2024年09月02日

告知・国試勉強会for6年生/漢方webセミナーのお知らせ

告知です。

6年生対象に、国家試験の過去問を解いてみて、ポイントをグループで共有しましょう!という勉強会を9/11(水)13時〜14時にみらいラウンジ(みらい棟1階)で開催します!どうぞ奮ってご参加ください!!

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もう1件は9/5(木)18:30-19:30の漢方webセミナーです。

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皆さんご存じの林寛之先生による特別講演「臨床推論と漢方薬」に続き、しまね地域医療のホープ、佐々木弥生先生(よしか病院)、小川将也先生(隠岐病院)がパネリストとして登壇され、島根県内の全病院の漢方採用薬調査に基づく、地域の病院で採用すべき漢方薬、使い分けなどをディスカッションしていただきます。
皆様奮ってご参加ください。参加申し込みはポスターのQRコードからどうぞ。

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2024年06月09日

NMB48の安部若菜さん(わかぽん)に見る?、ものごと上達への道と30の法則

もう6月ですね。この時期、そこここで「手技が上達しない」系の呻きが聞かれるようになって参りました。

これに対するアドバイスは1つしかなくて、「練習あるのみ」ということになります。以前の記事にも書いているのですが、改めてこちらにも記しておきます。


かの本田圭佑さんに限らず、多くの方がいってこられていることですが……

物事の上達にはまず量をこなし、それから質を語る。必ずこの順番なのですね。特に「手(足?)で何かをする系」のことについて上達したければ、とにかくまずは数をやるしかないのです。数をやらずして上達する王道はない。ないのです。コスパのいい方法なんぞないのです。

でも、やってもやっても、うまくいかない…。ということはある。
スランプに陥ったバッターはどうするか。ひたすらバットを振る。
ひたすら、練習あるのみだといいます。

点滴がうまくいかない…
血ガスがうまく取れない…
挿管tubeが食道に入って、周りの冷たい視線が…
CVがAに…

凹みますよね……。

で、その手技、何回やりましたか?2回?3回??
100回やっても上手くいきません!なんてことはありません。

まちろん慣れない場所、知らない人々……の中で、よくしらない疾患や症候を取り扱う、大変なストレスであることでしょう。特に手技モノは、うまくいかないことが続くと、周りの目も気になるし、「本当に自分に医者ができるのか」不安になってくるかと思いますが、初期研修中に身につけるべき手技のほとんどは、「練習すれば、必ずできるもの」です。

私が研修医の頃から指導医の先生に言われていた「30の法則」

一般的な(内科でもやるような)手技・処置(気管内挿管、中心静脈カテーテル留置、胸腔ドレーン留置など)は、30回経験しなさいと。器用、不器用にかかわらず、30回やれば、必ずモノになる、というのです。
だいたい、最初の数回はビギナーズ・ラックで(無心でやるので)うまくいくこともあるのですが、何回かやると(色々考え出して)うまくいかなくなることがある。そこで色々やってみて、スランプを脱出するのが10〜20回目ぐらいだそうです。

その後、さらにいろいろなパターン、困難症例などを経験し、30回もやると、どんな場面でも自信を持ってできる、ということです。

そういわれて、私も若い頃に、処置をやるたびに「正」の字を書いてカウントしていたことを思い出します。数えてみると30回というのは、まあまあ多いのです。ですから、どん欲に手技機会を求めて参りましょう!


そこでNMB48の安部若菜さん(わかぽん)がなんの関係があるんだ、というところですが、彼女は入団?当初ダンス未経験で、かなり不器用で鈍くさくて、かなり下手な方、でした。ダンスの先生にも怒られまくっていたようです。なんだったら私服も芋っぽくて、人気も下位で……それが今ではどうでしょう。シングル選抜、序列も高位、それに新公演「天使のユートピア」ではダンス選抜ユニットに抜擢されるという大まくり、大逆転を演じています。

それもダンスに関してはやはり回数をこなした、地道に練習した、それの繰り返しで、いつの間にかダンスは苦手といいながらしっかり踊れるようになっているということで、やはり量は裏切らない、ということを言いたかっただけなのですが、わかぽんの選抜定着、ダンスユニット入りには感慨深いものがありますね……。

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2023年10月03日

とある審査を終えて思ったこと

先週1週間はかなりバタバタしておりました。更新も滞りがちだったりして。そこでご指摘をいただいたことはいくつかありましたが、「学生からのフィードバックをきちんと集めてカリキュラム改革に生かすべし」というところ、繰り返し指摘頂きました。

学生さんからのフィードバック、これは私自身これまでにたくさんいただいてきて、それを元に授業を改善してきたことは間違いありません。一方で「お客様の声をそのまま鵜呑みにすると、お客様の理解の範囲内での商品しかできないため、それは実際には売れない。お客様の声を参考にしつつも、プロフェッショナルとしてしっかり考えた上で商品を決めていくべきである」ことも言われているところでありましょう。

最近新しく得たキーワードとして『解像度』というものがあります。医学生の時期、特に低学年の人は、医学や医療に対する解像度が低く、要するにものを分かっていない状態で、ただ課程がきついとかテストがきついとか、目の前のきつさに反応して文句を言う傾向にあると。で、それを鵜呑みにすることは危険であると。まあ当然鵜呑みにはしていませんが、そのフィードバックをどこまで活かすかというところがポイントになるわけです。
解像度が低いことによって理解不十分なままワ〇チンに反対してきた人々をいやというほど見てきましたよね……

以前にも書きました、啐啄同時という言葉の教育における意味、というか教育における大いなるジレンマでもありますが、教育を受ける側の学習者はその段階において「これから受ける教育の意義、意味合いのすべてを理解しているわけではない」。これは当たり前ですよね。これから学ぶわけですから……ということで、その段階においてはこんなことに果たして意味があるのか、これをして何の役に立つのかという疑問が生まれたりして、それを教育者に問うたりフィードバックしたりということになってしまう。

もちろん意味がわかって意義がわかって学習する方がモチベーションが上がるわけですが、必ずしもそうはならない状態でも、やはり歯を食いしばってでも学習し暗記し理解しなくてはならない時期もあってしまうのが現実ではないでしょうか。教育者としてはそこで得たフィードバックを真に受けて課程の負担を軽減するなどということは、まあ、されないわけです。そこで その意義を伝えるであったり、モチベーションが下がらないような教育プログラム・カリキュラムに見直していくといった工夫が必要とされるように思います。

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2023年04月10日

国家試験後の臨床〈レジデントが学ぶべき100のこと〉著:渡部晃平(洛和会音羽病院・総合内科)

献本 御礼
こちらの書籍はずいぶん前に献本いただいていたのですが、異動に伴うゴタゴタ?でなかなか読み始めることができず、ようやくある程度目を通すことができましたのでご紹介させて頂きます。

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前書きやあとがきにもあるように、著者の先生はご自身が研修医として働き始めた時の「みずみずしい経験」、その当時にわからなかった、悩んだ事柄、また研修医の先生方を指導していく中で実感された現場知とでもいうべき、本当に現場で必要とされるけれどもなかなか書籍などには載っていない、そういう知識をふんだんに盛り込んで書かれていることがわかります。

研修医の先生方にこういう知識があったら、現場での困りごとはずいぶん減るだろうなあ……と思うわけですが、決してこれは売れ線を狙ったというものではなく、本当に現場で困ったご自分の経験や、研修医の先生に 丁寧にご指導される中で気づかれた多くのポイントを盛り込まれていることが分かります。そう、この本には、研修医の先生への愛がふんだんに盛り込まれているわけです。この目線は「レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室」「レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室」を始めとするやさしイイシリーズで私が意識していたことですので、とってもよくわかり、共感できるところであります。

正直言えば、自分でこんな本を書きたかったなあ、という思いがあります。でももはや初期の記憶は遠い彼方。ここまで現場目線に立った、全科に目を配った本は書けなかっただろうなあ、とも思います。

そういうわけで、こちらの書籍は、初期研修が始まったばかりの先生方、初期研修が始まってしまって、困っていることだらけの先生方に、私からも特におすすめするものであります。

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2023年04月05日

心に残る、先達の言葉

私が研修医の頃、上級医に言われた台詞は、時代の違いこそあれ、初期研修医の皆さんにも何かの参考になるのではないかと思います。セルフツッコミをしつつご紹介して参りましょう。

■ われわれ教員は、君たちを教えるために給料をもらっている。君たちは、教えてもらっているだけ、失敗して病院に与える損失の分だけ、給料が少ない。従って、どんどん失敗し、どんどん上級医に教えてもらうべきである。

⇒昨今では初期研修医の先生方のお給料も上昇傾向にあるようです。これは国立大学病院での話ですかね……。

■ 本を読んで調べる暇があったら、患者さんのところに行け。手を動かせ。わからないことは上級医に聞いて、時間を節約せよ。本を買って読むのは3年目以降でよい。

⇒これも、概ね同意ですが、昨今ではスマホやiPadで簡単にUpToDateや論文(やそのまとめ)にアクセスできるようになっています。私が研修医の頃は高価な書籍を購入しないと情報にアクセスできなかったわけで、ちょっとその頃とは事情が違いますね。でも前半部分は完全同意です。

■ 内科で行う手技の90%は、誰でもできるはずのものである。できないのは、単に練習が足りないからだ。どんな手技も30回やればモノになる。

「30の法則」でご紹介したとおりです。他に「3の法則」というものもあるんですが、これはちょっとお下品な話なのでここではご紹介しません……。

■ どんなに本や文献を読んで、その疾患についてわかった気になっても、担当医になって身についた知識にはかなわない。多くの患者さんを担当せよ。
■ もっとも偉い臨床医は、もっとも多くの患者さんを診た臨床医である。100例肺炎を診た臨床医よりも1000例肺炎を診た臨床医の方が、肺炎についてよく知っている。

これも間違いなく真実ですが、昨今良質なレビューなどが多く得られますので、ある程度「知った風な口を聞ける」様にはなってきております。数少ない経験+レビューで概要をつかむ、というのが、手っ取り早くその疾患に関する知見を得るのに役立つでしょう。

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2023年04月04日

処置中に、絶対にやってはいけないこと

処置中は、「ムダな」声を出さないようにしましょう。

もちろん、必要な指示や、アレ取って下さい、みたいなのはいいんですよ。

最悪なのは、

「あっ」とか言うこと。

これで、患者さんの不安は大倍増&先生への信頼度は大低下になります。

上級医の先生も、いろいろ細かく言いたいことはあるでしょうが、大間違いでなければ黙って見過ごして、後でまとめて教えてあげて頂きたいですね。あるいは、無言で指で指したり、手を取ったりで指示する方がいいのではないかと思います。

上の先生が「違う違う」「そうじゃない」とか言ったり、事細かに指導したりするのを聞くと、患者さんの不安は8倍ぐらいになりますし、若い先生にしても、処置中はかなりテンパってますので、耳に入らなかったりします。あとで指導するほうがいいと思います。

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2023年04月03日

初期研修における「スランプ」とは

以前も書いたことを再掲しますが、物事を学ぶ過程においては必ず「スランプ」的な時期があるということを知っておきましょう。

以前書いたのは息子のスイミングでの経験談。

始めたころはどんどん昇級するのですが、途中で1年ぐらい、まったく昇級がなかったりして、「このままやめてしまうのかな〜?」と思うような、心折れているように見えることもありました。

それでも続けていると、ある時期を境に気持ちが前向きになり、ぐっと伸びるようになります。

何でも、物事を学ぶ過程では、スキルはこんな風に一直線には伸びません。

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こんな風に伸びない時期があるようです。
いわゆる「スランプ」といわれるものも、ここに入るのかもしれません。

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やってもやっても、うまくいかない…。

点滴がうまくいかない…
血ガスがうまく取れない…
挿管tubeが食道に入って、周りの冷たい視線が…
CVがAに…

凹みますよね……。

スランプに陥ったバッターはどうするか。ひたすらバットを振る。
ひたすら、練習あるのみだといいます。

昨日「30の法則」でも書いたとおり、30回やれば、多くの手技は安定してできるようになります。

スイミングの帰りに車の中で流れていたのがAKB48の「RIVER」。
まさに今、がんばっているみなさんの応援ソング。
著作権に配慮して、うろ覚えモードで歌詞を紹介しましょう。


君の目の前に川が流れる、
深くて大きい川

離れていても、流れが速くても、
きっと向こう岸はある。

もっと自分を信じろよ
川を渡れ、
You can do it!


…秋元康さんの、若い人に対する優しいまなざしというか、AKB48に対する愛情、そしてそのファンに対する愛情も感じますね。

頑張れ、新人諸君、You can do it!

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2023年04月02日

年度初めに送る、新研修医の皆さんへの言葉@ 30の法則

初期のころ、新年度にあたって毎年のようにブログに書いていた言葉たちがありました。今読み返すと、書き方含め、どうかいな?と思うところもあるため、改めて自分の言葉で書いてみます。


新人医師諸兄に贈る言葉「30の法則」

今年もフレッシュマンの皆さんが勤務を開始されると思います。多くのご施設では4月3日スタートでしょうか。皆さん希望もあり、不安もあることでしょう。

慣れない場所、知らない人々……の中で、よくしらない疾患や症候を取り扱う、大変なストレスであることでしょう。特に手技モノは、うまくいかないことが続くと「本当に自分に医者ができるのか」不安になってくるかと思いますが、初期研修中に身につけるべき手技のほとんどは、「練習すれば、必ずできるもの」なので、是非頑張って練習しましょう。

私が研修医の頃から指導医の先生に言われていた「30の法則」というのがあって、一般的な手技・処置(気管内挿管、中心静脈カテーテル留置、胸腔ドレーン留置など)は、30回経験しなさいと。

器用、不器用にかかわらず、30回やれば、必ずモノになる、というのです。

だいたい、最初の数回はビギナーズ・ラックで(無心でやるので)うまくいくこともあるのですが、何回かやると(色々考え出して)うまくいかなくなることがある。そこで色々やってみて、スランプを脱出するのが10〜20回目ぐらいだそうです。

その後、さらにいろいろなパターン、困難症例などを経験し、30回もやると、どんな場面でも自信を持ってできる、ということです。

そういわれて、私も若い頃に、処置をやるたびに「正」の字を書いてカウントしていたことを思い出します。数えてみると30回というのは、まあまあ多いのです。ですから、どん欲に手技機会を求めて参りましょう!

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2022年04月03日

年度初めに送る、新研修医の皆さんへの言葉

初期のころ、毎年のようにブログに書いていた言葉たちがありました。しばらく書いていませんでしたが、初心に帰り?引用してみます。

上級医に言われた台詞(セリフ)
http://tnagao.sblo.jp/article/26983046.html

「30の法則」
http://tnagao.sblo.jp/article/44130525.html

処置中に、絶対にやってはいけないこと。
http://tnagao.sblo.jp/article/44168629.html

物事を学ぶ過程における「スランプ」
http://tnagao.sblo.jp/article/53349275.html

研修がスタートした皆さんの、何かの参考になれば幸いです。

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2021年10月01日

OSCEのコツ?

そろそろOSCEのシーズンでしょうか。まあ、大学によってまちまちだとは思いますが……。

OSCEみたいな「実技系」の試験では、必ずといっていいほど「めっちゃ緊張して手技ができない人」とか、「途中で頭が真っ白になる人」が散見されます。

まずはご自分が「緊張しい」のタイプかどうかを把握することが大事でしょうか。人前で何かしようとするとあがってしまう、という場合もそう。

その場合、対策は「何も考えずにできるほど繰り返し練習する」ことに尽きます。頭が真っ白になったって、OSCE程度の手技であれば体が覚えているもの。逆に練習不足だと動きもぎこちなく、見ていてすぐにわかりますし残念な気持ちになります。

当日の心得としては……

・しっかり練習した自分を信じる!
・平常心で!
・問題文をよく読んで、その通りやる!
・時間が足りなかったりやり忘れをあとで思いだしても、次のステーションに引きずらない!

これで合格です!!!

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2021年08月04日

おススメ書籍 グラム染色診療ドリル―解いてわかる!菌推定のためのポイントと抗菌薬選択の根拠

『グラム染色診療ドリル―解いてわかる!菌推定のためのポイントと抗菌薬選択の根拠』献本いただきました。林 俊誠先生、羊土社様、ありがとうございます。

https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758123747/

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著者の林先生は直接の面識はありませんが、グラム染色は教育ツールとして極めて重要であり、心して拝読させていただきました。一章では検体の取り方からグラム染色のそもそもの手順、顕微鏡の使い方まで、初心者向けに丁寧に書かれています。グラム染色像の見方では、「田んぼの田を見つける」など初心者にもわかりやすくグラム染色像を見るコツが紹介されています。

しかしやはり本書の注目ポイントは第2章でしょう。豊富な実例写真でもってグラム染色画像が紹介されています。2章ではいきなり問題から始まって、これはちょっと初心者には酷じゃないかという印象を当初持ったのですが、最初に書かれてあるように初学者はすぐに回答と解説を読んで、どんどん実地で学んでいくという方法がお勧めされています。なるほどこのやり方であれば初心者でも勉強しやすいなと思いました。とにかくジャンジャン山ほど画像に曝露するというやり方は拙著『やさしイイ胸部画像教室 実践編』でも行なっていることではありますが、結局のところ学習の王道であると感じました。

紙質もよく裏写りがほとんどないので、キモになる菌のカラー写真が大変鮮明に分かりやすく写っています。大変お勧めです。

グラム染色といえば神戸市立医療センター中央市民病院の山本剛先生による『グラム染色道場』が有名ですが、こちらはやはり中級以上、上級者向けの方向けという印象があります。初学者を卒業したら是非こちらへ進んでいただくといいでしょう。

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2021年06月20日

臨床実習の意義

このコロナ禍で、大学の多くの授業がリモートやズームや配信になりましたが、知識を伝える系の講義・授業がコンテンツ的になったこと自体は、多くの学生さんに歓迎されているようです。

特に大学に入学してくる程度の、成熟した学生さんにとっては、分かりにくいところを繰り返し見られたり、スピードを変えられたり、自分のペース、都合のいい時間帯で受講できたりとメリットが多いようです。

しかしながら、実際に患者さんに触れることができなくなった臨床実習においては、これまでやっていたことができなくなったことによる弊害が非常に大きかったと感じています。

例えばPBLを取り入れたり、模擬症例を用いたり、模擬患者さんを導入されたりすることによって、実習モドキをすることは出来るのですが、やはり医師になる前、学生の間に「生の患者さん」と話をするであったり診察をさせていただくであったり…といった貴重な生体験の機会がごっそり失われてしまったことは本当に残念に思いました。

この出来事を経て、やはり自分が現場でやりたかったことは、生の患者さんと学生さんとの「やり取りの中でこそ学べること」を、学生さんに貴重な経験として実感してもらうことであったのだなあと改めて思っています。Shimane General Medicine Centerの活動では、地域の現場でそういったことができればいいなぁ、と考えています。

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2019年10月14日

カリキュラム私案

臨床実習のあり方として参考になるのが、以前学生さん(6回生)にしたアンケートです。卒業前の学生さんに、実際教員に何を求めていたのか、その期待に教員は応えていたか、というのを聞いてみたものです。これも研究の体ではありませんので、どこかに発表する、ということはしておりませんが、本学の「全学フォーラム」でたくさんの教員の皆さんにお話をさせて頂きました。その後特に反応は受け取っておりませんが…。

こちらもほとんど自由筆記で書いてもらいましたが、多く集まった意見として、せっかく授業を受けるんだから、事実の羅列とか本に載っているようなことではなくて、もう少しその理屈であるとか機序であるとかそういうところをわかりやすく話して欲しかったという声がありました。

それ以外には、大学ならではの「最先端の研究」に触れたかった、「臨床」に直接もっと触れたかったという意見、それからロールモデルを見たかったという意見などが挙げられました。

そういった意見も参考にして、今年の4月から当科の臨床実習を組み替えました。現在の臨床実習は循環器内科、呼吸器内科各々一週間(!)の割り当てなのですが、目玉?として、闘魂外来(問診から診察、検査の立案、鑑別診断をあげる、そして治療までも、ある程度自分たちで、できないまでも考えてみるということをやってもらいます)が2日あります。そして入院中の患者さん(慢性疾患、あるいは急性期であっても、継続的に患者さんと接することができます)にお話を伺うとか、診察をさせていただくことで、患者さんの気持ちを知る機会であったり、事情を斟酌したりというような体験をする。それから身体診察では、特徴的な所見を持つ疾患の身体診察所見に触れる。このようなことも意識して行ってもらっています。

そして実際に体験した患者さんの疾患について、自分なりに深掘りして調べてくる、そのようなことをやっています。こんな感じで、学生さんには(外交辞令もあるかと思いますが)なかなか好評を頂いておりますが、なにせ1週間という限られた期間ですので、なかなかそれ以上のことは難しいのが現状です。これを仮に4週間いただけるとするならば、どのように変えていきましょうか。

まず闘魂外来、これは学生さんのモチベーションアップに直接つながる非常に貴重な機会ですし、学習効果もかなり高いと実感していますので、これは外せません。それ以外は入院患者さんの担当をすることで深めていくことになるでしょう。そして今では臨床実習の前に実習時間として設けられている「臨床実習入門(シミュレーターを使って所見を取る練習)、それに少人数能動学習、それから場合によっては臨床診断学の授業、この辺を実習の中に組み込んでいくことで、モチベーションを上げた状態で学びをしっかり行なっていくことにつながるのではないかと考えます。

特に臨床実習入門は、患者さんに接していない状態でやってもただのお遊びにしかならないように見受けますので、まず患者さんと接して、患者さんの所見を見てからシミュレーターを使って、心ゆくまで所見を取る、繰り返し繰り返し音を聞いたり触ったり、とするほうが深い学びが得られるかと考えます。このようにカリキュラムの工夫をすることで、しっかりと実習期間を取りながら持続可能な実習をやっていくことが可能なように思います。

もちろん自分たちで学習する時間も設けます(少人数能動学習的なところです)が、例えば1学年上の学生が下の学生に教える、研修医が学生に教える、このような屋根瓦式のコンセプトを持ち込みたいところですが、このあたりはしっかりと設計しないとなかなか大変かもしれません。

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2019年10月13日

カリキュラムが変わるとのことですが…

医学部のカリキュラムが変わりつつあります。

全国の医学部で、だと思うのですが、これまでの日本独自の?カリキュラムでは国際的にみて実習が不足しており、その国際基準に則ってカリキュラムを変更するべし、となっているのです。具体的には現在50週あまりの実習期間を72週にすべし、というのが取りざたされています。まあ、本質的には「期間」が問題ではないと思うのですが…なんでか「期間」が一人歩きしている感があります。

そこで本学でも、数年前からカリキュラムの見直し、変更が始まっている…とのことですが、その状況は、下々の私たちには全く伝わって参りません。先月のクリニカル・クラークシップワーキングで、突然「2021年2月から、新たなカリキュラムが始まる。異論は認めない。以上。」とだけ告げられたのでした。内容については全く教えて頂けませんでした。

数年前にとある事情で、カリキュラムの見直しについて私案を作成したことがあるので、なかなかカリキュラムの組み立てが難しいことは理解しております。それに、現状のように「各科(というか教授1人につき)2週間ずつ」という謎の平等感は全く学生さんのためにならないこともわかっていることです。

であるならば、もっと現場の知恵を出し合って、皆で作り上げる方がいいような気がするのですが…クリニカル・クラークシップワーキングも「ワーキング」とは名ばかり、ただの上意下達組織になっていますので、なかなか難しいところですが。とにかくもどかしいことは確かです。

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2019年05月21日

滋賀医科大学医学部附属病院 初期研修・専門研修説明会(令和初!)

この週末、令和になって初めての、滋賀医科大学医学部附属病院 初期研修・専門研修説明会が開催されます。

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滋賀と言えば近江牛です。実は、当院のレストランはその近江牛が売り。そちらから直送される昼食をたらふく食べましょう、というのが会の趣旨です(違

多くの学生さん、研修医の皆さんのお越しをお待ちしております!

http://kensyu.es.shiga-med.ac.jp/kensyu/2019/04/16/%E3%80%905-26%E9%96%8B%E5%82%AC%E3%80%91%E6%BB%8B%E8%B3%80%E5%8C%BB%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%A7%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%83%BB%E7%A0%94%E4%BF%AE%E5%8C%BB/

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2019年04月27日

臨床実習改革、手応えあり。ショートレクチャー

新年度から、お昼の時間に、スタッフの先生方によるショートレクチャーを開始してもらっています。

短い研修期間の中で、スタッフの先生方と研修医の先生方が馴染んでもらう機会を多く設けたいということ。

スタッフの先生方の得意分野を研修医の先生や学生さんに見てもらいたい、ということ。

そして、アウトプットの機会を設けることで、スタッフの先生方の成長機会になれば、ということ。

もちろん、研修医の先生方や学生さんたちへの教育機会。

などなど、メリットは多々あるのではないかと期待しております。


新年度からこれまでに…

河島先生による、症例を使っての双方向性肺癌レクチャー。

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内田先生による、本とかガイドラインに載ってない癌の話。

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松尾先生のレクチャーの時は、学会参加のため残念ながら参加できず。松尾先生自らのレポートを待ちましょう。

そして週を換えて大岡先生による、肺炎と抗菌薬の話。

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そして行村先生は、COPDのみかたをレクチャー。

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昨日は、仲川先生に、びまん性肺疾患と間質性肺炎の身体所見などいろいろを教えてもらいました。

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これからも最強のレクチャーが続々登場予定です!

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2019年04月26日

臨床実習改革、手応えあり。しかし大変(苦笑2

琵琶湖闘魂外来の手順は、以下のような感じです。

例えば外来に初診患者さんが来られます。当然、その患者さんは何の疾患かわからない状態から、学生さんと一緒に患者さんのお話を聞いて、ある程度鑑別診断をしぼり、必要な診察を一緒にさせて頂いて検査を出す。

患者さんが検査に行かれたあと、鑑別診断を考えて、検査結果の予想をします。実際やっていて、「自分、なかなかできるようになったなあ…」と思うのは、鑑別診断のところで一席、検査のところで一席、ちょっとした学生さんに役立つようなレクチャーに持っていくことができるようになった点かなーと思います。

学生さんは患者さんに相対している時点で頭がフル回転していて、感情も高まっていますから、ここでのレクチャーは頭に残りやすい(と期待します)。

て、結果が帰ってきて、さらにあーだこーだお話をします。ある程度診断がついて、じゃあ実際どんな薬を使うのか、どんな治療がいいのか、説明はどうするのか、といったところも話し合って色々意見を出し合ってもらいます。

教科書(病みえ…)に書いてあることや、これまでの知識と、実際の患者さんへの適用との差分を意識してもらい、これからどのようなことを意識して実習に臨むべきか、ということも考えてもらっています。

もちろんこの一週間はno blaming cultureでやっておりますので、気軽に意見を出してもらえる感じをまぁ目指している、ということです。実際はそうそうスースー意見が出るものではありませんが…。

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2019年04月25日

臨床実習改革、手応えあり。しかし大変(苦笑1

新年度から臨床実習−クリニカルクラークシップの体制が変わりました。

これまで循環器内科・呼吸器内科合わせて2週間、その中で循環器内科の時間と呼吸器内科の時間が入り乱れて存在し、学生さんも右往左往しておられました(で、大層評判が悪かった)けれども、今年度から循環器内科1週間、呼吸器内科1週間で、完全に分けてやることになりました。

それによって、外来患者さんや入院患者さんの受け持ちを学生さんにやってもらうことが格段に容易になりまして、ようやく臨床実習らしくなって参りました。

これまでは折角受け持ってもらっても、循環器の時間には向こうに行かなくてはならず、受け持ちにならなかったのです…。

この新体制の目玉は、これまでにもありましたが、琵琶湖闘魂外来です。これまでは循環器との兼ね合いで週の後半に設定していたのですが、週の後半は初診患者さんが少なく、ほとんど学生さんに関わってもらうことがなかったのです。

しかしながら、まれに関わっていただいた初診患者さんにおいては大変多くの学びがあり(あったと私は思っているのですが)、是非これはもう少し患者さんの多い時に行うべきだと思っていました。

ようやく新年度からそれが週の前半にできるようになり、経験症例数が一気に増えました。特に今の時期は実習が始まって間もないため、ちょっとしたことでも深い学びになります。

患者さんにはお時間を頂き、大変ご面倒をおかけしながら、しかしながらこちらも真剣勝負で教えていますので、ある程度はご理解を頂けているかと思います。

やはり実際にやってみて、患者さんと接すると学生さんの真剣度が全く違うのには驚きました。ただの机上の理論を聞いているだけとは雲泥の差、目の色が変わるとはまさにこのことかと思います。集中力も断然違います。いいことずくめに思われるのですが…。

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2019年02月26日

「グラム染色道場〈肺炎診療に生かす喀痰グラム染色の見方・考え方〉 」を拝読して

少し前に日本医事新報社さんから、神戸市立医療センター中央市民病院 山本剛先生によります「グラム染色道場〈肺炎診療に生かす喀痰グラム染色の見方・考え方〉 」を献本頂きました。二度通読しまして、大変感銘を受けましたので、少し感想を書かせて頂きます。


これは『道場』です。

道場というものはそれなりのものでないと入ることすら憚られるものであって、初心者が入ると火傷をする恐れがあるものです。しかしながらある程度腕に覚えのある者にとっては、自らをさらに高めてくれる道標となるものです。私自身初心者に毛が生えたようなものであり、危うく大火傷をしそうでしたが…。

本書のスゴいところは、痰の中の「グラム染色で染まった菌」だけを見るのではなく、痰の全体像から病態に踏み込んで評価しているところです。

臨床検査技師の方がここまで患者さんの臨床経過や背景にまで思いを持ってくださっているのか、と改めて敬意を表すると同時に、自らの診療態度をも顧みるものであります。

痰を見ることでここまでわかる、となると、臨床情報を医師がどれだけ蒐集しているのか、そしてそこで生まれるディスカッションが、患者さんの病態を把握し、より良い治療につながることとなるでしょう。

この道場で研鑽を積まれることで、医師が臨床検査技師の方と同じ目線でディスカッションができるようになれば、大変価値のあることではないかと考えます。

私自身本書を拝読してから、検体の見方が変わり、細菌検査室の技師さんと少し?話が弾むようになってきて、感染症診療がより楽しくなって参りました。大変うれしく思っております。

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2018年08月26日

「HEATAPP!」ようやく読了

ずいぶん時間がわかりましたが、「HEATAPP!」をようやく読了することが出来ました。

やはり私たち教員のための本でした。

岩田先生の基準からすると、まったくボンクラな臨床医である自分が、人を教える、という立場でいていいのだろうか、と読みながら自問する日々でありましたが、(まあ、それで時間がかかった面もありますが…)まあ今年の分は仕方ありません。このままやってしまいましょう。

まあ教壇に立つ言い訳をするならば、学生さんに伝えておられる内容自体は、おおよそ私も常日頃言っていることでしたので、なんとか伝えるものとしては、立ってもいいのかなと。でも、背中を見せるのはちょっと無理筋ですので、何とかしなくちゃなりませんね…。

岩田先生が神戸大学の中で、大変ご苦労されている…というか、ストレスを感じておられる様子が、あるあるネタの宝庫で、とっても共感できましたが、これも含めて大学教員向けの本でしたねー。

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2018年08月18日

呼吸器内科 ただいま授業改革中!

絶賛展開中の「ただいま診断中!」シリーズではありませんが、夏休みの時間がまとまってとれるタイミングで、授業のスライドを見直しました。

先週書きましたように「HEATAPP!」を拝読いたしまして(まだ読了してはおりませんが…)、取り入れられるところを取り入れようとしておりますが、私のオツムの容量では、岩田先生のように身一つで教室に入り、ひたすら立て板に水のごとく…ということは不可能です。そこでスライドの助けを借りることになります。呼吸器系8コマ分+診断学2コマ分+看護科2コマ分のスライドはおおよそ出来ました。

診断学は、呼吸器系の症状から特異的な症状を紹介…という形式だったのを、島根大学の和足先生からいただいたアイデアを取り入れ、かなりグループワーク重視の形にしました。もう、こちらから教えるのは一部にしていきます。

看護系も、昨年の感触から、意外に?グループワークもいけそうな感じがしますので、(まあ、こちらから伝えることも多く残してはいますが)そういうところに慣れていっていただこうかなと。これからの看護師さんには必須の経験だと思いますので。

そして、クリッカーも、ずいぶんお世話になりましたが、いよいよ各種アンケートツールも使えるようになってきた(と、私は思っていたのですが、実はすでに以前から使われていた模様…)こともあって、クリッカーを返上させていただきました。まあ、配ったり回収したりが手間でしたし、「時間のムダ」との指摘も学生さんからありましたので…。

一時Google Formでやろうかと思っておりましたが、つまらない横やりが入ったので、別のツールを使ってみることにします。試運転ではまあまあうまくいきましたので、あとはQRコードを作って本番に備えましょう。また、うまくいきましたら、ご報告させていただきます。授業は11月です。

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2018年08月12日

HEATAPP!(ヒートアップ!)

というわけで、ようやくやってきた夏休み。今年の授業はどう展開しようか…と手に取ったのが、岩田健太郎先生の『HEATAPP!(ヒートアップ!)』。

評判を聞き及び、手に取ったものの…、これはスゴい。なかなか読み進められません。

TBLやPBLに対する、何となく抱いていた違和感、これを見事に言語化、問題点を抽出され、自らよりよい「学生の行うべきグループ学習」を実践される。そしてそれを、全国の「迷える教員、指導医」たちに示してくださる。

いやあこれはスゴい(二回目)。

岩田先生のご講演とかを聴講された方はおわかりだと思うのですが、あの量の知見を、パワポ一つ使わずに、ただひたすらしゃべられるのですね。もうそれだけで驚嘆ですよ。

で、この書籍では、学生のモチベーションを上げ(まあ、内面はわからないにせよ)、少なくとも学生の振る舞いを変え、アウトカムを変えるように、圧倒的な量の「(その振る舞いの基盤となる)知識」を与え、圧倒的高見からの「指示」を与えていく、圧巻の過程が記録されています。

問いかけた学生の答えに対する反応も、サスガですし。本筋とは違いますが、例によって?学会や教授会の偉い先生方へのメッセージに共感することも多かったり、というわけで、いちいち唸り声を上げながら読んでいると、全然進みません(二回目)。

これ、一見学生向けの見た目ですが、どう考えても私たち教員向けの本ですよね。耳の痛い、グサグサ胸に突き刺さる言葉がいっぱい。

日頃、学生さんや研修医の先生方の教育に携わっている先生方の会議に出たりするときに、「近頃の学生は〜」「困った学生が〜」という文脈のお話をよく耳にするわけですが、実は「近頃の教員は〜」「困った教員が〜」と置き換えても、全く違和感がなかったりするのでは?と、この本を読んで痛切に自戒している次第です。学生さんに勧める前に、まずは教員が熟読玩味し、実践できるようにしておかなくてはならない、それこそがこの本の、岩田先生のねらいではないかと思いました。

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2017年12月16日

「授業評価」に対する「自己評価」

「授業評価」に対する「自己評価」。今年もやって参りました。学生さんによる「授業評価」は呼吸器系最後の授業のときに紙を配って、そこに記入してもらって、集めたものを教員にフィードバックされます。で、それを受けて「自己評価」をする、というもの。それを集めたものが毎年報告書となって配布される…という寸法です。


ただ、今年は昨年までと比べて授業評価の自由回答数がめちゃくちゃ少ないので、なんだかな〜という感じです。まあでも自己評価は必要ですので作成しました。以下に引用します。


(引用ここから)
Q:今回の授業評価から、この授業について気づいた点は何ですか。

A:昨年よりも壊滅的に自由記述数が減った(42名⇒18名)ため、もはやこの授業評価はアンケートの体をなしていない。他の授業でどの程度自由記述が返ってきているかが全く公開されていないため、自分の授業がどのように学生に受け取られているかを俯瞰することができないので、「気づいた点は何ですか」といわれても、一部のエキセントリックな意見に振り回される可能性が高いと思われる。

そんな中で敢えて書かれている感想を見ると、授業のねらい、当方の意図をくみ取ってくれているようである。

「勉強したい気持ちがあっても、どこから手を付けたらいいのかわからない学生の気持ちをよく理解し、誠実に寄り添ってくれていると思う。臨床の授業で少しがっかりしていたところで、救われた気持ちになりました。」
「大学で受けた授業の中で一番わかりやすかったですし、一番授業に来た意味があったと思いました。正直、授業から全く熱意が感じられない先生方もいて、それでは大学という教育機関の責務を果たされていないと思います。そんな中、勉強していくのにわかりにくい事項を教えてくださり、それがあると自分自身でも勉強しようかというモチベーションになりました。本当にわかりやすくて、わかる喜びを思い出しました。」
「時間をかけて見やすい、わかりやすい、楽しい講義をありがとうございました。先生の熱意が学生に伝わり、学習意欲にも熱が入るものです。呼吸器内科に興味ゼロだったのですが、2%ぐらいに上がりました。0⇒1の変化は大きいです。」
「講義で得た知識を定着させると共に学生の理解度を確認する取り組みをされており、極めて学生目線に立った素晴らしいものであったと考えます。」
「授業に対しての準備がしっかりされていて、学生の理解を第一に考えた授業で嬉しかったです。こちらも気合いが入り、またとてもよく理解出来、苦手意識も下がりました。ユーモアもたくさんあって、呼吸器内科の領域にも興味を持たせて頂き、また受けたい授業です。」等の意見は、まさにそのようなものであった。

しかしながら、繰り返しになるが、果たしてこれが大多数の学生の意見であるかどうかはわからない。結論として、授業について気づいた点としては、「授業評価をしっかりと書くような一部の学生にとっては、わかりやすくよく理解出来た点などが好評であった」ということになる。


Q:反論があれば記入してください。

A:「改善してほしい事項」欄への記入が極めて少なく、反論すべき内容かどうか判断に苦しむ。

「最終回でもクリッカーを使ってほしかった」
⇒最終回はじっくり考えてほしい内容を含み、あえて考える時間を設けるためにクリッカー時間を削ったが、もう少し時間配分を改善させることは出来ると思う。

「ノウハウを他の先生方へ横の(水平)展開をお願いします」
「他全員が先生のような授業をしてくれればよい」
「あらゆる授業が先生の授業のようになれば…と思います」
⇒ノウハウを出し惜しみしているわけではないので、そういう機会を設けたい。

「教育に力を入れている先生も評価されるようなしくみがあればいいなと思います」
⇒全面的に同意する。

「Youtubeのブロンコ体操は、静止画より動画がよかった」
⇒反論はない。同意する。


Q:改善策があれば記入してください。

A:「最終回でもクリッカーを使ってほしかった」
⇒最終回の時間配分を見直し、クリッカーを使う余地を検討する。

「ノウハウを他の先生方へ横の(水平)展開をお願いします」
「他全員が先生のような授業をしてくれればよい」
「あらゆる授業が先生の授業のようになれば…と思います」
⇒さらなる情報発信が必要。執筆中の書籍が片付いたらそちらにも力を入れていきたい。

「教育に力を入れている先生も評価されるようなしくみがあればいいなと思います」
⇒教育面でもっと圧倒的な結果を出さなければならない。

「Youtubeのブロンコ体操は、静止画より動画がよかった」
⇒動画編集のノウハウを勉強したい。


Q:前年度の評価結果に基づき、改善した事例があれば記入してください。

A:前年度の評価結果で改善を求められたのは以下の項目である。

「すべて長尾先生の講義でもいい」「長尾先生の講義をもっと多くしてほしい」
⇒改善出来ていない。私が改善する立場でもないように思われる。

「もっとグループワーク、対話の時間がほしかった」
⇒時間配分を見直し、かなり対話に時間を割けたように思う。

「レジュメに記載されていない画像があったが、それも載せてほしい」
⇒可能な限り引用元ホームページなどを明記し、参照出来るようにした。

「私語をしている人をつまみだしてほしい」
⇒今年はかなり私語が減った印象であり、このような意見はなかった。

「もっと長尾先生の本を安くしてほしい」
⇒改善出来ていない。こちらも私がどうこうできる問題ではない。

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2017年12月03日

新章突入へ

昨日の会はいろいろな事情で内容や同席者もここには書けませんが、いろいろと面白い体験ができました。知らない世界をのぞくのは大切ですね。


最近出張では新幹線に校正用原稿を持ち込んで校正三昧、という日々だったのですが、先日送付してからは久しぶりに校正原稿が目の前にない日々、でして、今回は読書タ〜イムといたしました。


何冊か読んだ中で、小山ロールの小山進さん著『丁寧を仕事にする』に書いてあるフレーズが印象的でしたのでご紹介します。


「(前略)…その基礎力のひとつが、『丁寧な力』だ。
これは、むろん持って生まれた性格によるところもあるのだが、社会人になってから十分訓練できる力だと思う。ただし、最初が肝心であり、最初に徹底して身につけないといけない。一度ぬるい仕事のやり方を覚えてしまうと、そこから矯正するのは難しいのだ。(引用ここまで)」


これはもちろんケーキ作りについての記述なのですが、全く同じことがおそらく、どの領域でも言えることで、医師においてもやはり同じなのですね。おそらく最初の、学生実習もそうだし初期研修までの「最初の時期」に、何を見て、どうやるか、ここでの経験がその医師の『丁寧力』を決めるのであろうと思っています。これまでにもそういう考えを持っていましたが、上手く言葉にできないでいました。


大学病院で初期研修をやることのメリットは、やはり何事も「時間を掛けて、丁寧に」できること、だと思うのですね。場所によるとは思いますが、一般的にはスタッフが多く、上級医や専門医に指導の時間がある、という傾向があるわけで、小山さんがおっしゃるとおり、若い時に上級者といっしょに「丁寧に」患者さんをみることは将来の糧になる。やはりそういうところを学生さんに見せていくことが、大学で研修しようという機運につながるのではないか、と思ったり。


特に呼吸器はそういうことをお目にかけるのに適した症例の宝庫であるわけですから、まずは実習でぜひそういう教育をやっていきたいと思いました。ということで早速、明日からウチの実習はまた様変わりします。これまでやらせて頂いていた徳田先生の『闘魂外来』に加え、喜舎場先生の『教育回診』を取り入れさせて頂き、最強の臨床実習を目指していきたいと思っております。お楽しみに!

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2016年08月08日

呼吸器内科説明会で言い足りなかったこと

先週、呼吸器内科説明会、というものをやったのですが、予想外に多くの人が出席されていたので、却ってあせってしまい、言いたいことがあまり言えませんでした。


そもそも説明会のテーマとして考えていたのは、以下のようなことです。


  • 「これから」を生き抜くために必要なスキルとは

  • 「資格を持つ」「技術を身につける」ことは将来の安定につながるのか?

  • 呼吸器内科が目指している「臨床力の高いドクター」とは

  • 滋賀医大呼吸器内科医局に入局したドクターはこうなっていく



当院呼吸器内科で私が若い人に期待していることとして、手に技術をつける、ということよりも、確かな臨床的考え方、技量を身につける、というところがあるのですね。


例えばある手技が出来るようになる、これは外から見たときにとっても「わかりやすい」成長です。ですから、学生さんとか若い人はそういうものを求める人が本当に多い。


「専門医」だってそう。新専門医制度の話題が関係者の耳目を集めていますが、「専門医」をとる、それが至上命題と考える人が多いようなのです。それだってわかりやすい「身につけた属性」=自分のためになるもの、という考え方ですよね。


で、そういうことを志向する人ばかりになると、「技術の習得」「試験勉強」「学会出席点」のようなことに意識が向いてしまい、一見地味な「臨床的考え方とか技量」というものに対する志向がなくなってしまう。それでじっくり考える、とか、じっくり勉強する、とかいう姿勢が失われてきているのではないか、と危惧するのです。


そうなると地域における臨床力が低下するのではないか、と。若い人を見ていて、短絡思考が多いのはやはり気になるところです。


熱がある⇒抗菌薬、肺に陰影⇒肺炎、咳⇒咳止め、下痢⇒下痢止め…


そうではなく、一歩踏みとどまっていちいち考える、これは習慣化しているかどうかの問題ですから、大人(上級医)が意識させなくてはなりません。


患者さんの訴え、患者さんから得られる情報を、「面倒だ」と片付けるのではなく、きちんと向き合い、アセスメントが出来る、これからの時代、求められているのはそういう医師なのです。これはつまり、昨今話題の「ジェネラルマインドを持った専門医」ということになります。こういう習慣は初期〜後期研修で身につけないと、なかなか大人になってからは難しいようです。


10年先のことを予測するのは、正直なところ極めて難しいと思いますが、IT、AI、技術革新が進み、「技術を身につけている」ことの価値が相対的に低下することが予想されます。資格を持っていても、評判が悪いとすぐに広まってしまいます…。


こんな話をしようかと思っていたのですが、話そびれましたのでこちらで残しておこうと思います。

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2016年06月17日

後期研修医募集要項

時々お問い合わせを受けますので、滋賀医科大学呼吸器内科における後期研修の実際、について説明をしておきましょう。


皆さんご関心のある、「専門医制度」「カリキュラム」については、まだ公開出来ません(かつ本質とは異なる)のでここでは紹介いたしませんが、基本コンセプトは「正しく理論立てて疾患の診断・評価・治療を進めることが出来る」医師を育てる、というところにあります。


もちろん、「患者さんの生活面を含めた全人的トータルケアが出来る」ことも重要ですし、「多職種と連携出来るコミュニケーション能力」も大切。いろいろ言い出せばきりがないわけですが、あえて一つウチの売りを挙げてみると、バラエティに富んだ指導医の存在があるのですね。


現在3年目で入局されたH山先生の様子をご覧頂くのが、一番後期研修について知って頂くことになると思いますので少しご紹介しますと…といっても、ガッチリ定まったカリキュラムがあってその通りに進んでいる、というわけではありません。


ウチのシステムでは、入院症例の担当は現在基本、初期研修医⇒指導医、または初期研修医⇒後期研修医⇒指導医、の組み合わせという感じですが、この組み合わせは固定したものではなく、多くの指導医と組むことで、いろいろな考え方を身につけることが出来るのです。


というのも、もちろん疾患の診かた、治療の考え方というのは、ガイドラインであったり治療指針であったり、世界共通、全国共通のものがある程度あるわけですが、あらゆることが決まり切っているわけではなくて、医師の裁量、考え方で自由に決めてよい部分、というものがあるわけです。


そこが医師の「味」になったり、個性になるわけですが、逆にそこの部分でずいぶん「ん?」と思うこともあって、そういうドクターは結構我流でクセが付いてしまっていたりするのです。私から見て「クセがあるな〜」「ちょっとアレだな〜」と思う人は、初期〜数年間であまり「上の先生」とご一緒されていなかった、ということが多いように見受けるのです。


ってことで、卒後数年以内の感受性の豊かな時期には、出来るだけ多様な「上の先生」の考え方をなぞる機会があった方がいいと思い、この形で入院患者さんの担当をしてもらっています。

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2016年04月30日

患者さんに教えられる学び

カイゼン事項その2は、部外の方にはちょっとイメージしにくいかもしれませんが、これまでは例えば、何かテーマを与えて、それについて調べて改めて別の日にプレゼン、という感じでした。それを、自分で調べてきたことをプレゼンすると共に、患者さんのカルテに反映させる、という形式に変えました(やっぱりわかりにくいですね…)。


ともかく、折角調べてきたことをそのままにするよりも、患者さんの診療にどう活かしていくのか、そういうことを意識してもらおう、ということで変えてみたのですが、これも結構臨床の現場に学んだことをどうフィードバックしていくかのシミュレーションになるようでよかったです。



今回はそれとは別に、担癌患者さんの心情、思いから気づいたこと、をまとめてもらったりもしました。学生さんの、担癌患者さん、特に根治が見込めない症例に対するイメージって、結構ネガティブなものが多いイメージなのですが、適切な介入によって患者さん、および患者さんの周囲の方々がポジティブに変わることはよく経験されます。


今回の受け持ち患者さんが、まさに癌告知を契機に、周りの方との人間関係が好転した、そういうお話を聴かせて頂いて、なかなか書籍では学べない、臨床のやりがいや面白さに気づかれたようでした。S田さん、よく学ばれましたね。ぜひ今後に活かして下さい。

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2016年04月29日

学生実習スタイルのカイゼン

この4月から、またまた学生実習のスタイルを変えました。


これまでに2つの班が回ってきましたが、各々、かなり学びが深まっていたようで、こちらとしてもけっこうな手応えを感じております。まあ、元々の資質もあったのかもしれませんが…。


具体的なカイゼン事項として、


  • 胸部X線写真読影道場のスタート

  • より患者さんのカルテ記載と融合した形のプレゼン発表



  • があります。たった2つ?と思われるかもしれませんが、自分としては結構時間も取るし、しんどいものです。学びの質もずいぶん上がった印象です。


    前者、胸部X線写真読影道場については、学生のみならず研修医の皆さんにも、できる限りたくさんのX線写真を見てほしい、そして出来るだけハイレベルな読影のスキルを盗んでほしい、という思いから開設しました。


    結構参加者が多くなったので、本当に意味で参加出来ている人といない人が別れるのではないか、と当初危惧していましたが、1人1所見というシステムによって、皆がともかくその写真をきちんと考える機会が出来たのが自讃ポイントです。


    それとこれまでにやっていたフィルム供覧、『やさしイイ胸部画像教室』貸与を組み合わせることによって、学生さんの読影スキルが1週目と2週目で劇的に変化するのを目の当たりにしました。研修医の先生方も然りです。もうこれはやめられませんなあ…。


    ということで、5月の亀井道場、6月の第7回大阪どまんなか、7月の第2回みやこ呼吸器カンファレンスでは、いずれも「出張胸部X線写真読影道場」形式で、参加者の方の読影力をぐぐっと上げられるような体験をして頂こうと思います。参加される方はお楽しみに。

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    2016年04月03日

    新年度が始まります。研修、臨床実習プログラムについて振り返り

    週明けからいよいよ新年度。当教室も新しい仲間を迎え、学生さんや研修医の学年も新たにスタートします。


    新年度の始まりに、改めて、当教室での、特に私の指導方針、指導のやり方について説明しておきましょう。というか、この1年で、かなり自分流の実習、指導のやり方が固まってきましたので、一度まとめておこうかな、と思いました。



    元々、当教室のやり方として「一度自主的に(問題が起きない程度に)やってみさせて、より高いレベルに導くように軌道修正する」という方針でやっていました。


    私が研修医の先生方を指導する機会は朝のカンファレンスなどが中心ですが、そこでは「より高いレベルでの病歴聴取」をするための病歴聴取のコツ、「より高いレベルでの身体診察のコツ」、「より高い画像診断のための、『目の付け所』」を、先生のレベルに合わせて伝授します。


    特に「診断能力」を高めるために、未診断症例については診断手順に必要な、かなりいろいろな情報収集を要求します。正しい思考には正しい判断材料がなくてはなりません。私がいろいろ言うことは、かなり高水準のことも多いので、「言われた」こと自体にはなんの問題もありません。より高いレベルに行くための道標である、と思って頂ければ。


    これは研修医の先生によって、1ヶ月間という短い期間でもぐんぐん吸収しどんどん伸びる人もいれば、全く聞く耳を持たず全く成長の跡が見られない人もいます。後者が多い場合かなり心が折れそうになりますので、「聞く耳を持たれていないな」と判断した後はその方には何も言わなくなります。その方も「言われなくてラッキー」ぐらいにしか思っておられないようなので、まあwin-win、といえばそうなのかもしれません。



    そして学生さんですが、臨床実習において、今意識しているのは「質の高い考え方を養う」ということ。


    当科の臨床実習は循環器内科と併せて2週間(それでいて○○科が2週間だったりする)、という非常識的なスケジュールなので、できるだけ時間をうまく使うために、知識の伝達は自学自習に任せ、症例、患者さんの抱えている問題に焦点を合わせて、学生さんの力量に合わせた、そして自主性を尊重した課題を与えるようにしています。


    たぶん、よそではなかなか体験することのできないプログラムではないか、と自画自賛しています。この形になったのはここ2年ほどですが、それまでに比べ、明らかに学生さんの、実習中のモチベーションは高まっていると感じています。が、まあそれでも、まだポカーン、何聞かれてる???みたいな学生さんもいたりしますが、そういう方は減っている、と感じています。100%の学生さんに高いモチベーション、というのが理想ですが、なかなか道遠し…。


    実は、これらの指導は教育効果そのものも工夫しておりますが、裏のプログラムとして、その指導に対してどういう反応をするかで、大体その学生さん、研修医の資質がわかるというしくみになっていたりします。


    こちらの意図する、あるいは意図を越えた反応をしてくださる人は、その後数年間(最長10年)のフォローにおいて、卓越した伸びを見せてくださることが多い(ただし、エビデンスにはなっておりません…(・ε・)ムー)。




    今年度は、さらに指導機会を増やすべく、夕方の診察ーX線カンファレンスを新たに設けます。こちらで実践〜理論のサイクルを回し、基礎的な「診療技能」を高めていけるよう、こちらも勉強して工夫をしていきたいです。


    残念なことは、かなり質の高いことをやっているつもりではあるものの、それがoutcomeとしてわかりづらい、ということ。ある人の考え方の質が高まったことを、外から測る手段がなかなか見当たらないのですね。客観的に測れないと、自分がやっていることの妥当性もわからない。只の自己満足ではないか、という不安もあるわけです。このあたりに一層の改善・工夫の余地があるでしょう。

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    2015年10月31日

    カン違いとスレ違い

    日々若い人の指導、というか、若い人にゴチャゴチャ言っていると、ジェネレーションギャップに戸惑いを覚えることがしばしばあります。でも、自分の研修医時代を思い出してみると、よく似ているな〜と思うところもたくさんあるものです。


    その最たるものは、「自分を良く見せたい」「カッコ悪いところを同僚や上級医に見せたくない」という思いです。やはりカッコ悪いところは見せたくないし、「こいつ馬鹿だな」と思われたくない。それは当たり前のことなのです。私は、2年目の途中ぐらいまで(今も!?)この傾向が強く、できるだけその場を取り繕うような言動が多かったように思います。


    今思うと、それってもったいなかったな〜と思うのですね。だって、上級医にしてみれば「こいつわかっていない=教えなきゃならない」なのですから。てことは、「これを知らない、これも知らない」というアピールは、教えてもらう機会を増やすことになるわけです。


    私は2年目の途中ぐらいになって、ある程度自分のスキルに自信がついてくると、不思議なもので「知らない」ことをアピールすることが苦痛でなくなってきました。逆に、自分に自信がない人ほど、自分を守ろうとして「知ってますよ」アピールをするのでしょう。


    知らないアピールをするようになると、おもしろいものでどんどん教えていただけるのです。おかげで、3年目ぐらいまで、ほとんど耳学問で内科全般のスキルを身につけることができました。本を読まなくても、毎日のように各分野の上級医に教えを乞い、ノート、メモが増えていきました。


    やはりエキスパートに直接聞く、ってのが一番効率よく知識を蒐集できます。もちろんじっくり文献に当たる習慣、文献を正しく読むスキルも大切なのですが、「若いうちは現場で学ぶのが一番」ではないか、文献は大人になってからでもいいのではないか、そんな風に思いました。ただ私のように、本や論文を読まないまま年をとってしまうのもどうかと思いますが…。


    もちろん上級医によっては、「教えなきゃならない=ウザい」となる人もいたりするのかもしれませんが…少なくとも今の滋賀医大には、そういう上級医はあまり見受けません。いてもすぐにわかります。こちらとしては、「知らないことを教えてあげたい」と手ぐすねを引いて待っているのに、カン違い?して「知ってますよ」アピールをされると、やっぱり冷めてしまいます。


    上級医として、研修医、学生の皆さんにもっておいてほしいのは、知識ではありません。学ぼうという熱意です。そこのカン違いが多くて、こちらの熱意とスレ違いになっている、そこが残念なところです。


    あ…ひょっとして、「こんなエキスパート気取りの勘違い野郎に教わりたくない」そういう意思表示だったりするのでしょうか…(汗)。

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    2015年10月12日

    呼吸器内科の魅力再考

    ここ最近進路相談を受けたり、見学にこられた方とお話ししたりしていて、呼吸器内科の魅力について考える機会がありました。


    呼吸器疾患の興味深いところは、同じような症候でも病態の異なる疾患があるので、診断の奥深さ、これは間違いありません。そして身体診察と画像が密接に結びついていて、「自分、ちゃんとできている」ことが確認できる、これもやりがいのあるところです。詳しくは→呼吸器内科 ただいま診断中!を参照(笑)。


    ジャンル的にも、感染症、アレルギー、悪性腫瘍、免疫・膠原病・血管炎に、循環障害、変性疾患といった、内科的疾患のほとんどのジャンルが肺では発生します。従って取り扱う薬剤も、抗菌薬、抗アレルギー薬、ステロイド、免疫抑制薬、血管拡張薬に抗癌剤、鎮痛薬と、ありとあらゆる薬剤を使います。


    さらに吸入物質による疾患や換気障害など、呼吸器ならではの疾患も多くて、知的好奇心が刺激されます。生活上「何を吸っていたか」を聴取する、ということは、患者さんの生活を深く知ること。ナチュラルに生活歴に深く踏み込むことができます。


    胸部画像が読めるようになると「できるドクター」感が高まりますし、グラム染色や病理組織が読めるようになると、さらにできる感が増しますよね。いや、別にできなくても問題ないので、苦手な方でも安心していただきたいのですが、この「できる感」、ある程度のキャリアを経てくると、やりがいにつながるんです。


    感冒、喘息、COPD、肺炎を代表とするプライマリ・ケアから慢性呼吸器疾患、膠原病を背景に持つ感染症、免疫疾患のステロイド管理に免疫抑制薬、山ほど患者さんがおられる肺癌における緩和ケアまで、つまり急性期から終末期まで、人生のいろいろな場面を診ることにもなります。


    以前から書いていますが、呼吸器内科は「大人の小児科」。臓器としては肺を診ますが、各系統の薬を使って全身、人生に深く関わるところがやりがいではないか、という点で意見が一致しました。

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    2015年06月21日

    がんと仲間・生きがい

    今朝の京都新聞に、さわやか福祉財団会長の堀田力さんの寄稿がありました。終末期医療を考える上で示唆に富む内容であったのでシェアしたいと思います。


    がんの告知を受けた人が、一時大変落ち込みながら、以前やっていたギターに取り組まれるようになって、先の見えない暗さから救われたと言います。がんにとりつかれた人にも、当然生きがいは必要だといいます。


    精神的打撃から生きがいを見つけて立ち直るのをPTG(トラウマ後の成長)といいますが、人がうちひしがれている時には仲間が話を聞くことが大事で、その後仲間との絆の中で自分の能力を活かすことが生きがいである、仲間は大切だ、という主旨のお話でした。



    これを読んで思ったことは、仲間のみならず、まずは家族との関わりの中で打撃が緩衝され、絆を感じることが出来るのではないか、ということ。


    それから家族や仲間の存在がない患者さんにとっては、しばしばそういった「周りの人による支え」が不足しがちであり、投げやりになったり治療意欲がそがれたりすることも経験され、身近な存在としての医療者の果たすべき役割があるのではないか、とも思いました。


    がん患者のみならず要介護者も障がい者も認知症患者も、生きがいが必要である。と書いてもおられましたが、実はわれわれすべて、人間として生きるものは皆、生きがいが必要であります。ことさら、がん患者さんなどだけではありません。


    でもどうでしょう。自分は健常者だと思っている私たちは、生きがいを持って日々全力で生きているでしょうか。


    自分が生きがいを持たないものが、「生きがいを持ちましょう」と言って、説得力はあるでしょうか。




    人生最高の幸福は富でも名誉でもありません。
    自分のしたいことを見つけ、取り組むことです。
    人はそれを「生きがい」と呼んでいます。(ジョセフ・マーフィー)


    本当に幸福になれる者は、人に奉仕する道を捜し求め、
    ついにそれを見出したものである。これが私の確信である。(シュバイツァー)




    自分たちが「生きがい」を持って、全力で日々を過ごすこと。まずはここから始めなければいけないのではないでしょうか。「生きがい」「未来の希望」が持てない社会、といわれたりしていますが、皆が生きがいを持てない社会なら、どうしてがん患者さんに生きがいを持ってもらうことが出来るでしょうか。まずは自分たちから始めたいものです。

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    2014年08月02日

    活動報告・ポリクリ学生さんとの対話「呼吸器内科の魅力」

    8月に入りまして、ようやっと6回生アドバンス、ならびに5回生ポリクリが終了しました。これでようやく大学も夏休みモードになります。例年この時期は体力の限界に挑戦、という感じになり、終わると抜け殻のようになってしまいますね。


    これも例年なんですが、終わりの頃に「どうして呼吸器内科を進路に選んだか」という議題で学生さんたちとディスカッションをしました。


    いつも尋ねられると改めて考えるのですが、やはり臨床をやっていて面白そう、というのが一番であったと思います。5回生の時に沖縄県立中部病院に見学に行ったのですが、その時に拝見した宮城先生の教育的回診はやはりすごかった(その時は本来産婦人科を見学に行ってたのですが…)。


    出身の大学では研究を主体にしている医局が多かったのに対し、呼吸器内科は「臨床何でも知ってるよ!何でもやるよ!」みたいな先生方が多かったことも、呼吸器を決めるきっかけになりました。


    実際、呼吸器の先生方は全国どこでも臨床が大好きな先生が多く、呼吸器を選べばどの施設でも、臨床上手な先生に教えてもらえるのはほぼ間違いないと言っていいのではないでしょうか。


    昨今では家庭医、総合診療医が脚光を浴びていますが、あくまで専門性のバックボーンがあった上で総合診療もやる、研究なんかもやってみたい、ということを考えますと、総合診療のできる専門医、というのが魅力的に映ったのです。


    そして地域診療をやる上で必要な、コモンディジーズの知識、感染症の知識などを勉強する上でも、呼吸器での研修は役に立つでしょう。

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    2014年04月01日

    4月1日、新人の皆さんへ

    毎年恒例となりましたが、4月1日には新人の皆さんに何かお役に立ちそうなことを偉そうに申し上げることにしております。昨年の記事なぞどなたも覚えておられないだろう、ということで、一部昨年の引用です。(; ̄ェ ̄)


    上級医に言われた台詞(セリフ)
    研修医になってすぐに上級医から言われた台詞の数々。やはり刷り込みと言いますか、いまだに頭にこびりついています。


    30の法則
    内科医が行う手技はおしなべて単純作業(言い過ぎか!?)なので、単純に練習量がものを言います。「下手なのは練習が足りないから」「上手な人はたくさん練習したから」「上手になりたきゃ、練習するのみ」このシンプルな原則を頭にたたき込んでおきましょう。


    処置中に、絶対にやってはいけないこと
    患者さんは時に目隠しまでされていて、耳に神経を集中しておられますから不安を引き起こすような言動は厳に慎みましょう。


    自分で動かないと、成長しない
    物事を学ぶ過程における「スランプ」
    上にも書きましたが、成長するためには練習をしなくてはなりません。自らが動く。患者さんのところに行ってお話を聴く。診察をする。わからないことは上級医に聞く。これの繰り返し以外に医師としての成長を約束してくれるものはないでしょう。


    しかしながら、やってもやっても、全然成長の実感が得られないこともあるのです。いわゆる「スランプ」というやつ。ほとんどの研修医諸君は、これから何度となく「スランプ」を感じることでしょう。それは当たり前、というか、むしろスランプを感じないことには成長しない、と思っておきましょう。


    自分のあるべき姿(出来る自分←上級医などを見ていて、「これぐらいは」と自分に重ねて、イメージができてくる)と現実(出来ていない自分)との間にギャップがある。そのギャップを感じれば感じるほど、それを埋めるべく努力を重ねることになり、成長するわけです。


    若い人を見ていて危惧するのは、そのギャップを自覚する、居心地の悪い状態に我慢できない人が増えているのではないか、ということ。できない自分を受け入れることが困難であると、その場その場で「誤魔化す」ことになれてしまい、成長がストップします。


    上級医に対して「それは知ってます」「大丈夫です」というのも同じ。忙しそうな上級医に対する気遣いなのかもしれませんが…尋ねまくることができる、というのも一つの能力。ここは遠慮なく尋ねまくって頂きたいと思います。

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    2013年03月31日

    働き始める皆さんへ。

    明日から仕事始め、という方も多いでしょう。

    毎年恒例となりつつありますが、やはり今年も、フレッシュマンの方々にメッセージを、と思います。とはいえ、結構これまでにも、いろいろといいことをこのブログに書いているので、今日は、イイことを書いてる過去記事を、またまたピックアップしましょう(手抜きともいいますが…汗)。昨年とは異なり、ちゃんと各記事を解説しておきます。


    上級医に言われた台詞(セリフ)
    この頃は、毎日更新ではなく、ですます調でもありませんでした。ブログ黎明期に書いた記事ですが、それだけ言いたいことがつまってるって感じです。時代を超えた名言ですね。


    30の法則
    これも真なり。突き詰めて言うと、結局は単純作業(言い過ぎか!?)なので練習量がものを言います。


    処置中に、絶対にやってはいけないこと
    4月から、病棟でたびたび言うことになるんでしょうね。「声を出さないこと!」
    患者さんは耳に神経集中しておられますから不安を引き起こすような言動は厳に慎みましょう。


    先輩の言葉、患者さんに説明するときの心得1
    相手の理解をいちいち確認しながら話す。コミュニケーションの基本でありますが、なかなかできていません。私も学生さんに話してること、確認しなくては。


    自分で動かないと、成長しない
    結局は自分が動くのみ。制度や上級医が成長させてくれるものではなく、自分で成長していくものです。


    物事を学ぶ過程における「スランプ」
    ほとんどの研修医諸君は、これから何度となく「スランプ」を感じることでしょう。それは当たり前、というか、むしろスランプを感じないことには成長しない、と思っておきましょう。


    自分のあるべき姿(出来る自分)と現実とのギャップ(出来ない自分)を埋めるべく努力を重ねる。そのギャップを感じるほど成長するわけです。


    研修医諸君には、是非肝に銘じておいてほしい。

    「No flower without rain」。

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    2013年03月24日

    新たな場所への旅立ち

    異動のシーズン、お引っ越しもピーク時のようですね。


    今年卒業で働き始めるよ、という方々も、異動で新しい施設に行くよ、という方々も、期待と不安と緊張とがごっちゃになっておられることでしょう。


    ウチからも2名新天地にお送り出しているので、今回は特にドクターが(だけじゃないけど)異動するにあたって贈る言葉を。


    やはりなんだかんだいっても、これまでにやっていた「やり方」というものが身についているはずなんです。で、そのやり方には、汎用性のある「どこでも共通に行われるもの=generalルール」と、その施設でしか通用しない「localルール」がごっちゃになっているはずなのです。


    これまでに一度でも「異動」したことがある方ならおわかりでしょうが、この「localルール」がlocalであることが認識できていないと、周囲のコメディカルの方々との軋轢が生じます。


    「あの先生、やり方が変」「なんかおかしなこと言ってる」と、医学的に間違ったことをしているわけでは決してないのに、こそこそ陰口を言われたりして。


    まあ、ある程度研修医とかがくるくる回ってくる施設であれば、受け入れる方にも耐性があると期待したいところですが…。


    対策としては、とにかく聞くこと。「こちらではどのようにやってますか」「こちらの先生はどうやって指示を出されてますか」みたいに、周りの方にまずは聞く。聞くことでコミュニケーションが取れ、こちらのキャラ、やり方に慣れていただける効果もあります。


    また、特に対策せず、なんといわれようが気にせず、我が道を行く、という方向性もあるでしょう。多少やり方が違っても、何ヶ月か経過してしまえば、いつの間にかお互い慣れるもの。「患者さんのため」というスタンスさえ間違っていなければ、多少の軋轢何のその。


    というわけで、慣れてしまえばどうってことないのですが、慣れるまではいろいろ不安もあると思います。不安はとにかく周りとコミュニケーションをとることで解消しましょう。

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    2012年10月01日

    反る・剃る・ソル…反る子、剃る目処?

    ウチの1歳の娘は、最近かなり我が強く、気に入らないことがあると後ろにぐいーんと反って怒りを表しますが、その話ではありません。


    喘息で入院した患者さんがいまして、主治医はソル・コーテフ200mg×2回/日を開始。

    別の日には薬剤性肺障害の方に、ソル・メルコート200mg/日を投与されました。


    ここで研修医の先生は混乱します。ソル・コーテフ(そるこー)とソル・メドロール(そるめど)。同じソルで同じような量使ってるけど、使い分けはどうするの?どうして違うの?とご質問がありました。


    特に最近では、後発品花盛りでもあり、ウチでもソル・メドロールはソル・メルコートという商品に変わっています。だもんで余計ややこしいですね。


    それはさておき、ソル・コーテフとソル・メドロールの最も大きな違いは何か。それは、プレドニン換算の力価(まあ、パワーみたいなもんです)であります。


    ソル・コーテフはプレドニンの1/4のパワー、ソル・メドロールはプレドニンの5/4のパワーなんですね。


    つまり、ソル・コーテフ100mgはプレドニン25mgと同等ですが、ソル・メドロール100mgはなんとプレドニン125mgと同等のパワーになるのです。


    喘息患者さんに使ったソル・コーテフ200mgはプレドニン50mgに相当しますが、薬剤性肺障害へのソル・メルコート200mgはプレドニン250mgに相当します。


    (実際ソル・メルコートは250mgバイアル製剤があるため、200mg使われることは少ないですが、わかりやすくするために量をあわせました。)



    研修医の先生は何となく、「同じ様な量使ってるなー」と思われたようですが、実は全く異なる量を使っていたのですね。これは意識しておかないと、思わぬ事故の元。また一度ステロイドの使い方はまとめたいなと思っていますが、取り急ぎ、注意喚起しておきます。


    ステロイド製剤を使うときは、処方した薬がプレドニン換算で何mgに相当するかを意識しましょう

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    2012年09月23日

    ブランク考4・学位考

    ブランクと言えば私が研修医〜大学院の頃は、学位(博士号)と留学がセットというか、
    まあ何となくみんな、学位取って、お礼奉公?して、それから留学、みたいな流れがあったわけで。


    学位取って留学するのが当たり前、それで一人前、みたいな雰囲気があったりしました。(特殊だったのでしょうか?)せっかく臨床にブランクをあけて学位を取り、留学をして、得られるモノは何でしょうか。


    当時は(今も?)、「学位は足の裏についたご飯粒に似たり」という言い伝えがありまして。

    その心は、「取らないと気になるけど、取っても食えない」。


    学位を取っても、給料に反映されない現実を揶揄したものでした。


    確かに、取らないと気になるかもしれません。
    特に、大学の医局に属していると、みんな取ってるし。


    じゃあ、具体的に何の役に立つのか。考えれば考えるほど、よくわかりません。
    私個人的には、特に役に立った実感はありませんし、
    個人的に見聞したケースで実際問題学位が必要な場面を思い出してみますと…。


    たとえば大学で偉い肩書きをもらいたい(といっても講師以上か?)、とか、
    どこかの院長になりたい、とか言い始めると、どうも学位が必要なようで。


    そこから考えると、学位を持っているということは、勉強が好きな人である、偉くなりたい人である、ということがわかってもらえる、という意味があるのかもしれません。



    「医学博士」が名乗れるというのは、メリットといえるでしょうか。名刺には印刷できるんで。
    学位がなければ、名刺の肩書きはただの「医師」。


    それとて、どこの大学で取っても「医学博士」は医学博士で。
    今や京大で学位を取ろうとすれば、英文査読誌でそれなりのものに載せる必要がある。
    方や、○○大学では、日本語の症例報告でも取れる、どちらも同じ「博士」。
    そういう意味では、「博士である」だけでは「食えない」のももっともでしょうか。



    ただ、学位を取ろうとすれば、やはりそれなりに論文書いて、教授に認めてもらって、
    なんやかんや面倒くさい手続きを経なくてはなりませんので、
    そういうことを成し遂げた人、まあいえば忍耐強い人である、ということはわかってもらえるのでしょう。


    逆に、私の存じ上げている学位のない方は、あまりそういう、肩書きのようなモノにこだわらない方、
    臨床や経験の蓄積に重きを置いておられ、論文に興味のない方、大学と関係を持たれていない方、
    いわゆる「職人肌」「実力派」というイメージがあります。


    もちろん、ただ単に何もなさらず、論文も書かれず、結果学位もない。というケースもなきにしもあらず。


    まとまりませんが、学位の有無はあまりその方の本質に関係がなさそう、とは言えるのかと。
    そうはいってもブランド志向の日本では、まだまだ役にたつこともあるのでしょうかね。特に実態を知らない人に対しては…。

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    2012年09月09日

    ブランク考2

    ブランクについて、もう少し考察しましょう(今日が本題?)。


    医学生の皆さんや臨床研修を行っておられる皆さんは、ほとんどの方がまずは臨床医としてのキャリアを積んでいかれると思いますが、その後ひょんなことから?臨床医としてのキャリアを中断されることもあるかもしれない。


    たとえば、研究生活に入る、留学する。女性の方ではやはり出産、育児などでキャリアが途切れることもあるかもしれない。


    その際に、どの程度のブランクが許容範囲なのか。

    まあ、人それぞれといえばそれまでなのですが、私の感じている実感というものを、あくまで参考まで、ということではありますが、申し上げてみたいと思います。



    私の場合、大学院生活は完全に臨床をやりながらで、研修が済んでからのブランクはなかったのですが、それまでに基礎に行って研究を修められ、臨床に戻ってこられた先生方を10名ぐらい拝見し、上級医の意見を元に自分なりに得た結論は、「2年以上あくと、臨床の第一線ではキツイ」というものでした。


    まあ、2年でギリギリかなと。


    傍から見ていて、「立派な臨床医の方だな〜」と思える方は、ほとんどの方が臨床のキャリアを切らしておられない。


    やっぱりね、キャリアが中断すると、どうしても勘が狂ってしまうんですよ。これは。そして、どうしても年を取って、「突き詰める気持ち」が薄れてくる。で、基礎的なところをアップデートする機会もなく、「よくわからんけど、まあいいや」で済ませてしまう。


    そこを基礎からある程度やり直されて、踏ん張って突き詰めることで、ある程度カバーすることは可能でしょう。出産、育児から数年経過されて戻られて、頑張っておられる女性医師の方でも、しっかり臨床医されている方もおられます。でも、本当に、かなりの頑張りが必要だと思うのです。



    一方基礎研究をされてどっぷり時間がたった方は、やはり臨床に戻られるとしんどそうです。


    また逆に、基礎や留学なんかで研究をしようとすると、2年では全くモノにならない(言っちゃった…)わけで、2年で「合わない」と感じたら早めに引き上げ、やるんだったらもう徹底的にやってほしいと個人的には思っているんですね。


    「最近では留学希望の若手医師が少ない、嘆かわしいことだ」という声を教授陣から聞くこともあります。確かに留学をすると、ものの見方が変わり、下手をすると人生が変わる、素晴らしい体験であることは確かなのですが、その間の(臨床医としての)ブランクは、教授陣が思っておられるほど軽いモノではない、と、敢えて申し上げておきます。


    かくいう私は、幸か不幸か留学期間は2年。ブランクと引き替えに得たモノは推して知るべし…。

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    2012年09月08日

    ブランク考

    以前にも書きましたが、息子は3歳からスイミングに通っていて、昨年からサッカーを始めました。ただ、夏休み中は実家に帰ったりなんやかんやあったりのため、いずれも8月1ヶ月間、休会しておりました。


    それでこの週末、久しぶりの参加となったわけですが…。
    やはり傍から見ていて、ブランクが感じられました。

    まあ、小学生レベルのことですから、たいしたことではないのですが。


    プロフェッショナル、達人の領域で、「毎日ピアノを弾かないと感覚が鈍る(ピアニスト)」「毎日筆を握っていないと落ち着かない(書道家)」みたいな台詞を聞かれたことがある方も多いでしょう。


    私も若い頃に聞いたときは、「へーそうなんだ。休みなしって大変そうやなー。」と思ったものですが、最近になって少し考えが変わってきました。



    何事にもブランクというのはつきものですが、ブランクがあくと、

    • 純粋にスキルが落ちる。

    • 気分が乗らなくなる。

    • リズムが悪くなる。

    • ブランクをあけたことについて罪悪感がなくなる。


    などなど、いろいろと起こってくる不利益の方に目が向くようになってきたのです。


    私がこのブログを毎日毎日書くきっかけとなった「ビジネス発想源」を配信されている弘中勝さんは、「百日理論」というものを提唱されておられます。


    どんなことでも、毎日(例外なく毎日、がポイントらしいです)続けると、だんだんそれが習慣付いてきて、それをしないことが気持ち悪くなってくる、百日もやれば、それが自信になり、さらに続けていくことで上達していく、ということなのです。


    そこで例外を作るとどうなるか。


    たまには休みたいものですが、ここで休んでしまうと、自分自身の中で、この休みが「週一回だからいい」「週二回でもいい」と、だんだん増えていって、連続ではなく断続することになります。断続するものは決して習慣にはならない、と断じておられるのです。



    クラブやスポーツをされている方なら、ブランクのあとに何だか調子が出ない、という感覚がおわかりでしょう。これが仕事や勉強でも、同じことなのですね。


    若いうちはそれでも、若さで何とかなるのかもしれません。しかし年を取ってくると、ブランクを補うのがしんどくなってくる。それだったら、とりあえず「絶対毎日やる」と決めて、やり続けた方がいいかと思い、まあ何とか続けているのです。


    おそらく、ブランクを許容すれば、このブログもとっくに<終了>となっていたことでしょう。
    毎日続けたことで、今では自分自身の『貴重な学びの場』となりつつあります。

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    2012年07月16日

    今週(先週)の活動報告まとめ

    ■抄読会発表

    AJRCCM 2008.vol.178 pp483-490

    胸水採取時の空気や薬剤混入、あるいは静置時間によってpHや糖の値が変わるか、という、ちょっとした疑問を取り上げた研究。


    特に高度なテクニックを用いたわけでもなく、ただ胸水をいろいろやって測定した、というだけなのに、誰もやっていないことをやれば一流誌に掲載されるのだなあ、と感銘を受けた論文です。


    特に若い先生に聞いてほしかったのですが、たまたま緊急気管支鏡が入り、若い先生不在での抄読会でした…。



    ■ビアパーティー

    今年も3科(放射線科、外科、内科)合同のビアガーデンがありました。
    VERSAREで行われましたが、雨模様のため急遽室内に。でもちゃんとBBQしたものを一人分ずつ持ってきていただけて、満足でした。
    (あ、写真を撮るのを忘れていましたね…)


    アドバンスの学生さんも4人参加してくれて、(色々な意味で?)お腹いっぱいになっていたようです。



    ■A社のアドバイザリーミーティング参加

    某薬剤をこれからどうする(どうプロモーションする)ねん?みたいなミーティングに参加してきました。製薬会社さんの思い、悩み、迷いなどが垣間見えて面白かったです。
    基本は、「教育」「啓蒙」だと思うんですけどね−、てなことを申し上げてきました。



    ■月刊『KOKUTAI』8月号に掲載されました!

    しつこくてスミマセン。かなりうれしかったもので。

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    2012年04月30日

    黄砂とアレルギー疾患

    ここ数日はここ滋賀では好天に恵まれ、うちでもようやく布団を干したり、シーツ類の洗濯をしたりできました。
    また、室内が多かった反動からか、子供たちがずっと公園で遊びます。それにつきあっていると、黄砂を感じることが多く…。



    先日メーカーMRさんから、「黄砂のアレルギー疾患への影響」というパンフレットをいただきました。


    「黄砂とは中国の内陸部やモンゴルの砂漠地帯、黄土地帯から強風により大気中に舞い上がった砂塵のことで、偏西風によって朝鮮半島や日本、さらに北米まで運ばれます。日本では春に観測されることが多くなっていますが、秋に観測される場合もあります。」(「「黄砂のアレルギー疾患への影響」小野薬品工業株式会社より)


    黄砂はもちろん砂ですが、中国上空を通る間に様々な大気汚染成分や枯草菌、真菌などが付着することで、そうした物質が砂とともに体内に入り、アレルギー疾患を引き起こすとされています。


    砂といっても、当然いろいろな大きさの粒子を含みます。風に乗って運ばれる際、大きな粒子は割とすぐに落下しますが、小さい粒子ほど遠くまで飛ばされます。

    そんなわけで、日本まで飛んでくる粒子は、中国や韓国で落下する粒子と比べて小さな粒子で、眼や鼻の粘膜のみならず細気管支にも入り込み、眼症状、鼻症状とともに喘息症状を引き起こすのです。


    そこで、小野薬品さんは「それらの症状はロイコトリエンが関与しており…」みたいなことを書いておられます。


    それもそうですが、個人的には、砂であるが故か、マスクの効果は絶大と思います。まあ、「個人的な感想」ですが、マスクをすればほぼ症状は出ずに済みます。

    むき出しの眼については、洗うのが一番と思います。曝露後すぐに洗うと、ほとんど後腐れがないようです。
    もちろん、個人差はあるかと思いますが、砂だけに花粉そのものよりも、洗い流しやすい印象があります。


    皆さんも個人的にいろいろとお考えはあるかと思いますが、患者さんに説明される際に、一つの参考になれば幸いです。

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    2012年04月01日

    初期研修医の皆さんに、贈る言葉たち

    明日から仕事始め、という方も多いでしょう。

    やはり今年も、フレッシュマンの方々にメッセージを、と思ったわけですが、結構これまでにも、いろいろこのブログに書いているんですね。気づけば、結構たまっていました。


    というわけで、今日は、過去の記事から、これはイイことを書いてるなー、という記事をピックアップしてお送りしましょう(手抜きともいいますが…汗)。


    上級医に言われた台詞(セリフ)
    私が研修医の頃、上級医に言われた台詞は、時代の違いこそあれ、ローテーター諸君にも何かの参考になるのではないかと思い、ご紹介する次第…
    (ちなみにこの頃は、毎日更新ではなく、ですます調でもありませんでした。懐かしいですねー)


    30の法則
    最初は慣れないことばかりで、「本当に自分に医者ができるのか」不安が多いと思いますが、初期研修中に身につけるべき手技のほとんどは、「練習すれば、必ずできるもの」なので、是非頑張って練習しましょう…


    処置中に、絶対にやってはいけないこと
    先輩の言葉です。「処置中は、ムダな声を出すな。」
    あ、もちろん、必要な指示や、アレ取って下さい、みたいなのはいいんですよ。最悪なのは…


    先輩の言葉、患者さんに説明するときの心得1
    先輩の言葉です。私が医師になってすぐに、先輩にこう言われました。
    「キミが患者さんに説明したこと、どのくらい覚えてはると思う?」…


    自分で動かないと、成長しない
    病気などで身体が動かなくなったり、下肢筋力が低下してリハビリを行うとします。
    もちろん最初は拘縮予防とかで他動的に関節を動かすわけですが、実際歩けるようになる、実働のための筋力を付けるためには、自分で動かす必要があります…


    学ぶ基本は「守破離」
    どのような物事でも、学びの基本というものはあります。
    「守」「破」「離」というのは、昔からいわれていることですが、やはり初期研修においても同じことがいえるのです。「守」これは…


    物事を学ぶ過程における「スランプ」
    何でも、物事を学ぶ過程では、伸びない時期があるようです。
    いわゆる「スランプ」と言われるものも、ここに入るのかもしれません…



    最後に、一句。

    まあええわ そう思ったら そこが到達点

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    2012年03月04日

    「こむら返り(腓腹筋のmuscle cramp)」が起こる理由

    患者さんで「こむら返り」を訴える方は少なくありません。


    運動不足、冷え、電解質のバランス、ミネラル不足、糖尿病、腎不全、肝硬変などいろいろな理由が挙げられていますが、「じゃあ、どうすればいいの?」という問いに対しては、なかなかこれ、というものがありませんでした。


    内科医としては傾聴をするけれども、できることと言えばストレッチやミネラル摂取をお勧めし、芍薬甘草湯を処方するぐらい…だったのですが。


    昨日行ったスポーツクラブの壁に貼ってあった、ポスターで積年の謎が解けました。



    なんと、大腿四頭筋の筋力が低下することで、腓腹筋が慢性的に緊張を強いられ、その結果crampが起こりやすくなっているというのです。


    言われてみれば、何となく納得できるような。下肢筋力が低下している患者さんがよく訴えておられるような気もします。


    じゃあ、対策は筋力アップ、リハビリということになりますね。
    それで、「筋力を鍛えましょう」みたいなことが書いてありました。


    なるほど、それも一つの要因かも。何より、行動指針が明確なのがいいじゃないですか。


    これ、整形外科、スポーツ医学では常識なのでしょうか。
    だとすれば、明らかにPR不足。もっとPRをしていただきたいものです。


    常識でないのなら、今後のデータ集積が望まれますね。
    専門の方に、是非お願いしたいところです。

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    2012年02月20日

    PETについて(呼吸機能イメージング研究会)2

    PETについて、限界というか、弱点を挙げてみます。


    基本的に感度が低い、というか、FDGが集積しにくい癌は、

    • 胃癌の一部

    • 肝細胞癌

    • 細気管支肺胞上皮癌(BAC)・高分化腺癌

    • 微小な癌


    です。特に径が1cm未満の癌病変は検出感度が低いとされています。
    縦隔などのリンパ節転移も、感度・特異度にまだまだ課題があります。


    逆に、良性疾患でも、結核やクリプトコッカス、サルコイドーシスなど、集積するものも少なくありません。


    そういうわけで、なかなか解釈が難しい場面も多いのが現状。


    まずは疑わしい陰影を認めたときに、質的診断と病期評価をかねて、治療効果の確認、治療後再発の有無などを見るというパターンが多いと思いますが…。


    1つ示唆されていたのは、高齢の方で、侵襲的な検査(生検)がはばかられるような場合、PETで集積がなければ、仮に癌であっても高分化と考えられるため、経過観察してもよいのではないか、ということでした。


    検診施設で、スクリーニングで撮影、ということも多いようですが、腫瘍マーカーほどではないにしても、陽性になったときにどうするか、ある程度指針がほしいところです。

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    2012年01月22日

    学習過程における、「知識」と「経験」のバランス

    「頭でっかち」という言葉があります。

    知識ばかりで経験を伴わない様子を指しますね。
    逆に、経験は豊富でも、それを体系づける知識が無くては、説得力がありません。


    臨床の現場では、0か1か、正か負か、白か黒かで割り切れないことも多い。
    はっきり診断がつかないことも、実は結構あるのです。


    ある診断基準を満たさない状態だって多いわけで。
    いろいろな要素が絡み合って、複雑な様相を呈していることもある。
    治療を開始して、うまくいかないことも。
    じゃあ、そこでどうするか。


    教科書なんかの知識だけだと、ここのところのニュアンスがわからない。
    学生の時によく勉強している人が陥ることもある状態です。
    頭でっかちだと、臨床医としての進歩が妨げられることもあるのです。


    むしろ、頭が真っ白の「フォーマットしたて」の状態でがんがん経験を積む方がいい。まあ本当に真っ白も困りますが、国試を通る程度の知識があればいい。



    そしてある程度の経験をへて、「ああ、ぜんぜんわからない」という状態で、本を読む。そうすると、それはもう、「砂漠が水を吸収するがごとく」知識が入ってくるのです。


    卒業時にほぼ真っ白(苦笑)だった私の個人的経験からすると、経験を積んで、追い詰められて勉強すると、それはそれは効率的に?頭に入りますので、お勧めです。
    いずれにしても、知識と経験は、バランスよく兼ね備えてナンボ、と思いましょう。




    経験と言えば、よく言われていることが、「経験が豊富なほど、やさしくなれる」というもの。

    やさしくなれる、というのは、他人のことを配慮できる、他人の事情が理解できる、つまり、多くの経験を積んだ方のほうが、「あの人は、こういう事情があるかもしれない」とおもんばかることができるようです。


    実際、いろいろ涙を流した人の方が、度量が広くなる、ということはよく言われますし、実感しているところです。
    経験豊富であると、いろいろな面で、懐が深くなる、そういえるのではないでしょうか。


    私も、もちろんまだまだ経験不足、発展途上ではありますが、それでも、これまでに、ここでは書けない、いろいろなつらい経験があるものです。やはりそういう経験を経ると、少しずつではありますが、他人の事情を斟酌(しんしゃく)することができるようになってくるように思います。

    あとはまあ、子供にかなり鍛えられている、っちゅう面も大きいですね。期待のハードルを下げる訓練は毎日やらされています(苦笑)。


    逆に、いわゆる「ネット住人」の方のように、経験、実体験が少なくて知識?に偏っている頭でっかちの人は、他人に対して思いやりが少なく、匿名で誹謗中傷したり、ネガティブな行動をとったりされるのではないか?と推測するものであります。

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    2012年01月15日

    追い詰められた人は「よく知らない」選択肢を選びがち

    国試も近いことですので、警句を1つ。


    選択問題で解答がよくわからないときに、たとえば

    b. Williams-Campbell症候群

    みたいな、よく知らない選択肢を選んでしまいませんか?

    ひょっとしたら自分が知らないだけで、これじゃないか、みたいな心理があるようです。




    これ、臨床医になってもあるんですね。

    よくわからない病態だ。じゃあ、よく知らない○○じゃないか、みたいな。
    それで、診断、治療に困難を来す現場を時々見かけます。


    ですから、特に内科系にいかれる若い方は、せめてcommon diseaseぐらいは「よく知らない」ということがないようにお願いします。


    ちなみにこの辺では、○○には「肺炎」がよく入ります…。

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    2011年12月23日

    初心者向け、スライドの作り方

    学会発表や学生さんの発表を見ていて思ったことです。

    たとえば、スライドにCTRXと書くとします。このときにCTRXだけ書いていると、いざ発表、しゃべる時にCTRX?なんだったっけ??う、原稿原稿、となり、ますますあがってしまうのです。


    学会発表初心者の場合、おすすめは次の2つ。


    • 完璧な読み原稿を作り、それをひたすら読む

    • スライドに略号だけでなく、フルスペル、読みを併記する



    どうにも自信がない、緊張すると頭が真っ白になる、そういう方の場合、完璧な読み原稿を作り、それをひたすら読むのがおすすめです。


    まあ、見ている方からすると、棒読み丸わかりなので、少し格好つけたい場合は、スライドに多くの情報を盛り込み、それを見ながらしゃべる、ということになるのですが…。


    このときにCTRXだけ書いていると、いざ発表、しゃべる時にCTRX?セフなんだったっけ??となるため、CTRX(セフトリアキソン)みたいな感じでフルスペルも書いておくと良いでしょう。

    なお、何度もこれをすると少々ウザいので、普通は初出の時だけにしますが、初心者であればまあ許容範囲ではないでしょうか。

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    2011年11月13日

    メーカーMR諸氏とのつきあい方

    学生の間はほとんどの人が意識することがないのに、医師になると否応なく意識することになるのが、製薬メーカーから派遣されてくる営業担当の方々、通称?(正式名称?)「MRさん」の方々とのつきあいです。


    彼らの仕事は「薬品の売り上げを上げること」ですから、いろいろな経路で先生方にアプローチされます。

    いわゆる「説明会」「研究会」の体をなすものから、医局の前でお待ちになっての直接攻撃?まで様々な攻撃があります。


    暇をもてあましている、というときはいいのですが、病棟に呼ばれて急いでいるときに声をかけてこられた場合にまで愛想よく足を止めて、応対する必要はありません。

    「時間のあるときにお願いします。」ときちんとおっしゃればよろしい。


    まあ、いろいろなスタイルがあるはいいのですが、もう少しMRさんも営業とはなんぞや、というところを考えるべきだと思います。薬を売りたいのに、医師に嫌われるような行為をしてどうするんでしょう、という人も多いですね。

    最低でも、「ビジネス発想源」無料版は読むべきです、MRの皆様。
    http://www.mag2.com/m/0000134134.html



    昔はMRさんと仲良くすると、それなりにいいこともあったようですが、最近は「自主規制」の名の下に、あまりそういう感じのことはないようです(施設にもよるようですが)。


    とはいえ、薬剤や疾患の情報を頂けたりするのはありがたいわけですから、適度な距離感でのおつきあいが勧められます。

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    2011年11月12日

    対診依頼の書き方2

    対診依頼の書き方ぐらい、自分の好きなように書くわい、とか、別にこれでいいんじゃないの、とか、いろいろな意見はあるでしょうが、私が昔指導いただいた先生からは「人にものを頼むときには、それなりの礼儀というものがあるだろう」と教わったものです。


    言い換えると、専門医の先生の貴重なお時間をお借りして依頼をかけるからには、それなりの理由を明示し、礼を尽くすべきだというのです。


    自分の知識、スキルだとここまでのことは対処可能であるが、これ以上のところで専門医の専門的なスキルをお貸し願いたい、こういうスタンスが、特に上級医には好まれるようです。


    そのような内容を書くためには、ある程度こちらにも知識が無くてはならない。逆にこちらの知識を提示することで、先方に「これはきちんと回答しなければ」と思っていただく効果もあるようです。



    「○○で当科通院中の方ですが、咳が出てきてレントゲンを撮影しましたところ、以前には見られなかった両側びまん性のすりガラス影を認めました。薬剤は○○、○○を長期間使用中で、最近○○を開始しました。膠原病を思わせる症状、所見には乏しいようです。一度貴科的にご評価をいただけましたら幸いです。」


    たとえば、こんな感じでしょうか。

    (必ずこのフォーマット通りに書きましょう、という意味ではありません。あくまで、姿勢を見ていただきたいので、念のため)

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