2016年03月03日

症例検討会BRONCHO7−5

胸部CTでは両側中葉〜下葉にかけて粘液栓と思われる軟部影、小粒状陰影が散見され、胸部X線写真における索状影の要因であると考えられる気管支拡張像も見られました。


血液検査の結果、末梢血好酸球の著増があり、気管支喘息・好酸球性肺炎の既往があって、発熱、下肢腫脹や疼痛といった「炎症症状」が出現してきた、ということで、病歴からは好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)がそれっぽいですね。


また、胸部CTにて両上葉に索状影・両側中葉〜下葉にかけて粘液栓・小粒状陰影散見認められていることから、以下の鑑別が考えられました。


@好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
Aアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
B特発性好酸球増多症
C好酸球性白血病


紫斑・多発単神経炎などの血管炎を疑う症状はなく、ANCAも陰性であり、@と診断できる根拠がありませんでした。


Aの診断目的で血液検査でアスペルギルス沈降抗体を測定しましたが陰性。気管支鏡を施行しましたが、生検で得られた検体からは好酸球浸潤はあるものの、真菌は確認できず、また組織学的に血管炎を証明できる所見も得られませんでした。


BCは骨髄穿刺にて、疑う所見はありませんでした。


臨床経過からEGPAが最も疑わしいものの、根拠に乏しく、EGPAに準じる好酸球増多症としてPSLにて治療開始としました。内服開始後ほどなくして倦怠感・下肢痛改善あり、効果は速やかに見られています。


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2016年03月02日

症例検討会BRONCHO7−4

胸部X線写真の所見はいかがでしょうか。


左下肺野、心陰影の影に太めの、索状影とでもいうべき線が見えます。
右の下肺野もちょっと肺紋理が多い、というか、線状影が見えますね。


索状影とすると気管支拡張を連想しますが、聴診上はwheezesのみでcracklesなどは聴取しませんでした。


胸部CTを見てみましょう。


スライド14.JPG


スライド15.JPG


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2016年03月01日

症例検討会BRONCHO7−3

いよいよ、本症例のキモである、検査所見をご紹介します。一体何が「異常値」なのでしょうか。そしてそこから想起される疾患とは…?


<入院時検査所見>
〈血液検査〉
HT (% ) 39.7
HB (g/dl ) 13.8
RBC (1000000 ) 4.69
WBC (1000 ) 26.0 H
PLTS (1000 ) 335
NEUT  (% ) 14.0 L
EOSIN (% ) 74.0 H
BASO (% ) 0
LYMPH (% ) 9.5 L
MONO (% ) 2.5
MCV (μ3 ) 85
MCH (pg ) 29.4
MCHC (% ) 34.8
赤沈30mi (mm ) 5.2
赤沈1hr (mm ) 31.4 H
赤沈2hr (mm ) 45.4
TP (g/dl ) 7.0
ALB (g/dl ) 3.6 L
AST (U/l ) 15
ALT (U/l ) 7
LDH (U/l ) 442 H
ALP (U/l ) 439 H
G-GTP (U/l ) 13
CHE (U/l ) 262
T-BIL (mg/dl ) 0.66
D-BIL (mg/dl ) 0.12
NA (mmol/l ) 140
CL (mmol/l ) 106
K (mmol/l ) 4.0
UN (mg/dl ) 7.5 L
CRE (mg/dl ) 0.48
eGFR ( ) 109.5
UA (mg/dl ) 2.9
CA (mg/dl ) 8.4 L
P (mg/dl ) 3.8
CPK (U/l ) 111
IG-G (mg/dl ) 1436
IG-M (mg/dl ) 283 H
IG-A (mg/dl ) 324
C3 (mg/dl ) 101
C4 (mg/dl ) 13
CRP (mg/dl ) 0.97 H
GLU (mg/dl ) 87
HBA1C (% ) 4.9
A1C(NGSP (% ) 5.3
CEA (ng/ml ) 14.0 H
IGE (IU/ml ) 1227.6 H
ABO型 ( ) B
Rh(D)型 ( ) +
β-Dグルカン 0.0


〈胸部Xp〉


スライド13.JPG


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2016年02月29日

症例検討会BRONCHO7−2

ぜひご紹介しておきたい、といっておきながら、アッサリと医師国家試験問題解説、看護師国家試験解説に割って入られた感のあるBRONCHO症例ですが、何事もなかったかのように続けます。


皆さんお忘れだと思うので病歴を再掲します。40歳代女性で主訴が発熱と下肢の腫脹。


現病歴は2ヶ月前に一過性に38℃台の発熱と下肢の腫れがあり、某病院受診されたが、ステロイド点滴加療にて帰宅された。翌日同呼吸器内科受診されたが、L/D・胸部Xpにて異常は指摘されなかった。5日前より胃痛、吐き気、微熱あり、某総合病院受診され、その時も特に異常なしとされた。その後も37.5℃程度の微熱と下肢痛継続したため一昨日某医院受診。その時は血液検査、胸部Xpにて異常を認め、当科紹介受診となった、…という方でした。



<入院時身体所見>
身長:155.6cm 体重43.7kg BMI:18.05

〈バイタルサイン〉
BT36.6℃ PR88bpm BP107/64mmHg SpO2 96%(room air)

〈身体所見〉
眼球結膜黄染なし 眼瞼結膜貧血なし
口腔内発赤・腫脹なし
顔面圧痛・叩打痛なし
頸部・腋窩リンパ節腫脹なし
甲状腺腫大なし
心音整・雑音なし
肺音清・左右差なし 強制呼気時にwheezes
腹部平坦軟・圧痛なし・腸蠕動音normal
下肢の腫脹は軽減しているとのことで明らかではない 下腿浮腫なし・把握痛なし
膝窩・足背動脈触知良好
四肢末梢に運動障害・感覚障害なし
全身に明らかな紫斑なし


明らかな異常所見としては、wheezes位ですかね。これは、喘息があった、ということから「ああ、喘息の発作なのね」で済まされるかもしれません。


でも、ピンとくる方はここでピンとくるでしょう。「ああ、アレじゃないの?」と。


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posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月10日

症例検討会BRONCHO7−1

今回は、先週の第11回リアルBRONCHOで紹介した症例をご紹介します。教育的な症例なんですが、先週は参加者が少なかったので、多くの方にご紹介しておきたいと思いまして…。


40歳代女性


<主訴>
発熱、下肢の腫脹


<現病歴>
2ヶ月前に一過性に38℃台の発熱と下肢の腫れがあり、某総合病院受診されたが、ステロイド点滴加療にて帰宅された。翌日同呼吸器内科受診されたが、L/D・胸部Xpにて異常は指摘されなかった。
5日前より胃痛、吐き気、微熱あり、某総合病院受診され、その時も特に異常なく、ネキシウム・ムコスタ・ミヤBM処方され。帰宅された。その後も37.5℃程度の微熱と下肢痛継続したため一昨日某医院受診。その時の血液検査で異常所見認め、また胸部Xpにても異常を認め、当科紹介受診となった。


<既往歴>
7年前 肺炎
それ以降 喘息・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎


<家族歴>
父:心筋梗塞
姉:アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(手術歴あり)


<生活歴>
事務職、5人で生活(祖母、夫、子供二人)
喫煙:20〜32歳 10本/日 現在は禁煙
飲酒:なし


<アレルギー>
薬剤・食物なし
アレルギー性鼻炎(上記)のみ


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posted by 長尾大志 at 19:01 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月09日

症例検討会BRONCHO6−7

胸部X線写真では著明な皮下気腫、縦隔気腫を認めますね。皮下なのか縦隔なのか、一見区別は困難ですが、大きな構造物周囲に入って線状に存在する空気は縦隔気腫かと思われます。


胸部CTを見ると、皮下にも縦隔にもあることがよくわかります。


スライド12.JPG


気胸はなかったので、酸素投与、安静とし、激しい咳に対してコデインを説明の上投与した結果、咳は軽減し、徐々に皮下気種、縦隔気腫は改善、第38病日にはほぼ消失し、その後退院となりました。


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posted by 長尾大志 at 16:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月08日

症例検討会BRONCHO6−6

あるべき身体所見、まず気胸、縦隔気腫では…


  • 視診では胸郭の片側性〜両側にわたる膨驕A胸郭運動の低下

  • 触診では皮下気腫、声音振盪の減弱

  • 打診可能であれば片側性の鼓音

  • 聴診可能であれば片側性呼吸音低下、Hamman徴候



それ以外の疾患では、循環系の頸静脈怒張や心不全徴候など、感染症では発熱、cracklesなどはサッとチェックすべきでしょう。やるべき検査としては、


  • 気胸、縦隔気腫|胸部X線写真など

  • 肺血栓塞栓症|Dダイマー、心・下肢エコー、造影CTなど

  • 急性増悪、感染症|血液検査、血液培養、胸部CTなど

  • ACS、大動脈解離|心電図、心エコー、筋原性酵素など



になることでしょう。


本症例では著明な皮下気腫(皮膚の膨驕A握雪感)を認め、胸部X線写真でこんな感じでしたので…。


スライド11.JPG


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posted by 長尾大志 at 15:08 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月05日

症例検討会BRONCHO6−5

慢性に経過する間質性肺炎、急性増悪でステロイド加療中に突然生じた全身倦怠感と呼吸困難です。どのようなものが考えられるでしょうか。


まずは基礎疾患に合併するもの、それからステロイド、臥床などの状況に伴って生じるものが、何も基礎になくて起こるものよりも考えやすいでしょう。したがって、ありそうな順番としては、


  • 気胸、縦隔気腫

  • 肺血栓塞栓症

  • 急性増悪、感染症

  • ACS、大動脈解離



あたりが考えられます。急いで身体診察を行い、検査をオーダー…。


各々の疾患について、あるべき身体所見にはどのようなものがあるでしょうか。で、さしあたり、どの検査をオーダーすべきでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 16:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月04日

症例検討会BRONCHO6−4

長い前置き&寄り道がありましたが、ここからが本題。


そんな加療中の患者さん、ステロイド治療で軽快傾向にありました。ステロイドも漸減を始めていましたが、乾性咳嗽はずっと認めていました、鎮咳薬内服に対して本人の内服拒否強く、メジコンの内服で経過観察していましたが…。


第25病日未明、突然に全身倦怠感と呼吸困難を自覚しナースコールされました。


さて、何事が起こったのでしょうか。注意すべき病態、所見は何でしょうか。


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posted by 長尾大志 at 15:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年02月01日

症例検討会BRONCHO6−3

入院時の胸部X線写真はこんな感じです。所見はいかがでしょうか。


スライド10.JPG


両側にすりガラス〜浸潤影が見られ、肺の収縮をうかがわせる両側の横隔膜挙上と気管の弯曲が見られます。



もともと基礎にRA-IPがあり、入院時呼吸状態の増悪認めたということで、各種所見を勘案して間質性肺炎急性増悪の可能性をまず考えてステロイドパルス療法(mPSL 1g×3)を行いました。


さてここまで、前置きです(長かった…)。


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posted by 長尾大志 at 17:06 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月29日

症例検討会BRONCHO6−2

前回と同じような病歴だな、と思われるかもしれません。実際、基礎に呼吸器疾患がある症例の急な増悪、という意味で似た経過です。まあしばらくおつきあい下さい。


<入院時身体所見>
BT 38.1℃ BP 106/67 HR 122 SpO2 75(RA) RR 44
意識清明
結膜:眼球黄染なし、眼瞼貧血なし
肺音:両背側下肺野でfine crackles(+) coarse crackles(+++)
心音:整
腹部:平坦・軟、BS→
下腿:non pitting edema(+) 左<右


<入院時検査所見>
血液検査

HT (% ) 35.7 L
HB (g/dl ) 12.1
RBC 394万
WBC 20,700 H
PLTS 25.5万
TP (g/dl ) 7.6
ALB (g/dl ) 3.5 L
AST (U/l ) 20
ALT (U/l ) 16
LDH (U/l ) 288 H
ALP (U/l ) 153
G-GTP (U/l ) 48 H
CHE (U/l ) 225
T-BIL (mg/dl ) 1.12
NA (mmol/l) 129 L
CL (mmol/l) 95 L
K (mmol/l) 4.2
UN (mg/dl ) 20.2
CRE (mg/dl ) 1.22 H
eGFR ( ) 35.0
CA (mg/dl ) 8.8
P (mg/dl ) 3.2
CPK (U/l ) 60
CRP (mg/dl ) 7.75 HH


貧血なし、炎症反応上昇あり、肝機能障害なし、腎機能障害あり、でした。


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posted by 長尾大志 at 17:22 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月28日

症例検討会BRONCHO6−1

動画公開の件は見事に頓挫してしまいました。まあアンケートも、なかなか回答が頂けていないようですし、希望者も少ないということで…。ですので、そ−っと症例検討に戻りましょう。


症例 60歳代女性


<主訴>
発熱、食事摂取困難


<現病歴>
半年前に他院より紹介され、RA-IPとの診断でPSL15mg+CyA150mg内服で加療を行われていた。低酸素血症を認めたため、HOT導入を検討されていた。前日夜間より咳嗽と38℃の発熱を認め、次第に症状増悪し、食事摂取困難になったため、本日当科受診し、room airでSpO2 75%と低酸素血症認めたため即日入院となった。


<既往歴>
中学生時:虫垂炎→手術
20年前:右半月板損傷→手術(他病院)
5年前:左大腿骨頭置換術→手術(他病院)


<生活歴>
喫煙経験なし
飲酒経験なし


<家族歴>
父:胃癌
母:クモ膜下出血
兄:食道がん


<アレルギー>
特記事項なし


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posted by 長尾大志 at 17:00 | Comment(2) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月22日

症例検討会BRONCHO 5−5

胸部X線写真は左胸郭形成術後で側彎、気管の左方偏位、左肺の虚脱などがあります。


CTR 52%程度ですが、元々の胸郭変形があり左肺の濃度自体が上昇しているようにも見えますし、慢性呼吸不全に起因する心不全が存在する可能性もあります。以前の写真との比較、身体診察所見による心不全の確認などが必要でしょう。


で、以前のものと比較してみると、心陰影が少し拡大しているのと、右下肺野に浸潤影が生じているのがわかります。


身体診察では、右上肺野でwheezes(+) 、右下肺野で軽度coarse crackles(+)、左上肺野で肺音聴取出来ず、ということで、右下肺野に新たな病変が生じた印象です。


その後撮影された胸部CTでも、右下葉に班状の浸潤影が生じていました。


スライド9.JPG



結論としては、陳旧性肺結核(胸郭形成術後)による慢性呼吸不全でHOT、在宅NPPVを導入されている患者さんが、おそらくウイルス感染などを契機に増悪を来たし、U型呼吸不全の悪化を来した、ということだと考えました。


治療はO2とNPPV併用しつつ、mPSL80mg/日を数日とCTRX2g/日使用し、状態は速やかに改善し退院となりました。特に何のひねりもなくてスミマセン。当たり前のことを当たり前にやって頂くのが本症例の目標ですが、胸郭形成術後の写真をご覧になることも少なくなったのでは、と思って供覧しました。


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posted by 長尾大志 at 17:08 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月21日

症例検討会BRONCHO 5−4

血液検査では、ちょっとした炎症とBNPの高値が目立つ程度です。あるとしてもウイルス感染程度でしょうか。


血液ガスは経鼻1LでpH 7.329とややアシデミア、PaCO2 63.5、HCO3 32.4と呼吸性アシドーシスと代謝性アルカローシスが見られますから、呼吸性アシドーシスを代謝性に代償し切れていないようです。


とはいえ代謝性アルカローシスはちゃんと起こっていますから、「元々U型呼吸不全でPaCO2が高く、それを代謝で代償していた、その状態で安定していたが、このたび急に増悪が起こり、結果、PaCO2が上昇してアシデミアになった。増悪が起こってからあまり時間が経過していないので、代謝では補い切れていない」ということになるでしょう。


PaO2 63.5は肺に問題がある病態を表します。呼吸不全がある裏付けになりますね。



胸部X線写真はこんな感じでした。


スライド7.JPG


これだけではよくわかりませんね。元々胸郭形成後であり、なんやかんや所見がありそうです。そこで、数年前、安定期の胸部X線写真を提示します。


スライド8.JPG


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posted by 長尾大志 at 19:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月20日

症例検討会BRONCHO 5−3

陳旧性肺結核〜慢性呼吸不全の増悪かな、という印象。検査がみたいですね−。


<入院時検査所見>
<血液検査>
HT (% ) 41.0
HB (g/dl ) 12.8
RBC (1000000 ) 4.26
WBC (1000 ) 6.4
PLTS (1000 ) 149 L
SEG/NEUT (% ) 86.8 H
EOSIN (% ) 0.0
BASO (% ) 0.8
LYMPH (% ) 6.2 L
MONO (% ) 6.2
MCV (μ3 ) 96
MCH (pg ) 30.0
MCHC (% ) 31.2
TP (g/dl ) 6.8
ALB (g/dl ) 4.1
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 15
LDH (U/l ) 214
ALP (U/l ) 308
G-GTP (U/l ) 25
CHE (U/l ) 253
LAP (U/l ) 50
T-BIL (mg/dl ) 0.85
D-BIL (mg/dl ) 0.16
NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 96 L
K (mmol/l) 3.6
UN (mg/dl ) 9.4
CRE (mg/dl ) 0.41
eGFR ( ) 109.7
CRP (mg/dl ) 2.24 H
BNP (pg/ml) 112.68 H

尿中抗原 肺炎球菌 (−)
レジオネラ (−)


<血液ガス>(経鼻1L)
PH ( ) 7.329 L
PCO2 (mmHg ) 63.5 H
PO2 (mmHg ) 63.5 L
HCO3 (mmol/l) 32.4 H
BE (mmol/l) 5.2 H
O2CT (ml/dl ) 15.7 L
O2SAT (% ) 91.2 L


では、血液検査、血ガスの結果を解釈しましょう。


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posted by 長尾大志 at 18:28 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月19日

症例検討会BRONCHO 5−2

いろいろありますので、たくさんの内服薬があります…。それにしても多い。ポリファーマシーや。(  Д ) ⊙ ⊙

【内服薬】
ナトリックス錠1r
ヘルベッサーRカプセル100r
カルデナリン錠2r
ビタファントF錠25
コニール錠4r
ポリフル錠500r
ミヤBM細粒 1g/包
カマグ 1.2 g
エリキュース錠2.5mg
デパス錠0.5r
ガスターD錠20r
ムコダイン錠500r
カリーユニ点眼液0.005% 5mL
プロスタンディン軟膏0.003% 30g/本
メプチンエアー10μg吸入
サルタノールインヘラー100μg 13.5mL
ニューロタン錠50r 0.5 錠


<入院時身体所見>
HR 95bpm 血圧 173/82mmHg 体温 36.3℃ 
SpO2 95%(NPPV O2 6L I:E 19:6 RR 25 T-mode)

眼瞼結膜蒼白なし
眼球結膜黄染なし
頸部血管雑音聴取せず
頸部リンパ節腫脹なし
頸静脈怒張なし

胸郭変形あり
肺音:右上肺野でwheezes(+) 右下肺野で軽度coarse crackles(+)
    左上肺野で肺音聴取出来ず
心音:不整、雑音なし
腹部:平坦・軟、圧痛なし
足背:両側足背動脈触知良好
下腿:両側浮腫なし、右脚外側に植皮術後


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posted by 長尾大志 at 12:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月18日

症例検討会BRONCHO 5−1

症例 70歳代女性


<主訴>
呼吸困難


<現病歴>
10歳頃、肺結核により胸郭形成術を施行されている。その後、陳旧性肺結核による呼吸不全で7,8年前に当院当科に入院され、HOT導入し退院された。その後、5,6年前に再入院された際NPPVを導入された。外来にて定期的にfollowされていたが、2ヶ月前に湯たんぽで右下腿をやけどし、下腿熱傷部に対して植皮術施行目的に1ヶ月前から10日前まで当院皮膚科に入院されていた。皮膚科退院後から呼吸苦などを自覚されて、本日当院当科受診。加療目的に即日入院となった。


<既往歴>
10歳ごろ 結核(左肺上葉切除,胸郭形成術)
40歳 HTN, DM
60歳 AF,上行結腸癌切除術
61歳 虫垂炎


<家族歴>
特記事項なし


<生活歴>
本人から聴取出来ておらず詳細不明


<アレルギー>
特記事項なし


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2016年01月15日

症例検討会BRONCHO4−8・振り返り

昨日の記事を読むと、本症例ではFeNOが半ば決め手となって、診断に至ったような印象ですが、実臨床の現場ではまだまだFeNOを測定出来ないことも多いと思います。その場合、どこまで診断を詰めることが出来たか、振り返ってみます。


指針を見るとFeNOが高ければ喘息として問題ないですが、そうでない場合の診断の決め手として、安定期の肺機能が正常(閉塞性障害なし)であればCOPDは否定的です。


本症例では安定期に閉塞性障害がありませんでしたので、喘息と診断して差し支えないと思いますが、そもそもの病歴で繰り返しのepisodeがありますから、「喘息の要素」はあり、少なくとも安定期の治療薬としてICS/LABAを使う、これは間違いないと思います。


それでプラスαの症状があればLAMAを加える、治療としてはそれでいいということになるわけです。


仮に肺機能で閉塞性障害があったりすると、COPDを除外は出来ません。喘息でも慢性喘息のような病態では、安定期でも咳や喘鳴、呼吸困難などが見られます。そのときに病名をどうするかは主観が入ってくると思いますが、ACOSといったり慢性喘息といったり、喘息とCOPDを併記したり、いろいろであるのが実際ではないでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月14日

症例検討会BRONCHO4−7

そういうわけで本症例を指針に当てはめてみると、


  • 昨年夏にも夜間に咳がでるエピソードがあり、近医で薬の吸入を行っていた⇒繰り返すepisode≒変動性の可能性あり。

  • 20本✕50年以上の喫煙者であり、COPDの可能性もあり。

  • 安定期の肺機能とFeNOを測定しているかどうか、測定あれば参考になる。



これだけでも喘息の要素がありそうなので、ICS/LABAは使うかな、重喫煙者なので、ICS/LABAで症状が残ればLAMAも加えるかな、という感じですね。


安定期の肺機能検査は半年前に行われていました。

VC 3.1L %VC 95%
FEV1.0 2.42L %FEV1.0 103.1%
FEV1.0%-G 78.66%  


ということで、肺機能検査所見上閉塞性障害なく、COPDに該当しません。


2ヶ月前にはFeNOも測定されていて、51と高値、結果、純粋な気管支喘息、および喘息発作と診断しました。



なお、急性期の治療に関しては、喘息であってもCOPDであっても

吸入β2刺激薬
全身ステロイド

は必須で、加えて喀痰の膿性化や発熱など、感染兆候があれば抗菌薬を使用する、このあたりまでは共通でしょう。


本症例も来院時はCOPD増悪ないし喘息発作、として取り扱い、β2吸入とステロイド全身投与、酸素投与で対処し喘鳴、呼吸困難は改善傾向を示しました。明らかな感染徴候はなく、抗菌薬は投与しませんでしたが問題なく経過しました。


その後、以前の肺機能やFeNOといった情報が判明し、気管支喘息としてICS/LABA導入、その後は良好なコントロールを得ました。


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posted by 長尾大志 at 18:39 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月13日

症例検討会BRONCHO4−6

逆に、鑑別が必要なポイントのみを鑑別する、こういう観点で考えて下さい。詳しくは日経メディカルさんに連載させて頂いている記事をご覧頂きたいのですが、ミソは


  • 純粋な気管支喘息

  • 純粋なCOPD

  • ACOS



を原理主義的にキッチリ分ける必要はない(し、分けることは難しい)、ということです。要するに喘息とCOPDは症状も似ていて使用する薬剤も似ている。分ける必要がないところは無理に鑑別する必要もないのでは、と考えます。


とはいえ、


  • 気管支喘息

  • COPD

  • ACOS



の大まかなラベル付けはそれほど困難ではありません。喘息とCOPDを分けるべき大切なところはどこか、といいますと、


★ 喘息にはICSを使う


に尽きます。喘息であればICSを使うのは必須ですが、COPDでは必ずしもそうではない。研究によっては、「肺炎を増やす」というデータもあるわけで、無用のICSは使わない方がいいかもしれません(現段階でまだ結論は出ていないと思います)。


ですから、「ICSを使うべき疾患」としての『気管支喘息』という病名をつける、これには重要な意味があります。それではCOPDはどうか。


喘息に対するICS、のように、COPDに必ず使うべき薬剤、というものはありません。LAMAもLABAも、ガイドラインでは同列です。純粋なCOPDにたいしてICSを使わない方がいい、というエビデンスも、上に書いたように、キッチリとは定まっていないと思います(肺炎を繰り返している場合には避ける方がいいかもしれませんが)。


LAMA/LABAの合剤メーカーさんは、本当はそういうデータを出して合剤を売りたかったんでしょうが、今のところうまくいっていないようですね…。


なので、COPDに関しては、ガッチリと鑑別する、喘息を除外する、そこまでは必要ないかもしれません。



というわけで、いくつかの私的指針を書いておきますと、


  • とにかく大事なのは喘息の要素があるかないか。喘息の要素はこれまでにもさんざん書いてきましたが、症状の変動性(可逆性・繰り返し)です。COPDの要素があろうがなかろうが、変動性があればICSを使うべきです。

  • ヘビースモーカーの高齢者が咳・痰・労作時呼吸困難を訴えたら、COPDの存在が想定されます。ただ、慢性喘息でも症状は似ています。とはいえ、COPDでも慢性喘息でも、LAMAが有効であろうという点では同じことですから、ヘビースモーカーでそういう症状の症例には、LAMAを使うのがよいでしょう。

  • 安定期の肺機能で閉塞性障害が見られても、COPD、または慢性喘息としてLAMAを使うのがいいでしょう。

  • 逆に、喫煙歴のない症例をCOPDと診断するのはなし。日本では喫煙歴がなければCOPDは否定的です。

  • 変動性がある、喘息もCOPDもどちらの要素もある、となりましたら、ACOSという病名を暫定的につけておいてもよいでしょう。



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posted by 長尾大志 at 19:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月12日

症例検討会BRONCHO4−5

  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)



の鑑別ですね。結構尋ねられることも多いですし、実際私たちも迷うことが少なくありません。


最近では、ACOS(Asthma COPD overlap syndrome:エーコス)という言葉が使われることが多くなってきました。そもそも、喘息とCOPDは同じ閉塞性障害で、似たような症状を呈しますし、両疾患を合併している症例が少なからずあることもよく知られているのです。で、そういう合併した病態をこれまでは「asthmatic COPD」や、「オーバーラップ症候群」などと呼んでいましたが、これに正式名称として「ACOS」という疾患名が付いたわけです。


そういうわけで、鑑別としては


  • 純粋な気管支喘息

  • 純粋なCOPD

  • ACOS



を区別することになります。とはいえ、なかなか「喘息の要素がない、純粋なCOPDである」「COPDの要素がない、純粋な気管支喘息である」と言い切るのは困難なのです。


特に、非専門の先生方はそこまで鑑別して何の意味があんねん、と思われるかもしれません。ごもっともですね。そこで、発想の転換です。


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posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月08日

症例検討会BRONCHO4−4

さて、それでは診断です。


急性の呼吸困難で、喘鳴もある。閉塞性換気障害がありそうです。そのような症状を来す疾患としては


  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)

  • 気管支拡張症

  • びまん性汎細気管支炎

  • 閉塞性細気管支炎

  • 肺結核・気管支結核

  • 肺癌による肺内の狭窄

  • うっ血性心不全



などを鑑別に挙げます。


身体所見や胸部X線写真で、wheezes以外に目立った異常所見がなかったところを見ると、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、肺結核・気管支結核、肺癌による肺内の狭窄、それにうっ血性心不全である可能性はずいぶん低くなります。これらは身体所見や胸部X線写真で多彩な所見が見られますからね。


そうすると残りは気管支喘息、COPD、閉塞性細気管支炎あたりで、これらは胸部X線写真でしっかりとした所見がないわけですが、閉塞性細気管支炎は前2者に比べるとずいぶん頻度が低く、しかもたいていは原因となるきっかけ(骨髄移植、肺移植、膠原病、ガス吸入など)があるので、この場合は大変考えにくい。


というわけで、いつもの顔ぶれ、


  • 気管支喘息

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)



が残りました。この鑑別が今回のキモです。


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posted by 長尾大志 at 16:56 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月07日

症例検討会BRONCHO4−3

<入院時血液検査所見>
HT (% ) 39.5
HB (g/dl ) 13.2
RBC (1000000 ) 4.38
WBC (1000 ) 9.9 H
PLTS (1000 ) 206
MCV (μ3 ) 90
MCH (pg ) 30.1
MCHC (% ) 33.4
FIBG (mg/dl ) 400
PT-C (秒 ) 11.2
PT-P (秒 ) 11.3
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 24.2 L
PT-ACT (% ) 99
Dダイマ- (μg/ml ) 0.5
PT-INR ( ) 1.01
TP (g/dl ) 7.8
ALB (g/dl ) 4.3
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 210
ALP (U/l ) 240
G-GTP (U/l ) 28
CHE (U/l ) 313
LAP (U/l ) 49
T-BIL (mg/dl ) 0.53
NA (mmol/l) 138
CL (mmol/l) 104
K (mmol/l) 4.4
UN (mg/dl ) 11.2
CRE (mg/dl ) 0.75
eGFR ( ) 77.6
CA (mg/dl ) 8.8
P (mg/dl ) 3.6
T-CHO (mg/dl ) 190
TG (mg/dl ) 63
AMY (U/l ) 64
CPK (U/l ) 111
CRP (mg/dl ) 2.94 H
ヨウケツ ( ) (-)
ニユウビ ( ) (-)
BNP ( ) 40.38 H
トロポニンI (ng/ml ) 0.03
MYO (ng/ml ) 76.7 H
CK−MB (ng/ml ) 1.10
GLU (mg/dl ) 127 H


<血ガス>
救急 動脈ガス
pH 7.365 pO2 186 pCO2 42.4 HCO3 23.7 Lac 6


<心電図>
HR 113 bpm sinus rhythm 整


<胸部ポータブルXP>

救急受診時XP.jpg


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posted by 長尾大志 at 16:34 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月06日

症例検討会BRONCHO4−2

病歴でもっと知りたい情報…やはり同様のepisodeが繰り返していたかどうかは知りたいですね。


⇒昨年夏にも夜間に咳がでるエピソードがあり、近医で薬の吸入を行っていたとのことです。


<入院時身体所見>

BP 210/111 HR117 RR 36 SpO2 98%(マスク 9L) BT 38.2℃
意識清明、全身発汗著明

眼球結膜:黄染なし
眼瞼結膜:貧血なし
咽頭:扁桃の発赤認めず
頸部:甲状腺腫大なし、リンパ節触知せず、頸静脈怒張(-)
肺:全域でwheezes(+)
心:整、雑音なし S1→S2→S3(-)S4(-)
腹部:平坦、軟、圧痛なし
四肢:浮腫なし。ばち指なし


頻呼吸でwheezesあり、というところが目立つ所見です。


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posted by 長尾大志 at 17:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2016年01月05日

症例検討会BRONCHO4−1

症例 70歳代男性


<主訴>
咳嗽 呼吸困難


<現病歴>
3日前の昼頃より38℃台の発熱があり、前日より咽頭痛、咳嗽が出現、倦怠感も出てきていたため横になっていた。前日夕方より呼吸困難感が徐々に増悪し、本日朝5時頃から呼吸困難感増悪のため当院救急受診となった。


<既往歴>
高血圧、尿路結石。
副鼻腔炎や鼻茸はなし
NSAIDsでの喘息誘発なし


<生活歴>
喫煙:20本/day 20歳〜 current
飲酒:ビール350ml/day
職務:デスクワーク
アスベスト/粉塵暴露歴:なし


<アレルギー>
薬剤、食物アレルギーなし


もっと知りたい情報はありますか?


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posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月31日

症例検討会BRONCHO3−3

スライド5.JPG


胸部X線写真:左肺完全虚脱


左自然気胸でした。割と典型的な症例でした。


発症が1週間前出会ったことを裏付ける要素として、そこそこ胸水がありますね。


それでは、皆さまよいお年を。

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posted by 長尾大志 at 14:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月30日

症例検討会BRONCHO3−2

もっと尋ねたい情報は…そうですね。痛みの性状、場所や増悪因子などでしょう。


痛みの場所はどちらかというと左胸部全体的で、吸気時に増悪したようです。


そうすると診察をしたいですね。


SpO2 93%(室内気)

打診:左に鼓音
聴診:左肺呼吸音聴取不可


…てことは、もうおわかりでしょう。

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posted by 長尾大志 at 22:22 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月29日

症例検討会BRONCHO3−1

世間は年末年始ですね。
少し軽めの症例をご紹介。


40歳代女性


1週間前に左胸痛、呼吸困難出現。近医を同日受診。逆流性食道炎として投薬を受けた。その際、レントゲンなどは撮影されていない。


その後、胸痛は治まっているが呼吸困難は持続していた。本日外斜視手術目的で当院眼科紹介受診した際に呼吸困難を訴え、当科コンサルトとなる。


既往歴:帝王切開歴(3回)
閉経:2年前
喫煙:never smoker
アレルギー歴:刺身などの生もので皮疹が出ることがある


もっと尋ねたい情報はあるでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 19:37 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月28日

症例検討会BRONCHO2−5・所見の解釈

診察したところ、呼吸音には特に問題ありませんでした。


胸部X線写真


スライド3.JPG


胸部X線写真にも異常所見なし。



副鼻腔X線写真


スライド4.JPG


副鼻腔X線写真では、両側上顎洞に鏡面形成を認めました。



症状、所見から、副鼻腔炎〜後鼻漏の要素はあるようですが、既にGRNXや対症療法としての投薬はなされていて、さらに介入する余地はあまりなさそうです。また、副鼻腔炎だけであるならば、治療によってもう少し症状は軽減していても良さそうです。


そこで何らかの病態が合併していることが想定されます。病歴から、基礎に過敏性、変動性のある症例であることはわかり、喘息、少なくとも気道過敏性の存在はあるようです。そして家族間での伝染ぶりを見ると、マイコプラズマをはじめとする感染性咳嗽の可能性も高いと考えられます。


喘息か感染性咳嗽か、これはしばしば合併するものでもあり、基本的に鑑別困難なものです。感染性咳嗽の後に喘息を発症する、あるいは悪化する、ということも少なくありません。少なくとも喘息が存在するかどうか判断する方法は「経過を見る」ことでしょう。


つまり、今回限りで症状が再燃しないのであれば感染性咳嗽、今後の経過で同様の症状が繰り返すようであれば喘息ありと診断できる、ということです。仮に「今回感染性咳嗽であって、今後喘息を発症する」ということであったにしろ、今後の経過で喘息の存在が確認出来ればよいのです。


で、ここで大事なことは、「是が非でも今、診断をつける」ということではなく、「今、どうするか」です。今回は喘息か感染性咳嗽か判断できないにしても、喘息の可能性もあり、かつ今後発症する可能性もある、そして現に患者さんは咳で困っておられるわけですから、喘息であれば抜群に効果のあるICS/LABAを処方しました。


これが著効すれば喘息と判断できますし、仮に効果がない、ということであっても、感染性咳嗽であれば必ず「日にち薬」でよくなります。そのように説明して患者さん自身に診断をつけて頂く。効いたのであればICSを続ける必要がありますが、ICS/LABAで「効いた」「いい薬だ」という感触をもたれているので、比較的続けて頂きやすいと思います。


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posted by 長尾大志 at 16:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月25日

症例検討会BRONCHO2−4・病歴からの推論

これまでに処方された薬:
プランルカスト、ムコダイン、ムコソルバン、メジコン
GRNX、シングレア、ザイザル、メジコン、ムコダイン
HOK


ロイコトリエン拮抗薬、HOKの効果はすぐには出ない。
これまでの処方が効かない=喘息でない、とはいえない。

GRNXは何を目的に使われているのか。(おそらく『何となく』)
去痰薬では本質的治療にならない。

⇒治療効果からの診断、判断は困難。



副鼻腔症状なし、頬部圧痛なし。⇒パンパンに溜まっている副鼻腔炎ではない。

幼少時蓄膿はなかった。⇒現在の副鼻腔炎を否定は出来ない。


春には明らかに花粉症がある。横になると咳が強くなる。就寝中にも咳が出て目覚める。ここ最近痰が絡んで咳が出る感じもある。⇒後鼻漏症状はありそう。


就寝中にも咳が出て目覚める。ここ最近痰が絡んで咳が出る感じもある。


未熟児であったが、幼少時の喘息などはない。


数年前に咳で困ったことはあったが、その時は1ヶ月くらい続いたため、病院受診したが原因はわからず、結局自然軽快。その後、秋ごろに咳を繰り返すことは毎年のようにあったが、ここまで強いことはなかったと。春にも咳が多いが、春は明らかに花粉症であり、そうかなと思っていた。⇒喘息の存在を思わせる「繰り返し」「変動性」。


父も自身と同じ時期に咳がでて、昨日ひどくなって救急車で他院を受診し、肺炎との診断だった。⇒マイコプラズマ?感染性咳嗽の要素。



このように考えると、後鼻漏、感染性咳嗽、喘息の要素はどれもあるように思われます。実際、これらの合併はしばしば見かけますね…。


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月24日

症例検討会BRONCHO2−3

さて冬休みも無事に終わりましたが、その前に何をやっていたか、覚えておられるでしょうか。
1ヶ月程度続く咳の症例を提示しました。


私が追加して尋ねた情報は以下の通りです。


初回耳鼻科受診時はプランルカスト、ムコダイン、ムコソルバン、メジコンを処方された。


3日前にはGRNX、シングレア、ザイザル、メジコン、ムコダインを1週間分処方されている。


昨日はHOK処方された。昨夜使用したが、効果は実感しない。


数年前に咳で困ったことはあったが、その時は1ヶ月くらい続いたため、病院受診したが原因はわからず、結局自然軽快。その後、秋ごろに咳を繰り返すことは毎年のようにあったが、ここまで強いことはなかったと。春にも咳が多いが、春は明らかに花粉症であり、そうかなと思っていた。


副鼻腔症状なし、頬部圧痛なし。


横になると咳が強くなる。就寝中にも咳が出て目覚める。ここ最近痰が絡んで咳が出る感じもある。


幼少時蓄膿はなかった。未熟児であったが、幼少時の喘息などはない。



さて、病歴から、どのような疾患を思い浮かべられますか?


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posted by 長尾大志 at 18:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月18日

症例検討会BRONCHO2−2

(家族構成、家族、住居について)
父母と同居。隣家に姉の一家が住んでいる。姉も1ヶ月前から同じような咳をしており、姉の方が症状が出るのは早く、現在はだいぶ軽快しているとのこと。姉は子供と同居しており、子供は姉に遅れて感冒様症状があったが、咳症状が続くということはなかった。


父も自身と同じ時期に咳がでて、昨日ひどくなって救急車で他院を受診し、肺炎との診断だった。父は5年前に肺癌罹患しており、当院呼吸器外科通院中である。


住居は築15年の一軒家。姉の家も同じような一軒家。
ペット飼育なし。姉家族もなし。


(職歴)
事務職。今週から症状がひどくて出勤できていない。
職場での粉塵暴露なし。


(既往歴)
特記事項なし。


(家族歴)
父:肺癌。
母:心房細動(当院循環器内科受診)。


(アレルギー)
花粉症があるがそのほかにアレルギーはないという。


その他にどのような病歴を追加されたいでしょうか。


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posted by 長尾大志 at 17:59 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月17日

症例検討会BRONCHO2−1

40歳代女性

学生さんに病歴聴取をしてもらいました。


(主訴)
咳が止まらない。夜に症状悪化し寝られてない。

(現病歴)
先月中旬から咳が出るようになった。はじめは咳だけで、花粉症を心配し耳鼻咽喉科を受診した。口の中も赤くなってないということで、薬を処方されて一週間ほど飲んだが効かなかった。今月になってから咳がひどくなってきた。5日前に37℃台の熱が出たので、別の病院を受診し処方を受けた。熱は解熱剤を飲まずにその後ひいた。痰が出るようになったのは1週間前からで、黄色いどろっとした痰がでる。熱が出た頃から鼻水も大量に出る。咳のしすぎで脇腹が痛い。胸痛はない。


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posted by 長尾大志 at 16:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月16日

症例検討会BRONCHO4

胸部X線写真では左中肺野にクリッとした小結節影を認めますが、これは以前の胸部単純写真でも見られていて、病的意義はないものと考えられました。


副鼻腔X線写真では両側の上顎洞濃度が上がっていて、液貯留や腫瘍などが考えられますが、よくみると右には空気と鏡面像が見えていて、液貯留≒副鼻腔炎であろうかと推測されます。



以上から、副鼻腔炎の存在はあると考えられました。


治療経過は数日であり、副鼻腔炎症状には乏しく、発熱も著明ではなかったので、まずは抗菌薬投与不要と判断し、去痰薬などの対症療法を開始しました。


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posted by 長尾大志 at 19:55 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月15日

症例検討会BRONCHO3

よくよく尋ねてみると、1週間ほど前に鼻汁と咽頭痛から症状が始まっています。いずれも現在は軽度でありますが、鼻汁は膿性で、途中から出てきた咳と発熱が現在は主症状だとのことです。


SpO2 96% 呼吸音は清。頬部を圧すと若干違和感があるとのこと。


ということで、胸部X線写真と副鼻腔X線写真を撮影しました。


スライド1.JPG


スライド2.JPG

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posted by 長尾大志 at 20:05 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月14日

症例検討会BRONCHO2

やはり既往歴は尋ねなくてはなりません。


#AP(LMT50%)
#2型糖尿病(ノボラピッド12-4-8、ランタス12単位)
#高脂血症
#内頚動脈狭窄症
#左室高電位


そこそこのメタボ感ですね。ただ、今回のepisodeとは関係なさそうな印象です。


花粉症、および蓄膿は既往なし。
喫煙 昨年3月で禁煙 それまでは10本/日。



こちらはあまり進みませんが、裏ではかなり頑張っています。今日は査読1本、校正1本済ませ、それに『やさしイイ血ガス・呼吸管理』の仕上げもだいぶ進めました。しかしこちらではあまり進んでいる感がないのがつらいですね。


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posted by 長尾大志 at 18:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2015年12月10日

症例検討会BRONCHO1

さて、ここら辺で一旦区切りをつけまして、しばらくやっていなかった症例検討シリーズを少し?はじめたいと思います。


以前から要望は頂いていたのですが、なかなか取りかかることが出来ず…このたび出版となった『呼吸器内科 ただいま診断中!』、ケアネットさんの連載『Dr.長尾の症候から学ぶ呼吸器教室』などの執筆を経まして、やはり症例検討方式は有用だと考え、少し?取り組んでみます次第です。


いつも院内でやっている症例検討会BRONCHO(Biwako Respiratory Outstanding Next Conference of Hospital and Outpatient care)と同じ名前で、やっていこうと思っています。



症例 70歳代男性

定期受診中の循環器内科外来受診時に発熱38℃以上であり、ふらつき、低血圧を認めた。血液検査で貧血の進行と腎機能悪化を認めた。
受診時咳と黄色痰が続くとの訴えもあり、PLを処方されたが咳と痰、発熱に改善は無かった。

もっと尋ねたいことは何でしょうか。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO