2017年11月19日

日本集中治療医学会関西支部看護部部門主催「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」

昨日はそういうわけで、日本集中治療医学会 関西支部 看護部部門さんの主催であります、第10回看護教育セミナー2017で「ナースにやさしイイ『呼吸・人工呼吸教室』」というタイトルでお話をさせて頂きました。


午後1時から4時半まで、3時間半にわたって、人工呼吸の設定を基礎から、すなわち呼吸の基礎から、人工呼吸とはどういうことをしていて、どういうことが起こりえて、どういうことに気をつけてどう考えるか、そういう風なことをお話しました。


また後日頂けるというアンケートを拝見しないと、参加された皆さんにご満足頂けたかどうかはわかりませんが、200名以上参加されていたので、まずは成功であったようです。


今回ニプロさんのご厚意で、南草津の医療研修施設、ニプロiMEPをお借りしてのセミナーでしたが、昨年も呼吸療法セミナーで立たせて頂きましたが、とってもすてきな会場です。交通の便もいいですしね。個人的にはこちらでもっとやらせて頂きたいところですが…まあいろいろな都合で、あまり機会がないのが残念です。

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posted by 長尾大志 at 20:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月16日

症例検討会BRONCHO23−5

慢性の肺疾患を診ていく上で、問題になるのは@酸素をどうするかAステロイドその他薬剤の副作用、止めどき、そしてB他疾患・病態の管理というところでしょう。


酸素化の状態についてはroom airでSpO2 93%程度で、労作時には80%台に低下しますが、自覚症状に乏しいことと、ご本人、家人がHOT導入を強く拒否されています。これはしばしばあることですが、折角導入しても吸入して頂けないということでは困りますので、よく納得頂けるよう説明、話し合いが必要でしょう。


ステロイドを長期間使用するときにはいろいろな副作用や合併症に注意する必要があります。大量⇒長期間使用すると

  • 易感染性

  • 耐糖能異常〜糖尿病

  • 消化性潰瘍

  • 骨粗鬆症

  • 中心性肥満〜高脂血症・高血圧

  • 副腎機能低下・副腎不全

  • 筋力が低下・ミオパチー

  • ステロイド精神病


など、いろいろと心配です。予防的にあらかじめST合剤、PPIやビスホスホネートなどを使われることが多いと思いますが、血糖やコレステロールなど、モニタリングして異常があれば対処、ということもあるでしょう。


本症例でもパルス後食後血糖値の増加を認めたため、入院中はノボリンRでのスケール打ちを行い、退院決定後内服に切り替えました。また、家族含め退院前に栄養指導を受けて頂きました。

 シュアポスト(3.0)分3、毎食直前
 ボグリボース(0.6)分3、毎食直前

また経過中口腔カンジダを確認したためフルコナゾール100mg/日使用し改善しました。


さらに経過中血小板減少が見られました。副作用の頻度も鑑みて、ステロイド投与後開始したバクタによる可能性を考え、バクタを中止したところ血小板は速やかに回復しました。その後はバクタを3回/週で再開し、以降血小板値は保たれています。


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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月15日

症例検討会BRONCHO23−4

胸部X線写真は、今回ポータブルですからなかなか評価困難です。広範囲の浸潤影なんかはなさそうです…元々の写真をみると、嚢胞性変化もありそうですし、線維化っぽい網状影もありそう。重喫煙者でもあり、CPFE(COPD+線維化)みたいなモノかもしれません。


…やっぱりCTがほしいところですが、入院時のCT所見も正直微妙ですから、以前のCTと比較したいところです。全力で以前のものを探しましょう。


スライド102.JPG


スライド103.JPG


ということで、見つけました。これが以前のCTです。うん、やはり、下葉中心に大きめの嚢胞+周囲の濃度上昇あり、CPFEのような感じですね。


で、以前と今回のCTを同一スライスで比較すると…両側すりガラス影が出現しています。診察所見や心エコーで心臓の問題は否定的、ということで、感染を契機としたCOPDないし肺線維症の急性増悪and/or肺炎、と考えて治療します。


同日よりCTRX、ステロイドパルスを開始し、開始翌日には解熱、呼吸状態の改善がみられました。3日間パルスののち、PSL1mg/kg(60mg)内服治療に切り替え。以降も経過良好でしたので、CTRXは1週間で終了し、PSLは30mgまで1週間ごとに減量としました。



なおその後、以前施行されていた肺機能検査も入手出来ました。前医ではLABA/LAMA吸入を使われていて、肺機能は若干改善していました。


<肺機能> LABA/LAMA開始時 約8ヶ月後
VC 2.19 2.36
%VC 76.3% 82.7%
FVC 2.13 2.31
%FVC 74.4% 80.8%
FEV1.0 1.42 1.81
%FEV1.0 110.4% 111.5%
FEV1.0% 66.51% 78.24%

DLCO 6.49
%DLCO 58.3%
DLCO/VA   2.28



CPFEは肺機能上、拘束性障害、閉塞性障害いずれも起こりうる病態です。縮む病態と伸びる病態。で、なんか打ち消し合って?意外にどちらも悪くない、ということはよく経験されます。しかし肺胞は破壊されているので拡散障害が起こり、労作時に低酸素血症となりやすいことも知られています。



Q:今後治療で気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 20:35 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月14日

症例検討会BRONCHO23−3

状況としては、基礎にある肺疾患の増悪や、心疾患の増悪、合併などが想定されます。とすると感染の関与も考えなくてはなりません。あてになるかどうかはわかりませんが、一般的な血液検査に加えて胸部CTは必要でしょう。酸素化の状況によって、酸素流量を上げる必要がありますが、重喫煙歴あり、COPDがあるとCO2ナルコーシスの危険性もありますから、動脈血ガスもすぐに確認したいですね。その上で酸素投与の検討です。


肺炎の可能性が高いとなりましたら喀痰グラム染色はほしいところですし、血培も採る必要がある。尿中抗原、シーズンであればインフルエンザ抗原も確認しましょう。検査結果を逐次確認しながら、やるべきことを考えていきます。本症例では、以前のデータが入手出来ましたので、異常値を適宜比較しています。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HB (g/dl ) 12.2 L
WBC (1000 ) 7.6
PLTS (1000 ) 151

FIBG (mg/dl ) 500 H
PT-INR ( ) 1.16
APTTP (秒 ) 31.5
Dダイマ- (μg/ml ) 4.9 H

TP (g/dl ) 6.7
ALB (g/dl ) 3.4 L
AST (U/l ) 16
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 227
ALP (U/l ) 410 H
G-GTP (U/l ) 30
CHE (U/l ) 209 L
T-BIL (mg/dl ) 0.94

NA (mmol/l) 137 L
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 1.52 H (直近1年では横ばい)
eGFR ( ) 34.1
CA (mg/dl ) 8.2 L
P (mg/dl ) 1.7 L
CPK (U/l ) 161

CRP (mg/dl ) 3.53 H (直近2年程度は基準値以下)

BNP (pg/ml ) 212.44 H  (直近2年程度は70-90程度で推移)

GLU (mg/dl ) 140 H


<動脈血液ガス>マスク4L
pH7.481
pO2 59.5
pCO2 30.4
SaO2 90.9
BE -0.6


<感染迅速>
インフルエンザA/B 陰性
肺炎球菌尿中抗原 陰性
レジオネラT尿中抗原 陰性


<心電図>
111 bpm sinus rhythm
QRS 92 ms
V1 rSR'
→不完全右脚ブロック 2015年5月には認めず


<心エコー>
Dd/Ds 47/26 EF 70%でhyper
TRPG 33でPHなし
IVC 10前後で虚脱
弁にはいずれも明らかな異常無し



<胸部Xp>


スライド100.JPG


<胸部CT>


スライド101.JPG



Q:胸部X線写真、CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:16 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月13日

症例検討会BRONCHO23−2

比較的急速に高熱、呼吸困難、倦怠感が出現し、低酸素血症も著しいので、急性に発症する呼吸器疾患、循環器疾患などが想定されます。確認したいことはやはり既存の「多薬服薬中」の疾患について、もう少し詳細な情報が欲しいですね。呼吸器疾患なのか心疾患なのか、両方あるのか、過去のX線写真なんかも手に入れば確認したいところです。


クラリシッドが処方されているあたり、慢性呼吸器疾患があったようにも思われますね。で、以前のX線写真が参照出来ました。


スライド99.JPG


肺野が汚い…ですね。やはり基礎に肺疾患はありそう。それと大動脈瘤術後であり、心機能の問題も考えておく必要があるでしょう。



<入院時現症>
JCS  T-0
Vital signs(救急受診時):BT 39.1 ℃, BP 129/63 mmHg, HR 118 bpm, RR 32/min, SpO2 92%(シンプルマスク O2 5l/min) 体動で80%前後まで低下

診察時mMRC3 普段も3程度
上気道症状なし、喀痰なし、咳嗽なし


<身体所見>
頭頸部:眼球結膜黄染/眼瞼結膜蒼白なし
明らかな咽頭発赤なし
頸部リンパ節触れず
坐位にて頚静脈怒張は明らかにはなし

胸部:肺音 両側吸気時にfine crackles+
心音 整 明らかな心雑音なし
腹部:軽度膨隆、軟、蠕動音→、圧痛点なし
四肢:上下肢とも浮腫なし
    右下腿に外傷後瘢痕 熱感/発赤/疼痛なし
    両下肢径左右差なし、下腿把握痛なし
    膠原病を示唆する明らかな皮膚所見なし

朝のこわばり/関節痛/明らかな筋力低下なし



Q:次のステップとして、どうしますか?検査は何をしますか?


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posted by 長尾大志 at 19:21 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月10日

症例検討会BRONCHO23−1

症例 80歳代男性


<主訴>
発熱、呼吸困難、全身倦怠感


<現病歴>
以前より近医通院中、多数服薬中であった。
本日15時頃より呼吸困難、全身倦怠感を自覚し始め、体温を測ったところ37.5℃であった。明らかなsick contact なし、上気道症状なし、悪寒軽度、戦慄なし。
自宅で様子を見ていたが、体温40℃まで上昇し、呼吸困難、倦怠感が増強するため、21時過ぎに家人にて救急要請。
救急隊接触時SpO2 55 %(room air)と著明な低酸素を認めた。
21時28分に当院救急到着時、SpO2 92 %(シンプルマスク O2 5L/min)、RR 32回/分、精査加療目的に当科即日入院となった。


<内服薬>
ラシックス錠40r 0.5 錠
フェブリク錠20mg 0.5 錠
ジャヌビア錠50mg 
タケプロンOD錠15mg 1錠
リリカカプセル75mg 2カプセル 
クラリシッド錠200mg 2錠
プロマック75mg 2錠
クレストール錠2.5mg 1錠
デパス0.25mg 1錠 分1
オパルモン5μg 3錠
他に吸入薬も処方されていたとのこと(持参なし)


<既往歴>
50歳 後縦靱帯骨化症
60歳 胆嚢炎
73歳 大動脈瘤手術
74歳 腰部脊柱管狭窄症手術

他に発症時期不明のCKD


<生活歴>
喫煙:40本/日(20-60歳)60歳以降禁煙
飲酒:機会飲酒
職業歴:元運転手
粉塵暴露歴:特記なし
鳥類接触歴:特記なし(羽毛布団使用/ダウンジャケットなし、鶏糞使用なし)
住居:築38年、木造、カビ・埃なし
最近の温泉利用:なし
近年の海外渡航:なし

その他:要介護2、杖歩行 
    bADL 自立(本人談)

同居:息子夫婦、孫と5人暮らし


<家族歴>
肺疾患の家族歴なし 


<アレルギー>
特記なし



Q:確認したいことは?現段階での鑑別診断は?


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posted by 長尾大志 at 17:39 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月09日

症例検討会BRONCHO22−8

年齢のこともあってか、聴力が低下気味ですね。特に右はだいぶ。ということでSMを使うなら、セルフチェック+まめな聴力検査は欠かせません。というかSM、使うのか?という感じですね。


それとさりげな〜く?書きましたが、QTc 491 ms。これは結構ヤバい。QT延長です。CAMによるQT延長⇒TdP(torsades de pointes)発症、というよろしくないシナリオが頭に浮かびます。


一体なぜ?QT延長で多いのは薬物と低K血症です。本症例ではK 3.2と低値であり、まずはここの是正が必要と考えられます。


内服中の薬剤では、麦門冬湯に含まれる甘草(カンゾウ)が偽アルドステロン作用で低Kとなります。またレニベース(エナラプリル)は逆に、アルドステロンを低下させ高Kとなります。この作用を計算して処方されていたのだとしたらスゴいですが、どうもそうではなかったようですので麦門冬湯は中止します。


そしてKを経口的に少しずつ補充しました。結果…


QTc491(K3.2)⇒QTc505(K3.0)⇒QTc457(K4.7)とK補正に伴い、QTは短縮しました。そこでCAMを開始。高齢女性でやせも進行していたため、600mg/日でスタートしています。もちろん定期的にECGを施行していますが、その後QT延長含め、問題は生じておりません。


その後、日をずらしてRFP、EBを開始。さらに陰影が広範であったため、リスクの説明を行ってSMも開始しました。


しかしSM開始2週間後に腎機能の悪化あり、SMを中止しました。中止後腎機能は次第に改善傾向ありましたが、聴力のこともありSMは再開せずCAM、RFP、EBの3剤で治療を続行しています。その後は聴覚障害の悪化や視覚障害はじめ副作用は見られず、治療を継続されています。


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posted by 長尾大志 at 14:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月08日

症例検討会BRONCHO22−7

ということで、投与前に一通りのリスク因子を確認しておきましょう。


まずはCAMと相互作用を来しそうな(CYP3A4が代謝に寄与している)薬剤との併用を確認。これはなさそうです。



血液検査上肝酵素や腎機能に異常はなく、血球も大丈夫でした。眼や耳については抗菌薬投与前に眼科や耳鼻科による視力、視野、眼底検査や聴力検査などを行います。


耳鼻科にて聴力検査:右81.3dB、左25dB
眼科にて視力、視野、前眼部・眼底に異常なし


それから他の検査としてECGですが、88bpm NSRで、QTc 491 msでした。



Q:治療の際に気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 18:26 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月07日

症例検討会BRONCHO22−6

ということで、症状経過からMACが主たる問題であるとして、本症例のMAC治療を考えましょう。


2012年の日本結核病学会・日本呼吸器学会の見解で示されている標準療法は、以下の通りです。


  • CAM 600-800mg/日(15-20mg/kg)分1または分2(800mg/日なら分2)

  • RFP 10mg/kg(最大600mg)/日 分1

  • EB 15mg/kg(最大750mgまで)/日 分1

  • 必要に応じて、SMまたはKM(各々15mg/kg以下、最大1gを週2〜3回筋肉注射)



両側に広範な空洞陰影があり、できればSMを加えた4剤で治療したいところです。MACの治療はそもそも、多剤かつ長期間(ガイドラインでは「菌陰性化後約1年間投与」との目安)の治療になりますから、副作用には注意が必要です。あらかじめ起こりうる副作用を知っておかなければなりません。


  • CAM:嘔気・嘔吐、胃痛、下痢など消化器系、QT延長、併用注意薬多数など

  • RFP:皮疹、発熱、肝障害

  • EB:視神経障害

  • SM/KM:第[脳神経障害



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posted by 長尾大志 at 18:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月06日

症例検討会BRONCHO22−5

M.intracellulareM.avium、一般細菌のP.aeuginosaが喀痰から検出された。どちらが病態のメインと考えるか、治療をどうするか…。


本症例において、例えば病変の何%がMACによるもので、何%がP.aeuginosaによるものか、それを判定する手段はありません。肺MAC症症例の喀痰からP.aeuginosaが検出される、とか、慢性下気道感染症症例の喀痰からNTM(MAC)が検出される、とか、要するに慢性感染≒気道局所の線毛機能、菌排除能力の低下が起こると慢性に複数の菌が付いてしまう、という報告はこれまでにも多くなされています。
Takahiro Tsuji, et al. Nontuberculous mycobacteria in diffuse panbronchiolitis. Respirology, Vol 20, January 2015, 80–86.


ですが、本症例では画像上、粒状影や空洞病変など、肺MAC症の特徴を有していることから、元々肺MAC症のあったところにP.aeuginosaが共感染した、と考えるのが自然でしょう。DPBやSBSの要素は、画像からは少なそうです。


そこで肺MAC症として治療をどうするか、はたまたP.aeuginosaは放っておいていいのか、というところが問題になります。


肺MAC症でも、空洞病変のあるFC型であれば診断後すぐに治療を始めるべき、とされていますので、本症例ではMACに対する治療を始めるべきでしょう。


P.aeuginosaをどうするかは、現在の疾患活動性として、「一般細菌による急性〜慢性下気道感染症」感がどの程度あるか、ということになるでしょうが、少なくとも症状からは急性感染症(つまり緑膿菌による肺炎など)の可能性は低そうです。仮に慢性感染であっても、MACの治療でCAMを使うのであれば無問題と考えていいでしょう。


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posted by 長尾大志 at 21:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月02日

症例検討会BRONCHO22−4

診断としては、喀痰から2回培養陽性、菌種もハッキリした、ということで、MAC症で問題ないでしょう。M.intracellulareとM.aviumは、時に同居していることもあります。また、一般細菌のP.aeuginosaも同居しているようですね。慢性下気道感染症、というくくりで考えます。


問題はこの場合、どちらが病態のメインと考えるか、治療をどうするか…というところですが、今日はもうお時間がございません。これから鳥取へ向かわなくてはなりませんので、続きは改めて考えたいと思います。鳥取県東部医師会の先生方、よろしくお願い申し上げます。


それと1つ告知がございます。かねてよりチラチラ申しておりました、胸部X線写真を用いたクイズ番組が、CareNetケアネットさんで新番組として始まりました。こちらもよろしければお気軽にチャレンジなさってみて下さい。
ケアネットさんの新番組お試し視聴コーナーへ飛びます。たぶん。


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posted by 長尾大志 at 12:20 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年11月01日

症例検討会BRONCHO22−3

ね?画像を先に出してしまうと面白くないでしょう?すぐわかっちゃいますから。


特にCTを見ると、かなり特徴的な陰影が目に入ります。空洞を伴う結節影(矢印)に、粒状影(斜線部)、トラムライン(三角頭)もあります。


スライド98.JPG


これらから、抗酸菌をはじめとする慢性感染症が鑑別の筆頭に挙げられます。そうすると、絶対に必要なのは喀痰検査ですね。


ちなみに本症例では血液検査にて


T-SPOT   陰性
抗MAC抗体 陽性 (17.6)
アスペルギルス抗原 陰性
β-Dグルカン 3.0


でしたが、だからといって肺MAC症である、と短絡的に診断はできません。日本結核病学会・日本呼吸器学会による確定診断の基準(2008年)では、菌の検出が必須です。



<喀痰検査>
【抗酸菌】
1日目の喀痰から抗酸菌塗抹陽性、M.intracellulareのPCRが陽性、M.intracellulareが培養陽性
2日目の喀痰で抗酸菌塗抹陽性、M.intracellulare、M.aviumが培養陽性


【一般細菌】
P.aeuginosa 3+



Q:診断は?治療は?その際に気をつけることは?


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posted by 長尾大志 at 18:04 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月31日

症例検討会BRONCHO22−2

胸部X線写真で異常、といわれてんねんから早く見せろや!(なぜか関西弁)との声もなく?まずは病歴などから鑑別診断を考えてみましょう。


咳が出だしたのは3年前、そして半年前から咳が強くなって食思不振にもなり、半年で11kgもの体重減少があったといいます。かな〜り慢性の経過の、でも咳があり、cracklesも少し聴こえる肺の病変、ということになります。


基礎には糖尿病があり、喫煙歴は(少なくとも直接は)ない。それでも慢性経過の体重減少、というところだけをみると、肺癌の存在はあるかもしれません。


でも、肺癌でcracklesというのも…?胸水や無気肺があるんだったら、得られる所見は片側性の呼吸音減弱じゃないですかね?


とすると、fineとcoarseの違いはあれど、肺線維症とかそっち系か。はたまた、感染症であれば膿瘍とか抗酸菌とか、ゆっくり経過するものを考える必要があります。


というところで検査所見を。


<入院時検査所見>
HT (% ) 33.1 L
HB (g/dl ) 10.7 L
RBC (1000000 ) 4.18
WBC (1000 ) 7.4
PLTS (1000 ) 319

SEG/NEUT (% ) 70.2
EOSIN (% ) 1.1
BASO (% ) 0.7
LYMPH (% ) 19.1
MONO (% ) 8.9
MCV (μ3 ) 79 L
MCH (pg ) 25.6 L
MCHC (% ) 32.3

TP (g/dl ) 7.1
ALB (g/dl ) 3.0 L
AST (U/l ) 15
ALT (U/l ) 8
LDH (U/l ) 204
ALP (U/l ) 424 H
G-GTP (U/l ) 11
CHE (U/l ) 198 L
T-BIL (mg/dl ) 0.42

NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 95 L
K (mmol/l) 3.2 L
CA (mg/dl ) 8.7
P (mg/dl ) 3.3

UN (mg/dl ) 11.8
CRE (mg/dl ) 0.62
eGFR ( ) 69.5
UA (mg/dl ) 4.5

CRP (mg/dl ) 1.04 H


GLU (mg/dl ) 293 H
A1C(NGSP (% ) 8.4 H
IRI (μU/ml ) 7.5
CPR (ng/ml ) 2.26



<胸部Xp>


スライド95.JPG


<CT>


スライド96.JPG


スライド97.JPG



Q:検査所見の解釈は?鑑別診断は?次に行うべきことは?


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posted by 長尾大志 at 17:35 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月30日

症例検討会BRONCHO22−1

症例 70歳代女性


<主訴>
慢性咳嗽


<現病歴>
高血圧・糖尿病で近医に通院中。3年ほど前より咳嗽が出現し、半年前より咳嗽が悪化。咳嗽に伴い食思不振もあり、半年で11kgの体重減少を認めていたが、発熱はなく鎮咳薬で経過観察されていた。胸部X線で異常陰影を認めたため、当院紹介となる。


<内服薬>
レニベース錠5r
ジャヌビア錠50mg
ベイスンOD錠0.2r 2T
メチコバール錠500μg 3T
マイスリー錠10r 0.5T
ツムラ29麦門冬湯エキス顆粒3g 3包


<既往歴>
右難聴
左白内障手術(数年前)
高血圧
糖尿病(罹患期間:10年以上。前医によると、病識が低く、内服中断していた時期もあったとのこと)


<生活歴>
飲酒歴:なし
喫煙歴:なし  
職業:48歳-55歳まで経理事務 粉塵暴露なし
   結核曝露歴:なし
   家族構成:独居
   住居:鉄筋 築30年
   家庭菜園で土いじり
   

<家族歴>
母:糖尿病


<アレルギー>
食品:なし 
薬品:インフルエンザ予防接種で蕁麻疹と熱



<入院時身体所見>
BT: 35.6 ℃
BP:171/88mmHg  HR:80/min
BW:40.6kg   
BMI:18.69  
SpO2 97 RA

眼瞼結膜:やや蒼白   眼球結膜:黄染なし
頚部リンパ節腫脹:なし
心音:整
呼吸音:両側にcoarse crackles少し聴取
腹部:平坦 軟 腸雑音良好
下腿浮腫:なし
足背動脈:触知良好
下肢しびれ:なし



Q:現段階での鑑別診断は?


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posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月27日

症例検討会BRONCHO21−11

抗菌薬の反応は良好で、静脈血標本で見られるのはグラム陽性の連鎖した球菌。培養でグラム陽性連鎖状球菌(Streptococcus milleri group)と確認されたので、抗菌薬はde-escalationできると考えてMEPMをSBT/AMPC に変更しました。

その後も経過順調であり、採血上炎症反応は陰性化し、胸部X線写真上も陰影の改善が見られました。


スライド94.JPG


2型糖尿病については、入院後、セイブル・ベンクラート・ランタスは中止し、ノボリンRをスケール打ちとしました。炎症の収束に伴い、血糖コントロールは良好となり、最終的にノボリンR(8-8-8)、ランタス眠前8単位として退院となっています。退院後は近医で経過観察されていますが、再燃もなく良好な経過です。


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2017年10月26日

症例検討会BRONCHO21−10

悪臭を伴う、見た目にも膿性の胸水であれば、すぐに胸腔ドレナージをする方がいいでしょう。もちろんすぐに胸水のpHや糖が測定出来る施設であれば、サッと測定して、すぐにドレナージ、ということも可能です。pHや糖以外にも画像検査で多房化していたり、量が多かったり(片側の50%を超えている)、治療反応がよくない、という場合にはドレナージが勧められます。


残念ながら本症例は休日に救急で受診となった方で、pHや糖などの測定ができませんでしたが、画像上胸水量が多く、多房性でした(図参照)。


スライド92.JPG


それに胸水の悪臭と見た目から膿胸と判断し、左側胸部から胸腔ドレーンを挿入し、悪臭を伴う膿性胸水2000mL超を排液しました。生食500mlで胸腔内洗浄を行い、-10cmH2Oで持続吸引開始しました。


そして抗菌薬投与ですが、酸素状態、意識状態が悪い、ということで当初は広域のMEPM 3g/dayを開始しています。翌日には解熱し、休み明けには胸水も透明となっていました。そして入院3日目、初日に採った静脈血から以下の所見を得ました。


スライド93.JPG



Q:この経過・結果からどうしますか?


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2017年10月25日

症例検討会BRONCHO21−9

1ヶ月程度の倦怠感、咳と呼吸困難、左胸痛の存在から、左胸郭内に何かできてきて、それが緩徐に進行している、という経過が考えられます。


診察上も、低酸素あり、やはり左になにやらあって、呼吸が障害されているようです。発熱、起立困難もあります。胸水か?腫瘍か?検査を急ぎましょう。



<入院時検査所見>
<来院時血液検査>
HT (% ) 33.9 L
HB (g/dl ) 11.3 L
RBC (1000000 ) 3.64 L
WBC (1000 ) 20.7 H
PLTS (1000 ) 413 H
MCV (μ3 ) 93
MCH (pg ) 31.0
MCHC (% ) 33.3
FIBG (mg/dl ) 492 H
PT-C (秒 ) 11.5
PT-P (秒 ) 15.4 H
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 30.2
PT-ACT (% ) 57
Dダイマ- (μg/ml ) 2.1 H
PT-INR ( ) 1.37 H
TP (g/dl ) 6.0 L
ALB (g/dl ) 2.0 L
AST (U/l ) 37 H
ALT (U/l ) 33 H
LDH (U/l ) 167
ALP (U/l ) 287
G-GTP (U/l ) 39
T-BIL (mg/dl ) 1.53 H
NA (mmol/l) 126 L
CL (mmol/l) 80 L
K (mmol/l) 2.9 L
UN (mg/dl ) 9.7
CRE (mg/dl ) 0.58 L
eGFR ( ) 109.9
AMY (U/l ) 18 L
CPK (U/l ) 12 L
CRP (mg/dl ) 18.08 HH
トロポニンI (ng/ml) 0.03
MYO (ng/ml) 31.7
CK−MBe (ng/ml) 0.50 ↓


<尿検査>
潜血2+、ケトン+


<胸部Xp>


スライド90.JPG


<胸部CT>


スライド91.JPG


胸部エコーで胸水を確認し、胸腔穿刺を行いました。胸水は悪臭を伴う膿性胸水でした。



Q:次に行うべきコトは?


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posted by 長尾大志 at 15:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

第7回音羽呼吸器連携会

昨日は、第7回音羽呼吸器連携会という会でお話をさせて頂きました。読んで名のごとく、音羽病院さんと周辺の開業医の先生方が顔を合わせて連携しよう、という感じの会でした。ということでこちらではあまり告知もしておりませんでしたが、多くの先生方にお越し頂き、会場はほぼいっぱいでありました。


まず音羽病院院長の二宮先生のお話から始まったのですが、ご自身のケガをちゃんと自己診断されたお話が流石のエピソード+きちんとオチも付けて終わられて、さらに流石でした。


それから音羽病院の坂口先生による肺癌のお話。


IMG_20171024_195148.jpg


で私の「咳でお困りではありませんか?」。以前から同じような話をしておりますが、今回は音羽病院の二宮先生始め、長坂先生や土谷先生も参加されていましたので、専門医の先生にも退屈でない?内容をちょいちょい挟みながらの1時間でした。長坂先生はいつも誉めて下さるんですが、ご満足頂けたのでしょうか?


長坂先生と土谷先生とは終了後にミーティング?させて頂き、2月に開催予定の、多職種連携チーム医療勉強会の企画会議をしておりました。土谷先生の企画力が冴え渡り、面白いことができそうです。こちらも近々告知しますが、とりあえずご興味のある方は来年2月3日をあけておいて頂ければ。


二宮先生、長坂先生、土谷先生、坂口先生、それに榎堀先生、お世話になり、ありがとうございました!今後ともよろしくお願い申し上げます。



そして今週末は名古屋で亀井道場です。亀井先生始め、参加される学生さん、よろしくお願い申し上げます。

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posted by 長尾大志 at 13:18 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月24日

症例検討会BRONCHO21−8

症例 50歳代男性


<主訴>
呼吸不全、全身倦怠感

<現病歴>
数年前から咳が出現、1ヶ月前から全身倦怠感があり、1週間前からは左側胸部痛が出現していた。今朝から呼吸困難が出現していたが、一人で外出し、帰宅後玄関で倒れているのを父親に発見された。意識はもうろうとし、起立困難であったために救急搬送され、入院となった。


<既往歴>
糖尿病
脂肪肝
アルコール性肝障害
高血圧


<家族歴>
父:大腸癌、高血圧
母:脳梗塞、高血圧、糖尿病
妹:子宮筋腫、乳癌


<生活歴>
smoke:heavy smoker 20本/day
alcohol:大酒家 酎ハイ1本/day?


<内服薬>
アムロジピン5mg 1T分1朝後
ミグリトール50mg 3T分3
グリベンクラミド2.5mg 3T分3
ランタスソロスターキット 1日1回 朝23単位


<アレルギー>
なし


<入院時身体所見>
BP 120/70、HR 114、BT 38.6℃
SpO2 搬送時88%(room air)、来院時99%(マスク O2 4L)
眼瞼結膜:貧血なし
眼球結膜:黄染なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:左呼吸音聴取せず 打診上左濁音
心音:整、雑音なし
腹部:平坦・軟、圧痛・自発痛なし、腸蠕動亢進、血管雑音なし
Murphy徴候なし
四肢のしびれなし



Q:考えられる新患、鑑別診断は?


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posted by 長尾大志 at 17:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月23日

症例検討会BRONCHO21−7

胸水は滲出性で、分画のほとんどがリンパ球でした。ADAも大変高く、これらからは結核性胸膜炎、というキーワードが出てくると思います。これだけで結核治療を開始するよ、という方もおられるかも知れません。しかしT-SPOT陰性。これをどう考えるか。


1ついえることは、「余計な検査は時に足を引っ張る」。


T-SPOTは出た当初、感度も特異度もスゲー、という触れ込みでしたが、その後の報告においては感度80%、特異度60%程度とされていて、これでは診断の参考程度にしかなりません。
Interferon-γ release assays for the diagnosis of active tuberculosis:a systematic review and meta-analysis.Sester Mら Eur Respir J.2011 Jan;3(1):100-11.


そんな検査しなきゃいいのに、とも思いますが、若い先生方には大人気です。カンファレンスでも必ず出てきます。で、迷いが深まっていく…。


以前でしたら、リンパ球優位でADA高値の胸水症例を見たら、抗結核治療を開始して、反応を見て、効いていたら「結核でいいよね」、診断的治療をしていたりもしました。結核性胸膜炎の患者さんが多かった頃はそれでもよかったのだと思います。


でも結核の頻度が低下し、肺癌やその他の疾患が増えてきたこともあり、できればもう少し確実に診断する方法がないものか。胸水中に結核菌を(PCRや培養で)検出することも少ないし…。


ということでCope針を用いた(盲目的な)胸膜生検が行われたりもしていましたが、最近では胸腔鏡を用いて胸腔内を観察し、直視下で生検をすることが増えています。局所麻酔下で行う手技が普及し、内科医でも施行出来るようになって、どんどん行われていると思います。ウチでも積極的にやっています。


ということで、胸腔鏡検査を行いました。


胸膜生検を行い、検体塗抹にてガフキー5号相当の菌を認め、Tb-PCR(+)も確認しました。また病理学的所見として、類上皮肉芽腫の形成を認めました。中心部に小さな壊死の見られる肉芽腫もあり、多核細胞も散見されます。


ということで、結核性胸膜炎と診断しました。


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posted by 長尾大志 at 18:22 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月20日

症例検討会BRONCHO21−6

胸水の鑑別練習に、胸水を呈した他の症例をいくつか、ついでに?見てみましょう。


症例 60歳代男性


<主訴>
右季肋部痛


<現病歴>
1ヶ月前から、右季肋部痛があり、当院消化器外科受診し、胸部CT・エコーによる精査で、右胸水を指摘された。同日当科紹介となり、胸腔穿刺で500ml排液し、右季肋部の疼痛の消失を認めたが、一週間後胸部レントゲンで再度胸水貯留を認めたために、当科入院となった。

〈内服薬〉
ビタミンB12
鉄剤


<既往歴>
10年前 早期胃癌で部分切除術後


〈生活歴〉
粉塵暴露歴)なし
喫煙)1本×2年
飲酒)なし
職業)事務職


<アレルギー>
特記事項無し


<入院時身体所見>
身長169cm 体重52kg BMI18.21
HR 98bpm 整 BP 109/77mmHg BT 37.8℃ SpO2:98%

頭頸部リンパ節腫脹無し
眼瞼結膜蒼白無し
眼球結膜黄染無し
甲状腺腫脹なし
肺音:右胸膜摩擦音聴取 右呼吸音減弱 打診右で濁音
心音:整 雑音無し
腹部:平坦 軟 圧痛・自発痛なし 腸蠕動音亢進・減弱なし
四肢:明らかな浮腫なし 足背動脈触知良好


<入院時検査所見>
〈血液検査〉
HT (% ) 37.8 L
HB (g/dl ) 12.3 L
RBC (1000000 ) 4.05 L
WBC (1000 ) 6.0
PLTS (1000 ) 602 H
SEG/NEUT (% ) 69.5
EOSIN (% ) 0.2
BASO (% ) 0.7
LYMPH (% ) 21.7
MONO (% ) 7.9
MCV (μ3 ) 93
MCH (pg ) 30.4
MCHC (% ) 32.5
PT-C (秒 ) 11.9
PT-P (秒 ) 13.0
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 27.5
PT-ACT (% ) 85
PT-INR ( ) 1.09
TP抗体測 (C.O.I. ) 0.0
TP抗体判定 ( ) (-)
HBS-AG測 (IU/mL ) 0.00
HBS-AG判定 ( ) (-)
HBS-AB測 (mIU/ml ) 0.0
HBS-AB判定 ( ) (-)
HCV-AB測 (C.O.I. ) 0.0
HCV-AB判定 ( ) (-)
TP (g/dl ) 7.3
ALB (g/dl ) 2.9 L
AST (U/l ) 28
ALT (U/l ) 19
LDH (U/l ) 192
ALP (U/l ) 239
G-GTP (U/l ) 16
CHE (U/l ) 204 L
T-BIL (mg/dl ) 0.49
D-BIL (mg/dl ) 0.09
NA (mmol/l ) 133 L
CL (mmol/l ) 99
K (mmol/l ) 4.9
UN (mg/dl ) 15.5
CRE (mg/dl ) 0.72
eGFR ( ) 83.9
CA (mg/dl ) 8.6 L
AMY (U/l ) 61
CPK (U/l ) 134
CRP (mg/dl ) 3.29 H
ヨウケツ ( ) (-)
ニユウビ ( ) (-)
GLU (mg/dl ) 112 H
A1C(NGSP (% ) 6.7 H
CEA (ng/ml ) 3.6
CA19-9 (U/ml ) 13
SCC (ng/ml ) 0.6
NSE (ng/ml ) 12.4
SLX (U/ml ) 44 H
Pro GRP (pg/ml ) 15.4
シフラ (ng/ml ) 1.0 以下
T-SPOT  陰性
抗MAC抗体  陰性


〈胸水検査所見〉
右胸水500ml 漿液性 
LDH (U/l ) 424 H
AMY (U/l ) 60
GLU (mg/dl ) 151 H
CEA (ng/ml ) 3.4
ADA (IU/l/37℃) 135.4
Pヒアルロンサン (ng/ml ) 49400
TP (g/dl ) 5.8
ヒジユウ ( ) 1.024
リバルタ ( ) (+)
センシエキGlu (mg/dl ) 141
サイボウスウ (/μL ) 4352
サイボウシュ ( ) **
Stab ( ) 0.0
Seg ( ) 1.0
Lymphoc ( ) 97.0
Mono ( ) 2.0
Eosino ( ) 0.0
Baso ( ) 0.0
マクロファーシ ( ) 0.0
チョウヒサイホ ( ) 0.0
フメイサイボ ( ) 0.0
TOTAL ( ) 100.0


〈胸部レントゲン〉

スライド87.JPG



〈胸部CT〉

スライド88.JPG




Q:胸水の評価は?



Q:鑑別診断は?次のステップは?


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月19日

症例検討会BRONCHO21−5

細胞分画である程度アタリが付いたら、可能性の高い細菌感染、抗酸菌感染、腫瘍性疾患を診断するための材料である培養と細胞診の結果を待ちます。もちろん細菌感染が疑われる症状(発熱、胸膜痛、咳、膿性痰など)があり、好中球優位の胸水であれば、抗菌薬治療を開始しましょう。


それ以外に胸水で測定される項目としては、以下のようなものがありますが、感度や特異度の点から、盲信すべきではなく、あくまで参考所見と考えておきましょう。


  • ADA:40〜50IU/L以上で結核性胸膜炎を示唆しますが、膿胸やリウマチなど他疾患でも上昇します。

  • 腫瘍マーカー:CEA(肺癌)、CA-125(卵巣癌)の上昇が見られることがありますが、カットオフ値などのエビデンスはハッキリしません。

  • ヒアルロン酸:悪性胸膜中皮腫で100μg/mL以上とされることが多いですが、もっと低値のことも少なくありません。100μg/mL を超えていれば強く疑う、という感じです。



乳び胸の診断に中性脂肪やコレステロール、膵性胸水の診断にアミラーゼを測定することもありますが、これらは比較的まれであり、病歴や他の症状から疑われるときに測定、ということでいいと思います。


細胞診や培養検査でハッキリした診断に至らない場合には、胸腔鏡下で観察や生検を行います。昨今では内科でも積極的に局所麻酔下で胸腔鏡検査を行って(ウチでもやって)います。


本症例は、胸水検査の結果、リンパ球優位の細胞分画、胸水細胞診でclassX(小細胞癌)、その他画像所見から、進展型肺小細胞癌(cT1bN0M1a stageW)と診断されました。


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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月18日

症例検討会BRONCHO21−4

胸水があるぞ、となったら、まずは両側性か片側性かを確認します。両側だったら両側にあっても、ずいぶん量が違うものは片側性の要素あり、と一応考えます。


両側同じような量の水があるときは、明らかに漏出性胸水の原因となる病態があるかどうかを検討します。例えば、


  • 心不全

  • 低アルブミン血症

  • 透析中の溢水



など。基礎にこういう病態があれば、例えば心不全なら、利尿薬など、基礎病態への治療を行います。それで反応があれば、まずはそれによる胸水、と考えてよいでしょう。これが、そもそも抜かなくてもある程度病態がわかる、ということです。


もちろん片側性の胸水を来す病態にこういう病態が合併している、ということもありえます。ですから、治療をしても胸水コントロールが芳しくないときなど、積極的にサンプルを採取する姿勢は大事だと思います。



で、穿刺で得られた胸水で、調べる項目は何か。要するに、胸水の原因を鑑別するために使われる項目は何か、ということです。漏出性胸水と滲出性胸水を大まかに分別し、疾患特異的な情報を得るために使われる項目としては…


  • 蛋白

  • LDH

  • pH・糖

  • 細胞分画

  • 培養

  • 細胞診



があります。有名なLightの基準は、蛋白とLDHが濃いと滲出性胸水と考える、というもので、この2項目は胸水を評価する上で必須の項目です。


蛋白とLDH 以外は、Lightの基準で滲出性となったときに、それ以上の鑑別に必要となる項目です。


pHが<7.2に低下、かつ糖<60mg/dLとなっていると膿胸を疑い、即刻ドレナージの対象となります。つまりこれらは治療方針を決める根拠となります。


細胞分画は滲出性の原因疾患を考える上で大切な項目です。おおざっぱに言って、好中球中心であれば細菌感染を、リンパ球主体であれば抗酸菌感染、または腫瘍性疾患を疑います。好酸球が多いときには好酸球増多疾患、または気胸や血胸の影響が考えられます。


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posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月17日

症例検討会BRONCHO21−3

古くからの格言?に「水を見たら抜くべし」というものがあります。胸水はアプローチも比較的容易ですから、特に若いうちは果敢に?穿刺を行い、経験を積むべきです。やはり検体に勝る証拠はありません。


…てことで、


Q:抜いた胸水で調べる項目と、その意味を復習しましょう。


Q:しかし、そもそも抜かなくてもある程度病態がわかることもあります。どんなときでしょうか?


Q:漏出性胸水と滲出性胸水との鑑別、覚えていますか?


Q:漏出性胸水の鑑別診断はどう進めますか?


Q:滲出性胸水の鑑別診断はどう進めますか?


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posted by 長尾大志 at 18:12 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月16日

症例検討会BRONCHO21−2

病歴からは2週間程度の経過の労作時呼吸困難と動悸ということで、ちょっと鑑別診断が絞れる感じではありませんが、胸腹部の診察で一気に絞れて参りますね。これが身体診察の面白さ。


SpO2が94%(room air) 。これは正常ではありませんね。何らかの機序で低酸素になっていると言うことです。


で、声音振盪が右肺で低下し、打診で右下肺は濁音。呼吸音は右下肺で減弱、ということで、右下になにやら水濃度以上のものが存在していそうだ、ということがわかります。右側腹部(胸部の下方)には自発痛があるものの圧痛・叩打痛がない、ということで、胸壁の病変よりも内部の病変であると推測されます。



<入院時検査所見>
【血液検査】
HT (% ) 35.6 L
HB (g/dl ) 11.9 L
RBC (1000000 ) 3.55 L
WBC (1000 ) 5.6
PLTS (1000 ) 220
SEG/NEUT (% ) 63.3
EOSIN (% ) 1.8
BASO (% ) 0.4
LYMPH (% ) 27.8
MONO (% ) 6.7
TP (g/dl ) 6.6
ALB (g/dl ) 4.0
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 254 H
ALP (U/l ) 156
G-GTP (U/l ) 20
CHE (U/l ) 243
T-BIL (mg/dl ) 0.47
D-BIL (mg/dl ) 0.06
A/G比 ( ) 1.54
NA (mmol/l) 140
CL (mmol/l) 105
K (mmol/l) 4.3
UN (mg/dl ) 22.0
CRE (mg/dl ) 0.80
eGFR ( ) 72.9
UA (mg/dl ) 4.4
CA (mg/dl ) 9.1
P (mg/dl ) 3.5
CRP (mg/dl ) 0.27



胸部X線写真、胸部CTでは、右胸水を認めました。


スライド85.JPG


スライド86.JPG



Q:次に何をしますか?


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posted by 長尾大志 at 16:48 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月15日

幼稚園の運動会・ファイナル(予定…)

今日は、長きにわたってお世話になりました、地元幼稚園の、長尾家として最後に参加する運動会でした。


P1030516.JPG


数えてみると長男の時から、計11回目となります。長男は、入園当初ふざけてばかりでまともにダンスをしなかったのが、年長になって組み体操をしっかりできるようになりました。そんな姿を見て、目頭が熱くなったりしたものですが、毎回皆同じように成長していく姿を見ていると「こんなもんなんだ」「まあ、成長するよね」という感じで感動も薄れていき…教育者として馴れ合いのような、その心持ち、どうなんだ、と独りツッコミ。


昨日も書きましたが、「教育」「しつけ」といったものが「効果がある」とか「よい」というのは、いったいいつ、どうやって判断されるべきものか、未だによくわかりません。子供たちを見ていると、親の関わり方は子どもたちの個性、成長に、あまり関係がないようにも見えるし…親は無くとも子は育つ、といいますか。


とすると教育者を評価する、というのもなかなか骨の折れることです。少なくとも学生による「授業評価」は、授業の本質とは関係ないところでついている模様。以前にも書きましたが、美人の先生ほど授業評価が高かったという調査結果もあるのです。「アウトカム基盤型教育」はアウトカムの設定が何よりも大切ですが、現行のアウトカムは甚だ心許ない。
"Beauty in the Classroom: Instructors' Pulchritude and Putative Pedagogical Productivity" Hamermesh, Daniel S.; Parker, Amy; Economics of Education Review, August 2005, 24(4), pp. 369-76


逆に、教員が学生を評価するとき、上級医が研修医を評価するとき、「主観」が入らずに評価することはできるのでしょうか。それこそ男性の教員が美人で愛想のいい学生に甘い点数をつけたりすることは避けられるのでしょうかね。まあ、上の研究では、イケメン男子の教員の方が「美」のインパクトが大きかったらしいですが…以前とある実技試験で、入室から10秒の印象点と、概略評価と、各々の評価合計の相関を見た研究をやってみたのですが、ご多分に漏れず…という感じでした。


雑駁な話ですが、今回が最後(であろう)運動会をみていて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書いてしまいました。時間も時間ですのでこの辺で。

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posted by 長尾大志 at 23:18 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月13日

症例検討会BRONCHO21−1

さてこれまでは少々込み入った疾患たちを見て頂きましたが、このあたりで、いくつか基本的・典型的な症例検討、を見て頂きましょう。基本的な診断〜治療の流れを追体験して頂くためです。



症例 70歳代 男性


<主訴>
右側腹部痛 軽度食思不振


<現病歴>
2週間前より労作時呼吸困難、動悸が出現し近医受診。その際胸部X線写真にて異常影を認め、精査加療目的に当科紹介受診となった。


【入院時内服薬】
レスリン錠25r 1 錠
マグミット錠330r 3 錠


<既往歴>
特記事項なし


【家族歴】
兄:胃癌


【生活歴】
喫煙:20-71歳 30本/day×51年(2014年6月から禁煙)
飲酒:なし
職歴:建築業
粉塵暴露:なし


<アレルギー>
特記事項なし


う〜ん、これだけでは何ともかんとも。診察まで進みましょう。


<入院時身体所見>
PS:1 ADL:自立

体温36.5℃ 血圧114/63mmHg 脈拍72bpm 呼吸数12回/min
SpO2:94%(room air) 

眼瞼結膜 貧血なし
眼球結膜黄染なし
頚部リンパ節触知せず
腋窩リンパ節触知せず
心音 整 雑音聴取せず
肺音 右下肺 呼吸音減弱 

打診 右下肺 濁音 
声音振盪 右肺減弱
右側腹部 圧痛・叩打痛なし 自発痛あり
腹部 平坦 軟 腸蠕動音→
四肢 下腿浮腫、冷感なし



Q:この時点での鑑別診断は?次に行うべき検査は?


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posted by 長尾大志 at 18:20 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月12日

症例検討会BRONCHO20−13

もったいぶらずに診断です。静脈血、気管支洗浄液より検出されたのはNocardia farcinicaでした。


ちなみにコロニーは痰の色と同じ褐色調でした。コロニーの色調は培地の色にも左右され、必ずしも褐色となるものではありませんが、それでも気管支内の痰とコロニーの色が同じ、というのは示唆的です。ともかく静脈血、気管支洗浄液の両方から菌が検出されたことから、ノカルジア(菌血)症と診断し、治療薬を変更しました。


なお、その他血清学的には、C7HRP陰性、クリプトコッカス抗原(−)、カンジダ抗原(−)、QFT(−)でした。


播種性ノカルジア症では脳病変の合併が多く、治療前に調べておきたいところです。こちらも頭部CTを撮影しましたが脳に異常所見は認められませんでした。


以上、病理、培養の結果を確認後、ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)+IPM/CSを開始しました。治療開始後、症状、画像、検査所見いずれも改善し、順調に経過しています。



本症例ではMCDの診断と、治療後に起こった合併症について学ぶことができましたね。


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posted by 長尾大志 at 17:06 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月11日

症例検討会BRONCHO20−12

胸部CTの所見は、1スライスしかありませんが、右肺S10に、以前にはなかったコンソリデーションが出現していて、その前方にあった陰影や左肺の陰影は消失しています。他のスライスでは、右S6浸潤影の増強、右S9に2cm程の結節影出現を認めています。


本症例では、細菌性肺炎と考えますと、NHCAPということになります。前回入院時も同じような画像所見・臨床像での(肺炎と考えられる)入院がありましたが、その時はCTRX+CLDM→LVFXにより軽快しました。


今回、リンパ増殖性疾患+ステロイド中等量使用中で、免疫低下状態にあり、かつ、数週間前に結構広域の抗菌薬を使用していますから、気管支鏡検査に踏み切ります。施行後、真菌感染も念頭に置いてMEPM+MCFG(ミカファンギン)を開始しました。


気管支鏡検査の結果:

気道内には喀痰が多い。吸引にて、褐色の粘調な痰が引けました(下図)。右B9中心に下葉で採痰し、右B6にて生検を施行しました。


スライド83.JPG


スライド84.JPG

塗抹鏡検像



Q:診断は?


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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月10日

症例検討会BRONCHO20−11

できれば感染病原体を検出したいところです。可能であれば気管支鏡による気管支洗浄、最低でも喀痰検査と血液培養はほしいですね。もちろん、血清学的検査や尿中抗原で出来るものはやっておきたい。


<入院時身体所見>
意識レベル:清明 SpO2 98% RR=12回
結膜:眼瞼結膜 黄染なし 眼球結膜 蒼白なし
心音:整、雑音なし
肺音:清、副雑音なし
腹部:平坦、軟、圧痛なし、腸蠕動音亢進なし
四肢:浮腫なし、紫斑なし
リンパ節腫脹なし


<入院時検査所見>
TPHA- HCV-Ab- HIV-
【血液】
HT (% ) 32.3 L
HB (g/dl ) 10.3 L
RBC (1000000 ) 3.77 L
WBC (1000 ) 26.7 H
PLTS (1000 ) 312
SEG/NEUT (% ) 95.7 H
LYMPH (% ) 2.0 L
MONO (% ) 2.3
MCV (μ3 ) 86
MCH (pg ) 27.3
MCHC (% ) 31.9
TP (g/dl ) 6.7
ALB (g/dl ) 2.5 L
AST (U/l ) 14
ALT (U/l ) 30
LDH (U/l ) 204
ALP (U/l ) 371 H
G-GTP (U/l ) 122 H
CHE (U/l ) 177 L
T-BIL (mg/dl ) 0.48
A/G比 ( ) 0.60 L
NA (mmol/l ) 138
CL (mmol/l ) 99
K (mmol/l ) 5.0 H
UN (mg/dl ) 62.0 H
CRE (mg/dl ) 8.83 H
eGFR ( ) 5.3
UA (mg/dl ) 5.5
CA (mg/dl ) 7.9 L
P (mg/dl ) 6.5 H
T-CHO (mg/dl ) 209
AMY (U/l ) 203 H
CPK (U/l ) 13 L
CRP (mg/dl ) 13.87 HH

β-DG 18.4H
PCT 5.83H


【胸部CT】


スライド82.JPG



Q:胸部CTの所見は?



治療は、感染を積極的に考えるということであれば、抗菌薬を使っておかざるを得ないでしょう。



Q:抗菌薬は何を使いますか?


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posted by 長尾大志 at 17:43 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月08日

ご報告の多い週末:市立敦賀病院さんで「症例から学ぶ 呼吸器四方山話」

ご報告いろいろです。


一昨日は、市立敦賀病院さんにおじゃま致しまして、「症例から学ぶ 呼吸器四方山話」ということでお話をさせていただきました。


DSC_0226.JPG


S先生の撮ってくださる写真は、いつもイイ!ありがとうございます。これまでプロフィール欄によい写真がなかったのですが、使わせて頂きます!


福井県には、4月に福井県内科医会学術講演会にてお話ししたこともあり、半年ぶりということになりますが、敦賀は学生の時以来ですからもう20年以上ぶりとなります。駅前は記憶とは異なり、すっかりきれいに整備されておりました。


DSC_0230.JPG


たくさんの方に聴講していただきました。何人も拙著の読者の方がおられて、熱心に聴き入っていただきました。本当にありがとうございました。


関西の学生さんによる勉強会!で知り合ったS先生のお誘いで、このたび敦賀に参りましたが、このS先生を知る人は皆「スーパーな人だ」と口をそろえておっしゃいます。今回、そんな方にわざわざ送迎もお願いすることとなってしまい、結果的に大変いろいろなお話を伺うことができまして、こちらが大変刺激を受け取った次第です。


なかなか上手く物事が運ばない現状に、甘えてしまい、「できない理由」ばかり探している自分の姿がよ〜くわかりました。今居る環境に文句があるならば、環境を変えてガンガンやるか、今居る環境でできることを、もがいてやっていくか、文句を言わずそのままいるかしかない。文句ばかり言って何もしないのは最低ですね。


DSC_0237.JPG


ということで、刺激的な敦賀の夜、帰りの道中も刺激的でした。人生について考える出来事もありました。とにかく語ることは大切ですね。S先生、何から何まで本当にありがとうございました。K先生他の先生方、Wさんも、いろいろお話しいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます!

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posted by 長尾大志 at 22:41 | Comment(2) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月06日

症例検討会BRONCHO20−10

胸部X線写真にて、右の上肺野、下肺野に浸潤影が増加してきました。そこで、


  • 感染症(ステロイドによる易感染性による)

  • 原病の悪化



が想定されました。ただ、PSL25mgまで順調に経過していたことから、原病の悪化よりは感染症を想定しまして、採痰を行った後PSLを25mgから20mgに減量、そしてアジスロマイシンを処方されました。


喀痰培養は陰性でしたが、その後38.5度の高熱を繰り返し、右肺浸潤影増強したため入院となりました。



Q:この時点での方針は?




これから敦賀に出発しますのでこれにて失礼致します。お招き頂きましたS先生始め、敦賀市民病院の皆さん、よろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 14:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月05日

症例検討会BRONCHO20−9

ステロイドを長期間使用すると…


  • 副腎機能抑制・不全

  • 高脂血症・中心性肥満・内臓脂肪沈着

  • 骨粗鬆症

  • 筋力低下・ステロイドミオパチー

  • 白内障・緑内障



このあたりを想定しておく必要があるでしょう。うち、骨粗鬆症に対してビスホスホネート、あたりは予防として使われていることが多いようですが、それ以外のものの予防はなかなか難しいのが現状です。



さて、本症例、その後もPSLを2週間に5mgのペースで減量し、症状、陰影も落ち着いてきておりました。


スライド80.JPG


25mgまで減量して以降、次第に黄色痰が出現、労作時呼吸困難も増悪してきました。PSL開始後8週間目に撮影した胸部X線写真にて、下のような変化が見られました。


スライド81.JPG



Q:何が起こったと考えられるでしょうか?



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posted by 長尾大志 at 17:34 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月04日

症例検討会BRONCHO20−8

「不測の事態」。ステロイド投与による副作用ですね。わかってたら、「不測」とは言わないか…。


基本的に、ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているときに起こってくる「不測の事態」、それは治療(薬)による副作用であることが多く、まずはそこを疑うべきです。


ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているとき、元々の疾患が悪化してくる、ということはあまりないはずですよね。いつもそんなことが起きるのだったら、それは「きちんと決まった治療」にはならないでしょう。


また、ある疾患にかかっていながら、さらに別の疾患にかかる、というのも、疾患の罹患率を考えると比較的まれ、ということになります。そういうことから、いくつかの症候を呈しているときに、まずは単一の疾患でそれらが起こっている、と考える考え方を「オッカムの剃刀」といいますが、そんなわけで、ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているときに文脈と関係ないことが起こることは少なかろう、と考えるのが筋だ、というわけですね。


そして治療薬には少なからず副作用がある、これもまた確かであります。有名どころでは抗がん剤や分子標的薬、生物学的製剤など、副作用が起こること前提、みたいな薬もありますが、ステロイドや抗菌薬もまた、副作用のことを考えるべき薬剤ですね。


PSLを1mg/kg/day で開始したときに気をつけるべき副作用は…

  • ステロイド精神病(不眠、躁、うつなど)

  • 耐糖能異常

  • 易感染性

  • 消化性潰瘍

  • 凝固能亢進

  • 血圧上昇・浮腫



あたりです。これらは予想されるものですから、あらかじめST合剤やPPIなどを使い、観察もするわけですが、本症例では…



PSL投与10日目に、胸部Xpにて気胸腔拡大を認めました。そこで8Frアスピレーションキットを第7肋間から挿入し700ml脱気+170ml淡血性胸水吸引。気胸腔は隔壁があり、開通していない部分の脱気は困難でした。胸水の培養は一般細菌、抗酸菌共に陰性、細胞診では血液細胞のみ認め、白血球はリンパ球主体でした。


ステロイドによって組織が脆弱になる、ということもしばしば経験されます。皮膚が傷つきやすくなったりぺらぺらになったりしますし、本症例のように創傷部位(肺に空いた孔)の治癒が遅延したりもします。


幸い治療反応性がよかったため、PSLを早めに減量することにし、投与2週間で0.8mg/kg/dayに減量しました。



Q:ちなみに、今後ステロイドを長期間使用することが予想されますが、その際に注意すべき副作用はどのようなものがあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 18:25 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月03日

症例検討会BRONCHO20−7

もったいぶらずに永久標本も見てみましょう。


<縦隔リンパ節生検>
LN#2R、4L:異型性に乏しいCD138陽性形質細胞がポリクローナルに増加。悪性細胞認めず、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫認めず、IgG4陽性の形質細胞も認めず。


ということで、血清IL-6が108と高値なこと、縦隔リンパ節生検組織にてCD138陽性形質細胞のポリクローナルな増殖を認めたことにより、Castleman病と診断しました。

Castleman病の診断基準:書籍化時には

肺の陰影については結局気管支鏡からCastleman病の肺病変、という証拠は得られませんでしたが、LVFX投与でも画像上、酸素化も変化はなく、それ以上詰めることはできませんでした。LVFXは1週間投与して終了しまして、その後はステロイド治療を開始しました。


開始前評価として:
血液ガス(O2 2L)pH 7.435、 pO2 111、 pCO2 45.3、 HCO3 29.7


6分間テスト(O2 3L nasal)
0分:HR 88bpm、SpO2 94%、Borg 4、距離 0m
6分:HR 98bpm、SpO2 90%、Borg 9、距離 185m


PSL1mg/kg/day (45mg)で開始しました。その後速やかに、肺炎像は改善し、縦隔リンパ節は縮小してきました。ところが…



Q:どういった「不測の事態」を想定すべきでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 19:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月02日

症例検討会BRONCHO20−6

縦隔リンパ節が腫脹している、and/or肺野に広義間質の肥厚〜リンパ路の肥厚像を認める、というリンパ増殖性疾患の範疇では、


  • 癌のリンパ節転移、癌性リンパ管症

  • サルコイドーシス

  • 悪性リンパ腫をはじめとするリンパ増殖性疾患

  • 形質細胞腫

  • IgG4関連疾患

  • キャッスルマン病(Multicentric Castleman Disease:MCD)など

  • アミロイドーシス



あたりを鑑別診断に挙げるべきかと思います。



気管支鏡検査の結果は、以下のような感じ。


生検組織:好酸球浸潤多数あり。形質細胞浸潤はごく少量のみで、IgG4陽性形質細胞は認めず。


培養は一般細菌、抗酸菌とも陰性でした。


あまり診断に迫れる感じではありません。やはりリンパ節生検が必要です。そうこうしているうちにすっかり解熱し、縦隔鏡検査を施行することができました。LVFXが効く感染であったのか、それともその前のCTRX+CLDMの効果が遅かったのかは定かではありませんが…移行の問題であったのかもしれません。


ということで数日後に縦隔リンパ節生検を施行しました。迅速結果では、悪性細胞認めず、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫も認めず。取り急ぎ悪性リンパ腫、サルコイドーシスに特異的な所見は認めませんでした。


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posted by 長尾大志 at 17:48 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月29日

症例検討会BRONCHO20−5

画像上は明らかに陰影の悪化が見られます。こうなってくると、市中細菌性肺炎にしては治療反応性がよろしくなく、リンパ増殖性疾患の肺病変、症状かなあ、という気もして参ります。細菌検査も兼ねまして、気管支鏡検査を施行。気管支洗浄と経気管支生検を行いました。


しかしここは、縦隔リンパ節生検を急ぎたい。縦隔鏡によるリンパ節生検を予定しましたが、数日先だとのことで、担当医は抗菌薬をLVFX(250mg隔日投与)にスイッチしました。


すると翌日には解熱。むむむ。


この時点で入院時の採血結果などが出そろってきました。


s-IL2R 6190高値
ACE6.7 低値
腫瘍マーカー:CEA,CA19-9、AFP,PSA全て陰性
抗核抗体 ×40上昇なし

IL-6 108高値
IgG 2466高値
IgM 38上昇なし
IgA 956高値
IgE 332高値
IgG4 45.5(>135が診断基準)

M蛋白電気泳動:M蛋白は検出せず。
EBV(−)
CMV:C7HRP陰性
HIV感染:陰性
HHV8感染:陰性



Q:現状で考えられる鑑別診断は?




今日と明日の2日間、第3回呼吸機能イメージング研究会サマーセミナーが当地滋賀県のピアザ淡海で開催されます。当番世話人が当科の中野病院教授であり、医局員総出でおもてなしさせて頂きます。私もこれから出番です。ご参加の先生方におかれましてはお気を付けてお越し下さいませ。


ポスター.jpg

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posted by 長尾大志 at 12:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月28日

症例検討会BRONCHO20−4

CTは数日前に撮られたもので、縦隔条件でもともと指摘されていた縦隔リンパ節腫脹が見られ、肺野条件では気胸の程度が当院初診時の胸部X線写真より軽いことがわかります。で、右下肺野の高吸収域にあたる部分を見ると、割とべたっとした、コンソリデーション様の陰影が、気管支血管束の周囲あたりに見られるようです。周囲にはすりガラス影も見られます。


スライド77.JPG


加えて、広義間質肥厚を思わせる線状影(橙矢印)もそこここに見られます。これらの所見も、一元的に考えるとリンパ増殖性疾患で説明可能ですが、急性感染症、例えば気管支肺炎などを否定出来るものではありません。


<その後の経過>

培養としては喀痰培養、血液培養を提出しましたが有意菌は認めず、胸腔穿刺も行いましたが、胸水は淡血性、滲出性(LDH 809)で、ADA、ヒアルロン酸はカットオフ以下、細胞分画は好酸球主体(76%)でした。これは気胸の影響もあるかもしれません。また、塗抹、培養ともに陰性でした。


抗菌薬を投与し、咳嗽、喀痰は改善してきましたが、発熱は変わらず、血液検査上も炎症所見は横ばいでした。胸部X線写真、CTはこんな感じです。


スライド78.JPG


スライド79.JPG



Q:画像の変化をどう評価しますか?


Q:今後の治療(検査)方針、どうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:24 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月27日

症例検討会BRONCHO20−3

身体所見で余り目立つものはない、ということですが、低酸素などバイタル異常があり、血液検査で炎症所見高値、まあ、肺炎があるのかなあ、という感じですかね。


胸部X線写真の所見、ECGモニターの金具が付いているのは残念ですが…それ以外では、ちょっと意外なことに…。


スライド74.JPG


右気胸がありましたね。ニボーもありますから、1週間前から悪化傾向のある呼吸困難はこれも一役買っていたのかもしれません。加えて、右下肺野には高吸収域がある。こちらは肺炎の可能性あり。それからPET所見もヒントになりますが、気管分岐部は開大しており、同部位のリンパ節腫大を疑います。


身体診察ではあまり有意な所見が得られなかったようですが、初診時には打診などもなされておらず、呼吸音の左右差も捉えられていなかった可能性があります…。



鑑別診断としてリンパ節が腫れる疾患+(閉塞性)肺炎+気胸、あるいは、リンパ増殖性疾患(+その肺病変、気胸)、というところが想定されます。リンパ節腫脹が気にはなりますが、活動性の感染症があっては検査も難しいでしょう。まずは、現在の症状が感染性のものかどうか、なのですが、前医で抗菌薬処方をされていたこともあり、喀痰グラム染色にて有意な菌は見えませんでした。


そこでひとまずエンピリックに肺炎として治療を開始しました。透析中でもあり、担当医はCTRX+CLDMを開始されています。細菌性肺炎とすればA-DROP 1点(SpO2の低下のみ)ですが、リンパ節腫脹の鑑別も進める必要があること、透析中であることなどから入院加療としています。


そうこうしているうちに、前医から胸部CTが送られてきました。


スライド75.JPG


スライド75.JPG


Q:所見はいかがでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 20:36 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月26日

症例検討会BRONCHO20−2

縦隔リンパ節腫脹があって精査予定、という状況で、1週間前からの発熱(38℃台)、喀痰、咳嗽、呼吸困難。普通に考えると、リンパ節が腫れる疾患、代表は肺癌でしょうが、+閉塞性肺炎、というストーリーが浮かびます。


その他の検査結果はどうでしょうか。



<入院時検査所見>
<血液検査>
Hb 10.8 WBC 9300 Plt 5万 Alb 1.9 ALP 388 Na135 K4.8 Ca 6.5 P 5.5 BUN 29.2 Cre 7.65 CRP 14.9
PCT 1.75 βDグルカン 0.0


<動脈血ガス(室内気、安静)」>
pH 7.459 pO2 56.9 pCO2 38.3 HCO3 26.6


<胸部X線>


スライド72.JPG


なにやら所見がたくさんありますね…。



Q:胸部X線写真の所見は?



<他院からの持ち込みPET>


縦隔リンパ節に多数の集積あり。仙骨の右端にも集積あり。



Q:この後の方針は?


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posted by 長尾大志 at 16:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月25日

症例検討会BRONCHO20−1

症例 50歳代男性


<主訴>
発熱、喀痰、呼吸困難


<現病歴>
3ヶ月前の健診にて、胸部X線写真上異常影を指摘されていた。胸部CTなどで縦隔リンパ節腫脹を認め、近く精査予定であった。1週間前より、38℃台の発熱、喀痰、咳嗽、呼吸困難を自覚していた。呼吸困難が悪化してきたため前医(透析かかりつけ)から当院紹介受診となる。


<既往歴>
30歳代 肺結核
20年前 ネフローゼ症候群、慢性腎不全
10年前 透析導入
5年前 大腿骨頭壊死


<アレルギー>
特になし


<生活歴>
喫煙:20歳から10本/日を7,8年間、以降禁煙
飲酒:缶ビール1本/日


<家族歴>
特記すべきことなし


<入院時身体所見>
体温37.6℃ SpO2 93%(酸素経鼻2L/分)
脈拍107/分 血圧135/68mmHg
呼吸音:清
腹部:平坦,軟.圧痛なし.腸蠕動音亢進なし
四肢浮腫なし


Q:現時点での鑑別診断、まずはどう考えますか?


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posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

症例検討会BRONCHO19−4

症例検討会BRONCHO19−4、20日にupしていたはずが削除されていました。操作ミスか、アカウント乗っ取りか…??ということで再掲いたします。



本例では、患者さんが「なかなか外来に来られないし、一発で?治る薬を出してほしい」と希望されたとのことで、その時の担当医は、何にでも効く!?レボフロキサシン(LVFX)を処方されました。さて、どうなりましたか…。


結局患者さんはその1週間後「熱がなかなか下がらない」と再診されました。昼間も37℃以上、夜間には37.5℃以上になると。そこでLVFXを継続され、もう1週間。その時には解熱傾向あり、36℃台になってきた、とのことで抗菌薬は終了となっています。



しかしその3週間後、一旦治まっていた痰と咳がまた出てきた、と再診されました。そのとき熱は出ていませんでしたが、2日前から左前胸部痛を自覚していました。


SpO2 97 HR 91。胸部X線写真ではご覧の通りです。


スライド71.JPG



Q:何事でしょうか?


Q:何が必要でしょうか?


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posted by 長尾大志 at 10:21 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月22日

症例検討会BRONCHO19−6

本症例を振り返って考えますと、「途中でLVFXを処方したばかりに、診断が遅れた塗抹陽性肺結核の一例」となってしまいます。LVFXはじめキノロン系抗菌薬は、抗酸菌にちょっと!?効くのですね。


ちょっと!?というのは、一時的に効いて何となく症状がよくな(って、医療機関に来なくな)る。一時的に菌量も減るから、仮にその、よくなった時期に喀痰を採っても塗抹陽性にならないこともある。でも単剤での、しかも中途半端な期間の投与になるため、そのうちに必ず病状が進行し症状が悪化してきて、しかも診断までに相当時間が経ってしまっているものですから、その間にかな〜り菌をばらまき続けてしまう…恐ろしいことです。


やはり「結核にキノロン問題」は恐ろしい。実際にウチであったことではありませんが、注意喚起のため、取り上げざるを得ませんでした。


まだまだ「肺に影⇒キノロン」とされているケースをそこここで見かけるように思います。「得体の知れない感染症」にキノロンを使って、いいことなんてほとんどない。むしろ後で大変なことの方が多い、ということを、特に若い皆さんには肝に銘じて頂きたいですね。


得体が知れなきゃ、とにかく繰り返し喀痰検査ですよ。で、どうしても抗菌薬を使わなきゃ、患者さんが納得しない、であれば、狭域に参りましょう。経口だったらAMPCですかね。AMPC、上気道の一般細菌感染には抜群に効きますからね。この原則さえ守って頂ければ、そんなにややこしいことにはならないはずです。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月21日

症例検討会BRONCHO19−5

■ 症例検討会BRONCHO19−4は9月20日に掲載出来ておりませんでしたので、9月25日に掲載しております。あしからずご了承下さい。以下の19−5は、19−4の後にお読み下さい。



胸部X線写真では陰影の悪化、左下肺野に加えて中肺野にも陰影が出現しています。


ということでもうおわかりでしょう。これだけ抗菌薬を使用していて、比較的ゆっくりとした経過で(←ここがポイント)悪化してくる。


いかにも抗酸菌感染症、という感じではないでしょうか。


細菌感染症と抗酸菌感染症では、時間経過がずいぶん違います。それは、分裂速度がずいぶん違うから。例えば大腸菌は20分に1回分裂します。1時間で8倍、2時間で64倍、4時間で4,096倍、8時間では16,777,216倍。24時間では…計算が大変です。もちろんこれは理想的な環境下で、体内とは異なりますが…。


それに対して、結核菌始め抗酸菌は一般的に分裂速度が遅いものです。非結核性抗酸菌の中には迅速発育菌というものもありますが、MACを含めて多くは遅いもの。結核菌で1回の分裂に15時間ほどかかるといわれています。こちらも理想的環境下ですが。


つまり環境が同じと仮定して、分裂に必要な時間が45倍も違うのです。細菌性肺炎だと症状が出始めて、病院に来なくてはならないほど(極期)になるのに1〜3日ぐらいのところ、結核だと45〜135日ほどかかる、あくまでおおざっぱな、感覚的な計算ですが、それぐらいの時間経過を考えて頂ければいいのではないかと思います。


比較的若い患者さんに気道症状があり、1ヶ月程度の経過で陰影が増えてくるようなケースではやはり抗酸菌感染症、特に結核を考えるべきでしょう。もっとまれな感染症もありますが、とにもかくにも、公衆衛生的観点からも、結核の診断はマストです。喀痰抗酸菌検査(塗抹、培養、PCR)を大至急行いましょう。


そして結核を疑ったら接触歴、既往歴をもう一度根掘り葉掘り聞きましょう。特に感染リスクの高い同居家族、それに近い接触をしていた人の結核罹患は必須です。


そしてご本人の問題として、免疫低下を来すような状態ではないか、HIV感染はもちろん他の基礎疾患も一通り調べる必要があるでしょう。



本症例では、喀痰塗抹検査にてG10号の抗酸菌を検出し、TB-PCR陽性であったことから、専門施設に入院加療としました。


家族歴は、本人からの聴取では特記事項なしとのことでしたが、後日家人(母親)に聴取したところ、幼少時に同居していた親族が結核であったとのことでした。ただ本人はそれを知らされていなかったそうです。まあ、こんなことがなければ、本人にとって余計な歴史でしかないわけですから、言われなかったのもやむなしでしょうか。


本人にHIVはじめ免疫低下を来す疾病はありませんでしたが、多忙で1年ほど前から慢性的に睡眠不足であったとのことでした。睡眠不足も怖いですね〜。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(3) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月19日

症例検討会BRONCHO19−3

昨日は台風で気圧が下がると同時に異常な(変な)体調不良を来しまして、ちょっと更新をお休みさせて頂きました。失礼致しました。昨晩12時間ほど睡眠した結果、すっかり回復しました。一体何であったのか…?



さて症例に戻ります。


血液検査からは若干の炎症所見、胸部X線写真では左中肺野、3〜4弓シルエット陰性、つまり左下葉の濃度上昇がありそうです。コンソリデーションでしょうか。ハッキリとした所見がありますから、ある程度しっかり肺に病変を作る、急性ないし比較的ゆっくりした経過を持つ感染症、が考えやすそうです。


  • 亜急性〜慢性経過の気道病変+急性感染症

  • 抗酸菌感染

  • 何らかの免疫低下±急性感染



あたりでしょうか。


で、治療についてはいかがでしょうか。本症例を感染症と想定したとして、若年であり、重症度は低いと考えられるため、そのまま外来診療になるかと思われます。で、どうするかですね。あまり症状が強くないので治療なし、ないしは対症療法とするのか、そこそこ派手な陰影がありますから抗菌薬なんかを投与するのか、まずは喀痰やその他検査を行うのか。


本症例では、そこそこの経過であった痰は喘息のコントロールがよくなかったのではないか、プラス今回は急性の肺炎ではないか、と考えられて、抗菌薬の投与が行われていました。喀痰も外来受診中には採られなかったようです。



Q:では、その際に選択するのが望ましい経口抗菌薬を1つ選択して下さい。

ペニシリン系
セフェム
マクロライド系
キノロン系


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posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月15日

症例検討会BRONCHO19−2

病歴の情報が少ないので、なかなかこれだけでは絞れるものではありません。3週間前からの痰、それと今朝からの37.5℃発熱が一連のものなのか、偶々(必然?)の合併であるのか、それすらもハッキリしませんね。


40歳代ですしまずはオッカムの剃刀で一連のものと考えると、急性感染症、すなわち一般的な細菌感染症、ウイルス感染症は可能性が低い△。ただし膿瘍や、ある種のウイルス感染症はありでしょう。


経過の長さからすると抗酸菌感染は外せません。あくまで一連の経過をひとくくりで考える場合ですが。ただし既往にハッキリした結核の接触などはないようですし、極端な免疫低下を示唆する情報もありません。


それ以外に経過からはアレルギー性疾患、広い意味の自己免疫性疾患や血管炎なども考えられます。



<入院時身体所見>
BT=38.2℃ SpO2 97% HR 118

胸部:
呼吸音:左前胸部でwheezeを少し聴取。左下肺で呼吸音減弱。

腹部:
平坦・軟・腸雑音減弱亢進なし・圧痛なし
排便1日1行

四肢・体幹:
両側下腿浮腫なし、両側足背動脈触知良好



このまま検査所見へ。


<検査所見>

HT 47.5、HB 16.6、RBC 5.08万、WBC 10,800 (NEUT 86.1%、EOSIN 1.0%、BASO 0.2%、LYMPH 7.0%、MONO 5.7%)PLTS 21.7万
AST 25、ALT 41H、LDH 241 H、ALP 261、G-GTP 28、T-BIL 1.03、NA 137、CL 98L、K 4.0、UN 10.0、CRE 0.90、eGFR 78.5、CRP 3.46H


<胸部X線写真>

スライド70.JPG



Q:ここまでの情報で鑑別診断は?


Q:本症例の治療はどうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:32 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月13日

症例検討会BRONCHO19−1

症例 40歳代男性


<主訴>
喀痰、発熱


<現病歴>
3週間前から痰がよく出るようになった。今朝から発熱37.5℃となり当科受診となる。咽頭痛や鼻汁などは自覚していない。


<既往歴>
幼少時から 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎あり。近医にて下記処方されている。

2年前 肺炎(詳細不明)


現在の内服
 ムコダイン
 アレロック(アレルギー性鼻炎)
 フルタイド200(喘息)
 ステロイド外用薬(体)
 プロトピック(顔に) 


<家族歴>
特記事項なし


<生活歴>
喫煙:なし
飲酒:なし


<アレルギー>
特記すべきことなし


Q:鑑別診断として、考えられる疾患は?

細菌感染症
抗酸菌感染症
ウイルス感染症
アレルギー性疾患


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月07日

動脈血液ガス分析1

さてここで一度、動脈血ガス分析のおさらいをしておきましょう。


動脈血ガスの正常範囲

pH=7.350〜7.450(7.400±0.05)
PaCO2(動脈血ガス二酸化炭素分圧)
=35〜45Torr(40±5)
PaO2(動脈血ガス酸素分圧)
=80〜100Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=22〜26mEq/L(24±2)


です。
ちなみに最近よく看護師さんが採っておられる静脈血液ガスの正常範囲は、


pH=7.37
PvCO2(静脈血ガス二酸化炭素分圧)
=48Torr
PvO2(静脈血ガス酸素分圧)
=40Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=26(24〜28)mEq/L


ぐらいです。pHとPvCO2、HCO3-の動きには動脈血同様の意味がありますので、PaO2を知りたい、というのでなければこれで代用してもいいでしょう。でも、研修医の先生には、血ガスぐらい自分で採って頂きたいものです。


動脈血液ガス分析結果の見かた

@pHを見る。→アシデミアかアルカレミアか正常範囲かを確認する。これが正常範囲でなければ、何らかのアクションが必要。

Aアシデミア、またはアルカレミアの場合、そうなっている理由が呼吸性なのか代謝性なのかを確認する。
アシデミアの場合:呼吸性アシドーシス(PaCO2>45)か、代謝性アシドーシス(HCO3-<22)か。
アルカレミアの場合:呼吸性アルカローシス(PaCO2<35)か、代謝性アルカローシス(HCO3->26)か。

BpHが動いている原因がわかったら、それと違う方(呼吸性・代謝性)が代償している(逆方向に動く)がどうか確認する。
例:呼吸性アシドーシスがあったら、代謝性アルカローシスで代償しようとするはず。

代償していれば、ある程度長い間その状態であり、代償していなければ、急性期である。


呼吸器研修ノート

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posted by 長尾大志 at 17:29 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月06日

症例検討会BRONCHO18−8

昨日は時間の都合?でサッサッサッと進みましたが、付いてこられましたか?


まずは低酸素をみたときに、これはハッキリしている病態で説明可能なのかどうか、評価する必要があります。わかっている病態だとこれほど低酸素にならないのではないか、となると、それ以外に低酸素になる理由(換気血流ミスマッチ、シャント、拡散障害と肺胞低換気)のどれかが存在しないか、考えてみる必要があります。


呼吸器疾患によく合併するものとして、肺高血圧症と肺血栓塞栓症が知られています。これらは主にミスマッチによって低酸素を来しますが、肺高血圧の原因として、肺疾患および/または低酸素血症による肺高血圧、というジャンルがあるくらいですから、合併例は少なくありません。特に、COPDに線維化が合併したCPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema:気腫合併肺線維症)で肺高血圧は多いとされています。


また、膠原病関連の肺高血圧症も肺高血圧の1ジャンルであり、膠原病合併間質性肺炎と肺高血圧症の合併?もしばしばみられます。


それから、ADL低下やステロイドの使用、癌の合併など、呼吸器疾患では血栓のリスクも高まることがありますので、こちらも注意が必要です。



肺高血圧の診断・治療にはガイドラインがあり、それほど悩まずともフローチャート通りに行けばきちんと診断、治療を考えることが出来るのですが、これがちょいちょい(おそらく薬が出るたびに?)変わるので、新しいものを知っておかなくてはいけません。


現状ではこちらになるかと思います。診断フローチャートはFigure1になります。
2015 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension: The Joint Task Force for the Diagnosis and Treatment of Pulmonary Hypertension of the European Society of Cardiology (ESC) and the European Respiratory Society (ERS): Endorsed by: Association for European Paediatric and Congenital Cardiology (AEPC), International Society for Heart and Lung Transplantation (ISHLT).
Galiè N, et al. Eur Heart J. 2016 Jan 1;37(1):67-119.


PHを疑ったら経胸壁心エコーを行います。そこで三尖弁逆流速度や右心負荷所見を評価し、PHが疑わしいとなったらPHの原因として頻度の高い左心系疾患や肺疾患の評価を行います。


それらがない、関与が少ない、となりますと、次は慢性血栓閉塞性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の有無を確認するために換気血流シンチグラフィや造影CTを施行します。その後診断確定、および分類のために右心カテーテル検査で肺動脈圧、肺動脈楔入圧や肺血管抵抗などを測定していきます。


で、平均肺動脈圧≧25mmHg、かつ肺動脈楔入圧≦15mmHgであれば肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)と診断、ということになります。


本症例ではIPFに合併したPH、ということで、nintedanibを導入し経過、治療効果を確認するとともに、PHに対して血管拡張薬を考慮することになりました。いずれも薬価が高く副作用のこともあり、効果がなければダラダラと継続すべきではありませんので、きちんと効果の確認が必要です。


また、間質性肺炎と肺高血圧症があることから、その基礎疾患としての膠原病が今後発症してこないかどうかも、注意深く観察する必要があるでしょう。


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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月05日

症例検討会BRONCHO18−7

肺機能検査では、%VCが65%と、それほど拘束性障害が強くはありませんが、それに比して%DLCOが24.3 %とかなり低い。それに安静時でも既にPaO2<60Torrと結構な低酸素です。


なんか、肺活量の割に、拡散障害が強く、低酸素が過ぎませんでしょうか??患者さんを何例か診たことがあれば、違和感があると思います。ただIPF、というだけで%VCが65%だと、それほど(少なくとも安静時には)低酸素にはならないと思われます。


そこで思い出して頂きたいのが、胸部X線写真における「両側肺動脈影の径拡大あり」所見です。気付かれていましたか?今まであえてスルーしてきましたが、これは肺高血圧の所見なのです。肺高血圧が合併するとしたら、この拡散障害〜低酸素も納得ですね。


そこで、さらに心エコーを施行、右心負荷所見を認めたため、換気血流シンチを施行。換気、血流ともに欠損域なし〜慢性血栓閉塞性肺高血圧症(CTEPH)を否定して、右心カテーテルにて肺高血圧症の確認、評価を行いました。


<右心カテーテル検査>
PCWP 7 mmHg mPAP 35 mmHg



Q:最終的な診断、分類は?
治療薬は何を使いますか?


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posted by 長尾大志 at 18:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO