2017年08月18日

症例検討会BRONCHO17−6

HRCTでUIPパターンと判断され、病歴、身体所見から膠原病やじん肺、過敏性肺炎である可能性は低く、血液検査では自己抗体の有意な上昇がないことから、UIPパターンを持つ間質性肺炎で、原因となるものがない、特発性肺線維症と考えられました。


現状の評価として、


肺機能検査:%VC 61.6%で拘束性障害、FVC実測値2.25L %FVC 60.0%
%DLCO 38.4%で拡散障害あり。


動脈血ガス検査:室内気、安静時でPaO2 96.4Torr、A-aDO2 8.7と開大なし。


6分間歩行試験では歩行負荷にてSpO2 96%→89%と低下したものの、修正Borgスケール2と息切れ感は著しいものではない。


安静時PaO2≧80Torrであり、特発性肺線維症の重症度分類判定表によって、重症度はTとなりますが、特発性肺線維症として指定難病申請を行うことが可能です。将来高額な抗線維化薬を使用することを念頭に置くのであれば、指定難病の申請を行っておくことは有用でしょう。


また、在宅酸素療法の保険適用基準にある『労作時の著しい低酸素』、これは微妙です。ここの判断にはあまり客観的な指標はなく、主治医の主観に任されている面が大きいでしょうから、在宅酸素については症状、経過、患者さんの希望などから導入を決めていくことになるでしょう。


治療介入としては、間違いなく取り入れるべきものとして急性増悪の予防(うがい、手洗い、感冒時の対処)、肺癌の定期的スクリーニングなどがありますが、それはわかってるけど、治療薬はどうなんだ、という話ですよね。


特発性肺線維症ですから、ステロイド、免疫抑制薬は使いません。これはいいですね。


では抗線維化薬は?これまでにもさんざん書きましたが、難しいところですね。その判断は専門医に任せて下さい、といいたいところですが、1つの目安として、悪化傾向がどの程度か、ということがあります。


それもいろいろな指標がありますが、1つご紹介しておくのはFVCの低下度合い。これは予後予測因子として知られていますし、ニンテダニブの臨床試験でも取り入れられています。これが半年で5〜10%以上低下していると、ちょっとヤバい、なんとか悪化を食い止めたい、そういうニュアンスになろうかと思います。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月17日

症例検討会BRONCHO17−5

胸部CTでは、立派な蜂巣肺が、胸膜直下、肺底部優位に認められます。UIPパターンといっていいでしょう。


UIPパターンをもつ間質性肺炎の予後や治療方針などを決める上で大切なことは、原因があるものかどうかどうかです。これは検査というよりも病歴が大きなウエイトを占めます。


例えば鳥関連抗原が原因の慢性過敏性肺炎であれば抗原回避が大切ですし、薬剤が原因であれば中止しなくてはならないことが多い。膠原病があれば、一般的に特発性よりは予後がよく、ステロイドを試してみようという気になる、などなど、原因があるものかどうかは大切な要素です。原因のあるなしは、病歴をしっかり聴取するとある程度はわかります。


また、膠原病については、病歴上症状がなくても、スクリーニングで自己抗体を測定することでわかることもあります。ですから検査も必要、となります。


そして、重症度や現在の状態を知るために行う検査としては、

  • 呼吸機能検査(肺機能検査)特にFVCとDLco

  • 動脈血ガス・A-aDO2

  • 労作時の酸素飽和度低下


が挙げられます。


ですから追加でさらにほしい検査は、労作時の酸素飽和度低下を調べる、6分間歩行試験、これをやりました。


<6分間歩行試験>
       SpO2(%)  HR(bpm)
安静時   96       97
1分     91       101
2分     89       111
3分     90       112
4分     89       111
5分     89       113
6分     90       114

・移動距離  392m

・修正Borgスケール
安静時:呼吸0  倦怠感0 
終了時:呼吸2  倦怠感0.5



Q:診断は?評価は?治療方針は?


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2017年08月16日

症例検討会BRONCHO17−4

胸部X線写真では、両側下肺野優位にすりガラス影〜網状影を認めます。明らかな蜂巣肺、とまではいえませんが、UIPパターンに似た像です。3ヶ月前と比較すると…


スライド65.JPG


陰影は少し増えてきているようです。


間質性肺炎のさらなる診断のためには、胸部CTは必須でしょう。


<胸部CT>

スライド66.JPG


スライド67.JPG



Q:胸部CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 19:15 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月15日

症例検討会BRONCHO17−3

やった検査は以下の通りです。両下肺野にfine cracklesを聴取し、間質性肺炎の可能性があったので、膠原病や血管炎のスクリーニングもある程度行われています(注:ウチで間質性肺炎症例では必ずこの項目を取る、ということではありません)。


<入院時検査所見>
TPLA- HBs-Ag- HCV-Ab-

<血液検査>
抗核抗体40倍
C-ANCA 1.0 未満
P-ANCA 1.0 未満
コウJO-1 陰性
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL) 1.0 未満

HB (g/dl ) 12.4
PLTS (1000 ) 176
RBC (1000000 ) 3.74 L
WBC (1000 ) 5.3
APTTC (秒 ) 29.0
PT-INR ( ) 1.01
Dダイマ- (μg/ml ) 0.3
ホタイカ (U/ml ) 61.1 H
TP (g/dl ) 7.2
ALB (g/dl ) 3.8 L
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 17
ALP (U/l ) 118
G-GTP (U/l ) 34
T-BIL (mg/dl ) 1.32 H
NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 0.81
eGFR ( ) 72.2
UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.2
P (mg/dl ) 3.7
T-CHO (mg/dl ) 158
TG (mg/dl ) 65
HDL-C (mg/dl ) 62
LDL-C (mg/dl ) 73
IG-G (mg/dl ) 1628
IG-M (mg/dl ) 22 L
IG-A (mg/dl ) 525 H
C3 (mg/dl ) 96
C4 (mg/dl ) 20
CRP (mg/dl ) 0.67 H
RF (IU/ml ) 2
BNP (pg/ml ) 14.50
GLU (mg/dl ) 92
A1C(NGSP (% ) 5.8
F-T4 (ng/dl ) 1.13
F-T3 (pg/ml ) 2.8
TSH (μIU/ml) 2.72
KL-6 (U/ml ) 852 H
FERRITIN (ng/ml ) 191.5
SP-D (ng/ml ) 341 H


<動脈血ガス検査>(室内気)
PH ( ) 7.432
PCO2 (mmHg ) 38.1
PO2 (mmHg ) 96.4
HCO3 (mmol/l) 24.9
A-aDO2 8.7


<肺機能検査> 
VC:実測値2.38L %VC 61.6%
FVC:実測値2.25L %FVC 60.0%
FEV1.0:実測値1.84L %FEV1.0 60.5%
FEV1.0%:81.88%
%DLCO:38.4%


<心電図>
一度房室ブロックあり


<心エコー>
EF 62.7%
TR TRPG:29.5mmHg RAPs:3 mmHg RVPs:32.5mmHg
IVC IVC(i):5.7mm IVC(e):12.6mm 呼吸性変動あり


<胸部X-p>

スライド64.JPG


Q:胸部X線写真の所見は?さらにほしい検査は?


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posted by 長尾大志 at 14:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月14日

症例検討会BRONCHO17−2

この病歴は生活歴周りのこと中心に、結構いろいろと聴いてくれています。きっと『間質性肺炎疑い』ということで、研修医の先生も張り切って下さったのでしょう。


それであればこそ、病歴をもう少し掘り下げてほしかった気がします。現病歴に、(主訴にある)労作時の息切れに関する記載がありませんし、膠原病や血管炎などを連想させる、肺外の症状についても記載されていません。


病歴には、こういう症状が「ある」という情報も大事ですが、こういう症状が「ない」という情報もまた重要です。陰性情報も書かなきゃわからない。「なかったんだから書かなくてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、書いてないことは「ない」のではなく、「見てない」「聴いてない」ということにしかならないのです。これは肝に銘じておきましょう。


本人の自覚症状として最近(ここ半年程度)労作時息切れの訴えがあり、妻によると数年前から歩く速度が遅くなってきたとのことで、かなり前から無意識に歩行をセーブしていたようです。


また、肺外の症状に関しては、明らかなものはありませんでした。



<入院時身体所見>
<バイタルサイン>
体温36.3度 脈拍数85回/分 血圧129/69 SpO2 96%(室内気、安静時)


<身体所見>
眼球結膜黄染なし
眼瞼結膜貧血なし
頸部リンパ節腫脹なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:両下肺野にfine crackles聴取
心音:整・明らかな雑音はなし
上肢:ばち指なし、Gottron兆候なし、皮膚硬化なし、指の腫脹なし
下肢:浮腫なし・後脛骨動脈触知・足背動脈触知
皮疹なし



Q:必要な検査は?もう早く画像を見たいですか?


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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月10日

症例検討会BRONCHO17−1

症例 70歳代男性


<主訴>
労作時の息切れ


<現病歴>
毎年職場の健康診断を受診しており、今まで特に異常を指摘されたことはなかった。
今回の健診の際、胸部X線写真にて異常陰影を指摘され前医を受診。間質性肺炎の疑いとのことで、当院当科紹介となった。


<既往歴>
特記すべき事項なし
高血圧、糖尿病なし


<家族歴>
特記すべき疾患なし


<生活歴>
・喫煙 20歳〜30歳 40本/day
・飲酒 週3回ほど(日本酒2合、焼酎)
・粉塵暴露歴なし
・職業 事務職
 10年ほど前まで農業兼業(米農家)
・健康食品、漢方の使用歴なし


<その他>
・海外渡航歴:なし
・ペット飼育歴:なし
・鳥関連
 羽毛布団の使用:なし
 ダウンジャケットの使用:なし
 家にツバメの巣がある(最近は来ていない)
 近所にフクロウがよく来ていた(最近は無し)
 家の周りにカラスが多い
 周囲にコウモリはいない
・自宅関連
 木造(築20年)
 加湿器使用歴なし
 カビっぽいところはない


<アレルギー>
なし



Q:病歴で他に聴きたいことは?


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月09日

症例検討会BRONCHO16−3

多数・多種類の投薬を受けているものの、本症例におけるコントロールは万全とはいいがたいものです。ですから周術期の発作予防という意味では、もう少しコントローラーを何とかしたい。とはいえ、大概の薬がはいっておりますけれども…。


具体的には、フルティフォーム/スピリーバの吸入手技確認、用量調整、それでダメならオマリズマブorメポリズマブ追加、手術が迫っているなら、短期間全身ステロイド使用もやむなしかもしれません。


それに肺機能だって、1秒量<1L、結構な低肺機能です。体格も小さい症例ですが、1秒率も50%未満。これでは咳をして痰の喀出するのも結構大変です。ということで、手術に際してはリスクが高そうです。


不安定期にどうしても手術、という場合、術前(+術後)、短時間作用型β2刺激薬吸入をしたり、全身ステロイドを使用したりすることもあります。



そして!さらに確認しておくべき、最も大切なことは、アスピリン喘息の有無。術後疼痛に対してNSAIDsを使う機会は多いものですから、アスピリン喘息の有無は必ず確認しておかねばなりません。手術による発作よりも、NSAIDs投与による発作の方がむしろ危険です。


そこでご本人に確認しましたところ…


「これまで解熱薬とか痛み止めを飲んで、発作が出たりしたことはないですか?」「それは覚えがないですねえ」とのこと。おお、それではアスピリン喘息なしですな…。「いや、そもそもそういう薬って、飲んだことがありませんのです」…。


なるほど。飲んだことがなければ、アスピリン喘息が「あり」か「なし」かはわかりません。それではこの質問。


「湿布とかを貼って咳が出たり、ゼイゼイすることはありませんか?」


「そうですね。茶色い湿布を貼るとよくゼイゼイいうンです」


!!!!!


ハイ、アスピリン喘息ありです。こういうことがままありますから、しつこく追求する必要がありますね。


術中発作などのリスクも高いので、術前にメプチン吸入、リンデロン点滴し、術後の投薬にも禁忌薬が多く、注意が必要と説明しました。


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posted by 長尾大志 at 15:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月08日

症例検討会BRONCHO16−2

喘息がある症例での周術期問題ですが、問題点としては大きく2点あります。


@ 手術に伴って発作が起きないか
A 肺機能の低下によって、術後合併症が生じるリスクが増えないか


『喘息予防・管理ガイドライン2015』を紐解くと、@に関しては、周術期の気管支攣縮は全手術症例の1.7%に認められたというデータがあり、それほど多いものではありませんが、無視出来る数字でもありません。


攣縮=発作のリスクを考えるにあたって、少なくとも喘息の重症度やコントロール状況はしっかりと把握しておく必要があります。コントロール不良であれば、術前に治療のステップアップが必要です。


また肺機能が低下していると、術後喀痰排出が困難となり、肺炎などのリスクになりますから、現時点での肺機能を確認しておくことも重要です。



そこで、本症例で確認しましたところ…。


喘息は30歳頃に発症した。他院で治療中。投薬内容は現在、

テオロング
アレロック
シングレア
スピリーバ
フルティフォーム125エアゾール
フルナーゼ

現在の状態としては、階段や坂道ではゼイゼイいうが、じっとしているとどうもない。坂を登ったりする前にはメプチンを吸ったりしていると。


入院歴は15年前に肺炎、喘息発作あり他院入院、13年ほど前に再度発作あり入院、以降は入院歴無し。その後ほぼ薬は固定されているとのこと。なお外来でSpO2が 95%を下回ることが時々あるという。



Q:現状の評価は?手術は安全か?さらに確認しておくべきことは?


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posted by 長尾大志 at 18:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月07日

症例検討会BRONCHO16−1

今回は(も?)ショートネタです。台風のため、出題も短めに。


症例 80歳代女性


(院内紹介)全身麻酔下手術を予定している方です。喘息あり、吸入薬(LAMA,ステロイド)と内服薬で加療されています。術前の肺機能検査では1秒量 860mL、1秒率 49%と閉塞性障害を認めております。喘息の周術期管理に関しまして伺いたく、対診とさせて頂きました。(紹介状ここまで)



Q:尋ねるべきこと、確認しておくべきことがらは?


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posted by 長尾大志 at 13:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月04日

症例検討会BRONCHO15−6

気管支鏡の所見も見ておきましょう。


(所見)
左下葉枝は黄白色/高粘稠の壊死様物質で閉塞しており、吸引を試みたが吸引出来なかった。一部を把持鉗子で生検した。
透視下に、左B8付近よりTBB施行。続いて、EBUS使用下に♯R4より針生検施行。
検査後の出血持続がないことを確認し、検査終了した。


スライド63.JPG


(生検結果)
Adenocarcinoma

腫大した多形性のある核を持った異型細胞が増殖しています。好酸性の豊富な細胞質も見られ、非小細胞肺癌の所見です。背景には線維性間質と虚脱した肺胞を認めます。
免疫染色でNapsinA(+), TTF-1(+), P40(-)であることより、腺癌と診断します。


EGFR ex19del+ T790M-
PD-L1 70%


ということで、まずはEGFR-TKIで治療導入を行いました。


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月03日

症例検討会BRONCHO15−5

見てきたように断定出来るのは、リンパの流れを理解しているからこそです。肺において、肺野を掃除して集まってくるリンパの流れは、胸膜のあたりから、およそ放射状に肺門に向かって集まる、といわれています。


スライド61.JPG


普段は掃除をしているリンパの流れながら、ひとたび肺癌ができてしまうと、その流れに癌細胞を載せて運んでしまうことになるのです。ですから、リンパ節転移が起こる順番も、この流れで考えますと…


肺野の結節⇒肺門リンパ節⇒気管分岐部リンパ節⇒気管傍リンパ節(縦隔リンパ節)の順番になる、ということですね。


その考え方で本症例を振り返ると…


スライド62.JPG


の、順番で、転移してきたかな、とわかるわけです。てことで、感想戦、大事ですよ〜。


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posted by 長尾大志 at 18:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月02日

症例検討会BRONCHO15−4

造影CTでは大動脈弓の高さでリンパ節腫大が見られます。また、気管分岐部下にもリンパ節腫大が。胸部単純X線写真で見えるかどうか、感想戦で確かめてみましょう。


スライド58.JPG


気管分岐部横の、傍気管線付近は、確かに軟部影の厚みがあり、傍気管線も消失しています。しかしながら、気管分岐の確度はそれほど開いているわけでも、ましてやがに股状に(外向きに凸に)なっているわけでもなく、気管分岐下リンパ節の腫脹を発見するのは難しいかもしれません。…しかし!


CTではもう一つ所見がありますね。心臓の裏に結節です。右の横隔膜と同じくらいの高さにありますから、このあたりでしょうか。これは難しいですが、何となく線が見えませんか?


スライド59.JPG


ということで、まとめますと、左下肺野の結節影、おそらくこちらが原発巣で、左肺門リンパ節転移、それによる左下葉(の一部)無気肺、さらに気管分岐部〜右気管傍リンパ節転移が認められる、ということになります。


スライド60.JPG



Q:なぜそこまで(見てきたように)断定出来るのでしょうか?


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2017年08月01日

症例検討会BRONCHO15−3

CT、左肺門の結節影です。そのところしか出してませんでしたね…イジワル。他のスライスも出しましょう。


スライド53.JPG


こちらはS8の無気肺ですね。上下葉間に接してべたっと拡がる高吸収域、下葉の一番前ですからS8です。上の結節でS8枝が閉塞して生じたものと考えられます。心臓の横には接しておらず、左4弓がシルエット陰性なのがわかります。


スライド54.JPG


さて、それで済めば話は簡単ですが、もう少し他のスライスもみてみましょう。CTを見てからもう一度胸部X線写真を見る、将棋でいう「感想戦」ですね。これを毎回きちんとやると、胸部X線写真読影力がグンと伸びます。オススメですよ、画像感想戦(今命名)。


スライド55.JPG


スライド56.JPG


スライド57.JPG


え、胸部単純X線写真に、こんな所見あったっけ?と思ったら、すぐ感想戦。胸部X線写真を見直しましょう。


Q:胸部単純X線写真・CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月31日

症例検討会BRONCHO15−2

本症例では胸部X線写真の所見がミソなので、さっさとそちらに向かいますが、その前に、診察所見におけるrhonchiを考えておきましょう。まあ、気管支狭窄音、といってしまってますが…。


症状として咳や痰があり、左肺野にrhonchi聴取、ということで、中枢気道に何か狭窄病変があるのではないか、と考え、そのつもりで胸部X線写真を見ます。すると…


左肺門部にモコッとした陰影、さらに心陰影に重なるようにべたっとした陰影が見えますね。


スライド51.JPG


陰影があるものの左4弓はシルエット陰性ですから、舌区ではなく下葉の陰影だとわかります。気道狭窄の可能性から考えますと、左肺門に腫瘤があって、下葉を狭窄ないし閉塞、結果、閉塞性肺炎〜無気肺となっているように見えます。発熱や炎症所見を欠くことから、無気肺の方が考えやすいでしょうか。


また、左横隔膜はぼやけているように見えますから、病変はS8であると考えられます。


スライド52.JPG


Q:CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月28日

症例検討会BRONCHO15−1

症例 50歳代女性


<主訴>
1週間以上続く咳嗽、喀痰


<現病歴>
1週間前から続く咳嗽、喀痰を主訴に近医受診。聴診で左肺に気管支狭窄音を聴取、胸部単純Xpで異常影がみられた。採血では炎症所見はなく、抗生剤(MFLX400mg1T×4日)の効果もないため、当院紹介となった。


<既往歴>
特記事項なし
内服薬なし


<生活歴>
喫煙経験なし
アレルギーなし


<診察所見>
聴診:左肺野にrhonchi聴取


<胸部X線写真>

スライド50.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?


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2017年07月27日

症例検討会BRONCHO14−7

一般論ですが、膠原病で治療開始するかどうか、そのタイミングは「どれだけ治療が必要か」によって決まります。診断確定を待つかどうかは、待てる状態かどうかによるのです。


例えば急速に進行する間質性肺炎がある皮膚筋炎(疑い)のような場合、治療を待つことはまったくできないでしょう。診断が定まっていなくても、直ちにステロイドパルス+免疫抑制薬が必要です。診断確定を待たずに治療開始もあり○で、診断確定までは治療開始しない×ということにはなりません。


また、膠原病の治療でよく使われるステロイド薬や免疫抑制薬は、罹患臓器によっておおよそ治療に必要な薬剤量が決まっています○。


肺の場合、間質性肺炎が多いですが、皮膚筋炎の急性例ではパルス⇒PSL 1mg/kg/日という使い方が多いでしょう。皮膚筋炎ではない、とか、比較的軽症の場合、PSL0.5mg/kg/日程度での治療となります。本症例では軽微な病変であり、もう少し待てるかもしれません。


あと、本症例では、腎障害が合併しています。筋症状もなく、間質性肺炎もあまり急ぐ感じではないことから、直ちにPSLなど投与はせず、腎生検を行いました。結果、膜性腎症によるネフローゼ症候群と診断されました。


筋炎、膜性腎症とくれば悪性腫瘍の合併ですが、スクリーニングにては腫瘍は発見されませんでした。


生検結果が出るまでの経過で、腎障害、筋原性酵素が自然軽快してきたこともあり、肺病変も落ち着いていて、緑内障があったことからステロイド治療のリスクを勘案し、結局、ステロイド少量+CyAで治療を開始しました。その後も経過良好であり、ステロイドを漸減しています。


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posted by 長尾大志 at 20:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月26日

症例検討会BRONCHO14−6

胸部CTでは、蜂巣肺は見られず、横隔膜直上に陰影が密集している、といったガチのUIPパターンではない×ものの、胸膜直下に網状影が分布、という、甘めに見てpossible UIPパターンかなあ、UIPとは断じられなくて○、特発性というよりは膠原病の香りがする○ような所見ですね。


過敏性肺炎のパターンは、上肺に優位、とか、粒状影、とか、そういうワードで代表されるような所見ですから、本症例とは異なるパターン×です。


ということで、症候からも、画像からも、膠原病の存在がそこはかとなく感じられる、あとはどの膠原病か、ということですが、CPKやALDの高値からは筋炎を考えたいところです。ということで大腿のMRIを撮りました。


スライド49.JPG


こちらはあまり集積が乏しい印象ですが、軽度の炎症所見の可能性あると指摘されています。診断基準的には筋電図、または/かつ筋生検がほしいところですね。


しかし残念ながら、筋電図にて筋原性変化は認められませんでした。筋生検は患者さんの同意が得られず施行出来ません。ということで、多発性筋炎疑いに合併した間質性肺炎として疾患を取り扱うこととなりました。


呼吸器の立場として、改めて間質性肺炎を評価すると、6分間歩行で502m歩行可能であり、歩行中mMRCも1程度で、SpO2 94-95%と低酸素にはなりませんでした。ABGでも酸素化問題なく、積極的な介入が必要かどうか、微妙なところです。



Q:膠原病としての介入、基本方針は?

診断確定までは治療開始しない
診断確定を待たずに治療開始もあり
罹患臓器によって薬剤量を決める
診断によって薬剤量が決まる


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posted by 長尾大志 at 20:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月25日

症例検討会BRONCHO14−5

胸部X線写真では右中肺野外側に、割とクッキリとした結節影が見られます○が、大きさのわりにクッキリしているので、病的意義は少ないものと思われます。


スライド46.JPG


病的な陰影としては、両側全体的(≒びまん性)に、ふわっとベールが掛かっているような「すりガラス影」が見えます。特に、網状影のようには見えず、また下肺野で強い、というわけでもなさそうです。


胸部CTを見てみましょう。


スライド47.JPG


黄矢印のところに結節が見えますが、やはり石灰化でした。そしてここ(気管分岐部付近)でも両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。


スライド48.JPG


横隔膜付近でも、上と同様に、両側背部にすりガラス影〜網状影が見られます。



Q:胸部CTの所見は?

UIPパターン
UIPとは断じられない
膠原病の香りがする
過敏性肺炎パターン


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posted by 長尾大志 at 17:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月24日

症例検討会BRONCHO14−4

間質性肺炎を思わせる身体・画像所見を見たら、膠原病関係の抗体スクリーニングを行うことは多いのではないでしょうか。本症例ではレイノー症状や日光過敏もあり、抗体検査をしておりますが、蛍光抗体がx40とあまり有意とは言えず、特異抗体も陰性ばかりです。


そんな中、生化学検査ではCPK 452、ALD 11.0が目をひきます。筋力低下などの明らかな症候はありませんが、筋炎+間質性肺炎の可能性はある○と考えられます。また、Cre0.84で大きな異常はありませんが、尿タンパク2+、尿潜血1+であり、何らかの腎障害が存在する○と考えられます。IgE高値からはアレルギーの存在も示唆されます○が、これらすべてが一元的に説明出来るか、というと、ちょっと難しいかもしれません。



<肺機能検査>
%VC 85.5%
FEV1 2.54L
FEV1.0% 74.45%
DLCOの低下はない


<胸部X線写真>

スライド45.JPG



Q:胸部X線写真の所見は?

異常なし
結節影を認める
両側下肺野に網状影
両側びまん性にすりガラス影


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posted by 長尾大志 at 17:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月21日

症例検討会BRONCHO14−3

呼吸音で、両側背部肺底部でfine crackles+、てことでやっぱり、以前両側の陰影を指摘された、KL-6上昇傾向、ということも勘案して、間質性肺炎の存在が想定されます。そうしますと胸部X線写真、HRCT○、呼吸機能検査(DLcoまで)○必要ですし、原因のあるものかないもの(特発性)かについて突き詰める必要があります○。


ただ、気管支喘息の存在を疑うような、「変動性」のある病歴ではありませんので、気道過敏性検査×は不要かと考えます。さてそれでは検査所見。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HT 37.2 L
HB 12.6
RBC 420万
WBC 5,300
PLTS 12.3万 L
SEG/NE 61.1
EOSIN 6.7
BASO 1
LYMPH 23
MONO 8.4
MCV 91
MCH 30.5
MCHC 33.7
蛍光抗体 x40
Homo (-)
Speckle (+)
Centrom (-)
Nucleol (+)
Periphe (-)
Granul (-)
カクマクカタ (-)
補体価 58.2 H
総蛋白 6.4
ALB 2.6 L
AST 28
ALT 21
LDH 105 L
ALP 343
γGTP 38
CHE 306
LAP 48
TBIL 0.78
DBIL 0.08
A/G比 0.7 L
NA 137 L
CL 104
K 4.6
UN 15.2
CRE 0.84
eGFR 69.9
CPK 502 H
IG−G 1700
IG−M 45
IG−A 250
C3 135
C4 30
CRP 0.77 H
RF 0
溶血 (-)
乳び (-)
Ig−E 14960 H
フェリチン 28.5
DS−DNA 3.7
SS−DNA 15.4
C−ANCA 陰性
P−ANCA 陰性
抗Scl70 ケンシユツセズ
抗JO−1 (-)
ALD 11 H
抗ARS抗体 インセイ
抗RNP抗体 インセイ
抗Sm抗体 インセイ
抗SS−A抗体 インセイ
抗SS−B抗体 インセイ



<尿検査>
尿タンパク2+、尿潜血1+


<肺機能検査>
%VC 75.5%
閉塞性障害、拡散障害なし



Q:検査所見でわかることは?

アレルギーの存在はありそう
膠原病の香りはしない
膠原病の香りがする
腎臓も悪そう


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月20日

症例検討会BRONCHO14−2

半年ほど前からの咳嗽が一連のものだと考えますと感染症の可能性はなさそうです×が、前医CT(左右肺に肺炎像?)は確認したいところです○。


一旦軽快したものの、1ヶ月後再度悪化、という経過から咳喘息の存在を想定されたのか、気管支拡張薬+吸入ステロイドを投与されています。しかしそれは無効で、KL-6上昇傾向を認めた、ということですから、やはり前医CTから間質性肺炎があったのではないか○、と考えるのが自然ですね。


一方で、IgE高値、ということからアレルギーの要素が存在することも想定はされます○が、主病変と関わりがあるかどうかは今のところハッキリしません。



<入院時身体所見>
BT 36.6℃、HR 66、整、BP 138/92、SpO2 97%RA、HT 168.9cm、BW 57kg
眼瞼結膜貧血なし、甲状腺腫大なし、鎖骨上窩LN腫大なし
心音:整
肺音:両側背部肺底部でfine crackles+、左優位
腹部:腸蠕動音正常、圧痛自発痛なし、平坦軟
四肢:冷感なし、しびれなし、筋力低下明らかではない、ばち状指傾向軽度、爪周囲の毛細血管拡張明らかでない
レイノー症状あり(寒いところで蒼白になる)
日光過敏あり(かゆみと発赤、皮膚剥離)
ゴットロン徴候なし、ヘリオトロープ疹なし



Q:てことでやっぱり…

胸部X線写真、HRCTが必要
呼吸機能検査はDLcoまで必要
気道過敏性検査が必要
原因について突き詰める必要がある


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posted by 長尾大志 at 18:23 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月19日

症例検討会BRONCHO14−1

症例 60歳代男性


<主訴>
咳嗽


<現病歴>
半年ほど前より咳嗽の持続あり、前医でCT撮影され、左右肺に肺炎像を認め、CAM投与された。一旦軽快したが、1ヶ月後再度咳嗽の悪化あり、気管支拡張薬+吸入ステロイドなど投与されたが無効。IgE高値、KL-6上昇傾向を認め、当科紹介受診となった。


<既往歴>
高血圧
ASO(右ステント留置、左バイパス手術)
狭心症(ステント留置)
緑内障
喘息既往なし


内服薬
ネキシウム、ゼチーア、コニール、ザイロリック、リバロ、オパルモン、バイアスピリン、フェブリク


<アレルギー>
特記事項なし、じんましんがたまにある


<生活歴>
喫煙歴 20本/day 20-48歳



Q:現時点で考えることは?

感染症をまずは疑う
アレルギーの存在を想定
前医CTの陰影はどうなったか気になる
KL-6上昇は間質性肺炎の存在があるのか


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posted by 長尾大志 at 20:43 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月18日

症例検討会BRONCHO13−4

シンプルに、所見だけを申しますと、気管が左に偏位し、左主気管支がはね上がっています。左横隔膜も高位。そして左肺は全体的に高吸収≒濃度上昇域、つまり真っ白になっています。


それではたっぷり胸水がたまったときのように、元あった構造物が全く見えなくなっているのか、というとさにあらず、下行大動脈と横隔膜は見えています。そして、心陰影は見えていない…。


スライド42.JPG


と、いうことで、皆さん!お得意のシルエットサインを使いますと、

  • 心陰影(S5)⇒陽性

  • 横隔膜(S8)⇒陰性

  • 下行大動脈(S6・10)⇒陰性


もう一つおまけに、大動脈弓上部も見えなくなっていますね。これはS1+2に接するので、そこも陽性、と考えますと、下葉には病変はなく、上葉、それも上から下まで病変がある、ということになります。


ちなみに、上葉は上葉といいますが、左の上葉は上から下までありますねん…。横から見たときには前面が上葉、後面が下葉です。


スライド43.JPG


ですから、とある学生さん(Oさん)は、それが印象に残っていたのでしょう、「前葉、後葉」といってたりしました。まあ、あながちまるっきり間違いとも言いがたい、むしろ左はそういった方がわかりやすいかもなー、と思ったものです。


スライド44.JPG


閑話休題、気管が左に偏位、左主気管支がはね上がり、左横隔膜高位、そして左肺全体的に高吸収なので、左の無気肺は間違いない。主気管支が上がっているので、たぶん上葉無気肺ですが、大動脈上部・心陰影がシルエット陽性というところも、左上葉の病変であることを支持します。ということで、まごう事なき左上葉無気肺ですね。


で、身体診察に戻ってみると、左の前面で濁音、呼吸音低下ある一方で、背面で左右差がなかったというのは、上図の通り左前葉ならぬ上葉に限局する病変で、特徴的に見られる所見なのですね。腎細胞癌が気道内転移によって無気肺を起こしやすい、という知識があれば、身体診察の時点で「おそらく左上葉無気肺」と当たりをつけることは難しくありませんでした。

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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月14日

症例検討会BRONCHO13−3

診察上fine cracklesを聴取しなかったことから、間質性肺炎の存在は考えにくいと思います。で、診察上前胸部ではなにやら左右差があり、背部では差がないとのこと。


スライド38.JPG


これはどういうことか?肺(胸郭)を横から見た図を考えますと、前の方に限局して何かがあり、後ろには正常肺が残っている、と考えられます。ですから左の前方に何かある○、ということはわかりますが、何があるか×までは判断出来なさそうです。


スライド39.JPG


肺内転移の可能性などを考えますと、ある程度の大きさのある腫瘍、無気肺が想定されます。胸水だったら、通常は前も後ろも同じ所見になるでしょう。被包化されている胸水、となると、前後どちらかに限局、ということも見受けられますから、この所見だけではわかりかねます。


ということで、胸部X線写真を確認しましょう。


スライド40.JPG


1ヶ月前のものがこちら。


スライド41.JPG



Q:所見は?

左胸水
左腫瘤影
左上葉無気肺
左下葉無気肺
左全体の無気肺


選択肢に無気肺が3つもあるんだから、その中のどれかだろう…なんて無粋な回答はしちゃダメですよ。


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月13日

症例検討会BRONCHO13−2

状況的には咳の原因となる要素が多分に含まれた症例だと思います。


抗がん剤治療中に出てきた咳ですから、薬剤性肺障害はじめ薬剤による咳○、脳転移があることから脳転移由来の(誤嚥などによる)咳○は容易に想定出来るでしょう。もちろん肺内転移も場所によっては咳の原因となります○。通常は血行性転移で、気道に顔を出すことはそれほど多くありませんが、腎細胞癌は気管、気管支内転移を来たし易いとされているので、咳の原因となることもあるでしょう。


通院にて抗がん剤治療中であるということで、遷延性咳嗽を生じるような感染症に罹るようなことは少ないように思います△が…お子さんやお孫さんから、ということもありうるといえばそうです。


日中よりも夜の方が強く、夜間咳で目覚めることもある、ということですが、咳症状はだんだん悪化してきていて変動は少なく、これまでにはこれほどの咳はなかったとのことで、喘息やアレルギーの要素は少なそうです。



というわけで、診察してみましょう。


SpO2:97(room air)、PR:93 整

声音振盪:左前胸部減弱
打診:左前胸部では濁音、右は共鳴音
聴診:左前胸部では減弱、右は清

背部では前胸部のようには左右差はわかりませんでした。



Q:これから何がわかりますか?

左に何かありそう
左に何があるか
右に何があるか
本症例の病態すべて


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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月12日

症例検討会BRONCHO13−1

50歳代男性


腎細胞癌で他院通院、抗がん剤治療中。1ヶ月前に脳転移に対し放射線治療施行された頃から咳嗽あり、メジコンを処方されたが軽快しないため、紹介となった。


咳は乾性で痰はなく、症状はだんだん悪化してきている。これまでにはこれほどの咳はなかった。日中よりも夜の方が強く、姿勢には依存しない(臥位でも坐位でも出る)。夜間咳で目覚めることもある。


喫煙経験なし
アレルギー歴詳細不明 花粉症などはない。
粉塵暴露歴なし



Q:想定すべき可能性の高い病態は?
薬剤性肺障害を含む薬剤性の咳
脳転移由来の誤嚥などによる咳
肺内転移などによる咳
感染症による遷延性咳嗽


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

症例検討会BRONCHO12−4

「胸焼けはありませんか」と尋ねると、しっかりありますとのこと。Ca拮抗薬の開始と肥満の始まりと、咳のタイミングが一致したわけです。


ということで、咳の原因はGERDと判断しました。咳では薬をもらうほど困っているわけではない、とのことであり、降圧薬の変更、および体重を減らすことで咳は軽減する可能性があることを説明して終診としました。


今回はどこまで咳を突き詰めるか、という哲学じゃないですけどポリシー、といいますか、流せば流せるけど、きちんとやると気持ちいい、ということが言いたくて取り上げました。


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posted by 長尾大志 at 17:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月11日

症例検討会BRONCHO12−3

胸部X線写真では気管分岐部チョイ上の白い結節が、たぶん石灰化したリンパ節かなあ、という感じですが気にはなります。また、ちょいちょい濃度が高そうなところもあります。


スライド37.JPG


ご紹介であったこともあり、念のため胸部CTを撮影しました。指摘の部位はすべて石灰化が見られ、活動性病変はなさそうでした。


結果を説明しながら、改めて話題を咳に戻すと…。変動性はあまりなさそうです。結構5年ほどずっとあって、よくよく尋ねると、現在内服中の薬が始まった頃、また、肥満傾向になった頃と一致して咳が始まった様子です。そういえば、アレを尋ねていませんでしたね…。


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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月10日

症例検討会BRONCHO12−2

いかがでしょうか。多いのは、まずは胸部X線写真を確認するパターンかな、と思いましたが、先生によっては、健診発見異常であり、胸部CTをまずオーダーする、何か所見があればその時点で咳と照らし合わせる、という方もおられるでしょう。時間のない外来であればなおさらです。今回はどれが正解、というわけではないと思いますが、お話を進めます。



本症例では病歴をもう少し突っ込んで尋ねました。


〈現病歴〉
5.6年前から気にすると咳や痰がでてくるのに気付いた。2年前に他院受診し胸部X線写真を撮ったが異常なしで、投薬も受けていない。咳や痰にずっと変化はない。痰は白く、血は混じっていない。量も多くない。

咳は昼間に多い。息切れはない。食事には関係なく、体位による変化も感じない。

昔は定期的に運動していたが60歳以降しておらず、その頃食事量も増加したため5年間で5キロ増加した。寝汗は昔から多いが変化はない。

昔から検診で「陳旧性の陰影」を指摘されていた。


〈既往歴〉
特記事項なし
結核の既往なし
高血圧、抑うつ傾向を近医で加療中(アムロジピン、パロキセチン)


〈家族歴〉
父親が肺癌
周りに結核なし


〈社会歴〉
工場勤務。現場作業ではない。


〈生活歴〉
喫煙は一日一箱×13年で禁煙した。
飲酒は機会飲酒


外来での診察にて、特に異常な所見は認められませんでした。
胸部X線写真はこんな感じ。


スライド36.JPG



Q:さて、これからどうしますか?

咳や痰には変化もないことだし、これにて終了
ちょっと気になる所見があるからCTを撮影する
所見はないけど健診発見なのでCTを撮影する
咳や痰に対してもうちょっと問診する


このQも問題、というよりは考え方を問うようなQですが、いかがでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 16:24 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月07日

症例検討会BRONCHO12−1

今回は軽め?の症例です。


60歳代男性


〈主訴〉
健診にて肺内に結節を指摘された。自覚症状としては咳や痰がある。


〈現病歴〉
今回健康診断で、「肺内の結節影」を指摘されたため紹介受診となった。
昔から健診で「陳旧性の陰影」を指摘されていたという。



Q:本症例について、どのように進めていかれますか?

咳について一通りの問診をする。
過去の健診X線写真を取り寄せる。
健診発見異常であり、胸部CTをまずオーダーする。
とりあえず胸部X線写真を確認する。所見があれば咳の原因かもと考える。


これってQじゃなくて、アンケートですかねえ。


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posted by 長尾大志 at 18:00 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月06日

症例検討会BRONCHO11−7

抗酸菌について、陰影のあるところでしっかり洗浄したにもかかわらず検出されていないのであれば、ひとまずは考えなくてもいいのではないかと思います○。


カンジダ肺炎についてはこちらでもさんざん申し上げていますが、そもそも滅多にない病態×です。喀痰であれば口腔内などの常在カンジダのコンタミ(混入)があるあるですが、今回気管支鏡では声帯〜気管の白苔部を通過しているわけで、そこで混入した可能性が高いと思います。


気管支鏡で検出出来ていない嫌気性菌による膿瘍の可能性はあります○が、嫌気性菌だったらもう少し素直にPIPC/TAZが効いてくれてもよかったような気がしますねー。


緑膿菌はPIPC/TAZのMIC=8でS、MEPMのMIC≦0.25でSでした。直接比較はできませんが、PIPC/TAZ→MEPMに変更して軽快していることからは、緑膿菌感染が主たる病態であったように思われます○。


それ以外の真菌(主治医はムーコルなども想定していたようですが)も、可能性としてはあるのでしょうが、発症の状況(好中球がそれほど減っていない)と、L-AMB使用2週間程度で軽快してしまっているのが、ちょっと効き過ぎ感があるかなあ、と。




そういうわけで、画像から当初は間質性肺炎の可能性も考えられましたが、結果的には緑膿菌感染で説明可能な病態であったかと考えました。やはり、気管支鏡など、病変部に直接アプローチしないと、なかなか難しいなと感じた一例でした。


よくいろいろな施設で呼吸器内科医が、「感染症のことは何でもわかる」「感染症治療に関する意思決定力に長けている」と思われがちですが、それは決して能力が優れているからではなく(イヤ優れているケースももちろん多々あるわけですが…汗)、より多くの検体を集める努力を惜しまないから、なんですね。検体なくして意思決定なんて出来ませんがな。


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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月05日

症例検討会BRONCHO11−6

鑑別の難しい場面だと思います。投薬がステロイド、抗菌薬と入っていての陰影悪化ですから。鑑別をどれかに絞っての治療は患者さんの状態を考えると難しく、いろいろ可能性のあるものをドバーッと使わざるを得ない、ということでした。


薬剤性and/or放射線による間質性肺炎でステロイト反応性が悪い○、感染症で一般抗菌薬が届かない、というところが想定されますが、感染とすると空洞形成、というキーワードからは真菌(アスペルギルス)○、抗酸菌○、肺膿瘍○などが鑑別に挙がるでしょう。


アスペルギルスが侵襲性に来るぞ、というほど、好中球が極端に少ないという感じでもありませんが、ステロイド大量使用中でもあり、否定出来るものではなさそうです。


第23病日に当科入院となりまして、PIPC/TAZ、L-AMB開始、ステロイドはあまり効果なし、ということもあり減量の方針となりました。原因菌検索のため第26病日に気管支鏡検査を行ったところ、声帯〜気管に白苔、右上葉枝に膿性白色痰を認めました。


洗浄液細菌検査から緑膿菌(+)、カンジダ(+)を得、上記の通り胸部CTで陰影増悪、胸水増加傾向であったことから、PIPC/TAZ→MEPMに変更したところ、その後発熱なく、炎症反応低下傾向。胸部画像も改善傾向となりました。



Q:気管支鏡で検出された菌の意味は?

抗酸菌症は否定的
カンジダ肺炎合併
緑膿菌感染症であった
嫌気性菌による肺膿瘍


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posted by 長尾大志 at 21:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月04日

症例検討会BRONCHO11−5

この間、ステロイドパルス繰り返し、抗菌薬も広域・多量に使用していたにもかかわらず、酸素化、炎症所見に改善なく、画像上も、胸水の出現○、容積減少○に加えて空洞が形成されている○ように見えます。また、左肺にも陰影が出現している○ように見えます。


胸部CTで確認しましょう。第5病日に撮られたものとほぼ同じスライスです。


スライド33.JPG


右上葉に空洞陰影とコンソリデーション、それにすりガラス影、それから胸水が見られます。


スライド34.JPG


中葉、下葉ではすりガラス影と胸水があり、胸部X線写真同様の所見です。



Q:この時点での鑑別診断は?

真菌症
肺膿瘍
抗酸菌症
薬剤性肺障害
多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)


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posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年07月03日

症例検討会BRONCHO11−4

胸部X線写真では、右肺に元々あったコンソリデーションに加え、全体的に淡い濃度上昇(すりガラス影)が生じています。可能性としては上に挙げたいずれも、あり得るでしょうが、肺胞出血だったら血痰の有無を確認したいところです。なければ△、肺炎の悪化はある○でしょうが、それほど免疫抑制ではない状況で、PIPC/TAZでも効果がない病原体、というのは少しどうかな?というところで、薬剤などによる間質性肺障害◎、癌性リンパ管症○が想定されて胸部CTを撮影されました(第5病日)。


スライド26.JPG


スライド27.JPG


やはりすりガラス影主体と言えるでしょう。この所見から薬剤性や放射線による間質性肺炎>リンパ管症が疑われ、ステロイドパルス+後療法(PSL50mg/日〜)を行いましたが、症状の軽快はあるものの、胸部Xp、CT所見は増悪しました。増悪後が以下の通りです。


第14病日


スライド28.JPG


第20病日


スライド29.JPG


第29病日


スライド30.JPG



Q:所見の変化は?

右胸水出現
空洞病変形成
右肺の容積減少
左肺に陰影出現


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posted by 長尾大志 at 19:00 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月30日

症例検討会BRONCHO11−3

診察所見ではO2吸入を要する低酸素血症と右上の呼吸音減弱があり、炎症所見も見られます。


胸部X線写真では、右上にコンソリデーションがみられますので、検査結果から素直に考えると右上の肺炎○ということになります。原因が細菌かどうかはともかくとして。


右肋横角は鋭で、積極的に胸水を示唆する所見とは取れず×、結節が多発しているとも言いがたい×。右下肺野は濃度が高く見えますが、乳房外縁(黄線)をまたぐと微妙に元の濃度に戻っていそうで、これは乳房の濃度かと考えました。左乳房が乳癌のために全摘されていることから左右の濃度差が生じているものと考えます。


スライド24.JPG


LVFX投与3日目で効果なく、撮影した胸部X線写真で上記の所見であったところから、主治医はまず細菌性肺炎(LVFX無効例)と考え、抗菌薬を広域のPIPC/TAZに変更されています。その3日後、治療効果なく、胸部画像はこんな風になりました。


スライド25.JPG



Q:あれれ…何が起こったのでしょう?

肺胞出血
肺炎の悪化
間質性肺障害
癌性リンパ管症


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posted by 長尾大志 at 15:44 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月29日

症例検討会BRONCHO11−2

癌化学療法中に生じた発熱、咳、胸部異常影を呈した症例です。免疫低下が想定される状態でもあり感染症の可能性をまず考えたいところですが、比較的急性の発症であり、急性(細菌性)肺炎◎>>経過の比較的ゆっくりな肺結核・肺真菌症△ということになるでしょう。もちろん経過の早い真菌症もありますので、その時点における免疫状態(好中球数など)を把握しておく必要はあります。


もちろん抗癌剤の副作用としての薬剤性肺障害も想定する必要があります◎。というわけで身体所見、検査結果を早く確認したいですね。ご覧に入れましょう。



<入院時身体所見>
身長:161cm 体重:53kg  BMI:20.4
HR:107bpm BP:107/72mmHg BT:36.7℃ RR:16/min SpO2:95%(鼻カヌラ 3L)

眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし
咽頭軽度、舌に白苔あり
頸部リンパ節触知せず、甲状腺腫大なし
胸部:心音 整  肺音:右上呼吸音減弱
腹部:平坦 軟 蠕動音亢進減弱なし
四肢:下腿浮腫なし、両側足背動脈触知可



<入院時検査所見>
HT 36.1
HB 12.0
WBC 17.2 H
PLTS 328
SEG/NEUT 97.4 H
TP 5.4 L
ALB 2.5 L
AST 17
ALT 20
LDH 262 H
ALP 254
G-GTP 23
CHE 200 L
LAP 53
T-BIL 0.52
NA 135 L
CL 101
K 4.4
UN 12.3
CRE 0.35 L
IG-G 579 L
IG-M 145
IG-A 138
CRP 4.51 H
GLU 179 H
A1C(NGSP) 6.3 H


LVFX投与開始3日目の胸部X線写真は…


スライド23.JPG



Q:診察・検査所見の解釈は?

右上葉の肺炎
右胸水
右下肺野のすりガラス影
多発肺転移


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posted by 長尾大志 at 16:27 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月28日

症例検討会BRONCHO11−1

症例 70歳代女性


<主訴>
発熱、咳嗽


<現病歴>
20年前乳癌に対し乳房切除術を施行された。10年前に再発し、内分泌療法や経口抗癌剤で治療されていた。
このたびCTで多発骨転移、多発肝転移を指摘された。胸椎転移による背部痛に対し、放射線治療+内分泌療法(アナストロゾール)を施行した。その後化学療法としてアバスチン+パクリタキセルを開始。1サイクル目終了翌日(day29)に39度台の発熱、咳嗽が出現した(第1病日)。
そこで1-2日目にLVFX内服、3-6日目に PIPC/TAZ 4.5g✕3点滴投与したが症状、炎症反応の改善なく、CTで肺に異常陰影を認めたため、6日目に当科紹介受診。


[既往歴]
42歳 左乳癌(papillo-tubular carcinoma)→乳房切除術
44歳 胆石症→腹腔鏡下胆嚢摘出術
52歳 両側卵巣嚢胞→腹腔鏡下右卵巣切除+左卵管卵巣切除


[家族歴]
父:不整脈


[生活歴]
喫煙:20歳台の数年間 5本/日
飲酒:ビール350mL缶 1本/日
粉塵・アスベスト暴露歴:なし
職歴:主婦

<アレルギー>
ハウスダスト、花粉症など



Q:乳癌化学療法中に生じた発熱、咳、胸部異常影、まず考えたいものは?

免疫低下状態でもあり肺結核を考える
免疫低下状態でもあり肺真菌症を考える
免疫低下状態でもあり急性肺炎を考える
抗癌剤の副作用として薬剤性肺障害を考える



Q:LVFX、PIPC/TAZの効果がみられないことから何を考える?

肺結核
肺真菌症
薬剤性肺障害
転移性肺腫瘍


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posted by 長尾大志 at 17:56 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月27日

症例検討会BRONCHO10−8

昨日挙げたもの以外に、最近話題の疾患としては、デング熱やエボラ出血熱なんかも比較的徐脈で有名ですね。高熱の割にそれほど脈が速くない、というのは意識していないと気付かないことも多いですが、呼吸数と並んでバイタルサインで軽視されがちな項目、として注意喚起しておきたいと思います。


比較的徐脈を呈する状態で、ウチで多いのは圧倒的に腫瘍熱と薬剤熱なんですけれども、徐脈になるような薬剤を使っている症例でも「比較的」徐脈になりますから、確認は必要ですね。


聖路加国際病院の岡田正人先生の提唱された『薬剤熱の比較3原則』、すなわち

  • 比較的徐脈

  • 比較的CRPが低値

  • 比較的元気


は覚えやすくて有名ですが、薬剤熱の10%程度にしか比較的徐脈を認めないともいわれており、また、腫瘍熱でも上の比較3原則が合致することも少なくありませんので、イコールではないことに注意が必要です。



比較的徐脈、実例を2例ほど。


■ 20歳代男性

<病歴>
1,2週間前に虫に刺されたあとに気づいた。本日全身に発疹が出現し37.8℃の発熱があり近医受診、当院に紹介受診された。


<診察所見>
麻疹様にもみえる全身紅斑。
前頚部、鎖骨上窩、腋窩、鼠径部にリンパ節腫脹あり
手のこわばりあり。浮腫軽度。感覚・運動障害なし。
左上腕外側に4cm大の皮下硬結あり。中心に虫刺様の皮疹あり。圧痛あり。


スライド21.JPG


リケッチア感染症(ツツガムシ病)による発熱、比較的徐脈でした。



■ 60歳代女性

<病歴>
早朝から散歩に出かけたが、帰宅後に倒れた。激しい後頭部痛、後頚部痛の訴えあり、繰り返す嘔吐を認め救急搬入された。搬入時は、E1V4M5。瞳孔不同なく、対光反射は減弱してはいるが、両側あり。明らかな片麻痺なし。頭部CTでクモ膜下出血を認めた。


スライド22.JPG


体温調節中枢障害による発熱、比較的徐脈と考えられます。


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posted by 長尾大志 at 17:08 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月26日

症例検討会BRONCHO10−7

比較的徐脈(相対的徐脈)は、「発熱があるのに、それに比較して脈がゆっくり」という状態です。


一般的に体温が0.55℃上昇すると脈拍は10/分増加することが知られています。ですから、体温上昇があると、

(体温−平熱)÷0.55✕10 

だけ脈拍数が増えることになります。ですから平熱に対して現在の体温からおよそ計算した脈拍数より20以上少ない場合、比較的徐脈といいますが、いちいち計算は面倒ですね…それに、39℃以上でないと感染症の診断として意味がない、ともいわれております。


そもそも、健常時の体温や心拍数がわからないと、この計算式ではよくワカラン、ということにもなります。そこで、群星沖縄臨床研修センターの徳田安春先生は「39℃で110番」と覚えると覚えやすい、と教えて下さいました。確かに覚えやすいですね。39℃で110/分以下だったら比較的徐脈と考える、ってことです。


比較的徐脈を呈しやすいといわれている疾患たちを以下に挙げますが、必ずしもそうとは限らない、といわれているものもあり、あくまで鑑別診断を挙げるための参考として知っておくとイイ、位の感じでしょう。ですから、ガチガチに計算して厳密に定義を適用する、というよりも、ささっと「こういう可能性があるかも」と鑑別診断を挙げる、という使い方がかっこよさそうです。


比較的徐脈を呈しやすい疾患

  • 腸チフス・パラチフス・サルモネラ

  • マラリア

  • レプトスピラ感染症

  • オウム病など非定型肺炎

  • レジオネラ感染症

  • 下垂体や体温調節中枢の障害

  • 腫瘍熱

  • 薬剤熱



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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月23日

症例検討会BRONCHO10−6

レジオネラ肺炎の特徴は、一言で言うと「変な肺炎」です。


普通の細菌性肺炎ですと、肺以外の症状が出ることはあまりありません。せいぜい敗血症やショックなどかなり重症の肺炎で意識障害を来すとか、その程度ではないでしょうか。


でもレジオネラ肺炎では肺炎以外の症状が前面に立つことも多いものです。

  • 意識障害、頭痛:細菌性肺炎ではよっぽどの重症例。

  • 消化器症状:下痢、嘔気・嘔吐、腹痛など。

  • 高熱(比較的徐脈を伴う)

  • 関節痛



逆に咳や膿性痰といった、いかにも肺炎、な症状はあまりみられません。


ウチみたいな呼吸器科ですと「肺炎、だけど変」みたいな見つかり方をすることが多いのですが、救急の現場でしたら「意識障害、だけど肺にも所見」「下痢、消化器症状、だけど肺にも所見」みたいな見つかり方をすることも少なくないでしょう。


そういうときに参考になる検査所見。もちろん尿中抗原検査は特異的で、頼りになりますが、血清群が1のものしか陽性にならず、感度の低さが問題とされています。以下のような検査値異常があると、レジオネラを考えるきっかけになると思います。


  • 肝酵素上昇:肝機能障害=消化器症状を意味します。

  • 高CK血症:一般的には特異度の高い所見といえるでしょう。まあ細菌性肺炎でも、激しい悪寒戦慄があったり、筋肉注射を受けたりすると高値にはなりますが、レジオネラでは本症例のように4ケタぐらいになることも珍しくありません。

  • 低Na血症:結構特異度が高く、鑑別に役立ちます。

  • 低P血症:こちらも結構特異度が高いとされています。





明日6月24日(土)はメディカ出版セミナー『急性期・術後の呼吸器ケア』東京会場@損保会館です。これから東京に向かいます。明日参加予定の皆さん、よろしくお願い申し上げます!

http://www.medica.co.jp/seminar/detail/131


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posted by 長尾大志 at 16:55 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月22日

症例検討会BRONCHO10−5

肺関連の症状とデータ、画像的には肺炎の存在が考えられますが、発熱と同時に軟便、という違和感、さらにデータ上低Na、低P、高CPK、オマケに?比較的徐脈もあるとくれば、診断はレジオネラ肺炎となるでしょう。尿中抗原陽性で確認出来たかと思います。


治療はキノロン系抗菌薬投与になります。本症例でもLVFX使用し、経過は…


スライド20.JPG


いかにも、の比較的徐脈ですね。治療後経過は良好で、入院5日目には解熱し無事に退院されました。



Q:レジオネラ肺炎の特徴を挙げて下さい。


Q:比較的徐脈の鑑別は?


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posted by 長尾大志 at 17:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月21日

症例検討会BRONCHO10−4

昨日はあえて選択肢を書きませんでしたが、おわかりでしたでしょうか。


胸部X線写真では一見異常所見がわかりにくいと思いますが、cracklesを聴取したのと同じ左下肺野をよ〜く見てみると…濃度上昇が見られますね。


スライド18.JPG


下行大動脈のシルエットサイン陽性であり、下葉の濃度上昇があるとわかります。CTを見ますと…


スライド19.JPG


確かに左下葉、下行大動脈に接してコンソリデーションが見られます。


血液検査データを見てみると、目立つのが


WBC 17.4 H
CRP 26.26 HH
プロカルシトニン3.87 H
PLTS 138 L
FIBG 815 H
Dダイマ- 1.5 H
LDH 263 H
UN 31.4 H
CRE 1.27 H
NA 129 L
CL 95 L
P 2.1 L
CPK 2096 HH
GLU 512 HH


といったところですね。炎症反応が強く、フィブリノゲンやLDHの増加は炎症反応と臓器障害を想起しますし、高血糖は糖尿病症例のシックデイであまり特異的ではありませんが、低Na、低P、高CPK、これはいかがでしょうか。ここに先の『違和感』を解くカギがあるのではないでしょうか。


その他の検査結果を見てみましょう。



【静脈血ガス】
pH7.417 PvO2 26.9, PvCO2:43.2, BE2.8, HCO3 27.3, Na128, K4.8, Cl97, AG9.0, 282.6Osm, Glu473, Lac 23

【尿検査】
WBC-, 蛋白2+, pH6.0、潜血3+、比重1.010、ケトン1+、糖5+

肺炎球菌抗原(-)
レジオネラ抗原(+)

【腹部エコー】
腎盂拡大なし、尿閉なし、IVC 4/16mm

【ECG】
HR 77bpm、V1でrsR'、V1-3で陰性T波→右脚ブロック



Q:診断は何でしょうか?治療はどうしましょうか?


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posted by 長尾大志 at 13:47 | Comment(2) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月20日

症例検討会BRONCHO10−3

診察上、腹部症状に乏しく、あまり胃腸系疾患を想起する感じではありませんでした×。むしろ低酸素血症と呼吸促迫、診察上左下肺に限局したcourse cracklesを聴取したということで肺に何かありそう○、でも肺炎にしては肺外症状が多く、なんか変だ◎、そんな感じになります。尿路感染はハッキリした所見に乏しい○ですが、否定するには尿検査が必要でしょう。



<入院時検査所見>
【血液検査】
HB 13.1
WBC 17.4 H
CRP 26.26 HH
プロカルシトニン3.87 H
PLTS 138 L
FIBG 815 H
PT-INR 1.24 H
APTTP 36.6
APTTC 29.0
Dダイマ- 1.5 H
ALB 2.8 L
AST 68 H
ALT 23
LDH 263 H
UN 31.4 H
CRE 1.27 H
eGFR 43.9
NA 129 L
CL 95 L
K 4.9
CA 8.4 L
P 2.1 L
CPK 2096 HH
GLU 512 HH
KL-6 180.1


胸部X線写真は…


スライド17.JPG


Q:所見を述べてください。他にほしい検査は?


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posted by 長尾大志 at 17:55 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月19日

症例検討会BRONCHO10−2

病歴聴取の段階ではいろいろな可能性が考えられると思います。急性発症の発熱と軟便(下痢)、であればまずは急性胃腸炎≒感染症○でしょうが、高齢者の発熱といえば尿路感染症や誤嚥性肺炎△、という連想もあるかもしれません。ただ、いずれも軟便が生じるのは典型的ではありませんね。感染というとHIV始めSTD関連もあるかもしれませんので、そういう生活歴もいずれ聴取する必要はあるかもしれません○。


発熱と軟便といえば炎症性腸疾患もそうなのですが、もう少し若年で、発見動機がもう少し慢性という感じでしょう△。急性に生じた膠原病や血管炎の可能性もありますから、他の症状が知りたい◎ところです。それから提示された以外の薬剤摂取についても要確認ですね。



ちなみに来院時の症状は発熱と軟便のみでした。パーキンソン病の重症度はYahr U度で、日常生活はほぼ可能、誤嚥も明らかなものはなかった模様です。提示された以外の薬剤摂取はありませんでした。



<入院時身体所見>
身長159.4cm 体重60.9kg(BMI 24)、BT 39.3℃、HR 82/分、BP 131/72mmHg
SpO2 93%(room air)→99%(マスク5L)、呼吸やや促迫
意識:JCS I-1,GCS E3V5M6 見当識障害ないが受け答えはゆっくり


口腔内:乾燥なし
頸部リンパ節腫脹なし
心音:整、雑音なし
肺音:左下肺にcourse crackles聴取
腹部:平坦、軟、圧痛なし、腸蠕動音亢進低下なし
CVA叩打痛なし
四肢:末梢冷感なし、下腿浮腫なし、明らかな筋力低下なし
強剛:両肘・膝関節の強剛なし


さて情報が増え、少し方向性が見えてきたでしょうか。



Q:この時点での鑑別診断は?

やはり急性胃腸炎だ
肺炎がありそう
肺炎にしては変だ
尿路感染はハッキリしない


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posted by 長尾大志 at 17:42 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月17日

岡崎市医師会学術講演会『胸部X線ルネッサンス〜』

昨日は、岡崎市医師会にて胸部X線写真の「異常陰影のとらえ方」と、肺炎の最新の話題を、なんと1時間に詰めこんでお話致しました。


どちらも本来でしたら90分ぐらい頂く話題でしたので、かなりテーマを絞り、なんとか合わせて65分ほどで無事に終わりました。岡崎市医師会の田那村先生、お招き頂きありがとうございました。


IMG_20170616_195654.jpg


特に抗菌薬の使い方のところでは、この4月に新しい肺炎ガイドラインが発表されたこと、そして厚生労働省が抗菌薬の使い方に関して『抗微生物薬適正使用の手引き』を公表したこともあり、これまで申し上げていたことをさらにしっかりとお伝えする必要性を感じておりましたので、後援頂いた第一三共さんには配慮しつつも『ガイドライン』『手引き』の骨子をしっかりと解説させていただきました。第一三共さんはさすが、懐が深いですね。こういう講演で演者の好きなようにやらせていただけるのはありがたいことです。

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posted by 長尾大志 at 23:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月16日

症例検討会BRONCHO10−1

症例 70歳代男性


<主訴>
発熱 全身倦怠感

<現病歴>
一昨日から家人が見るに少し歩きづらそうにしていた。昨日より40℃の発熱と倦怠感あり、発熱と同時に便が軟便となっていた。自宅で一晩様子を見ていたが解熱せず、本日朝当院救急外来を受診した。


<内服>
メネシット100mg 3錠分3
ミラペックス1.5mg 1錠分1
ミラペックス0.375mg 2錠分2
グリメピリド1mg 3錠分3
メトグルコ500mg 2錠分2
エクア50mg 2錠分2
アクトス15mg 0.5錠分1
オルメテック20mg 1錠分1
アムロジピン2.5mg 1錠分1
プラバスタチン10mg 1錠分1


<既往歴>
2型糖尿病
パーキンソン病

<家族歴>
母:パーキンソン病

<生活歴>
飲酒・喫煙:経験なし

<アレルギー>
食物:なし
薬剤:なし



Q:病歴から考えることは?

急性発症の発熱であり感染症を考えたい
誤嚥性肺炎の可能性もあるが軟便が不自然
尿路感染症があやしい
炎症性腸疾患がまず考えられる



Q:病歴で他にほしい情報は?

発熱と軟便以外に症状はあるのか
元々パーキンソンがあるがADLはいかほどか
嚥下はスムースか、誤嚥はないか
最近の活動範囲、訪問したところ


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posted by 長尾大志 at 16:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月15日

症例検討会BRONCHO9−8

…で、スルッと終わろうかとも思いましたが、やっぱり感受性検査の見かたも、ごく簡単に説明しておきましょう。


昨日の表をご覧下さい。MICというのは、最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration)といい、その抗菌薬がどのくらいの濃さになったら菌が生えてこないかを表すものです。当然、数字が小さい方が、薬がよく効くということですが、菌と薬によって臨床的に「効く」かどうかを判定するMIC(=ブレイクポイント)が異なっています。


いちいちこちらでMIC値から判断するのも大変ですから、S:susceptible=感受性あり、I:intermediate=中間、R:resistant=耐性、 と表記してくれているのです。まあ、Sだったら効く、Rだったら効かない、Iだとケースバイケース、基本はSを選択する、みたいな感じで考えておかれるといいでしょう。


表ではABPC、ABPC/SBT、AMPC/CVA、CCLがRで、その他はSです。Sだったらどれも同じ、ということはなくて、やはり少ない量で効く=MICの小さなものが効果が高い、と考えていいでしょう。もちろん投与量にもよってくるのですが…。


というわけで、表内でS、中でもMIC値の少ない(1未満の)ものから選ぶと、CTRX(セフトリアキソン)やCTX(セフォタキシム)、それにペネムやキノロンとなるので、その中ではなるべく狭域のセフェムで、みたいなことになるわけです。


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posted by 長尾大志 at 19:00 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月14日

症例検討会BRONCHO9−7

なぜか関西弁丸出しになってしまいましたが、カンファレンスではこんな感じだったりしますので、まあ臨場感があると思って頂ければ、


さて治療経過です。治療というものはある意味開始してからが勝負で、想定通りにことが進んでいるか、期待した効果が得られていないか、はたまた合併症・副作用が生じていないか、ということを考えながら経過を見るわけです。


肺炎だったら、そもそもの症状、すなわち発熱や呼吸状態がどのように変化しているかを見なくてはなりません。発熱はシンプルですが、呼吸状態だったらまず呼吸数。ハアハアしていたのが安らかな呼吸になっていたら、それは効果ありでしょう。


SpO2だって大事ですが、いつの間にか投与されている酸素流量が変わっていたりすることがあるのでご注意を。SpO2も血ガスも、同じ酸素の条件で比較しないと単純には評価できません。もちろん状態がずいぶん変わっているのに、無理やり同じ条件を維持する必要もありませんし、明らかに必要酸素流量が減っていればそれはめでたいことです。



で、本症例の経過ですが、3日目なのに解熱していません。うまくいっている×とはいいがたい。やっぱり経過がちょっと地味だし、グラム染色で見えた菌がGNRなので、H.influenzae⇒BLNARかなあ○。と考えるわけです。じゃあ、治療替えなアカンやろ○。


でも、PCsが効かない、イコール、ひょっとしたらレジオネラなんでしょうか×、とはならないでしょう。やっぱりレジオネラって、それなりの、それっぽい特徴(肺炎だけど肺だけじゃない)があって疑われるものであって、PCsが効かない、というキーワードだけで診断されるべきではないと考えます。


ということで、抗菌薬ABPC/SBTは効いていないのではないか、となったタイミングで、最近検査室から培養(H.influenzae)、および薬剤感受性結果がもたらされました。結果はこちら。


スライド15.JPG


Q:で、どうしますか?

男は黙ってそのまま継続!
CTRXに変更
治りが悪いのでMEPMを使っておこう
何にでも効くLVFXにしておこう



…これも、もういいですね。Qにするほどでもありませんでした。CTRXに変更です。MEPMやLVFXをこんなところで無駄遣いする意味がわかりません…。変更後はこういう経過でした。解熱してからは食事摂取も改善し、元気になられて退院となりました。


スライド16.JPG


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posted by 長尾大志 at 13:36 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月13日

症例検討会BRONCHO9−6

肺炎といえば、もちろんグラム染色を見たい◎わけですが、尿中抗原については、過去の感染でも陽性になったりしますから、そこまで強く思うわけではありません。でもあれば参考にはなりますし、気軽ですから、まあ取っておきましょう○。


本症例で使うべき抗菌薬については、いささか難しくて、まずはペニシリンでいけばいい○、ってなものですが、ちょっと経過が長くて地味な症状が若干気になるのです。喀痰の確認と、ペニシリンできちんとよくなるかどうか、確認が必要です。


ただまあ、キノロンでいく△、という発想にはならないように思います。効くとは思いますが…。理由はさんざん書いていますので、改めて書くまでもないと思います。


ちなみに、塗抹でこんな感じの菌が見えました(本症例ではありませんが…汗)。どうしますか?


スライド13.JPG


こちらではABPC/SBTが開始されました。入院3日目までの経過表はこんな感じ。


スライド14.JPG



Q:評価はいかがですか

うまくいっている。このままでいきましょう。
どこがやねん!治療替えなアカンやろ。
やっぱり菌が○○○なので、○○○○○かなあ。
PCsが効かない、ひょっとしたら○○○○○なんでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 19:07 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年06月12日

症例検討会BRONCHO9−5

胸部X線写真の所見は、左下肺野のコンソリデーション◎ですね。左横隔膜が多少ぼやけているようでもあり、肋横角も若干鈍かもしれませんが、胸水の存在はハッキリしません△。


コンソリデーションのシルエットサインは、どの線とも陽性ではありません。まず心陰影と陰性なので下葉の陰影だろうと思われます。そういうわけで左上葉には特に異常はないと考えます。また、容量減少所見も認めないことから、この濃度上昇は無気肺ではない×とも考えます。



CTでは…


スライド11.JPG


スライド12.JPG


確かに左下葉のコンソリデーションでした。胸水はありません。というわけで、肺炎の診断でよいと思います。


<A-DROP>
年齢-
BUN上昇-
呼吸不全±呼吸数24回で軽度増加あり
意識障害-
血圧低下なし
→1-2点


一過性意識低下のエピソードがあり、頭部CTを撮影されていますが、脳に器質的な病変はなく、ECGも確認しましたが不整脈も認めませんでした。意識は来院時にはすっかり回復していました。



Q:さて肺炎、抗菌薬治療はどうしましょうか。できたら根拠も考えて頂きますようお願いします…。

グラム染色を見たい
まずはペニシリンで
ここはキノロンで
尿中抗原が見たい!どうしても!


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posted by 長尾大志 at 20:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO