2019年04月08日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習2

■ クライオバイオプシーの安全性有用性に関する多施設共同前向き研究

背景

クライオバイオプシー(TBLC)はびまん性肺疾患や肺がんの診断に有用であるが本邦における安全性、有用性は未だ明らかではないため、多施設共同にて前向きにTBLCの安全性、有用性を検討した。

方法

対象症例はTBLCが必要な全ての呼吸器疾患とした。主要評価項目は重度又は重篤な有害事象(出血、気胸、肺炎、呼吸不全、間質性肺炎急性増悪)発生割合とし、期待値を10%、閾値を20%、有意水準を両側5%、検出力を80%とした場合の必要症例数を110例とした。

結果

症例は17例、年齢72歳であり、全例で安静時の呼吸不全は認められず、止血用バルーンは全例で施行した。検査時間は34分、生検回数は3回、TBLC検体サイズは17.5平方mmであった。重度または重篤な出血は認められず、気胸は一例のみであり他の有害事象は認められていない。

結論

これまでの結果では許容範囲内の安全性プロファイルであり、症例集積が終了した時点で最終解析を行う。

所感

良好な結果で、最終解析が楽しみですね。



■ 当院における免疫不全患者に対する気管支鏡検査の有用性の検討

【背景・目的】

免疫不全患者に新たに出現した陰影に対する気管支鏡検査(BF)の確定診断への寄与度や検査の合併症は報告により様々であり、その適応基準は施設ごとに異なる。

【対象・方法】

免疫不全患者へのBF(肺がん診断目的を除外した69例)を後ろ向きに解析した。活動性の悪性腫瘍、自己免疫疾患、ステロイド5 mg/日以上、維持透析中、免疫抑制剤投与中の患者を免疫不全患者とした。

【結果】

背景疾患の内訳は悪性腫瘍23例、自己免疫疾患42例、その他4例であった。BALを49例、生検を19例、擦過洗浄のみを10例に施行した。50例は感染の除外を含め最終診断に寄与した。最終的に感染と臨床診断された24例のうち14例は起因菌を同定できなかった。検査後合併症は5例に認め重篤な呼吸不全1例、発熱3例、血痰1例であった。全例で速やかに回復した。

【結論】

免疫不全患者においてもBFは安全に施行でき診断への寄与は大きいが、起因菌の検出率は高くない。


所感

免疫不全患者においてBFどうしようかな…と躊躇われることも少なくありません。この報告は後押しをしてくれるでしょうが、確かに起因菌検出にはなかなか至りませんね。



■ 睡眠時無呼吸症候群と気管支鏡中の酸素飽和度低下に関する前向き観察研究

【背景・目的】

気管支鏡検査中の静脈麻酔が広まる一方、酸素投与を必要とする危険因子は明らかでない。
睡眠時無呼吸症候群を危険因子と仮定し、前向き観察研究を行った。

【方法】

気管支鏡中の最大酸素投与量を記録した。また同日にアプノモニターを行った。アプノモニターの解析者は酸素投与量に対して盲検され呼吸障害指数(RDI)を求めた。RDI値5回/時間以上の患者をSAS群とし、酸素投与量とSAS群の単回帰解析を行った。交絡因子として性別、年齢、鎮静薬使用量、マランパチー分類を含め多重回帰解析した。

【結果】

解析対象者は70人で女性は33人、SAS群は29人だった。単回帰分析でSAS群は有意に酸素投与量が増加した。多重回帰分析でもSAS群で有意に酸素投与量が増えた。その他女性で有意に酸素が多く投与された。

【結論】

気管支鏡中の酸素飽和度低下の危険因子として、SASと女性が挙げられた。


所感

この研究を始めるにあたっての背景をもう少し知りたいですね。SASが危険因子であるとして、それがわかったことで酸素投与量が多くなると予想され、それで…。

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posted by 長尾大志 at 17:41 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月07日

束の間の春休みが終わりました〜

ウチの5年生の皆さんは4月から臨床実習が始まるのですが、これが教授×2週間となっておりまして、最近立て続けに教授が新設されたためにどんどん夏休みなどの長期休暇が減らされまして、もはや長期休暇は2週間ずつとかになっております。ということは、私たちの長期休暇?学生さんが来ないので腰を据えていろいろ物事を考えたり、授業の組み立てを考えたり出来る期間もそれだけ短縮されています。

で、この春休みも2週間だったのですが、この春から循環器と呼吸器で2週間、というカリキュラムを、循環器と呼吸器、完全に分けるという試みを始めました。

ということで、循環器さんは先週から実習開始となりましたが、呼吸器は明日月曜日からの開始です。

全く新しい試みがいろいろと始まるので、大変緊張しております。

まあでも、学生さん次第、そして症例次第なところがありますから、どうなっていくでしょうか…??

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posted by 長尾大志 at 22:19 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月05日

第59回日本呼吸器学会学術講演会ポスター発表「内視鏡1」セッション予習1

ふと気がついてみれば、来週末には日本呼吸器学会学術講演会ですね。

今回私はポスター発表「内視鏡1」セッションの座長になりましたので、例によって予習をして参りたいと思います。

いつもは座長を仰せつかっている日の日帰りが多いのですが、今回はポスターの日程が金曜日の午前中、そして土曜日の夜に別件があるため、木曜日の夜から日曜日まで東京にステイするという、なかなか珍しい日程となっております。

こうなったら普段あまり勉強できない学会場での勉強を、この機会ですのでしっかり頑張ろうと思います。

さて今回は内視鏡のセッションです。なかなか興味深い演題が見られますね…。


■ 大口径ブロンコガイドシースを用いたEBUS-GS Cryobiopsy

背景

2.2mmのシースではクライオプローブが通過困難であるが、大口径のブロンコガイドシースは2.7mm口径であり、GS-TBLCが可能となる。

目的

当院で施行したGS-TBLCについて検討する。

対象と方法

末梢肺病変に対しGS-TBLCを施行した例を検討した。

結果

13症例で施行し、採取回数中央値2回、施術時間中央値30.5分、重篤な合併症は認めなかった。EBUS所見がwithinであった症例とadjacent toであった症例は100%の診断に至った。

所感

大口径のブロンコガイドシースを用いてクライオプローブによるクライオバイオプシーを施行された記録です。

クライオバイオプシー…皆さんのご施設ではいかがでしょうか。まだまだウチでも…でもどんどんされているところはされている。この報告では腫瘤に対してですね。

症例数が13例ですのでなかなか統計的にものは言えないかもしれませんが、少なくともEBUSの所見がwithinであった症例とadjacent toであった症例は100%の診断に至ったということで、やっぱり大きな組織を採った方がいいよね〜、という話にはなると思います。

個人的には、TBLBではなかなか診断に至らない、間質性肺炎もそうですがリンパ増殖性疾患なんかが診断出来るといいなあ、と思っております。

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posted by 長尾大志 at 19:23 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月04日

気管支喘息/COPD安定期の対応4

・増悪の予防

増悪の原因として、呼吸器感染症(細菌感染・ウイルス感染・非定型病原体による感染など)、大気汚染などが大きな割合を占めていると考えられています。そのため増悪の予防としては手洗いなどの感染予防が重要であることは論を待たないわけですが、それ以外には以下のようなものが勧められています。

・禁煙
・肺炎球菌ワクチン
・インフルエンザワクチン
・リハビリテーション
・長時間作用性気管支拡張薬


・禁煙

喫煙者では線毛機能が障害されたりして感染のリスクが高く、禁煙者に比べて増悪頻度が高いものです。禁煙によって増悪頻度が1/3程度に減少するとされています。


・ワクチン

気道感染の予防策として、手洗いとともにワクチン接種が有効です

@肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチンにはPPSV23(ニューモバックスレジスタードマーク)と、PCV13(プレベナーレジスタードマーク)の2種類があります。日本では65歳以上のすべてのCOPD患者に肺炎球菌ワクチン接種が推奨され、65歳未満でも重症のCOPD患者にはPPSV23の投与が推奨されています。

Aインフルエンザワクチン
あらゆるCOPD患者にインフルエンザワクチン接種が推奨されています。


・リハビリテーション

身体活動性の低下は誤嚥などにつながり、増悪が増加し生命予後も不良になるため、身体活動性を維持するよう努めることが重要です。


・長時間作用性気管支拡張薬

メタ解析の成績ではLAMA、LABA、ICSいずれもCOPDの増悪頻度を減少させることが分かっています。しかし一方で、ICSは肺炎のリスクが増加することが示されており、ICS の使用に関してはまだまだ議論があるところです。

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posted by 長尾大志 at 17:50 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月03日

気管支喘息/COPD安定期の対応3

■ COPDの安定期治療

COPDは「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与し起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが、これらの症状に乏しいこともある」(COPD診断と治療のためのガイドライン第5版2018、日本呼吸器学会)と定義されています。

安定期の管理目標は、現状の改善と将来のリスクの低減を目指すものです。

COPDは、肺胞の破壊という不可逆的な病変を伴いますので、禁煙以外に進行を止める手立てはないのが現状です。したがって、可逆性のある気道病変に対する薬物療法も重要ではありますが、それ以外の、非薬物療法(運動療法とか、栄養療法とか、教育とか)の占めるウエイトが大きいのが特徴です。

ガイドラインにある、「安定期COPDの重症度に応じた管理の図」をみると、重症度もハッキリ区切られておらず、薬物療法、非薬物療法とも区切りが何とも漠然としているのに気づかれるでしょう。

以前は肺機能(予測値に対する%1秒量)をある程度重症度の目安にしていたのですが、昨今では自覚症状がどの程度あるか、増悪の頻度がどの程度か、ということがらの方が予後やQOL、ADLに大きく関わってくるということが明らかになってきました。

そのため、例えば症状が強い人は薬物を追加するとか、リハビリテーションを追加するとか、症状を見ながらやっていきましょうという感じになっています。どちらかというと薬物の管理アルゴリズムを見た方がいいかもしれません。

薬物療法は比較的シンプルな考え方で、症状が強ければ薬剤を追加していきます。また増悪の回数が多い場合にも薬剤を追加した方がいいようです。

まずは必要に応じてSABA→LAMAまたはLABA→LAMA+LABA、さらにテオフィリンや喀痰調整薬の追加、という感じで、それほど複雑ではありません。

症状がどの程度であるか、という目安にはmMRC(modified Medical Research Council:修正MRC)質問票(息切れの評価)とCAT(COPD assessment test)質問票(症状やQOLの評価)という2つの指標がよく使われます。

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posted by 長尾大志 at 19:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年04月02日

気管支喘息/COPD安定期の対応2

・薬剤介入における注意点

特に吸入薬は内服薬よりも「面倒くさい」ので、服薬アドヒアランスを確認することがが大切です。

@残薬が多くないかを確認し、実際に吸入しているかの確認を行う。
喘息あるある
→症状が良くなっているからと吸入薬を自己中断や減薬、吸入忘れ
面倒なのでコントローラーを使用せずリリーバーだけ使う

A吸入手技を確認する。
薬剤開始後1度は実際に患者さんに目の前でやってもらって確認しましょう。


・薬剤を変更するタイミング
@コントロール不良の場合のステップアップ
季節性の花粉症薬の追加など、季節に応じた対応も大切です。

Aコントロール良好の場合のステップダウン
コントロール良好な状態が3〜6ヵ月維持されたら、治療のステップダウンを試みます。

B副作用への対応
吸入ステロイドの副作用は口腔・咽頭カンジダ症と嗄声といった局所の副作用が多いものです。対応としては吸入後のうがいや水分摂取がありますが、比較的コントロールが良好であれば吸入回数を減らすことも考慮します。
また、製剤タイプでは加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)が粒子径が小さく、局所の副作用を起こしにくいといわれていますが、ドライパウダー吸入器(DPI)でも、ブデソニドは粒子径が小さいといわれていますので、それらに変更することもあります。pMDIであれば吸入にスペーサー(吸入補助具)を用いる方法もあります。

高齢者の方で吸入手技が難しいとの理由で、ホクナリンテープ貼付だけが処方されている症例(喘息にLABA単独使用は禁止です!)や、内服のステロイド製剤が長期に処方されている症例を見かけることもごくまれにあります。内服ステロイドには副作用も多くみられます(6日目、ステロイドの章を参照)。吸入デバイスを変更したり、家族の協力を得たり、スペーサーを用いたり、などなど工夫してなんとか吸入ステロイドを使ってみましょう。

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posted by 長尾大志 at 18:37 | Comment(2) | 呼吸器研修ノート

2019年03月26日

気管支喘息/COPD安定期の対応1

気管支喘息と診断したら、どの程度の重症度かを評価し、それに基づいて安定期の治療を組み立てます。未治療で始めて診断されたときの重症度は、主に喘息症状の頻度、強度、夜間症状とPEFやFEV1を参考に評価します。

で、症状によって、治療ステップを決め、そのステップに基づいてコントローラーを適宜組み合わせて治療をします。

実臨床では、よほどの重症でなくてステップ3くらいまでなら、ICS/LABA合剤の標準量を開始してみる、という感じで治療を進めることが多いように思います。

で、治療中の症例においては、コントロールが出来ているかどうかを評価し、コントロール不良であれば治療ステップを上げる(=薬剤を増やす、追加する)、コントロール良好であれば治療ステップを下げる(=薬剤を減らす)、という感じになります。

現在のコントロール状況を把握する

現在のコントロール状況を把握する項目として、咳、呼吸苦、喘鳴、睡眠障害、活動制限や増悪の頻度などを確認します。

また、ピークフローをモニタリングし、日内/週内の変動をみるのも参考になります。



…ちょっと諸事情で、これ以降しばらく更新がストップいたします。3,000記事目も間近で、楽しみにお待ち頂いている方には申し訳ございませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです。

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posted by 長尾大志 at 17:37 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月25日

気管支喘息/COPD急性期の対応4

急性期を乗り越えて安定したら、診断を確定して安定期治療に移行します。

ただし、気管支喘息か、COPDか、はたまた合併例(ACO:Asthma and COPD Overlap)かの鑑別はしばしば難しいものです。

初学者の方には、わかったようなわからないような『喘息予防・管理ガイドライン2018』の診断基準よりも『喘息とCOPDのオーバーラップ(Asthma and COPD Overlap:ACO)診断と治療の手引き2018』に挙げられている基準の方が明快でわかりやすいと思いますので、そちらを参照されることをお勧めします。



■ COPD と診断がついている症例の急性期診療(COPDの増悪)

COPDの増悪とは、「息切れの増加、咳や痰の増加、胸部不快感・違和感の出現あるいは増強を認め、安定期の治療の変更が必要となる状態をいう。ただし、他疾患(心不全、気胸、肺血栓塞栓症など)の先行の場合を除く。症状の発現は急激のみならず緩徐の場合もある。」と定義されます。(『COPD診断と治療のためのガイドライン第5版2018』より引用)原因としては感染などが契機になる事が多く経験されます。

治療の基本はABC+呼吸管理です。

A(antibiotics)抗菌薬
B(bronchodilators)気管支拡張薬
C(corticosteroids)ステロイド

喘息発作のときと似た薬剤を使いますが、COPDとわかっていると進め方がいささか異なります。そもそも喘息発作は治療に速やかに反応することが多いですが、COPD症例の回復には時間がかかります。ですから喘息症例は「治療への反応」をみて入院の判断をしますが、COPD症例では重症度、現在の状態などから判断することが多いと思います。


・COPD増悪を疑ったときに必要な検査

動脈血液ガス分析
胸部単純X線写真
血液検査
心電図
また、必要に応じて胸部CTや、感染を疑った際には喀痰検査も行います。心不全との鑑別が必要な際は血清BNP測定や、心臓超音波検査を行います。


・入院適応の判断
総合的な評価が必要ですが、目安として以下のような項目を参考にして判断します。

低酸素血症の悪化・呼吸不全
錯乱、傾眠などの症状
初期治療に反応がない
入院が必要なレベルの感染症が原因の場合(点滴抗菌薬が必要)
独居や高齢者など、在宅サポートが乏しい


外来での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 繰り返し吸入も可能

Aステロイド
 経口プレドニンレジスタードマーク0.5mg/kg 5〜7日間処方

BCOPD増悪時には発熱、膿性痰などを認めることが多く、抗菌薬を投与することが多いでしょう。
COPDの気道感染原因菌はH.influenzae、肺炎球菌、M.catarrhalisなどの頻度が高いとされているので、アモキシシリン+クラブラン酸やレスピラトリーキノロンなどがよく使われます。


入院での投薬
@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入 1日3〜4回

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与 1日数回

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
COPD症例では増悪時にCO2ナルコーシスをきたす危険性があり、二酸化炭素貯留の有無を必ず確認しておくべきです。二酸化炭素貯留がありアシデミアになっていればNPPVを導入します。

C抗菌薬
 スルバクタム・アンピシリン
 セフトリアキソンなどが使われます。

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posted by 長尾大志 at 17:54 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月22日

気管支喘息/COPD急性期の対応3

既に喘息と診断がついている症例でも、ほぼ同じ治療になりますが、A点滴静注のタイミングで、ステロイドに加えてネオフィリンを投与することがあります。私世代の先生方までは馴染みがあるのではないでしょうか。

A’ アミノフィリン点滴静注
ネオフィリンレジスタードマーク125mg〜250mg+ソリタT3号200mL/5%ブドウ糖液250mLを点滴投与

メタ解析などでは有効性がなかった、と分が悪いのですが、効果の立ち上がりが遅いステロイドに併用することで、患者さんの症状改善が早い…と症例報告/経験的にいわれています。

ただし、ネオフィリンは体内でテオフィリンに変化するため、テオフィリン経口薬を常用している症例では血中濃度が上がりすぎて中毒症状(動悸や頻脈、悪心・嘔吐など)が生じる恐れがあるため、経口薬を常用しているかどうかで話がだいぶ違います。

具体的にはアミノフィリン250mgを1時間で点滴静注投与すると、血中濃度が約8μg/mL上昇するとされています。テオフィリン徐放製剤を1日400mg内服している場合、血中濃度は10μg/mL程度になっているといわれていますので、そこにアミノフィリン250mgをどどっと点滴すると、中毒域の15μg/mLを越してしまうので具合が悪い、ということになります。

そこでテオフィリン内服中の症例では、125mgをもう少しゆっくり投与する、など工夫されていましたが、そういうことを考えるのが面倒だ、とばかりに最近はすっかり廃れている印象ですね。なおテオフィリンを内服していない症例では、250mg程度のアミノフィリンを使用することは問題ないのではないかと考えられています。


D最重症例には0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注


■アスピリン喘息、NSAIDs過敏喘息、AERD(aspirin-excerbated respiratory disease)とは?

シクロオキシゲナーゼ1(COX1)阻害作用を持つNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の投与で、鼻閉・鼻汁・喘息発作などの気道症状が出る、非アレルギー性の過敏症(不耐症)です。

名前に「アスピリン」と入っていますが、決して「アスピリンだけに対してのアレルギー」ではありません。日常的に、アスピリンに限らず、NSAIDsの内服、座薬、貼付薬、塗布薬などすべての使用を避ける必要がありますので、最近ではアスピリン喘息という名前を使われなくなってきています。

特に気をつけたいのが発作時のステロイド投与で、コハク酸エステル型ステロイド製剤を急速静注すると発作が悪化しときに致死的な増悪を来すことがありますので注意が必要です。

その場合、内服ステロイドか、リン酸エステル型ステロイド製剤の点滴静注で対応します。

安全に施行できるとされる投与例:
リンデロンレジスタードマーク4mg+生食100mLを点滴静注

それでももし過敏症状が出てしまったら・・・!?
迷わず0.1%アドレナリン(ボスミンレジスタードマーク)0.3mg皮下注投与を行います。

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posted by 長尾大志 at 17:18 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月20日

気管支喘息/COPD急性期の対応2

喘息とCOPDは合併例も多く、しばしば除外鑑別が困難です。また、喘息の発作(急性期)とCOPDの増悪期は、治療法がよく似ています。初診の患者さんで喘息かCOPDか判然としない、という場合に、無理に診断を決めてしまう必要がない、というのもまた一つの見解であります。

これまでに喘息、あるいはCOPDという確定診断がなされていない「喘鳴と呼吸困難を訴えた症例」では、まず少なくとも身体所見や胸部X線写真から、上気道疾患、心不全や他の呼吸器疾患を除外します。それができたら喘息発作および/またはCOPD増悪と考えて、以下のような治療を開始します。

@β2刺激薬(SABA)吸入
 メプチン1A+生理食塩水10mLをネブライザーで吸入

Aステロイド点滴静注
 ソルメドロールレジスタードマーク40〜125mg+生食50〜100mLを点滴投与

B低酸素であれば、(血ガスで二酸化炭素貯留の有無を確認し)酸素投与
二酸化炭素貯留があればNPPV

C発熱、膿性痰など、感染を疑う要素があれば抗菌薬投与

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posted by 長尾大志 at 18:36 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年03月19日

気管支喘息/COPD急性期の対応1

救急の現場で、喘鳴や呼吸困難のある症例を診ることはしばしばあると思います。喘鳴や呼吸困難があって救急受診するような疾患、鑑別診断はまず喘息が頭に浮かぶかもしれませんが、緊急事態という意味では上気道の疾患を鑑別に入れておく必要があるでしょう。

有名なのは急性喉頭蓋炎、それからしばしばあるのがアナフィラキシーです。急性喉頭蓋炎は咽頭痛(喉の痛み)という特徴的な訴えがあるので、想起することは可能かと思われます。アナフィラキシーはやはりきっかけが大事ですし、加えて蕁麻疹などの皮膚症状それから ショックなどの徴候が見られるでしょう。

上気道を除外しても、特に高齢者の場合、COPDと心不全の可能性を常に考えておく必要があります。

またそれら以外にも喘鳴をきたす疾患はたくさんあり、除外が必要ですが多くのものは胸部 X 線写真を撮影することで除外診断が可能です。

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posted by 長尾大志 at 17:25 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月27日

市中肺炎の初期診断と評価2

市中肺炎と診断したら、治療の場(外来・入院・ICUまたはそれに準じる病室)を決定します。

まず全身管理が必要な、敗血症の状態かどうかを始めに評価します。これには簡便に評価可能なqSOFAスコアを用いて2点以上であれば敗血症を疑い、さらにSOFAスコアでベースラインから2点以上増加していれば敗血症と診断します。


敗血症であればICU、又はこれに準ずる全身管理可能な病室で入院管理となります。敗血症がないと考えられる場合、A-DROP(日本呼吸器学会による)やCURB-65(英国ガイドラインによる)などのシステムを用いて重症度評価をします。


A-DROPでの5項目を何も満たさないものは軽症、5項目のうち1つまたは2つを有するものを中等症、そして5項目のうち3つを有するものを重症、4つ以上を有するものを超重症とします。ただしショック状態であれば、4項目満たさなくても超重症とします。

A-DROPで軽症の場合外来治療を行い、中等症の場合は外来でも治療可能ですが状況によって入院を考慮します。重症であれば入院加療が必要ですし、超重症となりますと敗血症同様、ICUまたはそれに準じる全身管理可能な病室での管理ということになります。


治療の場が決定したら、非定型肺炎か細菌性肺炎かの目星をつけます。

6項目のうち、4項目以上合致すれば非定型肺炎、特にマイコプラズマ肺炎が考えられます。3項目以下の合致であれば細菌性肺炎を疑うものとします。この項目を用いた臨床診断によって、エンピリック治療が可能となるのです。

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posted by 長尾大志 at 19:06 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月25日

市中肺炎の初期診断と評価1

肺炎とは肺実質に生じた炎症のことですが、市中肺炎という場合、通常は感染によって起こった炎症を指します。

症状としては、咳嗽・喀痰・呼吸困難・胸痛といった呼吸器/肺にまつわる症状と、発熱・倦怠感・意識障害・食事不振といった全身症状が認められます。通常急性に発症し、数日間の経過で悪化して受診に至ることが多いです。

診察上、発熱・頻脈・頻呼吸があり、胸部聴診ではcoarse cracklesを聴取します。重症例では意識障害や血圧低下ショックをきたすこともあります。

血液検査では白血球増多(左方移動を伴う)やCRPなど炎症反応の上昇が見られ、胸部X線写真でコンソリデーションや斑状の高吸収域を認めます。

通常これらの典型的な症状・所見があれば肺炎の診断に至りますが、診断に苦慮する場合、喀痰が採れればグラム染色で好中球や菌体を確認することも有効です。


市中肺炎(CAP)とは市中にいる健康な人、すなわち病院や医療介護関連施設に縁のない人に発症した肺炎のことです。

それに対して院内肺炎(HAP)というのは、病院に入院中に発症した肺炎です。入院中ということは何らかの基礎疾患を有しているわけで、加えて院内には耐性菌がうじゃうじゃいますので耐性菌が原因菌となるリスクが高いことになります。

そして医療介護関連肺炎(NHCAP)ですけれども、以前HAPとNHCAPをわざわざ分けたのですが、やはりそれほど分ける意味がなかったということで、日本の最新ガイドライン(成人肺炎診療ガイドライン2017)では院内肺炎とあわせてHAP/NHCAPというような扱いとなっています。

一応NHCAPの定義を挙げておきます。

長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している
90日以内に病院を退院した
介護を必要とする*高齢者・身障者
通院にて継続的に血管内治療**を受けている
*Performance Status 3以上
**透析・抗菌薬・抗癌化学療法・免疫抑制薬などによる治療

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posted by 長尾大志 at 16:16 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月24日

2019年3月以降の予定(講演など)

3月以降の予定、ちょびっと増えて参りましたので、また並べてみることにします。

3月2日(土) 16時〜17時 山形県医師会 「ドクターX線〜私、読影失敗しないので〜」@大手門パルズ

5月12日(日) 8:20〜9:50 適々斎塾・研修医ことはじめセミナー 「胸部X線写真の読み方(仮)」

5月17日(金)〜日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 ようこそ私たちの診察室へAレントゲン写真のない呼吸器科診察室

6月1日(土) 9:30〜16:30 メディカ出版セミナー 「急性期・術後の呼吸器ケア」@大阪・クリスタルタワー
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

6月14日(金) 音羽病院呼吸器勉強会「京都RIMカンファレンス」あの京都GIMカンファレンスの聖地、音羽病院で、Respiratory Internal Medicineをテーマとするカンファレンスを企画いたします。

6月15日(土) 関西膠原病研究会にて、胸部X線漬けの勉強会やらせて頂きます。

6月22日(土) 9:30〜16:30 メディカ出版セミナー 「急性期・術後の呼吸器ケア」@東京・建築会館
https://www.medica.co.jp/seminar/detail/131

7月12日(金) 某大学にて出張講義 大学名を告知していいのか確認していませんので一応伏せておきます。

10月27日(日) 京都府理学療法士会生涯学習部

11月11日(月)〜日本呼吸ケア・リハビリテーション学会にて教育講演

11月24日(日) 13時〜 日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)スキルアップセミナー「やさしイイ呼吸器」

先の予定は詳細が未定の部分も多いのですが、ご参加ご希望の皆様、講演ご依頼のご参考になれば幸いです。

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posted by 長尾大志 at 21:05 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月22日

FD 研修会で『学修の評価』

少し前から、色々な研究会勉強会に参加する機会が多く、色々な講演を拝聴するのですが、なかなか自分の中で消化しきれずスルーしてしまいそうになるので、ちょっと振り返っておきたいと思います。

少し前ですが、学内のFD研修会で、京都大学医学教育・国際化推進センターの小西靖彦先生によります『学修の評価』というタイトルの講演を賜りました。

講演の内容と、拝聴しながら考えたことが少しごっちゃになりますけれども、備忘のために記しておきたいと思います。

最近とかく学生の臨床実習でも研修医でも、『評価』ということがかなり重視されてきており、どのご施設の先生方も大変に事務作業が増え、ご苦労されているのではないかと思います。

評価はなぜ、何のためにやるのか。この目的は「フィードバック」であり、形成的評価、すなわち個人の成長のために用いるということです。誰が評価するのか。これは基本、指導医なのですが、最近では360度評価として、同僚やコメディカルスタッフ、それに患者さんやそのご家族などなど、多くの人々に評価していただく、フィードバックをいただく、ということが重要だと言われています。もちろん理想的にはそうですが、一様にその労をお執り頂く、というのは困難が予想されます。

何を評価するのか。アウトカムであります。アウトカムは各施設で作っていて、まぁ大体同じような「ちゃんとしたお医者さん像」になっているわけですが、アウトカムを作ったからには、それに沿うような結果になっているのかどうかを評価する必要があるということです。

海外の多くの国において、そのようなアウトカム・ゴール・目標が定められていて、そこから逆算して研修なり実習が組まれているというところです。アウトカムをもう少し具体的にし、細かく項目に分けたものをコンピテンシーといって、医師の(評価できる・観察できる)能力のことを表し、それが段階的に達成されていくのを評価者が観察して評価する。それが卒前から卒後にかけてシームレスに段々と達成されていく様子をフィードバックしていく、というのがアウトカム基盤型教育のカタチだと思うのですが、まあ、絵に描いた餅と申しますか、なかなか難しいところがあるかと思います。

アウトカム基盤型教育の目的というのはいくつかあるのですが、学生や研修医に正しい方向性を示すということ、それから重要なトピックを確実に評価するというところ、そしてカリキュラムの欠陥を見つけること、というようなこともあげられています。

到達状況のモニタリングには、プログラム化された評価、つまり誰が評価しても同じような結果になるようなものが近年の考え方で、十分Nを増やす(多面的に山ほど評価する)ことによって、総合的にその医師の能力を評価する、という方向になっています。なので山ほど評価する項目があって、山ほど作業があるわけです。

異なった複数の評価者による評価が10回以上あると、信頼性が80%以上となると言われています。そういう評価を細かくたくさんつけていこうとすると、例えば学生の間のカリキュラムであれば山ほど試験問題を作成する必要があるということになります。臨床実習においてもOSCEにおいても、山ほど問題があって山ほど評価する方が妥当な評価が出てくる。まああそりゃそうですね。

それで果たして労力に見合う「アウトカム(=「いい」医師)が得られるのか。ポートフォリオ(そういう評価を記録し残すもの)についても、きちんとやればおそらく学びは多く、学習者に対するフィードバックは甚大であるのではないかと思いますが、評価者の負担もこれまた甚大であるように思われます。評価することに関するモチベーションがどれだけ保たれるのでしょうか。

コアカリキュラムが改訂され卒前の臨床実習で経験すべき症候病態がものすごく増えました。これを果たしてウチで出来るのかどうか甚だ疑問であります。

他にも知らないことが盛りだくさんの内容をお話し頂き、大いに参考にすべきかと思いましたが、色々と疑問点もわいてきました。

最後に質問をさせていただいたのですが、そもそも指導医の質の担保が可能なのかということです。これに関しては N を増やすことで対処可能と考えておられるということでした。

もう少しそもそも論の話をしますと、指導医自体がその医師としてのあるべき姿に達していない場合、その施設での医学教育というのが端から矛盾してしまうというか、破綻してしまうというか、そういったことにならないかなという疑問がありました。

あと、この評価のために指導医の手間暇、作業がかなり増えることになりますが、それだけの手間をかけてアウトカムが良くなるというエビデンスがあるのか、今後それを検証される予定があるのか、そこが一番知りたかったところでありますが、直接ご質問するのはなんとなく憚られました…。

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2019年02月21日

胸部CTの適応と基本的読影5

・網状影、蜂巣肺

細かな網の目状の陰影を網状影といいますが、特に分布が胸膜直下で、網の目の一つ一つが、小さな嚢胞(丸い形をしている)が何層にも重なっているものを蜂巣肺といいます。胸部X線写真では区別が難しいところですが、CTではこのように、嚢胞の集合している像が確認出来ます。

スライド48.JPG


・リンパ路の肥厚像

血管や末梢の気管支壁が肥厚している像です。胸部X線写真ではしばしば網状影や、蜂巣肺との区別が難しいものですが、CTではわかりやすいものです。

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2019年02月20日

胸部CTの適応と基本的読影4

孤立性・限局性の陰影

・粒状影

米粒大の大きさで、粒のように、パラパラと限局する白い陰影です。

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・結節影

粒よりは大きく、カタマリ感(腫瘤)ほどまで大きくはない限局性の陰影です。およそ直径5mm〜3cm程度のものをいいます。

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・腫瘤影

カタマリ感のある(直径3cm以上)限局性の陰影です。

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結節影・腫瘤影の随伴所見

胸膜陥入像

腫瘤影から胸膜に到達する線状の陰影です。胸膜を腫瘤が引っ張り込んだものと考えられています。

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2019年02月18日

胸部CTの適応と基本的読影3

縦隔条件ではさらに、造影剤を注射した後に撮影する造影CTが、特に肺癌診療や肺血栓塞栓症の診断などに有用です。造影剤は縦隔条件で白っぽく写るので、造影剤を使わない単純CTよりも白っぽく写る部分は血管、ないし血管が豊富な箇所(新生血管の豊富な腫瘍性病変など)と考えられるのです。

単純CTでは、縦隔のリンパ節と血管の区別がつきにくいのですが、造影剤を使うと一目瞭然。

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造影CTにてまだらに白っぽく染まる、「造影効果」がある結節、腫瘤は悪性の可能性が高く、感度の高い検査です。逆に、造影効果がほとんど見られない場合は良性が示唆されます。

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このような質的診断以外にも、病変の存在部位、大きさ、広がり、正常構造との関係、リンパ節転移、隣接臓器への浸潤などが把握可能ですので、造影CTは肺癌の病期診断にグレードAで推奨されています。



■ 用語集

CT所見を述べるときに知っておきたい、専門用語とその実例を挙げておきましょう。


・気腫肺

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COPDや重喫煙者でみられる、正常肺野よりも黒いエリアです。


・すりガラス影

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正常肺野より白い、ある程度の拡がりを持つ陰影ですが、真っ白ではなく霧がかかった程度で、元々存在する血管影が見えるものをいいます。


・コンソリデーション

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連続性に拡がる、すりガラス影より白い(真っ白)陰影です。しばしば内部に気管支透亮像(エア・ブロンコグラム)が認められます。


さて今日はこれから、院内で行われます【在宅呼吸不全患者に関する講演会】。

国立病院機構南京都病院 呼吸器センター内科医長の 角 謙介 先生に、「NPPVのすべらない話」と題したお話を頂く予定です。めっちゃ楽しみです。

明日はいつものスパルタンな外来から、静岡県志太医師会さんにお邪魔します。更新は出来なさそうな予感がプンプン致しますので、予めお詫び申し上げます。

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2019年02月12日

胸部CTの適応と基本的読影2

CT の読影の基本事項として、まず条件について知っておきましょう。大きく分けて肺野条件と縦隔条件の二つがあります。

肺野条件というのは全体的に白っぽく、その名の通り肺野(肺の中身)を見るための条件です。逆に肺野の外の、軟部組織や縦隔は全体的に真っ白く見え、評価には適しません。

肺野条件の正常像を見てみましょう。肺の中に見られるのは分岐している血管影です。

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縦隔条件というのは逆に、その縦隔や軟部組織、骨などを評価するのに使います。こちらの条件では、肺野は真っ黒にしか見えず、ほとんど評価に値しませんが、肺野に存在する腫瘤影に、石灰化が含まれているかどうかとか、そういう評価には使えます。

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縦隔条件では、空気に近い密度の肺は真っ黒に見え、水の密度である筋肉やリンパ節などは灰色に見えます。水より密度の小さい脂肪はかなり黒っぽいグレーに写ります。そして水よりも密度の大きな骨や石灰化病変は、ほぼ真っ白に写ってきます。

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2019年02月07日

胸部CTの適応と基本的読影1

胸部 CT を撮影する適応のようなもの、これといった決まりはありません。当然、胸部 X 線写真をまず撮影し、所見に疑問がある場合ということになると思いますが、CTそのものへのアクセスの容易さや、施設の中での(稼働台数による?)病院の方針などによっても多少左右されるでしょう。

ある程度以上の規模の研修病院であれば、CTへのアクセスは比較的容易で、研修医でもすぐに撮影できる状況であることが多いように思います。その場合CT撮影のハードルは比較的低いものでしょう。特に救急の現場では見落としということを防ぐためにCDが積極的に推奨されている面もあるだろうと思われます。

一方で開業医の先生方や外来中心のクリニックの場合だと、CTを撮影するために紹介が必要であったりするわけで、比較的ハードルは高くなる傾向にあるでしょう。このように置かれた状況によっても、CTを撮るか撮らないかというのは温度差が大きいように思います。

しかし、ここで強くお願いしておきたいことは、「胸部のCTを撮る場合には必ず胸部X線写真も同時に撮っていただきたい」ということです。

もちろんCTの方が感度も高く、よく見えるわけですが、毎日撮るというわけにはいきません。つまりフォローアップは胸部X線写真で行うことになるわけで、治療前、観察開始時のコントロールとしても、CTと同時期の胸部X線写真があると助かります。


…今日はこれから、こちらに行って参ります。

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某科の教授選が大いに気になるところではありますが…。

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2019年02月06日

疾患に典型的な画像・肺癌(無気肺・胸水)3

一方胸水は、肺の外の胸腔内に水が溜まった状態を指す言葉です。

通常胸腔内は真空で、ごく少量の胸水で満たされているわけですが、何らかの原因でその胸水が増えてくると当然白い陰影として認識されます。

特徴的な所見として、当然水は重力に引っ張られて「下」に溜まるわけですが、端っこの隙間に入っていく毛細管現象によってその端が丸く見えるというものがあります。

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ですから胸部X線写真で下の方にべたっと白い陰影があったら、その端っこ、特に胸壁付近を見れば、胸水だと気付きやすいものです。

それから胸水があるということは、そのぶんボリュームが増えておりますので、縦隔、特に気管などの構造物が押されやすい、そういう所見も特徴的になります。

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posted by 長尾大志 at 17:01 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年02月05日

疾患に典型的な画像・肺癌(無気肺・胸水)2

無気肺になったエリアは縮んでいるわけですから、周囲の正常構造物がそのエリアに向かって引っ張られることがあります。

気管がそちらに向かって引っ張られるとか、上葉に限らず横隔膜が引っ張りあげられるとかいう変化を見れば、その白い範囲は無気肺ではないかと推測することができるわけです。わかりやすい例を挙げてみましょう。左全体の無気肺です。

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2019年02月04日

疾患に典型的な画像・肺癌(無気肺・胸水)1

肺癌はまず、結節影や腫瘤影といった言葉に代表される塊(カタマリ)状の陰影がよく見られることはご存知だと思います。

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肺の中に転移もよく起こってくるのですが、この場合通常は原発巣が大きくて、転移巣は比較的小さい結節とか粒状影があちこちに散らばっている、という具合に見えるのが典型的です。


それ以外に、肺がんでは無気肺や胸水が生じるので生じることが多いので、特にカンファレンスを乗り切るためには、これらの所見をしっかり読影できる必要があります。

無気肺とは、気管支内に腫瘤ができて気管支を閉塞することで、それより末梢に空気が出入りしなくなり、肺胞の中にある空気が肺胞周囲の毛細血管の中に溶け込んで、結果空気がなくなっていく、つまり肺の中の空気がなくなった状態を指します。

閉塞した気管支が末梢の方であれば、Kohn孔やLambert管などの穴(側副気路)を通じて空気が入ってくるので、肺が虚脱してしまうことはありません。

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が、葉気管支、中枢レベルの気管支が詰まってしまうと、例えば 中葉から下葉へ、のように葉間胸膜をまたいでは空気が行き来しませんので、無気肺が成立するわけです。そんなわけで、無気肺は葉単位で発生することが多いというわけです。

区域気管支、つまりS1〜10あたりのレベルの気管支が詰まっても、区域というとそこそこ大きな容積になりますから、それをまかなうほどの空気の融通はしにくいので、無気肺が成立することもあります。

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いずれにしても、気管支の閉塞による無気肺は、比較的中枢の気管支を頂点にした扇形といいますか三角形といいますか、そういう形の陰影になってくるのです。

陰影の内部は、空気が抜けてしまっているわけですから真っ白になります。無気肺というのは縮む病変ですから、辺縁は内向きに凸になります。こんな感じですね。

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2019年01月31日

疾患に典型的な画像・肺炎

典型的な肺炎の陰影が、浸潤影/コンソリデーションです。

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この写真自体いろいろ突っ込みどころはあるのですが(笑)、右上中肺野のべたっとした、広がりを持った、濃い白い陰影に注目しましょう。

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CTだとこの広がり。このべたっと具合です。


ただ最近では、抗菌薬を初期から使われることから、このように典型的な、べったりした陰影が見られることは少なく、下のような気管支肺炎像を呈することが多いですね。

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限局する高吸収域が散在する、という感じです。

CTで見ても、斑状に限局する小さなコンソリデーション、あるいは結節状の陰影が散在していることがわかります。

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2019年01月30日

疾患に典型的な画像・肺結核/肺非結核性抗酸菌症2

抗酸菌の症例でみられる限局性の陰影は、粒状影/結節影/腫瘤影なのか、はたまた浸潤影/コンソリデーションなのかすりガラス影なのか。

CT を見ると、粒状影/結節影/腫瘤影というのはくりっとした塊みたいな陰影として見られますのでわかりやすいですね。これらの違いは、大きさです。

粒状影:直径5mm未満
結節影:5mm〜3cm
腫瘤影:3cm以上

浸潤影/コンソリデーションは、どちらかというとべたっとした、広がりを持ったような陰影として見られますので、CTであればそれほど悩む場面は少ないかもしれません。でも胸部X線だと、結節影であっても本当にクリッとして見えるとは限りません。

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上の写真でいうと、右下の陰影なんかはべたっとして見えるかもしれないです。このように胸部X線写真ではCTと違って、結節影や浸潤影/コンソリデーションの区別がしばしば難しいことがあります。

ですから、あまりその辺りを厳密に分けるということはせずに、「限局性の(白い部分があるというような意味で)高吸収域」という言葉を使うことが多いと思います。

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posted by 長尾大志 at 19:40 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年01月18日

疾患に典型的な画像・肺結核/肺非結核性抗酸菌症

肺結核、肺非結核性抗酸菌症の典型的・特徴的な陰影として、一つは肉芽腫病変を反映した結節影があります。結節内部は乾酪壊死巣で、壊死物質は気管支から流れ出してしばしば空洞を形成します。

どちらかというと、肺結核では、特に初期は1つ大きめの病変(しばしば空洞を伴う)があって、その周りに小さな粒状影や結節が集まっているというような陰影が特徴的です。

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一方肺非結核性抗酸菌症では、両側にパラパラと大小大きさが不揃いの結節が散っていることが多いという印象があります。その結節はある程度の大きさになってくると内部に空洞を生じ、黒く抜けて見えることがあります。

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それからどちらも結節が所属する気管支の枝が気管支拡張を起こして、壁が肥厚していたり気管支そのものの径が大きくなっていたり、という所見が見えることもあります。

それと特に非結核性抗酸菌症(MAC症)の場合では、結節より遠位・末梢の胸膜が肥厚しているような像も見られることがあります。

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…という所見等は CT だとよく見えるのですが、普通の胸部X線だとなかなか見づらいものです。特に小さな結節の空洞病変というのは、胸部X線写真では認識できないこともしばしばです。

胸部X線写真ですとこんな感じ。

スライド12.JPG

パラパラと散在する、結節のような限局性の陰影。しばしばその中に空洞のような黒っぽい陰影が見られることもあります。それから一部気管支壁の肥厚(トラムライン)のような線が見えることもあります。それから胸水が見られることもあります。通常は片側に見られますが、病変が両側にあったり心不全が合併したりすると両側に見られます。

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2019年01月17日

疾患に典型的な画像・気胸

気胸で典型的に見られる画像はこんな感じです。

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・患側の肺野内に肺の外縁である「線」がみえる
・「線(肺)」の外側は、(空気しかないので)真っ黒、肺紋理はみえない
・「線(肺)」の内側は、(肺の縮み具合にもよるが)白っぽくなる
・(時間が経つと)胸水がたまりニボーがみえる

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2019年01月16日

疾患に典型的な画像・特発性肺線維症(IPF)

IPFに典型的な画像ではこんな特徴がみられます。

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・胸郭は小さめ(横隔膜は上昇している)
・下肺優位、特に横隔膜付近の肺野濃度が上昇している
・(濃度上昇により)横隔膜の線が不明瞭になっている
・濃度上昇の中に網状影がみられる
・下葉の容量減少を反映し、毛髪線が下方に移動している

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胸部X線写真におけるこの濃度上昇をどのように表現するか。難しい問題です。写真の、中肺野あたりの陰影であれば、ふんわりと何となく白っぽくなっている、「すりガラス影」という表現でよさそうで、下肺野になるとそこに網状影が乗ってくる、という感じかと思います。

CTをみると、網状影にあたるのは、経が数mm程度の嚢胞が数層重なって形成される、蜂巣肺であるとわかります。

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posted by 長尾大志 at 16:57 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2019年01月15日

疾患に典型的な画像・COPD

COPD

COPDに典型的な画像はこんな感じです。

・パッと見胸郭が大きい(横隔膜が低下している)
・横隔膜の平低化(平坦化)と共に両側肋横角が鈍化
・心陰影は縦長になり、左右対称(滴状心)

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この写真では心陰影の特徴以外合致します。

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2018年10月10日

肺炎など呼吸器感染症の診断と抗菌薬の選択4

市中肺炎エンピリック治療に補足します。

一般病室入室患者群のエンピリック治療については以前書きましたが、A-DROP4点以上、あるいはqSOFA2点以上の集中治療室入室(が望ましい)患者群のエンピリック治療を書いておりませんでした(汗)。

エンピリック治療には以下の5つの薬剤(の組み合わせ)があります。当然いずれも注射薬です。

A法(緑膿菌を考慮する場合)|カルバペネム系薬(メロペネム、ドリペネム、ビアペネム、イミペネム・シラスタチン)単剤
またはβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(タゾバクタム・ピペラシリン)単剤

B法(緑膿菌を考慮しない場合)|第三世代セフェム系薬(セフトリアキソン、セフォタキシム)単剤
またはβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルバクタム・アンピシリン)単剤

C法(非定型肺炎を考慮する場合・菌血症を伴う場合)|A法またはB法とマクロライド系薬(アジスロマイシン)の併用

D法(非定型肺炎、特にレジオネラ肺炎を考慮する場合)|A法またはB法とレスピラトリーキノロン系薬(レボフロキサシン)併用

E法(MRSA 肺炎のリスクが高いと考えられる場合)|A法またはB法またはC法またはD法と抗MRSA薬(リネゾリド、バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン)の併用


de-escalationの例

入院時、A-DROP4点でA法(タゾバクタム・ピペラシリン)単剤で治療を開始。
 ↓
2日目には解熱、呼吸数も安定、咳、痰も減少傾向あり、効果ありと判定。
 ↓
3日目にはさらに改善、喀痰培養でH.influenzaeを検出。感受性からBLNARと確認。
 ↓
タゾバクタム・ピペラシリン⇒セフトリアキソンに変更(de-escalation)

こんな感じでやっていきます。

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2018年10月09日

肺炎など呼吸器感染症の診断と抗菌薬の選択3

治療効果判定

成人肺炎診療ガイドラインでは、薬剤投与開始から3日後に、
・体温(発熱)
・咳嗽
・喀痰の量
の3項目中2項目以上が改善していれば、改善(または改善傾向あり)としています。

またそれ以外に、SpO2(呼吸数)他のバイタルサインや倦怠感、食欲なども戻ってきますし、ラ音も改善がみられますので、参考にします。

その時点で、喀痰の培養検査や血液培養などの結果も判明しますから、
・治療で改善がみられていて、
・得られた菌が現在使用している抗菌薬より狭域なものでも効きそうなものであれば
⇒より狭域のものにスイッチ(de-escalation)します。

治療終了時、治癒判定時には、
・咳嗽
・喀痰の量
・呼吸困難
・胸痛
・喀痰の性状
・胸部のラ音
の6項目について評価します。

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2018年10月05日

肺炎など呼吸器感染症の診断と抗菌薬の選択2

グラム染色や尿中抗原で抗菌薬開始時に原因菌の見当が付かなければ、エンピリック(経験的)治療を考えます。

■ 市中肺炎エンピリック外来治療(内服薬)

βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
非定型肺炎が疑われる場合:マクロライド系薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)


■ 外来治療(注射薬)

セフトリアキソン
非定型肺炎が疑われる場合:アジスロマイシン、レボフロキサシン


■ 入院治療(注射薬)

細菌性肺炎が疑われる場合:スルバクタム・アンピシリン、セフトリアキソンまたはセフォタキシム
非定型肺炎が疑われる場合:ミノサイクリン、アジスロマイシン、レボフロキサシン


さてこれから、杜の都仙台へ向かいます。第46回日本放射線技術学会秋季学術大会において、第84回画像部会での教育講演をやらせて頂きます。そういえば告知してなかったような…(汗)。

ポスター.png

第46回日本放射線技術学会秋季学術大会
https://www.jsrt.or.jp/gmeeting/shuki46/

画像部会プログラム
http://imgcom.jsrt.or.jp/program/


第84回画像部会プログラム
日 時:10 ⽉6 ⽇(⼟)午前(8:50−11:50)
会 場:第46 回秋季学術⼤会 第7会場 (仙台国際センター 展⽰棟1 階)
(第46回秋季学術大会の会期中)
テーマ 「臨床画像評価の原点:胸部単純X線像で研究しよう!」

■教育講演(画像部会) 8時50分〜9時50分 第7会場
 「優れた胸部単純X線写真とはどういう画像か?」 司会:金沢大学 田中 利恵
 @ 医師の立場から 滋賀医科大学 長尾 大志
 A 技師の立場から 社会医療法人抱生会 丸の内病院 平野 浩志


医師の立場から、こんな陰影を見つけたい、的なお話をさせて頂きます。
参加される皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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2018年10月04日

肺炎など呼吸器感染症の診断と抗菌薬の選択1

市中肺炎と診断したら、
A-DROP
CURB-65
などの表を用いて、治療の場(外来・入院・ICU)を決定します。

さらに、qSOFAを用いて敗血症の有無を評価します。

治療の場が決定したら、非定型肺炎か細菌性肺炎かの目星をつけます。


■ 非定型肺炎っぽかったら

外来(経口薬)
マクロライド系薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン)
地域に耐性菌が多い・初期治療がうまくいかない場合:ミノサイクリン

入院(注射薬)
ミノサイクリン、マクロライド系薬(アジスロマイシン、エリスロマイシン)


■ 喀痰グラム染色、尿中抗原で肺炎球菌が見えたら

外来(経口薬)
アモキシシリンの高用量

入院(注射薬)
ペニシリンG、アンピシリン
ペニシリンアレルギーがある場合:クリンダマイシン


■ 喀痰グラム染色でH.influenzae(インフルエンザ桿菌)が検出されたら

外来(経口薬)
βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
BLNARとBLPACRが多い地域:レスピラトリーキノロン(ガレノキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、シタフロキサシン、トスフロキサシン)

入院(注射薬)
みんな大好きスルバクタム・アンピシリン
BLNARとBLPACRが多い地域:これもみんな大好き第3世代セフェム系薬(セフトリアキソン、セフォタキシム)


■ 喀痰グラム染色でモラクセラ・カタラーリスが検出されたら

外来(経口薬)
βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
ペニシリンアレルギーなど:マクロライド系薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン)

入院(注射薬)
やはりスルバクタム・アンピシリン
または第2世代および第3世代のセフェム系薬(セフォチアム、セフトリアキソン、セフォタキシム)


■ 喀痰グラム染色でクレブシエラ属や他の腸内細菌科が検出されたら

外来(経口薬)
βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬(スルタミシリン、アモキシシリン・クラブラン酸)
ペニシリンアレルギーだと:レスピラトリーキノロン

入院(注射薬)
第2世代および第3世代のセフェム系薬(セフォチアム、セフトリアキソン、セフォタキシム)、またはスルバクタム・アンピシリン
ESBL産生株であれば、カルバペネム系を使う。


■ レジオネラ尿中抗原が陽性の場合

基本的に入院治療ですので、注射薬を使います。
ニューキノロン系薬(レボフロキサシン、シプロフロキサシン、パズフロキサシン)
重症の場合はアジスロマイシンと併用します。

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2018年10月03日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPVを含む)7

非侵襲的人工呼吸/非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation:NPPV)

気管内挿管をせず、主に鼻マスクなどを用いて行う人工換気(補助)です。あくまで換気の補助で、1から換気のすべてをまかなうことはできませんから、意識が全くない、とか、自発呼吸がない、という場合には行うことができません。それ以外に、

マスク装着が出来ない
治療に非協力的
循環動態が不安定
顔面・上気道・食道・胃の手術直後

などがあるとNPPVの適応にはなりません。


初期設定としては

モード:S/Tモード
IPAP:8〜10cmH2O
EPAP:4〜5cmH2O

あたりから開始し、患者さんの様子(これが大事)やモニター、血液ガスを観ながら調整をしていきます。

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posted by 長尾大志 at 18:28 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年10月02日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPVを含む)6

・モニターや血ガスを視ての調整

初期設定をして、モニターで確認したときに、「こんなはずでは…」となることがあります。その時にどうするか。

換気量が少ない⇒1回換気量または呼吸回数を増やす。PCVのときは吸気圧を上げる。

換気量が多すぎる⇒呼吸回数が多い(自発が多い)場合、鎮静をしっかりかける。それでも自発が多ければ、器械による換気を減らす。

気道内圧が高い⇒1回換気量を減らす。PCVのときはそのまま吸気圧を下げる。

PaO2(SpO2)が低い⇒気道内圧と血圧を視ながらPEEPを上げる(気道内圧は30cmH2Oを超えないように)。FIO2を上げてもPaO2は上がるが、あまり長期間にならないよう留意する。

PaCO2が高い⇒換気量が少ない時と同じ対応。ただし、元々低酸素の是正のために導入したのであれば、pHに異常を来さない程度の高CO2は許容(permissive hypercapnia)し、無理に下げようとしなくてよい。

PaCO2が低い⇒1回換気量または呼吸回数を減らす。PCVのときは吸気圧を下げる。

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2018年10月01日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPVを含む)5

■ 合併症、初期設定で注意すべき点

・初期設定つづき

それからFIO2を決定します。人工呼吸開始当初は100%からスタートしますが、なるべく早く下げていくようにします。

呼吸回数は12回から15回程度で、あまり回数が多くならないようにします。

で、大切なことはまず初期設定をして、その結果どうなるかです。確認すべきは人工呼吸器のモニター上で視る1回換気量と分時換気量、それから患者モニターで血圧とSpO2を確認し、さらに設定をしたり変えたりした後には、15分から20分後に血液ガスを取って確認します。

その結果、設定を調整していくわけですが、低酸素症例では、通常SpO2を100%にする必要はありませんで、90%前後を保つことができればよしとします。それよりも高いFIO2や圧による合併症を防ぐ方が重要と考えられています。


高二酸化炭素血症の是正が目的の場合、対象となる疾患はCOPDや喘息などの閉塞性肺疾患が多いと思われます。この場合、低酸素血症の時よりも換気量をしっかり保つことに注意が必要です。

1回換気量は少し大きめ(8mL/kg予想体重当たり)にして、呼気時間をしっかりとって十分に息を吐かせることを意識します。I:E比は1:3以上に設定します。

特に喘息の場合は、従圧式でやると空気が全然入っていかず換気量が非常に小さくなりますので、従量式でもいいでしょう。しかし圧モニターは上がりすぎないよう、注意が必要です。また、喘息発作時には過膨張を防ぐためにPEEPはかけないようにすることが多いです。

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2018年09月28日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPV を含む)4

■ 合併症、初期設定で注意すべき点

・初期設定

人工呼吸器を使う目的が、呼吸停止を補う(呼吸をさせること自体な)のか、低酸素血症の是正なのか、高二酸化炭素血症の是正なのかによって、設定は少し異なってきます。

いずれにしても先に挙げた合併症を避けるために基本的な考え方として
  • プラトー圧・最高気道内圧は30cmH2Oより低くする

  • FIO2はなるべく早く下げる

  • 血圧が下がりすぎないよう気道内圧の調整を行う

ことを意識します。

呼吸をさせること自体が目的であれば、正常な呼吸が設定の参考になります。1回換気量は6〜8mL/kg、呼吸回数が12〜15回程度、FIO2は状況によりますけれども21%からSpO2を見ながら調節、ということになります。PEEPは4cmH2O程度かけることになると思います。

低酸素血症の是正が目的であれば、通常はARDSとか重症肺炎とか間質性肺炎とか、あるいは肺水腫などが対象となると思われますが、その場合従圧式の換気であまり高い圧がかからないようにする、ということを考えます。

1回換気量6mL/kg、これは予想体重あたりで計算します。お腹に脂肪がついていても肺活量には関係しませんから。

従圧式では1回換気量を直接設定できませんから、吸気圧と吸気時間を設定します。プラトー圧が30cmH2Oを超えないように設定し、吸気時間はI:E比が1:2程度(例えば吸気が1秒呼気2秒だと、呼吸回数が20回になります)、そんな感じで吸気圧と吸気時間を決めると自動的に1回換気量が決まってきます。

で、設定の結果、モニターを確認して1回換気量が6mL/kgになるよう調節します。PEEP は、導入当初は低酸素の是正のために高めに設定することが多いでしょう。10~12cmH2Oあたりでしょうか。これもSpO2を見ながら調整ですね。20cmH2Oくらいまではデータがあり、許容されるかと思います。

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2018年09月27日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPV を含む)3

■ 合併症、初期設定で注意すべき点

・合併症

血圧低下:陽圧換気をすれば、その分胸腔内圧が上昇し、静脈灌流が減少する結果、心拍出量の減少と血圧低下が生じます。合併症といってもほぼ必発であり、「起きてはいけないこと」ではありません。

痰による閉塞:咳反射などが低下し気道クリアランスが悪化します。適切な加温加湿と必要に応じて吸痰で対応します。

片側挿管:挿管チューブ先端が入りすぎると(主に右肺に)、片側肺しか換気できなくなります。入りすぎないよう確認し、門歯から先端まで何cmの位置かを確認しておきます。

圧損傷:高い気道内圧は肺胞の過伸展によって気胸や縦隔気腫を引き起こすと共に、肺胞損傷の原因になります。予防のためには、PCVの際にプラトー圧で30cmH2Oを超えないように設定します。

酸素中毒:高いFIO2は酸素中毒、肺胞損傷の原因となるため、なるべく早く下げるのが望ましいです。1つの目安として、人工呼吸開始24時間以内にFIO2を60%より下げる、ということがいわれています。

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2018年09月26日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPV を含む)2

A 人工呼吸器の呼吸に加えて、自発呼吸を自然にさせるモード

SIMV(synchronized intermittent mandatory ventilation:同期式間欠的強制換気)+PSV(pressure support ventilation:圧支持換気)、PCV+PSV、VCV+PSVなど

人工呼吸器による、吸気量や圧が定まった、キッチリとした呼吸に加えて、本人の自発呼吸(通常弱々しい)が入ってくるモードです。

フルに人工呼吸器が呼吸するモードで設定する項目に加えて、弱々しい自発呼吸をサポートする(お手伝いする)プレッシャーサポート圧を設定する必要があります。


B 自発呼吸(+サポート)のみのモード

CPAP(continuous positive airway pressure:持続気道陽圧)+PSVなど

人工呼吸器のよるキッチリした呼吸がなく、自発呼吸(+お手伝い)のみで換気をまかなうモード。しっかり自発が出ているときのモードです。

人工呼吸器による呼吸のための設定は不要で、CPAP圧とPSV圧のみ設定が必要です。

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posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年09月25日

人工呼吸管理(非侵襲的人工呼吸,NPPV を含む)

人工呼吸の設定

*従量式・従圧式

従量式(volume-controlled ventilation:VCV)|決まった量を決まった回数、必ず送り込むモード

従圧式(pressure-controlled ventilation:PCV)|決まった圧を決まった時間、必ず送り込むモード

VCVでは換気量がきちんと決まるが、気道内圧が上がりすぎるデメリットがあります。
PCVでは圧の管理はきちんとできるが、換気量が保証されません。


@ フルに人工呼吸器が呼吸をするモード

A/C(assist/control:補助/調節呼吸)、CMV(continuous mandatory ventilation:持続強制換気)、PCV、VCVなど

設定するのは換気量、FIO2、PEEP

換気量(分時換気量)は1回換気量×呼吸回数(VCV)、またはプラトー圧と吸気時間、I:E比で決まります。

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2018年09月21日

喀痰の病理学的検査の適応と意味

喀痰検査は侵襲も少なく、医療費も安いので、手軽にくりかえし施行できるのが利点です。肺癌が疑われる場合には喀痰細胞診を行うと、肺癌の診断につながることがあります。

ただ、昨今では、組織型に加えて遺伝子変異や転座なども調べる必要があるため、喀痰細胞診だけで事足りることはありません。気管支鏡やCTガイド下針生検、胸腔鏡などによる生検が必要です。

それでも、肺癌が積極的に疑われるような状況で、喀痰が容易に得られるような症例であれば、積極的に喀痰細胞診を行うべきでしょう。具体的には以下のような場合です。

  • 喫煙者で、咳や痰が長引く場合

  • 血痰が続く場合

  • 無気肺を認める場合(続けて気管支鏡も必要ですが…)


上記の生検は専門施設で専門医によって行われることが多く、非専門医のところでは喀痰細胞診陽性であれば呼吸器専門医に紹介、となることが多いと思います。

通常1回の提出では感度が低いので、3日分痰をためて提出します。その際、喀出した痰をそのままにしておくと傷んで検査の役に立たなくなるので、YM液などの固定液の入った容器に痰を喀出してためていきます。

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2018年09月20日

喀痰の細菌学的検査の適応と意味2・Geckler分類

肉眼的分類であるMiller & Jonesの分類に対して、顕微鏡で見たときの細胞成分で喀痰を分類したものがGecklerの分類です。

100倍で見たときに、1視野あたり白血球(病変部由来と考えられる)と扁平上皮(口腔内由来と考えられる)の数がどれだけあるか、というもので、白血球が多くて扁平上皮が少ないものを細菌検査に適した検体、とします。

Geckler分類(100倍で1視野あたりの細胞数)
グループ1:白血球数<10、扁平上皮>25
グループ2:白血球数10〜25、扁平上皮>25
グループ3:白血球数>25、扁平上皮>25
グループ4:白血球数>25、扁平上皮10〜25
グループ5:白血球数>25、扁平上皮<10
グループ6:白血球数<25、扁平上皮<25

グループ1〜3は扁平上皮が多い=唾液成分が多いものと思われるため、検査には適していません。グループ4と5、すなわち扁平上皮が25個より少なくて白血球数が25個より多いものを良い検体としています。

グループ6は扁平上皮が少なく唾液成分は少ないものの、白血球も多くないため、喀痰では病変部から得られたものではない可能性がありますが、気管支鏡や穿刺によって患部から直接得られた検体であれば、検査に値するとされています。

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2018年09月19日

喀痰の細菌学的検査の適応と意味1・Miller & Jonesの分類

気道感染症を疑う症例では、できる限り喀痰の細菌学的検査を行い、正しく抗菌薬の選択をしたいところです。喀痰が炎症の現場から出てきているかどうかを判断するのには、痰の性状や痰に含まれる細胞を見て判断します。

採った痰の性状を肉眼で確認して、膿性、あるいは色の濃い、粘調度の高い部分が多ければ多いほど、おそらく「現場からの痰」であると考えます。そんな肉眼的な見え方で分類をしたものがMiller & Jonesの分類です。

Miller & Jonesの分類
M1:膿を含まない粘液痰
M2:粘液痰に少量の膿が含まれるもの
P1:全体の1/3以下が膿性
P2:全体の1/3〜2/3が膿性
P3:全体の2/3以上が膿性

M1やM2の検体というのは、見た感じほとんど膿成分が含まれていないので、(おそらく唾液成分が多いということで)細菌検査には適しておらず、P1以上の痰を用いるべきとされています。

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posted by 長尾大志 at 19:27 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年09月14日

動脈血液ガス分析・呼吸機能検査3

・AGが増加する代謝性アシドーシス

敗血症・乳酸アシドーシス|乳酸
糖尿病性ケトアシドーシス|ケトン体
飢餓状態|ケトン体
尿毒症|リン酸
中毒|メタノールなど


AGが増加している場合、AGの上昇分(すなわち増えた陰イオン=有機酸分)、HCO3-が消費され、その分、本来のHCO3-よりも低下して測定される。ということは、本来のHCO3-は実測HCO3-値よりも、AGの上昇分高くなる。

補正HCO3-=実測HCO3-+(実測AG-12)

これが正常範囲より多ければ、代謝性アルカローシスが存在することになる。つまりこの式で補正することにより、代謝性アシドーシスで隠された代謝性アルカローシスが検出できる。


・AGの増加を伴わない代謝性アシドーシス
⇒多いのは、HCO3-が失われて相対的にCl-が増加したパターン。

下痢|消化液とともにHCO3-が失われる
尿細管アシドーシス|尿細管でのHCO3-再吸収が障害される


■ 代謝性アルカローシスの原因

HCO3-が増加している状態。

嘔吐で胃酸を喪失する
ループ利尿薬の長期間投与
HCO3-を含む物質の摂取・投与
低カリウム血症(細胞内のK+と血中のH+が入れ替わり、H+が細胞内に入る)
長期間の呼吸性アシドーシスを代謝性アルカローシスで代償しているところへ強制換気を行って代謝性アルカローシスが残った。

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2018年09月13日

動脈血液ガス分析・呼吸機能検査2

メインの病態(アシドーシス、アルカローシス)がわかったら、それと違う方(代謝性・呼吸性)が代償しているがどうかを確認する。
(例:呼吸性アシドーシスがあったら、代謝性アルカローシスで代償する)

代償していれば、ある程度長い間その状態である(=慢性期)。
代償していなければ、急性期である。


■ 呼吸性アシドーシスの原因

換気量(=1回換気量✕呼吸数)が減ってCO2が体内に貯留する。

COPDなどの閉塞性肺疾患
肺胞低換気症候群や脊柱側湾症など
神経筋疾患(胸郭運動が低下)
薬剤での呼吸抑制


■ 呼吸性アルカローシスの原因

換気量が増えてCO2が体内から出て行く。

低酸素による呼吸刺激(換気量の増加)
過換気症候群
疼痛による呼吸促迫
サリチル酸などの薬剤中毒


■ 代謝性アシドーシスの原因

呼吸によらず体内に(CO2以外の)酸が蓄積する。多いのはCO2以外の酸(乳酸やケトン体などの有機酸)が体内で産生された場合である。
アニオンギャップ(anion gap:AG)体内の気軽に測定できるカチオン(Na+)とアニオン(Cl-とHCO3-)の差(=測定したい有機酸)。

AG=(Na+)−{(Cl-)+(HCO3- )}
正常値は12±2mmol/L。

AGが増えていたら、「余計な酸が体内で産生されている」ということ。

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2018年09月12日

動脈血液ガス分析・呼吸機能検査1

動脈血液ガスの正常値(正常範囲)

pH:7.400(7.350〜7.450)
PaCO2(動脈血ガス二酸化炭素分圧):40Torr(35〜45Torr)
PaO2(動脈血ガス酸素分圧):80Torr(80〜100Torr)
HCO3-(重炭酸イオン):24mEq/L(22〜26mEq/L)
BE(塩基過剰):0mEq/L(-2〜+2mEq/L)

pHが低くなる:アシデミア(酸:acid)
pHが高くなる:アルカレミア
⇒pHを見たときには、アシデミア、アルカレミアという。アシドーシス、アルカローシスとはいわない。

PaCO2↑(>45Torr):酸性物質であるCO2が増えるのでpH低下
→呼吸性アシドーシス(アシデミアに向かう力)
PaCO2↓(<35Torr):CO2が減るのでpHは上昇
→呼吸性アルカローシス(アルカレミアに向かう力)


HCO3-↑(>26mEq/L):アルカリが増えるのでpH上昇→代謝性アルカローシス
HCO3-↓(<22mEq/L):アルカリが減るのでpHは低下→代謝性アシドーシス

BE:血液が37℃でPaCO2=40と仮定したときに、pH=7.400にするために必要な酸や塩基の量を表す。

BE>+2⇒塩基が多い=代謝性アルカローシス
BE<-2⇒塩基が少ない=代謝性アシドーシス

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2018年09月11日

胸部単純X線のみかた2・シルエットサインと肺の区域

シルエットサインはこれまでも何度も取り上げているので、よくご覧の方はよくご存じのことと思いますが…。

元々存在する線をなす構造物に接するような、肺内の(主に水濃度の)病変ができると、その「線」が消えてしまう現象です。線が消えた状態を、シルエットサイン陽性、といいます。

肺には10の区域があり、S1〜S10と番号が付いています。

右肺
上葉:S1, S2, S3
中葉:S4, S5
下葉:S6〜S10

左肺
上葉:S1+2, S3〜S5
下葉:S6〜S10

線が接する区域は大体決まっていますので、どの線がシルエットサイン陽性になっているか、で、肺のどの区域に病変があるか、が一目でわかるわけです。

スライド10.JPG

例えば、この辺に陰影があったとして…

スライド11.JPG

心陰影、左4弓がしっかり残っていれば、その陰影は心臓には接していない、ということですし…

スライド12.JPG

左4弓を消す、シルエットサイン陽性であれば、その陰影は心臓と接している、ということになります。

スライド13.JPG

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posted by 長尾大志 at 18:33 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年09月10日

胸部単純X線のみかた・正常構造物の形成する線1

スライド7.JPG

胸部単純X線を見るのに、2つの図を知っておきます。1つは「場所」を表す図、もう1つは元々存在する線です。

場所を表す言葉は左右で計10個。

スライド8.JPG

まず大きく肺野を3つに分け、上から上肺野、中肺野、下肺野といいます。この区切りの線は大体3分の1ずつでもいいのですが、(見えるならば)第2肋骨の前端、第4肋骨の前端あたりで区切って頂くといいでしょう。

それから、鎖骨の上が肺尖部。それと肺門部で、片側あたり5個、左右で10個の「場所を表す言葉」になります。異常かな?と思う陰影があるときは、どこの場所にあるかを明言するようにしましょう。


元々存在する線、は、肺(内の空気)と水濃度の構造物が接するところで、その接線が形作るものです。代表は心陰影(右1−2弓、左1−4弓)、大動脈、そして横隔膜ですが、肋骨が形作る肺の外縁や胃泡も認識しておきたいところです。

スライド9.JPG

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posted by 長尾大志 at 18:42 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年09月07日

○○を見たらこの病歴・この検査5・間質性肺炎

間質性肺炎の診療では、「特発性(原因が不明、または、ない)か、原因があるものか」を病歴で確認しておくことが重要です。これを怠ると、こだわりの上級医の逆鱗に触れて…((((;゚Д゚)))))))

病歴

  • 新しく飲み始めた薬、変更した薬

  • それ以外に常用している市販薬、漢方薬、健康食品やサプリメントなど

  • 羽毛布団の使用、ダウンジャケットの着用、自宅や付近での鳥飼育

  • 加湿器の使用、清掃状況

  • 居住環境にカビが見られるか

  • 皮疹(皮膚の着色・硬化など)、関節痛、筋痛、Raynaud症状、目や口の乾燥、腎障害や血尿などの症状
  • 過去1年程度の胸部放射線治療歴

  • 職業上の粉塵曝露、アスベストの取り扱い

  • 喫煙歴


各々、薬剤性肺障害、慢性過敏性肺炎、膠原病肺、放射線肺炎、じん肺・アスベスト肺を疑う病歴になります。


検査

  • 胸部X線写真・HRCT

  • 一般的な血液検査(血算、生化学)、KL-6、SP-D

  • SpO2、動脈血ガス分析(A-aDO2を計算しておくとよい)

  • 呼吸機能検査(DLcoも)

  • 6分間歩行検査

  • 気管支鏡検査(施行していれば、結果を解釈しておく)

  • 膠原病、血管炎に関する自己抗体


自己抗体をどこまで「スクリーニングで」とるか、は、上級医の志向、施設の方針や融通、などなど多種多様な要素で少しずつ異なり、「全国共通の正解」などというものはないように思いますが、このくらいは、というものだと、
  • RF(抗CCP抗体)|慢性関節リウマチ

  • 抗ARS抗体(抗Jo-1抗体)|多発性筋炎、皮膚筋炎

  • 抗トポイソメラーゼT抗体(抗Scl-70抗体)|強皮症

  • 抗U1RNP抗体|混合性結合組織病

  • 抗SS-B抗体|Sjogren症候群

  • MPO-ANCA|顕微鏡的多発血管炎

あたりは、間質性肺炎の合併も多く見られ、とっておいてもバチは当たらないように思います。

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posted by 長尾大志 at 17:30 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート

2018年09月06日

○○を見たらこの病歴・この検査4・肺癌

肺癌は毎年どんどんややこしくなっていっておりますね。必ずおさえておいて頂きたいポイントは…。

癌のプロフィールとして

  • 組織型(小細胞癌、非小細胞癌(非扁平上皮癌、扁平上皮癌))

  • 遺伝子変異・転座の有無(EGFR、ALK、ROS-1、BRAF)

  • PD-L1陽性細胞の比率

  • これまで受けてきた治療(手術、化学療法、放射線療法)

  • 現在、病変がある臓器とその影響



全人的に診療していくために必要な情報として

  • 同居家族の構成

  • キーパーソン

  • 現在の症状、痛みがある場合はコントロール状況

  • 現在のPS

  • 日常のADL、どのように過ごしているか

  • 食欲と体重の変動

  • これまでのアレルギー歴



検査

  • 最近の画像検査

  • 腫瘍マーカーの推移

  • 一般的な血液検査(血算、生化学〜特に血球減少や肝機能、腎機能障害の有無)


あたりをおさえておきましょう。

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posted by 長尾大志 at 16:15 | Comment(0) | 呼吸器研修ノート