2017年09月19日

症例検討会BRONCHO19−3

昨日は台風で気圧が下がると同時に異常な(変な)体調不良を来しまして、ちょっと更新をお休みさせて頂きました。失礼致しました。昨晩12時間ほど睡眠した結果、すっかり回復しました。一体何であったのか…?



さて症例に戻ります。


血液検査からは若干の炎症所見、胸部X線写真では左中肺野、3〜4弓シルエット陰性、つまり左下葉の濃度上昇がありそうです。コンソリデーションでしょうか。ハッキリとした所見がありますから、ある程度しっかり肺に病変を作る、急性ないし比較的ゆっくりした経過を持つ感染症、が考えやすそうです。


  • 亜急性〜慢性経過の気道病変+急性感染症

  • 抗酸菌感染

  • 何らかの免疫低下±急性感染



あたりでしょうか。


で、治療についてはいかがでしょうか。本症例を感染症と想定したとして、若年であり、重症度は低いと考えられるため、そのまま外来診療になるかと思われます。で、どうするかですね。あまり症状が強くないので治療なし、ないしは対症療法とするのか、そこそこ派手な陰影がありますから抗菌薬なんかを投与するのか、まずは喀痰やその他検査を行うのか。


本症例では、そこそこの経過であった痰は喘息のコントロールがよくなかったのではないか、プラス今回は急性の肺炎ではないか、と考えられて、抗菌薬の投与が行われていました。喀痰も外来受診中には採られなかったようです。



Q:では、その際に選択するのが望ましい経口抗菌薬を1つ選択して下さい。

ペニシリン系
セフェム
マクロライド系
キノロン系


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posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月15日

症例検討会BRONCHO19−2

病歴の情報が少ないので、なかなかこれだけでは絞れるものではありません。3週間前からの痰、それと今朝からの37.5℃発熱が一連のものなのか、偶々(必然?)の合併であるのか、それすらもハッキリしませんね。


40歳代ですしまずはオッカムの剃刀で一連のものと考えると、急性感染症、すなわち一般的な細菌感染症、ウイルス感染症は可能性が低い△。ただし膿瘍や、ある種のウイルス感染症はありでしょう。


経過の長さからすると抗酸菌感染は外せません。あくまで一連の経過をひとくくりで考える場合ですが。ただし既往にハッキリした結核の接触などはないようですし、極端な免疫低下を示唆する情報もありません。


それ以外に経過からはアレルギー性疾患、広い意味の自己免疫性疾患や血管炎なども考えられます。



<入院時身体所見>
BT=38.2℃ SpO2 97% HR 118

胸部:
呼吸音:左前胸部でwheezeを少し聴取。左下肺で呼吸音減弱。

腹部:
平坦・軟・腸雑音減弱亢進なし・圧痛なし
排便1日1行

四肢・体幹:
両側下腿浮腫なし、両側足背動脈触知良好



このまま検査所見へ。


<検査所見>

HT 47.5、HB 16.6、RBC 5.08万、WBC 10,800 (NEUT 86.1%、EOSIN 1.0%、BASO 0.2%、LYMPH 7.0%、MONO 5.7%)PLTS 21.7万
AST 25、ALT 41H、LDH 241 H、ALP 261、G-GTP 28、T-BIL 1.03、NA 137、CL 98L、K 4.0、UN 10.0、CRE 0.90、eGFR 78.5、CRP 3.46H


<胸部X線写真>

スライド70.JPG



Q:ここまでの情報で鑑別診断は?


Q:本症例の治療はどうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:32 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月13日

症例検討会BRONCHO19−1

症例 40歳代男性


<主訴>
喀痰、発熱


<現病歴>
3週間前から痰がよく出るようになった。今朝から発熱37.5℃となり当科受診となる。咽頭痛や鼻汁などは自覚していない。


<既往歴>
幼少時から 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎あり。近医にて下記処方されている。

2年前 肺炎(詳細不明)


現在の内服
 ムコダイン
 アレロック(アレルギー性鼻炎)
 フルタイド200(喘息)
 ステロイド外用薬(体)
 プロトピック(顔に) 


<家族歴>
特記事項なし


<生活歴>
喫煙:なし
飲酒:なし


<アレルギー>
特記すべきことなし


Q:鑑別診断として、考えられる疾患は?

細菌感染症
抗酸菌感染症
ウイルス感染症
アレルギー性疾患


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月07日

動脈血液ガス分析1

さてここで一度、動脈血ガス分析のおさらいをしておきましょう。


動脈血ガスの正常範囲

pH=7.350〜7.450(7.400±0.05)
PaCO2(動脈血ガス二酸化炭素分圧)
=35〜45Torr(40±5)
PaO2(動脈血ガス酸素分圧)
=80〜100Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=22〜26mEq/L(24±2)


です。
ちなみに最近よく看護師さんが採っておられる静脈血液ガスの正常範囲は、


pH=7.37
PvCO2(静脈血ガス二酸化炭素分圧)
=48Torr
PvO2(静脈血ガス酸素分圧)
=40Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=26(24〜28)mEq/L


ぐらいです。pHとPvCO2、HCO3-の動きには動脈血同様の意味がありますので、PaO2を知りたい、というのでなければこれで代用してもいいでしょう。でも、研修医の先生には、血ガスぐらい自分で採って頂きたいものです。


動脈血液ガス分析結果の見かた

@pHを見る。→アシデミアかアルカレミアか正常範囲かを確認する。これが正常範囲でなければ、何らかのアクションが必要。

Aアシデミア、またはアルカレミアの場合、そうなっている理由が呼吸性なのか代謝性なのかを確認する。
アシデミアの場合:呼吸性アシドーシス(PaCO2>45)か、代謝性アシドーシス(HCO3-<22)か。
アルカレミアの場合:呼吸性アルカローシス(PaCO2<35)か、代謝性アルカローシス(HCO3->26)か。

BpHが動いている原因がわかったら、それと違う方(呼吸性・代謝性)が代償している(逆方向に動く)がどうか確認する。
例:呼吸性アシドーシスがあったら、代謝性アルカローシスで代償しようとするはず。

代償していれば、ある程度長い間その状態であり、代償していなければ、急性期である。


呼吸器研修ノート

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posted by 長尾大志 at 17:29 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月06日

症例検討会BRONCHO18−8

昨日は時間の都合?でサッサッサッと進みましたが、付いてこられましたか?


まずは低酸素をみたときに、これはハッキリしている病態で説明可能なのかどうか、評価する必要があります。わかっている病態だとこれほど低酸素にならないのではないか、となると、それ以外に低酸素になる理由(換気血流ミスマッチ、シャント、拡散障害と肺胞低換気)のどれかが存在しないか、考えてみる必要があります。


呼吸器疾患によく合併するものとして、肺高血圧症と肺血栓塞栓症が知られています。これらは主にミスマッチによって低酸素を来しますが、肺高血圧の原因として、肺疾患および/または低酸素血症による肺高血圧、というジャンルがあるくらいですから、合併例は少なくありません。特に、COPDに線維化が合併したCPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema:気腫合併肺線維症)で肺高血圧は多いとされています。


また、膠原病関連の肺高血圧症も肺高血圧の1ジャンルであり、膠原病合併間質性肺炎と肺高血圧症の合併?もしばしばみられます。


それから、ADL低下やステロイドの使用、癌の合併など、呼吸器疾患では血栓のリスクも高まることがありますので、こちらも注意が必要です。



肺高血圧の診断・治療にはガイドラインがあり、それほど悩まずともフローチャート通りに行けばきちんと診断、治療を考えることが出来るのですが、これがちょいちょい(おそらく薬が出るたびに?)変わるので、新しいものを知っておかなくてはいけません。


現状ではこちらになるかと思います。診断フローチャートはFigure1になります。
2015 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension: The Joint Task Force for the Diagnosis and Treatment of Pulmonary Hypertension of the European Society of Cardiology (ESC) and the European Respiratory Society (ERS): Endorsed by: Association for European Paediatric and Congenital Cardiology (AEPC), International Society for Heart and Lung Transplantation (ISHLT).
Galiè N, et al. Eur Heart J. 2016 Jan 1;37(1):67-119.


PHを疑ったら経胸壁心エコーを行います。そこで三尖弁逆流速度や右心負荷所見を評価し、PHが疑わしいとなったらPHの原因として頻度の高い左心系疾患や肺疾患の評価を行います。


それらがない、関与が少ない、となりますと、次は慢性血栓閉塞性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の有無を確認するために換気血流シンチグラフィや造影CTを施行します。その後診断確定、および分類のために右心カテーテル検査で肺動脈圧、肺動脈楔入圧や肺血管抵抗などを測定していきます。


で、平均肺動脈圧≧25mmHg、かつ肺動脈楔入圧≦15mmHgであれば肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)と診断、ということになります。


本症例ではIPFに合併したPH、ということで、nintedanibを導入し経過、治療効果を確認するとともに、PHに対して血管拡張薬を考慮することになりました。いずれも薬価が高く副作用のこともあり、効果がなければダラダラと継続すべきではありませんので、きちんと効果の確認が必要です。


また、間質性肺炎と肺高血圧症があることから、その基礎疾患としての膠原病が今後発症してこないかどうかも、注意深く観察する必要があるでしょう。


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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月05日

症例検討会BRONCHO18−7

肺機能検査では、%VCが65%と、それほど拘束性障害が強くはありませんが、それに比して%DLCOが24.3 %とかなり低い。それに安静時でも既にPaO2<60Torrと結構な低酸素です。


なんか、肺活量の割に、拡散障害が強く、低酸素が過ぎませんでしょうか??患者さんを何例か診たことがあれば、違和感があると思います。ただIPF、というだけで%VCが65%だと、それほど(少なくとも安静時には)低酸素にはならないと思われます。


そこで思い出して頂きたいのが、胸部X線写真における「両側肺動脈影の径拡大あり」所見です。気付かれていましたか?今まであえてスルーしてきましたが、これは肺高血圧の所見なのです。肺高血圧が合併するとしたら、この拡散障害〜低酸素も納得ですね。


そこで、さらに心エコーを施行、右心負荷所見を認めたため、換気血流シンチを施行。換気、血流ともに欠損域なし〜慢性血栓閉塞性肺高血圧症(CTEPH)を否定して、右心カテーテルにて肺高血圧症の確認、評価を行いました。


<右心カテーテル検査>
PCWP 7 mmHg mPAP 35 mmHg



Q:最終的な診断、分類は?
治療薬は何を使いますか?


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posted by 長尾大志 at 18:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月04日

症例検討会BRONCHO18−6

あ…そういえば、GAP indexについて…書いていませんでしたね。


まあ必須、というわけでもなく、いわれてみればそうだろうな、という感じのものですが、知らないと気になりますので、ご紹介しておきましょう。


GAPとはG(Gender:性別)A(Age:年齢)P(Physiology:生理学的指標)の頭文字で、これらの組み合わせで予後予測になる、という報告があるのです。
A multidimensional index and staging system for idiopathic pulmonary fibrosis.
Ley B, et al. Ann Intern Med. 2012 May 15;156(10):684-91.


G 女性 0
  男性 1

A 60歳未満 0
 61-65歳 1
 66歳以上 2

P %FVC 75%を超える 0
 50〜75% 1
 50%未満 2

%DLco 55%を超える 0
36〜55% 1
35%以下 2
測定不能 3


合計得点が0〜3点でStageT(1年死亡率5.6%、2年死亡率10.9%、3年死亡率16.3%)
4〜5点でStageU(1年死亡率16.2%、2年死亡率29.9%、3年死亡率42.1%)
6〜8点でStageV(1年死亡率39.2%、2年死亡率62.1%、3年死亡率76.8%)


この論文の後にもいくつか論文が出ております。間質性肺炎の分類を勘案したスコアリングもありますが、要するに何となく皆さん思っていた「男性で高齢で、肺機能が悪い患者さんの予後が悪そう」を数値化したものです。


どちらかというと臨床の現場で普及している、というよりは、疫学研究であったり、薬剤の開発(効果の評価)であったりに使われているような印象があります…。


で、本症例の肺機能検査ですが…


<肺機能検査>
VC 2.61 L %VC 65 %
FVC 2.74 L %FVC 70.1 % (半年前の%FVC 77.8 %)
FEV1.0 2.50 L FEV1.0% 91.23 %  %FEV1.0 111.7 %
DLCO 5.01 ml/min/mmHg %DLCO 24.3 %


6分間歩行は室内気で既に低酸素があったため施行されませんでした。


Q:肺機能検査の評価は?


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posted by 長尾大志 at 18:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月01日

症例検討会BRONCHO18−5

1つのスライスだけではなかなか判別が難しいかもしれませんが、末梢気管支の拡大(牽引性気管支拡張像)、胸膜直下・肺底部優位に網状影と、周囲にわずかなすりガラス影、両側肺底部中心に一部蜂巣肺形成もあるかと考えます。一般的?には、UIPパターンといっていいかなと思います。


あと、評価しておくべきは現状の重症度。患者さんの自覚症状や予後につながるものとして、肺機能、酸素化、労作時の低酸素といったものが挙げられます。


これらはIPFの重症度分類やGAP indexにも使われています。血ガスは先に見ましたから、肺機能検査や6分間歩行検査を見たいですね。




というところで、時間切れのようです。これから北海道に向かいます。明日、手稲渓仁会病院さんでグループの理学療法士さんと勉強会をさせて頂きます。参加される皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 13:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月31日

症例検討会BRONCHO18−4

胸部X線写真、見覚えのある画像じゃなかったですか?実は先週にも出てきた写真なのでした。先週は軽〜く「両側網状影、すりガラス影。両側肺門の拡大」といいましたが、少し詳しく、分布についても触れると、「両側、胸膜側・下肺野優位の網状影+すりガラス影、両側肺動脈影の径拡大あり」となるでしょう。


血液検査でSP-D、KL-6高値、そして両側、胸膜側・下肺野優位の網状影+すりガラス影ですから、間質性肺炎の存在を想起することは容易です。


間質性肺炎とすると、さらなる問題は、予後と治療を左右する分類の問題、まずは「特発性か、原因のあるものか」。


年齢・性別からも、他の症状からも、膠原病を示唆するものはありませんし、スクリーニング的に取られた自己抗体では陰性ばかりです。そして間質性肺炎を惹起する薬剤の服用、吸入物質もないようです。とすると特発性か…。


特発性としたら、HRCTによるパターン分類。そうです、HRCTが必要ですね。



<胸腹部単純CT>

スライド69.JPG


Q:HRCTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月30日

症例検討会BRONCHO18−3

ここまで、というのは病歴と身体所見ですね。


心不全に関しては、病歴からはアリ(糖尿病、心筋梗塞の既往)ですが身体所見上は、頻脈、不整脈なく、頸静脈、心音/呼吸音などにも目立った所見がないことから、強く疑われる感じではありません。


COPDですと胸鎖乳突筋肥大など頸部の所見や、呼吸音の減弱、心尖拍動部の移動や濁音界の低下などが見られるものですが、それもなし。


両側下肺野優位にfine cracklesを聴取したことより、間質性肺炎の存在が考えられ、ばち指の存在もそれを裏付けるものです。


なお、慢性の肺血栓塞栓症を身体所見から否定するというのは困難ですが、少なくとも間質性肺炎よりは可能性が少なそうです。


皮疹なし、爪血管床発達なし、関節痛なし、朝のこわばりなし、レイノー現象なし、というのは、間質性肺炎に関連して、膠原病のスクリーニングをしている、と思って頂ければ。



そして糖尿病のコントロール状態ですが、前医での評価が入院時には届いておらず、現段階では詳細不明としておきます。少なくとも、眼底の評価(網膜症)、尿検査・腎機能検査(腎症)、神経症の評価を早い段階でしておく必要があるでしょう。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HB (g/dl ) 16.5
WBC (1000 ) 9.6 H
SEG/NEUT (% ) 74.5 H
PLTS (1000 ) 221

TP (g/dl ) 7.7
ALB (g/dl ) 4.0
AST (U/l ) 22
ALT (U/l ) 16
LDH (U/l ) 358 H
ALP (U/l ) 257
G-GTP (U/l ) 39
T-BIL (mg/dl ) 0.58

NA (mmol/l) 142
CL (mmol/l) 105
K (mmol/l) 4.4
UN (mg/dl ) 22.3 H
CRE (mg/dl ) 0.99
eGFR ( ) 59.2

UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.4
P (mg/dl ) 2.6

AMY (U/l ) 69
CPK (U/l ) 70

CRP (mg/dl ) 0.45 H

PT-INR ( ) 1.15
APTTP (秒 ) 33.2
Dダイマ- (μg/ml) 1.4 H
FIBG (mg/dl) 368

ケイコウ (倍 ) 40 未満
RF (IU/ml) 3
C-ANCA (U/mL ) 1.0 未満
P-ANCA (U/mL ) 1.0 未満
コウJO-1          (-)
コウARSコウタ        5.0 未満
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL ) 1.0 未満

肺サーファクタ (ng/ml ) 363 H
KL-6 (U/ml ) 1682 H

A1C(NGSP (% ) 7.1 H
GLU (mg/dl) 241 H


<動脈血液ガス>安静時、nasal2L/min
PH ( ) 7.469 H
PCO2 (mmHg ) 31.1 L
PO2 (mmHg ) 52.4 L
HCO3 (mmol/l) 22.3
BE (mmol/l) 0.1
O2CT (ml/dl ) 19.4
O2SAT (% ) 87.9 L


<胸部Xp>

スライド68.JPG


Q:胸部X線写真の所見は?


Q:検査結果までふまえて、現段階での鑑別診断は?さらに必要な検査は?


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posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月29日

症例検討会BRONCHO18−2

まず気になるのは、当然労作時呼吸困難や低酸素の状態でしょう。原因疾患は何か、低酸素は本当にHOTが必要な程度なのか、労作時呼吸困難が悪化した、その程度、悪化のスピードなど、気になる点が満載ですね。


そして糖尿病のコントロール状態。心筋梗塞を発症しているわけですから、そこそこ血管系に不具合が生じていそうです。メチコバール、キネダックと、神経症の薬も使われていますし、合併症の評価も必要でしょう。


労作時呼吸困難・低酸素の原因疾患としては種々の疾患が想定されますが、糖尿病の存在、心筋梗塞の既往から、合併症として心不全の有無を確認しておく必要はあるでしょう。




<入院時バイタルサイン>
BT 36.1 ℃, HR 68 mmHg, BP 105/68 mmHg, SpO2 90 %(安静時、nasal 2L/min) ※体動にて容易に70%台まで低下,RR 28/min


<入院時身体所見>
頭頸部:眼球結膜黄染・眼瞼結膜蒼白なし
    右眼球結膜に出血点あり
    頸部リンパ節腫脹なし
    胸鎖乳突筋肥大は明らかにはなし
    起坐位にて頸静脈怒張なし

胸部:心音 整、明らかな雑音なし ややII音亢進
   肺音 両側下肺野優位にfine crackles

腹部:平坦、軟、肝脾腫触知せず
   蠕動音正常

四肢:浮腫なし
   右足背に紫斑+右下肢静脈瘤あり
   ばち指+
   指先のチアノーゼあり

その他:皮疹なし、爪血管床発達なし、関節痛なし、朝のこわばりなし、レイノー現象なし


Q:ここまでで、呼吸困難・低酸素の原因疾患は何が考えられますか?

心不全
COPD
間質性肺炎
肺血栓塞栓症
その他


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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月28日

症例検討会BRONCHO18−1

症例 60歳代 男性


<主訴>
労作時の呼吸困難


<現病歴>
30年ほど前から2型糖尿病があり、長期間放置されていたが、数年前から近医糖尿病内科に通院していた。
数ヶ月ほど前から労作時呼吸困難があり、近医でHOT導入(nasal 2L/min)となった。その後も労作時呼吸困難が悪化し、当科紹介受診された。


<内服・吸入薬>
シムビコート 1日2回 2吸入
スピリーバ  1日1回 1吸入
バイアスピリン100mg1錠朝後
アマリール0.5mg 1錠朝後
エクア50mg 2錠分2朝夕後
メチコバール500μg 2錠分2朝夕後
キネダック 2錠分2朝夕後
エフィエント3.75mg 朝後
パリエット 10mg 朝後
リピトール 1錠分1朝後


<既往歴>
30歳代- 2型糖尿病
2年前  心筋梗塞(PCI)、白内障手術


<生活歴>
喫煙: 20-40本/日✕40年、50歳代以降禁煙
飲酒:ビール350ml1本/日程度
職業:自営業
粉塵暴露:なし
鳥類暴露:飼育なし、羽毛布団・ダウンジャケット使用なし、鶏糞の使用歴あり
住居:築50年木造
健康食品:特になし


<家族歴>
祖父:胃癌
母:胃癌、脳梗塞


<アレルギー>
特記なし
花粉症なし、喘息なし


Q:まず確認すべきこと(気になること)は?


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posted by 長尾大志 at 17:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月25日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!5

昨日の写真、いかがでしたか?


正解は「両側網状影、すりガラス影。両側肺門の拡大」でした。ただの網状影+すりガラスだけではありませんね。


さてそれではこれから私、東京へ向かいます。夕方にとある収録です。これはかな〜り楽しみです。それから明日のメディカ出版さんセミナーにご参加の方、よろしくお願い申し上げます。


『よくみる症例から学ぶ 呼吸器疾患〜おさえておきたい観察ポイント〜』
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171


あ、昨日の画像は、よ〜く覚えておいて下さいね。


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posted by 長尾大志 at 12:09 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月24日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!4

昨日の画像も、論理的思考を働かせて読影して下さい。


正解は、「右中葉の結節影。右肺門、および気管分岐部、それから傍気管リンパ節腫脹」です。


それでは、このシリーズも一旦終わり、最後の問題です。


スライド68.JPG


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posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月23日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!3

昨日の画像も、順番にちゃんと読んだら、難しくはありませんね。


正解は「左上葉無気肺」でした。


それでは今日の1枚。


スライド書籍用143.jpg


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posted by 長尾大志 at 22:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月22日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!2

昨日の画像はおわかりでしたか?


お、めっちゃ簡単やん、ついに長尾先生、多忙のあまりちょっとアレになった?と思われた方もおられるかも知れません。まあ、初老ですから…。イヤイヤ。


ちゃんと意図があって出題しておりますよ。


いや、結節がある、そりゃわかるでしょう。どこに思考力が要るのか。それはその結節の「場所」です。長尾先生アレやな、と思われた方、場所まできちんと答えられたのでしょうね?



正解は「右の下葉に結節影」ですよ。


それでは今日の1枚。


スライド書籍用137.jpg


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posted by 長尾大志 at 21:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月21日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!1

今日は(も)やることがギチギチで、あっという間に日が暮れてしまいました。ということで、今日は「胸部の画像で見ッテQ!」をお送りいたします。こかで聞いたようなタイトルですが…BRONCHOで取り上げてもいいくらい、思考力を要する画像だと思いますので、手抜きだと思わず(苦笑)チャレンジしてみて下さい。


スライド書籍用132.jpg


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posted by 長尾大志 at 19:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月18日

症例検討会BRONCHO17−6

HRCTでUIPパターンと判断され、病歴、身体所見から膠原病やじん肺、過敏性肺炎である可能性は低く、血液検査では自己抗体の有意な上昇がないことから、UIPパターンを持つ間質性肺炎で、原因となるものがない、特発性肺線維症と考えられました。


現状の評価として、


肺機能検査:%VC 61.6%で拘束性障害、FVC実測値2.25L %FVC 60.0%
%DLCO 38.4%で拡散障害あり。


動脈血ガス検査:室内気、安静時でPaO2 96.4Torr、A-aDO2 8.7と開大なし。


6分間歩行試験では歩行負荷にてSpO2 96%→89%と低下したものの、修正Borgスケール2と息切れ感は著しいものではない。


安静時PaO2≧80Torrであり、特発性肺線維症の重症度分類判定表によって、重症度はTとなりますが、特発性肺線維症として指定難病申請を行うことが可能です。将来高額な抗線維化薬を使用することを念頭に置くのであれば、指定難病の申請を行っておくことは有用でしょう。


また、在宅酸素療法の保険適用基準にある『労作時の著しい低酸素』、これは微妙です。ここの判断にはあまり客観的な指標はなく、主治医の主観に任されている面が大きいでしょうから、在宅酸素については症状、経過、患者さんの希望などから導入を決めていくことになるでしょう。


治療介入としては、間違いなく取り入れるべきものとして急性増悪の予防(うがい、手洗い、感冒時の対処)、肺癌の定期的スクリーニングなどがありますが、それはわかってるけど、治療薬はどうなんだ、という話ですよね。


特発性肺線維症ですから、ステロイド、免疫抑制薬は使いません。これはいいですね。


では抗線維化薬は?これまでにもさんざん書きましたが、難しいところですね。その判断は専門医に任せて下さい、といいたいところですが、1つの目安として、悪化傾向がどの程度か、ということがあります。


それもいろいろな指標がありますが、1つご紹介しておくのはFVCの低下度合い。これは予後予測因子として知られていますし、ニンテダニブの臨床試験でも取り入れられています。これが半年で5〜10%以上低下していると、ちょっとヤバい、なんとか悪化を食い止めたい、そういうニュアンスになろうかと思います。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月17日

症例検討会BRONCHO17−5

胸部CTでは、立派な蜂巣肺が、胸膜直下、肺底部優位に認められます。UIPパターンといっていいでしょう。


UIPパターンをもつ間質性肺炎の予後や治療方針などを決める上で大切なことは、原因があるものかどうかどうかです。これは検査というよりも病歴が大きなウエイトを占めます。


例えば鳥関連抗原が原因の慢性過敏性肺炎であれば抗原回避が大切ですし、薬剤が原因であれば中止しなくてはならないことが多い。膠原病があれば、一般的に特発性よりは予後がよく、ステロイドを試してみようという気になる、などなど、原因があるものかどうかは大切な要素です。原因のあるなしは、病歴をしっかり聴取するとある程度はわかります。


また、膠原病については、病歴上症状がなくても、スクリーニングで自己抗体を測定することでわかることもあります。ですから検査も必要、となります。


そして、重症度や現在の状態を知るために行う検査としては、

  • 呼吸機能検査(肺機能検査)特にFVCとDLco

  • 動脈血ガス・A-aDO2

  • 労作時の酸素飽和度低下


が挙げられます。


ですから追加でさらにほしい検査は、労作時の酸素飽和度低下を調べる、6分間歩行試験、これをやりました。


<6分間歩行試験>
       SpO2(%)  HR(bpm)
安静時   96       97
1分     91       101
2分     89       111
3分     90       112
4分     89       111
5分     89       113
6分     90       114

・移動距離  392m

・修正Borgスケール
安静時:呼吸0  倦怠感0 
終了時:呼吸2  倦怠感0.5



Q:診断は?評価は?治療方針は?


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posted by 長尾大志 at 18:51 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月16日

症例検討会BRONCHO17−4

胸部X線写真では、両側下肺野優位にすりガラス影〜網状影を認めます。明らかな蜂巣肺、とまではいえませんが、UIPパターンに似た像です。3ヶ月前と比較すると…


スライド65.JPG


陰影は少し増えてきているようです。


間質性肺炎のさらなる診断のためには、胸部CTは必須でしょう。


<胸部CT>

スライド66.JPG


スライド67.JPG



Q:胸部CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 19:15 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月15日

症例検討会BRONCHO17−3

やった検査は以下の通りです。両下肺野にfine cracklesを聴取し、間質性肺炎の可能性があったので、膠原病や血管炎のスクリーニングもある程度行われています(注:ウチで間質性肺炎症例では必ずこの項目を取る、ということではありません)。


<入院時検査所見>
TPLA- HBs-Ag- HCV-Ab-

<血液検査>
抗核抗体40倍
C-ANCA 1.0 未満
P-ANCA 1.0 未満
コウJO-1 陰性
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL) 1.0 未満

HB (g/dl ) 12.4
PLTS (1000 ) 176
RBC (1000000 ) 3.74 L
WBC (1000 ) 5.3
APTTC (秒 ) 29.0
PT-INR ( ) 1.01
Dダイマ- (μg/ml ) 0.3
ホタイカ (U/ml ) 61.1 H
TP (g/dl ) 7.2
ALB (g/dl ) 3.8 L
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 17
ALP (U/l ) 118
G-GTP (U/l ) 34
T-BIL (mg/dl ) 1.32 H
NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 0.81
eGFR ( ) 72.2
UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.2
P (mg/dl ) 3.7
T-CHO (mg/dl ) 158
TG (mg/dl ) 65
HDL-C (mg/dl ) 62
LDL-C (mg/dl ) 73
IG-G (mg/dl ) 1628
IG-M (mg/dl ) 22 L
IG-A (mg/dl ) 525 H
C3 (mg/dl ) 96
C4 (mg/dl ) 20
CRP (mg/dl ) 0.67 H
RF (IU/ml ) 2
BNP (pg/ml ) 14.50
GLU (mg/dl ) 92
A1C(NGSP (% ) 5.8
F-T4 (ng/dl ) 1.13
F-T3 (pg/ml ) 2.8
TSH (μIU/ml) 2.72
KL-6 (U/ml ) 852 H
FERRITIN (ng/ml ) 191.5
SP-D (ng/ml ) 341 H


<動脈血ガス検査>(室内気)
PH ( ) 7.432
PCO2 (mmHg ) 38.1
PO2 (mmHg ) 96.4
HCO3 (mmol/l) 24.9
A-aDO2 8.7


<肺機能検査> 
VC:実測値2.38L %VC 61.6%
FVC:実測値2.25L %FVC 60.0%
FEV1.0:実測値1.84L %FEV1.0 60.5%
FEV1.0%:81.88%
%DLCO:38.4%


<心電図>
一度房室ブロックあり


<心エコー>
EF 62.7%
TR TRPG:29.5mmHg RAPs:3 mmHg RVPs:32.5mmHg
IVC IVC(i):5.7mm IVC(e):12.6mm 呼吸性変動あり


<胸部X-p>

スライド64.JPG


Q:胸部X線写真の所見は?さらにほしい検査は?


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posted by 長尾大志 at 14:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月14日

症例検討会BRONCHO17−2

この病歴は生活歴周りのこと中心に、結構いろいろと聴いてくれています。きっと『間質性肺炎疑い』ということで、研修医の先生も張り切って下さったのでしょう。


それであればこそ、病歴をもう少し掘り下げてほしかった気がします。現病歴に、(主訴にある)労作時の息切れに関する記載がありませんし、膠原病や血管炎などを連想させる、肺外の症状についても記載されていません。


病歴には、こういう症状が「ある」という情報も大事ですが、こういう症状が「ない」という情報もまた重要です。陰性情報も書かなきゃわからない。「なかったんだから書かなくてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、書いてないことは「ない」のではなく、「見てない」「聴いてない」ということにしかならないのです。これは肝に銘じておきましょう。


本人の自覚症状として最近(ここ半年程度)労作時息切れの訴えがあり、妻によると数年前から歩く速度が遅くなってきたとのことで、かなり前から無意識に歩行をセーブしていたようです。


また、肺外の症状に関しては、明らかなものはありませんでした。



<入院時身体所見>
<バイタルサイン>
体温36.3度 脈拍数85回/分 血圧129/69 SpO2 96%(室内気、安静時)


<身体所見>
眼球結膜黄染なし
眼瞼結膜貧血なし
頸部リンパ節腫脹なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:両下肺野にfine crackles聴取
心音:整・明らかな雑音はなし
上肢:ばち指なし、Gottron兆候なし、皮膚硬化なし、指の腫脹なし
下肢:浮腫なし・後脛骨動脈触知・足背動脈触知
皮疹なし



Q:必要な検査は?もう早く画像を見たいですか?


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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月10日

症例検討会BRONCHO17−1

症例 70歳代男性


<主訴>
労作時の息切れ


<現病歴>
毎年職場の健康診断を受診しており、今まで特に異常を指摘されたことはなかった。
今回の健診の際、胸部X線写真にて異常陰影を指摘され前医を受診。間質性肺炎の疑いとのことで、当院当科紹介となった。


<既往歴>
特記すべき事項なし
高血圧、糖尿病なし


<家族歴>
特記すべき疾患なし


<生活歴>
・喫煙 20歳〜30歳 40本/day
・飲酒 週3回ほど(日本酒2合、焼酎)
・粉塵暴露歴なし
・職業 事務職
 10年ほど前まで農業兼業(米農家)
・健康食品、漢方の使用歴なし


<その他>
・海外渡航歴:なし
・ペット飼育歴:なし
・鳥関連
 羽毛布団の使用:なし
 ダウンジャケットの使用:なし
 家にツバメの巣がある(最近は来ていない)
 近所にフクロウがよく来ていた(最近は無し)
 家の周りにカラスが多い
 周囲にコウモリはいない
・自宅関連
 木造(築20年)
 加湿器使用歴なし
 カビっぽいところはない


<アレルギー>
なし



Q:病歴で他に聴きたいことは?


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月09日

症例検討会BRONCHO16−3

多数・多種類の投薬を受けているものの、本症例におけるコントロールは万全とはいいがたいものです。ですから周術期の発作予防という意味では、もう少しコントローラーを何とかしたい。とはいえ、大概の薬がはいっておりますけれども…。


具体的には、フルティフォーム/スピリーバの吸入手技確認、用量調整、それでダメならオマリズマブorメポリズマブ追加、手術が迫っているなら、短期間全身ステロイド使用もやむなしかもしれません。


それに肺機能だって、1秒量<1L、結構な低肺機能です。体格も小さい症例ですが、1秒率も50%未満。これでは咳をして痰の喀出するのも結構大変です。ということで、手術に際してはリスクが高そうです。


不安定期にどうしても手術、という場合、術前(+術後)、短時間作用型β2刺激薬吸入をしたり、全身ステロイドを使用したりすることもあります。



そして!さらに確認しておくべき、最も大切なことは、アスピリン喘息の有無。術後疼痛に対してNSAIDsを使う機会は多いものですから、アスピリン喘息の有無は必ず確認しておかねばなりません。手術による発作よりも、NSAIDs投与による発作の方がむしろ危険です。


そこでご本人に確認しましたところ…


「これまで解熱薬とか痛み止めを飲んで、発作が出たりしたことはないですか?」「それは覚えがないですねえ」とのこと。おお、それではアスピリン喘息なしですな…。「いや、そもそもそういう薬って、飲んだことがありませんのです」…。


なるほど。飲んだことがなければ、アスピリン喘息が「あり」か「なし」かはわかりません。それではこの質問。


「湿布とかを貼って咳が出たり、ゼイゼイすることはありませんか?」


「そうですね。茶色い湿布を貼るとよくゼイゼイいうンです」


!!!!!


ハイ、アスピリン喘息ありです。こういうことがままありますから、しつこく追求する必要がありますね。


術中発作などのリスクも高いので、術前にメプチン吸入、リンデロン点滴し、術後の投薬にも禁忌薬が多く、注意が必要と説明しました。


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posted by 長尾大志 at 15:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月08日

症例検討会BRONCHO16−2

喘息がある症例での周術期問題ですが、問題点としては大きく2点あります。


@ 手術に伴って発作が起きないか
A 肺機能の低下によって、術後合併症が生じるリスクが増えないか


『喘息予防・管理ガイドライン2015』を紐解くと、@に関しては、周術期の気管支攣縮は全手術症例の1.7%に認められたというデータがあり、それほど多いものではありませんが、無視出来る数字でもありません。


攣縮=発作のリスクを考えるにあたって、少なくとも喘息の重症度やコントロール状況はしっかりと把握しておく必要があります。コントロール不良であれば、術前に治療のステップアップが必要です。


また肺機能が低下していると、術後喀痰排出が困難となり、肺炎などのリスクになりますから、現時点での肺機能を確認しておくことも重要です。



そこで、本症例で確認しましたところ…。


喘息は30歳頃に発症した。他院で治療中。投薬内容は現在、

テオロング
アレロック
シングレア
スピリーバ
フルティフォーム125エアゾール
フルナーゼ

現在の状態としては、階段や坂道ではゼイゼイいうが、じっとしているとどうもない。坂を登ったりする前にはメプチンを吸ったりしていると。


入院歴は15年前に肺炎、喘息発作あり他院入院、13年ほど前に再度発作あり入院、以降は入院歴無し。その後ほぼ薬は固定されているとのこと。なお外来でSpO2が 95%を下回ることが時々あるという。



Q:現状の評価は?手術は安全か?さらに確認しておくべきことは?


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posted by 長尾大志 at 18:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月07日

症例検討会BRONCHO16−1

今回は(も?)ショートネタです。台風のため、出題も短めに。


症例 80歳代女性


(院内紹介)全身麻酔下手術を予定している方です。喘息あり、吸入薬(LAMA,ステロイド)と内服薬で加療されています。術前の肺機能検査では1秒量 860mL、1秒率 49%と閉塞性障害を認めております。喘息の周術期管理に関しまして伺いたく、対診とさせて頂きました。(紹介状ここまで)



Q:尋ねるべきこと、確認しておくべきことがらは?


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posted by 長尾大志 at 13:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月04日

症例検討会BRONCHO15−6

気管支鏡の所見も見ておきましょう。


(所見)
左下葉枝は黄白色/高粘稠の壊死様物質で閉塞しており、吸引を試みたが吸引出来なかった。一部を把持鉗子で生検した。
透視下に、左B8付近よりTBB施行。続いて、EBUS使用下に♯R4より針生検施行。
検査後の出血持続がないことを確認し、検査終了した。


スライド63.JPG


(生検結果)
Adenocarcinoma

腫大した多形性のある核を持った異型細胞が増殖しています。好酸性の豊富な細胞質も見られ、非小細胞肺癌の所見です。背景には線維性間質と虚脱した肺胞を認めます。
免疫染色でNapsinA(+), TTF-1(+), P40(-)であることより、腺癌と診断します。


EGFR ex19del+ T790M-
PD-L1 70%


ということで、まずはEGFR-TKIで治療導入を行いました。


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月03日

症例検討会BRONCHO15−5

見てきたように断定出来るのは、リンパの流れを理解しているからこそです。肺において、肺野を掃除して集まってくるリンパの流れは、胸膜のあたりから、およそ放射状に肺門に向かって集まる、といわれています。


スライド61.JPG


普段は掃除をしているリンパの流れながら、ひとたび肺癌ができてしまうと、その流れに癌細胞を載せて運んでしまうことになるのです。ですから、リンパ節転移が起こる順番も、この流れで考えますと…


肺野の結節⇒肺門リンパ節⇒気管分岐部リンパ節⇒気管傍リンパ節(縦隔リンパ節)の順番になる、ということですね。


その考え方で本症例を振り返ると…


スライド62.JPG


の、順番で、転移してきたかな、とわかるわけです。てことで、感想戦、大事ですよ〜。


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posted by 長尾大志 at 18:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月02日

症例検討会BRONCHO15−4

造影CTでは大動脈弓の高さでリンパ節腫大が見られます。また、気管分岐部下にもリンパ節腫大が。胸部単純X線写真で見えるかどうか、感想戦で確かめてみましょう。


スライド58.JPG


気管分岐部横の、傍気管線付近は、確かに軟部影の厚みがあり、傍気管線も消失しています。しかしながら、気管分岐の確度はそれほど開いているわけでも、ましてやがに股状に(外向きに凸に)なっているわけでもなく、気管分岐下リンパ節の腫脹を発見するのは難しいかもしれません。…しかし!


CTではもう一つ所見がありますね。心臓の裏に結節です。右の横隔膜と同じくらいの高さにありますから、このあたりでしょうか。これは難しいですが、何となく線が見えませんか?


スライド59.JPG


ということで、まとめますと、左下肺野の結節影、おそらくこちらが原発巣で、左肺門リンパ節転移、それによる左下葉(の一部)無気肺、さらに気管分岐部〜右気管傍リンパ節転移が認められる、ということになります。


スライド60.JPG



Q:なぜそこまで(見てきたように)断定出来るのでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 18:08 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月01日

症例検討会BRONCHO15−3

CT、左肺門の結節影です。そのところしか出してませんでしたね…イジワル。他のスライスも出しましょう。


スライド53.JPG


こちらはS8の無気肺ですね。上下葉間に接してべたっと拡がる高吸収域、下葉の一番前ですからS8です。上の結節でS8枝が閉塞して生じたものと考えられます。心臓の横には接しておらず、左4弓がシルエット陰性なのがわかります。


スライド54.JPG


さて、それで済めば話は簡単ですが、もう少し他のスライスもみてみましょう。CTを見てからもう一度胸部X線写真を見る、将棋でいう「感想戦」ですね。これを毎回きちんとやると、胸部X線写真読影力がグンと伸びます。オススメですよ、画像感想戦(今命名)。


スライド55.JPG


スライド56.JPG


スライド57.JPG


え、胸部単純X線写真に、こんな所見あったっけ?と思ったら、すぐ感想戦。胸部X線写真を見直しましょう。


Q:胸部単純X線写真・CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月31日

症例検討会BRONCHO15−2

本症例では胸部X線写真の所見がミソなので、さっさとそちらに向かいますが、その前に、診察所見におけるrhonchiを考えておきましょう。まあ、気管支狭窄音、といってしまってますが…。


症状として咳や痰があり、左肺野にrhonchi聴取、ということで、中枢気道に何か狭窄病変があるのではないか、と考え、そのつもりで胸部X線写真を見ます。すると…


左肺門部にモコッとした陰影、さらに心陰影に重なるようにべたっとした陰影が見えますね。


スライド51.JPG


陰影があるものの左4弓はシルエット陰性ですから、舌区ではなく下葉の陰影だとわかります。気道狭窄の可能性から考えますと、左肺門に腫瘤があって、下葉を狭窄ないし閉塞、結果、閉塞性肺炎〜無気肺となっているように見えます。発熱や炎症所見を欠くことから、無気肺の方が考えやすいでしょうか。


また、左横隔膜はぼやけているように見えますから、病変はS8であると考えられます。


スライド52.JPG


Q:CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月28日

症例検討会BRONCHO15−1

症例 50歳代女性


<主訴>
1週間以上続く咳嗽、喀痰


<現病歴>
1週間前から続く咳嗽、喀痰を主訴に近医受診。聴診で左肺に気管支狭窄音を聴取、胸部単純Xpで異常影がみられた。採血では炎症所見はなく、抗生剤(MFLX400mg1T×4日)の効果もないため、当院紹介となった。


<既往歴>
特記事項なし
内服薬なし


<生活歴>
喫煙経験なし
アレルギーなし


<診察所見>
聴診:左肺野にrhonchi聴取


<胸部X線写真>

スライド50.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?


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2017年07月27日

症例検討会BRONCHO14−7

一般論ですが、膠原病で治療開始するかどうか、そのタイミングは「どれだけ治療が必要か」によって決まります。診断確定を待つかどうかは、待てる状態かどうかによるのです。


例えば急速に進行する間質性肺炎がある皮膚筋炎(疑い)のような場合、治療を待つことはまったくできないでしょう。診断が定まっていなくても、直ちにステロイドパルス+免疫抑制薬が必要です。診断確定を待たずに治療開始もあり○で、診断確定までは治療開始しない×ということにはなりません。


また、膠原病の治療でよく使われるステロイド薬や免疫抑制薬は、罹患臓器によっておおよそ治療に必要な薬剤量が決まっています○。


肺の場合、間質性肺炎が多いですが、皮膚筋炎の急性例ではパルス⇒PSL 1mg/kg/日という使い方が多いでしょう。皮膚筋炎ではない、とか、比較的軽症の場合、PSL0.5mg/kg/日程度での治療となります。本症例では軽微な病変であり、もう少し待てるかもしれません。


あと、本症例では、腎障害が合併しています。筋症状もなく、間質性肺炎もあまり急ぐ感じではないことから、直ちにPSLなど投与はせず、腎生検を行いました。結果、膜性腎症によるネフローゼ症候群と診断されました。


筋炎、膜性腎症とくれば悪性腫瘍の合併ですが、スクリーニングにては腫瘍は発見されませんでした。


生検結果が出るまでの経過で、腎障害、筋原性酵素が自然軽快してきたこともあり、肺病変も落ち着いていて、緑内障があったことからステロイド治療のリスクを勘案し、結局、ステロイド少量+CyAで治療を開始しました。その後も経過良好であり、ステロイドを漸減しています。


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posted by 長尾大志 at 20:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月26日

症例検討会BRONCHO14−6

胸部CTでは、蜂巣肺は見られず、横隔膜直上に陰影が密集している、といったガチのUIPパターンではない×ものの、胸膜直下に網状影が分布、という、甘めに見てpossible UIPパターンかなあ、UIPとは断じられなくて○、特発性というよりは膠原病の香りがする○ような所見ですね。


過敏性肺炎のパターンは、上肺に優位、とか、粒状影、とか、そういうワードで代表されるような所見ですから、本症例とは異なるパターン×です。


ということで、症候からも、画像からも、膠原病の存在がそこはかとなく感じられる、あとはどの膠原病か、ということですが、CPKやALDの高値からは筋炎を考えたいところです。ということで大腿のMRIを撮りました。


スライド49.JPG


こちらはあまり集積が乏しい印象ですが、軽度の炎症所見の可能性あると指摘されています。診断基準的には筋電図、または/かつ筋生検がほしいところですね。


しかし残念ながら、筋電図にて筋原性変化は認められませんでした。筋生検は患者さんの同意が得られず施行出来ません。ということで、多発性筋炎疑いに合併した間質性肺炎として疾患を取り扱うこととなりました。


呼吸器の立場として、改めて間質性肺炎を評価すると、6分間歩行で502m歩行可能であり、歩行中mMRCも1程度で、SpO2 94-95%と低酸素にはなりませんでした。ABGでも酸素化問題なく、積極的な介入が必要かどうか、微妙なところです。



Q:膠原病としての介入、基本方針は?

診断確定までは治療開始しない
診断確定を待たずに治療開始もあり
罹患臓器によって薬剤量を決める
診断によって薬剤量が決まる


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posted by 長尾大志 at 20:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月25日

症例検討会BRONCHO14−5

胸部X線写真では右中肺野外側に、割とクッキリとした結節影が見られます○が、大きさのわりにクッキリしているので、病的意義は少ないものと思われます。


スライド46.JPG


病的な陰影としては、両側全体的(≒びまん性)に、ふわっとベールが掛かっているような「すりガラス影」が見えます。特に、網状影のようには見えず、また下肺野で強い、というわけでもなさそうです。


胸部CTを見てみましょう。


スライド47.JPG


黄矢印のところに結節が見えますが、やはり石灰化でした。そしてここ(気管分岐部付近)でも両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。


スライド48.JPG


横隔膜付近でも、上と同様に、両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。



Q:胸部CTの所見は?

UIPパターン
UIPとは断じられない
膠原病の香りがする
過敏性肺炎パターン


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posted by 長尾大志 at 17:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月24日

症例検討会BRONCHO14−4

間質性肺炎を思わせる身体・画像所見を見たら、膠原病関係の抗体スクリーニングを行うことは多いのではないでしょうか。本症例ではレイノー症状や日光過敏もあり、抗体検査をしておりますが、蛍光抗体がx40とあまり有意とは言えず、特異抗体も陰性ばかりです。


そんな中、生化学検査ではCPK 452、ALD 11.0が目をひきます。筋力低下などの明らかな症候はありませんが、筋炎+間質性肺炎の可能性はある○と考えられます。また、Cre0.84で大きな異常はありませんが、尿タンパク2+、尿潜血1+であり、何らかの腎障害が存在する○と考えられます。IgE高値からはアレルギーの存在も示唆されます○が、これらすべてが一元的に説明出来るか、というと、ちょっと難しいかもしれません。



<肺機能検査>
%VC 85.5%
FEV1 2.54L
FEV1.0% 74.45%
DLCOの低下はない


<胸部X線写真>

スライド45.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?

異常なし
結節影を認める
両側下肺野に網状影
両側びまん性にすりガラス影


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posted by 長尾大志 at 17:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月21日

症例検討会BRONCHO14−3

呼吸音で、両側背部肺底部でfine crackles+、てことでやっぱり、以前両側の陰影を指摘された、KL-6上昇傾向、ということも勘案して、間質性肺炎の存在が想定されます。そうしますと胸部X線写真、HRCT○、呼吸機能検査(DLcoまで)○必要ですし、原因のあるものかないもの(特発性)かについて突き詰める必要があります○。


ただ、気管支喘息の存在を疑うような、「変動性」のある病歴ではありませんので、気道過敏性検査×は不要かと考えます。さてそれでは検査所見。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HT 37.2 L
HB 12.6
RBC 420万
WBC 5,300
PLTS 12.3万 L
SEG/NE 61.1
EOSIN 6.7
BASO 1
LYMPH 23
MONO 8.4
MCV 91
MCH 30.5
MCHC 33.7
蛍光抗体 x40
Homo (-)
Speckle (+)
Centrom (-)
Nucleol (+)
Periphe (-)
Granul (-)
カクマクカタ (-)
補体価 58.2 H
総蛋白 6.4
ALB 2.6 L
AST 28
ALT 21
LDH 105 L
ALP 343
γGTP 38
CHE 306
LAP 48
TBIL 0.78
DBIL 0.08
A/G比 0.7 L
NA 137 L
CL 104
K 4.6
UN 15.2
CRE 0.84
eGFR 69.9
CPK 502 H
IG−G 1700
IG−M 45
IG−A 250
C3 135
C4 30
CRP 0.77 H
RF 0
溶血 (-)
乳び (-)
Ig−E 14960 H
フェリチン 28.5
DS−DNA 3.7
SS−DNA 15.4
C−ANCA 陰性
P−ANCA 陰性
抗Scl70 ケンシユツセズ
抗JO−1 (-)
ALD 11 H
抗ARS抗体 インセイ
抗RNP抗体 インセイ
抗Sm抗体 インセイ
抗SS−A抗体 インセイ
抗SS−B抗体 インセイ



<尿検査>
尿タンパク2+、尿潜血1+


<肺機能検査>
%VC 75.5%
閉塞性障害、拡散障害なし



Q:検査所見でわかることは?

アレルギーの存在はありそう
膠原病の香りはしない
膠原病の香りがする
腎臓も悪そう


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月20日

症例検討会BRONCHO14−2

半年ほど前からの咳嗽が一連のものだと考えますと感染症の可能性はなさそうです×が、前医CT(左右肺に肺炎像?)は確認したいところです○。


一旦軽快したものの、1ヶ月後再度悪化、という経過から咳喘息の存在を想定されたのか、気管支拡張薬+吸入ステロイドを投与されています。しかしそれは無効で、KL-6上昇傾向を認めた、ということですから、やはり前医CTから間質性肺炎があったのではないか○、と考えるのが自然ですね。


一方で、IgE高値、ということからアレルギーの要素が存在することも想定はされます○が、主病変と関わりがあるかどうかは今のところハッキリしません。



<入院時身体所見>
BT 36.6℃、HR 66、整、BP 138/92、SpO2 97%RA、HT 168.9cm、BW 57kg
眼瞼結膜貧血なし、甲状腺腫大なし、鎖骨上窩LN腫大なし
心音:整
肺音:両側背部肺底部でfine crackles+、左優位
腹部:腸蠕動音正常、圧痛自発痛なし、平坦軟
四肢:冷感なし、しびれなし、筋力低下明らかではない、ばち状指傾向軽度、爪周囲の毛細血管拡張明らかでない
レイノー症状あり(寒いところで蒼白になる)
日光過敏あり(かゆみと発赤、皮膚剥離)
ゴットロン徴候なし、ヘリオトロープ疹なし



Q:てことでやっぱり…

胸部X線写真、HRCTが必要
呼吸機能検査はDLcoまで必要
気道過敏性検査が必要
原因について突き詰める必要がある


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posted by 長尾大志 at 18:23 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月19日

症例検討会BRONCHO14−1

症例 60歳代男性


<主訴>
咳嗽


<現病歴>
半年ほど前より咳嗽の持続あり、前医でCT撮影され、左右肺に肺炎像を認め、CAM投与された。一旦軽快したが、1ヶ月後再度咳嗽の悪化あり、気管支拡張薬+吸入ステロイドなど投与されたが無効。IgE高値、KL-6上昇傾向を認め、当科紹介受診となった。


<既往歴>
高血圧
ASO(右ステント留置、左バイパス手術)
狭心症(ステント留置)
緑内障
喘息既往なし


内服薬
ネキシウム、ゼチーア、コニール、ザイロリック、リバロ、オパルモン、バイアスピリン、フェブリク


<アレルギー>
特記事項なし、じんましんがたまにある


<生活歴>
喫煙歴 20本/day 20-48歳



Q:現時点で考えることは?

感染症をまずは疑う
アレルギーの存在を想定
前医CTの陰影はどうなったか気になる
KL-6上昇は間質性肺炎の存在があるのか


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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月18日

症例検討会BRONCHO13−4

シンプルに、所見だけを申しますと、気管が左に偏位し、左主気管支がはね上がっています。左横隔膜も高位。そして左肺は全体的に高吸収≒濃度上昇域、つまり真っ白になっています。


それではたっぷり胸水がたまったときのように、元あった構造物が全く見えなくなっているのか、というとさにあらず、下行大動脈と横隔膜は見えています。そして、心陰影は見えていない…。


スライド42.JPG


と、いうことで、皆さん!お得意のシルエットサインを使いますと、

  • 心陰影(S5)⇒陽性

  • 横隔膜(S8)⇒陰性

  • 下行大動脈(S6・10)⇒陰性


もう一つおまけに、大動脈弓上部も見えなくなっていますね。これはS1+2に接するので、そこも陽性、と考えますと、下葉には病変はなく、上葉、それも上から下まで病変がある、ということになります。


ちなみに、上葉は上葉といいますが、左の上葉は上から下までありますねん…。横から見たときには前面が上葉、後面が下葉です。


スライド43.JPG


ですから、とある学生さん(Oさん)は、それが印象に残っていたのでしょう、「前葉、後葉」といってたりしました。まあ、あながちまるっきり間違いとも言いがたい、むしろ左はそういった方がわかりやすいかもなー、と思ったものです。


スライド44.JPG


閑話休題、気管が左に偏位、左主気管支がはね上がり、左横隔膜高位、そして左肺全体的に高吸収なので、左の無気肺は間違いない。主気管支が上がっているので、たぶん上葉無気肺ですが、大動脈上部・心陰影がシルエット陽性というところも、左上葉の病変であることを支持します。ということで、まごう事なき左上葉無気肺ですね。


で、身体診察に戻ってみると、左の前面で濁音、呼吸音低下ある一方で、背面で左右差がなかったというのは、上図の通り左前葉ならぬ上葉に限局する病変で、特徴的に見られる所見なのですね。腎細胞癌が気道内転移によって無気肺を起こしやすい、という知識があれば、身体診察の時点で「おそらく左上葉無気肺」と当たりをつけることは難しくありませんでした。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月14日

症例検討会BRONCHO13−3

診察上fine cracklesを聴取しなかったことから、間質性肺炎の存在は考えにくいと思います。で、診察上前胸部ではなにやら左右差があり、背部では差がないとのこと。


スライド38.JPG


これはどういうことか?肺(胸郭)を横から見た図を考えますと、前の方に限局して何かがあり、後ろには正常肺が残っている、と考えられます。ですから左の前方に何かある○、ということはわかりますが、何があるか×までは判断出来なさそうです。


スライド39.JPG


肺内転移の可能性などを考えますと、ある程度の大きさのある腫瘍、無気肺が想定されます。胸水だったら、通常は前も後ろも同じ所見になるでしょう。被包化されている胸水、となると、前後どちらかに限局、ということも見受けられますから、この所見だけではわかりかねます。


ということで、胸部X線写真を確認しましょう。


スライド40.JPG


1ヶ月前のものがこちら。


スライド41.JPG



Q:所見は?

左胸水
左腫瘤影
左上葉無気肺
左下葉無気肺
左全体の無気肺


選択肢に無気肺が3つもあるんだから、その中のどれかだろう…なんて無粋な回答はしちゃダメですよ。


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月13日

症例検討会BRONCHO13−2

状況的には咳の原因となる要素が多分に含まれた症例だと思います。


抗がん剤治療中に出てきた咳ですから、薬剤性肺障害はじめ薬剤による咳○、脳転移があることから脳転移由来の(誤嚥などによる)咳○は容易に想定出来るでしょう。もちろん肺内転移も場所によっては咳の原因となります○。通常は血行性転移で、気道に顔を出すことはそれほど多くありませんが、腎細胞癌は気管、気管支内転移を来たし易いとされているので、咳の原因となることもあるでしょう。


通院にて抗がん剤治療中であるということで、遷延性咳嗽を生じるような感染症に罹るようなことは少ないように思います△が…お子さんやお孫さんから、ということもありうるといえばそうです。


日中よりも夜の方が強く、夜間咳で目覚めることもある、ということですが、咳症状はだんだん悪化してきていて変動は少なく、これまでにはこれほどの咳はなかったとのことで、喘息やアレルギーの要素は少なそうです。



というわけで、診察してみましょう。


SpO2:97(room air)、PR:93 整

声音振盪:左前胸部減弱
打診:左前胸部では濁音、右は共鳴音
聴診:左前胸部では減弱、右は清

背部では前胸部のようには左右差はわかりませんでした。



Q:これから何がわかりますか?

左に何かありそう
左に何があるか
右に何があるか
本症例の病態すべて


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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月12日

症例検討会BRONCHO13−1

50歳代男性


腎細胞癌で他院通院、抗がん剤治療中。1ヶ月前に脳転移に対し放射線治療施行された頃から咳嗽あり、メジコンを処方されたが軽快しないため、紹介となった。


咳は乾性で痰はなく、症状はだんだん悪化してきている。これまでにはこれほどの咳はなかった。日中よりも夜の方が強く、姿勢には依存しない(臥位でも坐位でも出る)。夜間咳で目覚めることもある。


喫煙経験なし
アレルギー歴詳細不明 花粉症などはない。
粉塵暴露歴なし



Q:想定すべき可能性の高い病態は?
薬剤性肺障害を含む薬剤性の咳
脳転移由来の誤嚥などによる咳
肺内転移などによる咳
感染症による遷延性咳嗽


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

症例検討会BRONCHO12−4

「胸焼けはありませんか」と尋ねると、しっかりありますとのこと。Ca拮抗薬の開始と肥満の始まりと、咳のタイミングが一致したわけです。


ということで、咳の原因はGERDと判断しました。咳では薬をもらうほど困っているわけではない、とのことであり、降圧薬の変更、および体重を減らすことで咳は軽減する可能性があることを説明して終診としました。


今回はどこまで咳を突き詰めるか、という哲学じゃないですけどポリシー、といいますか、流せば流せるけど、きちんとやると気持ちいい、ということが言いたくて取り上げました。


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posted by 長尾大志 at 17:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月11日

症例検討会BRONCHO12−3

胸部X線写真では気管分岐部チョイ上の白い結節が、たぶん石灰化したリンパ節かなあ、という感じですが気にはなります。また、ちょいちょい濃度が高そうなところもあります。


スライド37.JPG


ご紹介であったこともあり、念のため胸部CTを撮影しました。指摘の部位はすべて石灰化が見られ、活動性病変はなさそうでした。


結果を説明しながら、改めて話題を咳に戻すと…。変動性はあまりなさそうです。結構5年ほどずっとあって、よくよく尋ねると、現在内服中の薬が始まった頃、また、肥満傾向になった頃と一致して咳が始まった様子です。そういえば、アレを尋ねていませんでしたね…。


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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月10日

症例検討会BRONCHO12−2

いかがでしょうか。多いのは、まずは胸部X線写真を確認するパターンかな、と思いましたが、先生によっては、健診発見異常であり、胸部CTをまずオーダーする、何か所見があればその時点で咳と照らし合わせる、という方もおられるでしょう。時間のない外来であればなおさらです。今回はどれが正解、というわけではないと思いますが、お話を進めます。



本症例では病歴をもう少し突っ込んで尋ねました。


〈現病歴〉
5.6年前から気にすると咳や痰がでてくるのに気付いた。2年前に他院受診し胸部X線写真を撮ったが異常なしで、投薬も受けていない。咳や痰にずっと変化はない。痰は白く、血は混じっていない。量も多くない。

咳は昼間に多い。息切れはない。食事には関係なく、体位による変化も感じない。

昔は定期的に運動していたが60歳以降しておらず、その頃食事量も増加したため5年間で5キロ増加した。寝汗は昔から多いが変化はない。

昔から検診で「陳旧性の陰影」を指摘されていた。


〈既往歴〉
特記事項なし
結核の既往なし
高血圧、抑うつ傾向を近医で加療中(アムロジピン、パロキセチン)


〈家族歴〉
父親が肺癌
周りに結核なし


〈社会歴〉
工場勤務。現場作業ではない。


〈生活歴〉
喫煙は一日一箱×13年で禁煙した。
飲酒は機会飲酒


外来での診察にて、特に異常な所見は認められませんでした。
胸部X線写真はこんな感じ。


スライド36.JPG



Q:さて、これからどうしますか?

咳や痰には変化もないことだし、これにて終了
ちょっと気になる所見があるからCTを撮影する
所見はないけど健診発見なのでCTを撮影する
咳や痰に対してもうちょっと問診する


このQも問題、というよりは考え方を問うようなQですが、いかがでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 16:24 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月07日

症例検討会BRONCHO12−1

今回は軽め?の症例です。


60歳代男性


〈主訴〉
健診にて肺内に結節を指摘された。自覚症状としては咳や痰がある。


〈現病歴〉
今回健康診断で、「肺内の結節影」を指摘されたため紹介受診となった。
昔から健診で「陳旧性の陰影」を指摘されていたという。



Q:本症例について、どのように進めていかれますか?

咳について一通りの問診をする。
過去の健診X線写真を取り寄せる。
健診発見異常であり、胸部CTをまずオーダーする。
とりあえず胸部X線写真を確認する。所見があれば咳の原因かもと考える。


これってQじゃなくて、アンケートですかねえ。


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posted by 長尾大志 at 18:00 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月06日

症例検討会BRONCHO11−7

抗酸菌について、陰影のあるところでしっかり洗浄したにもかかわらず検出されていないのであれば、ひとまずは考えなくてもいいのではないかと思います○。


カンジダ肺炎についてはこちらでもさんざん申し上げていますが、そもそも滅多にない病態×です。喀痰であれば口腔内などの常在カンジダのコンタミ(混入)があるあるですが、今回気管支鏡では声帯〜気管の白苔部を通過しているわけで、そこで混入した可能性が高いと思います。


気管支鏡で検出出来ていない嫌気性菌による膿瘍の可能性はあります○が、嫌気性菌だったらもう少し素直にPIPC/TAZが効いてくれてもよかったような気がしますねー。


緑膿菌はPIPC/TAZのMIC=8でS、MEPMのMIC≦0.25でSでした。直接比較はできませんが、PIPC/TAZ→MEPMに変更して軽快していることからは、緑膿菌感染が主たる病態であったように思われます○。


それ以外の真菌(主治医はムーコルなども想定していたようですが)も、可能性としてはあるのでしょうが、発症の状況(好中球がそれほど減っていない)と、L-AMB使用2週間程度で軽快してしまっているのが、ちょっと効き過ぎ感があるかなあ、と。




そういうわけで、画像から当初は間質性肺炎の可能性も考えられましたが、結果的には緑膿菌感染で説明可能な病態であったかと考えました。やはり、気管支鏡など、病変部に直接アプローチしないと、なかなか難しいなと感じた一例でした。


よくいろいろな施設で呼吸器内科医が、「感染症のことは何でもわかる」「感染症治療に関する意思決定力に長けている」と思われがちですが、それは決して能力が優れているからではなく(イヤ優れているケースももちろん多々あるわけですが…汗)、より多くの検体を集める努力を惜しまないから、なんですね。検体なくして意思決定なんて出来ませんがな。


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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月05日

症例検討会BRONCHO11−6

鑑別の難しい場面だと思います。投薬がステロイド、抗菌薬と入っていての陰影悪化ですから。鑑別をどれかに絞っての治療は患者さんの状態を考えると難しく、いろいろ可能性のあるものをドバーッと使わざるを得ない、ということでした。


薬剤性and/or放射線による間質性肺炎でステロイト反応性が悪い○、感染症で一般抗菌薬が届かない、というところが想定されますが、感染とすると空洞形成、というキーワードからは真菌(アスペルギルス)○、抗酸菌○、肺膿瘍○などが鑑別に挙がるでしょう。


アスペルギルスが侵襲性に来るぞ、というほど、好中球が極端に少ないという感じでもありませんが、ステロイド大量使用中でもあり、否定出来るものではなさそうです。


第23病日に当科入院となりまして、PIPC/TAZ、L-AMB開始、ステロイドはあまり効果なし、ということもあり減量の方針となりました。原因菌検索のため第26病日に気管支鏡検査を行ったところ、声帯〜気管に白苔、右上葉枝に膿性白色痰を認めました。


洗浄液細菌検査から緑膿菌(+)、カンジダ(+)を得、上記の通り胸部CTで陰影増悪、胸水増加傾向であったことから、PIPC/TAZ→MEPMに変更したところ、その後発熱なく、炎症反応低下傾向。胸部画像も改善傾向となりました。



Q:気管支鏡で検出された菌の意味は?

抗酸菌症は否定的
カンジダ肺炎合併
緑膿菌感染症であった
嫌気性菌による肺膿瘍


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posted by 長尾大志 at 21:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月04日

症例検討会BRONCHO11−5

この間、ステロイドパルス繰り返し、抗菌薬も広域・多量に使用していたにもかかわらず、酸素化、炎症所見に改善なく、画像上も、胸水の出現○、容積減少○に加えて空洞が形成されている○ように見えます。また、左肺にも陰影が出現している○ように見えます。


胸部CTで確認しましょう。第5病日に撮られたものとほぼ同じスライスです。


スライド33.JPG


右上葉に空洞陰影とコンソリデーション、それにすりガラス影、それから胸水が見られます。


スライド34.JPG


中葉、下葉ではすりガラス影と胸水があり、胸部X線写真同様の所見です。



Q:この時点での鑑別診断は?

真菌症
肺膿瘍
抗酸菌症
薬剤性肺障害
多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)


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posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO