2020年02月05日

Dr.長尾の たのしイイ呼吸ケアQ&A100: 酸素・血ガス・ドレナージ…現場ナースのギモンに答えます! 読者の皆さんのページ


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Dr.長尾の たのしイイ呼吸ケアQ&A100: 酸素・血ガス・ドレナージ…現場ナースのギモンに答えます!

この書籍では、ナースの皆さんが現場で抱かれるであろうさまざまな疑問についてお答えしておりますが、まだまだ疑問に思われる点や新たに生まれたご質問などアルかもしれません。もしさらなるご質問がありましたら、コメント欄にお寄せください。反映、お応えに時間を頂くこともあろうかと思いますが、可能な限り対応させて頂きます。

*お答えが難しいものについてはお答えできかねることがあります。
*医療相談などにはお答えできません。



また、内容に関しては意見の統一が得られていないところもしばしばあり、ご施設でのやり方と異なる点もあるかもしれません。また、もちろん間違いがないよう気をつけては居りますが、ミスや思い違いなども存在する可能性もございます。もしお気づきの点などございましたら、こちらもコメント欄に(やさしく)お寄せ頂けましたら幸いです。

もちろん、ご質問やご意見ではなくとも、応援メッセージなども大々的に募集しております。本当にそういうメッセージを頂きますと励みになりますので、どしどしお寄せ頂けますとうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします。

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posted by 長尾大志 at 09:15 | Comment(5) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月19日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー10・ハイフロー6・高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク

ベンチュリーマスクもインスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)も、成人の場合には、FIO2を50%以下で使うのが原則です。それ以上にFIO2を上げたいのであれば、高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)を使います。

高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)は、太い蛇腹を使って高流量酸素を鼻から吸入させる器具ですが、加温加湿していることで、高流量を流しても鼻粘膜が傷まず、30l/分以上の混合気を流せるので、高いFIO2をしっかり定めることが出来るわけです。

高流量鼻カニュラ(ネーザルハイフローレジスタードマーク)のしくみはシンプルで、流量、FIO2をそれぞれ決めるだけ。器械によって微妙に設定方法が異なりますが、一般的には流量30L〜60L/分、FIO2は21〜100%の間で設定可能です。

主な特徴・利点としては以下のようなものが挙げられています。

  • FIO2を高濃度にできる

  • 解剖学的死腔を洗い出し

  • 気道抵抗を減少させる

  • PEEP効果がある

  • 気道粘膜乾燥の防止


なにより装着が簡単で、口が使えるために飲食や会話が可能、というメリットが大きいですね。

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posted by 長尾大志 at 18:41 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月18日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー9・ハイフロー5・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」4・なぜ70%とか100%とか書いてあるのか

なぜダイヤルのところに70%とか100%とか書いてあるのか。この理由は、フローが30L/分(500mL/秒)以上でない、つまり1回換気量が500mLよりも少ない場合には、FIO2が70%とか100%に出来る可能性があるからです。

例えば小児で1回換気量が成人の半分(250mL)くらいであれば、250mL/秒、つまり15L/分でまかなえるわけですよね。

そうすると、FIO2が70%とか100%とか、出来るわけです。早見表に当てはめてみると…。

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70%だと10L/分、100%だと15L/分で流せばいいことになりますね。

なので、70%とか100%とか書いてあるわけですが、成人の場合には、50%以下で使うのが原則です。それ以上にFIO2を上げたいのであれば…。

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posted by 長尾大志 at 17:53 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月15日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー8・ハイフロー4・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」3・ネブライザー式酸素吸入器における流量設定の仕方

ネブライザー式酸素吸入器(いわゆるインスピロン)で多い誤解は、「FIO2を100%で設定できる」というものです。

……何が誤解なの?100%で設定してますよ…と思われた方、ヤバいです。

ハイフローの最初の説明でも書きましたが、ネブライザー式酸素吸入器(いわゆるインスピロン)のような旧来からあるハイフローシステムは、15L/分までしか酸素が流れない流量計を使って、デバイスの工夫によって、酸素と空気の混合気を30L/分の流量で流すことが出来るようにしたものです。

もう、こう書いている時点で、酸素の割合は半分ですよね。30L/分の混合気のうち、酸素は15L/分ですから。FIO2が100%なんて、なるわけない。

「でも、100%って、ダイヤルに書いてあるもん!」という反論もあるかもしれませんが、今一度、よーくダイヤルをご覧ください。そして、説明書もしくは、お手元にある「ネブライザー設定早見表」をご覧ください。

まず現物、ダイヤルを確認します。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

ダイヤルを拡大してみましょう。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

35、40、50、70、100と書いてありますね。「ほら100%!いつもここに合わしてるから!」…落ち着いて、よーく字の大きさを見てください…70と100、字が小さくないですか?

これは、70と100にあわせても、期待する流量、流れませんよ、という意味です。

それでは、ネブライザー設定早見表をご覧ください。「ウチにはそんなものありません。見てません!」という方は、下の表ですので、こちらをご覧ください。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

この表は、「酸素流量」(横軸)とダイヤルの酸素%(縦軸)を決めると、その時に流れるトータルの流量(フロー)がわかる、という表です。

この表の使い方は、FIO2を設定するときに、O2を何L/分流せば、トータルが30L/分以上になるかを見るわけです。わかりやすく、30L/分以上になるところは黄色になっています。

例えば、FIO2を35%に合わせるときは…

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

O2を6L/分以上流せば、30L/分を超えます。なので6L/分流します。

同様に、FIO2を40%に合わせるならば

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

O2は8L/分。

FIO2が50%なら、

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て改変転載)

O2を12L/分流すといいことがわかります。

では、FIO2を70%に合わすと、どうなるか…。表をいくら見ても、70%に合わせたときに30L/分以上のフローになるところ(黄色欄)はありませんね。

ですからこのシステム、FIO2が70%では使えない、ということなのです。じゃあ、なんでこんな数字をつけてるの?疑問ですね。



…盛り上がって参りましたが、これからまもなく東京に出発します。明日の「急性期・術後の呼吸器ケア」セミナーにご参加の皆さん、よろしくお願いいたします。

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posted by 長尾大志 at 15:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月14日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー7・ハイフロー3・いわゆる「インスピロン(ネブライザー式酸素吸入器)」2・名称のごちゃごちゃを整理する

今でも本によっては「インスピロンネブライザーレジスタードマーク」「インスピロンレジスタードマークタイプ」と記載されているのを見かけますし、まだまだその名称が一般的ではあるようです。それにしても紛らわしい…。

おそらく以前の一時期はインスピロンネブライザーレジスタードマークという商品名であったものが、会社の統合やら事業の変遷やらで製品名が変わってしまって今に至る、というようなことらしいです。で、昔からある、皆さん見慣れておられる(と思われる)「インスピロンネブライザーレジスタードマーク」が、下のタイプで…。

ネブライザーセット2305ASK.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

ご丁寧?に、ビンの横には「Inspiron」の文字が…しかしこれはあくまでブランド名。ちなみに写真の製品の名称は「ネブライザーセット」!です。「ネブライザー」とも書いてありますね。正しくいえば、「インスピロンブランドのネブライザーセット」ということになります。

ある意味、「インスピロン」という名前を酸素療法のブランドにしよう、という会社の意図は達成されているようにも思われますが、「インスピロン」=「ネブライザー式酸素吸入器」、という、大きな誤解を生んでいるのも事実。いっそここらで、製品名を入れ替えてもらえませんか??と会社の方に強くお願いをしておきました。\(^o^)/

ちなみに同様のシステム、つまり「ネブライザー式酸素吸入器」には、インスピロンブランド以外にもテレフレックスメディカルジャパン株式会社の、アクアパックネブライザーレジスタードマークという製品があります。

あーややこしい。整理しますと…


ネブライザー式酸素吸入器には、

  • 日本メディカルネクスト株式会社
    (インスピロンブランド)
     EZ-Water(イージーウォーター)ネブライザーシステムレジスタードマーク(新しい方)
     ネブライザーレジスタードマーク(旧い方)

  • テレフレックスメディカルジャパン株式会社
    アクアパックネブライザーレジスタードマーク


があります。ということです。厳密に言うと、インスピロンブランドには、経鼻カニューレやシンプルマスクの製品もあるので、ネブライザー式酸素吸入器のことを「インスピロン」と呼ぶのは間違い、ということになりますが、これだけ定着している呼び名を変えるのはなかなか大変です、という話です。


上にさんざん書いていることでおわかりの通り、このシステムの本質は「ネブライザー」です。あくまでこのシステムは、加温加湿のためのシステム、これを誤解されている方もものすごく多い。

酸素療法マニュアルにも、メーカーさんのHPにも、「ベンチュリーマスクにネブライザー機能を備えたもの」と紹介されています。決して「FIO2を上げる器械」「FIO2を100%にする器械」ではありません。

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posted by 長尾大志 at 16:43 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月13日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー6・ハイフロー2・いわゆる「インスピロン」1

いわゆる「インスピロン」。皆さまご存じなのはこんなやつでしょうか。

EZネブライザー全体.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

私、不勉強にて、この形の商品が「インスピロンという商品」だと思っておりました…。

ちなみにこちらは、正式な一般名「ネブライザー式酸素吸入器」(酸素療法マニュアルより)で、どこにも「インスピロン」の名前はございません。

じゃあ「インスピロン」の名前はどこ由来…??と探すと、日本メディカルネクスト株式会社の製品カタログに、「インスピロン酸素療法製品総合カタログ」の文字が。

…そう、インスピロン、というのは今や、酸素療法に関わる製品のブランド名となっておりました…。上の製品の名称としては、「EZ-Water(イージーウォーター)ネブライザーシステムレジスタードマーク」ということになるそうです。

皆さんいかがでしょうか…「インスピロン」て思われてませんでしたか…?全国的に(おそらく)浸透している、と思っていたんですが…。

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posted by 長尾大志 at 17:51 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月12日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー5・ハイフロー1・ベンチュリーマスク

ローフローに対してハイフローシステムは、30L/分以上の流量が流れるシステム、ということになりますが、旧来あるハイフローシステムは、15L/分までしか酸素が流れない流量計を使って、デバイスの工夫によって、酸素と空気の混合気を30L/分の流量で流すことが出来るようにしたものです。ベンチュリーマスクとインスピロンがあります。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

幸か不幸か、「ベンチュリーマスク」は商品名ではなく、一般名というか、こういう形式の、ダイリューターと呼ばれるカラフルな接続具を付け替えてFIO2を変える形式のマスクを指します。

名前の由来はベンチュリー効果、から来ています。ベンチュリー効果は、流れているものが細いところを通ると速度が上がり、圧力が低下して周りのものを引っ張り込む現象です。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

件のダイリューターはこんな構造になっていて、流れてきた酸素が狭いところを通って速度が上がり、周囲の空気を引っ張り込むのです。酸素の流速と外気流入口の孔の大きさとで、混合される割合=FIO2が決まります。

ですのでダイリューターごとに、流すべき酸素流量が決まっていて、その流量でFIO2がいくらになるかも決まっているのです。普通は上の写真のように、ダイリューターに書いてあります。微妙にメーカーによって異なるらしいですが、一例を挙げると、日本メディカルネクスト株式会社のオキシジェンマスク アキュロックス型ですと、下の表の通りになっています。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

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posted by 長尾大志 at 19:26 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月11日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー4・ローフロー2・シンプルマスクとリザーバーマスク

シンプルマスクは、酸素チューブの先に(何の変哲もない)マスクを取り付けたもので、その名の通りシンプルなマスクです。酸素流量は15L/分以下ですから、ローフローシステムです。

オキシジェンマスクフレア1422.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

流れてくる酸素の流量が少ないと、吐いた息がマスクの中に溜まったままになり、次の吸気でそれをまた吸入してしまう(呼気の再吸入)が起こってしまいますので、酸素流量は5L/分以上とします。

流量とFIO2対応の目安は以下の通りですが、この対応表もあくまで目安です。

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シンプルマスクでは最大でも15L/分しか流れませんので、1秒あたりにすると250mL、つまり1回換気量(500mL)の半分ぐらいにしかなりません。それで息をする時にマスク周囲の空気を一緒に吸い込んでしまい、最大でも吸入気の酸素割合(FIO2)は50%ぐらいにしかならない、ということになります。ローフローシステムです。

流れてきた酸素+周りの空気の割合でFIO2が決まりますから、FIO2はきっちり設定することができませんし、それほど高くはなりません。


そこでシンプルマスクよりももっとFIO2をあげようという目的で作られたのが、根元に酸素が溜まる袋(リザーバー)がついたリザーバーマスクです。

3in1マスクフレア1424.jpg
(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

リザーバーマスクでは、一旦袋に溜まった酸素が、息を吸うときにチューブを流れてきた酸素と共に入ってきます。それでシンプルマスクよりもFIO2が上がりますが、それでも一回換気量全てをまかなうほどの流量にはなりませんから、これもローフローシステムの仲間、ということになります。

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posted by 長尾大志 at 14:49 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月08日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー3・ローフロー1

物事をシンプルにするために、あえて言い切りますと、ハイフローシステム(高流量システム)というのは、「こちらが設定したFIO2を患者さんが吸う」システムで、ローフローシステム(低流量システム)は、「FIO2が定まらない(通常は周りの空気を吸い込むことにより、設定よりも低くなる)」システムである、ということになります。ローフローシステムでの「FIO2」は、あくまで目安、仮のものですが、ハイフローシステムでは設定通りのFIO2を吸っている、という前提となります。


ローフローシステムの代表は、経鼻カニューレ(カニュラ)、シンプルマスク、そしてリザーバーマスクあたりかと思います。

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

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(日本メディカルネクスト株式会社より許諾を得て転載)

経鼻カニューレは皆さんご存じと思いますが、一番シンプル・簡便な酸素投与器具です。2本のチューブを鼻孔にあてて、酸素を流します。通常5Lまでの流量で使われます。流量とFIO2の目安は、以下の通りです。上に書いたようにこの対応はあくまで目安です。

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覚え方としては、酸素なしでFIO2 21%、1Lで24%、その後は1Lにつき4%ずつ増えていく、というものが覚えやすいでしょう。

で、この調子でいくと6L/分なら44%、7L/分なら48%…といくかというと、そうは参りません。限界があります。5L/分ぐらいまでしか、こんな風にはFIO2は上がらないのです。

加えて、6L/分以上になると、空気の勢いで鼻腔粘膜が乾燥し、痛みの原因になったり、鼻出血が生じたりしますので、経鼻カニューレを使用するのは、原則としてO2 5L/分まで、とされています。

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posted by 長尾大志 at 17:38 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月07日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー2・ローフローとハイフローの意味

流量が30L/分以上流せるシステムがハイフローで、それ未満の流量しか流せないシステムをローフローという、と書きましたが、その心は。

健康な成人が安静換気をしているとき、1回に呼吸する空気の量を1回換気量といいます。1回換気量はだいたい500mL程度。そしてそれを吸い込むのに、だいたい1秒かかる(吸気時間)としますと、その流速は500mL/秒となります。

この500mL/秒分をまかなえる流量を流すことが出来るシステムを、ハイフロー(高流量)システムといい、それ未満のものをローフロー(低流量)システムといいます。

500mL/秒を1分あたりに換算すると、500mL×60秒=30,000mL=30L、
つまり30L/分ですので、この30L/分以上を流せるシステムがハイフロー(高流量)システムなのです。

30L/分以上を流すと、息を吸い込むときに、その流れてきた空気(混合気)だけを吸い込み、周りの空気を吸い込みませんが、30L/分未満の流れであれば、周りの空気を吸い込むことになるのです。

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posted by 長尾大志 at 18:42 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月06日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」・ローフローとハイフロー1

今日は日本メディカルネクスト株式会社の方と、かなりじっくりとお話しさせて頂き、いろいろと勉強になりました。日本メディカルネクスト株式会社…ハテ?なんの会社…?と不勉強な私は思ったのですが、インスピロンの会社、と申しましたらおわかり頂けるのではないでしょうか。

器具の名称や歴史的なことなど、メーカーの方でないとわからないことを伺い、こちらからは現場の看護師さんから頂くご質問をふまえての、情報提供の方法などをお話しさせて頂き、大変、有意義な時間になったのではないかと思っております。


そんなことをふまえながら、ローフロー・ハイフローについて、基礎的なお話をさせて頂きましょう。

今日お話をして思ったのは、(人工呼吸器業界だけでなく)酸素業界(も)、用語が入り乱れすぎ!ということ。なので、とにかく、あまりごちゃごちゃ書かずに、「重要な大原則だけをシンプルに」書いていこうと思います。

で、ローフロー(低流量)とハイフロー(高流量)ですが、これは結論を先に書きますと、流量が30L/分以上流せるシステムがハイフローで、それ未満の流量しか流せないシステムをローフローといいます。まずこれが原則です。

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posted by 長尾大志 at 20:32 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月05日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問28

Q:うちの病院ではCOPDなどで労作後SpO2が低いと(安静時2Lぐらい)、カニュレ3L、空マスクを当ててSpO2を上げることがあります。この方法は正しいのでしょうか。

A:マスクをあてることで、そのマスク部に酸素が溜まる、一種のリザーバー的役目を期待されているのだと思いますが、使い方として正しいものではありません。3L+マスク、だと呼気の再吸入リスクがあります。リザーバー効果を期待するならちゃんとリザーバーを使いましょう。


Q:アシデミア・アルカレミアに傾くとどうなるのですか。その治療方法はなんですか?

A:血液のpHが適正値から逸脱する(アシデミア・アルカレミアに傾く)と、体内のタンパク質や酵素が変性してしまい、細胞本来の働きが出来なくなります。結果、生命維持が出来なくなってしまうのです。

その治療方法ですが、アシデミア→アルカリを加える、アルカレミア→酸を加える、ではありません。治療は原因によって異なります。

例えばその原因が呼吸性でしたら、呼吸性に解決する、それが原則です。

CO2が溜まって起こる呼吸性アシドーシスであれば、人工呼吸でCO2を飛ばしてアルカリ方向に持っていく。過換気でCO2が飛びすぎ→呼吸性アルカローシスであれば、呼吸を落ち着ける、換気を減らすことで、酸の方向に傾ける、というのが治療になります。

代謝性アシドーシスでアシデミアになっている場合は、大原則は「原疾患の治療」です。敗血症なら抗菌薬やドレナージ、ケトアシドーシスなら大量輸液と少量インスリン、などなど。


Q:心不全患者に対するバイパップ使用により前負荷・後負荷軽減のメカニズムを一度説明お願いします。

A:バイパップを使用して陽圧換気をすると、当然胸腔内が陽圧になります。すると心臓や大血管がその分、圧されます。心臓はその分拡張しにくくなり、静脈環流(心臓に還る血液量)が減少します。つまり、心臓が押し出すべき血液量が減るのです。

心臓に還ってきた=これから押し出すべき血液を前負荷といいます。これがバイパップで減るわけです。

心臓が押し出す血液の行く先、そこの抵抗が後負荷です。血圧が高いと圧しても進まないので、後負荷が高いということになります。陽圧換気は血圧を下げるので、後負荷を軽減することになるのです。

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posted by 長尾大志 at 18:57 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月04日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問27

Q:うちのDrに人工呼吸器がついている患者さんの喀痰吸引の前に、ジャクソンリースによる徒手換気を行うことを推している人がいます。教科書などによると肺胞が破れるリスクの方が大きいためあまり勧められないと書いています。ジャクソンリースでアシストして痰を押し上げたり低酸素を予防するのは先生的には正解ですか。

A:圧をかけることで痰を押し上げ、吸引しやすくする、ということですね。圧のモニターをしない状態で、痰を押し上げるべく徒手換気をすると、知らず知らず高い圧がかかる危険性がありますし、お勧めはしないと思います。

するとしても、スクイージングやスプリンギングなど、胸郭に圧をかけるのがお勧めでしょう。


Q:Tピースから換気がない時の対応はどうしたらいいですか?
Q:インスピロンのTピースから排気が止まる時はどうする?

A:どちらも同じですが、特に患者さんの吸気時に、流れてきた混合気がすべて吸入されてしまうと、Tピース断端から湯気?が出なくなります。

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つまりそれは、流量不足、ということ。多くのケースでは、説明書通りの流量を流されていないことに起因するのではないかと思います。ですから、「どうしたらいいですか?」との問いには、「説明書通りにお使いください」とお答えすることになります。

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posted by 長尾大志 at 18:05 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月02日

看護師さん向けセミナーをやっていて、思うこと。

今書いている看護師さん向けのQ&Aは、実際に全国の看護師さんから頂いたご質問ばかりです。ドクターの皆様は、ご覧になって、どう感じられるでしょうか?

「うちの看護師さんもこんな感じかなあ」「うちはこんなことはわかっているはずだ」「私もわからん」いろいろと、ご感想はあるかと思います。私もいろいろと思いはありますが、やはり「困っておられる現場の看護師さんは本当に多いのだなあ」といつも思うのです。

先日の神戸セミナーで頂いたご感想を拝見していても、「苦手だったところがわかりました」「よくわからなかったところがスッキリしました」という、講師としてはうれしい感想を本当にたくさん頂きました。それはそうなのですが、逆に言いますと、そういうことがわかっておられない状態で現場に出ておられる、これはこれで、看護教育、という点では危機感を持たなくてはならないのではないか、と思うのです。

看護教育、というのが卒前を指すのか卒後を指すのか、あるいは両方なのか、というところもありますが、現場では本当に困っておられる方々が多い。これは間違いありません。

ということで、6月16日には東京で、同内容のセミナーを行います。
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131
宣伝のように見えるかもしれませんが(苦笑)、宣伝でもあるのですが、それだけではなくて、看護師さんの(まあこれはドクターもそうなのですが)知識や理解のアップデートをどうやって保証していくのか、は重要な問題になってくると思います。

それと、施設によっては、ドクターの知識のムラも大きく、こういうセミナーで(比較的?)正しい知識を習得された看護師さんが、ドクターの考えとの板挟みになってしまう、ということもあるようです。そういうわけで、→→→右にあるような本などを是非参照頂ければと思う次第です。→→→

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posted by 長尾大志 at 23:02 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年06月01日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問26

Q:インスピロン装着患者さんで、吸入薬の指示が出ていたことがあり、Tピースの先にジャバラをつけて吸入しましたが、意味ありますか?

A:それは、つまりこういうことでしょうか…

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こうではないことを祈りたいところですが…これでは流れてきた混合気の行き場がなくなってしまい、肺に高い圧がかかってしまって危険です。インスピロン装着中に別のデバイスで吸入薬を使う、というのは避ける方がいいでしょう。


Q:ベンチュリー使用している時、加湿したくてネブライザー(水のみ)を装着することがあるのですが、意味ありますか?

A:どのように装着されているのか…気になります。繰り返しになりますが原則として、マスクの説明書から逸脱するような使い方は推奨致しません。今度近々、メーカーさんのお話が聞けそうなので、またここで共有したいと思います。


Q:通常のオキシマイザーとF−224型の違いを教えていただきたいです。CO2ナルコーシスになりやすい患者さんにオキシマスクを使用するのはどうですか?

A:オキシマイザーは、経鼻カニューレにリザーバーを取り付けたもの、と理解頂くといいでしょう。鼻孔のチューブのそばに袋というかスペーサーというか、酸素が溜まる場所を設けてあります。F−224型はその「高流量タイプ」で、その名の通り高流量で使うものです。

オキシマスクは質問6でも書きましたが、呼気の再吸入をしにくいので、COPDで慢性的にCO2貯留があり、CO2ナルコーシスが懸念されるような症例で使われることもあると思います。

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2018年05月31日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問25

Q:訪問看護です。COPD(O2 3Lカニューレ)、前立腺肥大症(自己導尿2回/日)の利用者です。Spo2 97%程でも呼吸困難が出現したり、Spo2 94〜95%でも呼吸苦を訴えられないこともあります。その因果関係を教えて下さい。また、頻脈であり、常に100〜110前後あります。本人はずっと前からだと言われます。COPDと頻脈の関係性はあるのでしょうか。時々下肢の浮腫も出現します。体で何が起きているのか分からないので教えて下さい。

A:「呼吸困難」は、本人の「これくらいでちゃんと呼吸できているつもり」と、「実際の状態」の解離によって生じます。呼吸に際して本人が思っている以上に努力が必要であると、呼吸が「困難である」と認識されやすい、と理解して頂くといいかもしれません。

わかりやすいのは低酸素による呼吸困難ですが、これは低酸素→組織がもっと酸素をくれという→呼吸数を増やし、一回換気量を増やし(努力して呼吸)→その努力を感知→呼吸困難感、という説明が理解しやすいでしょう。

COPDですとそれ以外に、閉塞性障害→吸気、呼気の抵抗感から呼吸困難感を自覚、ということもあります。他の疾患でも、低酸素以外の機序で呼吸困難が起こることは多々経験されます。SpO2だけが呼吸困難の原因ではないことは、是非知っておいて頂きたいと思います。

COPDと頻脈の関係はいろいろなことが想定されます。思い当たる?ことがたくさんある、ということですね。例えば低酸素があれば、それだけでも頻脈となりますし、COPDでよく使われるLABAの副作用で頻脈(動悸)があります。また、COPDに右心不全を合併しやすいことも知られています。浮腫の存在からは、右心不全がありそうですね。


Q:肺炎が軽快した患者さんの呼吸音が聴取しずらく、息が苦しいと訴えてきます。外見上、特に変わった様子はなく、SpO2も95%以上あります。何が考えられますか?

A:両側の呼吸音減弱があるのでしたら、COPDが元々ある患者さんで、肺炎を契機に増悪し、これまで隠れていた症状が顕在化した、とかでしょうか。そういう事例は山ほど経験しています。喫煙歴の確認と胸部単純X線写真、肺機能検査を是非お願いしたいと思います。

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2018年05月29日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問23・SpO2、動脈血ガス分析2

Q:血液ガスの報告、どの順番で報告したらいいですか。結果を電話報告する時に、どう伝える方がいいのか、順番があれば教えて下さい。

A:ドクターが血液ガスを採るとき、一体何を見たいのか?というと、何はなくともpHだと思うのですね。なぜかというと、pHが動いている、すなわちpH<7.350(アシデミア)、pH>7.450(アルカレミア)であれば、直ちに生命維持のために「何か」をしなくてはならない。

何かしなくてはならないのか、しなくてもいいのか、それを判断するのがpHですから、血ガスを採った医師がまず確認したいのは、pHだろうと思われます。少なくとも私はそうです。

もちろん、PaCO2も、HCO3-も、pHが動いている理由を知るためには必要な項目です。でもpHが正常範囲であれば、例えば呼吸性アシドーシスがあっても、

ですから、まずpHを報告頂き、次にその理由となるPaCO2、HCO3-、そしてPaO2、あとBE…という感じで報告頂くのが一つ。

もしくは、人工呼吸装着中など、呼吸状態が問題になるときには、まずpH、次にPaCO2とPaO2、そしてHCO3-とBE…という感じで報告頂ければいいのではないでしょうか。


Q:酸素解離曲線において、体温上昇で右方シフトしますが、実際は体温1℃上昇でSpO2はどのくらい変化するのでしょうか?

A:1℃あたりどの程度SpO2が変化するのか、いくつか調べてみましたが具体的な記載を見つけることが出来ませんでした。実はスゴくややこしい式を見つけたのですが、計算が…(汗)。37℃付近ではそれほど大きくは変わらなさそうではありますが…。ご存じの方、是非ご教示のほどお願いします!

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posted by 長尾大志 at 18:59 | Comment(3) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月28日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問22・SpO2、動脈血ガス分析1

Q:酸素投与開始後、どのくらい投与してSpO2が上がらないと判断したらよいですか?

A:通常は酸素投与開始後、あるいは酸素流量変更後、20〜30分経過してから血ガスを採ることになっています。そのぐらい経過したらガスが安定している、というのです。SpO2 自体は割と速やかに上がってきますが、「上がらない」という判断をどのタイミングでするかは微妙な問題です。20〜30分経過しても上がってこなければ、そう判断されてもいいと思いますが…。


Q:血ガスについて。よくBEやアニオンギャップについて記載されていますが、看護師でもやはり理解しておいた方が良いですか?また、Drが呼吸器設定変更後に「30分後に血ガスとっといて」と言います。30分の根拠って何ですか?

A:もちろん看護師さんでも理解しておいて頂きたいですし、そのためにブログを書いているのです!なんとかわかりやすく書いているつもりですので、是非ご理解いただきますようお願い申し上げます。30分、の根拠は上の通りです。

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posted by 長尾大志 at 17:57 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月25日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問21・マスクと鼻カニューラ

Q:ハイフローセラピー導入前、リザーバーマスク10Lよりもカニューラ10Lにする方が明らかに酸素化が良かったのですが、そのメカニズムを教えて下さい。

A:そもそも経鼻カニューラで酸素投与をするときに、5L/分以上の流量で流すということは推奨されていません。鼻粘膜損傷、鼻出血、患者さんの不快感につながります。

その上で、あえて疑問にお答えする形で考えますと、リザーバーマスクよりも鼻カニューラの方が、細いチューブのまま鼻腔に入りますから、流速が早いと思われます。どっちにしても「低流量」システムではあるのですが、その中では比較的鼻カニューレの方が高い流量なのかなあと。それでFIO2の低下(大気の混入)が少ないのではないでしょうか。しかし!繰り返しますが、決して真似しないでください。


Q:口呼吸の人に2LのO2を流したい時は、マスク?カニューラ?
Q:口呼吸の患者さんで鼻カニューラを口にくわえてもらうとSpO2が良くなってくる人がいますが、これでよいのでしょうか。

A:口呼吸のご質問、よく頂きます。鼻カニューラを装着した状態で口呼吸をすると、当然鼻呼吸をしているときよりもFIO2は低下することになりますが、それでも鼻から入った酸素は気管に流れ込むので、「全くO2を投与していないよりは多少マシ」とは言われています。

しかしながら、こちらも本来の使い方ではありません。鼻カニューラは鼻にする、が原則です。口に当てる(くわえてもらう)とFIO2は上がりますけれども、邪道というやつです。

じゃあ、口呼吸の人に「2LのO2」を流したい時は、どうするか。

そもそもどうして「2LのO2を流したい」のでしょうか。1Lでも3Lでもなくて2L。2Lの根拠です。2Lでないといけないのか。ドクターの指示が2L経鼻だから、というのはダメですよ。目的は2Lという数字ではないはず。そもそもの目的をハッキリさせれば道は啓けるはずです。

例えばFIO2を28%くらいにしたいから2Lで、ということであれば、口呼吸なんでマスクで確実にFIO2に出来る、ベンチュリーマスクを使います。

そこまで厳密に考えていなくて、何となく2L、気軽に経鼻で、なんて感じであれば、口呼吸だからちょっと多めに3L経鼻にして、SpO2がちゃんと上がってきているかどうか確認する、足りなければ4Lにする…そんな感じでしょう。


Q:酸素投与について、病棟ではSpO2が下がったとき(COPDなどではなく)、カニューラ→マスク→ベンチュリー→リザーバーの順で変更していますが、それで合っているのでしょうか。

A:流量が多く出来るのが、だいたいその順番ですから、それでよろしいかと思います。最近ではさらに、リザーバー→ネーザルハイフロー(ハイフローセラピー)という流れが普及しています。



さてさていよいよ、明日はメディカ出版セミナー@(社)兵庫県農業会館でございます。
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131
(リンク先には講義サンプル動画もあります)

改めてスライドを見ておりましたが、具体例が豊富になったので、よりご満足頂けるんじゃないかなーと自画自賛、でございます。ご参加の皆さん、お楽しみに。

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posted by 長尾大志 at 16:11 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月24日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問20・インスピロン(ネブライザー式酸素供給装置)2

Q:人工呼吸器からの抜管後、医師が「O2吹き流しで」と指示することがあります。そのときによって具体的に何を使うのかが違うのでベンチュリーやインスピロンなど具体的に何を使うのか聞くのですが、“吹き流し”の定義ってあるのでしょうか? どういうものをそう呼ぶのか教えていただきたいです。

A:ここでご質問にお答えする形で、酸素の「吹き流し」について考えてみましょう。その時にほとんど同時に使われる言葉として 「T ピース」という言葉があります。

これは図のように、例えば挿管している状態、あるいは気管切開をしている状態で、そのチューブの先に T の字をしたチューブというかアタッチメント(Tピース)をつける、そしてそこに酸素を流す。大抵それは人工呼吸器を外した後、それまで人工呼吸器で人工的に換気をしていたところに、その機械を外して酸素をただ流す、フルで自発呼吸の状態を吹き流しと呼んでいます。

スライド8.JPG

スライド9.JPG

吸気時には、高流量で流れてくるFIO2が一定の混合気を吸い込み…

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呼気時に出た空気は、蛇管断端から出ます。蛇管断端を観察すると、出てくる湯気?蒸気?煙?みたいな呼気が見えますが、呼吸に従って量が増えたり減ったりします。吸気時には量が減り、呼気時には量が増えるのです。

スライド11.JPG

この湯気?は、常に増えたり減ったりしながら出続けなければなりません。吸気時に見えなくなるようなことはあってはなりません。吸気時に見えない=吸気側の流量が足りず、呼気側からも吸ってしまっている可能性があるからです。


Q:インスピロンを気切患者に使用する時の蛇管断端ですが、これの長さによって何か変わりますか。昔、長さが長いことでPEEPがかかるとか聞いたことがあるのですが……。
Q:インスピロンでTピースの排気側の蛇管が長すぎるといけないと聞いたことがあります。その理由は吸気を再吸入してしまうということにあるのでしょうか?また、適切な長さを教えてください。

A:T ピースで吹き流しをする時に、呼気側をどうしたらいいかを考えましょう。例えばチューブが完全にない、という状態ではどうなるか。息を吸うときには、吸気側から流れてきた混合気が体内に入ります。そもそもこの時も、吸気側から流れてくる混合気の流量(流速)が吸気流速を下回っていると、呼気側の口から外気を取り込んでしまってFIO2が低下し、混合気のFIO2を定める意味がなくなります。

スライド12.JPG

ですから吸気側の流速はとっても大事で、30L/分以上にする必要があります。それでも息を吸い込むときに呼気側も吸気側も等しく陰圧がかかる、つまり引っ張られることになりますから呼気側に通常蛇管を1節分(15cm、60mL程度)取り付けておいて、呼気側から大気が入らないようにします。

呼気側の蛇管が長いとPEEPがかかる。確かに相当長ければ管自体の抵抗がありますから、少し陽圧がかかるかもしれませんが、それを期待するようなことはありません。蛇管が長すぎると、吸気流速が低いときに吸気の再吸入につながりますから、蛇管は1節分、となっています。

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posted by 長尾大志 at 16:45 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月23日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問19・インスピロン(ネブライザー式酸素供給装置)1

Q:インスピロン=アクアサームですか?

A:アクアサームというのは商品名です。インスピロンも商品名(ブランド名)なんですけれども、原理はほぼ同じです。高流量を流す、かつ加温加湿ができるような酸素供給システムです。正式名称はネブライザー式酸素供給装置、といい、この名前の方がその本質をよく表していますね。


Q:インスピロンに加湿器は必ず必要ですか? 当院では加湿器は使っていないのですが、ないことで生じる問題はありますか?

A:インスピロンに加湿器を使われていないということですが、実際どうやって使われているのか、気になります。インスピロンというのは加湿器もセットで使うのが前提ですので、メーカーの想定していない使われ方になっているのではないでしょうか。

逆に加湿が必要ないのであれば、インスピロンを使う必要もないと思います。推測なんですが、使われている意図としては、ある程度高流量流したい、でも加湿はいらない、そこでインスピロンを使おう、ということなのかなとも思いますが、その場合であれば通常はベンチュリーマスクを使います。


Q:人工呼吸器抜管後の酸素選びで、インスピロンを使ったり鼻カニューラやマスクを使ったりしていて、どう判断するべき?

A:抜管後の酸素選びですね。これは使い分けているご本人に理由を尋ねないと分からないと思いますけれども、一つは痰がなかなか切れない、とかですね。とにかくインスピロンを使うのは加湿をしたいときです。そこまで加湿がいらないという状況で、酸素を投与するときには、普通の経鼻カニューラやマスクを使います。カニューラとマスクの使い分けは流量の差です。基本的には5 L /分以下であればカニューラです5 L/分 以上ならマスクというご理解でよいかと思います。


Q:インスピロンやベンチュリーは15L/minまでしか流せないが(FIO2 50%)、ハイフローセラピーは30L/min(FIO2 100%)で流せるのはなぜですか。

A:インスピロンやベンチュリーに使われている酸素の流量計は、古いといいますか精度が低いといいますか、高流量が流せません。それに対してハイフローセラピーに使う流量計は高精度で(その分高いんですけれども)、30L/分以上流せます。


Q:病棟でインスピロンを使用するときに「とにかくFIO2を保ちたいから酸素流量は減らしてもFIO2は下げないように」と言われたが、それは正しいのでしょうか。

A:「FIO2を保ちたいから酸素流量を減らしてもいい」というのは誤解です。基本のところで書きましたが、あくまでもインスピロンの使い方としては、FIO2に対して流す量が決まっているのです。FIO2を無理やり100%にしていても、流量が少ないとマスクの横から空気が入ってきてこちらの意図したFIO2になりません。


Q:腎臓が悪い患者さんで夜だけインスピロンを使っている人がいます(O2 6L、FIO2 35)。なぜ使っているのかわかりません。日中はO2 1L使用しています。

A:ちょっとわかりません…。夜だけインスピロン。夜に痰が切れにくくて困る、とかでしょうか。腎臓が悪ければインスピロンを使うとか、そういうことはありません。これは使っている方に直接意図を聞いていただいた方がいいと思います。


Q:私の職場(呼吸外科病棟)では肺がんで間質性肺炎を合併している場合、術後はインスピロンを使用する場合が多いです。理由としては、厳密なFIO2管理をするためでよいのでしょうか? 理由がいまいち理解できていないので、先生の意見をお聞きしたいです。

A:インスピロンを使用するのは、繰り返しになりますが、加湿をしたいというケースです。ご質問のケースで、肺癌の切除をする時に間質性肺炎を合併していると。間質性肺炎では拘束性障害が起こって VC が低下します。そうするとタイダルボリュームも減りますから、咳がしにくい、痰が喀出しにくい、ということにつながります。そういうケースで加湿をすることは多いかなと思います。もちろん間質性肺炎の術後は、酸素をたくさん必要とすることが多いですから、高流量を流したいということも理由のひとつであろうと思います。

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月22日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問18・NPPV

Q:口呼吸してしまう人はNPPV適応となりますか?

A:口を開けてしまうと空気が口から大いに漏れてしまい、陽圧がかからなくなってしまうので、鼻マスクによるNPPV中には口を閉じておくことが推奨されます。顎まわりを締めて口を閉じるためのチン(顎)ストラップも用意されています。どうしても、という場合には口もおおってしまう鼻口マスク(フルフェイスマスク)や顔全体をおおうトータルフェイスマスクも用意されています。


Q:NPPVをマスクで使うことが多く、酸素が勢いよく送られてくるので患者さんが苦しくて外したがります。そんなときは鼻ネーザルにした方が楽ですか? マスクとネーザルを使用することで換気量などに違いはあるのですか?

A:NPPVは圧をかけて無理やり空気を押しこむ目的で使うものですから、当然患者さんは「圧される」「無理やり」という感覚になります。そこをうまく導入頂けるかどうかはやり方次第なところもありますが、ネーザルハイフロー(鼻ネーザル??)の方が押しこまれ感は少ないものです。

当然その分、圧はかかりませんし押しこむことは出来ませんので、換気量も変わってきます。NPPVの方がしっかり入り、換気量も確保出来るでしょう。


Q:心原性肺水腫(怒責による血圧上昇)の患者にNPPVが開始となりました。先輩ナースから、NPPVを装着することで毛細血管が広がり、血圧を下げる効果もある、と教わったのですが、PEEPがかかり肺胞が広がるからでしょうか?機序が分からないため教えていただきたいです。

A:NPPVは挿管人工呼吸と同じく陽圧換気ですから、胸腔内圧が上昇します。その分心臓や大血管が圧され、静脈環流の減少を来して血圧低下を来します。

血圧低下、ということで合併症的な扱いになることもありますが、心原性肺水腫の場合、静脈環流の減少=前負荷の軽減につながります。要は肺内に水が余った状態(うっ血)が、静脈環流を減らすことで軽減する、ということです。

また、心臓が収縮するにあたって、肺が陽圧であると心臓を圧すことになりますから、これは後負荷を軽減することになり、こちらの意味でも効果的です。

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posted by 長尾大志 at 18:24 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月21日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問17・リザーバーマスク

Q:病棟で誤嚥性肺炎の患者、リザーバーマスク10LでSpO2 70%に落ち、上がる気配のない患者に対し、先輩看護師がリザーバーマスクのバッグの中のエアーを送り込んでいました。この行為に何の効果がありますか?

A:リザーバーマスクのしくみは、こうなっています。

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流れてきた酸素はリザーバーバッグに溜まっています。で、息を吸うときには、

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そもそものチューブを流れてきた酸素に、リザーバーバッグ内の酸素が加算されて、吸気のFIO2が上がります。このとき、マスクについている一方弁のおかげで、流れてきた酸素メインで吸うことが出来ます。しかしながら!繰り返しになりますが吸気の流速は流れてくる酸素より圧倒的に早いので、バッグの分では補えません。で、マスクと顔の隙間から空気が入ってくることになります。

で、呼気はマスクの一方弁から出ていき、リザーバーバッグの方には一方弁で流れず、流れてきた酸素が溜まる、という繰り返しです。

スライド7.JPG

吸気の時にリザーバーマスクのバッグの中のエアーを送り込む、という行為は、吸気時に少しでも酸素を多く送り込んで、FIO2を上げようということなのですが、一時的には上がっても止めるとすぐに元に戻ります。ずっとは出来ませんからね…。


Q:自分の呼気はマスクから出ていくと思うのですが、それでも少しはCO2を吸ってしまう可能性があるためFIO2 100%ではないんですかね? リザーバーマスク15Lで高濃度酸素投与ってよくいいますが、実際100%ではないんですか?

15Lも酸素を流すと、いつもの数字よりずいぶん多いし、音はシューシューいうし、いかにも「たくさん流してるで、ドヤあ」、とばかりに「高濃度酸素」と言ってしまいますが、まあ、高濃度ではありますが、決して「高流量=吸気流速以上」ではありません。呼気じゃなくて、マスクの横から空気が入りますから、それでFIO2が低下するのです。

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2018年05月18日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問16・ハイフローセラピー6

Q:自分の病院にはハイフローシステムがありません。挿管せずにSpO2を上げるとしたら、NPPV以外であればリザーバーかインスピロンの選択もありでしょうか? 呼吸状態にもよりますが……加湿が必要なくてもインスピロンにするのはありですか?

A:「挿管せずにFIO2を上げるとしたら、」ということでしょうか。NPPVを使わない、ということでしたら、おっしゃるとおりリザーバーかインスピロンの選択になるでしょう。通常インスピロンを使うのは、加湿が必要なときやネブライザーとしての使い方になり、そうでないときにリザーバーを使う、という理解でよろしいかと存じます。


Q:ハイフロー機器を60L 100%まで上げているが、目盛りが60Lまでいかないときがあります。MEさんには「患者さんの呼吸状態でこれ以上上がらない」と言われましたが、どのような状態にあるのか教えてください。

A:60L 100%…相当ですね。そこまで目一杯にすること、あまりないと思いますが…。器械にもよりますけれども、ブレンダーの問題や原理的な問題から、60Lまで上がらないことはあります。

「患者さんの呼吸状態で…」という意味ですが、頻呼吸かどうかで吸気流速が変わりますから、それのことをおっしゃったのでしょうか?器械を含めその状況がわかりませんので、これ以上は何とも申せませんが…。

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2018年05月17日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問15・ハイフローセラピー5

Q:喘息の患者さんにハイフローとプロタノール持続吸入(インスピロン)の併用があり、ハイフローのダブル使いってあるのかナーと、疑問というか知識がないので教えていただけたら幸いです。ハイフローの流量は忘れましたが、インスピロンは10L 50%です。

A:この場合のインスピロンは、ネブライザー的な使い方なのかなあ、と推察します。少なくとも広く推奨されているやり方ではありませんが、喘息発作急性期で、
@著しい低酸素血症であり、FIO2を高く設定する必要がある⇒ネーザルハイフロー
Aインスピロンを使ってプロタノールレジスタードマーク(イソプロテレノール)持続吸入をさせたい
ということなのでしょう。

ネーザルハイフローがなかった時代、インスピロンで高濃度酸素(といっても成人の場合せいぜいFIO2は50%)+プロタノールレジスタードマーク持続吸入、というのはされていたようですが、ネーザルハイフローが登場して、それを併用することが推奨されるのかされないのか、決まりはないと思います。まあ、絶対ダメ、ということはないと思いますが…。

あ、ちなみに、小児の喘息発作の場合ですと、小児はTVが少ないので、インスピロンでFIO2が100%、とか、理論上はいけるわけです。ですから、インスピロン単独でプロタノールレジスタードマーク持続吸入、というのは酸素投与と同時に吸入も出来る、一石二鳥のステキな方法なわけです。

成人ではそうはいかず、FIO2が上がりませんので、ひと工夫必要なわけです。まあ、プロタノールレジスタードマーク持続吸入自体、ガイドラインでも成人には勧められていませんので、あまり行わないような気がしますが…。

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2018年05月16日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問14・ハイフローセラピー4

Q:ハイフローセラピーは加湿するために水滴が出てしまいますが、蛇管にたまった水は加湿器の方に戻すのか、一旦蛇管を外して処理をするのか? 呼吸器と違ってウォータートラップがないので……。

A:そうですね。ウォータートラップがないので、蛇管にたまった水は患者さん側に行くか、加湿器に戻るかしかありません。普通の人工呼吸器の回路でしたらウォータートラップがあり、そこを外して水を捨てるようになっていますが、ハイフローセラピーではないことが多いようです。

感染などを考えると、加湿器に戻すのは、水滴での細菌繁殖などを考えるとやりたくない。そうなると回路の途中を外して捨てるか…。念のためメーカーさん(F&P)に「蛇管にたまった水はどうしたらいいですか?」確認しましたら、「加湿器に戻してください」とのことでした。まあ、外さないとしたらそっちしかないですよね…。

おそらくネーザルハイフローであれば、回路を通過する混合気は100%鼻腔を通るために、感染のリスクは少ない、ということなのでしょう。


Q:・ハイフローセラピー使用時、口呼吸はしていないのでしょうか?

A:口呼吸に関しては多くのご質問を頂いております。当然、酸素は鼻から入るわけですから、口呼吸する量が増えると理論よりはFIO2が低下しますし、PEEP効果も低減します。ですから、なるべく口を閉じておくよう勧められているとは思います。

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2018年05月15日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問13・ハイフローセラピー3

Q:ハイフローセラピーでFlowのみ(FIO2 21%)は、どれくらいの効果がありますか?

・ハイフローセラピーの使用ですが、心不全の人には適さないと聞きました。本当ですか?

A:ハイフローで、O2を付加せずに空気をそのままハイフローにする意味ですね。少なくとも酸素化という意味では、若干かかるPEEP以上の意味はないでしょう。また、加温加湿によって気道の湿潤に効果がある、とする意見もありますが、積極的に勧められるには至っていないようです。

繰り返しになりますが、PEEPという意味ではNPPVの方がずっと確実に効果的です。ハイフローのメリットとしては、NPPVほどマスクによる装着感なしに、高くて確実なFIO2を決めることが出来る、という位置づけでいいと思います。

また、心不全の人に適さないとは…??ちょっとおっしゃった方の意図されるところがわかりかねますが…。心不全の時にはPEEPをかけたいので、NPPVの方がいい、という意味でしょうか?逆に、PEEPがかかってしまうので、血行動態が不安定なときには適していないという意味でしょうか?いずれにしても、「適さない」ということではないと思いますが…。

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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月14日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問12・ハイフローセラピー2

Q:ハイフローセラピーが導入になり2年ぐらいです。心臓血管外科の術後で使用しています。使用上の管理で重要点があればご指導ください。

・ハイフローセラピーシステム使用中の患者の合併症や、注意して観察することを知りたい。

A:ハイフローシステム、といっても、酸素を投与する形態が異なるだけで、他の酸素投与法と本質的には同じことです。ですから、注意点などもおおよそ同じですが…。

ハイフローのメリット、の裏返しで、圧が多少かかってしまう。まあ、それほど高いPEEPがかかるわけではありませんが、血行動態が不安定、とか、血圧が低い、とかいう場合には、血圧の変化に注意しておきましょう。

それと、FIO2が100%近くになる、圧が高くなる、ということで、酸素毒性を考えに入れる必要がありそうです。

挿管人工呼吸管理だと一応の目安として、FIO2が60%以上になる時間をなるべく短く…24時間以内で…みたいなことがいわれたりもしています。

ローフローシステムによる酸素投与が主流の時はFIO2も圧も高くなりませんでしたので、ほとんどそういうことは考えなくても良かったのですが、おそらくハイフローシステムだと(まだ確たるエビデンスはありませんが…)FIO2もフローも上げすぎない方がいいでしょう。

具体的には、SpO2が100%になってしまうのではなく、93〜98%あたりになるよう調節するのがいいでしょう。フローは30-40L程度で、FIO2が狙い目に入るよう調節する感じになると思います。

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posted by 長尾大志 at 20:52 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月11日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問11・ハイフローセラピー1

Q:ハイフローセラピーの設定基準を教えてください。

・ハイフローセラピー使用時の指示で、リットル数は固定でFIO2を上げ下げする指示なのはなぜですか。

・ハイフローセラピーでは、とにかく酸素をたくさん流すということは理解できました。しかし、実際FIO2は自由に設定可能である理由が理解できていません。もう一度教えていただけるとありがたいです。

A:ハイフローセラピーにもいくつかの器具がありまして、各々説明書に従って使って頂きたいのです。というのも器具によって方式が異なり、一概にこう使う、とはいえないからです。

スライド2.JPG

原理としては図の通りです。酸素が流れてくる配管と、空気が流れてくる配管を、一定の割合で混ぜ合わせて、FIO2と流量が定まった混合気をジャーッと流すわけです。でもこの「混ぜ合わせるやつ」がこんなに簡単ではない。コストの問題もあり、通常は…

スライド3.JPG

みたいな方式が多いです。混ぜ合わせるやつ(ブレンダー)で混ぜる割合、すなわちFIO2を決め、流量計でフロー(L)を決める、みたいな感じですね。

リットル数は空気の流速=フローで、これはあまり上げ下げしません。通常は30L/分を超えるように設定します。上げるといわゆるPEEP(効果)がかかりますが、上げすぎると不快に感じることがあります。

大事なのはFIO2で、これをキッチリ決めます。逆に、これは自由に決められるのです。患者さんの状態が良くなったら下げますし、悪くなったら上げます。通常はSpO2を確認しながら上げ下げ、ということになるでしょう。

フローとFIO2を混同するとわけがわからなくなりますから、しっかり確認してください。

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posted by 長尾大志 at 18:50 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月10日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問10・CO2ナルコーシス9

Q:COPDの患者でSpO2が80%など低下してきている患者に対して酸素投与を積極的に行っても大丈夫ですか? CO2ナルコーシスが心配です。

CO2ナルコーシス、CO2ナルコーシス、と強調されると、こういう疑問が生じるのはごもっともだと思います。しかし!ご質問のケースでは、とにかく酸素が足りない(SpO2が80%!)。これは緊急事態です。酸素を、少なくともSpO2>90%まで持っていきたいですね。

生命維持のためには、酸素が必ず必要ですから、低酸素血症は第一に対応が必要です。その上で、CO2ナルコーシスにも注意。この順番が大切です。

時々、低酸素が著しいのに「CO2ナルコーシスが怖い」と、チョロチョロとしか酸素を流さない、なんて聞きますが、まあ低酸素の度合いにもよりますが、SpO2が80%なのに、全然SpO2が上がらないような投与の仕方ではダメだ、ということです。もちろん多すぎると確かに呼吸が止まりやすいので、SpO2が90%前後ぐらいで収まるような、いい塩梅を目指します。

まとめますと、COPDで元々高CO2血症があるような症例では、酸素はある程度(SpO2 90%を目標に)しっかり投与、しかしCO2ナルコーシスの恐れもあるので、NPPVや挿管の準備は怠らない、そういう感じで考えて頂ければと思います。

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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月09日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問9・CO2ナルコーシス8

Q:透析室勤務の看護師です。数年前よりCOPDによるHOT使用中で、体力低下や家族の介護困難で入院してきた透析患者がいます。既往歴に間質性肺炎あり。入院直後にインフルエンザにかかり、現在うっ血性心不全を併発しているためドライウェイト調整中です。労作時にはSpO2 80%台への低下があり、O2 2.5L経鼻カニューラ投与で対応中ですが、医師からの指示でSpO2 85%以下で0.5LずつUP。最大5Lまで投与可とありますが、血ガスを採らない状態でこの指示は適切なのでしょうか? 患者は常に軽度の努力呼吸およびやや頻呼吸です。

A:私のセミナーできちんとしたやり方を学ばれた看護師さんから、ご自身の勤めておられる施設とのギャップに悩まれたご質問を頂くことが多々あります。本当に困りますよね…。

しかしこれが現実です。呼吸器内科のトレーニングをきちんと受けたドクターでないと、酸素投与法に興味がない、あるいは、施設の事情で血ガスが採れない、などなど、「血ガスを採取して評価し、CO2ナルコーシスのリスクを勘案して酸素投与法を決める」ことが出来ない施設は山ほどあるようです。

現実がそうであるなら、その上でどうするか、って話ですけど、ご質問のようなケースではどうすればいいでしょうか。

一番簡単?なのは、血ガスを採ってみる、ということなのですが…。

確認して頂きたいのは、過去にCO2ナルコーシスの既往があるか、COPDと間質性肺炎が合併しているようですが、過去に肺機能検査をされているか、というあたりです。肺機能検査で閉塞性障害があれば呼吸抵抗があるということですので、CO2が貯留する可能性はあると思いますが、あまり閉塞性障害がないという状況ですと、CO2は貯留しにくいかもしれません。

この指示が出て、実際どうするかということですが、とにかく大切なことはO2を増やした後にしばらくしっかりと観察をしていただく、ということ。つまりO2を増やした後に意識レベルが低下するかどうか、呼吸数が減ったりしないかどうか、これをしっかりと観察して頂きたいのです。

意識レベルの変調、呼吸数の低下はCO2ナルコーシスの危険信号です。それ以外に高CO2の症状として、頭痛、顔面紅潮、発刊、四肢の不随意運動(羽ばたき振戦)、血圧上昇などを観察して頂きたいと思います。

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posted by 長尾大志 at 17:12 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年05月08日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問8・CO2ナルコーシス7

Q:CO2ナルコーシスで意識混濁している患者さんへは全例NPPVと考えてよいですか? NPPVは意思疎通可、指示の入る方が適応かと思い、挿管しなければならないのかと思いました。酸素化が改善されれば意識状態が戻ってくるからですか?

A:「混濁」の程度が問題ですが、少し換気補助をすれば意識状態が改善する、ということもありますので、CO2ナルコーシスの症例に「まずNPPVをやってみる」というのは悪いことではないと思います。

NPPVのメリットは、とにかく気軽に出来る、すぐ出来る、すぐやめられる、ということですから、気管内挿管の準備を進めつつ、とりあえず鼻マスクをあててみる、で、いければそのまま続行、無理そうなら挿管、という流れでされているところが多いのではないでしょうか。

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2018年05月07日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問7・CO2ナルコーシス6

Q:終末期の患者さんで、ハイフローセラピー→リザーバー5L〜カニューラ2L/minへ変更すると翌日にはPCO2が急激に上昇しました。これはハイフローセラピーのCO2の洗い出し(ウォッシュアウト)効果があるということでしょうか?

A:ハイフローとローフローを比較すると、以前にも書きましたが、死腔の洗い出し分だけハイフローの方がCO2排出には有利だと思います。CO2が急激に上昇したのは、状態が悪化したせいもあるかもしれませんが…。


Q:マスクでO2 5L以下ですと呼吸の再吸入によりCO2が溜まることは認識していますが、実際はO2 3Lや2Lでマスクを使用しています。先生はどう思われますか?(O2 3LネーザルだとSpO2が下がる、でも5Lマスクでは多い、3LマスクだとSpO2が安定する患者など)

A:私はどう思うか、というご質問であれば、「その投与法は正しくありません」ということになります。元々CO2貯留がない場合であれば、うまくいくこともあるかもしれませんが、私の立場では、現状「正しくはこうです」としかいえません。実際、血ガスを採ってみられたらどうだったかを教えて頂きたいですね。

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2018年05月06日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問6・CO2ナルコーシス5

Q:元々CO2が高い人(COPDの人とか)は、マスクよりネーザル使用していますが、オキシマスクも使用しています。オキシマスクってどうなっているんですか?構造的によくわからないので教えて下さい。

A:オキシマスク。平たく申しますと、マスクの形状や酸素の吹き出し口を工夫することで、呼気を再吸入しにくくなっているマスクです。形はマスクで、再吸入しにくいという意味では経鼻カニューレに近い、と申しましょうか。

位置づけとしては、「1Lとかの低流量でも呼気の再吸入を気にせず使えるマスク」ということになります。3~7Lぐらいのところで、経鼻カニューレとシンプルマスクをいちいち替えなくてはならない、という場合など、便利に使えます。

詳しい原理については、株式会社エム・ピー・アイさんのHPをご覧頂ければと思います。無断でこちらに引用するわけには参りませんので。

いずれにしてもそんなわけで、COPDで慢性的にCO2が高く、CO2ナルコーシスが懸念されるような症例では、オキシマスクを使われることもあると思います。ただしベンチュリーマスクのように、FIO2が上がりすぎない、とかいう効果はありませんので注意が必要です。

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2018年05月02日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問5・CO2ナルコーシス4

Q:CO2ナルコーシスになった場合、ハイフローセラピーを選択するとのことですが、NPPVでもよいのでしょうか。バッグバルブで強制的に換気することがありますが、これは強制的に回数を増やしてCO2を出させる意味で行っているのですか?

A:CO2ナルコーシスになったときの対処は、「もっと換気をさせる」1択です。直接換気をさせる、という意味では、NPPVや挿管人工呼吸、ということになります。バッグバルブもそうですね。

「酸素投与の方法で、CO2ナルコーシスでも比較的使いやすいのはどれ?」というご質問であれば、ハイフローセラピーも確かにそうなのですが、あくまで「酸素投与の中で」比較的まし?という程度です。

というのは、以下のような効果があるからです。

・高流量を流すので、鼻腔〜咽頭の解剖学的死腔にある呼気(当然、CO2を多く含む)を洗い流すというところで、CO2排出に貢献する。

・高流量によるPEEP様効果で、呼気時気道の虚脱が軽減する。

これらはネーザルハイフローの利点としてよく(主にメーカー側?が?)語られていますが、だからといってNPPVに替わるものではありません。そもそもCO2ナルコーシスの時は、低酸素が問題(高流量が必要)ではなくて、高CO2が問題ですからね。NPPVが優先です。

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2018年05月01日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問4・CO2ナルコーシス3

Q:CO2がたまりすぎると、外になかなか出ていかなくなるのは、どうしてですか。

A:CO2が貯留して、呼吸性アシドーシス〜アシデミアになると、意識障害が起こってきて、呼吸中枢の異常⇒自発呼吸が減弱します。

CO2を外に出すには呼吸をしなくてはならないのに、呼吸が減弱してしまって、余計にCO2が溜まってしまう、それがCO2ナルコーシスなのです。

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2018年04月27日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問3・CO2ナルコーシス2

Q:カニューラで4L投与するとCO2ナルコーシス?だったかになるからマスク4Lに変えて、と言われたことがあります。その違いが知りたいです。

A:経鼻カニューラとマスクとの大きな違いは、吐いた息が溜まるかどうかです。

図スライド.jpg

マスクは鼻・口の周りを取り囲む100〜200mL程度の大きさのドームです。もちろんシンプルマスクでは孔があいてはいますが、それでも吐き出した息の幾ばくかはマスク内に残り、次の吸気でそれを再吸入してしまうと考えられています。

ですからマスクで低流量、5L/分未満はあまり好ましくないとされます。特にCO2貯留傾向のある症例では避けるべきです。

それとは別に、経鼻カニューレで4L、というのは、普通の換気状態であれば結構FIO2が高くなりますので、それはそれで好ましくありません。

でもご質問のように、経鼻4Lはダメでマスク4Lにしなさい、というのも違うと思います。ご質問のような場合でしたら、経鼻カニューレであれば、(SpO2を見ながら)低流量から、マスクなら、ベンチュリーマスクを使う、とかですね。


これから第58回日本呼吸器学会学術講演会@大阪国際会議場へ向かいます。ポスター発表「教育・終末期医療他」セッション発表の先生方、よろしくお願い申し上げます。また書籍コーナーにも出没予定。

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posted by 長尾大志 at 12:55 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月26日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問2・CO2ナルコーシス

Q:CO2ナルコーシスについて。どんな疾患・どんな人に特に注意していけばいいでしょうか。(酸素療法を行うにあたり)

A:早速質問がかぶってきましたね…。CO2ナルコーシス、というのは、CO2の蓄積によって呼吸性アシドーシスを来たし、意識障害を招いて自発呼吸が減弱する病態です。

通常、慢性に高CO2血症〜U型呼吸不全がある症例において、不用意に?高濃度酸素を投与することで、呼吸ドライブが抑制されて低換気〜さらにCO2貯留、という流れが考えられています。

ですから疾患としては、基礎にCOPDなどの、CO2が溜まるような慢性肺疾患、それに換気量が低下しがちな神経筋疾患がある、などの場合、注意が必要です。

出来れば慢性にそういう疾患がある場合、安定期でも血液ガスを採って、CO2貯留の有無を見ておきたいところですね。

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posted by 長尾大志 at 17:58 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月25日

書籍企画・「酸素にまつわるエトセトラ」の質問1・酸素吸入の目安とは

しばらくこちらで学会予習をしているウラで、書籍やら講演スライドやら各種問題作成やらで実はてんてこ舞いでした。各種問題はこちらで公に出来ませんからねー。

それらもだいぶ終えまして、これからはまた「酸素」「低酸素」系のお仕事です。

以前、メディカ出版さんの雑誌『呼吸器ケア』で、『素朴なQ にカンペキA! 長尾先生のやさしイイ 気胸・胸水・胸腔ドレナージ』という巻頭特集をお任せ頂いたことがありました。

その時のQ&Aは、今でも名作と思っていますが、ずいぶん前に雑誌は売り切れて手に入らないようです。残念……それはさておき、次は酸素にまつわるQ&Aを考えてみよう、というわけです。いろいろとこれまでに頂いたご質問にお答えして参りますよ。これからご質問を頂いても、もちろんOKです。酸素にまつわるご質問がありましたら、コメント欄にどうぞ。


Q:療養型の老人病院です。SpO2が低下なくても呼吸状態や末梢チアノーゼなどにより、酸素吸入を行う時もあるのですが、O2 3L以上はめったに流していません。O2吸入、使用の目安、流量について教えて下さい。

A:いきなり核心に迫るご質問ですね(笑)。まずは、O2吸入、使用の目安、流量について、ということですが、それだと全部になってしまう(汗)ので、あくまで一般論としてのO2投与の目安をお答えします。

でも実際、療養型などで、検査なんかもなかなか難しい、アセスメントも出来ない、でもなんか苦しそう、チアノーゼがある、とかで「酸素でもいっといて」みたいな場面、意外にあるのではないでしょうか。実はこういうご質問、結構頂くのですね。

一般論としては、経鼻カニューレで流すようなローフローシステムの酸素であれば、少なくとも(酸素中毒など)害になることは少ないと考えられます。ですから、SpO2 が低下している、特に90%を下回っている、というとき、頻呼吸で苦しそうなとき、チアノーゼが見られるときなど、2~3L/分投与してみて様子を見る、みたいな感じでされていることが多いようです。

また、基礎にCOPDがある、慢性にU型呼吸不全がある、などの場合、CO2ナルコーシスの危険があり、過量のO2投与は勧められません。そういう場合には経鼻カニューレでも0.25Lとか0.5L、みたいに少量からの投与が望ましいでしょう。

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posted by 長尾大志 at 19:09 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月06日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて30・死腔とは3・ネーザルハイフローについて、その他いわれていること

ネーザルハイフローのメリット、として挙げられていることがいくつかあります。

もちろんFIO2の、特に高流量のところを、キッチリ決めることが出来る、着けたまま会話や飲食が可能、それは当然のことですが、それ以外に以下のようなことがらがあります。

  • 加温・加湿によって喀痰除去を助ける

  • PEEPがかかる

  • 死腔を減らし換気効率を上げる


PEEPについては、メーカーも「軽くPEEPがかかる」みたいな謳い方をしていて、大してかからないことは認識されていそうです。高流量の混合気を流すので、ちょっと圧がかかりますが、その圧は2cmH2Oからせいぜい4cmH2O程度、といわれていて、それほどでもありません。

ですので、真面目に?PEEPをかけたいときは、NPPV(non-invasive positive pressure ventilation:非侵襲的陽圧換気)やIPPV(invasive positive pressure ventilation:侵襲的陽圧換気)等、人工呼吸のシステムを使います。


それと死腔を減らす件ですが、やはり高流量の混合気が流れるので、呼気の洗い出し効果が期待される…とよく書いてありますが、おわかりでしょうか。

スライド51.JPG

呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきますよね。

スライド52.JPG

で、次に息を吸うときには、体外の呼気は一瞬で拡散して、きれいな大気になっているわけで…

スライド53.JPG

体外(外界)の空気350mLと、気道内(死腔)の空気150mLを吸い込むことになります。

スライド54.JPG

ネーザルハイフローを使っている場合、息を吐いてから次に吸うまでの、ホンの一瞬で…

スライド55.JPG

鼻腔から上気道あたりの空間に酸素が充満します。なんせ高流量なもので。

スライド56.JPG

従って、死腔の一部が酸素に置き換わり、ガス交換したのと同じ効果が得られます。これを「洗い出し効果」と呼んでいます。

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posted by 長尾大志 at 18:52 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月05日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて29・死腔とは2・死腔の意味

細かい絵を描くとごちゃごちゃするのでシンプルに気道と肺胞、それから呼吸で出入りする大気の関係を表す絵を描きます。

スライド46.JPG

これで呼吸をさせてみましょう。吸気時には肺胞(呼吸領域)が膨らみ、空気が入ります。だいたい1回換気量は500mLくらいと考えますと、500mL分、肺胞が膨らむことになります。そこでガス交換をします。

スライド47.JPG

で、呼気時には、ガス交換の済んだ(汚れた=酸素が少なく二酸化炭素が多い)空気が肺胞から出てきます。

スライド48.JPG

外界に出た呼気は、すぐに拡散してきれいな空気(酸素の多い、大気)になります。で、次に息を吸うわけですが…。

スライド49.JPG

その際、死腔にある空気150mLも吸気500mLに含まれることにご注意ください。

スライド50.JPG

まあ、こんな面倒くさいことを言わなくても、気道内の空気150mLが吸気呼気で行ったり来たりする、だから1回換気量は死腔分150mLを差し引いて考える、そのくらいの考え方でも間違いではありません。

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2018年04月04日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて28・死腔とは1

死腔とは何か、どういうものなのか、よく質問を頂きます。ちょっと難しいですね。

肺を思い出してください。

スライド44.JPG

吸入気は、口や鼻から入ります。で、咽喉頭で合流し、気管に入ります。気管は1本ですが、気管分岐部(1個目の分岐)で右と左、2本の主気管支に分かれます。その後もどんどん分岐していき、16回目ぐらいの分岐のところから、気管支の横に肺胞がくっつきます。そうすると、その領域では気管支内にある空気もガス交換に関与する、ということになりますから、それ以降の領域を呼吸領域、といいます。

それ以前、15回目の分岐の気管支(終末細気管支)あたりまでに存在する空気はガス交換に寄与しません。気管から終末細気管支までを、ただ空気が通過するだけの領域、という意味で伝導気管支と呼びます。

スライド45.JPG

その、伝導気管支分の容積はだいたい150mL程度で、呼吸に関与しない腔、という意味で「死腔」と呼ばれています。

最終的には気管支は23回ぐらい分岐して最終の肺胞のカタマリ(肺胞嚢)に到達します。

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posted by 長尾大志 at 21:44 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年04月03日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて27・酸素の投与法7・ネーザルハイフローについて

インスピロンは「FIO2を上げるために使う」ものではなくて、「気道の加温加湿をしっかりと行うためのシステム」という位置づけが正しいのです。例えば術後、排痰を促したいときとか、気切症例で(鼻を経由しないので)気道が乾燥しがち、とか。まあ後者では昨今は人工鼻が使われることが多いでしょうか。


一方、ベンチュリーマスクやインスピロンに比べると、ネーザルハイフローに代表される、新世代のハイフローセラピーシステムは、考え方としてはとても簡単です。

流量を調節するところの改良によって、これまでのように15L/分まで、といったチンケな量でなく、最初から堂々と30L/分以上流せるようになっているのです。ですから、流量(30l/分以上)とFIO2を決めれば、その決めたFIO2が流されている、と見なすことが出来るのです。

スライド43.JPG

鼻に直接高流量を送り込むと、乾燥して痛みや不快感、鼻出血の原因になるのですが、ネーザルハイフローでは加温加湿をしっかりと行うことによって、そういういうことがないよう工夫されています。

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2018年04月02日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて26・酸素の投与法6・インスピロンについて2

インスピロンだと、目盛りに「100%」なんて書いてある。それで、つい、FIO2は今100%なんだ、てな勘違いをしてしまう。

考えてみれば、元々せいぜい15L/分までしか流れてこない酸素システムで、どうやってFIO2を100%に出来るのか。これは無理な話なんです。

確かに目盛りは100%と書いてありますが、これを100%にすると、空気孔から空気が入らなくなり、流れてきた酸素がそのまま100%で、蛇管内を流れていくことになるのです。

ということは…その使い方だと、ローフローシステムになってしまっているのですね。

スライド42.JPG

ローフロー、ということは、吸気時には蛇管を流れてくる酸素だけではまかなえず、周囲の空気を吸い込んでしまい、FIO2は思っているよりも低下してしまう、ということです。

それでは正しくハイフローとして使うにはどうするか。実はO2の流量と、目盛の%とを組み合わせれば、実際に蛇管を流れる混合気の流量が計算できまして、ちゃんと表になっています。
https://www.j-mednext.co.jp/library/inspiron_faq_safe_ans.html
日本メディカルネクスト株式会社HPインスピロンQ&A「より安全にお使い頂くために」

その表で、30L/分以上になるように(つまりハイフローが成立するように)、O2流量と%を組み合わせて使う、というのが、インスピロンの正しい使い方なのです。

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2018年03月30日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて25・酸素の投与法5・インスピロンについて

インスピロンも古くからあるハイフローシステムですが、今でも誤解されて使われているケースをよく見かけます。

基本的にはベンチュリーマスクと同じで、「流れてきた酸素に一定の割合の空気を混ぜることでハイフローを作る」システムです。

ベンチュリーマスクもそうですが、元々、昔ながらのローフローシステムからやってくる、せいぜい12L/分とかの流量である酸素を、ジェット化して空気を混ぜてハイフローにするシステムなのです。

スライド41.JPG

なので、ハイフローで流れてくる混合気のFIO2は、せいぜい50%にしかならない、というところに注意が必要です。ベンチュリーマスクではアタッチメントに(O2 ○L、FIO2 ○%)と書いてあって、最大でも50%までのものしかありません。ですから間違えることはないと思うのですが…。

インスピロンだと、目盛りに「100%」なんて書いてあるんですよね…。

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2018年03月29日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて24・酸素の投与法4・ベンチュリーマスク詳しく

もうちょっと詳しく書きますと…酸素が流れてきて、アタッチメントを通過するときに、経路が急に狭くなります。経路が狭くなると流れが速くなりますので、勢いよくプシューっと酸素が口から飛び出し、流速が上がります。

そこへ、横の開口部から空気が入ってきます。ジェットみたいな速い流れがあると、周りの空気はそこに吸い寄せられる性質があるのです。その性質で、周りの空気を引っぱりこむわけですね。

スライド40.JPG

この、酸素の出てくる孔の径と、横の開口部の大きさが決まっていて、流す酸素の流量も決めると、酸素と周りの空気の混じる割合も決まり、混じった混合気の流量も決まってしまうのです。つまり30L/分以上の流量になり、FIO2も決まる、ということになります。ですからアタッチメントごとにちゃ〜んと決められた酸素流量を守らなくてはなりません。

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2018年03月28日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて23・酸素の投与法3・ハイフローシステム・ベンチュリーマスク

ハイフローシステムには、昔から使われているベンチュリーマスク、インスピロン、それから最近使われるようになったネーザルハイフローシステム、などがあります。

ベンチュリーマスクは簡単な仕組みですが、FIO2をきっちり決めることができます。

スライド39.JPG

図のアタッチメントを交換することで、酸素と空気の混ざる割合が変わり、FIO2を変えることができます。

アタッチメントより患者側では、30L/分以上のハイフローで流れますから、吸気の流量を流れてくる混合気でまかなうことができます。ですからそこを流れてくる酸素の割合が、吸気のFIO2になるのです。

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2018年03月27日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて22・酸素の投与法2・ローフローシステム

酸素投与といえば、すぐに思いつくのが経鼻カニューレだと思います。経鼻カニューレは鼻につけたチューブから酸素を1分間に1Lとか2Lとか流すものですが、それ以外にシンプルマスク(鼻と口を覆うようなマスク)から酸素を流す方法もあります。

もっとたくさん酸素を流したい場合にはリザーバーマスク(マスクの手前に袋のような酸素を貯める場所がくっついたシステム)を使うことが多いでしょう。リザーバーマスクの場合は、1分間に10Lとか12 L とか結構たくさんの酸素を流しますよね。

例えば1分間に1L酸素を流すと、1秒間には1L÷60秒=16.7mLの酸素が流れてくることになります。

ところで人の一回換気量(安静換気で1回息を吸うときに吸い込む空気の量)とはどのくらいでしょうか。だいたい体重✕10(mL)、体重が50 kg の人であれば500mL程度といわれています。

安静時の吸気に要する時間が大体1秒程度とすると、人はこの500mLを1秒間で吸いこむことになります。

つまり人の吸気は秒速500mL 、先ほど申し上げた通り1分間に1Lの酸素というのは1秒間あたり16.7mLになります。これは一回換気量500mLのうち極めて少量で、残りは鼻や口の周りの空気を吸い込んでいるのです。

例え1分間に12 Lの酸素をシューシュー流したとしても1秒間に換算すると12÷60で200mLにしかなりません。ということは後の300mLは周りの空気を吸い込んでいることになります。

これまでのシステムでは壁の配管から流れてくる酸素の流量計は最高でも1分間に15L、1秒間にすると250mLしか流れませんでした。この流量では人間の1回吸気量の半分程度しかまかなえません。こういう、1回吸気量に満たない量しか供給できないシステムをローフローシステムと呼んでいます。

1秒間に500mL以上流そうとすると、1分間に換算すると30L以上となります。これ以上の流量を流すと、1回吸気量がまかなえますので、そういうシステムをハイフローシステム、といいます。

ローフローシステムでは、FIO2はこちらの意図した通りにはなりません。というのは息を吸い込むときに、流れてきた酸素と周りの空気とがどのくらいの割合で混合されるかが決まっていないからです。

例えば呼吸回数が少なくなると、息を吐いてから次に吸い込むまでの間に、解剖学的リザーバーと呼ばれる鼻腔(50mL程度の容量あり)に酸素がたまります。次の吸気でその酸素を一緒に吸い込みますので、FIO2は少し上昇します。

逆に頻呼吸の場合、息を吐いてから次に吸い込むまでにほとんど時間がありませんから、FIO2は低下します。通常は酸素が欲しい時ほど頻呼吸になりますが、皮肉なことに頻呼吸になるほどFIO2が低下するのです。

逆にCO2ナルコーシスの時のように、酸素が多くなりすぎるとやばいですよ、という時ほど呼吸がゆっくりになってFIO2が上昇してしまいますので、注意が必要です。

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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場

2018年03月26日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて20・低酸素のアセスメント法4・低酸素の度合いはいかほどか?P/F比

低酸素だ!大変だ!で、どのくらい大変なの??SaO2は?PaO2は?ところでSaO2の見かた、PaO2との関係は?

SaO2は酸素飽和度ですから0%から100%の間をとり、100%が満点です。静脈血でもある程度はヘモグロビンが酸素とくっついてますので、SaO2が60〜70%程度あるわけです。

PaO2とSaO2の間にはちゃんと決まった関係があって、それを表したグラフが酸素解離曲線と呼ばれています。ご覧になったことがある方も多いと思いますが、ちょっとクセのある形をしています。

スライド35.JPG

これ自体を覚えるのは大変なんで大体の代表的な SP O2とPaO2の対照表というのがあってこんな感じです
PaO2 Torr 80 60 55 50 40
SaO2 %  95 90 88 80 75

正常ではSaO2 95%(PaO2 80Torr以上)は保たれているものです。SaO2 90%(PaO2 60Torr)を下回ると、組織に十分酸素が行きわたらず生命の危険を生じるので呼吸不全と呼ばれます。

この解離曲線にも合理的な理由があって、酸素のたくさんある(つまりPaO2の高いところ)、それは肺ですね。肺では酸素が飽和しやすい、つまりくっつきやすい。酸素を積み込みやすいわけです。で、多少肺が傷んでPaO2が低下しても酸素のくっつきやすさというのがそう変わらない、大勢に影響がないということになります。

スライド36.JPG

一方、末梢の組織ではヘモグロビンからO2が外れやすい方がいい。酸素が少ない環境ではヘモグロビンと酸素はくっつきにくい方がいいってことですね。酸素解離曲線が急降下しているので、ちょっと酸素の分圧が減ってもヘモグロビンからじゃんじゃん酸素が離れて組織に移行するということになります。


ついでに酸素解離曲線の右方シフトについて簡単に説明します。これはボーア(Bohr)効果とも言われています。この曲線自体が右に動くということは、同じPaO2でもSaO2が低い、ヘモグロビンがより酸素を離しやすいということを意味します。水素イオン濃度や PaCO2、温度、それから赤血球内の2.3-DPG の濃度が何れも上昇すると右方シフトするのです。

スライド37.JPG

これは何れも、末梢の組織(筋肉など)において、ヘモグロビンがより酸素を離しやすいようなメカニズムになっています。

筋肉では、より多くの二酸化炭素が産生されていますし、その結果pHはより低い(酸性=水素イオン濃度が多い)、それから筋肉ではより体温・温度が高いわけです。2.3-DPG の赤血球内濃度は慢性の低酸素状態で上昇しますのでこれもまた同じメカニズムということになります。


さて、SaO2やPaO2を見ることで、その時の「酸素飽和度」「酸素分圧」はわかりますが、果たしてそれだけで正味の評価になるのでしょうか?

例えば、救急車に乗ったり医療機関に到着したりすると、低酸素血症の患者さんには当然酸素投与がなされます。O2を吸っていない、室内気の患者さんと、O2を12L、リザーバーマスクで吸っている患者さんと、挿管下人工呼吸で、FIO2が100%の患者さんとは、同じSaO2であっても話がずいぶん違います。

酸素をたくさん吸入すればSaO2やPaO2は当然上昇するわけで、今実際どの程度の酸素吸入をしているかということを勘定に入れて SaO2やPaO2を評価する指標が必要になります。そのためにP/F 比を計算するのです。

これは簡単な計算で、PaO2をFIO2で割ったものになります。

P/F 比=PaO2÷FIO2

ただし、この計算をするためにはFIO2が正確である必要があります。つまり酸素流量の少ないローフローシステムだと、FIO2は正確でないので P/F比は計算できません。

通常は挿管人工呼吸管理、またはネーザルハイフローなどのハイフローシステムによって酸素が供給されているときに限ります。

例えばFIO2が50%でPaO2が100Torrのとき、PF 比は100÷50で200になります。ここでFIO2を70%に上げてPaO2を測定したら140でした。さて、肺はよくなっているでしょうか…??

PaO2だけ見ると、一見よくなったように見えますが、P/F比を確認してみましょう。

P/F比=140÷70=200

…同じですね。

このように、P/F比を計算すれば「本質的には」状態は変わっていない、ということがわかるわけです。

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2018年03月23日

看護師さん向け書籍企画・「低酸素」のすべて19・低酸素のアセスメント法3・肺炎以外のミスマッチ・シャント・拡散障害

肺炎以外にも多くの肺疾患で、肺胞の換気のところが障害を受けてミスマッチになります。COPD、心不全(肺水腫)、気胸、無気肺、胸水なんかでもそうですね。

これらの疾患で見られる所見としては、機序によって大きく2つあります。1つは病変部の換気が減る⇒呼吸音が減弱するわけで、気胸や無気肺、胸水のように普通は片方で起こる疾患では、片側の呼吸音が減弱します。そこで聴診では、呼吸音の左右差がないか、耳を澄ませて聴いて頂きたい。

COPDでは通常両側の肺胞が破壊されていますから、両側で呼吸音が減弱します。

もう1つの機序は、肺炎同様、気道にあふれ出した浸出液・分泌物によって生じる湿性ラ音(水泡音)です。心不全や肺水腫は通常両側に生じますので、湿性ラ音も両側で聴取します。

X 線写真でも肺炎同様、片側が白くなることが多いです。特に無気肺や胸水の時によく見られます。COPDでは、過膨張となり肺が大きく、横隔膜が平坦に見えることが多いです。


血流側の問題によるミスマッチの代表は肺血栓塞栓症ですが、こちらは身体診察所見に特徴的なものはあまりありません。ただ下肢の静脈瘤は重要な所見ですから、下肢の特に片側の浮腫、それから深部静脈の圧痛には注意しましょう。

それから血栓を起こしやすくなるような状況、すなわち長期臥床、手術、過去の肺塞栓の既往や癌がある、などがあると積極的に疑う根拠になりますので、こういった病歴を聴き取ることも大事です。

シャントでは、先に挙げた肺動静脈瘻ではあまり特徴的な所見はありませんが、先天性心疾患では聴診で心雑音が聞こえたりして、シャントの存在に気づくことがあります。


拡散障害を引き起こす代表的な疾患である間質性肺炎に特徴的な聴診所見は捻髪音です。水泡音との違いは、聞き慣れないと若干難しいですが、吸気の後半、終末にかけてだんだん大きくなる、細かい「パチパチパチ…」という音です。

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posted by 長尾大志 at 19:48 | Comment(0) | ナースのための呼吸器道場