2017年10月20日

症例検討会BRONCHO21−6

胸水の鑑別練習に、胸水を呈した他の症例をいくつか、ついでに?見てみましょう。


症例 60歳代男性


<主訴>
右季肋部痛


<現病歴>
1ヶ月前から、右季肋部痛があり、当院消化器外科受診し、胸部CT・エコーによる精査で、右胸水を指摘された。同日当科紹介となり、胸腔穿刺で500ml排液し、右季肋部の疼痛の消失を認めたが、一週間後胸部レントゲンで再度胸水貯留を認めたために、当科入院となった。

〈内服薬〉
ビタミンB12
鉄剤


<既往歴>
10年前 早期胃癌で部分切除術後


〈生活歴〉
粉塵暴露歴)なし
喫煙)1本×2年
飲酒)なし
職業)事務職


<アレルギー>
特記事項無し


<入院時身体所見>
身長169cm 体重52kg BMI18.21
HR 98bpm 整 BP 109/77mmHg BT 37.8℃ SpO2:98%

頭頸部リンパ節腫脹無し
眼瞼結膜蒼白無し
眼球結膜黄染無し
甲状腺腫脹なし
肺音:右胸膜摩擦音聴取 右呼吸音減弱 打診右で濁音
心音:整 雑音無し
腹部:平坦 軟 圧痛・自発痛なし 腸蠕動音亢進・減弱なし
四肢:明らかな浮腫なし 足背動脈触知良好


<入院時検査所見>
〈血液検査〉
HT (% ) 37.8 L
HB (g/dl ) 12.3 L
RBC (1000000 ) 4.05 L
WBC (1000 ) 6.0
PLTS (1000 ) 602 H
SEG/NEUT (% ) 69.5
EOSIN (% ) 0.2
BASO (% ) 0.7
LYMPH (% ) 21.7
MONO (% ) 7.9
MCV (μ3 ) 93
MCH (pg ) 30.4
MCHC (% ) 32.5
PT-C (秒 ) 11.9
PT-P (秒 ) 13.0
APTTC (秒 ) 29.0
APTTP (秒 ) 27.5
PT-ACT (% ) 85
PT-INR ( ) 1.09
TP抗体測 (C.O.I. ) 0.0
TP抗体判定 ( ) (-)
HBS-AG測 (IU/mL ) 0.00
HBS-AG判定 ( ) (-)
HBS-AB測 (mIU/ml ) 0.0
HBS-AB判定 ( ) (-)
HCV-AB測 (C.O.I. ) 0.0
HCV-AB判定 ( ) (-)
TP (g/dl ) 7.3
ALB (g/dl ) 2.9 L
AST (U/l ) 28
ALT (U/l ) 19
LDH (U/l ) 192
ALP (U/l ) 239
G-GTP (U/l ) 16
CHE (U/l ) 204 L
T-BIL (mg/dl ) 0.49
D-BIL (mg/dl ) 0.09
NA (mmol/l ) 133 L
CL (mmol/l ) 99
K (mmol/l ) 4.9
UN (mg/dl ) 15.5
CRE (mg/dl ) 0.72
eGFR ( ) 83.9
CA (mg/dl ) 8.6 L
AMY (U/l ) 61
CPK (U/l ) 134
CRP (mg/dl ) 3.29 H
ヨウケツ ( ) (-)
ニユウビ ( ) (-)
GLU (mg/dl ) 112 H
A1C(NGSP (% ) 6.7 H
CEA (ng/ml ) 3.6
CA19-9 (U/ml ) 13
SCC (ng/ml ) 0.6
NSE (ng/ml ) 12.4
SLX (U/ml ) 44 H
Pro GRP (pg/ml ) 15.4
シフラ (ng/ml ) 1.0 以下
T-SPOT  陰性
抗MAC抗体  陰性


〈胸水検査所見〉
右胸水500ml 漿液性 
LDH (U/l ) 424 H
AMY (U/l ) 60
GLU (mg/dl ) 151 H
CEA (ng/ml ) 3.4
ADA (IU/l/37℃) 135.4
Pヒアルロンサン (ng/ml ) 49400
TP (g/dl ) 5.8
ヒジユウ ( ) 1.024
リバルタ ( ) (+)
センシエキGlu (mg/dl ) 141
サイボウスウ (/μL ) 4352
サイボウシュ ( ) **
Stab ( ) 0.0
Seg ( ) 1.0
Lymphoc ( ) 97.0
Mono ( ) 2.0
Eosino ( ) 0.0
Baso ( ) 0.0
マクロファーシ ( ) 0.0
チョウヒサイホ ( ) 0.0
フメイサイボ ( ) 0.0
TOTAL ( ) 100.0


〈胸部レントゲン〉

スライド87.JPG



〈胸部CT〉

スライド88.JPG




Q:胸水の評価は?



Q:鑑別診断は?次のステップは?


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posted by 長尾大志 at 16:33 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月19日

症例検討会BRONCHO21−5

細胞分画である程度アタリが付いたら、可能性の高い細菌感染、抗酸菌感染、腫瘍性疾患を診断するための材料である培養と細胞診の結果を待ちます。もちろん細菌感染が疑われる症状(発熱、胸膜痛、咳、膿性痰など)があり、好中球優位の胸水であれば、抗菌薬治療を開始しましょう。


それ以外に胸水で測定される項目としては、以下のようなものがありますが、感度や特異度の点から、盲信すべきではなく、あくまで参考所見と考えておきましょう。


  • ADA:40〜50IU/L以上で結核性胸膜炎を示唆しますが、膿胸やリウマチなど他疾患でも上昇します。

  • 腫瘍マーカー:CEA(肺癌)、CA-125(卵巣癌)の上昇が見られることがありますが、カットオフ値などのエビデンスはハッキリしません。

  • ヒアルロン酸:悪性胸膜中皮腫で100μg/mL以上とされることが多いですが、もっと低値のことも少なくありません。100μg/mL を超えていれば強く疑う、という感じです。



乳び胸の診断に中性脂肪やコレステロール、膵性胸水の診断にアミラーゼを測定することもありますが、これらは比較的まれであり、病歴や他の症状から疑われるときに測定、ということでいいと思います。


細胞診や培養検査でハッキリした診断に至らない場合には、胸腔鏡下で観察や生検を行います。昨今では内科でも積極的に局所麻酔下で胸腔鏡検査を行って(ウチでもやって)います。


本症例は、胸水検査の結果、リンパ球優位の細胞分画、胸水細胞診でclassX(小細胞癌)、その他画像所見から、進展型肺小細胞癌(cT1bN0M1a stageW)と診断されました。


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posted by 長尾大志 at 15:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月18日

症例検討会BRONCHO21−4

胸水があるぞ、となったら、まずは両側性か片側性かを確認します。両側だったら両側にあっても、ずいぶん量が違うものは片側性の要素あり、と一応考えます。


両側同じような量の水があるときは、明らかに漏出性胸水の原因となる病態があるかどうかを検討します。例えば、


  • 心不全

  • 低アルブミン血症

  • 透析中の溢水



など。基礎にこういう病態があれば、例えば心不全なら、利尿薬など、基礎病態への治療を行います。それで反応があれば、まずはそれによる胸水、と考えてよいでしょう。これが、そもそも抜かなくてもある程度病態がわかる、ということです。


もちろん片側性の胸水を来す病態にこういう病態が合併している、ということもありえます。ですから、治療をしても胸水コントロールが芳しくないときなど、積極的にサンプルを採取する姿勢は大事だと思います。



で、穿刺で得られた胸水で、調べる項目は何か。要するに、胸水の原因を鑑別するために使われる項目は何か、ということです。漏出性胸水と滲出性胸水を大まかに分別し、疾患特異的な情報を得るために使われる項目としては…


  • 蛋白

  • LDH

  • pH・糖

  • 細胞分画

  • 培養

  • 細胞診



があります。有名なLightの基準は、蛋白とLDHが濃いと滲出性胸水と考える、というもので、この2項目は胸水を評価する上で必須の項目です。


蛋白とLDH 以外は、Lightの基準で滲出性となったときに、それ以上の鑑別に必要となる項目です。


pHが<7.2に低下、かつ糖<60mg/dLとなっていると膿胸を疑い、即刻ドレナージの対象となります。つまりこれらは治療方針を決める根拠となります。


細胞分画は滲出性の原因疾患を考える上で大切な項目です。おおざっぱに言って、好中球中心であれば細菌感染を、リンパ球主体であれば抗酸菌感染、または腫瘍性疾患を疑います。好酸球が多いときには好酸球増多疾患、または気胸や血胸の影響が考えられます。


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posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月17日

症例検討会BRONCHO21−3

古くからの格言?に「水を見たら抜くべし」というものがあります。胸水はアプローチも比較的容易ですから、特に若いうちは果敢に?穿刺を行い、経験を積むべきです。やはり検体に勝る証拠はありません。


…てことで、


Q:抜いた胸水で調べる項目と、その意味を復習しましょう。


Q:しかし、そもそも抜かなくてもある程度病態がわかることもあります。どんなときでしょうか?


Q:漏出性胸水と滲出性胸水との鑑別、覚えていますか?


Q:漏出性胸水の鑑別診断はどう進めますか?


Q:滲出性胸水の鑑別診断はどう進めますか?


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posted by 長尾大志 at 18:12 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月16日

症例検討会BRONCHO21−2

病歴からは2週間程度の経過の労作時呼吸困難と動悸ということで、ちょっと鑑別診断が絞れる感じではありませんが、胸腹部の診察で一気に絞れて参りますね。これが身体診察の面白さ。


SpO2が94%(room air) 。これは正常ではありませんね。何らかの機序で低酸素になっていると言うことです。


で、声音振盪が右肺で低下し、打診で右下肺は濁音。呼吸音は右下肺で減弱、ということで、右下になにやら水濃度以上のものが存在していそうだ、ということがわかります。右側腹部(胸部の下方)には自発痛があるものの圧痛・叩打痛がない、ということで、胸壁の病変よりも内部の病変であると推測されます。



<入院時検査所見>
【血液検査】
HT (% ) 35.6 L
HB (g/dl ) 11.9 L
RBC (1000000 ) 3.55 L
WBC (1000 ) 5.6
PLTS (1000 ) 220
SEG/NEUT (% ) 63.3
EOSIN (% ) 1.8
BASO (% ) 0.4
LYMPH (% ) 27.8
MONO (% ) 6.7
TP (g/dl ) 6.6
ALB (g/dl ) 4.0
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 14
LDH (U/l ) 254 H
ALP (U/l ) 156
G-GTP (U/l ) 20
CHE (U/l ) 243
T-BIL (mg/dl ) 0.47
D-BIL (mg/dl ) 0.06
A/G比 ( ) 1.54
NA (mmol/l) 140
CL (mmol/l) 105
K (mmol/l) 4.3
UN (mg/dl ) 22.0
CRE (mg/dl ) 0.80
eGFR ( ) 72.9
UA (mg/dl ) 4.4
CA (mg/dl ) 9.1
P (mg/dl ) 3.5
CRP (mg/dl ) 0.27



胸部X線写真、胸部CTでは、右胸水を認めました。


スライド85.JPG


スライド86.JPG



Q:次に何をしますか?


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posted by 長尾大志 at 16:48 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月15日

幼稚園の運動会・ファイナル(予定…)

今日は、長きにわたってお世話になりました、地元幼稚園の、長尾家として最後に参加する運動会でした。


P1030516.JPG


数えてみると長男の時から、計11回目となります。長男は、入園当初ふざけてばかりでまともにダンスをしなかったのが、年長になって組み体操をしっかりできるようになりました。そんな姿を見て、目頭が熱くなったりしたものですが、毎回皆同じように成長していく姿を見ていると「こんなもんなんだ」「まあ、成長するよね」という感じで感動も薄れていき…教育者として馴れ合いのような、その心持ち、どうなんだ、と独りツッコミ。


昨日も書きましたが、「教育」「しつけ」といったものが「効果がある」とか「よい」というのは、いったいいつ、どうやって判断されるべきものか、未だによくわかりません。子供たちを見ていると、親の関わり方は子どもたちの個性、成長に、あまり関係がないようにも見えるし…親は無くとも子は育つ、といいますか。


とすると教育者を評価する、というのもなかなか骨の折れることです。少なくとも学生による「授業評価」は、授業の本質とは関係ないところでついている模様。以前にも書きましたが、美人の先生ほど授業評価が高かったという調査結果もあるのです。「アウトカム基盤型教育」はアウトカムの設定が何よりも大切ですが、現行のアウトカムは甚だ心許ない。
"Beauty in the Classroom: Instructors' Pulchritude and Putative Pedagogical Productivity" Hamermesh, Daniel S.; Parker, Amy; Economics of Education Review, August 2005, 24(4), pp. 369-76


逆に、教員が学生を評価するとき、上級医が研修医を評価するとき、「主観」が入らずに評価することはできるのでしょうか。それこそ男性の教員が美人で愛想のいい学生に甘い点数をつけたりすることは避けられるのでしょうかね。まあ、上の研究では、イケメン男子の教員の方が「美」のインパクトが大きかったらしいですが…以前とある実技試験で、入室から10秒の印象点と、概略評価と、各々の評価合計の相関を見た研究をやってみたのですが、ご多分に漏れず…という感じでした。


雑駁な話ですが、今回が最後(であろう)運動会をみていて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書いてしまいました。時間も時間ですのでこの辺で。

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posted by 長尾大志 at 23:18 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月13日

症例検討会BRONCHO21−1

さてこれまでは少々込み入った疾患たちを見て頂きましたが、このあたりで、いくつか基本的・典型的な症例検討、を見て頂きましょう。基本的な診断〜治療の流れを追体験して頂くためです。



症例 70歳代 男性


<主訴>
右側腹部痛 軽度食思不振


<現病歴>
2週間前より労作時呼吸困難、動悸が出現し近医受診。その際胸部X線写真にて異常影を認め、精査加療目的に当科紹介受診となった。


【入院時内服薬】
レスリン錠25r 1 錠
マグミット錠330r 3 錠


<既往歴>
特記事項なし


【家族歴】
兄:胃癌


【生活歴】
喫煙:20-71歳 30本/day×51年(2014年6月から禁煙)
飲酒:なし
職歴:建築業
粉塵暴露:なし


<アレルギー>
特記事項なし


う〜ん、これだけでは何ともかんとも。診察まで進みましょう。


<入院時身体所見>
PS:1 ADL:自立

体温36.5℃ 血圧114/63mmHg 脈拍72bpm 呼吸数12回/min
SpO2:94%(room air) 

眼瞼結膜 貧血なし
眼球結膜黄染なし
頚部リンパ節触知せず
腋窩リンパ節触知せず
心音 整 雑音聴取せず
肺音 右下肺 呼吸音減弱 

打診 右下肺 濁音 
声音振盪 右肺減弱
右側腹部 圧痛・叩打痛なし 自発痛あり
腹部 平坦 軟 腸蠕動音→
四肢 下腿浮腫、冷感なし



Q:この時点での鑑別診断は?次に行うべき検査は?


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posted by 長尾大志 at 18:20 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月12日

症例検討会BRONCHO20−13

もったいぶらずに診断です。静脈血、気管支洗浄液より検出されたのはNocardia farcinicaでした。


ちなみにコロニーは痰の色と同じ褐色調でした。コロニーの色調は培地の色にも左右され、必ずしも褐色となるものではありませんが、それでも気管支内の痰とコロニーの色が同じ、というのは示唆的です。ともかく静脈血、気管支洗浄液の両方から菌が検出されたことから、ノカルジア(菌血)症と診断し、治療薬を変更しました。


なお、その他血清学的には、C7HRP陰性、クリプトコッカス抗原(−)、カンジダ抗原(−)、QFT(−)でした。


播種性ノカルジア症では脳病変の合併が多く、治療前に調べておきたいところです。こちらも頭部CTを撮影しましたが脳に異常所見は認められませんでした。


以上、病理、培養の結果を確認後、ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)+IPM/CSを開始しました。治療開始後、症状、画像、検査所見いずれも改善し、順調に経過しています。



本症例ではMCDの診断と、治療後に起こった合併症について学ぶことができましたね。


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posted by 長尾大志 at 17:06 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月11日

症例検討会BRONCHO20−12

胸部CTの所見は、1スライスしかありませんが、右肺S10に、以前にはなかったコンソリデーションが出現していて、その前方にあった陰影や左肺の陰影は消失しています。他のスライスでは、右S6浸潤影の増強、右S9に2cm程の結節影出現を認めています。


本症例では、細菌性肺炎と考えますと、NHCAPということになります。前回入院時も同じような画像所見・臨床像での(肺炎と考えられる)入院がありましたが、その時はCTRX+CLDM→LVFXにより軽快しました。


今回、リンパ増殖性疾患+ステロイド中等量使用中で、免疫低下状態にあり、かつ、数週間前に結構広域の抗菌薬を使用していますから、気管支鏡検査に踏み切ります。施行後、真菌感染も念頭に置いてMEPM+MCFG(ミカファンギン)を開始しました。


気管支鏡検査の結果:

気道内には喀痰が多い。吸引にて、褐色の粘調な痰が引けました(下図)。右B9中心に下葉で採痰し、右B6にて生検を施行しました。


スライド83.JPG


スライド84.JPG

塗抹鏡検像



Q:診断は?


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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月10日

症例検討会BRONCHO20−11

できれば感染病原体を検出したいところです。可能であれば気管支鏡による気管支洗浄、最低でも喀痰検査と血液培養はほしいですね。もちろん、血清学的検査や尿中抗原で出来るものはやっておきたい。


<入院時身体所見>
意識レベル:清明 SpO2 98% RR=12回
結膜:眼瞼結膜 黄染なし 眼球結膜 蒼白なし
心音:整、雑音なし
肺音:清、副雑音なし
腹部:平坦、軟、圧痛なし、腸蠕動音亢進なし
四肢:浮腫なし、紫斑なし
リンパ節腫脹なし


<入院時検査所見>
TPHA- HCV-Ab- HIV-
【血液】
HT (% ) 32.3 L
HB (g/dl ) 10.3 L
RBC (1000000 ) 3.77 L
WBC (1000 ) 26.7 H
PLTS (1000 ) 312
SEG/NEUT (% ) 95.7 H
LYMPH (% ) 2.0 L
MONO (% ) 2.3
MCV (μ3 ) 86
MCH (pg ) 27.3
MCHC (% ) 31.9
TP (g/dl ) 6.7
ALB (g/dl ) 2.5 L
AST (U/l ) 14
ALT (U/l ) 30
LDH (U/l ) 204
ALP (U/l ) 371 H
G-GTP (U/l ) 122 H
CHE (U/l ) 177 L
T-BIL (mg/dl ) 0.48
A/G比 ( ) 0.60 L
NA (mmol/l ) 138
CL (mmol/l ) 99
K (mmol/l ) 5.0 H
UN (mg/dl ) 62.0 H
CRE (mg/dl ) 8.83 H
eGFR ( ) 5.3
UA (mg/dl ) 5.5
CA (mg/dl ) 7.9 L
P (mg/dl ) 6.5 H
T-CHO (mg/dl ) 209
AMY (U/l ) 203 H
CPK (U/l ) 13 L
CRP (mg/dl ) 13.87 HH

β-DG 18.4H
PCT 5.83H


【胸部CT】


スライド82.JPG



Q:胸部CTの所見は?



治療は、感染を積極的に考えるということであれば、抗菌薬を使っておかざるを得ないでしょう。



Q:抗菌薬は何を使いますか?


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posted by 長尾大志 at 17:43 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月08日

ご報告の多い週末:市立敦賀病院さんで「症例から学ぶ 呼吸器四方山話」

ご報告いろいろです。


一昨日は、市立敦賀病院さんにおじゃま致しまして、「症例から学ぶ 呼吸器四方山話」ということでお話をさせていただきました。


DSC_0226.JPG


S先生の撮ってくださる写真は、いつもイイ!ありがとうございます。これまでプロフィール欄によい写真がなかったのですが、使わせて頂きます!


福井県には、4月に福井県内科医会学術講演会にてお話ししたこともあり、半年ぶりということになりますが、敦賀は学生の時以来ですからもう20年以上ぶりとなります。駅前は記憶とは異なり、すっかりきれいに整備されておりました。


DSC_0230.JPG


たくさんの方に聴講していただきました。何人も拙著の読者の方がおられて、熱心に聴き入っていただきました。本当にありがとうございました。


関西の学生さんによる勉強会!で知り合ったS先生のお誘いで、このたび敦賀に参りましたが、このS先生を知る人は皆「スーパーな人だ」と口をそろえておっしゃいます。今回、そんな方にわざわざ送迎もお願いすることとなってしまい、結果的に大変いろいろなお話を伺うことができまして、こちらが大変刺激を受け取った次第です。


なかなか上手く物事が運ばない現状に、甘えてしまい、「できない理由」ばかり探している自分の姿がよ〜くわかりました。今居る環境に文句があるならば、環境を変えてガンガンやるか、今居る環境でできることを、もがいてやっていくか、文句を言わずそのままいるかしかない。文句ばかり言って何もしないのは最低ですね。


DSC_0237.JPG


ということで、刺激的な敦賀の夜、帰りの道中も刺激的でした。人生について考える出来事もありました。とにかく語ることは大切ですね。S先生、何から何まで本当にありがとうございました。K先生他の先生方、Wさんも、いろいろお話しいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます!

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posted by 長尾大志 at 22:41 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月06日

症例検討会BRONCHO20−10

胸部X線写真にて、右の上肺野、下肺野に浸潤影が増加してきました。そこで、


  • 感染症(ステロイドによる易感染性による)

  • 原病の悪化



が想定されました。ただ、PSL25mgまで順調に経過していたことから、原病の悪化よりは感染症を想定しまして、採痰を行った後PSLを25mgから20mgに減量、そしてアジスロマイシンを処方されました。


喀痰培養は陰性でしたが、その後38.5度の高熱を繰り返し、右肺浸潤影増強したため入院となりました。



Q:この時点での方針は?




これから敦賀に出発しますのでこれにて失礼致します。お招き頂きましたS先生始め、敦賀市民病院の皆さん、よろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 14:30 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月05日

症例検討会BRONCHO20−9

ステロイドを長期間使用すると…


  • 副腎機能抑制・不全

  • 高脂血症・中心性肥満・内臓脂肪沈着

  • 骨粗鬆症

  • 筋力低下・ステロイドミオパチー

  • 白内障・緑内障



このあたりを想定しておく必要があるでしょう。うち、骨粗鬆症に対してビスホスホネート、あたりは予防として使われていることが多いようですが、それ以外のものの予防はなかなか難しいのが現状です。



さて、本症例、その後もPSLを2週間に5mgのペースで減量し、症状、陰影も落ち着いてきておりました。


スライド80.JPG


25mgまで減量して以降、次第に黄色痰が出現、労作時呼吸困難も増悪してきました。PSL開始後8週間目に撮影した胸部X線写真にて、下のような変化が見られました。


スライド81.JPG



Q:何が起こったと考えられるでしょうか?



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posted by 長尾大志 at 17:34 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月04日

症例検討会BRONCHO20−8

「不測の事態」。ステロイド投与による副作用ですね。わかってたら、「不測」とは言わないか…。


基本的に、ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているときに起こってくる「不測の事態」、それは治療(薬)による副作用であることが多く、まずはそこを疑うべきです。


ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているとき、元々の疾患が悪化してくる、ということはあまりないはずですよね。いつもそんなことが起きるのだったら、それは「きちんと決まった治療」にはならないでしょう。


また、ある疾患にかかっていながら、さらに別の疾患にかかる、というのも、疾患の罹患率を考えると比較的まれ、ということになります。そういうことから、いくつかの症候を呈しているときに、まずは単一の疾患でそれらが起こっている、と考える考え方を「オッカムの剃刀」といいますが、そんなわけで、ある疾患に対して、きちんと決まった治療をしているときに文脈と関係ないことが起こることは少なかろう、と考えるのが筋だ、というわけですね。


そして治療薬には少なからず副作用がある、これもまた確かであります。有名どころでは抗がん剤や分子標的薬、生物学的製剤など、副作用が起こること前提、みたいな薬もありますが、ステロイドや抗菌薬もまた、副作用のことを考えるべき薬剤ですね。


PSLを1mg/kg/day で開始したときに気をつけるべき副作用は…

  • ステロイド精神病(不眠、躁、うつなど)

  • 耐糖能異常

  • 易感染性

  • 消化性潰瘍

  • 凝固能亢進

  • 血圧上昇・浮腫



あたりです。これらは予想されるものですから、あらかじめST合剤やPPIなどを使い、観察もするわけですが、本症例では…



PSL投与10日目に、胸部Xpにて気胸腔拡大を認めました。そこで8Frアスピレーションキットを第7肋間から挿入し700ml脱気+170ml淡血性胸水吸引。気胸腔は隔壁があり、開通していない部分の脱気は困難でした。胸水の培養は一般細菌、抗酸菌共に陰性、細胞診では血液細胞のみ認め、白血球はリンパ球主体でした。


ステロイドによって組織が脆弱になる、ということもしばしば経験されます。皮膚が傷つきやすくなったりぺらぺらになったりしますし、本症例のように創傷部位(肺に空いた孔)の治癒が遅延したりもします。


幸い治療反応性がよかったため、PSLを早めに減量することにし、投与2週間で0.8mg/kg/dayに減量しました。



Q:ちなみに、今後ステロイドを長期間使用することが予想されますが、その際に注意すべき副作用はどのようなものがあるでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 18:25 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月03日

症例検討会BRONCHO20−7

もったいぶらずに永久標本も見てみましょう。


<縦隔リンパ節生検>
LN#2R、4L:異型性に乏しいCD138陽性形質細胞がポリクローナルに増加。悪性細胞認めず、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫認めず、IgG4陽性の形質細胞も認めず。


ということで、血清IL-6が108と高値なこと、縦隔リンパ節生検組織にてCD138陽性形質細胞のポリクローナルな増殖を認めたことにより、Castleman病と診断しました。

Castleman病の診断基準:書籍化時には

肺の陰影については結局気管支鏡からCastleman病の肺病変、という証拠は得られませんでしたが、LVFX投与でも画像上、酸素化も変化はなく、それ以上詰めることはできませんでした。LVFXは1週間投与して終了しまして、その後はステロイド治療を開始しました。


開始前評価として:
血液ガス(O2 2L)pH 7.435、 pO2 111、 pCO2 45.3、 HCO3 29.7


6分間テスト(O2 3L nasal)
0分:HR 88bpm、SpO2 94%、Borg 4、距離 0m
6分:HR 98bpm、SpO2 90%、Borg 9、距離 185m


PSL1mg/kg/day (45mg)で開始しました。その後速やかに、肺炎像は改善し、縦隔リンパ節は縮小してきました。ところが…



Q:どういった「不測の事態」を想定すべきでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 19:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年10月02日

症例検討会BRONCHO20−6

縦隔リンパ節が腫脹している、and/or肺野に広義間質の肥厚〜リンパ路の肥厚像を認める、というリンパ増殖性疾患の範疇では、


  • 癌のリンパ節転移、癌性リンパ管症

  • サルコイドーシス

  • 悪性リンパ腫をはじめとするリンパ増殖性疾患

  • 形質細胞腫

  • IgG4関連疾患

  • キャッスルマン病(Multicentric Castleman Disease:MCD)など

  • アミロイドーシス



あたりを鑑別診断に挙げるべきかと思います。



気管支鏡検査の結果は、以下のような感じ。


生検組織:好酸球浸潤多数あり。形質細胞浸潤はごく少量のみで、IgG4陽性形質細胞は認めず。


培養は一般細菌、抗酸菌とも陰性でした。


あまり診断に迫れる感じではありません。やはりリンパ節生検が必要です。そうこうしているうちにすっかり解熱し、縦隔鏡検査を施行することができました。LVFXが効く感染であったのか、それともその前のCTRX+CLDMの効果が遅かったのかは定かではありませんが…移行の問題であったのかもしれません。


ということで数日後に縦隔リンパ節生検を施行しました。迅速結果では、悪性細胞認めず、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫も認めず。取り急ぎ悪性リンパ腫、サルコイドーシスに特異的な所見は認めませんでした。


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posted by 長尾大志 at 17:48 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月29日

症例検討会BRONCHO20−5

画像上は明らかに陰影の悪化が見られます。こうなってくると、市中細菌性肺炎にしては治療反応性がよろしくなく、リンパ増殖性疾患の肺病変、症状かなあ、という気もして参ります。細菌検査も兼ねまして、気管支鏡検査を施行。気管支洗浄と経気管支生検を行いました。


しかしここは、縦隔リンパ節生検を急ぎたい。縦隔鏡によるリンパ節生検を予定しましたが、数日先だとのことで、担当医は抗菌薬をLVFX(250mg隔日投与)にスイッチしました。


すると翌日には解熱。むむむ。


この時点で入院時の採血結果などが出そろってきました。


s-IL2R 6190高値
ACE6.7 低値
腫瘍マーカー:CEA,CA19-9、AFP,PSA全て陰性
抗核抗体 ×40上昇なし

IL-6 108高値
IgG 2466高値
IgM 38上昇なし
IgA 956高値
IgE 332高値
IgG4 45.5(>135が診断基準)

M蛋白電気泳動:M蛋白は検出せず。
EBV(−)
CMV:C7HRP陰性
HIV感染:陰性
HHV8感染:陰性



Q:現状で考えられる鑑別診断は?




今日と明日の2日間、第3回呼吸機能イメージング研究会サマーセミナーが当地滋賀県のピアザ淡海で開催されます。当番世話人が当科の中野病院教授であり、医局員総出でおもてなしさせて頂きます。私もこれから出番です。ご参加の先生方におかれましてはお気を付けてお越し下さいませ。


ポスター.jpg

症例検討会BRONCHO

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posted by 長尾大志 at 12:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月28日

症例検討会BRONCHO20−4

CTは数日前に撮られたもので、縦隔条件でもともと指摘されていた縦隔リンパ節腫脹が見られ、肺野条件では気胸の程度が当院初診時の胸部X線写真より軽いことがわかります。で、右下肺野の高吸収域にあたる部分を見ると、割とべたっとした、コンソリデーション様の陰影が、気管支血管束の周囲あたりに見られるようです。周囲にはすりガラス影も見られます。


スライド77.JPG


加えて、広義間質肥厚を思わせる線状影(橙矢印)もそこここに見られます。これらの所見も、一元的に考えるとリンパ増殖性疾患で説明可能ですが、急性感染症、例えば気管支肺炎などを否定出来るものではありません。


<その後の経過>

培養としては喀痰培養、血液培養を提出しましたが有意菌は認めず、胸腔穿刺も行いましたが、胸水は淡血性、滲出性(LDH 809)で、ADA、ヒアルロン酸はカットオフ以下、細胞分画は好酸球主体(76%)でした。これは気胸の影響もあるかもしれません。また、塗抹、培養ともに陰性でした。


抗菌薬を投与し、咳嗽、喀痰は改善してきましたが、発熱は変わらず、血液検査上も炎症所見は横ばいでした。胸部X線写真、CTはこんな感じです。


スライド78.JPG


スライド79.JPG



Q:画像の変化をどう評価しますか?


Q:今後の治療(検査)方針、どうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:24 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月27日

症例検討会BRONCHO20−3

身体所見で余り目立つものはない、ということですが、低酸素などバイタル異常があり、血液検査で炎症所見高値、まあ、肺炎があるのかなあ、という感じですかね。


胸部X線写真の所見、ECGモニターの金具が付いているのは残念ですが…それ以外では、ちょっと意外なことに…。


スライド74.JPG


右気胸がありましたね。ニボーもありますから、1週間前から悪化傾向のある呼吸困難はこれも一役買っていたのかもしれません。加えて、右下肺野には高吸収域がある。こちらは肺炎の可能性あり。それからPET所見もヒントになりますが、気管分岐部は開大しており、同部位のリンパ節腫大を疑います。


身体診察ではあまり有意な所見が得られなかったようですが、初診時には打診などもなされておらず、呼吸音の左右差も捉えられていなかった可能性があります…。



鑑別診断としてリンパ節が腫れる疾患+(閉塞性)肺炎+気胸、あるいは、リンパ増殖性疾患(+その肺病変、気胸)、というところが想定されます。リンパ節腫脹が気にはなりますが、活動性の感染症があっては検査も難しいでしょう。まずは、現在の症状が感染性のものかどうか、なのですが、前医で抗菌薬処方をされていたこともあり、喀痰グラム染色にて有意な菌は見えませんでした。


そこでひとまずエンピリックに肺炎として治療を開始しました。透析中でもあり、担当医はCTRX+CLDMを開始されています。細菌性肺炎とすればA-DROP 1点(SpO2の低下のみ)ですが、リンパ節腫脹の鑑別も進める必要があること、透析中であることなどから入院加療としています。


そうこうしているうちに、前医から胸部CTが送られてきました。


スライド75.JPG


スライド75.JPG


Q:所見はいかがでしょうか?


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posted by 長尾大志 at 20:36 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月26日

症例検討会BRONCHO20−2

縦隔リンパ節腫脹があって精査予定、という状況で、1週間前からの発熱(38℃台)、喀痰、咳嗽、呼吸困難。普通に考えると、リンパ節が腫れる疾患、代表は肺癌でしょうが、+閉塞性肺炎、というストーリーが浮かびます。


その他の検査結果はどうでしょうか。



<入院時検査所見>
<血液検査>
Hb 10.8 WBC 9300 Plt 5万 Alb 1.9 ALP 388 Na135 K4.8 Ca 6.5 P 5.5 BUN 29.2 Cre 7.65 CRP 14.9
PCT 1.75 βDグルカン 0.0


<動脈血ガス(室内気、安静)」>
pH 7.459 pO2 56.9 pCO2 38.3 HCO3 26.6


<胸部X線>


スライド72.JPG


なにやら所見がたくさんありますね…。



Q:胸部X線写真の所見は?



<他院からの持ち込みPET>


縦隔リンパ節に多数の集積あり。仙骨の右端にも集積あり。



Q:この後の方針は?


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posted by 長尾大志 at 16:57 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月25日

症例検討会BRONCHO20−1

症例 50歳代男性


<主訴>
発熱、喀痰、呼吸困難


<現病歴>
3ヶ月前の健診にて、胸部X線写真上異常影を指摘されていた。胸部CTなどで縦隔リンパ節腫脹を認め、近く精査予定であった。1週間前より、38℃台の発熱、喀痰、咳嗽、呼吸困難を自覚していた。呼吸困難が悪化してきたため前医(透析かかりつけ)から当院紹介受診となる。


<既往歴>
30歳代 肺結核
20年前 ネフローゼ症候群、慢性腎不全
10年前 透析導入
5年前 大腿骨頭壊死


<アレルギー>
特になし


<生活歴>
喫煙:20歳から10本/日を7,8年間、以降禁煙
飲酒:缶ビール1本/日


<家族歴>
特記すべきことなし


<入院時身体所見>
体温37.6℃ SpO2 93%(酸素経鼻2L/分)
脈拍107/分 血圧135/68mmHg
呼吸音:清
腹部:平坦,軟.圧痛なし.腸蠕動音亢進なし
四肢浮腫なし


Q:現時点での鑑別診断、まずはどう考えますか?


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posted by 長尾大志 at 18:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

症例検討会BRONCHO19−4

症例検討会BRONCHO19−4、20日にupしていたはずが削除されていました。操作ミスか、アカウント乗っ取りか…??ということで再掲いたします。



本例では、患者さんが「なかなか外来に来られないし、一発で?治る薬を出してほしい」と希望されたとのことで、その時の担当医は、何にでも効く!?レボフロキサシン(LVFX)を処方されました。さて、どうなりましたか…。


結局患者さんはその1週間後「熱がなかなか下がらない」と再診されました。昼間も37℃以上、夜間には37.5℃以上になると。そこでLVFXを継続され、もう1週間。その時には解熱傾向あり、36℃台になってきた、とのことで抗菌薬は終了となっています。



しかしその3週間後、一旦治まっていた痰と咳がまた出てきた、と再診されました。そのとき熱は出ていませんでしたが、2日前から左前胸部痛を自覚していました。


SpO2 97 HR 91。胸部X線写真ではご覧の通りです。


スライド71.JPG



Q:何事でしょうか?


Q:何が必要でしょうか?


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posted by 長尾大志 at 10:21 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月22日

症例検討会BRONCHO19−6

本症例を振り返って考えますと、「途中でLVFXを処方したばかりに、診断が遅れた塗抹陽性肺結核の一例」となってしまいます。LVFXはじめキノロン系抗菌薬は、抗酸菌にちょっと!?効くのですね。


ちょっと!?というのは、一時的に効いて何となく症状がよくな(って、医療機関に来なくな)る。一時的に菌量も減るから、仮にその、よくなった時期に喀痰を採っても塗抹陽性にならないこともある。でも単剤での、しかも中途半端な期間の投与になるため、そのうちに必ず病状が進行し症状が悪化してきて、しかも診断までに相当時間が経ってしまっているものですから、その間にかな〜り菌をばらまき続けてしまう…恐ろしいことです。


やはり「結核にキノロン問題」は恐ろしい。実際にウチであったことではありませんが、注意喚起のため、取り上げざるを得ませんでした。


まだまだ「肺に影⇒キノロン」とされているケースをそこここで見かけるように思います。「得体の知れない感染症」にキノロンを使って、いいことなんてほとんどない。むしろ後で大変なことの方が多い、ということを、特に若い皆さんには肝に銘じて頂きたいですね。


得体が知れなきゃ、とにかく繰り返し喀痰検査ですよ。で、どうしても抗菌薬を使わなきゃ、患者さんが納得しない、であれば、狭域に参りましょう。経口だったらAMPCですかね。AMPC、上気道の一般細菌感染には抜群に効きますからね。この原則さえ守って頂ければ、そんなにややこしいことにはならないはずです。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月21日

症例検討会BRONCHO19−5

■ 症例検討会BRONCHO19−4は9月20日に掲載出来ておりませんでしたので、9月25日に掲載しております。あしからずご了承下さい。以下の19−5は、19−4の後にお読み下さい。



胸部X線写真では陰影の悪化、左下肺野に加えて中肺野にも陰影が出現しています。


ということでもうおわかりでしょう。これだけ抗菌薬を使用していて、比較的ゆっくりとした経過で(←ここがポイント)悪化してくる。


いかにも抗酸菌感染症、という感じではないでしょうか。


細菌感染症と抗酸菌感染症では、時間経過がずいぶん違います。それは、分裂速度がずいぶん違うから。例えば大腸菌は20分に1回分裂します。1時間で8倍、2時間で64倍、4時間で4,096倍、8時間では16,777,216倍。24時間では…計算が大変です。もちろんこれは理想的な環境下で、体内とは異なりますが…。


それに対して、結核菌始め抗酸菌は一般的に分裂速度が遅いものです。非結核性抗酸菌の中には迅速発育菌というものもありますが、MACを含めて多くは遅いもの。結核菌で1回の分裂に15時間ほどかかるといわれています。こちらも理想的環境下ですが。


つまり環境が同じと仮定して、分裂に必要な時間が45倍も違うのです。細菌性肺炎だと症状が出始めて、病院に来なくてはならないほど(極期)になるのに1〜3日ぐらいのところ、結核だと45〜135日ほどかかる、あくまでおおざっぱな、感覚的な計算ですが、それぐらいの時間経過を考えて頂ければいいのではないかと思います。


比較的若い患者さんに気道症状があり、1ヶ月程度の経過で陰影が増えてくるようなケースではやはり抗酸菌感染症、特に結核を考えるべきでしょう。もっとまれな感染症もありますが、とにもかくにも、公衆衛生的観点からも、結核の診断はマストです。喀痰抗酸菌検査(塗抹、培養、PCR)を大至急行いましょう。


そして結核を疑ったら接触歴、既往歴をもう一度根掘り葉掘り聞きましょう。特に感染リスクの高い同居家族、それに近い接触をしていた人の結核罹患は必須です。


そしてご本人の問題として、免疫低下を来すような状態ではないか、HIV感染はもちろん他の基礎疾患も一通り調べる必要があるでしょう。



本症例では、喀痰塗抹検査にてG10号の抗酸菌を検出し、TB-PCR陽性であったことから、専門施設に入院加療としました。


家族歴は、本人からの聴取では特記事項なしとのことでしたが、後日家人(母親)に聴取したところ、幼少時に同居していた親族が結核であったとのことでした。ただ本人はそれを知らされていなかったそうです。まあ、こんなことがなければ、本人にとって余計な歴史でしかないわけですから、言われなかったのもやむなしでしょうか。


本人にHIVはじめ免疫低下を来す疾病はありませんでしたが、多忙で1年ほど前から慢性的に睡眠不足であったとのことでした。睡眠不足も怖いですね〜。


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posted by 長尾大志 at 18:19 | Comment(3) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月19日

症例検討会BRONCHO19−3

昨日は台風で気圧が下がると同時に異常な(変な)体調不良を来しまして、ちょっと更新をお休みさせて頂きました。失礼致しました。昨晩12時間ほど睡眠した結果、すっかり回復しました。一体何であったのか…?



さて症例に戻ります。


血液検査からは若干の炎症所見、胸部X線写真では左中肺野、3〜4弓シルエット陰性、つまり左下葉の濃度上昇がありそうです。コンソリデーションでしょうか。ハッキリとした所見がありますから、ある程度しっかり肺に病変を作る、急性ないし比較的ゆっくりした経過を持つ感染症、が考えやすそうです。


  • 亜急性〜慢性経過の気道病変+急性感染症

  • 抗酸菌感染

  • 何らかの免疫低下±急性感染



あたりでしょうか。


で、治療についてはいかがでしょうか。本症例を感染症と想定したとして、若年であり、重症度は低いと考えられるため、そのまま外来診療になるかと思われます。で、どうするかですね。あまり症状が強くないので治療なし、ないしは対症療法とするのか、そこそこ派手な陰影がありますから抗菌薬なんかを投与するのか、まずは喀痰やその他検査を行うのか。


本症例では、そこそこの経過であった痰は喘息のコントロールがよくなかったのではないか、プラス今回は急性の肺炎ではないか、と考えられて、抗菌薬の投与が行われていました。喀痰も外来受診中には採られなかったようです。



Q:では、その際に選択するのが望ましい経口抗菌薬を1つ選択して下さい。

ペニシリン系
セフェム
マクロライド系
キノロン系


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posted by 長尾大志 at 18:17 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月15日

症例検討会BRONCHO19−2

病歴の情報が少ないので、なかなかこれだけでは絞れるものではありません。3週間前からの痰、それと今朝からの37.5℃発熱が一連のものなのか、偶々(必然?)の合併であるのか、それすらもハッキリしませんね。


40歳代ですしまずはオッカムの剃刀で一連のものと考えると、急性感染症、すなわち一般的な細菌感染症、ウイルス感染症は可能性が低い△。ただし膿瘍や、ある種のウイルス感染症はありでしょう。


経過の長さからすると抗酸菌感染は外せません。あくまで一連の経過をひとくくりで考える場合ですが。ただし既往にハッキリした結核の接触などはないようですし、極端な免疫低下を示唆する情報もありません。


それ以外に経過からはアレルギー性疾患、広い意味の自己免疫性疾患や血管炎なども考えられます。



<入院時身体所見>
BT=38.2℃ SpO2 97% HR 118

胸部:
呼吸音:左前胸部でwheezeを少し聴取。左下肺で呼吸音減弱。

腹部:
平坦・軟・腸雑音減弱亢進なし・圧痛なし
排便1日1行

四肢・体幹:
両側下腿浮腫なし、両側足背動脈触知良好



このまま検査所見へ。


<検査所見>

HT 47.5、HB 16.6、RBC 5.08万、WBC 10,800 (NEUT 86.1%、EOSIN 1.0%、BASO 0.2%、LYMPH 7.0%、MONO 5.7%)PLTS 21.7万
AST 25、ALT 41H、LDH 241 H、ALP 261、G-GTP 28、T-BIL 1.03、NA 137、CL 98L、K 4.0、UN 10.0、CRE 0.90、eGFR 78.5、CRP 3.46H


<胸部X線写真>

スライド70.JPG



Q:ここまでの情報で鑑別診断は?


Q:本症例の治療はどうしますか?


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posted by 長尾大志 at 17:32 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月13日

症例検討会BRONCHO19−1

症例 40歳代男性


<主訴>
喀痰、発熱


<現病歴>
3週間前から痰がよく出るようになった。今朝から発熱37.5℃となり当科受診となる。咽頭痛や鼻汁などは自覚していない。


<既往歴>
幼少時から 喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎あり。近医にて下記処方されている。

2年前 肺炎(詳細不明)


現在の内服
 ムコダイン
 アレロック(アレルギー性鼻炎)
 フルタイド200(喘息)
 ステロイド外用薬(体)
 プロトピック(顔に) 


<家族歴>
特記事項なし


<生活歴>
喫煙:なし
飲酒:なし


<アレルギー>
特記すべきことなし


Q:鑑別診断として、考えられる疾患は?

細菌感染症
抗酸菌感染症
ウイルス感染症
アレルギー性疾患


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posted by 長尾大志 at 17:49 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月07日

動脈血液ガス分析1

さてここで一度、動脈血ガス分析のおさらいをしておきましょう。


動脈血ガスの正常範囲

pH=7.350〜7.450(7.400±0.05)
PaCO2(動脈血ガス二酸化炭素分圧)
=35〜45Torr(40±5)
PaO2(動脈血ガス酸素分圧)
=80〜100Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=22〜26mEq/L(24±2)


です。
ちなみに最近よく看護師さんが採っておられる静脈血液ガスの正常範囲は、


pH=7.37
PvCO2(静脈血ガス二酸化炭素分圧)
=48Torr
PvO2(静脈血ガス酸素分圧)
=40Torr
HCO3-(重炭酸イオン)
=26(24〜28)mEq/L


ぐらいです。pHとPvCO2、HCO3-の動きには動脈血同様の意味がありますので、PaO2を知りたい、というのでなければこれで代用してもいいでしょう。でも、研修医の先生には、血ガスぐらい自分で採って頂きたいものです。


動脈血液ガス分析結果の見かた

@pHを見る。→アシデミアかアルカレミアか正常範囲かを確認する。これが正常範囲でなければ、何らかのアクションが必要。

Aアシデミア、またはアルカレミアの場合、そうなっている理由が呼吸性なのか代謝性なのかを確認する。
アシデミアの場合:呼吸性アシドーシス(PaCO2>45)か、代謝性アシドーシス(HCO3-<22)か。
アルカレミアの場合:呼吸性アルカローシス(PaCO2<35)か、代謝性アルカローシス(HCO3->26)か。

BpHが動いている原因がわかったら、それと違う方(呼吸性・代謝性)が代償している(逆方向に動く)がどうか確認する。
例:呼吸性アシドーシスがあったら、代謝性アルカローシスで代償しようとするはず。

代償していれば、ある程度長い間その状態であり、代償していなければ、急性期である。


呼吸器研修ノート

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posted by 長尾大志 at 17:29 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月06日

症例検討会BRONCHO18−8

昨日は時間の都合?でサッサッサッと進みましたが、付いてこられましたか?


まずは低酸素をみたときに、これはハッキリしている病態で説明可能なのかどうか、評価する必要があります。わかっている病態だとこれほど低酸素にならないのではないか、となると、それ以外に低酸素になる理由(換気血流ミスマッチ、シャント、拡散障害と肺胞低換気)のどれかが存在しないか、考えてみる必要があります。


呼吸器疾患によく合併するものとして、肺高血圧症と肺血栓塞栓症が知られています。これらは主にミスマッチによって低酸素を来しますが、肺高血圧の原因として、肺疾患および/または低酸素血症による肺高血圧、というジャンルがあるくらいですから、合併例は少なくありません。特に、COPDに線維化が合併したCPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema:気腫合併肺線維症)で肺高血圧は多いとされています。


また、膠原病関連の肺高血圧症も肺高血圧の1ジャンルであり、膠原病合併間質性肺炎と肺高血圧症の合併?もしばしばみられます。


それから、ADL低下やステロイドの使用、癌の合併など、呼吸器疾患では血栓のリスクも高まることがありますので、こちらも注意が必要です。



肺高血圧の診断・治療にはガイドラインがあり、それほど悩まずともフローチャート通りに行けばきちんと診断、治療を考えることが出来るのですが、これがちょいちょい(おそらく薬が出るたびに?)変わるので、新しいものを知っておかなくてはいけません。


現状ではこちらになるかと思います。診断フローチャートはFigure1になります。
2015 ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension: The Joint Task Force for the Diagnosis and Treatment of Pulmonary Hypertension of the European Society of Cardiology (ESC) and the European Respiratory Society (ERS): Endorsed by: Association for European Paediatric and Congenital Cardiology (AEPC), International Society for Heart and Lung Transplantation (ISHLT).
Galiè N, et al. Eur Heart J. 2016 Jan 1;37(1):67-119.


PHを疑ったら経胸壁心エコーを行います。そこで三尖弁逆流速度や右心負荷所見を評価し、PHが疑わしいとなったらPHの原因として頻度の高い左心系疾患や肺疾患の評価を行います。


それらがない、関与が少ない、となりますと、次は慢性血栓閉塞性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)の有無を確認するために換気血流シンチグラフィや造影CTを施行します。その後診断確定、および分類のために右心カテーテル検査で肺動脈圧、肺動脈楔入圧や肺血管抵抗などを測定していきます。


で、平均肺動脈圧≧25mmHg、かつ肺動脈楔入圧≦15mmHgであれば肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)と診断、ということになります。


本症例ではIPFに合併したPH、ということで、nintedanibを導入し経過、治療効果を確認するとともに、PHに対して血管拡張薬を考慮することになりました。いずれも薬価が高く副作用のこともあり、効果がなければダラダラと継続すべきではありませんので、きちんと効果の確認が必要です。


また、間質性肺炎と肺高血圧症があることから、その基礎疾患としての膠原病が今後発症してこないかどうかも、注意深く観察する必要があるでしょう。


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posted by 長尾大志 at 19:19 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月05日

症例検討会BRONCHO18−7

肺機能検査では、%VCが65%と、それほど拘束性障害が強くはありませんが、それに比して%DLCOが24.3 %とかなり低い。それに安静時でも既にPaO2<60Torrと結構な低酸素です。


なんか、肺活量の割に、拡散障害が強く、低酸素が過ぎませんでしょうか??患者さんを何例か診たことがあれば、違和感があると思います。ただIPF、というだけで%VCが65%だと、それほど(少なくとも安静時には)低酸素にはならないと思われます。


そこで思い出して頂きたいのが、胸部X線写真における「両側肺動脈影の径拡大あり」所見です。気付かれていましたか?今まであえてスルーしてきましたが、これは肺高血圧の所見なのです。肺高血圧が合併するとしたら、この拡散障害〜低酸素も納得ですね。


そこで、さらに心エコーを施行、右心負荷所見を認めたため、換気血流シンチを施行。換気、血流ともに欠損域なし〜慢性血栓閉塞性肺高血圧症(CTEPH)を否定して、右心カテーテルにて肺高血圧症の確認、評価を行いました。


<右心カテーテル検査>
PCWP 7 mmHg mPAP 35 mmHg



Q:最終的な診断、分類は?
治療薬は何を使いますか?


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posted by 長尾大志 at 18:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月04日

症例検討会BRONCHO18−6

あ…そういえば、GAP indexについて…書いていませんでしたね。


まあ必須、というわけでもなく、いわれてみればそうだろうな、という感じのものですが、知らないと気になりますので、ご紹介しておきましょう。


GAPとはG(Gender:性別)A(Age:年齢)P(Physiology:生理学的指標)の頭文字で、これらの組み合わせで予後予測になる、という報告があるのです。
A multidimensional index and staging system for idiopathic pulmonary fibrosis.
Ley B, et al. Ann Intern Med. 2012 May 15;156(10):684-91.


G 女性 0
  男性 1

A 60歳未満 0
 61-65歳 1
 66歳以上 2

P %FVC 75%を超える 0
 50〜75% 1
 50%未満 2

%DLco 55%を超える 0
36〜55% 1
35%以下 2
測定不能 3


合計得点が0〜3点でStageT(1年死亡率5.6%、2年死亡率10.9%、3年死亡率16.3%)
4〜5点でStageU(1年死亡率16.2%、2年死亡率29.9%、3年死亡率42.1%)
6〜8点でStageV(1年死亡率39.2%、2年死亡率62.1%、3年死亡率76.8%)


この論文の後にもいくつか論文が出ております。間質性肺炎の分類を勘案したスコアリングもありますが、要するに何となく皆さん思っていた「男性で高齢で、肺機能が悪い患者さんの予後が悪そう」を数値化したものです。


どちらかというと臨床の現場で普及している、というよりは、疫学研究であったり、薬剤の開発(効果の評価)であったりに使われているような印象があります…。


で、本症例の肺機能検査ですが…


<肺機能検査>
VC 2.61 L %VC 65 %
FVC 2.74 L %FVC 70.1 % (半年前の%FVC 77.8 %)
FEV1.0 2.50 L FEV1.0% 91.23 %  %FEV1.0 111.7 %
DLCO 5.01 ml/min/mmHg %DLCO 24.3 %


6分間歩行は室内気で既に低酸素があったため施行されませんでした。


Q:肺機能検査の評価は?


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posted by 長尾大志 at 18:11 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年09月01日

症例検討会BRONCHO18−5

1つのスライスだけではなかなか判別が難しいかもしれませんが、末梢気管支の拡大(牽引性気管支拡張像)、胸膜直下・肺底部優位に網状影と、周囲にわずかなすりガラス影、両側肺底部中心に一部蜂巣肺形成もあるかと考えます。一般的?には、UIPパターンといっていいかなと思います。


あと、評価しておくべきは現状の重症度。患者さんの自覚症状や予後につながるものとして、肺機能、酸素化、労作時の低酸素といったものが挙げられます。


これらはIPFの重症度分類やGAP indexにも使われています。血ガスは先に見ましたから、肺機能検査や6分間歩行検査を見たいですね。




というところで、時間切れのようです。これから北海道に向かいます。明日、手稲渓仁会病院さんでグループの理学療法士さんと勉強会をさせて頂きます。参加される皆さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。


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posted by 長尾大志 at 13:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月31日

症例検討会BRONCHO18−4

胸部X線写真、見覚えのある画像じゃなかったですか?実は先週にも出てきた写真なのでした。先週は軽〜く「両側網状影、すりガラス影。両側肺門の拡大」といいましたが、少し詳しく、分布についても触れると、「両側、胸膜側・下肺野優位の網状影+すりガラス影、両側肺動脈影の径拡大あり」となるでしょう。


血液検査でSP-D、KL-6高値、そして両側、胸膜側・下肺野優位の網状影+すりガラス影ですから、間質性肺炎の存在を想起することは容易です。


間質性肺炎とすると、さらなる問題は、予後と治療を左右する分類の問題、まずは「特発性か、原因のあるものか」。


年齢・性別からも、他の症状からも、膠原病を示唆するものはありませんし、スクリーニング的に取られた自己抗体では陰性ばかりです。そして間質性肺炎を惹起する薬剤の服用、吸入物質もないようです。とすると特発性か…。


特発性としたら、HRCTによるパターン分類。そうです、HRCTが必要ですね。



<胸腹部単純CT>

スライド69.JPG


Q:HRCTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 18:58 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月30日

症例検討会BRONCHO18−3

ここまで、というのは病歴と身体所見ですね。


心不全に関しては、病歴からはアリ(糖尿病、心筋梗塞の既往)ですが身体所見上は、頻脈、不整脈なく、頸静脈、心音/呼吸音などにも目立った所見がないことから、強く疑われる感じではありません。


COPDですと胸鎖乳突筋肥大など頸部の所見や、呼吸音の減弱、心尖拍動部の移動や濁音界の低下などが見られるものですが、それもなし。


両側下肺野優位にfine cracklesを聴取したことより、間質性肺炎の存在が考えられ、ばち指の存在もそれを裏付けるものです。


なお、慢性の肺血栓塞栓症を身体所見から否定するというのは困難ですが、少なくとも間質性肺炎よりは可能性が少なそうです。


皮疹なし、爪血管床発達なし、関節痛なし、朝のこわばりなし、レイノー現象なし、というのは、間質性肺炎に関連して、膠原病のスクリーニングをしている、と思って頂ければ。



そして糖尿病のコントロール状態ですが、前医での評価が入院時には届いておらず、現段階では詳細不明としておきます。少なくとも、眼底の評価(網膜症)、尿検査・腎機能検査(腎症)、神経症の評価を早い段階でしておく必要があるでしょう。



<入院時検査所見>
<血液検査>
HB (g/dl ) 16.5
WBC (1000 ) 9.6 H
SEG/NEUT (% ) 74.5 H
PLTS (1000 ) 221

TP (g/dl ) 7.7
ALB (g/dl ) 4.0
AST (U/l ) 22
ALT (U/l ) 16
LDH (U/l ) 358 H
ALP (U/l ) 257
G-GTP (U/l ) 39
T-BIL (mg/dl ) 0.58

NA (mmol/l) 142
CL (mmol/l) 105
K (mmol/l) 4.4
UN (mg/dl ) 22.3 H
CRE (mg/dl ) 0.99
eGFR ( ) 59.2

UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.4
P (mg/dl ) 2.6

AMY (U/l ) 69
CPK (U/l ) 70

CRP (mg/dl ) 0.45 H

PT-INR ( ) 1.15
APTTP (秒 ) 33.2
Dダイマ- (μg/ml) 1.4 H
FIBG (mg/dl) 368

ケイコウ (倍 ) 40 未満
RF (IU/ml) 3
C-ANCA (U/mL ) 1.0 未満
P-ANCA (U/mL ) 1.0 未満
コウJO-1          (-)
コウARSコウタ        5.0 未満
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL ) 1.0 未満

肺サーファクタ (ng/ml ) 363 H
KL-6 (U/ml ) 1682 H

A1C(NGSP (% ) 7.1 H
GLU (mg/dl) 241 H


<動脈血液ガス>安静時、nasal2L/min
PH ( ) 7.469 H
PCO2 (mmHg ) 31.1 L
PO2 (mmHg ) 52.4 L
HCO3 (mmol/l) 22.3
BE (mmol/l) 0.1
O2CT (ml/dl ) 19.4
O2SAT (% ) 87.9 L


<胸部Xp>

スライド68.JPG


Q:胸部X線写真の所見は?


Q:検査結果までふまえて、現段階での鑑別診断は?さらに必要な検査は?


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posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月29日

症例検討会BRONCHO18−2

まず気になるのは、当然労作時呼吸困難や低酸素の状態でしょう。原因疾患は何か、低酸素は本当にHOTが必要な程度なのか、労作時呼吸困難が悪化した、その程度、悪化のスピードなど、気になる点が満載ですね。


そして糖尿病のコントロール状態。心筋梗塞を発症しているわけですから、そこそこ血管系に不具合が生じていそうです。メチコバール、キネダックと、神経症の薬も使われていますし、合併症の評価も必要でしょう。


労作時呼吸困難・低酸素の原因疾患としては種々の疾患が想定されますが、糖尿病の存在、心筋梗塞の既往から、合併症として心不全の有無を確認しておく必要はあるでしょう。




<入院時バイタルサイン>
BT 36.1 ℃, HR 68 mmHg, BP 105/68 mmHg, SpO2 90 %(安静時、nasal 2L/min) ※体動にて容易に70%台まで低下,RR 28/min


<入院時身体所見>
頭頸部:眼球結膜黄染・眼瞼結膜蒼白なし
    右眼球結膜に出血点あり
    頸部リンパ節腫脹なし
    胸鎖乳突筋肥大は明らかにはなし
    起坐位にて頸静脈怒張なし

胸部:心音 整、明らかな雑音なし ややII音亢進
   肺音 両側下肺野優位にfine crackles

腹部:平坦、軟、肝脾腫触知せず
   蠕動音正常

四肢:浮腫なし
   右足背に紫斑+右下肢静脈瘤あり
   ばち指+
   指先のチアノーゼあり

その他:皮疹なし、爪血管床発達なし、関節痛なし、朝のこわばりなし、レイノー現象なし


Q:ここまでで、呼吸困難・低酸素の原因疾患は何が考えられますか?

心不全
COPD
間質性肺炎
肺血栓塞栓症
その他


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posted by 長尾大志 at 18:14 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月28日

症例検討会BRONCHO18−1

症例 60歳代 男性


<主訴>
労作時の呼吸困難


<現病歴>
30年ほど前から2型糖尿病があり、長期間放置されていたが、数年前から近医糖尿病内科に通院していた。
数ヶ月ほど前から労作時呼吸困難があり、近医でHOT導入(nasal 2L/min)となった。その後も労作時呼吸困難が悪化し、当科紹介受診された。


<内服・吸入薬>
シムビコート 1日2回 2吸入
スピリーバ  1日1回 1吸入
バイアスピリン100mg1錠朝後
アマリール0.5mg 1錠朝後
エクア50mg 2錠分2朝夕後
メチコバール500μg 2錠分2朝夕後
キネダック 2錠分2朝夕後
エフィエント3.75mg 朝後
パリエット 10mg 朝後
リピトール 1錠分1朝後


<既往歴>
30歳代- 2型糖尿病
2年前  心筋梗塞(PCI)、白内障手術


<生活歴>
喫煙: 20-40本/日✕40年、50歳代以降禁煙
飲酒:ビール350ml1本/日程度
職業:自営業
粉塵暴露:なし
鳥類暴露:飼育なし、羽毛布団・ダウンジャケット使用なし、鶏糞の使用歴あり
住居:築50年木造
健康食品:特になし


<家族歴>
祖父:胃癌
母:胃癌、脳梗塞


<アレルギー>
特記なし
花粉症なし、喘息なし


Q:まず確認すべきこと(気になること)は?


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posted by 長尾大志 at 17:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月25日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!5

昨日の写真、いかがでしたか?


正解は「両側網状影、すりガラス影。両側肺門の拡大」でした。ただの網状影+すりガラスだけではありませんね。


さてそれではこれから私、東京へ向かいます。夕方にとある収録です。これはかな〜り楽しみです。それから明日のメディカ出版さんセミナーにご参加の方、よろしくお願い申し上げます。


『よくみる症例から学ぶ 呼吸器疾患〜おさえておきたい観察ポイント〜』
http://www.medica.co.jp/seminar/detail/171


あ、昨日の画像は、よ〜く覚えておいて下さいね。


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posted by 長尾大志 at 12:09 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月24日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!4

昨日の画像も、論理的思考を働かせて読影して下さい。


正解は、「右中葉の結節影。右肺門、および気管分岐部、それから傍気管リンパ節腫脹」です。


それでは、このシリーズも一旦終わり、最後の問題です。


スライド68.JPG


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posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月23日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!3

昨日の画像も、順番にちゃんと読んだら、難しくはありませんね。


正解は「左上葉無気肺」でした。


それでは今日の1枚。


スライド書籍用143.jpg


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posted by 長尾大志 at 22:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月22日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!2

昨日の画像はおわかりでしたか?


お、めっちゃ簡単やん、ついに長尾先生、多忙のあまりちょっとアレになった?と思われた方もおられるかも知れません。まあ、初老ですから…。イヤイヤ。


ちゃんと意図があって出題しておりますよ。


いや、結節がある、そりゃわかるでしょう。どこに思考力が要るのか。それはその結節の「場所」です。長尾先生アレやな、と思われた方、場所まできちんと答えられたのでしょうね?



正解は「右の下葉に結節影」ですよ。


それでは今日の1枚。


スライド書籍用137.jpg


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posted by 長尾大志 at 21:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月21日

症例検討会BRONCHO番外編・胸部の画像で見ッテQ!1

今日は(も)やることがギチギチで、あっという間に日が暮れてしまいました。ということで、今日は「胸部の画像で見ッテQ!」をお送りいたします。こかで聞いたようなタイトルですが…BRONCHOで取り上げてもいいくらい、思考力を要する画像だと思いますので、手抜きだと思わず(苦笑)チャレンジしてみて下さい。


スライド書籍用132.jpg


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posted by 長尾大志 at 19:10 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月18日

症例検討会BRONCHO17−6

HRCTでUIPパターンと判断され、病歴、身体所見から膠原病やじん肺、過敏性肺炎である可能性は低く、血液検査では自己抗体の有意な上昇がないことから、UIPパターンを持つ間質性肺炎で、原因となるものがない、特発性肺線維症と考えられました。


現状の評価として、


肺機能検査:%VC 61.6%で拘束性障害、FVC実測値2.25L %FVC 60.0%
%DLCO 38.4%で拡散障害あり。


動脈血ガス検査:室内気、安静時でPaO2 96.4Torr、A-aDO2 8.7と開大なし。


6分間歩行試験では歩行負荷にてSpO2 96%→89%と低下したものの、修正Borgスケール2と息切れ感は著しいものではない。


安静時PaO2≧80Torrであり、特発性肺線維症の重症度分類判定表によって、重症度はTとなりますが、特発性肺線維症として指定難病申請を行うことが可能です。将来高額な抗線維化薬を使用することを念頭に置くのであれば、指定難病の申請を行っておくことは有用でしょう。


また、在宅酸素療法の保険適用基準にある『労作時の著しい低酸素』、これは微妙です。ここの判断にはあまり客観的な指標はなく、主治医の主観に任されている面が大きいでしょうから、在宅酸素については症状、経過、患者さんの希望などから導入を決めていくことになるでしょう。


治療介入としては、間違いなく取り入れるべきものとして急性増悪の予防(うがい、手洗い、感冒時の対処)、肺癌の定期的スクリーニングなどがありますが、それはわかってるけど、治療薬はどうなんだ、という話ですよね。


特発性肺線維症ですから、ステロイド、免疫抑制薬は使いません。これはいいですね。


では抗線維化薬は?これまでにもさんざん書きましたが、難しいところですね。その判断は専門医に任せて下さい、といいたいところですが、1つの目安として、悪化傾向がどの程度か、ということがあります。


それもいろいろな指標がありますが、1つご紹介しておくのはFVCの低下度合い。これは予後予測因子として知られていますし、ニンテダニブの臨床試験でも取り入れられています。これが半年で5〜10%以上低下していると、ちょっとヤバい、なんとか悪化を食い止めたい、そういうニュアンスになろうかと思います。


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posted by 長尾大志 at 18:38 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月17日

症例検討会BRONCHO17−5

胸部CTでは、立派な蜂巣肺が、胸膜直下、肺底部優位に認められます。UIPパターンといっていいでしょう。


UIPパターンをもつ間質性肺炎の予後や治療方針などを決める上で大切なことは、原因があるものかどうかどうかです。これは検査というよりも病歴が大きなウエイトを占めます。


例えば鳥関連抗原が原因の慢性過敏性肺炎であれば抗原回避が大切ですし、薬剤が原因であれば中止しなくてはならないことが多い。膠原病があれば、一般的に特発性よりは予後がよく、ステロイドを試してみようという気になる、などなど、原因があるものかどうかは大切な要素です。原因のあるなしは、病歴をしっかり聴取するとある程度はわかります。


また、膠原病については、病歴上症状がなくても、スクリーニングで自己抗体を測定することでわかることもあります。ですから検査も必要、となります。


そして、重症度や現在の状態を知るために行う検査としては、

  • 呼吸機能検査(肺機能検査)特にFVCとDLco

  • 動脈血ガス・A-aDO2

  • 労作時の酸素飽和度低下


が挙げられます。


ですから追加でさらにほしい検査は、労作時の酸素飽和度低下を調べる、6分間歩行試験、これをやりました。


<6分間歩行試験>
       SpO2(%)  HR(bpm)
安静時   96       97
1分     91       101
2分     89       111
3分     90       112
4分     89       111
5分     89       113
6分     90       114

・移動距離  392m

・修正Borgスケール
安静時:呼吸0  倦怠感0 
終了時:呼吸2  倦怠感0.5



Q:診断は?評価は?治療方針は?


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posted by 長尾大志 at 18:51 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月16日

症例検討会BRONCHO17−4

胸部X線写真では、両側下肺野優位にすりガラス影〜網状影を認めます。明らかな蜂巣肺、とまではいえませんが、UIPパターンに似た像です。3ヶ月前と比較すると…


スライド65.JPG


陰影は少し増えてきているようです。


間質性肺炎のさらなる診断のためには、胸部CTは必須でしょう。


<胸部CT>

スライド66.JPG


スライド67.JPG



Q:胸部CTの所見は?


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posted by 長尾大志 at 19:15 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月15日

症例検討会BRONCHO17−3

やった検査は以下の通りです。両下肺野にfine cracklesを聴取し、間質性肺炎の可能性があったので、膠原病や血管炎のスクリーニングもある程度行われています(注:ウチで間質性肺炎症例では必ずこの項目を取る、ということではありません)。


<入院時検査所見>
TPLA- HBs-Ag- HCV-Ab-

<血液検査>
抗核抗体40倍
C-ANCA 1.0 未満
P-ANCA 1.0 未満
コウJO-1 陰性
抗CCP抗 (U/ml ) 0.6 未満
抗SS-A抗 (U/mL) 1.0 未満

HB (g/dl ) 12.4
PLTS (1000 ) 176
RBC (1000000 ) 3.74 L
WBC (1000 ) 5.3
APTTC (秒 ) 29.0
PT-INR ( ) 1.01
Dダイマ- (μg/ml ) 0.3
ホタイカ (U/ml ) 61.1 H
TP (g/dl ) 7.2
ALB (g/dl ) 3.8 L
AST (U/l ) 24
ALT (U/l ) 17
ALP (U/l ) 118
G-GTP (U/l ) 34
T-BIL (mg/dl ) 1.32 H
NA (mmol/l) 139
CL (mmol/l) 103
K (mmol/l) 4.0
UN (mg/dl ) 20.5
CRE (mg/dl ) 0.81
eGFR ( ) 72.2
UA (mg/dl ) 6.5
CA (mg/dl ) 9.2
P (mg/dl ) 3.7
T-CHO (mg/dl ) 158
TG (mg/dl ) 65
HDL-C (mg/dl ) 62
LDL-C (mg/dl ) 73
IG-G (mg/dl ) 1628
IG-M (mg/dl ) 22 L
IG-A (mg/dl ) 525 H
C3 (mg/dl ) 96
C4 (mg/dl ) 20
CRP (mg/dl ) 0.67 H
RF (IU/ml ) 2
BNP (pg/ml ) 14.50
GLU (mg/dl ) 92
A1C(NGSP (% ) 5.8
F-T4 (ng/dl ) 1.13
F-T3 (pg/ml ) 2.8
TSH (μIU/ml) 2.72
KL-6 (U/ml ) 852 H
FERRITIN (ng/ml ) 191.5
SP-D (ng/ml ) 341 H


<動脈血ガス検査>(室内気)
PH ( ) 7.432
PCO2 (mmHg ) 38.1
PO2 (mmHg ) 96.4
HCO3 (mmol/l) 24.9
A-aDO2 8.7


<肺機能検査> 
VC:実測値2.38L %VC 61.6%
FVC:実測値2.25L %FVC 60.0%
FEV1.0:実測値1.84L %FEV1.0 60.5%
FEV1.0%:81.88%
%DLCO:38.4%


<心電図>
一度房室ブロックあり


<心エコー>
EF 62.7%
TR TRPG:29.5mmHg RAPs:3 mmHg RVPs:32.5mmHg
IVC IVC(i):5.7mm IVC(e):12.6mm 呼吸性変動あり


<胸部X-p>

スライド64.JPG


Q:胸部X線写真の所見は?さらにほしい検査は?


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posted by 長尾大志 at 14:54 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月14日

症例検討会BRONCHO17−2

この病歴は生活歴周りのこと中心に、結構いろいろと聴いてくれています。きっと『間質性肺炎疑い』ということで、研修医の先生も張り切って下さったのでしょう。


それであればこそ、病歴をもう少し掘り下げてほしかった気がします。現病歴に、(主訴にある)労作時の息切れに関する記載がありませんし、膠原病や血管炎などを連想させる、肺外の症状についても記載されていません。


病歴には、こういう症状が「ある」という情報も大事ですが、こういう症状が「ない」という情報もまた重要です。陰性情報も書かなきゃわからない。「なかったんだから書かなくてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、書いてないことは「ない」のではなく、「見てない」「聴いてない」ということにしかならないのです。これは肝に銘じておきましょう。


本人の自覚症状として最近(ここ半年程度)労作時息切れの訴えがあり、妻によると数年前から歩く速度が遅くなってきたとのことで、かなり前から無意識に歩行をセーブしていたようです。


また、肺外の症状に関しては、明らかなものはありませんでした。



<入院時身体所見>
<バイタルサイン>
体温36.3度 脈拍数85回/分 血圧129/69 SpO2 96%(室内気、安静時)


<身体所見>
眼球結膜黄染なし
眼瞼結膜貧血なし
頸部リンパ節腫脹なし
頸部血管雑音なし
呼吸音:両下肺野にfine crackles聴取
心音:整・明らかな雑音はなし
上肢:ばち指なし、Gottron兆候なし、皮膚硬化なし、指の腫脹なし
下肢:浮腫なし・後脛骨動脈触知・足背動脈触知
皮疹なし



Q:必要な検査は?もう早く画像を見たいですか?


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posted by 長尾大志 at 19:03 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月10日

症例検討会BRONCHO17−1

症例 70歳代男性


<主訴>
労作時の息切れ


<現病歴>
毎年職場の健康診断を受診しており、今まで特に異常を指摘されたことはなかった。
今回の健診の際、胸部X線写真にて異常陰影を指摘され前医を受診。間質性肺炎の疑いとのことで、当院当科紹介となった。


<既往歴>
特記すべき事項なし
高血圧、糖尿病なし


<家族歴>
特記すべき疾患なし


<生活歴>
・喫煙 20歳〜30歳 40本/day
・飲酒 週3回ほど(日本酒2合、焼酎)
・粉塵暴露歴なし
・職業 事務職
 10年ほど前まで農業兼業(米農家)
・健康食品、漢方の使用歴なし


<その他>
・海外渡航歴:なし
・ペット飼育歴:なし
・鳥関連
 羽毛布団の使用:なし
 ダウンジャケットの使用:なし
 家にツバメの巣がある(最近は来ていない)
 近所にフクロウがよく来ていた(最近は無し)
 家の周りにカラスが多い
 周囲にコウモリはいない
・自宅関連
 木造(築20年)
 加湿器使用歴なし
 カビっぽいところはない


<アレルギー>
なし



Q:病歴で他に聴きたいことは?


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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月09日

症例検討会BRONCHO16−3

多数・多種類の投薬を受けているものの、本症例におけるコントロールは万全とはいいがたいものです。ですから周術期の発作予防という意味では、もう少しコントローラーを何とかしたい。とはいえ、大概の薬がはいっておりますけれども…。


具体的には、フルティフォーム/スピリーバの吸入手技確認、用量調整、それでダメならオマリズマブorメポリズマブ追加、手術が迫っているなら、短期間全身ステロイド使用もやむなしかもしれません。


それに肺機能だって、1秒量<1L、結構な低肺機能です。体格も小さい症例ですが、1秒率も50%未満。これでは咳をして痰の喀出するのも結構大変です。ということで、手術に際してはリスクが高そうです。


不安定期にどうしても手術、という場合、術前(+術後)、短時間作用型β2刺激薬吸入をしたり、全身ステロイドを使用したりすることもあります。



そして!さらに確認しておくべき、最も大切なことは、アスピリン喘息の有無。術後疼痛に対してNSAIDsを使う機会は多いものですから、アスピリン喘息の有無は必ず確認しておかねばなりません。手術による発作よりも、NSAIDs投与による発作の方がむしろ危険です。


そこでご本人に確認しましたところ…


「これまで解熱薬とか痛み止めを飲んで、発作が出たりしたことはないですか?」「それは覚えがないですねえ」とのこと。おお、それではアスピリン喘息なしですな…。「いや、そもそもそういう薬って、飲んだことがありませんのです」…。


なるほど。飲んだことがなければ、アスピリン喘息が「あり」か「なし」かはわかりません。それではこの質問。


「湿布とかを貼って咳が出たり、ゼイゼイすることはありませんか?」


「そうですね。茶色い湿布を貼るとよくゼイゼイいうンです」


!!!!!


ハイ、アスピリン喘息ありです。こういうことがままありますから、しつこく追求する必要がありますね。


術中発作などのリスクも高いので、術前にメプチン吸入、リンデロン点滴し、術後の投薬にも禁忌薬が多く、注意が必要と説明しました。


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posted by 長尾大志 at 15:46 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月08日

症例検討会BRONCHO16−2

喘息がある症例での周術期問題ですが、問題点としては大きく2点あります。


@ 手術に伴って発作が起きないか
A 肺機能の低下によって、術後合併症が生じるリスクが増えないか


『喘息予防・管理ガイドライン2015』を紐解くと、@に関しては、周術期の気管支攣縮は全手術症例の1.7%に認められたというデータがあり、それほど多いものではありませんが、無視出来る数字でもありません。


攣縮=発作のリスクを考えるにあたって、少なくとも喘息の重症度やコントロール状況はしっかりと把握しておく必要があります。コントロール不良であれば、術前に治療のステップアップが必要です。


また肺機能が低下していると、術後喀痰排出が困難となり、肺炎などのリスクになりますから、現時点での肺機能を確認しておくことも重要です。



そこで、本症例で確認しましたところ…。


喘息は30歳頃に発症した。他院で治療中。投薬内容は現在、

テオロング
アレロック
シングレア
スピリーバ
フルティフォーム125エアゾール
フルナーゼ

現在の状態としては、階段や坂道ではゼイゼイいうが、じっとしているとどうもない。坂を登ったりする前にはメプチンを吸ったりしていると。


入院歴は15年前に肺炎、喘息発作あり他院入院、13年ほど前に再度発作あり入院、以降は入院歴無し。その後ほぼ薬は固定されているとのこと。なお外来でSpO2が 95%を下回ることが時々あるという。



Q:現状の評価は?手術は安全か?さらに確認しておくべきことは?


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posted by 長尾大志 at 18:31 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO

2017年08月07日

症例検討会BRONCHO16−1

今回は(も?)ショートネタです。台風のため、出題も短めに。


症例 80歳代女性


(院内紹介)全身麻酔下手術を予定している方です。喘息あり、吸入薬(LAMA,ステロイド)と内服薬で加療されています。術前の肺機能検査では1秒量 860mL、1秒率 49%と閉塞性障害を認めております。喘息の周術期管理に関しまして伺いたく、対診とさせて頂きました。(紹介状ここまで)



Q:尋ねるべきこと、確認しておくべきことがらは?


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posted by 長尾大志 at 13:45 | Comment(0) | 症例検討会BRONCHO