に多臓器に播種し、粟粒大の病変を作ったものです。


まずは陰影というよりも、臨床情報ですが…。
結核のリスクファクターを覚えておられるでしょうか。主に細胞性免疫が低下するような状況なのです。


  • 多量喫煙

  • 糖尿病患者

  • 胃切後患者

  • AIDS

  • 他の血液疾患

  • 他の担癌患者

  • 人工透析

  • ステロイド治療

  • 免疫抑制薬治療

  • 珪肺患者



こういう基礎があるとあやしい。まあ、担癌状態に関しては、転移性肺腫瘍のリスクでもありますが…。



粟粒(ぞくりゅう)結核の陰影はまさに「粟粒(あわつぶ)」。ランダム分布を有するびまん性の1〜3mm大の小粒状影が多数散らばって見えます。


粟(あわ)、って若い人はご存じの方の方が少ない印象です。雑穀の類ですが、日常食べることがあまりないですからね−。鳥のエサ、というとおわかり頂けるでしょうか。米粒(5mm大)よりは少し小さい、1〜3mm大の粒です。


すなわち粟粒結核においては、いわゆる小葉中心性粒状影やリンパ路に存在する粒状影(これらは5mm大)より小さな、比較的粒のそろった微細な(粟粒大の)粒状影が特徴なのです。


62粟粒結核.jpg


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月11日

胸部CT道場32・飛び飛びに白くなる陰影28・粒状影のいろいろ27・ランダム分布の粒状影3・悪性腫瘍の血行性肺転移

途中で横道にそれましたが、CT道場に戻りましょう。ランダム分布の粒状影、続きです。



例えばtree-in-budのような分岐する細気管支影や、tram lineのような気管支の肥厚像、拡張像が共存する所見もあれば「小葉中心性粒状影」と言える。


広義間質(気管支血管束、小葉間隔壁、胸膜)の肥厚に粒が乗っかっているように見えれば、リンパ路に存在する粒状影と考えられる。


そういう所見がなくて、粒がバラバラに存在していれば、ランダムと言えるのではないか、ここまで書きました。


もう一点、ヒトは多くの場合、立位、あるいは座位で過ごしています。その体位だと肺の血流は下の方が多く流れていることは間違いないですね。従って、血流に乗ってやってくる系の疾患では、陰影が下肺優位に見られることが多いです。



そういう、血行に乗って散布され、粒状の病変を作る疾患はそれほど多くなくて、

  • 悪性腫瘍の血行性肺転移

  • 粟粒結核


あたりです。
これらの鑑別はある程度可能ですが、なかなかわかりにくいこともあります。



■悪性腫瘍の血行性肺転移

まずは陰影というよりも、臨床情報ですが…。


悪性腫瘍の既往、あるいは現在腫瘍を有しているかどうかが鑑別に重要な情報となります。当然、そういうことがあれば転移を疑う根拠になるでしょう。


肺癌の肺内転移の場合、比較的大きな腫瘤が1個+びまん性に拡がる粒状影、というふうに原発巣が大きくて転移巣は(大きさにばらつきはあるものの)小さいことが多いので、これも鑑別の根拠になります。



陰影そのものの特徴としては、腫瘍の場合、原発巣から少しずつじわじわと転移の「タネ」がばらまかれ、それが芽吹いて大きくなってきます。ばらまかれた時期によって発育の度合いが異なるため、1つ1つの粒は大きさが不揃いである、ということが見受けられます。


61ランダム分布の粒状影・肺転移.jpg


もちろん進行が早く、一斉に転移の芽が吹いてきたようなケースですと、比較的粒がそろっている印象のものもありますから決めつけることは出来ませんが…。


転移性腫瘍と癌性リンパ管症との共存が見られることもしばしばで、純粋にランダムとか、リンパ路とかの区別が困難だったりもします。逆に、びまん性に拡がる粒状影に広義間質の肥厚があれば、結核は考えにくいですのでこちらかな、と推測することは出来るでしょう。


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posted by 長尾大志 at 18:57 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月04日

胸部CT道場31・飛び飛びに白くなる陰影27・粒状影のいろいろ26・ランダム分布の粒状影2・どういう陰影が「ランダム」なのか?

血行に乗って散布され、粒状の病変を作る疾患は、既存の小葉構造とは無関係にランダムに分布する粒状影を呈します。



…ランダムっていう言葉はわかるんですけど、ランダム分布って、どんな影なんだろう?


これが、血行、いや結構長い間の疑問でありました。小葉中心性の粒状影だって、キッチリ規則正しく配列しているわけではなくて、見ようによってはランダムに見えるし、リンパ路だってそう。


まあ、大体ニュアンスはわかるんです。画像以外の情報からも、「あー、これはランダムってことかな」と推察はできるんですが、若い先生から「どういうのがランダムなんですか?」と聞かれたときにうまく説明できませんでした。



で考えた末の一応の結論が、「粒以外の所見を見る」。


例えば小葉中心性粒状影であれば気管支〜細気管支の病変ですから、tree-in-budのような分岐する細気管支影や、tram lineのような気管支の肥厚像、拡張像が共存することが多いわけで、そういう所見あれば自信を持って「小葉中心性粒状影」と言える。


リンパ路に存在する粒状影であれば、広義間質(気管支血管束、小葉間隔壁、胸膜)の肥厚見られ、そこに粒が乗っかっているように見える。


そういう所見がなくて、粒が(場合にもよりますが結構高密度に)バラバラに存在していれば、ランダムと言えるのではないか、今のところそんなふうに考えています。


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posted by 長尾大志 at 10:43 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月03日

胸部CT道場30・飛び飛びに白くなる陰影26・粒状影のいろいろ25・ランダム分布の粒状影1

というわけで、ようやく小葉中心から離れまして、残るはランダム分布、というよくわからない!?分布の粒状影を紹介します。


ランダムに粒が配置しているということは、どういうことか。


何らかの機序によって、例の小葉単位、あるいは小葉に関連した構造物に関係のない分布をする、ということ。


60小葉構造と関係なく、ランダムに分布.jpg


ではなぜこのような分布をするのか。細気管支に関連する疾患だったら小葉中心部に、リンパ路に関連する疾患なら小葉の辺縁部に、というふうに病変の存在する構造物が元々存在する場所に陰影が分布するはず。では元々ランダムに存在する構造物は何か?



…あまりもったいぶってもしょうがないので申しますと、これは肺胞壁に存在する毛細血管です。肺胞は肺内あまねく広くどこにでも存在しますので、その壁に存在する血管も、小葉内のどこ、ということなくどこにでも存在しうるのです。


ですから、血行に乗って散布される疾患では、小葉内の細気管支や小葉間隔壁といった構造物に関係なく、ランダムに粒が散布して見えるのです。


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posted by 長尾大志 at 19:32 | Comment(2) | 胸部CT道場

2013年07月02日

胸部CT道場29・飛び飛びに白くなる陰影25・粒状影のいろいろ24・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別14・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)6・BACまとめ

いい加減皆さん飽き飽きされていると思われますので、そろそろまとめに入りましょう。


粘液産生性BACがある程度進行してくると、


  • 病変の軽度な部分は小葉中心性粒状影

  • 病変が拡がっている部分ではair bronchogramやCT-angiogram signを伴う浸潤影



を呈してくるのです。さあさあ、これまでのところをしっかり読んで頂いていると、「おー」と思われるのではないでしょうか。思われませんか…。( ̄ー ̄)



だって、小葉中心性粒状影は、細気管支の病変を表し、
浸潤影は、肺胞の病変を表すんでしたよね。


細気管支肺胞上皮癌は、その名の通り、細気管支と肺胞上皮、両方を侵す病変を作るため、両方の所見が見られるという、独特の陰影を呈する訳です。


これまでに挙げた疾患は、いずれも細気管支なら細気管支、肺胞なら肺胞と侵される場所がある程度区別でき、そのために陰影に特徴があって鑑別可能となっていたわけですが、ある意味ちょっと掟破りな感じなのです。


逆にそれゆえに、

  • 病変の軽度な部分でみられる小葉中心性粒状影と、

  • 病変が拡がっている部分でみられるair bronchogramやCT-angiogram signを伴う浸潤影が併存している場合、


粘液産生性BACが疑われる、ということになるのです。


58小葉中心性粒状影と浸潤影の共存.jpg


59CT angiogram signとair  bronchogram.jpg


画像所見だけで言うと、抗酸菌症や気管支肺炎でも同様の陰影をとりうるのですが、BACほど広範な浸潤影をとることは少なく、さらにここに症状という情報が加わると、かなり診断に近づきます。


抗酸菌症や気管支肺炎では急性、慢性の差はあれど発熱や倦怠感などの感染症状があるのに対し、粘液産生性BACでは粘液産生に起因する咳、痰はあるもののそういった感染症状に乏しい、というのは有力な情報ですね。


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posted by 長尾大志 at 18:23 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年07月01日

胸部CT道場28・飛び飛びに白くなる陰影24・粒状影のいろいろ23・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別13・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)5・CT-angiogram sign

粘液産生性BACがある程度進行してくると、


  • 病変の軽度な部分は小葉中心性粒状影

  • 病変が拡がっている部分では浸潤影



を呈してくる。まだ続きます。


腫瘍が作る陰影で浸潤影、というところに違和感を覚える方も少なくないかもしれません。まあ、どちらかというと、粘液が作っている陰影、と考えていただく方が自然でしょう。


そのために、その陰影では

  • air bronchogram

  • CT-angiogram sign



を呈します。


air bronchogramは以前説明しましたが、CT-angiogram signって何や?って話ですよね…。説明しておきましょう。


普通「腫瘤」を形作るのは悪性腫瘍、まあ肺でいえば肺癌が多いです。で、肺癌の場合、腫瘤内部は壊死したり叩きつぶされたりで、元々ある血管がそのまま残っていることは少ない。


そんなわけで、造影CTを撮ったりすると、腫瘤内は中央部に壊死を伴い、周辺部(新生血管が多いエリア)が造影されているような陰影がよく見られます。


56毛細血管が造影された腫瘤.jpg


それに対し、腫瘤内部にある構造物がつぶされてしまわないような、BACやリンパ腫、リンパ増殖性疾患などでは、造影した血管がきれいに元の形のまま映ってきます。このような所見を、CT-angiogram signというのです。


57CT-angiogram sign.jpg


これが見られるということは、組織の破壊を伴っていない、ということになります。


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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(2) | 胸部CT道場

2013年06月27日

胸部CT道場27・飛び飛びに白くなる陰影23・粒状影のいろいろ22・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別12・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)4

粘液産生性BACの病初期は、飛び飛びに存在する小葉中心性粒状影を呈します。で、それが進展するときには、そのまま小葉を埋め尽くすように拡がってきます。


53連続性に拡がって小葉を埋め尽くし….jpg


54小葉を埋め尽くすとこういう陰影になる.jpg


小葉を埋めてからは、先に書きましたとおり、気道を通じてばらまかれていきます。隣接する小葉が埋められると、やがてはべったりとした広範な浸潤影となります。


55べったりとした浸潤影を形成してくる.jpg


つまり、粘液産生性BACがある程度進行してくると、


  • 病変の軽度な部分は小葉中心性粒状影

  • 病変が拡がっている部分では浸潤影



を呈してくるのです。


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2013年06月26日

胸部CT道場26・飛び飛びに白くなる陰影22・粒状影のいろいろ21・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別11・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)3

昨日何気なく書きました、粘液産生性BAC。mucinous BAC(ムチナスバック)と言われたりしています。mucin≒粘液、ですね。


これはBACのうち、悪性細胞が粘液(ムチン)を産生するものです。粘液を産生しないBACとの違いはまさに粘液の存在で、症状としては多量に痰が出たりします。


51腫瘍細胞がムチンを産生する.jpg


肺胞内にムチンが溜まるため、X線写真ではそのエリアは水濃度になります。ということは、粘液を産生しないBACにおいて、X線、CT所見が限局するすりガラス影であったところが…


48連続性に拡がる(限局した)すりガラス影.jpg


粘液産生性BACにおいては肺胞腔内にムチンが貯留して空気濃度→水濃度(すりガラス影→浸潤影)となりますから、そのエリアの濃度が上がり、限局する浸潤影になります。


52連続性に拡がる(限局した)浸潤影.jpg


これは限局した範囲ですから、浸潤影と粒状影の区別がつきません。したがって、存在する場所からして小葉中心性粒状影と同じ陰影になるのです。いわゆる「粒」「カタマリ」ではなく、飛び飛びに存在する粘液も粒状影に見えるってことですね。


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2013年06月25日

胸部CT道場25・飛び飛びに白くなる陰影21・粒状影のいろいろ20・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別10・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)2

癌、と言うからには、組織に浸潤したり、血管内から遠隔転移を起こしたり…という進展形式を思い浮かべがちですが、そういう浸潤ではなく、あくまで肺胞上皮を「置換する」形で増殖するのがBACの特徴でした。


そのために典型的な陰影として、限局したすりガラス影を来します。こういう(BAC、あるいは早期腺癌などを思わせるような)限局したすりガラス影をGGO(ground-glass opacity)、と呼ばれたりしていますね。


ちなみにground-glass opacityと言う言葉自体はは広範なすりガラス影も含む用語であると理解していますが、GGOと略すと、こういう限局したすりガラス影のことを指します。


早期の場合、BACは限局性、連続性の進展を見せますが、BACが進展してくる、ないし粘液産生性BACの大きな特徴が、「経気道的な散布、進展」であります。


肺胞上皮からポロリと取れた?腫瘍細胞が呼気時に気道内に転がってきて、次の吸気で他の領域に転がり込む、そういうイメージを想像していただければ。


49連続性に拡がる+気道を通してばらまかれる.jpg


そうなると、あるところで小葉中心性に拡がりを持っていた病変が、他の小葉でも小葉中心性に拡がる、小葉中心性のすりガラス影が飛び飛びに拡がる、といった陰影を形成してきます。


50気道を通じてばらまかれると….jpg


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2013年06月24日

胸部CT道場24・飛び飛びに白くなる陰影20・粒状影のいろいろ19・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別9・細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)1

細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)は、腺癌の亜型とされる腫瘍細胞が、肺胞の上皮を置き換える形で増殖していく進展様式を取るものです。


47肺胞上皮細胞が腫瘍細胞に置換される.jpg


基本的に間質、脈管、胸膜などへの浸潤を伴わないもの、ということで、組織を破壊せず既存の肺胞に沿って、肺胞を分厚くしていくような形で増殖します。一つの肺胞から隣の肺胞へと進展するため、連続性の、かつ肺胞腔内を埋め尽くさない病変が拡がる感じになります。


ですので、典型的な病変はすりガラス影、しかも(癌ですから)限局したすりガラス影を作ります。


48連続性に拡がる(限局した)すりガラス影.jpg


で、ここからの拡がり方が少し特殊なんです…。


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posted by 長尾大志 at 20:22 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月22日

活動報告・病歴聴取と身体診察と症例検討

今週は6年生のアドバンスコースが始まり、とにかく時間がない。Facebookにも書きましたが、5年生、6年生、研修医1年生、2年生が混在していて、到達度もやるべきコトもモチベーションも微妙に違う人たちなので、それぞれ別々の指導となるわけです。


モチベーションが違う、と書きましたが、皆さん基本的に熱心なので、なおさら指導にも熱が入ってしまい、ついつい時間を掛けてしまい、首が回らなくなる、といったことの繰り返しです(汗)。


以前の学生実習では、「知識の伝達」「レントゲン読影」に力点を置いていたのですが、このブログが充実してきたことと書籍を出版したことから、「知識の伝達」は必ずしもface to faceでなくても可能かな、限られた時間ではむしろface to faceでないと出来ないことをやろう、と思い立ちました。


そこで昨年のアドバンスコースから病歴聴取や身体診察を取り入れたところ、これが大好評。5年生のポリクリでも開始してみると、モチベーションの高い学生さんを中心に大好評となりました。


ということで最近ではすっかりそっち方面にも精を出していますが、やってみてまだまだ自分に足りないことが多く、学ぶべきコトが山ほどあると実感しています。コトが一段落ついたら勉強してまとめていきたいと思います。

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2013年06月21日

胸部CT道場23・飛び飛びに白くなる陰影19・粒状影のいろいろ18・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別8・珪肺

珪肺はじん肺の一種です。じん肺とは、じん肺法で「粉じんを吸入することによって肺に生じた繊維増殖性変化を主体とする疾病を言う。」と定義されています。そのうち、遊離珪酸を吸入して生じたものを珪肺といいます。



吸入されて沈着した粉塵をマクロファージが貪食するのですが、貪食後きちんと消化・処理できずにその場所にとどまり、膠原線維が増生してきて結節状になる、という感じです。


吸入した珪酸は大きさ(2〜5μm)の関係で、細気管支で沈着しやすいため、細気管支にじん肺結節が形成される、と説明されていますが、そのお掃除の際にはリンパ流によって運ばれるため、その道筋であるリンパ路にも粉塵が沈着して結節を形成することがあります。


また、そのリンパ流によるお掃除(クリアランス)が、おそらく重力の影響で上葉においてはあまりよろしくないため、珪肺結節、粒状影は上葉優位であります。


この結節は線維のカタマリであるため、DPBや気管支肺炎といった炎症による粒状影と比較して密度が高く、境界明瞭、クリッとした輝度の高い(白さの強い)陰影になります。ですので、小さい割にはハッキリクッキリよく見えるのが特徴です。


また、進行に伴って粒状影が癒合し、大きな結節=塊状線維化巣(progressive massive fibrosis:PMF)を形成します。これは辺縁が内向きに凸であることが多く、縮む病変である=線維化していることが示唆されます。


また、リンパ路で運び出された粉塵が肺門〜縦隔リンパ節に沈着するため、リンパ節は腫大します。病変が進行するとリンパ節の外周がカチカチに石灰化し、卵殻状石灰化、と呼ばれる所見を呈する様になります。これはかなり特徴的なものです。



ですから、もちろん珪肺診断のポイントは粉塵曝露歴であることは間違いありませんが、


  • 上葉優位の、境界明瞭、クリッとした輝度の高い小葉中心性粒状影

  • 大きな、内向きに凸の結節=塊状線維化巣

  • 卵殻状石灰化



などの所見から、他の疾患と鑑別可能です。


すぐに参照可能な珪肺症例はこちらです。


46珪肺症例.jpg


割とハッキリした小葉中心性粒状影と、大きな結節(塊状線維化巣)が見られます。


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2013年06月20日

胸部CT道場22・飛び飛びに白くなる陰影18・粒状影のいろいろ17・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別7・肺ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)

肺ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)。


昔?は肺好酸球性肉芽腫症とも言いました。Hand-(長い名前)病、Letterer-なんたら病と共に、histiocytosis(ヒスチオサイトーシス)Xという総称で呼ばれていましたが、今ではすべてランゲルハンス細胞が関わっていることが明らかとなり、まとめての名称はLCHと呼ばれるようになりました。そして肺好酸球性肉芽腫症は「肺」LCH、と呼ばれることが多くなっています。


20歳〜40歳の男性に多く、ほとんどが喫煙者であるため、機序は不明ですが喫煙が発症に関わっていると考えられています。実際、禁煙によって改善する事例も少なからず見られます。


病態としては、呼吸細気管支壁を中心に、ランゲルハンス細胞が増殖して結節を作ってきます。免疫染色でS-100蛋白陽性、というのがキーワードであります。


44呼吸細気管支に結節性病変が出来る.jpg


進行してくると結節が嚢胞化(薄い壁の場合)、ないし空洞化(比較的厚い壁の場合)してきます。嚢胞はいびつ、というか不整形であり、その変化とともに特徴的、とされています。


結節がチェックバルブによるエア・トラッピングを起こし、末梢の肺胞部分に空気が捕らえ込む現象が見られることが知られています。嚢胞形成もチェックバルブによる、という考えがあるようですが、確証は今のところないようです(私が不勉強なだけかもしれませんが…)。



今すぐ参照できるLCH症例はこちら。とっても微細な粒状影(胸膜から少し離れたところ=小葉中心部に存在)と、さまざまな大きさのいびつな嚢胞(黄矢印など多数)が見られます。


45LCH症例.jpg


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2013年06月19日

胸部CT道場21・飛び飛びに白くなる陰影17・粒状影のいろいろ16・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別6・びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)・真菌症

既出ですが、びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は、気道壁の線毛運動低下によって、細気管支〜気管支の壁に炎症が生じ、壁肥厚や分泌物の貯留が見られる疾患です。


細気管支〜気管支に主な病変があるため、小葉中心性の粒状影が見られます。


1DPB粒状影.JPG


また、細気管支の周囲にできた小さな結節病変と、分岐する細気管支の陰影をして、「枯れ木に花が咲いたような」tree-in-bud(bud=つぼみ)という何だか文学的な表現をすることがあります。


9tree-in-bud(ちょっと派手?).jpg


真菌症でも同様に小葉中心性粒状影が見られることがありますが、比較的まれで、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)等で見られる程度です。


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posted by 長尾大志 at 18:59 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月18日

胸部CT道場20・飛び飛びに白くなる陰影16・粒状影のいろいろ15・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別5・気管支肺炎(マイコプラズマ以外)

気管支肺炎。


若い頃はこの概念が、イマイチよくわかりませんでした。肺炎じゃないのか?気管支炎じゃないのか?浸潤影は作るのか?マイコプラズマと違うのか?


…要するに、気管支から肺胞領域に至る部位の炎症であります。細気管支炎ほど範囲が限定されておらず、大葉性肺炎ほどべったりと肺胞がやられるわけではない。


まあ、マイコプラズマを含んで分類されることも多いので、マイコプラズマの説明で大体いいのですが、細菌性肺炎の場合、肺胞領域の病変は肺胞腔内を埋める滲出物であることも多く、粒の濃度的には浸潤影と同じ、真っ白である、と理解するとわかりやすいと思います。


39(細)気管支〜肺胞内に浸出液←限局する.jpg


ただ滲出物の産生がそれほど多くないと、ドバ−っと広範に拡がって大葉性肺炎みたいな浸潤影を作る、とまでは行かず、病変が限局してしまうのですね。それで粒状影。


そんな小葉中心性粒状影が癒合してくると、もうちょっと大きな、気管支に沿った浸潤影を作ってくることもありますが、大葉性肺炎までには至らない、ということを知っておきましょう。


40小葉中心性粒状影〜気管支に沿って癒合.jpg


気管支肺炎と大葉性肺炎の違いはこんな感じです。同じような濃度の白い陰影が、片や限局(気管支肺炎)し、片やドバーッと拡がって(大葉性肺炎)いる様子がおわかり頂けるかと思います。


41気管支肺炎と大葉性肺炎.jpg


気管支肺炎の場合、菌は気管支を通じて各地にばらまかれるため、葉をまたいで病変が形成されうるのに対し、大葉性肺炎ではKohn孔を通じて横方向?に病変が拡がっていきます。


42気管支肺炎と大葉性肺炎、進展の仕方.jpg


その結果、気管支肺炎ではこのように、あちこちに斑状の(限局した)浸潤影が出来てきます。


43葉をまたいで病変が進展.jpg


昨今では抗菌薬の進歩などにより、大葉性肺炎を来す症例は少なくなっていますが、古典的には肺炎球菌、クレブシエラ、レジオネラが大葉性肺炎となる、といわれています。


それ以外のH.influenzae、黄色ブドウ球菌をはじめとする多くの細菌で、気管支肺炎のパターンをとるとされています。


マイコプラズマやウイルスは、そんなわけで、微妙に違う感はありますが、気管支肺炎に分類されてもいます。


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posted by 長尾大志 at 20:14 | Comment(2) | 胸部CT道場

2013年06月17日

胸部CT道場19・飛び飛びに白くなる陰影15・粒状影のいろいろ14・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別4・マイコプラズマ肺炎

週があけたので、再度小葉中心性粒状影の主な鑑別疾患を挙げておきましょう。

  • 肺結核

  • 肺非結核性抗酸菌症

  • マイコプラズマ肺炎

  • 気管支肺炎

  • びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)

  • 真菌症

  • ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)

  • 珪肺

  • 濾胞性細気管支炎

  • 細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)

  • HTLV-1関連肺疾患



今日はマイコプラズマ肺炎の陰影を取り上げます。


マイコプラズマ肺炎は市中肺炎の中でも若年者、基礎疾患のない、activityの高い、学校に行っている集団に多く発症します。市中肺炎ガイドラインに記載があるように、激しい空咳が特徴ですが痰は少なく、ラ音も聞かれません。


なぜか。病変の主座は気管支〜細気管支の線毛上皮で、結核や非結核性抗酸菌のように乾酪物質が気道内を満たす、とか、気道がパンパンにふくれる、とかいうことはありません。また、肺実質で浸出液→膿性痰形成、ということも起こりません。肺胞領域にも炎症は及ぶものの、それは間質部分(肺胞隔壁)主体になります。


そういうわけで、分泌物なし→痰が少ない、気道上皮の炎症→刺激により空咳が出る、と説明されています。


35気管支〜細気管支壁の肥厚像(滲出物なし).jpg


特に上皮周囲の広義間質に炎症が波及することで、気管支〜細気管支の壁が肥厚してみられる、ですから分岐する陰影が目立つ、ということと、周囲の狭義間質肥厚により、すりガラス影が生じる、これらの所見が組み合わさって見られます。


すりガラス影は病初期、変化が軽度な部分では気道周囲主体なので、小葉中心性のすりガラス影、といった趣ですが、強くなってくると癒合してべったりとしたすりガラス影〜浸潤影になります。


36気道の肥厚像(滲出物なし)+すりガラス影.jpg


ですから結核の陰影よりも薄く、柔らかい?印象の陰影です。小葉中心性すりガラス影に近い粒状影と言えるでしょう。


37マイコプラズマ肺炎.jpg


38マイコプラズマ肺炎.jpg


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posted by 長尾大志 at 19:49 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月14日

胸部CT道場18・飛び飛びに白くなる陰影14・粒状影のいろいろ13・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別3・肺非結核性抗酸菌症(Mycobacterium kansasii症)

Mycobacterium kansasii症の画像所見も、キーワードだけ挙げるとおおむね肺結核と共通しています。すなわち空洞を伴う結節影+小葉中心性粒状影。


ただ、特徴的な所見として、空洞の壁が薄く、周囲の散布層が少ない、ということが言われていますが、鑑別の決定打とはならない、とされています。


34M.Kansasii症の薄壁空洞.jpg


この薄い空洞は結構印象的であったりしますが、最終的な診断には喀痰をはじめとする検体からM.Kansasiiを培養で確認する、という手順が必要です。これは譲れません。


今日はアッサリ風味ですが、これにて終わります。アドバンスコースも始まり、かなり立て込んでおりますので、7月いっぱいアッサリ風味でお送りします!


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posted by 長尾大志 at 17:08 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月13日

胸部CT道場17・飛び飛びに白くなる陰影13・粒状影のいろいろ12・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別2・肺非結核性抗酸菌症(MAC症)

肺非結核性抗酸菌症も、肺結核と基本的には機序が似ているので、陰影の基本は同じです。乾酪壊死を伴う肉芽腫、細気管支への乾酪物質充満…。それ以外の所見に、特色があると言えばあります。


一口に肺非結核性抗酸菌症といっても、菌の種類はたくさんありまして、各々微妙な違いもあるのですが、ここでは症例の大多数を占めるMycobacterium avium complex(MAC)症とMycobacterium kansasii症を取り上げましょう。


まずMAC症。分類として中葉舌区型(結節・気管支拡張型)と結核類似型(空洞・破壊型)とに分けられます。


  • 中葉舌区型
    中葉・舌区中心に、気管支拡張(tram line、これも改めて説明する必要がありますね( ̄▽ ̄;))〜細気管支病変を反映した小葉中心性粒状影、tree-in-bud所見を認めます。しばしば陰影は融合して浸潤影を形成します。


    28中葉舌区型MAC症.jpg


    29中葉舌区型MAC症.jpg


  • 結核類似型
    結核に似た、空洞を伴う結節+小葉中心性粒状影を呈するパターンです。


    30結核類似型MAC症.jpg


    31結核類似型MAC症.jpg




特にMAC症で特徴的に見られる像として、天理よろづ相談所病院の田中先生に教えて頂いたのが、胸膜直下の結節の集合体〜所属する気管支の拡張と胸膜の肥厚像


菌を吸引して胸膜直下に出来た病変が、胸膜に沿ってべったりと拡がり、かつ気管支に沿って中枢方向に進展していくことで出来る陰影です。確かにMACの時、よく見かけるんですね。


32胸膜直下に吸引された初期病変が.jpg


33胸膜、気道に沿って進展.jpg


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posted by 長尾大志 at 16:56 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月12日

胸部CT道場16・飛び飛びに白くなる陰影12・粒状影のいろいろ11・小葉中心性粒状影を来す疾患の鑑別1・肺結核

肺結核の画像所見は、空洞を形成する結節影、腫瘤影が有名ですが、実は非常に多彩な所見を呈することが知られていて、「画像だけでは結核を否定できない」とまで言われています。


とはいえ、よく見かける二次結核で、典型的な所見というものはあり、HRCTを使うことでかなりそのあたりの理解も進んでいますので、典型像に触れておきましょう。


主病巣として空洞を形成する結節影・腫瘤影〜浸潤影、そしてその周囲に小葉中心性の粒状影、tree-in-bud所見などが見られます。


いずれも気管支〜細気管支に存在する病変(乾酪壊死を伴う肉芽腫、滲出性病変など)を反映します。壊死した物質が気管支から流れ出すと空洞を形成しますから、空洞の存在は気管支関連の病変であること、病変部に壊死があることを表すのでしたね(既出です)。


その主病変から菌が排出される過程で他の部位に再吸入されると、細気管支に「散布」されるようになります。散布された病巣は細気管支〜肺胞道内に乾酪物質を充満させてパンパンに張り、細気管支の可視化=tree-in-budが起こります。


8tree-in-bud.JPG


そんなわけで、大きめの主病変+その周囲(もしくは他の葉)に広がる散布巣=小葉中心性粒状影、という所見が見られるわけです。


25主病巣から排出される菌が.jpg


26再吸入されてばらまかれる.jpg


27主病巣と、散布巣(小葉中心性粒状影).jpg


ちなみに、粟粒結核は全く異なる機序ですから、全く異なる陰影になります。あれは血流に乗ってばらまかれた先で肉芽腫病変を作っておりますので、粒の大きさも、形も異なりますし、気管支の陰影も見られません。詳しくはまた項を改めて、説明したいと思います。


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posted by 長尾大志 at 18:29 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月11日

胸部CT道場15・飛び飛びに白くなる陰影11・粒状影のいろいろ10・小葉中心性粒状影4・小葉中心性粒状影の鑑別

リンパ路について書いてみたら、小葉中心性粒状影についてもっと突っ込んで書きたくなりました。しかしあまり細かくなると、やさしイイくなくなるような気もするので、そこそこのところでとどめておきます。


以前に書いたとおり、小葉中心性粒状影は細気管支、あるいはその周囲の病変を反映するのですが、疾患によって「それ以外の」病変が異なります。


小葉中心性粒状影(小葉中心性すりガラス影とは異なります)の主な鑑別疾患を挙げてみましょう。項目の漏れや間違いのないように、いろいろと教科書を見ていますと、若干、いや結構(汗)、分類のされ方が違っていたりしますが、ここではかのバイブルWebb, Mullerの ”HRCT of the LUNG” を参考にさせていただきます。


  • 肺結核

  • 肺非結核性抗酸菌症

  • マイコプラズマ肺炎

  • 気管支肺炎

  • びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)

  • 真菌症

  • ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis:LCH)

  • 珪肺

  • 濾胞性細気管支炎

  • 細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma:BAC)

  • HTLV-1関連肺疾患



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posted by 長尾大志 at 19:05 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月10日

胸部CT道場14・飛び飛びに白くなる陰影10・粒状影のいろいろ9・小葉の中心部、ならびに辺縁部(リンパ路・広義間質)に存在する粒状影4・肺水腫・急性好酸球性肺炎

「リンパ関連の」疾患以外にも、全く別の機序で、リンパ路・広義間質が肥厚する疾患があるのです。それが肺水腫と急性好酸球性肺炎。これらも機序は異なりますが、広義間質に水が滲出して浮腫を来す結果、広義間質が肥厚して見える、という点では共通しています。


肺水腫はKerley’s B lineのところでも申しましたが、例えば心不全によって肺毛細血管圧、肺動静脈圧が上昇し、血管拡張、および血管周囲の間質に水が溜まってふくれあがる状態です。


そうなると特に肺の下の方、肺底区を中心に、「間質」に水が溜まります。下肺中心の静脈内、あるいは周囲の広義間質に水が溜まって肥厚(拡大)すると、通常目立った構造物が見られない肺の最外層で特に、広義間質が目立ってきます。


12リンパ管、広義間質が拡大する.jpg


広義間質肥厚は胸部X線写真では、肺の最外層でのKerley’s B line(黄矢印)と肺紋理(血管、およびその周囲の広義間質を反映、橙矢印)が認識されやすいものですが、CTだと血管影の太まり、やたらと多角形の線が目立つ(赤矢印)、Kerley’s B lineに相当する、胸膜まで到達する線状影(緑矢印)、といった所見で表されます。


22Kerley’s B line.jpg


23Kerley’s B line実例.jpg


上の写真でもおわかりのように、肺の濃度も少し上がっていますね。それは、肺胞にも水があふれ出ているから。しかも水は肺胞腔内、肺胞隔壁内(狭義の間質)いずれにも滲出しているので、肺野全体的に(特に下の方で)濃度の上がるすりガラス影を呈します。なんと狭義、広義いずれの間質も侵すのですね。


24肺水腫=肺胞腔内、狭義の間質が水浸し.jpg


急性好酸球性肺炎は心不全とは全く異なる疾患ではありますが、結果として起こる現象が似ています。好酸球の浸潤する炎症が肺の広義間質、それと狭義の間質にも!起こるため、広義間質の肥厚に加えてすりガラス影も呈することになります。



…この項で取り上げては見たものの、肺水腫も急性好酸球性肺炎も、実は粒状影は生じません。(/--)/ 機序的に水があふれ出すばかりで、肉芽腫など粒を作る病変がありませんから。


ただ、リンパ路、広義間質を取り上げたら無視するわけにはいかない疾患ですので、この場で取り上げました。


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posted by 長尾大志 at 18:40 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月07日

胸部CT道場13・飛び飛びに白くなる陰影9・粒状影のいろいろ8・小葉の中心部、ならびに辺縁部(リンパ路・広義間質)に存在する粒状影3・癌性リンパ管症

リンパ路に病変が出来る疾患では、(リンパ路が存在する)広義間質の存在感が増し、それに沿って粒状影が出現することがあります。


12リンパ管、広義間質が拡大する.jpg


例えば癌性リンパ管症。


細かいリンパ管の中に癌細胞が入り込み、目詰まりを起こした状態、と考えて頂くと理解しやすいと思います。目詰まりを起こした結果、リンパ管は腫れ上がり、周りの広義間質にも浸出液があふれ出します。その結果、広義間質の拡大像が見られるのです。


17広義間質肥厚がメイン.jpg


このように、広義間質がやたらと肥厚してきます。それ以外に、リンパ管内の癌細胞を反映し、肺門、縦隔その他のリンパ節が腫脹しますし、胸膜播種や肺内転移などがあれば胸水や粒状影を来すことも当然あり得ます。


サルコイドーシスとは機序的にもなんとなく違いがあります。サルコイドーシスはあくまで肉芽腫性変化(1つ1つはせいぜい0.3mm程度の大きさ)がメインで、その肉芽腫が集合して結節を作ったり広義間質の肥厚を来したりしている、つまりあくまで陰影は粒の集合体である、そのため広義間質の肥厚は結構ガタガタしているのです。


それに対し、癌性リンパ管症は滲みだしてきている液がメインであるので、広義間質の肥厚は「比較的まっすぐ」がまずありきで、そこに(転移などによって)粒が乗ってくる、という感じになります。これでニュアンス、伝わるでしょうか。


18サルコイドーシスのニュアンス.jpg


19癌性リンパ管症のニュアンス.jpg


20ガタガタの広義間質肥厚(サルコイドーシス).jpg


21線はガタガタしていない(癌性リンパ管症).jpg


あと、リンパ路と言えばその名もリンパ腫、あるいはリンパ増殖性疾患があります。
画像で広義間質の肥厚が見られたら必ず鑑別に入れるべき疾患ですが、実際お目にかかることは少ない。名前は知ってるけど、診たことがない、そんな疾患ですね。


所見としては、広義間質の肥厚以外にリンパ腫だったら腫瘤影、リンパ増殖性疾患だったらすりガラス影が見られます。なかなかイイ画像がないので、また見かけたらupいたします…。


これらの「リンパ関連の」疾患以外にも、全く別の機序で、リンパ路・広義間質が肥厚する疾患があるのです。


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月06日

胸部CT道場12・飛び飛びに白くなる陰影8・粒状影のいろいろ7・小葉の中心部、ならびに辺縁部(リンパ路・広義間質)に存在する粒状影2・サルコイドーシス

リンパ系(放射線科ではリンパ路、とも呼ばれています)に病変が出来る疾患では、リンパ路が存在する広義間質の存在感が増します。そして、リンパ路に沿って粒状影が出現することがあります。


12リンパ管、広義間質が拡大する.jpg


例えばサルコイドーシス。


もちろんサルコイドーシスと言えば、両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy:BHL)が有名ですが、それだけではなく、リンパ路に沿った場所に微細な肉芽腫が出来てくるのです。その結果、広義間質が肥厚したり、そこに接する粒状影が見えてきたりするのです。


13拡大した広義間質に乗った粒状影.jpg


実物はこのように、血管周囲に粒状影が乗っていたり…


14血管周囲に粒々が….jpg


気管支壁にも粒状影が乗って、ギザギザに見えたり…


15気管支周囲にも粒々が….jpg


胸膜にも粒状影が乗ったりします。胸膜は肺の外周だけでなく、葉間も胸膜ですから、そういう場所にも粒状影が見えるのです。


16胸膜にも粒々が乗っている.jpg


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posted by 長尾大志 at 17:04 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月05日

胸部CT道場11・飛び飛びに白くなる陰影7・粒状影のいろいろ6・小葉の中心部、ならびに辺縁部(リンパ路・広義間質)に存在する粒状影1

リンパ管は血管系と比べて非常に微細な網目状の構造物です。主に存在するのは太い脈管系(要するに血管や気管支)の周りを取り巻く場所なんですが、その場所について説明します。


気管支は肺動脈と常に併走しています。この2つの脈管を(電気のコードみたいに?)束ねている結合組織、ないし気管支と肺動脈を合わせて、気管支血管束と呼んでいます。このキーワード、時々出てきますので覚えておきましょう。気管支血管束は小葉中心部を走ることになります。


それに対して肺静脈は、小葉内の肺胞でガス交換されきれいになった血液を回収すべく、小葉の周り、小葉間隔壁、胸膜内に存在します。


10気管支・血管の周囲にリンパ管が存在.jpg


気管支血管束、小葉間隔壁、胸膜のいずれにもリンパ管が網の目のように張りめぐらされています。この3つの構造物は比較的結合組織のような間質成分が多く、「広義の」間質=広義間質、と呼ばれています。


肺における本来の間質=狭義間質は、肺胞上皮と隣の肺胞上皮をくっつける接着剤的なところであります。この狭義の間質と、広義間質をごっちゃにしてしまうともう何が何やらわからなくなってしまいますから、注意して下さい。


11「狭義の」間質と「広義」間質.jpg


普通は、狭義の間質を単に「間質」と呼び、広義の方を「広義間質」と呼んで区別しています。まあ言葉本来の意味だと、広義の間質は狭義の間質を含むことになってしまいますが、肺の間質を指す場合には全くの別物であることを強調しておきたいと思います。


(狭義の)間質≠広義間質


ともかくリンパ管は、小葉の中心部、ならびに辺縁部に存在する広義間質のあるところに存在する、こう理解しましょう。


ですから、リンパ系がやられる疾患、リンパ系に病変が出来る疾患では、この広義間質が存在感を増してくることになります。これはCTで捉えることが出来る病変なのです。


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posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月04日

胸部CT道場10・飛び飛びに白くなる陰影6・粒状影のいろいろ5・小葉中心性粒状影3

既出の記事なんですが、小葉中心性粒状影を取り上げたらこれについても言及せざるを得ない、というのが過敏性肺炎の「小葉中心性粒状影」です。


過敏性肺炎とは、吸入して気管支を通ってやってきた(カビなどの)抗原によって、細気管支の出口から肺胞内に散らばった場所、すなわち気管支末端(=小葉中心部)付近の肺胞間質にV型、W型のアレルギーが起こり、その結果「そのエリアに」間質性肺炎が生じるものです。


特発性などの間質性肺炎では、肺胞領域の変化は連続性に生じるため、陰影も連続性なのですが…


30連続性に生じている間質性肺炎.JPG


過敏性肺炎(特に急性、亜急性の、アレルギーが起こりたてホヤホヤの時期)では、気管支末端付近=小葉中心部の肺胞に間質性肺炎が生じます。


35過敏性肺炎では「この辺」に間質性肺炎=すりガラス影.jpg


そのため、陰影としては小葉中心部に「飛び飛びに」「すりガラス影」が見られるわけです。


33小葉の中心部に飛び飛びに病変が.JPG


まとめると、細気管支周囲の肺胞に飛び飛びに間質性肺炎が生じるために、「小葉中心性に」「粒状に(飛び飛びに、の意)」分布するすりガラス影が見られる、というわけです。


34小葉中心性のすりガラス影.JPG


教科書的にはこちらの陰影も「小葉中心性粒状影」に含めて書かれていることがあります。あるいは「小葉中心性すりガラス影」と表記されているものも。


昨日書いた小葉中心性粒状影とは、機序が全然違うために陰影の性状も異なります。昨日のものは分泌物や実質の炎症であり、すりガラスよりも濃い、水濃度の(飛び飛びの)陰影になります。そのため、個人的には同じ用語を使うのは違和感があるので、「小葉中心性すりガラス影」の方がしっくり来ると思っています。


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posted by 長尾大志 at 16:49 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年06月03日

胸部CT道場9・飛び飛びに白くなる陰影5・粒状影のいろいろ4・小葉中心性粒状影2

細気管支に炎症が起こることで可視化した病変は、元々の細気管支の形〜細気管支が膨化した形をとります。


4細気管支の可視化.JPG


5小葉中心付近に存在する細気管支.JPG


このような小葉中心性粒状影の代表例として良く挙げられるのは、びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)という疾患です。細気管支のあるところ=肺の端から数mm離れたところですから、肺の1番外縁部から数mm離れたところに、飛び飛びの白い陰影(粒状影)が生じます。


6小葉中心性粒状影・拡大図.JPG


拡大して見れば見るほど、単純な粒の形はしておりませんね…。細気管支周囲の肺胞にも炎症が及ぶと、小葉中心部にある少し大きめの結節として見えることもあります。


7細気管支と周囲の肺胞に病変.JPG


また、細気管支の周囲にできた小さな結節病変と、分岐する細気管支の陰影をして、「枯れ木に花が咲いたような」tree-in-bud(bud=つぼみ)という何だか文学的な表現をすることがあります。ただこのあたりの言葉の意味も少しずつ変わってきており、議論のあるところでもあるようで、あまり強調することは止めておきます。


8tree-in-bud.JPG


9tree-in-bud(ちょっと派手?).jpg



*永らく「在庫なし」だったAmazonにようやく増版分が入荷したそうで、「在庫あり」となっておりました。すぐに購入頂けるようになっております。上のリンクから購入ページへどうぞ。

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posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年05月31日

胸部CT道場8・飛び飛びに白くなる陰影4・粒状影のいろいろ3・小葉中心性粒状影1

小葉の中心部には細気管支が存在します。それゆえ、細気管支に関連する病態では、小葉の中心部に「陰影」が生じます…。


一口に言ってしまうとそういうことなのですが、実は小葉中心性粒状影といっても、機序によって陰影は微妙に異なったりしてしまうのです。大変ですが、少しずつ理解していきましょう。


まず代表的なやつ、教科書で良く典型例として出てくるやつです。細気管支そのものに炎症がある、細気管支炎という病態です。


小葉構造の拡大図(血管系は省略)をもう一度見てみましょう。細気管支は小葉の中心部で終わっています。細気管支は直径が0.5mmで壁の厚さは随分薄くなりますので、CTで細気管支は見えません。


1小葉構造の拡大図(血管系は省略).JPG


ここで細気管支が炎症を起こしますと、細気管支の壁が厚くなったり、細気管支内に粘液が貯留したりします。そのため、細気管支が0.5mm以上の大きさの構造物となり、今まで見えていなかったものが可視化します。それが異常影=粒状影として認識される、ということです。


2細気管支の可視化.JPG



小葉の中心部中心部、と今までさんざん書いてきたのですが、実際には、細気管支は小葉のど真ん中でなくなっているわけではなく、もう少し分岐があったりします。


3厳密な?小葉構造.JPG


小葉1個に対して粒が1個、というわけではなく、1個の小葉に複数の粒状影、あるいは分岐するような構造が見られるのです。


4細気管支の可視化.JPG


これを書くとややこしくなるかな〜とあれこれ思い悩んだのですが、ここは端折るべきではない、と思い直しまして、あえて書かせていただく次第です。


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posted by 長尾大志 at 19:14 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年05月30日

胸部CT道場7・飛び飛びに白くなる陰影3・粒状影のいろいろ2・小葉構造のどこに粒が乗っているのか

小葉構造がナゼ大事かといいますと、粒状影が小葉構造のどこに乗っているか、それによって、どの構造物がやられているかが推測できるからです。


小葉構造のどこに粒状影が乗っているかによって、大きく3つのパターンに分類されます。


  • 小葉の中心部に存在する

  • 小葉の中心部、ならびに辺縁部に存在する

  • 小葉とは無関係に存在する



そこに存在する構造物を加えると、こういう分類になります。


  • 小葉の中心部に存在する:細気管支に関連する陰影

  • 小葉の中心部、ならびに辺縁部に存在する:リンパ管・広義間質に関連する陰影

  • 小葉とは無関係に存在する:(毛細)血管に関連する陰影



ですから、HRCT(高分解能CT)で、粒状影が小葉のどの辺に存在するかを確認できれば、肺内構造物の何と関連する病変であるかがわかる、という寸法になります。


…えー、誠に残念ながら、ただ今から(珍しく)出張につき、今日はここまでとさせていただきます。あしからずご了解下さい。活動報告は後日させていただきます。


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posted by 長尾大志 at 12:16 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年05月29日

胸部CT道場6・飛び飛びに白くなる陰影2・粒状影のいろいろ・小葉構造のおさらい

ひとくちに粒状影(径が5mm以下の、飛び飛びの陰影)といっても、実はさまざまな機序で生じるため、成り立ちによって粒の存在する場所、あるいは粒の形状、はたまた他に随伴する所見が微妙に異なります。


HRCT(高分解能CT)全盛の昨今、読影にはそのあたりまでの知識があることが望ましいわけで、結構込み入った説明になることは覚悟の上で、でも厳密に書くとかなりややこしくなるため、端折るところは端折って(結局端折るんかい!)、出来るだけ明快に理解していただきたいと思います。



まずは粒状影を、存在する場所によって分類してみましょう。場所を理解するには、小葉の理解が必須であります。覚えておられるでしょうか。ささっと復習しましょう。


正常の胸部レントゲン写真やCT上で見える肺の構造物は、大きさ(太さ・厚さ)が0.5mm以上である、割と末梢までの血管と中枢付近の気管支であります。


5正常CT.jpg


気管支は肺門で肺内に入る、そのときから肺動脈と伴走します。そして分岐するときも同じタイミングで分岐し、基本、最後(大体肺の一番外から5mmほど入ったところ)まで伴走しています。


7気管支+肺動脈の最後はこの辺.jpg


その「最後」の気管支と肺動脈が支配しているひとかたまりの肺胞を小葉(正式には「二次小葉」)といいます。


小葉とはある程度の数の肺胞が集まった、肺の構成単位です。大体1辺が1cm程度の多面体(CTで見ると多角形)で、中心部に細気管支と伴走する肺動脈があります。周囲は小葉間隔壁と呼ばれる薄い壁で境されています。


8小葉構造.jpg


小葉(上図の黄色で囲まれた多角形の領域)には細気管支の端っこと、その細気管支が支配するひとかたまりの肺胞が含まれています。拡大してみると…


12小葉と肺動脈.jpg


小葉の1辺は1cm程度で、細気管支の端っこは、径が0.5mm、そして肺胞は大きさ0.2mm。略図なので少し肺胞がデカ過ぎるのですが、理解しやすいようにこういう表示にしておきます。気管支にはずっと肺動脈が伴走してきています。肺動脈には静脈血が流れていますから、青く塗ってあります。そして、径は気管支と同じ、故に肺動脈の端っこは0.5mm。



肺動脈は小葉の中心部で終わっている。というか、そこから周りの肺胞(周囲の毛細血管)に静脈血が散らばっていきます。肺胞周囲の毛細血管を通過する過程で、静脈血は空気と触れてガス交換を行い、酸素化されて動脈血になるのです。で、小葉を囲う隔壁(小葉の辺縁部)内にある肺静脈に還っていくのです。


17小葉中心の肺動脈と小葉辺縁の肺静脈.jpg


一方、リンパ管はどこに分布しているかというと、血管系と比べて非常に微細な網目状の構造物として、太い脈管系(要するに血管や気管支)の周りを取り巻くように分布している、といいます。


イメージとしては、

XXXXXXXXXXXX 
XXXXXXXXXXXX


こんな感じで網目状に巻き付いているイメージですね。


18気管支・血管・肺静脈の周囲にリンパ管.jpg


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posted by 長尾大志 at 16:23 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年05月28日

胸部CT道場5・飛び飛びに白くなる陰影1

連続性に白くなる陰影(浸潤影、すりガラス影)は肺胞の陰影でした。なんてったって肺胞は連続して存在するものなのですから。


それに対して、飛び飛びに白くなるような陰影もしばしば見られます。じゃあそれは何の陰影なの?あわてない、あわてない。


まずは陰影の定義をしましょう。簡便な定義として、大きさで分けるものがわかりやすいと思います。


学生さんにもよくお聞きするのですが、おおよそ皆さん、感覚的に外れたことはおっしゃいません。粒、といえばどのくらいの大きさか、カタマリ、といえばどのくらいの大きさか、というのは大体わかるのではないでしょうか。


  • 粒状影 径5mm以下

  • 結節影 径5mm-3cm

  • 腫瘤影 径3cm以上



粒、といいますとおなじみ、米粒が代表です。これが大体5mmですね。
粟粒結核のように、粟粒(2-3mm大)の大きさの粒もありますが…それはもう少し後で学びましょう。


そして、カタマリというと3cm、これも感覚的に納得できるものみたいです。実生活でも?、3cmぐらいあったらカタマリ感がありませんか?(無理やり?)


粒とカタマリの間を結節と呼びます。皮膚にぽつんと出来たそれくらいの大きさのやつ、結節って呼びますよね。



腫瘤影が大変大きくなると、連続性の陰影みたいになることも確かではありますが、それはリンク先にもありますように比較的稀なことですので、機序的にも飛び飛びの病変の分類に入れておくのがいいかな、と思います。


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posted by 長尾大志 at 19:12 | Comment(0) | 胸部CT道場

2013年05月27日

胸部レントゲン道場64・各論27・レントゲンで白くなる病態21・改め胸部CT道場・入り組んだ道場の整理

あっちに行ったりこっちに行ったりで恐縮ですが、実はなんと、胸部レントゲン道場が未完のまま放置?されていました。覚えておられる方は少ないでしょうが。


いろいろと舞い込んだ執筆依頼もそろそろ一段落、ということで、しばらく胸部レントゲンに立ち戻って行きたいと思います。といいましても、実はこれからは、どちらかというとCT主体のお話になっていきます。従いまして、ナンバリングをCT道場で改めて、新章突入とさせていただきます(レントゲンの話をするときには、レントゲンの番号に戻る形で)。


結構長くなるかもしれませんが、その間にアドバンスコースとか、呼吸療法認定士試験勉強とかが挟まり、取り上げたいトピックが出てくるかもしれません。その都度、間に挟みながら続けていくことになるかと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。



随分間も開きましたし、結構入り乱れておりますので、一度これまでに取り上げた記事のおさらいをして置きましょう。


総論
 骨・軟部陰影
 縦隔陰影
 シルエット・サイン
 横隔膜
 肺野

各論の前に・黒くなる場所と白くなる場所

各論
 黒くなる病態
  肺嚢胞
  肺気腫
  気胸・機序

(胸部CT道場・プロローグ)

白くなる病態
べったりと白くなる連続性の陰影
 胸水
 腫瘤影
 無気肺
 浸潤影

胸部CT道場総論(本当はここのナンバリングもおかしいのですが…直す作業は気が遠くなりまして…)┐('〜`;)┌

  浸潤影・air bronchogram
  すりガラス影
  線維化・間質性肺炎の話


今見返しても、紆余曲折が見られますね…どうやってまとめるか…。


白くなる病態、連続性の病態まで終わりました。明日からは、飛び飛びに白くなるような病態について取り上げて参ります。


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posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | 胸部CT道場

2012年08月03日

胸部CT道場4・造影CT・動脈相と静脈相

実質臓器、筋肉、水は同じような密度であり、いずれも縦隔条件でグレーに見えます。血管内の血液も、体腔液も基本的には同じです。そして腫瘤形成病変も、密度が水に近いため、やはり同じような濃度に見えるのです。


そのため、特に腫瘍性病変の評価をしようかというときには、輝度が高く移る物質を含む「造影剤」を注射して、血管(血液)と実質を区別したり、そのエリアが造影されるかどうかを確認したりする必要があるのです。


で、その造影CTなのですが、撮影するタイミングなどによっていくつか写り方の違いがあり、混乱の元になっています。まあ、MRIほど多くはないのでアレですが、とりあえずは代表的な2つを押さえておきたいものです。


まあ、用語、定義的には施設、設備、医師、技師間でいささかブレはあるかもしれませんが、本質的には上に書いたとおり、@血管(血液)と実質を区別するためのタイミング(動脈相)と、A毛細血管が造影されるタイミング(静脈相)があります。



@まず造影剤をプシューッといれてすぐのタイミングでは、入れた方の手からの静脈、上大静脈、右房、右室から肺動静脈、それに左房左室と大動脈から大きな動脈あたりまでの血管内に濃厚な造影剤が流れ込みます。


このタイミングを動脈相と言っておきましょう。


動脈相では、上述の太い血管内に濃厚な造影剤が満たされ、CTで白く光って見えます。


CT動脈相.jpg


胸部CTにおいて、動脈相で見るべきは縦隔・肺門リンパ節です。縦隔条件の造影なしでは縦隔を走る大血管と縦隔リンパ節の区別がしばしば困難でありますが、動脈相では血管が真っ白に見え、リンパ節はグレー(黄矢印)ですから、ハッキリ区別できるのです。



A次に、造影剤を注入してしばらく経過した後のタイミングでは、体循環の毛細血管レベルまで造影剤が巡ります。このタイミングを静脈相としましょう。


実質臓器がそれなりに白く造影されますが、腫瘍や転移巣など、血管が豊富な箇所では造影効果が高くなり(造影剤がより多く流れ)、より白く見えます。


また、腫瘍内部の壊死した部分は血管もなく、造影されないため黒く「抜けた」ように見えます。


CT静脈相.jpg


黄矢印部分のように周囲が白く造影され、内側が黒く抜けた部分は、中心に壊死を伴う腫瘤の可能性を考えます。


このあたりのことを知っておいて頂くと、CTを見たときに「どれを見たらいいんだろう」と右往左往されることは減るだろうと思います。


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posted by 長尾大志 at 16:06 | Comment(1) | 胸部CT道場

2012年08月02日

胸部CT道場3・縦隔条件で認識できるもの・脂肪・pericardial fat pad

縦隔条件で黒っぽく見えるものは、脂肪です。水よりは軽いため、黒っぽく表現されます。


CT縦隔条件脂肪.JPG


写真の黄矢印は腋窩の脂肪を指していますが、腹部であれば内臓脂肪の沈着も見えますし、左4弓シルエットでよく問題になるpericardial fat padもすぐにわかります。


fatpadCR.JPG


左4弓と横隔膜の交差部(心臓横隔膜角)がぼやけています。シルエット陽性。結構よくある所見です。


fatpadCT1.jpg


心臓周囲の脂肪(pericardial fat pad)が4弓の接線を消していますね。



縦隔条件でグレーに見えるのが実質、筋肉、ならびに水です。筋肉の密度は水に近いため、同じような濃度に見えます。血管内の血液も、体腔液も基本的には同じように見えるのです。


従って、特に腫瘍性病変の評価をしようかというときには、造影剤を注射して、血管(血液)と実質を区別したり、そのエリアが造影されるかどうかを確認する必要があるのです。


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posted by 長尾大志 at 13:04 | Comment(0) | 胸部CT道場

2012年08月01日

胸部CT道場2・縦隔条件で認識できるもの・石灰化病変

縦隔条件で見たときに真っ白に見えるものは、骨と石灰化した部分です。骨はいいとして、石灰化が見られるのは、以下のような病変です。


  • 大動脈など、動脈に見られる動脈硬化病変

  • 縦隔や肺門のリンパ節、あるいは胸膜、はたまた肺野に見られる陳旧性結核病変

  • じん肺で縦隔や肺門のリンパ節に見られるegg-shell様変化

  • アスベスト曝露で見られる胸膜斑



CT縦隔条件石灰化.JPG


これは矢印の先に白く見える部分が動脈内の石灰化、動脈硬化病変を表します。


大動脈石灰化CT1.jpg


これはけっこう派手ですね。大動脈の内腔、壁に沿って石灰化を見ます。


また、たとえば、こんな結節があっても…


石灰化結節CR.jpg


右上の結節。くりっとしていますね。CT肺野条件では…


石灰化結節CT2.jpg


結節だ、ということしかわかりませんが、縦隔条件を見ると…


石灰化結節CT1.jpg


結節全体が白く光り、石灰化病変であることがわかります。


陳旧性肺結核病変は石灰化がよく見られますが、石灰化があれば必ず良性である、とは言い切れません。陳旧性結核病変が癌の母地になることもあります。


ある程度言われているのは、中心性、層状、輪状、全体的な石灰化は良性であることが多い、というものですが、絶対ではありません。


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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 胸部CT道場

2012年07月31日

胸部CT道場1・CTの各種条件(肺野条件、縦隔条件など)

以前から書こう書こうと思っていて、書いていなかったような気がする、CTの条件について取り上げます。


初学者の方がCTの結果を見て思うのが、「なんか同じ様なのが何種類もあるんじゃないの?どう違うの?どれを見ればいいの?」ということでしょう。


パッと見白っぽかったり、黒っぽかったり、黒っぽいのも何種類かあったりすると、もう混乱してしまい、それだけでイヤになるかもしれませんので、イヤにならないよう、解説したいと思います。



まずパッと見の色合い(白っぽいか、黒っぽいか)は、「条件」と言います。
この「条件」とは、撮影、というよりも現像?にあたっての条件(最近はフィルムレスなので、画像の出力条件、とでも言いましょうか)で、よりどの部分に焦点を当てるか、どの構造物を見やすくするか、という観点から、何種類かの条件があるわけです。



まあ、肺のCTを撮る場合には、「肺野条件」と「縦隔条件」が代表的です。
最も普通に見られるのは、「肺野条件」。


全体的に白っぽく、胸部レントゲン写真に近い雰囲気を持っています。まさに肺野をしっかり見るための条件です。というか、この条件は肺野という、密度0.1g/cm3のとても軽い物体に焦点を当てているため、密度が1g/cm3前後の軟部組織や骨を見るには役に立ちません…。


CT肺野条件.jpg


すりガラス影、線状影など、肺野にある陰影がきちんと見えますね。この条件では肺野だけを見ていきましょう。



次に、骨、軟部陰影を見るための条件が「縦隔条件」。


もちろん縦隔内の構造物もよく見えますが、縦隔だけでなく肺野の外にある、骨、筋肉、脂肪、石灰化など、肺に比べて随分高い密度の構造物(1g/cm3前後)を区別するための条件なのです。


CT縦隔条件.jpg


全体的に黒っぽく見え、肺野は何のことやらわかりません。それが正解。肺野以外の骨、筋肉、脂肪の違いはおわかりでしょうか。明日以降説明します。


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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 胸部CT道場