2017年08月13日

「フィードバック」で人は育つのか

評価にしてもフィードバックは必要、とはよくいわれています。そりゃそうですね。でも、20代半ばのいい年こいた人が、「あなたの行動がこうだから直しなさいよ」といわれて、「はいそうですか」と直すのか、という話です。


ただでさえ、その年代の人たちは「ほめられて育った世代」今年の日本医事新報の正月号にも書きましたが、ここ1-2年で、学生さんのメンタリティはかなり変質してきているように思われます。


それで思うのが、個々の具体的な「行動」よりも、基本的メンタリティの方がずっと重要ではないか、ということ。それは「他人に対して誠意があるか」「勉強をし続ける覚悟があるか」みたいなことになるように思います。


でも25歳にもなったいい大人の、基本的なメンタリティなんて、どうやったら変わるのか。教育で変えられるのか。これのエビデンスもほしいところですが、もし変えられないとしたら、アドミッションポリシー(要は入試、選考の基準みたいなもの)はめちゃくちゃ大事ですよね。でも、これまではそれが全く以てないがしろにされてきたのです。まあそれでも何となく医者はできていたわけですが。


メンタリティができていれば、行動は後からついてくるもの。具体的な行動の方法論は、できた上級医の背中を見ればよい。患者さんとのやりとり。ちょっとしたひとことが患者さんにとってどれほど大きなことか。わかっている人なら、何度か見ればできるようになるはずなのです。


実際、現場で実習をやっていて、学生さんの心に訴えかけるのはそのあたりのことなのかなあと思いますし、現場でできるのはやはり見せることしかないと思うのです。でも、カリキュラムを決める方々には、よくわからない理論ではなく、現実を見て物事を決めて頂きたいと切に願います。

トップページへ

2017年08月12日

「評価」で人は育つのか

今年度になって、まあ、いろいろな事情があって、学生の臨床実習と、初期研修医の研修における「評価」がかなりスケールアップしました。


スケールアップ、というのは、決してグレードアップではなく、評価の項目がやたら多くなり、細かくなったことのみを指します。


ルーブリックという、「こういうことが出来る」系の具体例が採点基準となっていて、めっちゃできる=松、まあまあ=竹、あまりできていない=梅、的に、行動を観察して評価を当てはめていく形式です。多くの大学などで導入されているようですから、評価するかされるか、経験された方もおられるでしょうが、実際にやっておられない方には、ちょっとイメージが湧きにくいかもしれません。


私は少し前にアクティブ・ラーニングに関する通信講座を受けた際に、初めてルーブリックというものを学びました。その時には、「レポートや小論文の採点をするのには便利だなあ」という印象しかありませんでしたが、これを行動の観察にも用いる、と聞いたときには、ちょっと違和感を覚えたものです。


神戸大学の岩田健太郎先生が週刊医学会新聞の連載『ジェネシャリスト宣言』で以前書かれていたのですが、「医学教育の専門家は『データは集めれば集めるほどよい』という信憑にとりつかれていて、やたらとそうした妥当性に低い情報を集めたがる」「評価されている側がその評価を妥当であると感じているかが大事なのに、実際はそう感じていない」まさにその通りです。


医学教育学会で教育の専門家の方々による発表を拝見していても、データを集めて「発表のための研究」となっているものがあるのですね。もちろん数は少ないのですが、「それで、どう育てるのか」という理念がない。


本気でエビデンスを構築するつもりならば、1〜2年でお手軽にできるような、「アンケート」結果でものをいうのではなく、実際にそういうカリキュラムにしたらアウトカムはどうだった、どういうドクターが増えた、そこまで意識して研究をすべきでしょう。

そういう長期的な視点で研究ができないのが、現在の日本の研究者が置かれている状況…という話はまた別の話ですね。


エビデンスがないのに空論だけで体制が決められ、書類とデータ入力の事務作業がどんどん増える教員が、本当に大切な「プロフェッショナリズム」を後輩に教える暇もなくなっている、というのが現状ではないでしょうか。


それこそ今盛んにいわれている「プロフェッショナリズム」。これも岩田先生が書かれていたことですが、プロフェッショナリズムを「評価して」、その評価されている現場での医師の行為は、本当にプロフェッショナルか、という疑問があります。プロフェッショナリズムとは、たれも見ていないときでも同じように行動出来ることで、見られていないとできないのは偽りのプロフェッショナリズムだと。


ガチガチの評価をすることで、却って、「評価されているときだけ上辺を繕った行動を取ればいい」という、昨今問題になっている「バレなければいい」メンタリティを産む土壌になるのではないか、とも述べておられ、これにも強く同意するものであります。


プロフェッショナリズムは、「理想的な」行動をなぞることではなく、上級医が背中を見せてこそ涵養されるものではないか、と考えますが、ここで難しいのが「その上級医が必ずしもプロフェッショナリズムを持っていないのではないか」というところ。


ここだけの話、昨今話題?の新専門医制度ですが、あれを…(以下、やっぱりここで書くのは止めておきます)

トップページへ

2017年05月14日

昔(の研修制度)はよかった、という郷愁と、そういう選択肢を準備できないものかという思い

思うに現在の初期研修では、自分が将来所属する「医局」というものを決めずに研修を開始します。で、2年間の初期研修の後に、その先のキャリアを決めていく方式。


もちろんこのやり方には、キャリアの自由度であったり、何よりローテーションによる総合力の涵養であったり、メリットが多々あるのは理解しておりますが、おそらく研修医諸君にとって最もストレスがかかるであろう「研修開始の数ヶ月」に、全く寄る辺ないと申しますか、ちょっとそのあたりはかわいそうだなあ、と思ったりするのです。


私が研修していた20年前には、医局に所属してから働き始め、特に最初はその医局で研修を開始していました。私のように手先が不器用で、学生の時にろくろく教科書を読んでいたかったような、まあいわゆる「出来の悪い」研修医であっても、それなりに?大切に扱ってもらえて、丁寧に教えてもらえて、相談や悩みにも乗ってもらえていたように記憶しています。


自分のことを思い返すと、特に働き始めの数ヶ月はしんどかったもので、「自分は医者に向いていない」「もう辞めた方がいいのではないか」などと夜な夜な思い悩んでいたものです。それでも、朝が来ると病院に行かなければならない。行けば行ったで指導医、上級医の皆さんと仲良くして頂いて、なんやかんやでそのうちにできるようになってきて、いつの間にやら自信もついてきたものでありました。


今ではたぶん、そういう相談役をになうのは、「臨床研修センター」のようなところであったりするのでしょうが、本当に親身になって相談に乗ってくれるのか、いささか心許ない気がするのですね。


自分が市中病院に出たときも、最初は慣れない環境に苦しんで、しかも1年目にやっていなかった内科全般の臨床が始まったもので、その時にも大変なストレスでしたが、その時に自分を支えてくれたのが、「呼吸器の専門家」としての矜恃、それまでに培っていたものでした。ですから私見ですが、研修の最初にしっかり専門教育を受けるのもいいものだと思っています。



また、これまでに研修医の先生に起こった問題では、進路決定時の様々な(上級医、からの?)圧力がストレスになって、とか、悩んだ挙げ句、とか言うことも聞きます。自分の時は、キャリアの選択肢にそれほどの自由度はありませんでしたが、自由すぎる選択肢も、却ってストレスにもなったりします。昨今の研修医諸君のキャリアの自由度がうらやましくもありますが、自分の時はアレでよかったのかなあ、とも思いますね。



見ていたDVDは、研修医の先生方がストレスでdropoutする、とか、もっと悪い結果にならないような対処法を述べておられたわけですが、それって一つには、最もストレスがかかるであろう「研修開始早々」や「進路決定時」などに、研修医の先生方に「寄る辺」がない、ということも問題なのかなあ、妻の感想を聞いて、そんなことを思いました。

トップページへ

2017年05月13日

研修医の先生方のストレスとか諸問題について

研修医の先生方のストレスマネージメント、について取り上げたDVDを車に入れて、最近ずっと見ていたのですが、今日たまたまウチの妻が私の車に乗ったときに、そのDVDを見たんですね。


「今頃の研修医の先生って、こんなに大切に扱ってもらってるんやな〜」
「研修医様、って感じやなあ」


などと感想を言っていたので、


「いやいや結構ストレスがたまって、いろいろ問題になったりするんやで〜」と説明していると、


「でもそれって、○○やからやないの?昔はちがったんちゃうの?」と、至極ごもっともな感想が。
なんか、目から鱗、というか、部外者だからこそ、といえる素直な感想が、今の初期研修の弱点をズバリと言い表しているようで、なんかある意味すごく納得しました。

トップページへ

2017年04月30日

新年度から1ヶ月

この4月は2年目の先生方が多く回ってくれていて、その先生方が1年目とペアになって、最初の指導から何からをやってくれました。


これまで4月といえば、1年目の先生たちの指導になかなかの苦労があったわけですが、やはり教え方の勘ドコロがわかっている、1年上の先輩が指導するというのは、傍で見ていても効率的です。屋根瓦ですな。


屋根瓦もウチの場合、1年違いより2年違いの方が制度的にやりやすい。5年生と研修医1年目は病棟で同居しますし、1年目と3年目が同居するわけですから。でもここに2年目とか、6年生が絡んでくると、それはそれで刺激というか、化学反応が期待できますよね。でもなかなか、1年違い、って、やってみると難しいのです。特に5年生と6年生。違いと言えば、国試勉強の進度くらいのもので、6年生が実習で「差を見せつける」機会があまりなかったというのが正直なところ。でも、患者さんに相対するところでは、違いを見せつけて…くれる…でしょう、か。


さすがに1年の研修はかなりの成長をもたらしますから、2年目は1年目に「差を見せつけ」まくってくれました。やっぱり、研修1年目って、ものすごい進歩がある。研修医1年目>2年目>>>>>>>>>5年生>>>6年生、って感じですかね。思うに5年生で参加型にするのって、この『研修1年目』の伸びを下に持ってこようとすることに他ならないのですが、そうすることでその後の伸びは確実に鈍るでしょうね。



・研修マニュアルというか、何というかそういうものを作成したい

そもそもこのブログを始めた理由が、「毎回毎回同じことを教えるのに辟易したから」だったわけですが、それでもまだ、研修1年目、あるいは今後参加型になってくる臨床実習生に対して、「最低これだけは」という知識を体系立てて教えるシステムにはなっていません。


マニュアル世代の彼らには、やはりマニュアルを与えて、それをとにかく身につければ、必須の知識が身につく、そんな親切設計の、手取り足取りマニュアルがあった方がいいのかなあ、と思うに至りました。


まあどんな感じになるか、ちょっと構成を考えてみます。これはこれで形になれば、なかなかのモノになるのではないかと思います。

トップページへ

2017年04月29日

新体制で1ヶ月

4月も早終わろうとしております。当科も共に学ぶ仲間が増え、新しい試みも始まっております。ちょっとまだ公開できないこともありますが、スタートしてみて手応えみたいなものもありますので、ちょっと振り返りをしてみたいと思います。


・後期研修医が仲間入り

I先生とK先生が入局してくれました。


I先生は当院での初期研修後そのままの入局で、以前から呼吸器には興味を持ってくれていて、いろいろ勉強してくれております。ちゃんと入局記念品(私のサイン入り著書)も贈呈し…このたびめでたく増刷になりました『やさしイイ血ガス・呼吸管理』も届きましたので、また贈呈しますね。


真面目でコツコツタイプであり、これから着々と力をつけて行かれることでしょう。特に心配はありませんです。


ただ、これまで呼吸器の専門外来をされてはいないので、私がやっている外来をみてもらおう、と4月に入ってから、学生実習のない時の外来に入ってもらって、一緒に診療をやっています。


以前も思いましたが、やはり「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ〜」、「守破離」という言葉にもあるように、まずはよいお手本をやってみせること、これが肝心なのだなあと思っています。幸い、医学的知識も、外来の場ならではで経験される症例を診てもらって、大いに参考になっているようですし、医学以外の面(やりとりとか説明とか)でも、数多くの気づきがある模様です。


診察を見てもらいながら説明するのはけっこう大変なのですが、「やってよかった」と思いますね。



K先生は出身大学もウチではなく、初期研修も他院でされてきたので、実のところどの程度の経験を積んでこられているのか、ちょっと未知数なところがあります。


しかし、わざわざ武者修行をしにやって来られただけのことはあり、「デキル」感がにじみ出ています。まだちょっと見てもらっただけですが、これからが楽しみですね〜。


デキル度合いによっては、どんどん責任を持ってもらって、やってもらう範囲を広げていきます。また、1年目さんや学生さんなどの指導をすることによって学びを深めてもらう予定です。頑張りましょう!


トップページへ

2017年01月22日

やってみる以上に効率よい教育はない?

私のような末端のものには全くなにも知らされていないのですが、本学のカリキュラムが大?変更になるようです。その「説明会」が、近々あるらしいのですが、何がどう変わるか全くわからなくて、いったい何を説明されるのかもわからない。まあそもそも、「大」変更かどうかもわかりません。


前々から、国際基準に対応して臨床実習を72週に、ということは本学でもいわれていて、臨床教育講座の教授選の時にも争点というかビジョンを語るように、ということもありました。ですから、「いよいよか」と思うわけですが、どう考えても臨床実習を変えようとすると基礎や臨床の学部教育にも手を入れる必要があり、それがひいては本学の(ちょっと時代に取り残されつつある)教育を大改革する(最後の)チャンスかな、と思っていました。


なので、まあ自分がもし改革する側に立ったらどのように手を入れていくか、とにかくまずは対話。実際教育をされている先生方の考え、ビジョンを伺い、こちらの考えをお伝えしながら、学生にとって「いい」教育を考えていく。できる限り多くの学生さんにも話を聞いていく。「できる」人だけでない人も、どうすればやるのか。そんなことも探っていきたい…そういうことを考えたり妄想したりもしていたわけですが、今回のカリキュラム変更で、実際どんな感じに変わっていくのか、本当に楽しみです。


ウチを回ってきていた臨床実習の学生さんに、臨床実習をどうすればいいか、どんな感じのものがこれまでよかったか、などなど尋ねてみていたのですが、やはり何かを「やる」のがいい、というのは口をそろえて挙がってきます。そしてそれだけ「やる」ことが少ない、今の見学型ポリクリの限界でありましょう。


昨日あった緩和ケア講習会でも、やはり「やらせる」ことに力点が置かれていて、ある程度ファシリテーターにばらつきがあろうとも、やらせればそれが学びになる、という感じでカリキュラムが組まれていたのが印象的でした。


そうなってくると、その先を探りたくなるのが人情というもの。まあまずはカリキュラムを確認して、その中で何ができるかを考えます。

トップページへ

2015年05月24日

ナゼ京阪奈病院で、得がたい臨床経験を積めたのか。

昨日も書きましたが、当時の京阪奈病院では、得がたい臨床経験を数多く積むことができましたし、自分をものすごく成長させてくれた場であった、と思っています。もちろんそうなるには、いろいろな幸運が重なったことが大きいのです。


@ それまでに、ある程度の臨床力ができあがっていた。

あくまで自分のケースですが、自分は1年目大学病院で研修して本当に良かったと思います。多くの指導医に細かいことから大きなことまで手取り足取り教えていただいたことで、あまり変な癖も付かず、我流で突き進むこともなく、常に批判的に自らを省みながら臨床をやっていく習慣が身につきました。


余談ですが、初期研修を一般病院でやった人の一部には、変な癖(我流でやってしまったところかもしれません…)が付いているのを見かけることがあります。まあ、大学病院でしばらく矯正すれば、なんとかあるべきやり方に戻っていただくことができることもわかっていますが…。


また自分を振り返ると、住友病院時代に総合内科医としてかなり多くの経験を積んでから、大学病院で専門医としての症例経験を数多く積めたことで、臨床力がかなり付いていたタイミングでの一般病院赴任であったことが幸いでした。


大学病院には多くの指導医がおられましたが、皆さん熱心に指導していただいて、ある程度できるようになった、と思ってからでも容赦なくカンファレンスでツッコミを頂きました。できるようになった、と自覚してしまうと、成長が止まってしまうものですが、そこからのご指導がありがたかったです。


また、胸部画像読影を伊藤晴海先生に教えていただくことができたのも、ものすごく大きな財産です。教えていただくというよりは、「神の声を聴かせていただいた」というレベルではありましたが…。



A そのタイミングで、「呼吸器内科医一人」という状況に飛び込んだ

赴任当初から、院内における呼吸器のあらゆる問題が持ち込まれました。自分に全責任がかかってくる、というしびれる状況で、緊張感、集中力、情報収集力がMAXになり、古巣の大学病院に何度もお伺いを立てました。特に結核診療では、以前にも書きましたが国立病院機構近畿中央胸部疾患センターにおられる鈴木克洋先生に、たくさんの事例、ご経験に基づいた貴重な教えをいただきました。


集中せざるを得ない状況に自分を追い込むのは、今から思うと大変貴重な出来事でした。当時はかなり苦しみましたが…。


自分のこういう経験から、若い先生方にも伸びるタイミングなどを考えて進路相談にはのっているつもりですが…いろいろ事情もありますからね…。

トップページへ

2015年05月06日

滋賀医科大学呼吸器内科の紹介2

メンバーのうち女性医師は3名おり、1名は2度の産休明けで2人の子育て中、フレックス勤務を行っています。呼吸器内科は忙しいし休めないのでは?と思われるかも知れませんが、無理のない範囲で頑張っておられます。男女共同参画推進室等の尽力で、学内には保育所もあり、フレックス勤務ももちろん、きちんとした制度があります。


出産・育児など、ブランクがあって勉強をし直したい、という女性医師の方が、臨床のOS(オペレーティングシステム、基本ソフトウエア=基本的な考え方)を再インストールしたい、ということで来て頂いてもいいですね。診断、診療のスキルや胸部画像読影など、無理なくかつずっと使える知識をしっかり身につけて頂くことが出来ます。


私も滋賀県に来る前、滋賀県のことをあまり知らず、来てみて初めて「住みやすさ」「子育てのしやすさ」を実感したのですが、子育て中の方には滋賀住みがお勧めですね。


研究面では中野科長のライフワークでもある「CTデータの解析によるCOPDの研究」を中心に、COPDのコホート研究、間質性肺炎の画像解析、動物実験による薬剤の効果に関する研究などを、ベトナムのホーチミン医科薬科大学や、国内での複数の大学とのコラボなども含めて行っています。

トップページへ

2015年05月05日

滋賀医科大学呼吸器内科の紹介

とあるところでとある連載をすることになりました。イントロとして滋賀医科大学呼吸器内科の紹介をすることになったのですが、考えてみれば、最近あまりウチの医局の中身を紹介しておりませんでしたので、こちらにも少し引用してみようかと思います。


ウチのメンバーは卒後20年以上が科長(准教授)・私の2名、10年以上が病棟医長と外来医長の2名、という比較的若い医局です。それから10年目以下のスタッフ(医員・大学院生)が9名、外部協力医師(保健管理センター、感染制御部)が2名、総勢で15名に、後期研修医、初期研修医が臨床(+研究)に励んでいる、という所帯です。


病床数は20余りと決して多くありませんが、肺癌を始め間質性肺炎、膠原病、血管炎、稀少疾患など県下の困難症例が集まってきております。病床を2チーム(チームA、チームB)に分けて担当し、チーム内でベテランが若手と一緒に診療し指導する、また、毎日カンファレンスを行い、若手の先生がいろいろな意見に触れる機会を設けています。


病床が限られている分、初期研修医の先生方には一症例ずつじっくり診察、カルテを書き、考察する時間を見つけ易いと思います。それと、割と上の先生と一緒にいる時間が長いので、我流ではなく上の先生の考え方をなぞることが出来るのがメリットと考えています。


ウチの売りは、とにかくスタッフ全員が教育熱心で、優しい。初期研修医の先生方も無理なく研修をはじめてもらいながらも、ある程度出来ることはどんどん自分でやってもらっています。もちろん毎日のカンファレンスで上級医が、間違いなく出来ているかを確認、必要に応じて指導を行っています。

トップページへ

2014年08月17日

デジタル化で退化するスキル・グレーゾーンをグレーゾーンと認識して、考え続ける力

Tよろづ相談所病院のH先生と一緒に働いていたときに、(当時)最近の若い人たちは、画像の再構成が下手だなあ、なんでやろ、みたいな話になったことを思い出します。


それはきっと、思春期に○○本を見ていた私たちは、2Dから3Dへ無意識に再構成して、しかも動画を頭の中で構成していたのが、もう今は若い頃から動画だもんな〜、そりゃ画像再構成力は退化するわ、やっぱり思春期の頃の集中力、想像力ってスゴいなー。みたいな、ちょっとアレな話であったのですが。




便利になると、人間は退化します。間違いなく。肺炎にク○ビットを使うようになると、一気に抗菌薬の知識が抜け落ちていくのと同様、検査技術、器械の発達によって、血液中にあるごくごく微量の物質の量が測定できるようになって、画像検査が気軽に高解像度で出来るようになって、確実に私たちの診察能力は退化している。


デジタル化思考になると、「診断が付かない状態=グレーゾーン」への対応がどうなるのか、大変興味があります。


救急の現場などでは、パッパッと診断が付いて、すぐに答え合わせが出来る、そういう疾患が多いかもしれませんが、普通の外来だったらそんなことはありません。パッと診断名がつかないことなんて山ほどあります。そのときに、グレーゾーン≒精神的なもの、ストレス性、とかラベリングをして、そこで思考停止になっている症例をよく見かけるのです。


あるいは、先の症例のように、特定のキーワードで引っかかった診断名に引っ張られてしまう。デジタル化されたスイッチがonになってしまうのでしょうか。



これは一つの仮説であって、検証はおそらく無理であるしおそらく意味がないのですが、デジタル思考の持ち主であれば、まず言語を頭に入れるよりもまず山ほどの実体験の方が有効ではないか、と思ったりしています。


その場合、ある時期には限られた、範囲を絞った分野でしっかりとたくさんの体験を積み、ある分野での自分なりの臨床推論法を身につけるのが確実なようにも思ったりします。1つの分野で極めれば、その後同じ方法論で他の領域にも応用が利くのです。




近頃の若い者は…というつもりは毛頭ありません。育った時代、受けた教育が異なるのですから、結果できあがったものが異なるのは当たり前。


ただ、教育をしていくものとしては、おそらく私に近い年代の指導者の方々が、デジタル世代の指導をするにあたって、心に留めておかれるとよいところがあるのではないか、と思ったのでした。


大学だったら、研修医の先生にまず考えさせて、それから上級医の考えをフィードバックして、という時間がしっかりとれるので、その点軌道修正しやすいのではないでしょうか、とさりげなく宣伝してみたりする。

トップページへ

2014年08月16日

キーワード診断、デジタル診断の陥穽

昨今では、特に救急・総合診療系の領域で、臨床推論が脚光を浴びています。脚光を浴びている、という言い方もちょっと変ですが、一時の「検査偏重主義」から若い人たちが病歴や身体診察に興味を持たれるようになったのはとってもよい傾向だと思っています。


特にやっぱり、ドクターGみたいな番組、あれの影響で、総合診療を志すようになった方も多いのではないでしょうか。どんな患者さんが来てもパッパッと診断をしていくドクターGにあこがれる、その気持ちはよくわかります。私も今医学生だったら、そう思っていたでしょう。


志のある若い人たちは学生の間から勉強会を開き、大学の枠を超えて交流し、どんどん輪を広げて行かれます。著名な講師を招いて学んだり、行動力がスゴい…。でまあ、正直、スゴいなあと感心してばかりだったのです。




で、少し前に、とある先生とお話をしていたら、「ドクターG世代の中に、ちょっとイタい人が含まれている」という話をされていて、どういうことかと身を乗り出して尋ねてみました。


今の人たちはもう、生まれた頃からPCがあって、物心ついたらネットにつながっていて、学生の頃からiPadで教科書を読んで、iPhoneでラインをやっているわけです。完全にデジタル世代です。私たちのようにアナログの香りをプンプンさせていないわけです。


で、何か知らないこと、わからないことがあれば、しゅんしゅんiPadで検索して、答えを見つける。わからないことは考える、ではなく、「答えを検索する」。


そういうことに慣れてしまうと、キーワードを見たらすぐに「キーワード=疾患」となったり、当てもんみたいになっている人がいると。思考の短絡ですね。




今総合診療界隈で有名なスーパードクターの先生方は、世代的にはアナログとデジタルの移行期あたりで、まず患者さんを山ほど見て、その中で得られた経験、暗黙知を言語化してこられているのではないかと思うのです。それを人はPearlと呼ぶ。それはとても貴重な、思考手順のエキスです。


で、その「言語化されたもの」をそのまま、経験の裏打ちなしに受け取ったデジタル世代が、そこで思考の短絡化を起こしたら、これはちょっと怖いなと。うーむ。そんな風に思ったことはなかったですが、言われてみれば、思い当たる節もあるような…。

トップページへ

2013年11月10日

初期研修の地域考

マッチングが発表されて、しばらく経ちます。ちらほらとどこそこに決まった、滋賀医大に決まった、というご報告を頂きます。滋賀医大も来年度はいささか多くなりそうで、良かったです。


とある学生さんから、「滋賀の病院に決まりました」と教えていただきました。その決め手として、他にも魅力的な病院はあったが、いずれも最終的にその地で一緒に医療をやってくれる医師を求めている。滋賀という地にご縁が出来て、そこで今後しばらく医療をやっていくことを考えたときに、初期から滋賀で過ごした方がいいと考えた、というような理由でした。


思うにその方はかなり優秀な方ですので、望めばいわゆるブランド病院での研修も可能でありましたでしょう。そこをあえて滋賀を選ばれたところに、その方の意識の高さを見た思いがしました。


自分で道を切り開いていきたい、ということも言っておられましたが、私も以前から言っておりますように、初期研修病院の差、って、どれだけ「与えられるか」の差と、周りの研修医、スタッフの「意識」の差(ここは重要)ぐらいしかない。


自分の意識が高ければ、ハッキリ言ってどこでやっても結果はそれほど変わりません。それよりは、むしろ「その後」の過ごし方が重要なのであります。


多くの学生さんの、学生の頃と医師になってからの姿を見ていると、やっぱりかなり強い相関を認めます。これを数字で出すのは難しいけど、なんか研究できればいいなーとも思います。


やっぱり、滋賀の医療を良くしていこうと思うのならば、入試の時点でもっとしっかり選抜すべきじゃないか、と思うのですね。滋賀出身者を優遇、ももっと考えるべきだし、面接でもっとしっかり人となりを見るとかしてもいいんじゃないかと思います。まあ現実には難しいことも多いのでしょうが。

トップページへ

2012年12月02日

「おいしい食事」を出すレストランは、無理な呼び込みをしなくてもお客さんがやってくる。

昨日も書きました、K先生、U先生、1年目ローテーター諸君のお疲れ様会にて。

「呼吸器内科では、あまりしつこい勧誘はされないですね〜。」と言われるので、そういえばそうだなと。昨今、かなりキツイ勧誘をされている事例、問題が起こっている事例を耳にすることが多いので、余計にウチのあっさり具合が目立つのでしょうか。


私もここに来た当初は頑張って勧誘したこともありましたが、最近はともかく、正しく教育することが目的になってきました。呼吸器内科医を増やすことが地域に貢献することはもちろんですが、他科にいく多くのドクターに呼吸器、感染症、内科的な正しい知識を伝達することで、まずは滋賀の危機的状況を救いたい、という考えからです。


あと、自分の中では、ビジネス発想源の弘中勝さんにかなり影響を受けているところが大きいと思います。


例えば、「おいしい食事」を出すレストランは、無理な呼び込みをしなくてもお客さんがやって来ますね。無理やりお客さんを引っ張ってきて、まずいご飯を出しても、そのお客さんは二度と来ないし、悪い評判ばかり立ってしまう。


いかに呼び込みをするかより、来店したお客さんにこちらの考える「最高の食事」をしてもらう。そういうことに注力すべし、と教えてくださっているのです。


こちらの考える最高の研修をやっていれば、その研修を良しと考える先生、趣旨に賛同してくれる先生は入局してくれるだろう。入局者が少ないということは、まだ研修のレベルが満足すべきモノではないのでは、そう考えてやっていたら、随分研修のレベルが上がってきました。これはスタッフの先生方の協力あってのこと、本当にありがたいことです。

トップページへ

2012年09月16日

ブランク考3・基礎研究などによるブランクと臨床医

先日の「ブランク考」にコメントを頂きました。なんか自分でも言いたいことが書き切れていなかった感がありますので、もう少し続けたいと思います。


K先生よりのコメント1(ここから引用)

2年でも相当きついわけですね・・・。
キャリアの途中で臨床を離れるなら、戻るときには一から研修医をやる覚悟でやれ、というお言葉を最近いただいたのですが、長尾先生のご意見とも一致しそうですね。

臨床研修制度開始以来、卒後教育はどんどん発展していますが、いろんな生き方を認めるように社会が変化する中、キャリア途中での再教育プログラムもニーズが増えてきそうですね。


(引用ここまで)


臨床を続けておられる先生は、たぶん皆さんそうおっしゃると思います。それほどまでにブランクというものは大きい。だからこそ、臨床を離れた別のキャリアを進むときには、少なくともそのときには「不退転の覚悟で」臨んでほしいと思うわけです。


キャリア途中の再教育にはすごく意味があると思います。ただし、それにはご本人の「一から研修医をやる覚悟」が必要条件でしょう。それを含めての「覚悟」というわけです。


コメントをくださったK先生はじめ、多くの先生方は、しっかりとした目的意識を持ってキャリアを考えておられるでしょう。でもまれではありますが、「臨床でずっとやっていくのも地味やし、なんか華やかな経歴がほしい。まあしばらくやって将来はまた臨床やったらいいわ」みたいな考えの方を実際にお見受けしたことがあるんですよ。


こういう考え方で行かれると、臨床に戻ったときも、やはり中途半端になってしまう。ある程度研修を積まれると、普通はかなり臨床力に自信がついてきます。「俺ってスゴイ」という錯覚?は、私にも3年目の夏頃ありましたし、実際その頃「もう臨床はやり尽くした」と言って基礎研究に行った人も何人もいました。


で、そういう人が数年経って、臨床に戻り、「自分にはこれだけのキャリアがある」というプライドばかり高くて全然使い物にならない、という現場も少なからず見てきました。


そういう人は、まず他人の指導、助言を頭から否定してしまうのですね。いや、「それは自分が習ったのと違う」「自分のやり方と違う」「あの時はこうだった」…素直に指導を受け入れる心がないと、再教育も難しいですね。



たぶんこれからは、キャリアの途中で出産、育児でブランクが開いた女性医師の方々が再就職、ということも増えてくるでしょうが、ブランクが開く、という意味では同じことです。


以前にも書いたかもしれませんが、出産・育児を経験されることは臨床医としての深みにつながる、大変貴重な経験です。できるだけ多くの女性医師の方に経験していただきたい(ですね、I先生、婚活頑張りましょう)。ですから、希望があれば、全力でサポートさせていただきたいと思っております。


他のキャリアを進まれても、もちろん、必ず臨床に還元されることはあります。ですから、後々臨床に戻ることになったら、「自分にはブランクがあって、そのハンデを取り戻すために初心に返ろう」という心がけをもって、謙虚に再研修を受けて頂きたいな、と思うのです。そうすれば、必ずや臨床医として立派になられるだろうと考えます。



若手先生からのコメント2(ここから引用)

まさに、これから基礎研究に入らなければいけない身分の者です。2年で戻れる保証はありません。
みんながやるから、先輩方がみんなやってきたから、という安易な考えでおりましたが、先生の御見識・御意見を拝見し、すっかりブルーな気持ちになりました。

実際、基礎実験のメリットややるのが当然だ、と話される先生もいれば、臨床医の研究自体を徹底的に否定する先生もたくさんおられ、いろんな意見があり、何が本当なのか、実際自分で判断しにくい状態の人も多いと思います。

そんな中、若手の教育にご熱心な先生の御意見を拝見でき、大変参考になりました。
ありがとうございます。

臨床医が臨床を離れて研究をすること、そしてブランクについて、さらにもう少し突っ込んだ記事も期待しています。


(引用ここまで)


色々な意見があるのは承知しております上で、私見、といいますか、私の周りでよく見聞きする一般論を申し上げます。


まず基礎研究について。臨床医が行う基礎研究というのは、基礎の先生方から見れば児戯にも等しい、といいますか、やはり基礎でずっとやっておられる先生方には、テクニックやその方面での知識面で、にわかの臨床医がかなうわけがありません。


それを承知の上で臨床医が基礎研究を行う意味。それはやはり、「臨床医の視点」「臨床医としての問題意識」だと思います。日々患者さんの診療に誠実に向き合えば向き合うほど、「なぜ」「どうして」「どうすれば」という問題意識が出てきます。そういう視点を持って研究されることで、研究がひと味違うものとなり、臨床に役立つ研究となるのではないか、と期待します。


また、臨床医個人としても、一定期間研究に従事することは意義深いことでしょう。


最新の英語論文を読む。ただ読むだけでなく、Methodsは妥当であるか、論理展開に問題がないか、批判的に読む癖をつける。自分で論理を組み立てていく。臨床をやっていく上でも必要なスキルを、研究をやっていく上で身につけることができます。


おそらくそのようなことを多くの先生方が言われているかと思います。何が正しい、ということではなく、立場によっていろいろなモノの考え方がある、ということもあるでしょう。


基礎研究をされることで生じる「ブランク」については、上に述べたとおりです。



私自身、他人様に誇れるようなキャリアは残念ながら全くありませんが、基礎?研究をやったことでそれまでとは論文の読み方が変わったことは実感しておりますし、2年のブランクあけに体が全く動かなく(比喩ですよ、比喩)なって苦しんだ経験もあります。


そんな私からの、私見というかメッセージ。たいしたものではありませんが、敢えて書きますとこんな具合でしょうか。


  • 臨床医として独り立ちできるには、(呼吸器内科医としては)5〜6年はかかります。

  • ブランクがあくと、それを埋めるには相当の覚悟と努力が必要。

  • しかしながら、新たな領域への挑戦は、大いに奨励されます。チャンスがあればそれもご縁。

  • どの領域に行っても、真剣に、全力で取り組みましょう。結局これがメッセージ。

トップページへ

2012年04月27日

早期教育は、その子の将来に何もメリットがない

今日は、呼吸循環器内科合同?の、新人歓迎会。
先ほど終わりました。


今日は時間配分を間違えたため、フローボリューム曲線の話の続きはまた今度にして、
先ほどの会でK先生と話していたことを書きたいと思います。


要は、「継続は、力なり」ということ。
某受験通信教育講座で使い古されているフレーズですが、受験、という場にとどまらず、
もう少し深い意味合いがあるかと思います。


というのは、たとえば医師の世界でも、10年、20年としっかり研鑽を積んでいくことが、
本当は大事であるのに、今の若い先生方の中には、

「とにかく、早くいろいろな手技をしたい」

  とか、

「とにかく、救急症例をいっぱいみたい」

という強迫観念みたいなものが見え隠れしたりするのです。


それは、あたかも若いママさんが、子供の早期教育に熱心になっているがごとし。

幼稚園から塾。

お受験。

中学受験。

そして子供はそのあたりで疲れ切り、不登校…というのは極端な例ですが、
最近言われている、早期教育がその子の将来にメリットがない、というのは、
そのようなリスクも含めてみるとあながち的外れな考えでもないように思います。


それよりも大事なことは、熱中する力や、好奇心を持ち続けること。
これも各方面で言われ始めています。


そう、人生において大事なことは、「続ける」力ではないかなと思うのです。

最初のスタートダッシュで焦らなくても、研鑽を続ければ、最初の(たいしたことのない)
手技の差、救急経験の差なんて、5年後にはすっかり埋まっています。


逆に、途中で「継続をやめて」しまえば、スタートダッシュなんて、すぐに追いつかれてしまうのです。

若いうちは、なかなかそういうことに、目が向かず、派手な方へ、格好いい方へ目が向くんですよね〜。


日が変わりそうなので、この辺で。

トップページへ

2012年02月15日

滋賀医科大学呼吸器内科の特色・ローテートでできること3

■あらゆるプライマリ・ケア的な症状への対処を、入院患者さんで行える

入院患者さんには、主病名以外にも多くのことが起こります。ちょっとした風邪、便秘、下痢、不眠etc…。

入院患者さんという、比較的時間に余裕があり、上級医のコンサルトも可能な環境で、プライマリ・ケア的な症状に関してもしっかり学ぶことができます。



■画像診断のトレーニングができる

患者さんのレントゲン写真、CTをじっくり見ます。経時的に比較して見ます。身体所見と対比して、あの所見はこの画像、みたいなところまで解釈できることを目標にします。


あの上級医のように画像をしっかり読めるようになるには、読影山ほどあるのみ!ですが、見るべきポイント、コツというものはあって、それをしっかりお教えします。
カンファレンスでポロッと出る、あの一言が言えるには、これだけのことがわかっていなければならない、この深みをかみしめて頂きましょう。



■手技機会に恵まれる

肺癌患者さんが多いことから、胸腔穿刺、胸腔ドレーン留置は日常茶飯事。中心静脈カテーテル、PIカテーテル、気管内挿管も。

毎週気管支鏡があり、気管内挿管の予行(喉頭〜声帯の確認が(当事者でなくても)できる)にもなります。スイスイ声帯が越せるようになれば、気管内挿管はお手のもの。

基本的に、一度見た手技は次にはやってもらいますので、他人がやっている手技をどんどん見て、どんどん慣れていきましょう。



■教える対象がたくさん

「教学相長ず」という言葉があります。
(人から)学ぶことと、人に教えることは、互いに作用し合うという意味です。


知識をインプットしたつもりでも、すぐ忘れる、あるいは、わかったつもりでもわかっていない、どうすればよいか。それは、インプットした知識をすぐにアウトプット(他人に教える)すること。これに勝る知識定着法はありません。


他人に教えるとなると、体系立てる必要がある。より深く理解する必要がある。本を1回読んだだけでは教えられるもんじゃありません。レントゲンだって、ちゃんと読めていないと、他人に教えられるもんじゃない。

教えるときに、しっかりわかっていなければ、とたんに馬脚を現すことになってしまいます。教えるためには、数段深く理解している必要があるのです。


実は、私自身が、教えることによる恩恵をもっとも受けています。私のような知識のないものが、若い先生方に教えるようになってから、やむにやまれず勉強するようになり、少しずつではありますが知識がついてきましたから。


学生さん、1年目、2年目、3年目…次々と自分より若いドクター(の卵)がやってきて、教える相手には事欠きません。これは大学病院の特権ですよ。教えることでどんどん知識を定着させていきましょう。



■知識獲得のサポート

教科書、各種文献はすぐに参照できるよう取りそろえております。学会・研究会の発表機会も多く、成長を手厚くサポートします。



そういうわけで、特に内科系の初期研修で、私たちが大切だと思っている「考え方」を習得されるのには、まあ3〜4ヶ月かかると見込まれます。ですので、今後家庭医や総合臨床医、あるいは内科系に行くが、どの分野もある程度診られるようになっておきたい、という方は、1年目の1ヶ月+2年目の2〜3ヶ月、当科で学ばれることをお勧めします。

トップページへ

2012年02月14日

滋賀医科大学呼吸器内科の特色・ローテートでできること2

■「良き内科医」になるための訓練

良き内科医とは、どのような医師のことを言うのでしょうか。独断と偏見ですが、こんな医師を想像してみます。

  • 患者さんの「病歴」を正確に聴取できる

  • 患者さんの「所見」を正確に取れる

  • レントゲン、CT、MRIなどがきちんと読める

  • 病歴と所見を正しく解釈し、正しく鑑別診断を挙げていける

  • 内科・呼吸器科・救急領域で必要とされる手技を確実に遂行できる

  • あらゆる系統の薬剤を、効果、副作用、相互作用に配慮して正しく使用できる

  • 感染症診療を、筋道立てて行える(抗菌薬を正しく使用できる)

  • アレルギー疾患は専門医に紹介せずとも、自分で管理できる

  • 膠原病を正しく診断できる

  • 「結核」を正しく診断できる

  • なんだかよくわからない病態をしっかり紐解ける

  • ステロイド・免疫抑制薬をうまく使える

  • 麻薬だってうまく使える

  • 化学療法に造詣が深い

  • 看取りがきちんとできる

  • 患者さんのために何かしたい



良き内科医になるために、訓練すべきことは、

  • 病歴聴取、身体所見をとる練習

  • レントゲン、CT、MRIなどを山ほど読む

  • 病歴と所見から鑑別診断を挙げる練習

  • 手技の経験

  • あらゆる系統の薬剤を使ってみる

  • 感染症、アレルギー、膠原病、結核患者さんの診療に当たる

  • 担癌患者さんの診療に当たる

  • なんだかよくわからない病態をいっぱい診る

  • 看取りを経験する


こと。何度も反復して練習し、上級医に確認、修正をしてもらうことが必要です。繰り返せば繰り返すほど、スキルは上達します。



■今後の独り立ちをサポート(PAFシステム

研修はじめてすぐの頃は、何もわからないものです。そこでまず「患者さんのところに行って、病歴、所見を取って、考える」。それで、わからないことをすぐに尋ねる、という感じでやっていただきます。


習うより慣れろとはよく言ったもので、そうすることが一番研修後に力がついています。
もちろん、失敗やうまくいかないこともあるでしょうが、それも想定しています。上級医はちゃんと後ろで見ていて、助けを求められたらすぐに対応します。

このシステムは、最初は大変だと思いますが、がんばればがんばるほど力がついていくシステムとなっております。


PAFシステム:自分でproblemをたてて、actionをおこし、その結果についてfeedbackを受ける、というやり方の略称。F先生命名。今のところ、私一人が言っていますが、今後流行るかも。

トップページへ

2012年02月13日

滋賀医科大学呼吸器内科の特色・ローテートでできること1

美人秘書のUさんが寿退職(古い言葉だな〜)をされて以来、長きにわたって放置されてきた滋賀医科大学呼吸器内科のHPですが、突然科長から「君が刷新するように」との指令が。


この機会にうちの特徴、滋賀医科大学呼吸器内科をローテートしてできること、を改めて考えてみましたので、書いていきたいと思います。


また、現在来年度から使用する研修医用問診・診察用マニュアルを、とある本から抜粋して作っています。これが結構勉強になって楽しい!病歴と所見からどんどん鑑別を進めて臨床が楽しくなる、この手法をお伝えするのが楽しみです。

マニュアル自体はとある本からの抜粋ですので、転載はご容赦ください

とある熱心な読者の方から、最近当ブログの更新を怠っているのではないか、とのご指摘を頂きました。全くご指摘の通りで、そちらに時間をとられておる次第であります。



1〜2年目では病棟業務が中心になりますので、取り扱う疾患は、ある程度重症、ADL低下が見られる患者さんになります。疾患名でいうと、肺癌・肺炎・間質性肺疾患・薬剤性肺疾患・COPD・気管支喘息・膠原病・血管炎・気胸・胸膜炎などが挙げられます。

3年目以降は外来や当直も担当して頂きますので、疾患名で言いますともう少し広い疾患群が対象になります。いずれにしましても、


■診断の一連の流れを正しい道筋で考えることができる


ことを、目標としております。


現在はチーム制でやっておりますが、毎日のチームカンファで日々起こることを検証し、いちいち鑑別疾患を考えながら、論理的に正しい道筋で考える力をつけていきます。


入院患者さんには、主病名以外にも多くのことが起こります。たとえば、肺癌化学療法中であれば、食指不振や嘔気、嘔吐に始まり、貧血や血球減少、吐血に喀血、転移巣に起因する様々な症状(麻痺、疼痛)、発熱性好中球減少症などの感染症などなど、それらのことを一つ一つ鑑別を考え、正しく対処する。


正解が定かではない(確たる診断がつかない)こともしばしばあるのですが、定かではない中で、もっとも妥当と思われる選択肢を選択できる能力、これも養います(ここが、実際の患者さんから学ぶ、ということですね)。


その際に重視されるのは、病歴と身体所見。もちろん検査所見も大事ですが、検査をするならば、その検査でどのような結果が期待されて、どの結果が出たらどういうactionをするか、という道筋が見えていなくてはなりません。


間違っても、(よく見かけるのですが)思いつく検査を全部出して、その結果を見て鑑別を考える、という姿勢にならないよう、指導いたします。

トップページへ

2011年12月30日

これからの日本には、シンの(真の、芯の、心の)高スペック医師が必要。だとすると、初期研修で何を学ぶべきか3

看取り。
お別れ、に際して、です。


高齢化、長寿になって、この日本で普段、日常的に永久のお別れをする機会はほとんどありません。学生さんなら、なおさら、でしょう。
でも、人は必ず最期を迎えます。必ず、です。


どのようにお別れを迎えるか。
残った肉親たちの心の準備、諸々に対してできることはあるか。


家庭医である以上、患者さんの人生に深く立ち入る、暮らしを支えるという行為の延長線上には、看取りが必ずあるのです。





先の地震、津波、それ以外にも台風などの自然災害で、多くの方々が犠牲になりました。


日本でこんなに多くの生命が一瞬で、前触れなく、理不尽に奪われる、ということはこれまで数十年間ほとんどなく、こういう経緯で肉親を奪われた方のご無念はいかばかりか、という報道も多くありました。


突然の別れがなぜ悲しいのでしょうか。一つの面として、心の準備ができないから、というところがあります。突然の別れでは、残された肉親は理不尽を抱えたまま、残りの人生を生きることになるのです。


また、世界に目を向けると、いまだに数多くの紛争、飢餓などによって「理不尽に生命が奪われている」ところも少なくありません。



誤解を恐れず申し上げれば、高齢の方が、いわゆる老衰や、予測可能な疾患で、「準備できる最期」を迎えられるのは、恵まれた国日本ならでは、と言えるのかもしれません。


同じ別れでも、いかにそのときを悔いなく迎えるか、残された時を慈しみ、有り難く、精一杯生きる、それが正しい別れ、供養の準備となるのではないかと考えます。


私たち医療者が、患者さんには手を尽くした上で、でも治らない、生命予後に限りがある、その時に残された方々に対してできることがあるとするならば、それは正しくお別れを迎えていただくことではないか、と思うのです。


患者さん一人一人、それぞれの人生があります。その人生の幕引きを上級医とともに経験する、そういう機会も貴重な研修の一環ではないでしょうか。

トップページへ

2011年12月29日

これからの日本には、シンの(真の、芯の、心の)高スペック医師が必要。だとすると、初期研修で何を学ぶべきか2

三つ子の魂百まで、と申します。


初期研修で学んだこと、体験した患者さん、診療に当たる姿勢は、その後の医師生活の基礎になる大切なものです。だからこそ、初期研修は大事にしてほしい。まあ、進路に悩んでおられる方は、いろいろやってみて、ということもあるでしょうが、ある程度進路が決まっている人は、初期研修は見聞を広めることも考えてほしいと思います。


内科、産婦、小児科、耳鼻科、眼科、皮膚科領域は、「基本的診察スキルを獲得し、common diseaseの所見を診る」ことが望ましいです。救急・ICU・麻酔科はまあ必須ですからいいとして、外科については、興味ある分野の外科は診ておかれるといいですね。


この期間のうちに、あらゆる系統の基本的な薬について、効果、副作用、相互作用、実際使ってみてどうなるか、などの知識と経験を積まれておくべきです。



さて、それ以外に身につけておいてほしいこと、ですが。

今後増えていく疾患として、アレルギー、また、考え方をきっちり学ぶべきものとして、感染症があります。


特にどんどん高齢患者さんが増える現実があり、肺炎と尿路感染はどんどん増えます。感染症診療はどこかできっちり学んでおかれるといいでしょう。


昔から「肺炎は老人の友」と申します。加齢に伴って免疫能が低下し、合併症も増え、脳血管障害などもあり嚥下能力が低下してくるわけで、肺炎が起こるのはある意味必然です。肺炎は日本人の死因の第4位(1位悪性腫瘍、2位心疾患、3位脳卒中)、近々3位にあがりそう、また、超高齢者では死因の第1位である、という勢いです。


また年明けには、最近出た医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドラインについて取り上げようと思うのですが、このガイドラインはなかなか含蓄の深いもので、多くのドクターに知っておいていただきたいと思っています。



そしてもう一つ、generalistを目指す上で大事なこと。
それは、「看取り」の経験です。明日に続きます。

トップページへ

2011年12月28日

これからの日本には、シンの(真の、芯の、心の)高スペック医師が必要。だとすると、初期研修で何を学ぶべきか1

若いうちにはいろいろとやりたいこともあり、それぞれの専門分野というものを極められた後に、たとえば開業されたり、家庭医として活躍されたり、というケースは少なくないと思います。


その際に困らないために、どうすればよいか。

今の研修制度は、(少なくとも建前は)初期2年間ではできる限り多くの科にまたがって見聞を広め、専門分野しかできません、というドクタ−ではなく、ある程度generalistの素養を持ちながら専門医としてやっていきましょう、という考えでやっているわけです。


もちろん専門医として求められていることのハードルは年々上がり、専門医でないと無理なこともあるわけですが、その一方で、プライマリ・ケア段階の医療であれば、できる限り多くの医師ができる状態であってほしいわけです。

病院勤務医であって、専門医であっても、専門医のいない領域の患者さんが来ることは当たり前。


私のよく見聞する領域でいえば、呼吸器内科医がいない病院は山ほどありますが、肺炎の患者さんも山ほどいる。呼吸器内科医がいませんといってお断りすることなどできないわけです。そういうところでは、専門外の先生が手探りで、製薬会社MRさんおすすめの「よく効く」抗生剤を使って耐性菌作りに励んでおられます。

結核患者さんもまだまだたくさんおられますが、結核なんか診たこともない医師が初期対応をせねばならない。いろいろと対応が難しかったり、診断が遅れたりします。


ましてや開業されれば、いろいろな症状の患者さんがやってこられます。できる限りしっかり対処してほしい。特に、医療過疎地域でそれなりにgeneralistとしてやっていこうと思えば、よくわからん、じゃあ紹介ね、とはなかなか参りません。



ということを勘案すれば、自ずから初期研修で身につけるべき技能が見えてくると思います。

トップページへ

2011年10月26日

全く新しい総合診断用統合ソフトウエア

患者さんとしては、全く何もわからない「医師?」に診てもらうのはイヤだ、という心情的なものから、現実に初期診断の誤りなどで実害を被る可能性がないとはいえない。


研修医の側からも、突然臨床の場に放り出されて、まったくそういった手順を踏んだことがなければ、戸惑い、緊張もするでしょう。いきなり患者さんを前にして、異常所見を把握し、正確な鑑別診断にいたるのは、少しハードルが高いのではないか、こう考えていました。


もちろん、OSCEの導入によって、学生のうちに診察の手順は取得されているわけですが、これらは異常所見の取得、さらには実際の症例における鑑別を目指すものではありません。


では臨床実習の場においてはどうか、ということですが、必ずしも臨床実習においては典型的所見を呈する患者さんに都合よくあたるわけではありません。


そして研修に入っても、患者さんの巡り合わせによって典型的症例を診察することなく研修を終える可能性もあるわけです。もちろん、研修の場で所見をつかむ訓練を行う訳ですが、研修の場で正確な所見をつかむために、実際の患者さんではなく、異常所見をシミュレートできるシステムがあればいいのではないかと思いました。



初期研修の前、あるいはその間に、典型的症例の疑似体験をしておくことは、初めての体験であることに起因する緊張を和らげる効果もあるでしょうし、何度か練習することで「典型的所見の見逃しによる医療事故」の防止にもなろうかと思います。


実臨床で問診、各種身体所見から検査所見を統合して診断に至る、この過程を統合して体験することで、臨床医としての一歩を踏み出す大きな自信が得られるとともに、初期研修における見逃し、ピットフォールへの陥穽を予防することが可能になると考えます。



例えば、まず患者さんの病歴が表示されます。病歴が表示された後、インタラクティブにこちらからも質問ができ、追加情報を得ることができます。

続いて、聴診や打診、触診を行い、特徴的な所見を得ます。

聴診にはヘッドフォン、またはイヤフォンを使い、聴診する場所をタッチすることで音が流れます。打診や触診でも同様です。


その後検査をオーダーすると、検査結果が表示されます。しかし、必要ない検査をオーダーすると、「その検査は必要ありません」と表示され、マイナスポイントとなります。


問診情報、身体所見や検査所見を統合して、最終的な鑑別診断をあげます。これも、1個の診断ではなく、複数の、できる限り多くの診断をあげることを目標とします。




こんな感じのシステム、どこかにあるのでしょうか…。

トップページへ

2011年10月25日

新しい教育支援ソフトウエア案

これは、案というか、希望というか、なんと言ったらいいのでしょうか。
こんなのあったらいいのに、というものです。



いわば素人である学生の段階から、患者さんの診察を行い、きちんとした所見が取れて
正しい鑑別診断を導ける「医師」になるまでの過程では、いろいろなことを学ぶ必要があります。


まずは病歴聴取。患者さんの語られる経過から、必要な情報を抽出して整理する必要があります。
ある種の疾患を想定する場合は特に、詳細に聴取すべき情報もあります。


その後身体診察を行います。特に胸部診察の場合は、聴診が主体ですが、視診、触診、打診でも所見が得られます。


診察で異常所見を異常として認識できることがまずは目標ですが、さらにはその異常が何を意味するのか、これまでに問診で得られた情報と照らし合わせながら考え、鑑別を絞っていけるようになりたいものです。


その後検査を行い、検査結果とそれまでの所見を合わせて最終的な診断に至るという一連の過程、この過程は実際の患者さんを前に、上級医とともに行われるべきものです。

ところが実際は、人的資源の問題から、研修医単独で患者さんに当たらざるを得ないケースも。


うちとか、規模の大きな病院であれば、そういうことはまずないでしょうが、一般市中病院であれば、研修医単独で初期治療に当たる、ということはあるようです。


これでは、患者さんの側からも、研修医の側からも、困る面が出てくるでしょう。

トップページへ

2011年07月09日

理想的な総合内科学講座とは

先日、内科系の集まりで、東近江医療センターに赴任された先生方のお話を聞く機会がありました。
内科各科を代表する臨床家の先生方だけあって、大変熱いお話がいろいろ聞けました。


構想としては、大学と連携を取り、小規模で小回りのきく「総合内科」医局に各々の専門家を派遣し、そこに研修医を配属、総合内科医として育成しようというものです。


最近いくつかの施設で行われている、例のやつですね。
これはうまくいけば非常に優秀な、総合力を持った若手を育成できる可能性を秘めていると考えます。是非頑張っていただきたいものです。



やはりローテーター、若い間に総合力を付けておくことはこれからの(これまでも、そうでしたが)医師にとっては非常に大事なことであろうと思います。優秀な学生さんほど、そういうところを目指されるのではないでしょうか。


いろいろな事例を耳にして、またこれまでの個人的な経験から、理想的な総合内科学講座のイメージというものがあります。

理想的な規模というのはよくわかりませんが、おそらくそれほど大規模ではない「総合内科」に、シニア、ジュニアレジデントが配属。その上に、直接の指導医として、総合内科医(ココが肝腎)が数名。そして、各分野のエキスパート(専門医)が控えている、という図です。


救急、初診は総合診療科が担当。診断が固まった時点で、専門医コンサルト。専門的なフォローを必要とする患者さんは専門医外来へ。そうでない患者さんは自分たちでフォローします。適宜フォロー中も専門的なコンサルトを行い、問題を解決します。


入院が必要な患者さんは初診を担当した医師が担当となります。カテーテルや内視鏡など、専門的手技は専門医と担当医で協力してあたります。投薬や治療方針は専門医と相談して決定します。それ以外の全身管理、水、電解質、栄養、輸液などはシニアや指導医(総合内科)と相談して診療を行っていきます。


また、マイナー系といわれる、耳、鼻、喉、眼、皮膚も、患者さんのトラブルがあるごとに専門医とともに所見を取り、問題解決にあたります。


こういう初期研修を2年行えば、得るものは大きいでしょう。
ただ、このような理想的な運営をされているところは、今の日本では残念ながら極めて少数です。



こういう体制を整えるためには、以下のような条件が必要です。

・まずはトップが明快なビジョンと強いリーダーシップを持つこと
 各科のワガママをいちいち聞いていては、方向性が散漫になります。


・優秀な専門医が各分野にいること
 内科各分野(循環器数名、呼吸器、消化器数名、できれば血液、腎臓、膠原病、内分泌代謝、神経)、外科各分野(胸部、腹部、できれば心血管系、整形)、泌尿器、婦人(できれば産科も)、耳鼻、眼、皮膚、救急集中、とか言ってると、結構な人数になりますね…。


・そして、何より、総合臨床家として若手の指導できる、人間的に魅力的で情熱のある指導医が数名いること。
 これがハードル高いかも、です。



本当は大学でこういう体制ができればいいのですが、なかなかしがらみが多くて難しいようです。それでもうちの大学は、どこかの大学とは違って、臨床志向の専門医が多いですから、今のローテートのやり方でもずいぶんいいと思います。迷っている諸君は大学で研修しましょう!

トップページへ

2011年04月07日

臨床研修病院に関するうわさ、口コミ

6年生諸君は、そろそろ初期研修の場をどこにしようか、考え出す時期でしょうか。
例年、アドバンスコースでやってきた学生さんに、「研修病院の口コミ」をお話しするのですが、いつも「もっと早く聞いておけばよかった…」と言われます。

アドバンスは6月〜7月ですから、もう既にマッチングの申し込みとか、やっちゃってるんですね。

早めにお聞きいただければ、早めにお教えできるのですが…なかなかお会いする機会がないので、お伝えする機会もない。
かといって、こんな公の場で、「○○○○は卒業生の何人かが行っているけど、放置されているし、そもそも指導医が臨床を知らなくて、評判が大変悪い」とか、書けませんから。

評判のいいところぐらいは書いてもいいかもしれませんが、直接知っているところは限られますし、やはりこういうところでは書かない方がいいでしょう。

どうしても知りたい人は、直接お聞き下さいませ。

トップページへ

2011年02月16日

モノの本質をわかっていない日本人は、ブランド志向になる

日本人って、ブランドが好きじゃないですか。

理由はいろいろあるのでしょうが、やっぱり、品質が保証されている、これを買っときゃ安心、という心理もあるでしょう。

批判的に見ると、モノの本質をわかっていないから、ブランドになびく、という耳の痛い意見もあります。
まあ、確かに、モノの本質をわかっている人は少ない。特に人生経験の短い学生さんは、仕方のないところでもあります。


そういう学生さんたちのブランド志向が、進路選択において、手技志向、ブランド病院志向になるところは、自然の流れと言えるでしょう。

救急とか、プライマリ・ケアとか、わかりやすいテクニックを身につけた方がえらくなれると勘違いしている人が多いですね。

もちろん、手技・テクニックの習得が非常に重要な科はありますよ。


でも、内科医にとって大事なのは、「診断、治療を含む患者さんのマネジメント全般において、筋道を立てて考え、総合的に患者さんを救うことができる」ことなのですよ。

手技偏重で育ってきている若い先生方には、声を大にしていいたいですね。

あと、「内科で必要とされる手技のほとんどは、誰にでもできることであって、できたからって特に自慢にはならない(先輩の言葉)」ことも、強調しておきましょう(もちろん例外はありますが)。

そりゃ、手が動く若い時期に、確実に手技を身につけることは必要です。が、それはあくまで「必要条件」であって、十分条件ではありません。若い時期に一定期間、しかるべき指導医の元で、論理的に考えていく癖を身につけることも、内科医としては大切だと思います。

「研修病院選び方御法度」という本がありますが、
この本、いろいろといいことが書いてあります。進路に悩まれている方は、一度読まれてはいかがでしょうか。
うちでも、病棟の呼吸器内科部屋においてあるので、読みたい方はいつでもどうぞ。

トップページへ

2011年01月27日

内科志望の場合、2年目、自由選択期にどの科を回るべきか(提言)

これは、滋賀医大在籍中のローテーター、とくに内科志望の諸兄に向けて
よくお話することなのですが、一般論としても通用することです。

内科医は、まず総合内科医たるべきです。
その上で、スペシャリティを磨くべきだと思います。

というか、一般病院では、
「私は○○内科なんで、他の病気は診ません」な〜んて、
絶対に言っていられないのです。

内科医は内科医として、内科疾患をあまねく広く診ることができるスキルは絶対に必要なのです。

というわけで、自由選択の時期には、ご自分の将来いかないであろう科の勉強をされることを強くお勧めするものであります。

しか〜し!
今の趨勢では、将来行こうと思う科を中心に回る人のなんと多いことか!
まあ、気持ちはわかるんですけどね。

この研修制度のおかげで、結局偏った知識を持つ内科医が大量生産されてしまうのではないか、そんな危惧を抱いています。

若い先生方には将来のことまでは想像もつかないと思うのですが、例えば、某県で起こっていることは、こんなことです。

県下の病院のほとんどには呼吸器内科がない。ある病院にいる先生は誰も呼吸器内科的知識がないので、赴任した若い先生たちは、同級生にメールで尋ねたり、ネットで調べたりして我流で肺炎や喘息、はたまたよくわからない症例までを診察しているとのことです。

そういう病院に赴任する可能性が高ければ、呼吸器内科の知識は必須と言えるのに。2年目に勉強をしないと、一生、勉強する機会はないと思われるのに…。

逆に、消化器や循環器の先生はどこの病院にでもおられるので、いつでも尋ねることができる、のではないかと思うのですが。

まあ、臨床は適当にやるから、関係ないよ、という方、あるいは、○○科に行くから、その科の患者さんしか診ないよ、という方には、申し上げることはございません。

トップページへ

2010年10月11日

呼吸器内科医の望ましいキャリアパスについての提言を踏まえた、滋賀医科大学呼吸器内科での赴任方針と実績

もちろん学生、研修医諸君の考えはいろいろであろうし、それぞれのビジョンを否定するものではない。

私のモットーは「好きこそものの上手」である。好きな道に進んでこそ、自分の力を存分に発揮できるものである。ご自分のビジョン・嗜好をお持ちの方には、できる限りそれに即した施設を紹介し、赴任していただく。しかし、かつての私のように、まだ何がしたいのかよくわからない、とりあえずオールラウンドに1人前になりたい、という方々には、以下のようにお勧めしている。


■ 滋賀医科大学でスーパーローテ2年間を行う場合

1,2年目ではなるべく広く多種多様な疾患を経験されることが望ましいので、自由選択科はその観点から選択されてはどうかと思う。また、この機会に呼吸器外科や他の外科を回っておくのも勧められる。2年目で専攻科を回るケースが多いようであるが、幅広い臨床的視点という意味では、必ずしもその必要はないと考える。というのも、3年目以降で、いくらでも専門的知識は身につけることができるからである。

引き続き3年目は当科で、呼吸器内科の全てを一通り研修する。当院は肺癌症例がそのほとんどを占めるが、肺癌ほど呼吸器初学者の勉強になる症例はない。

・レントゲン、CTの読影の基礎が学べる。特に肺野の結節や縦隔リンパ節の存在診断を繰り返し行い、陰影の拡大、縮小を見ることはためになる。また、無気肺、胸水もしばしば経験される。

・いろいろな薬を使う。抗癌剤はもちろん、ステロイド、G-CSFから疼痛管理、発熱すれば抗生剤まで、各ジャンルの薬を使うことになる。

・いろいろなことが起こるので、手技機会に恵まれる。血ガス、ルート確保に始まり、胸腔穿刺やドレナージ、癒着術、中心静脈から場合によっては挿管、人工呼吸管理まで、一通りのことが起こりうる。

その後4年目からは一般病院で独り立ちし、プライマリから急性期、多種多彩な疾患に触れ、呼吸器内科医としての深みを増していただく。


3年目に行うこと

・外来初診、再診の担当
・他科からの対診対応
・呼吸器科の当直
・単独主治医
・学会発表


4年目以降派遣、これまでの実績

天理よろづ相談所病院
倉敷中央病院
京都市立病院
湘南共済病院
大津赤十字病院


派遣先はその他多数あり(呼吸器科上級医が複数いる病院に限る)、研修希望内容、家庭の事情など相談の上決定している。

ハッキリ言って当科の科長は顔が広く、京大はじめ多くの大学の関連病院人事に融通が利く。選択肢は一流の研修施設ばかりであり、うらやましい限りである。


■ 学外病院でスーパーローテ2年間を行う場合

最近の趨勢としては、1,2年目にはマッチングにより外病院で研修と考えられるケースが多いようである。最初にプライマリや急性疾患、救急などに多く当たっておくのも好ましい。ただ、そこにずっといるよりは、先に述べた経験をする機会を求めての異動を視野に入れておかれることをお勧めする。具体的には、以下のごとくである。


・大学での研修(呼吸器内科領域では、緻密な診断の組み立てが必須であるので、少なくとも研修期間中にある程度の期間大学で過ごされることが望ましいと考える)
・高度専門病院での研修(結核、病理、放射線、癌など)
・大学院進学、研究生活
・国内・海外留学


これらの場合でも、上と同様、研修希望内容、家庭の事情など相談の上決定する。

参考までに、本院1-2年目用に作成したモデルコースを下に示す。

平成23年度研修プログラム.jpg

トップページへ

2010年04月25日

初期研修、病院見学のポイント

ただ今、ポリクリアドバンスコースということで、6年生諸君と日々過ごしている。そろそろ病院見学花盛りで、いろいろ尋ねられることも多いので、いくつか備忘録として記しておきたい。

まず、小生は内科医であるので、内科医を志す諸君にいっておきたいことは、「専門医の前に、内科医であれ」ということ。もちろん、専門分野を磨くことは当たり前であるが、内科医としての基本的知識はしっかり持っている必要がある。

おそらく専門分野に所属するであろう3年目以降には(経験も手伝って)、専門外の分野に対する感性というか、レセプターが鈍ってくることが予想される。1,2年目に出来るだけ内科医として多くの経験を積んでおくことが、内科医としての「幅」を作るのではないだろうか。

その後専門医としての「深み」はいくらでも、割と労せずにつくもので、初期研修の間は「幅」を広げることに腐心して頂きたい。

特に初期の間は、症例を経験する上で、その症例について解釈してくれる指導医の存在は絶対に必要である。せっかくの症例を自らの成長に結びつけられることが出来るかどうかは、指導医如何にかかっている。

故に、指導医が各分野について揃っていることが初期研修病院の必要条件であると言える。

循環器や消化器の医師はどこの病院でも潤沢にいるが、呼吸器や血液領域、感染に関してはなかなか専門医までおけないというところが多い。また、膠原病のことを相談できる内科医がいないという施設も少なくない。

手技に関してどこまでやっておきたいか、あくまで私見であるが、上部の内視鏡、腹部と心エコーは一通りやっておきたい。これらは、とっさに自分で出来ると大変便利である。心カテは将来志すのでなければ、見学程度でよいだろう。ただ、スワンガンツくらいは管理できた方がよい。循環器で学んでおくべきは、むしろ心不全の管理、水分管理である。

ICUや麻酔科、救急はもちろん常勤でしっかりしている方がよい。体制として、血漿交換が出来る施設は、そういう難しい症例も多く、お勧めではないかと思う。

このようにいろいろ言うと、大規模な病院、大学病院を勧めているように思われるかもしれないが、比較的小規模な病院でも上記の条件を満たしているところはある。むしろ小規模な方が、科を超えて相談がしやすいメリットがあることが多いと思う。

トップページへ

2010年04月24日

初期研修1年目は、一般病院が良いのか、大学病院が良いのか?呼吸器内科医の望ましいキャリアパスは?

学生諸君によく尋ねられる質問である。
いろいろと考え方があるが、現在多くの学生諸君には、一般病院派が多いようである。よく言われるところの一般病院のメリット・デメリットをあげてみると、以下のごとくかと思われる。

メリット

■ common disease症例が多く、generaristとしての腕を磨くことができる。

■ 救急症例が多く、救命救急領域の腕を磨くことができる。

■ 雑用はコメディカルが行うので、より効率よく「医療」に関われる。


デメリット
(多くはメリットの裏返し)

■ rare diseaseにはお目にかかれない

■ 上級医が少なく、時間もないため、指導を受ける機会が少ない。そのため、研修医の間で教えあったりすることが多く、我流、亜流のやり方になる。

■ 症例に関してじっくり考える時間がなく、数をこなすのみになりがち。

■ 雑用を経験する機会がない。実は雑用も含めて医療であるということを知る機会がない。


おおむね、大学病院に関して言われていることは、その逆となる。


自分の経験から、あるいは、数百人に及ぶ多くの研修医諸君をみてきた経験から、誤解を恐れずに申し上げれば、実は、初期研修をどこでやったかは、あまり(呼吸器内科医においては)臨床の腕には関係ない。


しかるべきキャリアパスを積んで卒後10年も経てば、初期の数年の差はほぼならされるのである。学生諸君はどうしても、目先の「手技」であるとか、「数」であるとか、目に見えるものを求めがちではあるが、目標となる医師像が明確であれば、あまり目先のことは重要ではないと言うことも申し上げておきたい。


では何が腕の違いになるのか。それは「素直さ」「どん欲さ」「誠実さ」である。どこでキャリアを積まれても、この3つの要素があれば、確実に腕は上がる。


逆もまた然りである。

トップページへ

2010年04月23日

呼吸器内科医の望ましいキャリアパスは?(続き)

具体的な進路、キャリアについて、何か道しるべがあればわかりやすいと思うので、私の来し方をお示しし、呼吸器内科医の望ましいキャリアパスについて考えてみることとする。

履歴書に記載する私の職歴は、以下のごとくである。


平成5年 京都大学胸部疾患研究所入局

最初の1年では、呼吸器内科、感染症科、呼吸器外科のローテーションを行った。大学ならではの、多くの貴重な症例を経験させていただいた。また、多くのオーベンの考え方、やり方を直接肌で覚えることができた。
また、このときに手術に立ち会った経験は貴重な財産である。


平成6年〜7年 住友病院 内科

内科各科のローテーションを行った。このときに、数多くの重症例、complicated case、rare diseaseを担当させていただいた。当然、胃内視鏡、大腸ファイバー、腹部エコー、心エコー、心臓カテーテルも数多く行った。このときの経験が、自分の臨床能力の幅を決めていると、ありがたく思っている。頑張りすぎて最後に入院するという落ちまでついた。


平成8年〜12年 京都大学大学院博士課程
(博士論文:慢性型間質性肺炎の画像組織学的検討)
平成12年〜13年 京都大学医学部附属病院 呼吸器内科医員

当初2年間は、とにかくレントゲンと病理を見まくった。当時の京大に、放射線科、病理に日本のトップランナーであられるお2人がおられたことは幸いであった。大変厳しく、お2人の求めておられるレベルには達することはできなかったが、「臨床医としては」というエクスキューズ付きで、何とか水準には達したのではないかと思っている。

また、当時の京大には、日本で有数の間質性肺炎、サルコイドーシス、その他rare diseaseの患者さんが通院、入院されており、多数の症例を経験できたことも意義深いものであった。


平成13年〜14年 KKR 京阪奈病院 内科医員

52床の結核病院に呼吸器内科1名、という状況で赴任した。多くの他科の先生方のお力を借りての運営となったが、結核の診断、治療、薬剤の副作用、非結核性抗酸菌の治療など、考え得るあらゆるパターンの経験ができたと感謝している。


平成15年〜16年 ブリティッシュコロンビア大学留学

研究に対する姿勢、論理的な考え方、研究デザインの組み方など、一流の研究者の頭の中を垣間見ることができた。


平成17年 滋賀医科大学呼吸循環器内科 医員
平成18年 同 助教


多くの仲間たちに恵まれ、教育に関して日々アップデートを行っている。


このキャリアがベストとは言わないが、自分では多くの勉強する機会に恵まれたと感謝している。

トップページへ

2010年04月22日

呼吸器内科医の望ましいキャリアパスは?(提言)

呼吸器内科医として、当然専門分野を磨く、という考え方もあるが、現在不足していて、需要が多いのは、やはりバランスよくどの分野でも対応できる臨床能力を持つ医師である。当然、呼吸器内科領域だけでなく、幅広く患者さんを見ることができることが望ましい。

そのようになるためには、最初にどこで研修を積むかはともかく、以下のごとき経験は必要であろう。


■ 信頼できる上級医(複数)の元で、カンファレンスなどを繰り返すことでものの考え方、見方、症例のまとめ方などを身につける。手技のやり方も、できればいろいろな流儀を見ておくと幅ができる。


■ 内科全般について、幅広く症例、手技を経験する。手技に関しては確実に、迅速に遂行できるまで磨きをかける。救急・ICU・麻酔科も経験しておくことが望ましい。


■ 呼吸器分野に関して、もちろんできるだけ多くの症例に当たるべきである。癌・感染症・アレルギー・免疫・換気不全など、学ぶべき分野はたくさんある。特に結核・抗酸菌症は、専門病院に行かないとまとまった数の症例を診ることができないので、数ヶ月程度はそういう施設での経験も必要ではないだろうか。


■ できれば、手術にも入っておきたい。肺の柔らかさ、胸腔内の様子を実感する、放射線での所見と肉眼所見を対比することができる貴重な機会である。また、手技を多く経験できる。ドレーン留置はかくも容易なことであると実感できる。


■ レントゲン、CTは読めるようになっておきたい。これは最低限、紳士淑女のたしなみである。放射線科での修行も勧められる。


■ 病理が読めれば、学会で自分が発表するときや、ディスカッションするときに自信を持って発言できる。一定期間、どこかで病理漬けになるのも、いいものである。


■ 一定期間の「研究漬け」生活も必要である。一生臨床医で通すにしても、あるデータ、studyの解釈をする場合、貴重な臨床経験を世に問いたい場合も、研究脳があるのとないのとではその質が違ってくるのである。


いろいろな考え方はあると思うが、あくまで一つの考え方としてお示しする次第である。どこにいても、ある程度はできることもあるし、必ずしも私のようにあちこちの施設を渡り歩く必要はないと思う。

私は決してそうではなかったが、どんな医師になりたいか、というビジョンを持って研修をされると、研修の質が上がるということは言われている。1年目にどこに行くか、ということは、どれからやるか、というだけのことで、結局はどれも必要なのである。あまりいろいろな情報に振り回されず、物事の本質を見てほしいと思う。

トップページへ

2010年03月05日

呼吸器内科研修で目標となる医師像

1.内科各領域に関する数多くの症例経験を通した幅広い見識を持ち、確かな手技遂行能力を持ちながら、決して手技至上主義ではなく、患者さんの一臓器のみに着目せず、バランスよく全身を診ることで、患者さんにとって最良の選択をすることができる。

2.呼吸器内科分野においては、放射線科医・病理医に匹敵する情報解読能力を持ち、施設ICT(インフェクションコントロールドクター)と遜色のない感染症の知識を持ち、癌化学療法は専門医レベルの遂行能力を持つ。また、診断、検査、治療の各ステージにおいて、場当たり的でなく、論理的思考の元に判断を下すことができる。

3.肺が病変の主臓器であるアレルギー・免疫・膠原病といった分野で施設のリーダーとなる知識と経験を持つ。

4.的確な学会発表を行い、症例報告を、適切な文献を引用しまとめることができる。その上、複数の症例をまとめる臨床研究や基礎的研究のデザインを描くことができるような、臨床面での問題意識と解決の道筋を持つ。

トップページへ