2012年08月31日

活動報告・I先生学位審査予演「癌関連間質細胞がT期肺腺癌患者の予後に与えるインパクト」

I先生はがんセンターで研鑽を積まれ、昨年よりウチに来られています。最近は基礎講座で研究をされていますが、以前の研究がChestに掲載され、学位論文(となる予定)であります。(CHEST. 2012; 142:151-158. )


タイトルは「癌関連間質細胞がT期肺腺癌患者の予後に与えるインパクト」。


肺癌患者さんの予後がよろしくないことは周知の事実ですが、具体的には、T期の腺癌患者さんであっても実際には術後再発が問題となり、5年生存率は40%程度と報告されています。その術後再発を抑えるために、術後化学療法が試みられてきたわけですが、I期においては生存に対するメリットが確立されておらず、標準治療とはなっていません。


したがってI期腺癌患者さんにおける再発危険因子を同定することが必要なのです。それによってI期の患者さんをリスク別に層別化し、術後化学療法の有用性を検証すべき再発ハイリスク群を抽出することが可能となるわけですね。


これまでに報告されている再発危険因子として、腫瘍サイズ、胸膜浸潤、血管内腫瘍浸潤、リンパ管侵襲などが挙げられますが、これらはすべて癌細胞に焦点を当てたものでした。



癌組織には癌細胞だけでなくその周りに間質細胞が存在します。この間質細胞が癌組織における「微小環境」を構成しており、腫瘍の進展がこの「微小環境」によっても規定されることが近年明らかになってきています。


微小環境を構成する主な細胞成分は線維芽細胞とマクロファージで、腫瘍促進的なマーカーを発現している細胞が多いと、予後に大きく関与する、ということを最終的に示された、意欲的なご発表でした。


さすがに細かいところの手直しはほとんど無く、専門外の先生にstoryをわかりやすく、というところを工夫した程度でした。




I先生はお話ししてみると相当な天然なんですが、研究に向かう態度は真摯であり、そこのギャップがまた魅力的であります。現在婚活中でもあり、興味のある方はアプローチされてみてはいかがでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:13 | Comment(0) | 今日の症例

2012年08月29日

今日の症例・リンパ腫治療中に両側びまん性陰影を呈した1例3

リンパ腫化学療法施行中に生じてきた両側びまん性の陰影。低酸素血症。
気管支鏡BALにて徐々に濃くなる血清回収液を得、びまん性肺胞出血と考えました。


肺胞出血についておさらい


出血の原因としてリンパ腫再燃の可能性は低いと考えられ、各種培養と治療経過から、感染症の可能性も否定的と考えられました。


ということで、肺胞出血の原因としては、

  • 薬剤性

  • 血管炎

  • 膠原病

  • Goodpasture症候群


などが挙げられました。


腎機能、尿所見が全く問題なかったこと、他臓器の症状、身体所見に膠原病を思わせるものがなかったこと、そして各種抗体検査が陰性であったことから、薬剤性以外の疾患も否定的としました。



ということで、抗癌剤などによる薬剤性のびまん性肺胞出血が疑われました。よくよく後で病歴を伺ってみると、化学療法のたびに軽度の呼吸困難感を自覚されていたとのことで、抗癌剤投与と症状発現のタイミングが合っていたと考えられます。


今回投与されていた抗癌剤で、肺胞出血を来すと報告されているのはリツキシマブとシクロホスファミド。いずれもDLSTは陽性となりませんでしたが、被擬薬として、以降の使用を避けるよう申し上げました。幸い、リンパ腫は今のところ再燃の兆しはありません。


肺病変も、ご覧の通り…


DAFCR2.jpg


DAFCT21.jpg


DAFCT22.jpg


DAFCT23.jpg


ほぼきれいに治りましたね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:38 | Comment(0) | 今日の症例

2012年08月28日

今日の症例・リンパ腫治療中に両側びまん性陰影を呈した1例2

リンパ腫化学療法施行中に生じてきた両側びまん性の陰影。低酸素血症。
鑑別に挙げるべきは何でしょうか。


陰影からはびまん性肺疾患の鑑別になります。病歴から挙げるべき鑑別疾患を考えてみましょう。


  • リンパ腫がある→リンパ腫再燃・増悪

  • 化学療法中(抗癌剤などを使用中)→薬剤性肺障害

  • 免疫抑制状態→(日和見)感染症



もちろんこれら以外に、間質性肺炎(CTからはOPパターン…)も鑑別に入るでしょう。


特に感染症を正しく診断する意味でも、気管支鏡、できればBALを行いたいところ。ハイ、行いましたよ…。

なんと回収液は真っ赤っか。こんな感じでした。


DAHBALF0007.JPG


気管支鏡BALにて徐々に濃くなる血清回収液を得たことになり、びまん性肺胞出血と考えました(後にヘモジデリン貪食細胞も確認)。


肺胞出血の原因としては、上記以外に血管炎、膠原病、Goodpasture症候群などを考える必要があります。また、ワーファリン内服中であり、PT-INRを確認しましたが、これは延長なし。


本症例では、元々あったリンパ腫の病変がほぼ消失していたことから、当初からリンパ腫再燃の可能性は低いと考え、mPSLに加えて感染対策にガンシクロビルとST合剤を開始されていたものの、効果を認めてはいませんでした。そこへBAL所見からmPSLパルスを開始。3日間終了時には酸素化、各種所見が改善傾向となりました。


そうこうしているうちにβ-Dグルカン、C7-HRPの陰性が確認され、BALFで細胞診は好中球優位であったものの、細菌培養陰性より、感染症の可能性はひとまず否定的と考えられました。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:13 | Comment(2) | 今日の症例

2012年08月27日

今日の症例・リンパ腫治療中に両側びまん性陰影を呈した1例

症例 70歳代 男性

主訴:呼吸困難
現病歴
再発悪性リンパ腫に対して、某科でRCHASE(Rituximab、VP-16、DEX、CPA、AraC)4kr施行していた。4kr目day17に歩行時息切れの訴えあり、胸部CTで既存の間質性肺炎像に加え、斑〜結節状陰影あり、また血液検査にてCRP 28と上昇を認めた。mPSL125mg/dayを2日間投与し、症状は一時軽快したが、3月23日の歩行時にSpO2 78%まで低下あり、当科紹介となった。

既往歴
心房細動
平成14年,右肺野の肉芽腫切除
平成15年MRに対して僧帽弁形成術施行。その際にリンパ腫発見され、COP,THP-COP,さらにRituximabで維持療法(9回)を実施し,一旦CR.

生活歴
喫煙:30本/日×20歳〜35歳頃
飲酒:5年前まで平均缶ビール2本/日
職業:羽毛布団製造

投薬歴
上記化学療法以外にはワーファリン内服中

アレルギー
花粉症のみ。薬剤アレルギーなし


<入院時身体所見>
体温36.5℃、血圧 114/80、心拍数 96整、SpO2 95% (リザーバーマスク10L/分)、呼吸数20/分。
結膜:やや貧血様
表在リンパ節:蝕知せず。
呼吸音:両側下肺中心にfine crackles(+)
心音:4LSBを最強点とするLevine V/Y度の収縮期雑音を聴取
腹部:平坦軟、圧痛なし
四肢:浮腫なし、ばち指なし。


<転科時検査所見(2012/03/28)>
HT (% ) 22.8 L
HB (g/dl ) 7.7 L
RBC (1000000 ) 2.18 L
WBC (1000 ) 9.3 H
PLTS (1000 ) 131 L
SEG/NEUT (% ) 90.5 H
BAND (% ) 1.5
LYMPH (% ) 1.5 L
MONO (% ) 1.0 L
IMM-GR (% ) 5.5
NRBC (/100WBC) 1.0
RETIC (‰ ) 43 H
MCV (μ3 ) 105 H
MCH (pg ) 35.3 H
MCHC (% ) 33.8
TP (g/dl ) 5.5 L
ALB (g/dl ) 2.9 L
AST (U/l ) 14
ALT (U/l ) 30
LDH (U/l ) 640 H
ALP (U/l ) 455 H
G-GTP (U/l ) 110 H
CHE (U/l ) 169 L
LAP (U/l ) 189 H
T-BIL (mg/dl ) 0.66
D-BIL (mg/dl ) 0.13
A/G ( ) 1.14 L
NA (mmol/l ) 137 L
CL (mmol/l ) 103
K (mmol/l ) 4.8
UN (mg/dl ) 20.6
CRE (mg/dl ) 0.83
UA (mg/dl ) 2.9 L
CA (mg/dl ) 8.0 L
P (mg/dl ) 3.1
CRP (mg/dl ) 3.90 H


3/20 β-Dグルカン (−)、PCT 3.09
3/26 C7-HRP (−)


胸部X線写真はこの通り。


DAFCR1.jpg


両側の浸潤影があります。
胸部CTでも、すりガラス影を背景に、斑状、結節状の陰影がびまん性に存在します。


DAFCT11.jpg


DAFCT12.jpg


DAFCT13.jpg


化学療法施行中に生じてきた両側びまん性の陰影。低酸素血症…。
鑑別に挙げるべきは何でしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 14:29 | Comment(0) | 今日の症例

2012年07月23日

今日の症例・ドレナージあれこれ・診断編

80歳代 男性で主訴が咳・痰・呼吸困難。糖尿病とホルモン療法、担癌患者で喫煙者。免疫力の低下が想定されます。


経過は1週間程度であり、急性〜亜急性の経過ですね。体温は36.8度と高くありませんが、脈拍107bpmと速い。SpO292%(マスク4L/min)と低下しているのが原因でしょうか。


何が変か。呼吸音が左側胸部で低下していて、打診上鼓音、右下肺野でfine crackle聴取、の件です。これだけ見ると気胸の存在が疑われます。しかし、WBC 18,500、CRP21.33、血糖も高い、と結構な炎症所見が出ているのですね。



うむむ…所見をこちらで取り直してみると、鼓音ではなく濁音でありました…。声音振盪も減弱。


ということであれば、想定されるのは、(比較的亜急性で、あまり高熱が出ていない)胸水を伴う感染症、ということになります。


胸部レントゲン写真が見たいですね。ハイ、見てみましょう。


ドレナージあれこれCR1.jpg


おお、やはり胸水(しらこい)。

お、それにニボー形成も!


ということは、
ニボー形成のある胸水は気胸を合併しているわけですから、それで(そのときは)鼓音だったのか?と。


ドレナージあれこれCT2.jpg


ドレナージあれこれCT22.jpg


CTを見るとガス産生のある膿胸と思われました。早速胸水採取し、膿性であったため膿胸と診断確定。比較的激しくない症状と経過から、原因菌は嫌気性菌かと想定されました。ドレナージとSBT/ABPC 6g/日を開始。


ここからが本題です。数日後のこと…

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:26 | Comment(0) | 今日の症例

2012年07月22日

今日の症例・ドレナージあれこれ

久しぶりに症例検討をしてみましょう。


症例 80歳代 男性

<主訴>
咳・痰・呼吸困難

<現病歴>
1週間前頃より、咳・痰を認め、2〜3日前より症状増悪し、呼吸困難も認め始めたため当院救急搬送となった。

<既往歴>
60歳頃 前立腺肥大→TUR-P施行
65歳頃 2型糖尿病(以後SU薬のみ内服でFBS120mg/dl程度)
今年に入り、前立腺癌の多発骨転移+多発腹腔内転移→泌尿器科にてホルモン療法中(カソデックス)
間質性肺炎→当科フォロー中

<内服歴>
カソデックス80mg 1T朝後
ロキソニン60mg 2T朝夕後
ムコスタ100mg 2T朝夕後
ダオニール1.25mg 1T朝後

<家族歴>
特記すべきことなし

<生活歴>
喫煙:30-33歳、20本/day、ex-smoker
飲酒:なし
職業:事務職 アスベスト暴露なし

<アレルギー>
特記すべきことなし

<入院時身体所見>
体温36.8度 脈拍107bpm 血圧147/78mmHg SpO292%(マスク4L/min) 呼吸数26
意識清明
眼球結膜:黄染なし 眼瞼結膜:やや蒼白
口腔咽頭:発赤なし 舌乾燥あり
頸部:リンパ節腫大なし 甲状腺腫大 bruit聴取せず
肺音:左側胸部で低下、打診上鼓音 右下肺野でfine crackle聴取
心音:整 雑音聴取せず
腹部:平坦 軟 腸蠕動音亢進減弱なし 圧痛・自発痛なし 正中に手術痕あり
四肢:下腿浮腫なし 橈骨・足背動脈触知良好 ツルゴール低下なし
<入院時検査所見>
HT (% ) 26.6 L
HB (g/dl ) 8.8 L
RBC (1000000 ) 2.81 L
WBC (1000 ) 18.5 H
PLTS (1000 ) 382
FIBG (mg/dl ) 534 H
PT-P (秒 ) 15.1 H
APTTP (秒 ) 33.4
PT-ACT (% ) 60
Dダイマ- (μg/ml ) 11.4 H
PT-INR ( ) 1.32 H
TP (g/dl ) 7.0
ALB (g/dl ) 1.8 L
AST (U/l ) 18
ALT (U/l ) 15
LDH (U/l ) 241 H
ALP (U/l ) 365 H
G-GTP (U/l ) 43
CHE (U/l ) 94 L
LAP (U/l ) 115
T-BIL (mg/dl ) 0.67
NA (mmol/l) 135 L
CL (mmol/l) 100
K (mmol/l) 3.8
UN (mg/dl ) 14.3
CRE (mg/dl ) 0.82
eGFR ( ) 67.2
CA (mg/dl ) 8.1 L
P (mg/dl ) 3.4
T-CHO (mg/dl ) 123 L
TG (mg/dl ) 62
AMY (U/l ) 29 L
CPK (U/l ) 20 L
CRP (mg/dl ) 21.33 HH
GLU (mg/dl ) 293 H
BNP () 62.98 H

【ABG】
pH : 7.42
PO2 : 73.5 mmHg
PCO2 : 33.2 mmHg
B.E. : -0.4 mmol/L
HCO3 : 22.8 mmol/L
A.G. : 13.6 mmol/L
Lac : 24.0 mg/dL



ん…これは研修医の先生のカルテですが…なんか変ですかね…?

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:57 | Comment(3) | 今日の症例

2012年06月03日

ABPC/SBTとVCMの併用2

先週の聖隷浜松病院 総長の堺常雄先生によるお話の中で、滋賀の実情は、小児科と産婦人科がぐっと増えていて、内科医が減っている、というくだりがあったのですが。


そして、このような統計では必ず、「内科」は「内科」としてひとくくりにされている、といういうことでした。そして、そのような「内科医」には、○○内科、とついている医師が含まれるわけです。


そして、ABPC/SBTとVCMを併用していた医師は、○○内科、の医師。
ということは、そういうドクターも、内科医の1人、としてカウントされている現実があるのです…。





やっぱり、滋賀の内科医不足は深刻です。

学生さん、若い先生方、マスコミに踊らされて、小児科や婦人科に行ってる場合じゃないですよ!内科は臨床の基本です!正しい内科医になりましょう。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 22:11 | Comment(0) | 今日の症例

2012年06月02日

ABPC/SBTとVCMの併用…

とあるところで受けたコンサルト。


「入院中の方が昨日の血液検査で炎症所見の再燃を認めました。胸部CTを撮りますと、右下葉に肺炎像あり、誤嚥の可能性を(放射線科医に)示唆されております。先日の喀痰検査でMRSA2+であり、誤嚥とMRSAの両方の可能性を考えて、昨日からABPC/SBTとVCMを開始しました。今後の抗生剤を含めた加療方針についてご教授いただきたく…」


この文章を見て、違和感を覚えない方は、だいぶ問題あり、です。


  • 肺炎かどうか、炎症所見と胸部CTのみで判断。

  • 喀痰の評価が成されていない。

  • MRSAが原因菌たり得るかどうか、検証されていない。

  • そして、ABPC/SBTとVCMの併用…。




おそらくその先生の中では、
誤嚥=ABPC/SBT
MRSA=VCM

という方程式があるのでしょう。


それで、この2つの病態が並立しているので、併用だと。
病名や病態と薬を1対1対応で考える習慣があると、こうなるのかも。


ローテーターではない方なので、これまでにもそのようにやってこられ、特に問題はなかったと思われます。


一体どこから話を始めたらよいのか…かなり困りました。
皆さんなら、どのように話を切り出されますか?

トップページへ

posted by 長尾大志 at 19:54 | Comment(2) | 今日の症例

2012年02月28日

今日の症例・同門会、一般演題の部より、慢性肺血栓塞栓症として治療開始されたが状態悪化した一例・実は…

肺血栓塞栓症で、抗凝固療法を行われているにもかかわらず、治療に反応せず、造影CTで欠損部も拡大、D-ダイマーは経過中ずっと陰性と。


この時点で、診断に疑問がわいてきます。本当に血栓なのかと。


径静脈的なアプローチ、あるいは何らかの手段で診断を付けにいきたいところです。
幸い、今ではPETというものがある。非侵襲的に行えますね。


図kekk3.jpg


PETで取り込みが非常に強く、活動性病変、腫瘍性病変が疑われました。

そういうわけで生検。結果、血管肉腫でした。


図kekk4.jpg


アスベストは関係あり、とする証拠に乏しいようです。


コメントをいただいた6年目の僻地の家庭医さん、きっとたくさんの症例を経験なさっているのだと思います。さすがですね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:08 | Comment(0) | 今日の症例

2012年02月27日

今日の症例・同門会、一般演題の部より、慢性肺血栓塞栓症として治療開始されたが状態悪化した一例

もう1例は、うちの症例ではなく、Y先生が以前勤めておられた先での症例です。


60歳代 男性

主訴:体動時呼吸困難
既往歴:67歳 アスベスト肺 
現病歴:2月頃から体動時の息切れを自覚し、3月に近医を受診。胸部CTで肺動脈本幹から右肺動脈にかけて陰影欠損を認めたため、慢性肺血栓塞栓症の診断でワーファリンの投与が開始された。しかし画像上改善を認めないため10月に某病院循環器科を紹介受診。

職歴:造船所勤務(アスベスト暴露歴あり)
家族歴:特記すべき事項なし
喫煙歴:20本/日×20年(25〜45歳) 
理学所見:身長 171.0 cm, 体重 76.0 kg
血圧 142/69 mmHg, 脈拍 57/min 肺音・心音:清

検査所見
末梢血
WBC 6300 /μl
neu 78.2 %
lym 11.5 %
mon 6.4 %
eos 3.8 %
Hb 13.9 g/dl
Plt 30.1×106 /μl
生化学
GOT 15 IU/l
GPT 10 IU/l
CRE 0.8 mg/dl
BUN 8 mg/dl
Na 142 mEq/l
K 4.5 mEq/l
TP 7.4 g/dl
CRP 0.8 mg/dl
BS 122mg/dl

凝固系
PT 27.4sec
PT (INR)2.25
APTT 41.4sec
D-dimer0.61μg/ml

腫瘍マーカー
CEA 4.0ng/ml
CYFRA1.1ng/ml
Pro GRP22.2pg/ml

動脈血ガス (room air)
pH 7.41
PaCO2 37.0mmHg
PaO2 65.6mmHg

尿検査
潜血 −
蛋白 −
糖 −


胸部レントゲンでは、右胸水と両側胸膜班を認め、


図kekk1.jpg


胸部CTでも胸膜班と、造影CTでPA本管に欠損像を認めました。


図kekk2.jpg


慢性に進行する呼吸困難。造影CTでPA本管に欠損像あり、ということで慢性肺血栓塞栓症として治療開始されたのですが…。



ところが、治療に反応しません。
だんだん酸素状態も悪化します。


そればかりか、造影CTで欠損部も拡大。
D-ダイマーは経過中ずっと陰性。


さて、どういう病態を考えますか?

トップページへ

posted by 長尾大志 at 15:54 | Comment(2) | 今日の症例

2011年12月05日

今日の症例・謎の低酸素血症

こちらは当院から先日の第78回日本呼吸器学会近畿地方会に出した症例です。


60歳代 女性、徐々に増悪する労作時呼吸困難を自覚したため近医を受診し、room airでSpO2:80%前後と低酸素血症を認めた。他院でレントゲン、CTを行ったが明らかな器質的疾患を認めず、それ以上の精査は行われなかった。経過と共に症状の増悪を認めたため、原因精査目的で当科紹介受診となった。

既往に60歳でのC型慢性肝炎(無治療経過観察中)、63歳からの糖尿病(内服加療中)があります。家族歴に特記事項なし。喫煙歴なし。職業は元農業で、アスベスト他の曝露はありません。


…という症例です。


所見として、労作時の呼吸困難、低酸素血症があり、SpO2(O2 nasal 1.5L/min)は臥位96%のところ、座位で91%に低下します。A-aDO2の開大、DLcoの低下もみられますが、レントゲン、CTといった画像所見では異常所見は見られません。

さて、一般的画像診断で問題のない低酸素血症、どういった疾患を鑑別に入れたらいいでしょうか。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 12:51 | Comment(2) | 今日の症例

2011年10月20日

11/19CPC症例

昨日のCPCは、参加者が大変少なく、寂しい限りでありました。
ひとえに私共の告知不行き届きのためと思います。



肺線維症経過中に出現した結節影の診断は、肺癌(腺癌)でした。


肺線維症(肺胞の破壊、線維化)をベースにした肺癌発生のリスクは、調査によって諸説ありますが、数%程度はあるようです。


肺胞破壊(局所)、ステロイド使用(全身)による免疫抑制から日和見感染がおこる…というのは、事例的には経験があるのですが、比較的まれなようです。

その場合、アスペルギルス、結核、非結核性抗酸菌症などが原因として考えられます。


基礎にあった間質性肺炎は、unclassifiedのようでした。
やはりANCA関連…ということで、落ち着くようです。

そこにDADがsuperimposeした感じでした。


CPCは本当に勉強になります。
願わくば、もう少しタイミングが早ければ、若い先生方の勉強になるのですが。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 09:51 | Comment(0) | 今日の症例

2011年10月19日

本日のCPCにて、症例検討を行います。

症例は70歳男性。

他院で間質性肺炎と診断され当科紹介受診となる。初診以降ステロイド治療を行っていたが、しばしば急性増悪をきたし入院、その都度ステロイド増量で対処した。

当初からMPO-ANCA陽性、抗SS-A抗体陽性で、自己免疫疾患の存在が示唆されたが、間質性肺炎の原因となる疾患として、膠原病や血管炎など、診断基準を満たす症状、徴候はなかったため、特発性間質性肺炎としてフォローされていた。

〜という経過の方です。


レントゲンの経過はこんな感じ。


071212CR.jpg

↓ ↓ ↓

090727CR.jpg


経過中、上肺野に結節影が出現。


臨床側で問題となったのは、以下の点です。

  • 基礎にあった間質性肺炎の病型

  • 急性悪化時の組織所見

  • 右上葉の結節の診断



それでは、臨3でお会いしましょう!

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:32 | Comment(0) | 今日の症例

2011年03月15日

教科書に載せたい陰影・両側の…

典型的なやつを見てみましょう。
これです。わかりますか?

sarcr.jpg

CTはこれ。

sarct.jpg

そうです。BHLですね。
てことは、Sarcoidosis。

Sarcoidosisは、両側がキーワードです。
BHLもブドウ膜炎も両側です。

一度見ておけば、忘れないのではないでしょうか。





トップページへ

posted by 長尾大志 at 18:02 | Comment(0) | 今日の症例

2011年02月07日

骨軟部陰影、異常ありません3

「系統的レントゲン読影」小三J法とか、いろいろありますが、
その際に、決まり文句のようになっていませんか?
とりあえず言うとけ、みたいな。

「骨軟部陰影、異常ありません。」
何も考えずに言ってたら、こんなこともありますよ。

まずはこれを。
間質性肺炎(肺線維症)の方です。

pneumedcr1.jpg


あるとき、こうなったのです。
上の画像との違い、わかりますか?


pneumedcr2.jpg


見たことがないとわからないかもしれません。
CTを見てみましょう。
まずはコントロールから。

pneumedct11.jpg

pneumedct12.jpg


あるとき、こうなったのです。
もうわかりますね。

pneumedct21.jpg

pneumedct22.jpg



そうです。縦隔気腫ですね。
もう一度、この辺に注目してみましょう。

pneumedcr3.JPG

トップページへ

posted by 長尾大志 at 10:14 | Comment(0) | 今日の症例

2011年02月06日

クレッセント・サインは「クロワッサン」

クレッセント=三日月

クロワッサンの語源?でもあります。
三日月型のパンだから三日月パン、て感じでしょうか。

こんな感じです(Wikipediaより引用)。

クロワッサン.jpg


で、アスペルギローマ(菌球)で見られる
クレッセント・サインですが、

こんなん↓

crescentcr.jpg


CTだと、こんな感じ。

crescentct.jpg


端にある空洞(空気のある部分=黒いエリア)が
もうクロワッサンにしか見えませんね。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 11:44 | Comment(0) | 今日の症例

2011年02月03日

骨軟部陰影、異常ありません2

「系統的レントゲン読影」小三J法とか、いろいろありますが、
その際に、決まり文句のようになっていませんか?
とりあえず言うとけ、みたいな。

「骨軟部陰影、異常ありません。」
何も考えずに言ってたら、こんなこともありますよ。

ribcr.jpg


肋骨が溶解してるんですけど。
どこかわかりますか?

かなり難易度高いです。
正解はまた後日。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 10:36 | Comment(0) | 今日の症例

2011年01月30日

12月16日 前医の診断は当てにするな!診断編

12月16日前医の診断は当てにするな!のデータを見ると、LDHとCPKがやけに高いわけです。

心不全でこの数値、というところにピーンと来たら、
ECGを取らないといけません。

結果、急性心筋梗塞(急性期を過ぎている)でした。
内科医だったら、この程度は診断したいものです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 14:15 | Comment(0) | 今日の症例

2010年12月15日

先輩医師の言葉 レントゲンは以前のものと比較せよ!その2

特に症状はないんですけど。
レントゲンのフォローで来られた方です。

前回はこう。

freeaircr1.jpg

今回はこれ。
違いがわかりますか?

freeaircr2.jpg








そうですね。
free airありますね。
これで、全然症状ないんですね。

freeair3.jpg

それにしても、お腹の症例が多いですね…。
呼吸器内科医は、呼吸器というスペシャリティを持つ総合内科医たるべきである。
と、いうことです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 17:47 | Comment(0) | 今日の症例

2010年12月09日

久しぶりに見た、カニの爪

いや、食べるカニではありません(汗)。
時節柄、そっちの方がいいのかも…。

カニの爪=腸重積。
こんな感じ。

kani1.jpg

「呼吸器内科で腸重積を見れるとは思わなかった。」とT先生。

いやいや、呼吸器内科では何でも起こりまする。
総合臨床力がつきますな。

呼吸器内科医は、呼吸器というスペシャリティを持つ総合内科医たるべきである。と、いうことです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 23:10 | Comment(0) | 今日の症例