2015年02月03日

次の企画

長々と連載を続けてきました「呼吸器疾患診断手順ガイド」ですが、昨日の記事で大体まとまったのではないか、と思います。原稿をまとめて出版社さんと打ち合わせに入ります。


それで今後どういう感じで行くか、ですが、実は次の出版についてお話を頂いておりまして、今後はそちらに関する記事を書いていく予定です。以前に内容、書きましたっけ?


今日は外勤のハシゴで時間が全くありませんので、詳しくは明日。

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2015年02月02日

呼吸器疾患診断手順ガイド271・各疾患の診断手順・サルコイドーシス

サルコイドーシスは無治療でも自然軽快する例が多く、ランダム化比較試験がやりにくいからか、なかなか新薬のトピックが少ないものです。そういうこともあってか、あまり熱心に診断されることも減ってきたかもしれません。


受診動機は眼症状(霧視・羞明など)が多く、ついで両側肺門リンパ節腫脹(bilateral hilar lymphadenopathy:BHL)など、胸部X線写真の異常所見を指摘されて受診することが多いです。個々でのキーワードは「両側」。両側ぶどう膜炎はサルコイドーシスを強く疑わせますし、肺門リンパ節腫脹も両側が特徴的なのです。


診断にはサルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会による診断基準が使われますが、診断にあたってのポイントは「複数臓器に病変があることを証明する」ということです。1つの病変は「サルコイド病変」であり、それが複数の臓器にわたって存在するのがサルコイドーシスでありますから、これは疾患の定義(全身性疾患だということ)に関わる問題であります。


例えば組織診断群では、1つの臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め、かつ他の臓器に臨床、組織所見があるか、全身反応を示す検査所見があることが診断基準です。詳しくは診断基準を参照して下さい。



胸部X線写真の異常所見で受診に至った症例では、まず眼など他臓器の病変を示唆する症状、検査所見がないかどうかを確認し、何かありそうなら精査します。


同時に状況証拠として血清ACEとリゾチームを測定、それから気管支鏡を施行し気管支肺胞洗浄(BAL→○ページへGO!)液の細胞分画でリンパ球の増多、CD4/8比の高値を確認します。


肺の生検は気管支鏡下肺生検(TBLB)で肺野、超音波気管支鏡(EBUS)で縦隔リンパ節を採取します。組織が充分得られない場合、縦隔鏡下にリンパ節を採取する方法もあります。


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2015年01月30日

呼吸器疾患診断手順ガイド270・各疾患の診断手順・肺癌に随伴して起こるさまざまな所見

■ 胸水

臓側胸膜と壁側胸膜の間の胸腔に水が溜まったものが胸水です。胸水が大量に溜まると肺は圧されて虚脱し、縦隔も圧されます。


特に片側の胸水貯留は、次のような疾患が胸膜面に出来たときに生じてきます。


  • 悪性腫瘍

  • 結核

  • 細菌感染



ですから片側の胸水を見たらまずは胸水を抜いて性状、特異的物質の有無を調べ、診断困難な場合には生検も行います。



片側無気肺と胸水は、パッと見片肺が真っ白で区別が付きにくいですが、気管を見ればどっちらであるか、次に行うべき検査はどれか直ぐにわかります。

真っ白な病変が気管を圧している⇒胸水なので穿刺し胸水の検査
真っ白な病変が気管を引っ張っている⇒無気肺なので気管支鏡


スライド42.jpg



■ 横隔神経麻痺

横隔神経が浸潤を受けたり圧迫されたりすると横隔膜が動かなくなります。横隔神経は胸腔内でも縦隔付近を走行しますので、下に挙げたような腫瘤によって生じます。


  • 肺癌

  • 縦隔腫瘍

  • 縦隔リンパ節腫脹



原因となる疾患はこれらの他に、神経系の疾患や手術による損傷などもあります。


横隔神経麻痺そのものの診断は、吸気と呼気で横隔膜の位置が変わらないことからわかります。原因となる腫瘤などはCTで場所を特定し生検で診断、これは普通の癌診断と同じですね。


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posted by 長尾大志 at 16:24 | Comment(4) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2015年01月29日

呼吸器疾患診断手順ガイド269・各疾患の診断手順・肺癌に随伴して起こるさまざまな所見・無気肺

肺癌に限ったものではありませんが、疾患が存在することによって肺に影響が及び、さまざまな所見を呈することがあります。



■ 無気肺

気管支が閉塞することで、閉塞部位より末梢にある肺の空気が抜け、肺が虚脱(縮む)した状態です。虚脱していないところは逆に引っ張られてフン伸びます。


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肺が縮むので、気管、気管支、葉間、横隔膜などは引っ張られます。


この機序で起こる無気肺の原因になるのは、次のような疾患です。


  • 肺癌

  • 肺結核・気管支結核

  • 異物



ですから無気肺を見たらまずは気管支を閉塞しているものが何であるかを評価する、気管支鏡検査を行います。異物であればそのまま除去しますし、腫瘤が気管支を塞いでいれば生検を行って診断します。


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2015年01月28日

呼吸器疾患診断手順ガイド268・各疾患の診断手順・肺癌の診断

肺癌の診断は、シンプルと言えばシンプル。でも、時に難しいことがあります。


まあ肺に結節や腫瘤があって、そこの生検をして悪性細胞が見られたら、癌の診断は難しくない。これは問題ないでしょう。


生検には次の3つがよく使われます。


  • 気管支鏡下生検

  • CTガイド下針生検

  • 胸腔鏡下生検



肺癌と診断したら、次のステップは肺癌でも治療法の異なる、組織型を分けていくことです。


  • 非小細胞肺癌か、小細胞肺癌か

  • 非扁平上皮癌か、扁平上皮癌か

  • EGFR遺伝子変異、ALK転座は陽性か



この辺は病理診断の段階でやって頂けることがほとんどだと思います。ガイドラインではこれらをしっかり分けた上で治療の指針を示しています。



難しいのは、例えば肺だけでなくて他の臓器にも結節・腫瘤が見られるとき。どちらがどちらの転移なのかわからないことがあります。


その場合、状況証拠から推察する、物的証拠を調べる、というやり方があります。状況証拠は例えば、所属リンパ節腫大があるか。片方の臓器Aには所属リンパ節腫大があり、もう一方にはない、となると、Aが原発巣である可能性は高まります。


また、臓器Aの結節は1カ所で臓器Bの結節は多数ある、という場合、Aが原発巣である可能性が高いです。


物的証拠では病理組織が物語ることがあります。臓器Aの癌は扁平上皮癌しかなく、臓器Bの癌は腺癌、という場合、得られた組織が扁平上皮癌であれば、原発巣はAでしょう。


どちらも腺癌、のように決めかねる場合、組織診断マーカーによる染色を行います。例えばTTF-1やSP-Aなどは肺腺癌で陽性率が高い、というような特異的なマーカーが染まれば診断に近づきますね。


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2015年01月27日

呼吸器疾患診断手順ガイド267・各疾患の診断手順・胸膜炎の診断

以前は肺炎のうち、炎症が臓側胸膜を貫くと胸膜炎、と理解していましたが、最近では肺炎随伴性胸水、と呼ばれることが多いです。胸膜直下の肺炎では炎症性サイトカインの影響で胸腔にも液が貯留することがあり、それが字面通りの意味での肺炎随伴性胸水ですが、一定の割合で胸腔に細菌が侵入し、やがて膿を形成すると膿胸になります。


細菌感染以外には悪性腫瘍、結核による胸膜炎が多く見られます。こちらは癌性胸膜炎、結核性胸膜炎と呼ばれます。


胸膜に炎症が波及すると胸痛が生じますが、この胸痛は呼吸、特に深吸気や咳の時に痛みが増強するのが特徴で、胸痛の鑑別には重要な特徴です。



両側胸水の場合、原因として多い心不全、肝硬変やネフローゼの有無を確認します。心不全などが疑われる場合、利尿薬を投与して反応を見ることで診断につながります。


利尿薬に反応がない、あるいは片側の胸水であれば胸腔穿刺を行い、胸水の性状を確認します。


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2015年01月26日

呼吸器疾患診断手順ガイド266・各疾患の診断手順・肺炎の診断

咳と痰(膿性痰)、呼吸困難や喘鳴があり、悪寒戦慄を伴うような高熱や寝汗が急性に生じて、咽頭痛や鼻汁がない。となりますと少なくとも急性細菌感染症が疑われます。聴診でcoarse cracklesを聴取、気管支呼吸音化、触覚振盪・声音振盪の亢進などなどが認められれば、胸部X線写真をチェックします。


昔ながらの大葉性肺炎の場合、べったりとした浸潤影で、しばしばエア・ブロンコグラムを伴います。同じ真っ白でも、胸水や腫瘤のように気管/縦隔を圧すような力はありません。また、無気肺のように気管/縦隔を引っ張ることもいたしません。ただ大きさ、形はそのままに、肺胞内に水が溜まったような像になります。


気管支肺炎では、気管支壁肥厚像〜粒状影、それが融合した浸潤影、すりガラス影などを来します。最近多い誤嚥性肺炎では、肺底区に陰影が見られることが多いので、特に左側では心陰影の影になって見逃されたりしがち。聴診でcracklesが聴かれたところは入念に画像を確認しましょう。


肺炎の場合にももちろん喀痰のグラム染色は有用な情報になります。原因菌として、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌、モラキセラ・カタラーリスはグラム染色でも見当が付くと思います。また、雑多な菌が見える場合、嫌気性菌≒誤嚥性肺炎の可能性を考慮します。


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2015年01月23日

呼吸器疾患診断手順ガイド265・各疾患の診断手順・急性気管支炎と肺炎

そんなわけで胸部X線写真だけに頼っていると、急性気管支炎か肺炎か、という鑑別はしばしば困難、ということになるのですね。


治療にあたっては気管支炎でも肺炎でもあまり変わりはないのですが、実際に臨床の現場で大事なことは、抗菌薬が必要な「細菌性感染症」であるかどうか。そしてその原因菌は何が想定されるか、ということになります。ですからむしろ、大事なことは「ウイルス性か、細菌性か」という話になってきます。


急性気管支炎は多くがウイルス性で抗菌薬は不要。胸部X線写真で浸潤影のある肺炎は細菌性なので抗菌薬を投与する。それで割り切れればいいのですが、時に胸部X線写真で所見がない症例に肺炎の初期が混入していて、それを見逃すと困るのです。


では困る場面はどんな場面かと言いますと、やはりこれは肺に基礎疾患がある場合。特に喫煙者、COPDなど、インフルエンザ桿菌やモラキセラ・カタラーリスといった、派手な症状の出ないグラム陰性菌が付きそうなケースでは、見逃されやすいということになります。また、感染によって基礎疾患の増悪も起こる可能性があり、それも危惧されます。


そこで役に立つのは痰のグラム染色。多核白血球による筋の貪食像を確認すれば細菌感染症の可能性が高まり、菌の形状から原因菌の推定も可能です。


それから症状も診断に役立ちます。前に書いたとおり、細菌感染症はあちこち多臓器、多器官にわたる症状は出にくいので、肺以外の器官由来の症状、咽頭痛や鼻症状が目立つ場合にはあまり細菌感染症の可能性は高くないと考えられます。


逆に悪寒戦慄を伴うような高熱や寝汗の存在などは細菌感染症を強く示唆しますので、抗菌薬を使用するかどうかの判断材料になると思います。


また、肺に基礎疾患がない症例における急性気管支炎、あるいは急性肺炎では、マイコプラズマ、または百日咳という可能性があります。


このような非定型病原体の、慢性咳嗽での鑑別は以前書きましたが、急性期における症状による鑑別は困難です。まあ、市中肺炎ガイドラインによる鑑別項目、痰がほとんど出ずラ音が聴取されない、激しい空咳、という病歴は参考にはなるでしょう。


検査では白血球<10,000も鑑別項目ですし、それ以外の検査についてはマイコプラズマ百日咳共に以前述べました。


これらの感染症、急性期にマクロライドなどを投与するかどうかについて、個々人については予後が悪くなく、積極的投与を勧められる根拠はなさそうですが、伝染性ということを考えると、通学している、多数の小児に接触する可能性がある、などの場合には投与もアリかと思います。


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2015年01月22日

呼吸器疾患診断手順ガイド264・各疾患の診断手順・急性気管支炎

急性気管支炎。皆さんどのように診断されているでしょう。


咳と痰(膿性痰)、呼吸困難や喘鳴があり、咽頭痛や鼻汁がない。crackleはしばしば聴取する。そんな肺炎のような症候を呈していて、胸部X線写真では異常を認めない、という感じでしょうか。


私も何となくそう理解していたのですが、岸田直樹先生の「誰も教えてくれなかった『風邪』の診かた」を読んで考えを改めることになりました。


というのも、肺炎の初期像や、脱水があるときなど、胸部X線写真で所見が見られないことがあり、そもそも胸部X線写真自体、死角が多くstandardたり得ない、とされています。「胸部X線写真で陰影なし=肺炎でない」とはまったく言えない、ということになるのです。


さらにまた、American College of Physiciansの指針として、肺に基礎疾患がなければ、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラキセラ・カタラーリスが急性気管支炎を起こすエビデンスはない、と引用されており、結構話がクリアーになってきた感があります。


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2015年01月21日

呼吸器疾患診断手順ガイド263・各疾患の診断手順・原因のある間質性肺炎の診断3

原因物質があるもの以外に、膠原病などに合併した間質性肺炎も、合併疾患によって予後・治療が若干異なりますから、診断をちゃんとしておく必要があります。


膠原病の診断は、まず症状や身体診察から疑いをかけることが大事です。特に間質性肺炎の合併が多いものは慢性関節リウマチ、強皮症(全身性硬化症)、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群あたりですから、それらの診断基準も熟知しておきましょう。


・慢性関節リウマチ(RA):多関節の疼痛、腫脹があればまず疑います。早期RAの感度を上げるために作られた、2010年の米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会(ACR/EULAR)新分類基準では、関節病変の数、血清学的因子(RFと抗CCP抗体)などが診断基準に使われます。


・強皮症(全身性硬化症 SSc):典型例では診断に迷うことはないでしょう。皮膚の硬化が特徴です。血清学的には抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体が使われます。


・皮膚筋炎/多発性筋炎(PM/DM):典型的には筋症状、筋原性酵素の上昇、筋電図の筋原性変化があります。急速進行、重症化を示すAmyopathic DM(筋症状のない皮膚筋炎)の徴である皮膚所見(ゴットロン徴候、ヘリオトロープ疹など)に注意します。血清学的には昔から知られている抗Jo-1抗体以外に昨今話題のものとして、(抗Jo-1抗体を含む)抗ARS抗体があります。


・シェーグレン症候群:眼や口の乾燥症状が有用で、診断にはガム試験やSchirmer試験、それに生検が用いられます。


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2015年01月20日

呼吸器疾患診断手順ガイド262・各疾患の診断手順・原因のある間質性肺炎の診断2

過敏性肺炎の診断は、抗原隔離による症状の緩和や偶然の再曝露による症状悪化などが見られれば確からしくなりますが、これは急性〜亜急性の場合であり、慢性過敏性肺炎ではそれほどハッキリした症状の消長が見られないのが普通です。


急性〜亜急性の診断には、特徴的な病歴に、BALFリンパ球増多、夏型でBALF中CD4/8比の低下(<1)、農夫肺や鳥関連ではCD4/8比上昇(>1)、TBLBによる肉芽腫の検出、原因物質特異抗体の検出などが役立ちます。
実は間質性肺炎の範疇で、BAL/TBLBが診断に有用な数少ない疾患の一つであります。


慢性の場合IPFとの鑑別がしばしば困難ですが、画像上UIPパターンに矛盾する所見があったり、少なくとも既知の抗原に曝露している、という状況が明らかであったりすれば、慢性過敏性肺炎の存在を疑う必要があります。特に上〜中肺野優位に病変が見られる場合は、蜂巣肺があっても過敏性肺炎の要素がないかどうか、病歴を洗い直す必要があるでしょう。


疑われる抗原がある場合、原因物質に対する特異抗体を測定し、外科的肺生検を考慮して、積極的に診断します。


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2015年01月19日

呼吸器疾患診断手順ガイド261・各疾患の診断手順・原因のある間質性肺炎の診断1

診察・検査所見から間質性肺炎がある、という診断はそれほど難しくありませんが、一口に間質性肺炎、といっても原因別、あるいは病理別に多くの種類が分類されていますから、「間質性肺炎である」という診断をすると同時に、間質性肺炎の「どれ」にあたるかを診断していく必要があります。


まずは原因があるものかないものか。昨今多くの新薬で問題になっている薬剤性肺障害、過敏性肺炎を来す居住環境や職業歴など、薬剤中止や抗原回避などが治療につながるものをしっかりとあぶり出す必要があります。ここは病歴をよく聴取しましょう。


また、どんどん出てくる新薬がどのような副作用があるか、少なくとも担当症例においてはしっかり把握しておく必要があります。


薬剤性肺障害の診断確定は結構難しいものです。本当に確定するには実際(もう一度)投与して同一の症状が出る、チャレンジテストが必要ですが、倫理的な面から現在は行われません。そうすると状況証拠で固めていく、ということになりますが、これが明確な基準がなくて判断に困ることが多いのです。


状況証拠のポイントとしては、「これまでに当該薬で同様な病態の報告があるか、その頻度はどの程度か」。服用していた薬剤を洗い出し、これまでの報告を確認します。服用開始から発症に至るタイミング、陰影のパターンや病態などが似通っていれば、疑ってかかることが出来るでしょう。


薬剤性肺障害を疑うとき、薬剤リンパ球刺激試験(DLST)がしばしば実施されますが、薬剤によっては陽性、陰性の判断が難しいので、個々の判断基準を熟知しておく必要があります。少なくとも、陽性=原因薬剤、陰性=原因でない、と決められるものではありませんので注意しましょう。


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2015年01月18日

臨床教育講座の教授選考2

などなど、考えが堂々巡りになっていましたので、実際に教育を受けてきた学生さんに聴いてみよう、と思ってアンケートを採ってみました。授業評価実施報告書なんかでよくある、選択式の、ごく一部しか回答していないものではなく、多くの学生さんに目一杯書いてもらいました。

スゴくいろいろな意見が集まって大変参考になったのですが、ホンの一部をご紹介しますと、教員に求めることとして多かったことは、「わかりやすい授業・解説」。まあこれはうなずけます。滋賀医大の教員はその期待に応えられたか?の問いには、「まあまあ」「科目による温度差が大きくて風邪引きそう」など、予想通りの回答がありました。授業のやり方にもいろいろ改善のヒントはありますが、それはこのブログをお読み下さい( ^ω^ )。

学生さんのモチベーションを上げるために、これまでに本学で試みられているカリキュラムとして、早期体験学習、模擬患者さんとの医療面接実習などで、入学後出来るだけ早期に臨床に触れさせる試みはありますが、学生さんからは、講義や学習のタイミングももっと早くしてほしい、という声が多かったです。

他に多かったのは「ロールモデル」。女性による「女医としてのロールモデルを見たかった」という切実な意見もあれば、「これと思える先生に出会って、将来の進路が決まった」というステキな意見もありました。

「ロールモデル」が少なからずの意見としてあったことから思うに、「良き医師を育てる」ためには、良き医師の姿をロールモデルとして見せる、これが重要、かつ求められていることなのだと思います。そこで先ほどの話とつながってくるのですが、臨床系の教員が高いモチベーションを持って、「良い医師である」姿を見せる。背中を見せることで教育的効果を得るわけです。日々の患者さんに対する態度、エビデンスを活用した日常臨床、研究マインド…これらは座学で教えて身につくものではなく、実践しているところを「見て、真似る」ことで身につくものでしょう。これが一つの理想だと思います。まあ、制度作りとは異なるベクトルの話ですが…。

国際基準云々で臨床実習を72週にするとか、そのためにどこを削るとか、そういったことは教育の本質とは少し違うところの話じゃないか、と感じていて、どちらかというと、これまで通りでは医学部教育を根本的に変えることは出来ないので、外圧を利用して変えていけばいいのではないか、既存のカリキュラムをいじるのではなく、ゼロベースでこれからの医師に必要な教育を組んでいくカリキュラム編成が必要なのかもしれませんが、実現へのハードルはなかなか高いでしょう。

…とまあ、絵空事を語る甘ちゃんに過ぎない私の戯れごとにおつきあい頂き、ありがとうございました。教授になるべきはリーダーシップ、実行力、実績を持った人であり、自分はこういう役には相応しくなく、もっとあるべき場所がある、そういう天の思し召しで今回の結果なのだ、と、そう思いました。どこにあっても、自分のなすべきことを粛々とやっていく。これまで通りであります。

結果を聴いたとき、もう少しショックかなと思っていたのですが、意外にそうでもなかったです。でも当初から応援頂いた当教室の教授、教授選のことが公開されて以降、「頑張って下さい。応援しています。」というお言葉をかけて頂いた少なからずの先生方、そして不肖私に投票して下さった少なからずの教授先生方、皆様方のことを思うと、力及ばず申し訳ない、という気持ちを強く持っております。全ての方々に深く感謝すると共に、おわびを申し上げる次第でございます。

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2015年01月16日

呼吸器疾患診断手順ガイド260・各疾患の診断手順・間質性肺炎の画像診断読影のコツ4

間質性肺炎の画像診断読影に使われる、所見を表す用語を簡単に説明しておきましょう。主にCT所見を表す用語です。


コンソリデーション(consolidation):連続性の、べったりとした真っ白の領域。元々の肺の大きさは基本的に変わらない。背景にある血管は見えなくなっていて、しばしばエア・ブロンコグラムを伴う。


すりガラス影:連続性の白い領域であるが、背景にある血管は透見可能な程度の濃度(白さ)である。


スライド5.JPG


蜂巣肺:比較的壁の厚い嚢胞が数層、重なり集まって見られる陰影。肺の容量減少を伴うことが多い。


網状影:ハッキリした蜂巣肺ではない、より細かい網目状の陰影。すりガラス影を背景とすることが多い。


スライド7.JPG


病変の場所:下肺野優位・上肺野優位・胸膜直下中心・気管支血管束周囲主体、など。


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2015年01月15日

呼吸器疾患診断手順ガイド259・各疾患の診断手順・間質性肺炎の画像診断読影のコツ3

順番が逆になりましたが、間質性肺炎の画像診断読影、胸部X線写真における見かたのコツを挙げてみましょう。


間質性肺炎では胸部X線写真にて、およそ両側、びまん性(肺野全体)にぼんやりと白い陰影が見られます。びまん性というのは限局性に対応する言葉で、あまねく広く、全体的に、というような意味です。一部分に限局するのではなく、両肺の全体的に影があるわけです。


末梢、特に両側下肺野の胸膜直下に病変の主体があれば間質性肺炎・肺線維症が考えやすく、網状影・蜂巣肺が見られたり肺が両側で縮んでいたりすれば、尚その可能性は高まるでしょう。


スライド3.JPG


こちらは両側びまん性に拡がるすりガラス影・網状影。肺の外側、下肺野に強く見られます。網状影・蜂巣肺を見たら、肺が縮んでいるかどうかを確認し、身体所見ではfine cracklesがあるかどうかを再確認する必要があります。


片側性であったり限局性であったりする場合は、どちらかというと感染であったり腫瘍であったり、という性質が強いと思います。


例えば元々特発性肺線維症があって、急に悪化した、という場合、いわゆる急性増悪は両側びまん性にすりガラス影が増加しますが、細菌性肺炎の合併であれば限局したコンソリデーションが見られる、という具合に違いが見られます。


急性増悪のとき。両側びまん性にすりガラス影が増加します。


スライド4.JPG


細菌性肺炎の合併。限局したコンソリデーションが見られるのです。


スライド5.JPG


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2015年01月14日

呼吸器疾患診断手順ガイド258・各疾患の診断手順・間質性肺炎の画像診断読影のコツ2

間質性肺炎の中で、特発性肺線維症を除外できれば、それ以外のものは基本、ステロイドを使うことになり、治療法は大きく変わりません。


あとは原因があるかないか、特に薬剤性のものと過敏性肺炎、それに膠原病性、血管炎に伴うものを診断することが重要です。


なぜか。薬剤性であれば薬剤中止、過敏性肺炎なら原因物質からの隔離がが治療にほぼ必須であるからです。また、膠原病や血管炎であれば、ステロイドに加えるべき薬剤(主に免疫抑制薬の系統)が診断によってある程度決まるから、であります。


そこら辺は画像診断というよりも、病歴聴取や身体診察が重要です。
それでは、画像読影は重要ではないのか?そんなことはありません。


例えばステロイドなどの治療に反応しやすい炎症像はすりガラス影をとることが多く、治療反応性のあまりよろしくない線維化病変は網状影、牽引性気管支拡張や蜂巣肺を呈します。ですから画像所見である程度、治療反応性や予後、つまりステロイドを積極的に使っていくべきかどうか、をある程度推し量ることが可能、ということになります。


もっと言うと、Inconsistent UIPパターンのうち、すりガラス優位であること、胸膜直下や肺底部優位の分布ではないこと、気管支血管束周囲優位の分布、というキーワードがあれば、いわゆるNSIPパターンとなります。


スライド2.JPG


NSIPは膠原病に合併することも多く、多くの場合ステロイドが効果を現しますから、パターンを知っておきましょう。


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2015年01月13日

呼吸器疾患診断手順ガイド257・各疾患の診断手順・間質性肺炎の画像診断読影のコツ1

それではHRCT所見で示される、特発性肺線維症の診断に有用なUIPパターンとは、どのような所見になるのでしょうか。


2011年のATSガイドラインでは、UIPパターン、Possible UIPパターン、Inconsistent UIPパターンが示されています。まずはこれらのパターンをご紹介しましょう。


UIPパターン|4つの所見全てを満たす

  • 胸膜直下、肺底部優位の分布

  • 網状影

  • 蜂巣肺(traction bronchiectasisはあってもなくてもよい)

  • UIPパターンに矛盾する所見がない(後述)



典型的なUIPパターン像は、こんな感じです。


スライド1.JPG


網状影・蜂巣肺が胸膜直下、肺底部優位に分布しています。広範なすりガラス影やコンソリデーション、粒状影など(UIPパターンに矛盾する所見)はありません。



Possible UIPパターン(UIPの可能性ありパターン)|3つの所見全てを満たす

  • 胸膜直下、肺底部優位の分布

  • 網状影

  • UIPパターンに矛盾する所見がない(後述)



UIPパターンとの違いは蜂巣肺。つまり蜂巣肺がないとUIPパターンとは断言できない、ということです。逆に蜂巣肺がなくても、分布などからUIPの可能性あり、とすることがある、ということにもなります。



Inconsistent UIPパターン(UIPに矛盾するパターン)|7つの所見のうち、いずれかがある

  • 上中肺優位の分布

  • 気管支血管束周囲優位の分布

  • 広範囲のすりガラス陰影(範囲が網状影の範囲より大きい)

  • 小粒状影が多数見られる(両側、上葉優位)

  • 嚢胞が散在(多発、両側、蜂巣肺から離れた場所に存在)

  • びまん性のモザイクパターン/エア・トラッピング(両側、3葉以上に存在)

  • 肺区域や葉に及ぶコンソリデーション



これらの所見のいずれもUIP以外の疾患(NSIP、OP、HPなどなど)で見られる所見です。ですからこういう所見がある場合にはUIPと違うと。このように考えよう、ということです。


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2015年01月09日

呼吸器疾患診断手順ガイド256・各疾患の診断手順・間質性肺炎

「間質性肺炎」かどうかの疑いを持つのは、胸部聴診上両背側下肺野にfine cracklesを聴取すること、それに胸部画像で両側びまん性の陰影を確認することです。


一口に間質性肺炎、といっても原因別、あるいは病理別に多くの種類が分類されていますから、「間質性肺炎である」という診断をすると同時に、間質性肺炎の「どれ」にあたるかを診断していく必要があります。


で、間質性肺炎診療で大切なことは、診断が外科的肺生検をしなくても可能な、特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の診断です。IPFは国の定めた特定疾患治療研究事業の指定難病に入っていることからもわかるとおり治療が難しいので、この診断をすることは予後告知に等しくなります。ですから慎重に、かつ診断すべき症例はキッチリと診断しなくてはなりません。


IPFの診断基準は2011年のATSガイドラインによるものを紹介します。日本の特定疾患申請のための診断基準はもう少しいろいろと書いてあるので、申請に必要だという場合は難病情報センターホームページなどで確認して下さい。


以下の通り、臨床像と画像診断が診断のカギになるのです。最終的には「総合判断」が大事、ということで、慣れていないと診断は少し難しいかもしれませんが、画像を見るポイントを紹介していこうと思います。


  • 他の既知のびまん性肺疾患を除外する。

  • 外科的肺生検なし:高分解能CT(HRCT)で通常型間質性肺炎(UIP)パターンを認める。

  • 外科的肺生検あり:HRCT所見と病理所見を組み合わせて診断する。



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posted by 長尾大志 at 19:30 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2015年01月08日

選考講演会終了

さきほど、とある講座の教員候補者による講演会を終えました。準備も大変でしたし、とにかくようやく終わった、という感じです。


自分のような立場のものには全く縁のないものだと思っていたのが、H教授に「君のような人がなるべきだ。是非出てみると良い」とお勧め頂き、悩みに悩んだ結果、応募させて頂いたのが昨年の4月。


その間の過程は私にはわかりませんが、最終選考まで残して頂いたこと、身に余る光栄と思っております。


今回講演会のことが学内に掲示されてから、多くの先生方、学生さんから「応援しています。頑張って下さい。」という励ましのお言葉を頂きました。本当にありがたいことです。


講演会では、これまでの実績と今後の抱負を述べよ、ということでしたので、現在私が考える「医学部教育のあり方」について時間を割いてお話ししました。自分の考えを上層部の先生方にお話しする機会などはないものですから…。とりあえず出来ることはやりました。あとは天命を待ちましょう。いかなる結果であっても、「その場所で頑張れ」という天の声だと思っております。

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posted by 長尾大志 at 20:00 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2015年01月06日

呼吸器疾患診断手順ガイド255・胸膜生検と胸水ヒアルロン酸

リンパ球優位の滲出性胸水が貯留する胸膜炎の原因は、多くの場合癌性、結核性でありますが、胸水の検査から鑑別が困難なこともあり、その場合生検を行います。


病理組織で癌や中皮腫の診断が可能ですし、組織に肉芽腫や抗酸菌が見られたら結核性胸膜炎の可能性が考えられます。



あと、胸水の補足ですが、ヒアルロン酸≒中皮腫について、カットオフ値の考えがちょっと難しく、評価には注意が必要です。一応カットオフ値は10万ng/mLとされていますが、これは10万を超えたら中皮腫ぐらいしかない、という特異性の高い数字になります。ただ中皮腫でも10万未満であることは多々あり、その場合他の疾患との鑑別は困難です。


高値であれば診断に大きく寄与しますが、低値の場合除外は出来ません。画像上中皮腫が疑われる、とか、中皮腫の原因となるアスベスト曝露がある、という場合には生検が必要です。


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posted by 長尾大志 at 19:04 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2015年01月05日

呼吸器疾患診断手順ガイド254・胸水検査

診察、画像上から胸水の存在が考えられたら、その原因を考えます。


胸水が増加する原因は大きく分けて2つあります。1つは浸透圧や静水圧など、血管内の水圧的なものが高まって水がしみ出してくる、漏れてくる、漏出性胸水。もう一つは炎症など、何らかの病変によって血管透過性が亢進して滲みだしてくる滲出性胸水です。


血管内の水圧的なものは左も右も変わりませんので、漏出性胸水は基本両側に生じます。それに対して「何らかの病変」は片側にあることが多いので、滲出性胸水も片側に存在することが多くなります。


実際に漏出性と滲出性を区別するには、胸腔穿刺を行って胸水を採取し、その蛋白成分などの濃さを確認します。具体的にはLightの基準3項目、

  • 蛋白:0.5>胸水中蛋白/血清蛋白

  • LDH:0.6>胸水中LDH/血清LDH

  • 胸水中LDHが、施設の血清LDHの正常上限の2/3以上


上記のうち1個でも満たせば、滲出性胸水と判断します。



どれも満たさない場合、漏出性であり、原因としては

  • 心不全

  • 低アルブミン血症(肝硬変、ネフローゼなどによる)


などが考えられます。これらの鑑別には原疾患の評価が必要となります。



滲出性胸水の原因は、多いものとして、

  • 悪性腫瘍(原発性、転移性)

  • 結核性胸膜炎

  • 細菌感染症


などがあります。これらの鑑別には胸水のさらなる検討が必要です。


まず細菌感染症の場合、現場には好中球が集結しますから、胸水中の細胞分画は好中球優位となります。そして悪性腫瘍や結核の免疫を担うのはリンパ球ですから、これらによる胸水の場合、胸水中の細胞分画はリンパ球優位となるのです。


つまり滲出性胸水の場合、細胞分画を確認して、好中球優位であれば細菌感染症、リンパ球優位であれば悪性腫瘍や結核の存在が疑われる、ということになります。さらに培養で菌が生えれば細菌感染や結核の診断、細胞診で悪性細胞を検出すれば癌の診断がつきますが、菌体や細胞は胸水中に拡散して、なかなか検出されないことも多いのが現状です。


そのときにリンパ球優位であれば、胸水中のADA(アデノシンデアミナーゼ)、胸水中のCEAなどを診断の参考とします。ADAはカットオフ値50U/Lで結核性胸膜炎の可能性が上がり、CEAは明確なカットオフはありませんが、癌性胸膜炎では異常に高くなります。


そのあたりでも診断が定かでない、ハッキリしない場合、胸腔鏡やCope針(胸膜生検用の特殊な針)を用いた生検を行って診断を試みる、ということになります。


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posted by 長尾大志 at 19:21 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2015年01月04日

応援してくれる人がいる〜選抜総選挙に思う

AKB48グループには、総選挙というものがあります。いわゆる人気投票で、CDを買うと付いてくる投票券などを使って投票する。総選挙の順位が上位になるとメディアへの露出も増え、仕事の幅が拡がる、というものです。


グループには300人ものメンバーがいますから、1位もいれば下位のメンバーもいる。2014年の例で言うと、80位より下のメンバーは「圏外」となり、順位すら出ない。


圏外、あるいはスレスレと見込まれるメンバーの少なからずに、


「総選挙になんか、出たくない。ファンに(無理やりCDを買う、などの金銭的な)負担をかけてしまう。どうせ順位は下位だし、現実を突きつけられるのは怖い…」


という考えがあっても不思議ではありません。悪い結果のことを考えると怖い。心が折れてしまうかもしれない。


でも、とあるメンバーが


「また、圏外かもしれない。選挙は怖い。だけど、応援してくれる人がいる。
『頑張って、自分も頑張るから』といってくれる人がいる。
応援してくれる人のために、私は選挙に出る。」


と述懐していました。応援してくれる人の存在はありがたい。だからこそ、気持ちを奮い立たせて、前向きに進んでいく。



私もブログの読者の方や、講演を聴いて下さった方から応援を頂くことがあり、大変励みになっております。応援を頂くことが力になるのです。



このたび、とある選挙に出ることになったのも、とある方に熱心に応援頂いたから。最初は思いもよらなかったお話で、逡巡する気持ちもありましたが、お話を伺ううちに前向きな気持ちになりました。今では全力で取り組もうと考えています。本当に、応援頂けるというのはありがたいことです。

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posted by 長尾大志 at 11:21 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月26日

呼吸器疾患診断手順ガイド253・気管支鏡検査2

・経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)

何気なく読むと経気管支生検といっしょやんけ、と思われるかもしれませんが、別物です。経気管支「肺」生検、すなわち「肺」を採る検査です。


経気管支生検は標的となる陰影があって、そこを生検する検査なのですが、それに対して経気管支生検は、肺に両側びまん性の(肺全体の)陰影がある、びまん性肺疾患が疑われる場合に、どこでもいいから?採りやすいところの肺でサンプルを採る、そんな検査になります。


びまん性肺疾患における診断的な価値としては、肉芽腫の存在、病原体の存在がわかる、好酸球や癌細胞など、特殊なの組織への浸潤がわかる、あたりかと思いますが、間質性肺炎の病理組織型まではわかりません。


採ることができるのは肺の末梢、一番端っこになります。びまん性肺疾患では、陰影が強かろうと弱かろうと肺のどこでも同じような変化が起こっている、という考え方で、透視下で肺の胸膜直下ぎりぎりを狙いやすい、B2b、B3a、B8aなどで施行されることが多いです。



・気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)

気管支洗浄とは異なり、たっぷりめの(50ml✕3=150ml程度の)生理食塩水を気管支から流し込み、肺胞領域まで行き渡らせた後に回収し、主に肺胞内に存在する細胞、肺胞内の病原微生物などの存在を解析します。


こちらも経気管支肺生検同様、びまん性肺疾患を鑑別する上で参考になる情報が得られますが、好酸球が多い⇒好酸球性肺炎、リンパ球が多い⇒ステロイドが効くかも、ニューモシスチスなど、特定の病原微生物が検出された、そのあたりの情報がメインになります。


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posted by 長尾大志 at 17:28 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月25日

呼吸器疾患診断手順ガイド252・気管支鏡検査

気管支鏡検査は、経気管支的にファイバースコープを挿入し、肺内、気管支沿いに存在する陰影部分から組織サンプルを得るための検査です。


大きく分けて、結節や腫瘤影の組織を採って確定診断をするための検査と、間質性肺疾患の診断を補うための検査があります。


前者は経気管支生検(transbronchial biopsy:TBB)と気管支洗浄、後者には経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy:TBLB)と気管支肺胞洗浄(bronchoalveolar lavage:BAL)があります。


・経気管支生検(transbronchial biopsy:TBB)

結節や腫瘤影を狙って鉗子を挿入し、X線透視下で陰影にあたっているかどうかを確認の上、鉗子で陰影をつまんで採ってくる検査です。直接組織の生検を行いますので、きちんと組織が採れていれば、診断は容易です。


・気管支洗浄

結節や腫瘤影に至ると思われる気管支内に少量(20ml程度)の生理食塩水を注入し、その後吸引することで陰影部に存在する細胞や病原微生物を回収する検査です。施設によっては、肺炎の原因微生物を検索するために施行されることもあります。


経気管支生検と気管支洗浄は、腫瘍や腫瘤形成性感染症(肺結核、肺非結核性抗酸菌症など)で施行されることが多いものです。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月24日

呼吸器疾患診断手順ガイド251・抗体検査・ペア血清

病原体が侵入したときに免疫が働きますが、液性免疫の主役であるB細胞は、抗体という遠隔攻撃システムを産生して、細胞の外にいる病原微生物を直接攻撃します。病原微生物によって産生される抗体は少しずつ異なりますから、血中の抗体価を見れば、その微生物が体内にいる(いた)ことがわかります。


抗体には主にIgM、IgGなどがあり、IgMは感染後速やかに上昇し、1〜2週間でピークに達してその後は低下します。IgGは1週間ほど経過してから上昇し、その後結構長期間高値をとり続けると言われています。


53抗体の経過.jpg


したがって、病初期にある病原体に対するIgG抗体価を測定し、2週間後に再度測定(この1対の検査をペア血清と言います)して有意に(4倍以上)上昇をしていたら、その病原体に感染しているだろう、と考えられるわけです。


54ペア血清.jpg


それはいいのですが、結局ペア血清をとるためには2週間待たなくてはならず、迅速な診断は出来ません。特に多くの感染症では、2週間経って診断できる頃には、全て片が付いていることが多いと思われますので、なかなか価値を見いだすのが難しい検査、と言えるかもしれません。ウイルスによっては病初期にIgMが高ければ診断できる、ということもありますが、全てのウイルスでそういうわけには参りません。


特に喀痰などから直接病原体を見いだすことが出来ない、ウイルスや非定型病原体などにおいて行われていますが、ウイルス性疾患のキッチリとした診断が必要になるのは、小児科領域が多く、成人の診療においては一部をのぞき、(私を含めて)あまり抗体検査に熱心でない医師が多いような気もしています。それは結局、「どれを測定したらいいのかよくわからない」「どう解釈していいのかイマイチわからない」からではないでしょうか。


抗体の測定方法にもCF(complement fixation:補体結合反応)、HI(hemagglutination inhibition:赤血球凝集抑制反応)などいろいろあって、コレがややこしいことに少しずつ特徴が異なり、またウイルスによっても判定に差があります。


例えばCFは基本的な測定法であり、一般的にはIgGを検出していると考えられています。一般論としてCF活性自体は短期間しか続きませんので、CFが高ければ割と最近の感染が疑われます。


一方HIはIgG、IgM、IgA全てに見られ、病初期から速やかに上昇します。感度はCFよりも良好ですが、急性期に既にピークになってしまい、ペア血清での上昇が見られないこともあるのです。


IgGやIgMといったクラス別の測定が可能なのはEIA(enzyme-immunoassay:酵素免疫定量法)ですが、測定可能なものは限られています。


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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月22日

呼吸器疾患診断手順ガイド250・抗原検査・尿中抗原

肺炎における尿中抗原検査は、今では広く普及しておりますから、皆さんご存じでしょうが、いくつか確認しておきましょう。


尿中抗原検査で保険適応があるのは、肺炎球菌とレジオネラのみです。肺炎球菌は肺炎の原因菌としての頻度が高く、レジオネラは診断が困難なことが多く、いずれも重症化が問題となる点で、価値の高い検査と言えるでしょう。


肺炎球菌尿中抗原は、研究にもよりますが感度は50〜80%、特異度は90%以上とされ、喀痰グラム染色が施行できないケースでの診断に威力を発揮するといわれています。


ただし肺炎球菌ワクチン接種後や、肺炎球菌感染の既往歴があると偽陽性となることが知られていますので注意が必要です。こういう症例ではグラム染色が必要になりますね。それと尿中に抗原が出てくるのが症状出現後直ぐではないので、発症後直ぐに検査をした場合には結果の解釈に注意が必要です。



レジオネラには血清型がいくつかあり、血清型1が半数を占めており、重症化するのは主に血清型1です。で、レジオネラ尿中抗原はその血清型1を対象としています。血清型1の感度、特異度共に90%以上と優れていますが、血清型1以外では感度が低く役に立ちません。


重症化、ということを考えますと、尿中抗原検査には十分値打ちがありますが、尿中抗原陰性=レジオネラを否定、ということにはならない、ということを知っておきましょう。


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posted by 長尾大志 at 19:29 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月19日

呼吸器疾患診断手順ガイド249・血液検査・Dダイマー

体内に血栓ができると、過剰な血栓をプラスミンが溶かす現象である、線維素溶解(=線溶)が亢進してきます。血栓の材料であるフィブリンが線溶で分解されるとフィブリン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)が出来ますが、Dダイマーはその1つです。


血栓ができる疾患一般でDダイマーは上昇します。>0.5μg/mLで異常高値とします。特に肺血栓塞栓症での感度が95%以上と抜群によいので、除外診断には必須といえるでしょう。


ただ、血栓を作る他の疾患、例えばDICでももちろん上昇しますし、肺血栓塞栓症のない深部静脈血栓症でも上昇します。悪性腫瘍や膠原病、重症感染症などの凝固亢進状態でも上昇しますし、大動脈解離や大動脈瘤、大きな血腫があっても上昇するようです。このように特異度は決して高くはありませんので、ある程度鑑別を絞り込んでから測定するのがよろしかろうと思います。若い先生方はやたらと測定されますけれども…。


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2014年12月18日

呼吸器疾患診断手順ガイド248・血液検査・IgE・RAST

アレルギー性疾患、特にT型アレルギーが強く関与していると考えられる疾患の、アレルギー反応の強さを見る一つの指標がIgEです。IgE値は特にアトピー素因と関係が深いです。


一般的にIgEが高値であると、それだけ体内のアレルギー反応が大きい、ということになりますが、IgEは喘息だけでなく、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・花粉症でも上昇しますので、特にこのような疾患を合併している場合には、特異性がありません。


また、例えばスギ花粉の飛散時期や夏場のダニのように、アレルゲンに多く曝露するとIgEは上昇しますから、採血した季節も考慮する必要があります。


したがって、例えば喘息の診断にIgE値を用いることはナンセンスであります。IgE高値であることは、喘息の存在を意味するものではありません。喘息の診断は、あくまで繰り返し・可逆性・過敏性の存在を確認することで行います。


喘息と診断した上で、IgEが高値であると、アトピー素因がしっかりある、ということがわかり、アトピー型、IgE依存型などと呼ばれます。



特定のアレルゲンに対して産生されるIgEを測定する方法はRAST法と呼ばれ、個々の患者さんにおいて、アレルギー症状の原因となっている物質(アレルゲン)の見当をつけるのに使われています。「見当」という曖昧な言葉を使ったのは、IgE-RASTが陽性であっても、必ずしも生体内でアレルギーを起こすとは限らないからです。


血清総IgE値が高ければRASTも全体的に上昇しますし、スギ花粉が多く飛散する時期にはスギRAST値が上昇する、など、多く曝露した物質のRASTは、例え花粉症の症状が出ていなくても高くなる傾向にあります。ですから、あくまで「見当」をつけるにとどまります。もちろん、1つだけ突出して高い、という場合には、かなり臭い、ということになるでしょう。


見当をつけるだけでも、避けられるもの、曝露しないで済むもの(食物であったり特定の花粉であったり)であれば、対策などをすることが出来ますから、それはそれで意味があることだと思います。


調べられる物質は200種類以上あるので、どういう項目をオーダーするかは悩まれることも多いと思いますが、基本的にはクサいものを調べます。例えば喘息の時にはハウスダスト、ダニ、カビなどに、ペットがある場合は動物の毛、花粉などを組み合わせます。症状ごとに陽性度の高い項目をセットにしたものもありますので、それを使う手もあります。



治療への応用としては、抗IgE抗体であるオマリズマブを投与するにあたって、IgE値に基づいて投与量を決定しています。オマリズマブはIgEと結合することでアレルギー反応を抑え、効果を発揮します。具体的には重症アトピー型喘息患者さんで、血清IgE値が30〜1,500IU/mLの方に使用可能です。


IgEが1,500IU/mLを超えるほど高くても、オマリズマブが結合して多少IgEが減りますから、実際多少は効果が期待できるのですが、臨床的に(有意に)満足できる効果が出ない、ということで、1,500IU/mL以上の症例には適応外、ということになっています。


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posted by 長尾大志 at 20:03 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月17日

呼吸器疾患診断手順ガイド247・生理検査・肺機能検査(呼吸機能検査)4・呼気NO

呼気一酸化窒素(FeNO)は最近普及してきている検査です。呼気中にごくわずか含まれるNO の濃度を測定します。


特に喘息など、好酸球による炎症が気道壁で起こると、好酸球に発現するNO合成酵素によってNOが産生されることがわかってきて、呼気中NO濃度を測定し炎症の度合いを見る検査が実用化されました。


ただしご多分に漏れず、結果の解釈には注意が必要です。
まずは原則を確認しましょう。


上記のように、FeNO値が高いと、気道内に好酸球性炎症が存在すると考えられます。喘息症例では、コントロールが不良であるとか吸入ステロイドの効果が期待できるとか、そういうことです。


ただし、ここからが大切ですが、明確なカットオフ値はあるようなないような、研究によって微妙に違う値が出ていたりもするような、微妙なところです。


混乱を防ぐために日本呼吸器学会のHPに記載されている値を引用しますと…。


  • 日本人の成人健常者240名(男性131名、女性109名)を対象に測定されたFeNOの正常上限値は36.8ppbであった。

  • 日本人の成人健常者224名と新患で吸入ステロイド薬を未使用の喘息患者142名を対象とした、健常者と喘息患者を鑑別するFeNO値として、22ppbが最も感度(91%)と特異度(84%)に優れたカットオフ値であった。



とのことです。感度と特異度は割合優れていますが、例によって、カットオフを超えた=喘息の診断確定、とはなりません。病歴や所見から「喘息を疑うけど、COPDなど他の疾患を除外したい」「とか、逆に「COPDを疑うけど、喘息の要素がないかどうか、吸入ステロイドを使うべきかどうかを確認したい」というときには、便利に使えると思います。


アメリカ胸部疾患学会(ATS)の臨床ガイドラインによりますと、


  • FeNO測定値が25ppb未満(小児であれば20ppb未満)の場合、好酸球性の気道炎症がない、あるいは少ないことやステロイド薬に反応する可能性が低いことがわかる。

  • FeNO測定値が50ppbを超える(小児であれば35ppbを超える)場合、好酸球性の気道炎症が存在すること、そしてステロイド薬に反応する可能性が高いことがわかる。

  • FeNO測定値が25ppbから50ppbの間(小児であれば20ppbから35ppbの間)である場合には、臨床的な状況を参考にしながら慎重に解釈する。



となっています。ここの数字が(日米の差でか)微妙に違うのですが、さらにいえばNO測定器にも何種類かあって、微妙に(結構…)値がばらつくようです。上記の数値の元文献はNIOX MINOレジスタードマークという機種が使われていますが、他の機種においてはカットオフ値もこの限りではないようです。


喘息の管理上、コントロールがうまくいっているかどうかの指標としてNOを活用、ということも期待されていますが、現時点でのエビデンスはまだまだ乏しいようです。


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posted by 長尾大志 at 18:29 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月16日

呼吸器疾患診断手順ガイド246・生理検査・肺機能検査(呼吸機能検査)3

■ 拡散能(%DLco:Diffusing Capacity of Lung for Carbon monoxide)

肺胞に入った酸素が拡散して動脈血内に入っていく、能率というか効率というか、それを表す指標です。本当であれば酸素の拡散能を知りたいのですが、なかなか測定が難しいため、代わりに一酸化炭素(CO)の拡散能を計測してDLcoとし、代用しています。


元々は肺実質の病変と、気道のみの病変を鑑別するのに使われています。例えば同じように閉塞性障害を来すCOPD(DLco低下)と気管支喘息やびまん性汎細気管支炎(DLco低下しない)を鑑別するとかですね。


細かいことを言うと基準値の計算式には諸説あり、’(ダッシュ)が付いたりDLco/VAであったり、どれを見たらいいのかよくわからないのですが、とりあえずの正常範囲は80%以上、DLco値が10%以上ばらつくと有意な変動、とされています。



・DLco/VA

息を大きく吸うと、肺胞がふくらみ、空気に接する肺胞の面積も増加します。そのため測定時に肺内に入っている空気の量(肺気量:VA)が大きくなると、拡散するco量は増え、DLco値も大きくなってしまいます。


このように生の?DLco測定値は肺気量に引っ張られてしまう、ということで、単位肺気量あたりのDLcoをDLco/VAとし、正味の拡散能力を表そうとしたものです。例えば肺切除後は肺が減るのでDLcoは低下しますが、DLco/VAは正常範囲内になるわけです。


ですから肺気量(≒全肺気量)が増えたり減ったりする病態だと、解釈が難しくなってきます。

肺気量はDLco測定時に肺内に存在する空気の量ですから、いっぱいに吸い込んでいればほぼ全肺気量に近くなるはずです。


例えばCOPDの場合、肺気量は増えますから、DLcoの値はその分大きくなります。したがって、DLcoよりもDLco/VAの方が、実際の重症度をより反映します。


逆に肺線維症や間質性肺炎では、肺気量が減りますが、DLcoの低下が肺気量の低下に依存しているところが多く、DLco/VAではあまり拡散能そのものの低下が反映されない、とされています。


’(ダッシュ)が付くのは計算式というか算出の仕方の違いになります。健常者では’(ダッシュ)があってもなくてもほぼ同じですが、肺内にガスの不均等分布があるとDLco>DLco’となります。


ちょっと理屈で理解しがたいところがあったりしますが、私に言えるのはここまでです。細かいことは成書をどうぞ。


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2014年12月15日

呼吸器疾患診断手順ガイド245・生理検査・肺機能検査(呼吸機能検査)2

普通の肺活量を測定するときにはゆっくりと吸気、呼気をして頂きます。一方、呼気時の気道閉塞を見るためには、強制的に、最大限に努力して、息を吐いて頂くことが必要で、そのときに得られる流速と肺気量の関係を図示したものがフローボリューム曲線です。


努力呼気時の注意点として、被検者の努力に相当依存する部分がありますので、検査技師さんなど、やらせる人の力量、慣れが必要です。努力の具合はフローボリューム曲線を見ればわかりますので、努力不足、とわかれば何度かやり直して頂くことになります。


このような変な形(ピークが尖らず丸くなる)であると、努力不足であるとわかります。


1変な形.jpg


2本来のFV曲線.jpg


うまく吹けているとこのようにピークが尖った、直角三角形に近い形になります。で、COPDになると、ピークは尖るものの、その後直ぐに流速が低下する、下向きに凸の曲線になります。努力呼気時に評価すべき数値には以下のものがあります。


■ 努力肺活量(FVC:Forced Vital Capacity)

努力呼気時の肺活量です。特に評価されないことも多いですが、閉塞性障害があると安静時の肺活量よりも低くなるのが特徴的です。



■ 1秒率(FEV1%:Forced Expiratory Volume % in 1 second)

努力呼気時、最初の1秒間で呼出される空気の量を1秒量(FEV1:Forced Expiratory Volume in 1 second)と言います。努力肺活量のうち、最初の1秒間に呼出される空気の割合(1秒量÷努力肺活量)を1秒率と言い、1秒率<70%であれば閉塞性障害とします。


1秒率<70%はCOPDの診断基準でもありますし、その他閉塞性肺疾患を診断する基準にもなります。



■ %1秒量(%FEV1)

1秒率とよく似た指標として、%1秒量があります。これは、1秒量が標準値の何%にあたるか、という数字で、COPDにおける気流制限の程度(重症度みたいなもの)を表すのに使います。


  • T期:軽度の気流閉塞 %FEV1≧80%

  • U期:中等度の気流閉塞 50%≦%FEV1<80%

  • V期:高度の気流閉塞 30%≦%FEV1<50%

  • W期:きわめて高度の気流閉塞 %FEV1<30%



つまり、1秒率でCOPD(閉塞性障害)かどうかの診断を行い、COPDと診断された症例について、%1秒量を用いて病期分類を行う、ということになります。


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2014年12月12日

呼吸器疾患診断手順ガイド244・生理検査・肺機能検査(呼吸機能検査)

肺機能検査(呼吸機能検査)は昔から行われている古い検査でありますが、今なお呼吸器分野では重要な位置づけをされています。


まず数字のことですが、肺機能検査結果が帰ってくると、やたらと数字がたくさん書いてあります。しかし、通常評価すべき大事な項目はほんの少しです。


  • %肺活量(VC)

  • 1秒率(FEV1%)

  • %1秒量(%FEV1)

  • 拡散能(DLco)



%ナントカ、というのは正常値(標準値:肺活量を決定づける要素(性別、年齢、身長)が同じである健康な人が目一杯頑張って測定した値)に対して何%か、という計算値です。実測値÷正常値で算出します。



■ %肺活量(VC)

ゆっくり息を吐きだして全部吐いた状態(最大呼気位)と、いっぱいに息を吸い込んだ状態(最大吸気位)の差が肺活量で、肺胞に出入りできる最大の空気量を表します。その肺活量が標準値の何%にあたるか、という数字です。


%VC<80%を拘束性障害といい、肺の伸び縮みが損なわれた状態です。拘束性障害は肺が硬くなる病気(間質性肺炎・肺線維症)、肺胞が減る病気(COPD、肺切除後、肺結核後遺症)などでよく見られます。


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2014年12月11日

呼吸器疾患診断手順ガイド243・生理検査・心電図

呼吸器疾患の鑑別における心電図検査の意味は、どのあたりになるでしょうか。


まずは数の多い心不全の鑑別に、基礎疾患の評価を行います。


左室肥大(高血圧)、右心負荷(呼吸不全)、低電位(甲状腺機能低下、心嚢水の存在)、Q波、ST−T変化(虚血性心疾患)、不整脈、ブロックなどの存在に注意します。


特徴的、というか特異的といわれているのは肺血栓塞栓症の心電図変化です。右心負荷〜肺高血圧を生じると有名なSTQVTV、V1〜V3の陰性T波、右脚ブロックなどを認める、と物の本にありますが、実際は感度が低いです。一点、洞性頻脈所見は低酸素を反映してよく見られ、不整脈による頻脈との鑑別に有用です。



呼吸不全・肺性心になると右心負荷がかかります。また、頻脈になることが多く、心房細動もよく見られます。診断に使う、というよりも、現状を把握する、という意味で確認しておきましょう。


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2014年12月10日

呼吸器疾患診断手順ガイド242・喀痰検査について・細菌検査

喀痰検査のもう一つは細菌検査です。オーダーするときには対象が一般細菌(真菌含む)か抗酸菌か、塗抹か培養か、PCRなどの遺伝子系かなどを認識しておく必要があります。


  • 一般細菌塗抹(グラム染色):手っ取り早くグラム陽性球菌か陰性桿菌かがわかる。肺炎球菌は特徴的な双球菌であり、わかりやすい。治療開始時の抗菌薬選択に役立つ。

  • 一般細菌培養:数日かかるので迅速性には欠けるが、感染症原因菌をある程度決定でき、さらに薬剤感受性もわかるので、抗菌薬のde-escalation(狭域化)が可能。

  • 抗酸菌塗抹:陽性であれば、結核、ないしは非結核性抗酸菌による感染が肺にあり、かつ一定以上の菌量存在する、ということがわかる。

  • 抗酸菌培養:数日〜数週間かかる。結核の場合、生きている菌を検出するので、感染性があることがわかる。非結核性抗酸菌の場合、菌の種類を同定できる。薬剤感受性がわかる。

  • 抗酸菌PCR(遺伝子系):迅速に菌種の同定が可能である。



細菌学的検査を行うには、まずその痰が検査を行うに足る「良い痰」であるかどうかを評価する必要があります。病巣から出てきただろう、と考えられる、すなわち、炎症反応の結果出てくる膿、あるいは好中球を多く含む痰を「良い痰」とします。


まずパッと見、痰の性状が膿性、あるいは色の濃い、粘調度の高い部分があるかどうか、肉眼的な見え方で分類をしたものがMiller & Jonesの分類、一方、顕微鏡で見たときに好中球が多く含まれているかどうか、で評価したのがGeckler分類です。



■ Miller & Jones分類

  • M1:膿を含まない粘液痰

  • M2:粘液痰に少量の膿が含まれるもの

  • P1:全体の1/3以下が膿性

  • P2:全体の1/3〜2/3が膿性

  • P3:全体の2/3以上が膿性



M1やM2の検体というのは、パッと見ほとんど唾液みたいな、膿成分が含まれていない検体で、細菌検査には適していないとされています。P1以上の痰が評価に値するものです。



■ Geckler分類

塗抹標本で、100倍で1視野あたり好中球(病変部=肺由来と考えられる)と扁平上皮細胞(口腔内由来と考えられる)の個数がどれだけあるか数え、好中球が多くて扁平上皮細胞が少ないものを「良い痰」と評価します。


  • グループ1:好中球数<10個、扁平上皮細胞数>25個

  • グループ2:好中球10〜25、扁平上皮>25

  • グループ3:好中球>25、扁平上皮>25

  • グループ4:好中球>25、扁平上皮10〜25

  • グループ5:好中球>25、扁平上皮<10

  • グループ6:好中球<25、扁平上皮<25



このうちグループ1〜3は扁平上皮細胞が多く、唾液成分が多いと考えられ、検査には適していないとされます。グループ4と5、すなわち扁平上皮が25個より少なくて好中球数が25個より多いものを評価に値する検体である、としています。


グループ6は扁平上皮細胞が少なく、唾液成分は少ないと考えられるのですが、好中球も多くない、ということで病変部から得られたものではない可能性もあります。ただ、気管支鏡や穿刺などによって直接得られた検体であれば、検査に値するとされています。


また、好中球に菌がたくさん貪食されている(貪食像)像が見られれば、その菌が原因菌である可能性は高いと考えられます。


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2014年12月09日

呼吸器疾患診断手順ガイド241・喀痰検査について・細胞診

患者さんに痰を喀出して頂き、その中に含まれるモノを顕微鏡で検出したり、培養して確認したりする検査です。侵襲が低く、お値段も安いので気軽に、繰り返し施行できます。


モノを検出するのは細胞診検査。代表が癌細胞です。ただし病変部に存在しているモノが痰として出てくるにはそれなりのハードルがあり、1回で陽性、とはなかなか参りません。例えば癌細胞を検出する場合、3日間(連続)分の痰を集めてやっと陽性率が10%台とか、その程度です。


中枢気道粘膜に顔を出している扁平上皮癌では比較的陽性になりやすいですが、末梢の腺癌や粘膜の向こう側にある小細胞癌では陽性率はさらに低いようです。


また、喀痰細胞診を行うのは主に外来の場であることが多く、そのため、出来るだけ痰が腐らないように、3日程度痰をためておくことが出来る保存用の固定液があります。サコマノ法、とかYM式、という名前のもので、透明な液体の入った容器に痰を入れていくものです。


結果については細胞の異型度によってT〜Xの5段階でクラスわけをするパパニコロウ分類が有名ですが、改訂第7版の肺癌取り扱い規約では、陰性(negative)、疑陽性(suspicious)、陽性(positive)の3つに区分されています。


良性、悪性の鑑別や、小細胞癌、非小細胞癌の鑑別程度であればこの喀痰細胞診でイケるのですが(それでも感度は不十分ですが…)、昨今では非小細胞肺癌の場合、EGFR遺伝子変異や、EML4-ALK融合遺伝子その他の有無を確認する必要があり、ある程度の組織量が必要となるケースが多いです。


そういうこともあってか、昨今ではあまり喀痰細胞診が重視されていない傾向にあると言えそうです。


細胞診では他に好酸球の有無(喘息)、好中球の有無(細菌感染)などを補助的に見ることがあります。


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posted by 長尾大志 at 14:05 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月08日

呼吸器疾患診断手順ガイド240・肺結核・非結核性抗酸菌・結核性胸膜炎の身体所見

肺結核や・肺非結核性抗酸菌症に特異的な身体所見はありません。見られる所見は非特異的なものばかりです。例えば、以下のような所見になります。


  • 湿性ラ音(coarse crackles)

  • 呼吸音減弱

  • 非対称性呼吸(患側の胸郭運動低下)

  • 気道狭窄があるとその場所でwheezesやrhonchi



肺炎の時に見られる所見と似ていますね。どちらかというと肺炎のように、広範囲の肺胞に浸出液が出てきて…ということではなく、気管支内の痰や気管支自体の病変による所見が多く、気管支呼吸音化や触覚振盪・声音振盪の亢進なんかはあまり見られないようです。



また、結核性胸膜炎における身体所見にも特異的なものはなく、他の原因による胸膜炎と同様ということになります。すなわち…


  • 呼吸音減弱

  • 打診上の濁音

  • 声音振盪・声音聴診の減弱、消失

  • 非対称性呼吸(患側の胸郭運動低下)

  • 胸膜摩擦音

  • 気管が健側に偏位



さらに、大量胸水では、以下のような現象も見られます。


  • 病変部上部で気管支呼吸音が聴取される。

  • 病変部上部で触覚振盪・声音振盪が増強することがある。



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posted by 長尾大志 at 18:18 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月07日

活動報告・第12回呼吸療法セミナー

今日は上記臨床工学技士さんの会で1時間半お話でした。昨年は「やさしイイ呼吸・循環生理」と題してお話しましたが、今年は呼吸音特集でした。終了後「呼吸音が聴きたくなった」というお言葉を頂き、まずは狙い通りのお話ができたかと思います。


年内の外部講演はこれにて終了です。明日6回生の国家試験対策補講があるのと、「特別番外補講」と、来週看護学生さんの講義があって今年の講義は終了です。来年の予定は今のところあまり決まっておりません。(〃▽〃)


あとは出版のお仕事、着々と進んでいます。身体診察のところをまとめ終わって、次は検査の章に入ります。こちらを早く形にしたいものです。その次の出版のお話も頂き、どうやらまとまりそうです。

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posted by 長尾大志 at 22:03 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月05日

呼吸器疾患診断手順ガイド239・胸部の打診

右利きの人の場合、左手中指の中節を胸壁に密着させ、右手中指を曲げて直角になるように振り下ろして叩きます。やり方は人それぞれで、右手の示指と中指を重ねて叩く(私自身はコレ)など、異なる方法もありますが、音さえ鳴ればご自身のやりやすいやり方で構いません。


ポイントは手首のスナップを効かせて、当てる指のスピードを上げること、それに当てた後に指を出来るだけ早く離すことです。当てた後の指を押しつけると、共鳴が消えてしまうのです。


トン、と叩いたときに発生する音の響きによって、大きく次の3つに音を分類します。


共鳴音
濁音
鼓音


  • 共鳴音:スポンジ状に組織と空気が存在する(含気の多い)、肺の上で聴かれる音。少しこもったような「ボン、ボン」「ドゥン、ドゥン」的な表現になります。

  • 濁音:胸水や実質臓器の上で聴かれる、共鳴のない音。「ドッ、ドッ」。自己練習には大腿の上を叩くことで同様の音が聴かれます。

  • 鼓音:気胸や巨大肺嚢胞など、空気だけが存在する空間の上で聴かれる音。「ポン、ポン」「トン、トン」。自己練習には胃の上を叩くことで同様の音が聴かれます。



打診する場所は、まずは鎖骨、その後片側を聴いたら対側の対称な部位に移動し、左右の違いを比較します。そして少し下におりて、また対称に、という具合にしていきます。はしご式、などといわれていますね。


第2章図5.jpg


前面でははしご状に打診した後、右の鎖骨中線上で肺肝境界を確認します。背面では、はしご状の後、両側で濁音界を確認します。おおよそ肩甲線のあたりで行います。濁音界がわかると横隔膜の位置が推測できます。また、最大吸気時と最大呼気時の濁音界を比較することで、横隔膜の可動域が評価できます。


あと、打診と言えるのかどうかわかりませんが、ついでに叩打痛を見ておきます。脊柱に沿って軽く叩きながら、痛みが生じるかどうかを確認します。その他痛みのある部位は軽く叩いてみますが、骨転移があると飛び上がるような痛みが響きますので、加減が必要です。


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posted by 長尾大志 at 16:13 | Comment(3) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月04日

呼吸器疾患診断手順ガイド238・胸部の触診

まず言っておきたいことは、患者さんに「痛い」という訴えがあれば、やはり痛いあたりを触るべき、ということです。


その部分はピンポイントなのか、広がりがあるのか、圧痛はあるのか、圧すと痛みが和らぐのか、少なくともこれで胸壁、肋骨由来の痛みは見当が付きます。


それ以外に胸部を触ってわかることは、胸郭の動き、皮下気腫、声音振盪、心尖拍動やスリルなどがあります。


動きは視診でも触れましたが、両手で左右の胸郭に触れ、動きを見ながら手先でも感じるようにすると、左右差などを感知しやすいです。


また、膨驍オている場所があれば圧して握雪感があれば、皮下気腫の存在がわかります。特に気胸がありそうな場合、ドレーン留置されている周囲、術後などでは必ず見ておきたいものです。


胸壁に手を置き、患者さんに発声して頂いて、手にびりびりと振動が伝わる感触を触覚振盪(しんとう)と言います。通常左右に手を置いて左右差を感じ取り、亢進したり低下したりを表現します。


心臓のことになりますが、心尖拍動も触診でわかります。心不全で心拡大があると外側へ移動しますし、横隔膜の挙上でも外側へ移動します。逆にCOPDで横隔膜が低下すると心尖拍動は内側へ移動し、心窩部で触知するようになります。


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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月03日

呼吸器疾患診断手順ガイド237・胸部の視診

いよいよ胸部の診察です。まずは視診。視診では胸郭の形、呼吸運動、左右対称性を主に観察します。


胸郭の形では漏斗鏡や鳩胸、側彎、それに樽状胸郭などを確認します。特に側彎が著しいと胸郭運動が妨げられ、拘束性障害を来したり、換気量が低下したりします。


逆に側彎の著しい症例を見た場合、拘束性障害はないか、CO2貯留はないか、ということを意識して検査結果を見ます。



胸部の診察で記載、記録をするときに必要な目印(ランドマーク)を知っておきましょう。


第2章図4.jpg


まず大事な前胸部の目印は胸骨角です。これは第2肋骨が付着している場所で、肋骨を数える上で重要なものですが、胸骨角の高さに気管分岐部があることも知っておきましょう。


前胸部では肋骨を数えて第7肋骨あたりまで肺があります。背部では第10肋骨あたりまであります。ちなみに第10肋骨は肋軟骨とつながっている一番下の肋骨で、季肋部で一番下に触れるやつです。で、その3本上が第7肋骨となります。


その肺全体を3分割して、上肺野・中肺野・下肺野と呼んでいますが、これは明確な目印で分けられているというよりも、だいたいの場所を表すと考えましょう。それよりも、他にある明確な構造物(鎖骨、鎖骨上窩、肋骨、肋間、剣状突起など)や明確な線、場所を組み合わせて、所見のある場所を示すことが多いです。


線、場所には以下のようなものがあります。


  • 鎖骨中線:鎖骨の中央から垂直に下行する線

  • 肩甲線:肩甲骨下角(下のとがっているところ)を通り垂直に下行する線

  • 脊柱線:脊椎の棘突起上を通る線

  • 肩甲骨間:左右肩甲骨の間のスペース

  • 肺底部:肺の下端の少し上の部分



「右第5肋間、鎖骨中線より3cm外側」みたいな言い方をします。


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posted by 長尾大志 at 20:48 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月02日

呼吸器疾患診断手順ガイド236・頸部の診察2

実は頸部の診察が大切なのは、COPD症例です。
特に重症例になると、


  • 気管短縮

  • 胸鎖乳突筋の発達

  • 吸気時に鎖骨上窩が陥凹

  • 吸気時に頸静脈が虚脱



といった所見が見られます。


甲状腺の触診をするときに、ついでに甲状軟骨の下から胸骨までの距離を見ます。2横指に満たなければ気管短縮ありとされています。


肺内腫瘤の存在が指摘されている場合には、頸部リンパ節の触診を入念に行います。


胸鎖乳突筋の発達は視診でわかります。安静呼吸時にも胸鎖乳突筋を使っているようであれば、相当重症のCOPDと思われます。


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posted by 長尾大志 at 20:02 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年12月01日

呼吸器疾患診断手順ガイド235・頸部の診察

頸部に関してはいろいろと見るべきポイントがあります。1つは頸静脈。特に右の頸静脈は右房と直結していて、右房圧をよく反映しているとされています。


頸静脈の見かたは、患者さんに半坐位(頭部の角度を45°に上げる)で座ってもらって頸静脈の拍動を観察します。静脈なので動脈の拍動とは異なり、皮膚が全体的に盛り上がったり下がったり、フンガフンガ動揺して見えます。


第2章図3.jpg


その拍動(動揺)が、観察できる最も高い場所(最高点)の、胸骨角からの高さ(青矢印)を頸静脈圧(jugular venous pressure:JVP)といいます。


最上部が胸骨角から垂直に何cmか。胸骨角が右房より5cm上方であることから、JVP≧4cmであれば右心不全を示唆します。


なかなか患者さんを45°に出来ない、とか、外来で…とかの場合、とりあえず坐位(90°)で拍動が見えるかどうか、見えれば異常かもしれない、と簡易的に判断してもいいでしょう。


この頸静脈が膨張して、拍動が全く見えなくなった状態を頸静脈怒張といいます。これは上大静脈がパンパンに張ってしまった状態で、普通は緊急事態です。


頸静脈怒張を来す疾患

  • 緊張性気胸

  • 心タンポナーデ

  • 肺梗塞



頸静脈圧が上昇している状態を頸静脈怒張と呼んでいる方が時々おられるのですが、ここは緊急事態を表す言葉として、ハッキリ区別しておく方がいいと思います。


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posted by 長尾大志 at 18:00 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年11月28日

呼吸器疾患診断手順ガイド234・頭部・顔面の診察

眼瞼結膜の蒼白は貧血を示唆します。呼吸困難の訴えがある場合、脈拍数と共に確認します。眼球結膜の黄染は黄疸です。


副鼻腔の診察は既出ですね。


咽頭の観察では、咽頭の発赤と、扁桃の腫大、発赤、膿の付着など上気道感染症で見られる所見を観察しますが、明らかな扁桃腫大や膿の付着など、細菌感染を思わせる所見以外、例えば単なる「咽頭発赤」なんかは判断が難しいといわれています。なお、咽頭・喉頭に炎症があるかどうかの判断には、見た感じが赤いか、よりも嚥下時痛があるかどうか、の方がわかりやすいです。


肥満のある症例で、咽頭が狭苦しい感じ、あるいは扁桃肥大のみ見られる、そういう場合は睡眠時無呼吸の存在が想定されます。昼間の眠気や鼾の指摘がないか、確認しておきましょう。


後鼻漏を疑うときの診察は、直接咽頭を観察したり、後鼻鏡を用いたりすることで、咽頭に鼻からの分泌液が流れ込んでいる様子を直接確認できれば診断は確定です。なかなかそこまでガッツリしたたれ込みが見られることは多くありませんが…。


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posted by 長尾大志 at 16:39 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年11月27日

呼吸器疾患診断手順ガイド233・パッと見〜視診

視診、すなわちパッと見の印象は結構大事です。元気そうか、しんどそうか、シャキッとしているか、しなびているか…。


パッと見、顔貌の印象を表すのに、苦悶様顔貌という言葉があります。まさに苦しそうな顔つきで、低酸素血症であるとか、癌や炎症、その他疾患による疼痛を示唆します。顔を見ればチアノーゼの有無もわかります。


パッと見、しんどそうかどうかの目安になるのが呼吸パターンです。頻呼吸、あえぎ様呼吸は低酸素がありそうですし、呼気の延長や口すぼめ呼吸があれば閉塞性障害がありそうです。


パッと見、胸郭の変形も直ぐに見て取れます。側彎や漏斗胸はしばしば見られ、甚だしい場合換気不全、呼吸困難の原因になります。樽状胸郭はCOPDの存在を示唆しますし、胸部外傷のケースでは胸郭の変形や奇異性運動(損傷部位が周囲と逆に動く)が観察されます。


パッと見、胸郭運動の低下があれば、左右差があるか、対称的か確認します。対称的であればCOPDや肺線維症を想定します。COPDに特徴的な奇異性呼吸(胸壁と腹壁が反対に動く)やHoover徴候(吸気時に拡がるはずの季肋部が狭まる)をパッと確認しましょう。


胸郭運動に左右差がある場合、気胸や胸水の存在も想定されます。


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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(9) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年11月26日

呼吸器疾患診断手順ガイド232・身体診察の基礎

今日は病歴編をまとめて、身体診察編へ取りかかる…と思ったら、身体診察編の取っかかりがありませんでしたので、記事にしたいと思います。


ここでは、呼吸器疾患を診るにあたって知っておきたい、身体所見を挙げていきましょう。何となく全身〜上から順番に記載していきますが、ここでも「特異度の高い所見」を中心に取り上げたいと思います。


まずは全身ということで、身長、体重、BMI、主に体重の増減を確認します。数日間など、急に増えた体重は水であることが多いので、心不全などを想定し、下腿などの浮腫を(寝たきりの状態であれば体感の浮腫も)同時に確認します。


逆に体重が減っている場合は、癌による悪液質、COPDの進行によるやせ、抗酸菌など、慢性の感染症、あるいは慢性炎症による消耗などの存在が考えられます。


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posted by 長尾大志 at 19:53 | Comment(2) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年11月20日

呼吸器疾患診断手順ガイド231・急性の呼吸困難・急性好酸球性肺炎

突然の呼吸困難を来すものについては既に挙げました。


  • 気胸

  • 肺血栓塞栓症

  • アナフィラキシー

  • 気道異物

  • 急性心筋梗塞



急性の呼吸困難を来すものとして、


  • 呼吸器系:
    喘息発作・COPD増悪・間質性肺炎急性増悪・急性間質性肺炎・急性好酸球性肺炎
    急性気管支炎・肺炎・胸膜炎
    過換気発作

  • 循環器系:狭心症・心不全

  • 気道系:急性喉頭蓋炎



があります。


このうち以前の記事に入れていなかったものは、急性好酸球性肺炎(acute eosinophilic pneumonia:AEP)です。


基礎疾患のない若年者で、有毒ガスの吸入などの契機なく、急速に生じる著しい呼吸困難があれば想起すべき疾患です。特徴的な病歴として、煙草を初めて吸いはじめ、しばらく(1〜2週間)してから発症、というケースが多く報告されています。また、しばらく止めていた人が久しぶりに吸い出しても発症したりします。このあたりがなんともアレルギーっぽいなあと思います。男性に多いようですが、男性に喫煙者が多い以外の理由があるのかどうかは不明です。


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posted by 長尾大志 at 19:37 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド

2014年11月19日

呼吸器疾患診断手順ガイド230・急性の咳

まず症状としては咳を考えましょう。急性の咳を起こす疾患として、


  • 普通感冒

  • 急性副鼻腔炎

  • 急性気管支炎、急性肺炎

  • 急性循環不全



などがあり、上気道症状というくくりで鑑別すべきものとして急性咽頭炎や急性喉頭蓋炎が挙げられます。


急性の咳に関しては、咳そのものの特徴よりも、咳以外の症状が鑑別に役立ちます。


  • 普通感冒:咽頭痛・鼻汁・咳が併存する

  • 急性副鼻腔炎:片側の頬部痛・上歯痛・膿性鼻汁・圧痛

  • 急性気管支炎、急性肺炎:高熱を伴う咳と痰、頻呼吸やSpO2低下

  • 急性循環不全:頻脈(動悸)・赤色調の痰・夜間、労作時の呼吸困難・頻呼吸やSpO2低下

  • 急性咽頭炎・急性喉頭蓋炎:強い咽頭痛があり咳や鼻症状に欠ける




普通感冒は病歴だけで判断可能です。もちろんバイタルサインやSpO2 等が問題ないことを確認する必要がありますので、診察は必要です。他の疾患においては、診察所見はいろいろと特異的なものがありますが、上の症状からある程度鑑別を絞った上で、身体診察を行うと良いでしょう。


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2014年11月18日

活動報告・静岡県の医師会でジェネラリストのための呼吸器疾患道場〜呼吸器感染症と抗菌薬〜開催

本日行ってきました静岡県。何とか日付変更線を超える前に帰宅しましたが、ジェネラリストの勉強熱心な先生方に、半年ごとにお呼び頂き早くも第4回となります。時の経つのは早いものです。今回は、前からやりますやりますと言っておりました感染症と抗菌薬のお話でした。


DSCF2491.JPG


上気道感染にはなぜサワシリンなのか、さらにオグサワを使うのはどういう場面か、経口セフェムはなぜ使えないのか、マクロライドを使ってはいけない理由は、キノロンを使うべき場面は…などなど、1時間で詰め込みすぎました。例によって時間切れ。また次回、積み残しをやることになるようです。(-人-)


毎度のことですが、静岡は遠いです。昼からの日帰りはかなりキツい。特にこの季節は、帰り道や帰ってからがいろいろな意味でなかなかキツいです。翌日が外来なので仕方がないのですが、何とかしたいと常々思っています。以上独り言でした。


今回は音声の収録には成功しましたが、聞き直してみると、マイクの位置がいささか遠く、声が遠いです。それでも帰りの新幹線でビデオ化を試みましたが、「メディアのアップグレードが必要です」とかわけのわからないことを言われてトラブルに巻き込まれました。そんなわけで、最後の余分なところ以外をビデオ化しております。




あ、それから、今週末の名古屋セミナー、最後のご案内となります。名古屋に行ったら今度こそ?、ひつまぶしを食べたい、と強く思っています。どこがいいのか、並ぶのは避けたいし、おいしいところは並ぶだろうし、うーん…という心の声はともかく、(; ̄ェ ̄)「呼吸にまつわる基礎知識」としては今回で一旦区切り、というところで、人工呼吸、呼吸のところがよくわからない、という看護師さんは、お聞き逃しのないようにお願いします。


さすが名古屋会場は、中部地方の皆さんに多く申し込み頂いているようです。読者の方にお目にかかれるのを楽しみにしております。

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

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2014年11月17日

呼吸器疾患診断手順ガイド229・まずは経過が大切〜突然経過・急性経過と慢性経過

まず病歴聴取です。common diseaseではこれだけで診断をつけることも少なくありませんし、その後の臨床推論を展開していく上で、きわめて重要な役割を持っています。


主訴を聴くときに必ず意識しておかなくてはならないのが、その訴えは、

  • 突然(発症の時刻が特定できるほど)のものなのか

  • 急性(せいぜい数日の経過)に起こったものか

  • 亜急性(数日〜せいぜい数週間)なのか

  • 慢性(数週間〜数年)の経過なのか



ということです。これはこれはどの臓器でも共通で、今後も繰り返し出てくる考え方ですから、必ず身につけておきましょう。つまり、「いつからその症状が起こったか」「どのくらいの期間続いているか」ということ。これによって、ある程度疾患のカテゴリーを絞ることが出来ます。


・何時何分から症状が起こった、と特定できるほどの突然の経過は、「破れた」「詰まった」系の疾患がほとんどです。呼吸器疾患であれば、破れたの代表は気胸、詰まったの代表は肺血栓塞栓症でしょう。呼吸困難症状であれば、虚血性心疾患も鑑別に入ります。



・数日で起こってきている急性の経過は、感染症が考えやすいです。例えば細菌感染を考えますと、大腸菌は20分に1回細胞分裂します。すると1時間で8倍。3時間で512倍。数時間の経過で圧倒的に(倍々ゲームで)菌量が増えていくわけです。これが、比較的急速に症状が進んでくる理由です。


感染症でも膿瘍や慢性膿胸のように、閉じた空間で低酸素状態になっていると、菌の活動が低下しなかなか増殖しません。そういう状況では症状も急速な進行がなく、慢性であるものです。また、結核菌や非結核性抗酸菌のように、そもそも細胞分裂のスピードがゆっくりである菌による感染症も、慢性の経過をとります。



・亜急性〜慢性になってくると、疾患のバラエティは豊富になります。これは一口に語れるボリュームではありませんので、もっと特異的な情報を収集することが鑑別には必要です。



つまり、突然発症の場合には「破れた」「詰まった」系、急性の経過では感染症を軸に考えると、まずとりあえずの鑑別を想起しやすい、ということになります。


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2014年11月14日

呼吸器疾患診断手順ガイド228・診断手順の考え方|臨床推論

患者さんが「訴え」を持って来院したときに、その訴えが「なぜ」起こっているか、ラベルを貼る作業が「診断」です。


ラベルを貼ることで、初めてその患者さんを正しく扱う=治療する、ことができます。そのラベルをいかに正確に、実態に即して貼るか、これを出来るだけ体系立てて、論理的にやっていきましょう、というのが臨床推論です。


診断のプロセスには、直感的思考と分析的思考があります。訴えだけ、あるいは特徴的な身体所見や検査所見でピーンと来る、そんな「オレって(私って)、出来る名医」感が自覚(勘違い)されるのが直感的思考。それに対して、いろいろな情報を集約し分析して、網羅的に多くの鑑別を検証してから診断に至るのが分析的思考です。


経験を積んでくると直感的にひらめくことが経験されます。これは無意識のうちに、得た情報を分析して、過去の経験から「これじゃないか」と診断名に至っているわけですが、実際の現場ではそのひらめきを尊重しながら、さらなる「診断を確定する」ための材料、情報を収集し検討していくわけです。


名医と呼ばれる方はこの「直感で出てくるもの」が多く正確なわけで、それこそがご経験の賜であるわけですが、できる限りそれを再現していきたい。その手順とは、


@ 病歴聴取を行い、そこで得られた情報からとりあえずの鑑別診断を考える。ここがキモになります。ここでは、できる限りもれなく、ということと、可能性の高いもの(頻度の高いもの)、という観点からある程度優先順位をつけて鑑別を挙げていくことになるでしょう。


common disease、特に呼吸器内科領域では病歴聴取が診断のカギになる疾患が多いので、ここで診断、ということも少なくありません。


A 挙げた鑑別診断に合致する所見が得られるかどうか、という観点も(もちろん、だけじゃありませんが)頭に置いて、身体診察を行います。所見や情報ごとに、他の所見と合致するか矛盾がないか、確認しながら進んでいきます。身体診察から鑑別を絞り込み、ある程度確定に至ることもあるでしょう。


B そこで考えられる鑑別疾患をさらに絞り込み、診断に至るべく、オーダーする検査を選定します。この過程で、どの程度「根拠」を持って検査を選定できるかが、腕、実力を知るバロメーターとなるでしょう。


ある程度鑑別を絞って検査を行う、ということは、検査前確率を上げる、ということに他なりません。その検査が陽性ならば、そう診断してもよい、そのぐらい絞り込めるのが理想です。もちろん、疾患によりますが。


そのときにカギとなるのが、疾患特異的な情報です。つまり、この疾患にはこの症候、所見が特徴的である、という情報ですね。これをたくさん知っておくと、「これじゃないか?」という決定がしやすくなります。逆に、特異的でない情報がいくらあっても、診断には結びつきません。特異的な情報をいかに集めていくかが診断のカギとなるのです。


この本では、診断に至る流れを出来るだけ追体験して頂けるように、RPGのように病歴→診察→検査へつながる手順をご紹介します。その際に、どういう(疾患特異的な)情報を意識して集めるべきか、というところがわかると、診断が俄然面白くなるのです。


呼吸器診断手順をガイドされる

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posted by 長尾大志 at 19:30 | Comment(0) | 呼吸器疾患診断手順ガイド