2〜3日後に経過を見て効果判定、その際に見るべきは体温、分泌物の状態、酸素化という症状、診察で見た感じであります。白血球、CRP、胸部X線写真といったパラメータは、あくまで参考所見です。
良質な喀痰が採れた場合には、判断材料がさらに増えます。物的証拠が効いてくる、ということですね。
たとえば喀痰のグラム染色で、当初認められていた白血球や菌が治療経過で見られなくなった、これも治療の効果あり、と申し上げていいでしょう。このように、最初だけでなく、経過で痰を見ることも大事ですね。
そして、喀痰培養。培養には数日かかり、大体効果判定の時期に結果が得られてくることになるわけです。その結果を治療にフィードバックしていくわけですね。
院内肺炎軽症群の治療においては、通常緑膿菌やMRSAを外した抗菌薬を選択するわけですが、良質な喀痰培養でMRSA、緑膿菌をはじめとする(現在投与している抗菌薬に対する)耐性菌が検出されるかどうか、これも治療があっているかどうかを判断する材料になります。
誤解を恐れずに、かつシンプルに、症状が軽快しているかいないか、耐性菌が検出されたかどうかでどのように判定をするか、分類して考えてみましょう。
- 症状軽快・耐性菌検出せず:順調ですね。このまま初期治療薬で治療を継続しましょう。
- 症状軽快・耐性菌検出:症状が軽快している場合、抗菌薬の変更には勇気がいります。他にどんな菌が検出されたかによっては保菌の可能性もあるわけですから、原則は「悪化するまではやっている治療を維持」ということになるでしょう。
- 症状悪化・耐性菌検出せず:これも、他にどんな菌が検出されたかによって解釈が難しくなります。「そもそも肺炎という初期診断が正しいのか」「提出した痰は良質であったのか」など、考えるべきことも多いです。ここに入ると、ちょっと一口には語れません。
- 症状悪化・耐性菌検出:今の治療ではアキマセン。抗菌薬を「検出された菌に有効な」モノに変更します。
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